(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定のコンピュータを、ユーザに付与された複数種類のポイントのそれぞれの残高をユーザの識別情報と対応付けてポイントの種類別に残高データに記録するポイント残高記録手段、及びユーザがサービスを利用する際に、該ユーザの識別情報と対応付けて記録されている少なくとも一種類のポイントの残高をその利用の対価の少なくとも一部として消費させるポイント消費手段として機能させ、
前記ポイントを前記対価として通用させることが可能なサービスの範囲が前記複数種類のポイント間で差別化され、かつ2種類以上のポイントが通用可能なサービスの重複範囲に関しては、当該重複範囲にて通用可能なポイントの残高の合計数を前記対価として消費させることができるように、前記ポイント消費手段によるポイントの消費を制御させるように構成され、
前記2種類以上のポイントとして、通用可能なサービスの範囲が相対的に広い広域ポイントと、通用可能なサービスの範囲が相対的に狭い狭域ポイントとが存在し、
複数の施設のそれぞれに設置された課金対象機器のいずれかをユーザが利用する際に前記ポイントを前記対価として消費させることが可能とされ、
前記課金対象機器には、ユーザの利用に対して前記対価が必要となる複数種類の品目が用意され、前記品目には、前記広域ポイントの発行主体によって前記複数の施設のそれぞれに提供される広域品目と、前記狭域ポイントの発行主体によって特定の施設に提供される狭域品目とが存在するポイント管理システムに適用されるポイント管理用のコンピュータプログラムであって、
前記ポイント消費手段を、
ユーザの識別情報と、該ユーザが利用しようとするサービス及びポイントの消費量のそれぞれを指定する情報とを含んだポイント消費要求に応答して、前記ユーザが利用しようとするサービスを判別する判別手段、及び
前記ユーザ識別情報と前記判別手段の判別結果とに従って、ユーザが利用を希望するサービスに対して通用可能な種類のポイントの残高データを特定し、該特定された残高データに記録されている残高を、前記ポイント消費要求にて指定された消費量に従って消費させるポイント消費実行手段としてさらに機能させ、
前記ポイント消費実行手段は、前記通用可能な種類のポイントの残高データとして、1種類のポイントの残高データのみが特定された場合には該残高データの残高を前記ポイント消費要求にて指定された消費量に従って消費させ、前記2種類以上のポイントの残高データが特定された場合には、前記ポイント消費要求にて指定された消費量を該2種類以上のポイントの残高データに対して所定の振り分け基準に従って振り分けて前記残高を消費させ、
さらに、前記ポイント消費手段は、前記広域ポイントが前記複数の施設において通用可能でありかつ前記狭域ポイントが特定の施設に限って通用可能となるように、前記ポイントを前記対価として通用させることが可能なサービスの範囲を差別化するとともに、前記広域ポイントが前記施設を問わず前記広域品目の利用に対して通用可能であり、前記狭域ポイントが前記特定の施設に限って前記広域品目及び前記狭域品目のそれぞれの利用に対して通用可能となるように前記ポイントの消費を制御する、ように構成されたポイント管理用のコンピュータプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るポイント管理システムの一形態を説明する。本形態のポイント管理システムは、ゲーム機等の課金対象機器を利用する際の対価をユーザが仮想通貨によって支払うことを可能としたアミューズメント施設向けの決済システムに組み込まれている。したがって、以下ではまず決済システムを説明する。
図1に示すように、決済システム1は、複数の店舗2のそれぞれに設置された一又は複数台のゲーム機3A、3B…(以下、参照符号3で代表することがある。)にて発生する課金に対応して、ユーザから課金内容に応じた量の仮想通貨を消費させるために設けられている。仮想通貨は、現金と引き換えにユーザが取得可能な金銭的価値の一例である。各店舗2は、少なくとも一台のゲーム機3を含むアミューズメント施設として構成されている。ただし、各店舗2において、全ての課金対象機器がゲーム機3である必要はない。各店舗2には、少なくとも一台の遊戯機(ゲーム機はその一例である。)に加えて、料金の支払いと引き換えにユーザに所定のサービスを提供する各種の機器が課金対象機器として設けられてよい。例えば、店舗2にジュース等の商品を販売する自動販売機等が設置されている場合には、それらの機器も決済システム1における課金対象機器に含まれてよい。課金対象機器は、決済システム1と所定のプロトコルに従って通信可能な限りにおいて、種々の仕様に準拠して構成されてよい。課金対象機器の製造者、提供者も互いに異なっていてもよい。課金対象機器は、決済システム1を用いた決済方式の他に、現金等を用いた他の決済方式が併用可能とされてもよい。
【0011】
決済システム1は、店舗2毎に構築される店舗システム10と、各店舗システム10に対して共通に設けられるサーバシステム20とを含んでいる。なお、
図1では、一の店舗システム10のみ詳細を示している。店舗システム10は、各ゲーム機3にて発生した課金内容に対応して、ユーザが所持するカード4から決済参照情報としてカード毎にユニークなカードIDを読み取り、そのカードID、課金品目及び仮想通貨の消費量を指定してサーバシステム20に決済を要求する。カード4は、ユーザを識別するためにユーザに付与される媒体であって、そこにはカード4毎にユニークなカードIDが媒体識別情報として記録されている。ただし、ユーザが所持する媒体は、媒体識別番号を保持できる限り、カード4に限らず、携帯電話に付属するICチップその他が媒体として利用されてもよい。媒体識別情報は、ユーザ毎にユニークに設定された識別情報であってもよい。要するに、媒体識別情報は、媒体毎にユニーク性が保証されていれば足りる。
【0012】
サーバシステム20は、ユーザが保持する仮想通貨の量をユーザのカードIDと対応付けて管理し、店舗システム10からの要求に応じて、カードIDに対応する口座に保持されている仮想通貨を消費させ、その処理結果を店舗システム10に通知する。つまり、決済システム1は、ユーザが予め現金等と引き換えに仮想通貨を取得し、その残高の範囲内でユーザが仮想通貨を消費することにより課金対象機器3の料金を支払うプリペイド方式の決済システムである。また、ユーザが保持する仮想通貨の残高がサーバシステム20側に保持され、その残高の減少(引き落とし)をサーバシステム20側で実行するシンクライアント方式(サーバ処理方式)の決済システムである。さらに、サーバシステム20には、店舗2における仮想通貨の消費に応じてユーザに複数種類のポイントを付与し、それのポイントを種類毎に管理し、ゲーム機3の利用の対価の一部又は全部としてポイントを消費させる機能も備えている。
【0013】
店舗システム10は、仕様が異なる2種類のゲーム機3A、3Bのそれぞれを共通のサーバシステム20の決済処理に適合させるための構成を備えている。つまり、ゲーム機3Aは、サーバシステム20の決済処理に適合する仕様を自ら備え、決済処理に必要な各種の情報をサーバシステム20に提供し、サーバシステム20からの応答に応じて自らの動作を制御する機能を備えている。例えば、ゲーム機3Aは、決済システム1の開発者、製造者、管理者又はこれらの者と関連性を有する者から決済システム1に適合するゲーム機として各地の店舗2の営業主体に販売又は貸与される。一方、ゲーム機3Bは、サーバシステム20が要求する仕様に適合していない。例えば、ゲーム機3Bは、店舗2の営業主体がサーバシステム20の開発者等とは無縁の第三者から購入又は借り入れて店舗2に独自に導入されたゲーム機である。以下では、ゲーム機3Aを適合型ゲーム機3Aと、ゲーム機3Bを非適合型ゲーム機3Bと呼ぶことがある。なお、
図1ではゲーム機3A、3Bが一台ずつ示されているが、それらの台数は任意である。
【0014】
店舗システム10は、非適合型ゲーム機3Bのそれぞれに1対1に対応付けて設けられた情報読取端末装置としてのリーダ11と、管理PC(パーソナルコンピュータの略、以下同様。)12と、設定端末PC13と、業者用端末PC14と、ルータ15とを含んでいる。各リーダ11、管理PC12、設定端末PC13及び業者用端末PC14は、店舗2内に構築された店舗内LAN16により相互に通信可能に接続される。ルータ15はインターネット5に接続されている。それにより、店舗内LAN16に接続されるリーダ11、管理PC12、設定端末PC13のそれぞれは、インターネット5を介してサーバシステム20と接続可能であり、サーバシステム20に対するクライアントのコンピュータ装置として機能する。また、適合型ゲーム機3Aも店舗内LAN16を介してルータ15と接続されることにより、サーバシステム20に対するクライアントのコンピュータ装置として機能する。
【0015】
リーダ11及び管理PC12は、非適合型ゲーム機3Bを、サーバシステム20による決済処理の対象に加えるために設けられている。リーダ11は、ゲーム機3Bとは物理的に異なる装置として構成され、対応するゲーム機3Bの制御ユニット(不図示)と所定のプロトコルに従って双方向に通信可能な状態でゲーム機3Bに取り付けられる。リーダ11は、ゲーム機3Bから課金情報を受け取り、かつ決済処理の結果をゲーム機3Bに提供する情報入出力手段、及びゲーム機3Bのユーザが所持するカード4からカードIDを読み取る情報読取手段として機能する。管理PC12は、リーダ11から提供される情報を参照しつつ、ゲーム機3Bにて発生した課金の内容に応じてユーザに所定の仮想通貨を消費させる決済処理をサーバシステム20と協働して実行する。設定端末PC13は、店舗2の管理PC12が保持する情報を店舗2の運営者が管理し、あるいは、サーバシステム20上に保持された店舗2の情報を運営者が管理する手段として機能する。これらの機能は後に詳しく説明する。
【0016】
業者用端末PC14は、サーバシステム20から提供される決済履歴等の情報を店舗2の運営者が閲覧する端末として機能する。なお、
図1の例において、リーダ11及び設定端末PC13は、無線LANアクセスポイント17を介して管理PC12と接続されているが、これらは有線接続されてもよい。業者用端末PC14は必ずしも店舗2内に設けられなくともよい。例えば、店舗2の営業主体である法人の本社又は営業所等に業者用端末PC14が設置されてもよい。なお、店舗2の営業主体は、単一店舗2のみを営業する者であってもよいし、複数の店舗2を営業する者であってもよい。ただし、以下においては、店舗2毎に営業主体が異なるものとして説明を続ける。
【0017】
サーバシステム20は、複数のコンピュータ装置としてのサーバユニット21A、21B…(以下、これらを参照符号21で代表することがある。)と、それらのサーバユニット21をインターネット5に接続するルータ22とを備えている。ただし、サーバシステム20は単一のサーバユニットを用いるものでもよい。あるいは、クラウドコンピューティングを利用して論理的にサーバシステム20が構築されてもよい。
【0018】
サーバシステム20には、さらにユーザ端末装置6もインターネット5を介して接続可能とされる。ユーザ端末装置6は、ネットワーク接続が可能でかつユーザの個人用途に供されるコンピュータ装置である。例えば、据置型又はブック型のPC6A、あるいは携帯電話(スマートフォンを含む。)のようなモバイル端末装置6Bがユーザ端末装置6として利用される。その他にも、据置型の家庭用ゲーム機、携帯型ゲーム機、携帯型タブレット端末装置といった、ネットワーク接続が可能でかつユーザの個人用途に供される各種のコンピュータ装置がユーザ端末装置6として利用されてよい。ユーザ端末装置6は、例えばユーザがサーバシステム20にアクセスして自己の決済履歴を閲覧し、あるいはユーザが仮想通貨を購入して自己の口座に預けるチャージ操作を行なうために利用される。なお、決済システム1には、さらなる端末装置が設けられてもよい。例えば、店舗2において、ユーザが現金やクレジットカードを用いて仮想通貨を購入するためのチャージ機がさらに設けられてルータ15と接続されてもよい。
【0019】
次に、
図2及び
図3を参照して決済システム1の制御系の構成を説明する。
図2は、ゲーム機3A、3Bと店舗システム10との関係を示している。まず、店舗システム10のリーダ11等の説明に先立って、適合型ゲーム機3Aについて説明する。適合型ゲーム機3Aには、制御部3aとリーダ部3bとが設けられている。制御部3aは、ゲーム用プログラムに従ってゲームを所定の手順で進行させる。制御部3aは、ルータ15を介してサーバシステム20と接続され、仮想通貨によるゲームのプレイ料金等の支払いをサーバシステム20と協働して実現する。リーダ部3bは、制御部3aからの指示に従ってユーザのカード4からカードIDを決済参照情報として読み取る。
【0020】
ゲーム機3Aによって提供されるゲームにおいては、例えば、ゲームの開始又は継続、ゲームのモード、アイテムの購入、使用といった事項がユーザの選択肢として用意されている。ユーザが希望するモード等を選択してこれをプレイするためには、選択内容に応じた料金がユーザに課金される。つまり、ゲーム機3Aでは、ユーザの選択肢のそれぞれが課金対象の品目(課金品目)として用意され、それらの課金品目に応じて料金が設定されている。ゲーム機3Aの制御部3aは、ユーザが課金品目を選択してその料金の仮想通貨による支払いを指示すると、どの課金品目が選択されたかを判別し、その課金品目に対応する仮想通貨の消費量を算出して課金情報を生成する。なお、ユーザが課金品目の購入数量を選択できる場合、仮想通貨の消費量は一品目当たりの消費量に購入数量を乗じた値である。
【0021】
課金情報は、課金が発生した店舗、課金対象のユーザ、そのユーザが選択した課金品目、その課金品目に対応する仮想通貨の消費量等をサーバシステム20にて判別するために必要な情報である。例えば、店舗2毎にユニークな店舗コード、ユーザのカードID、課金品目毎にユニークな品目コード、及び仮想通貨の消費量、が課金情報に含まれる。ゲーム機3Aの制御部3aは、生成された課金情報をサーバシステム20に提供して決済を要求する。サーバシステム20は、ゲーム機3Aから受け取った課金情報に基づいてユーザが所持する仮想通貨の残高を減少(消費)させる決済処理を実行し、その処理結果をゲーム機3Aに通知する。ゲーム機3Aの制御部3aは、決済が完了すると、ユーザが選択した課金品目に対応したサービスをユーザに提供する。例えば、制御部3aは、ユーザが選択したゲームモードによるゲームのプレイを開始させ、あるいはユーザが選択したアイテムをユーザに付与する。なお、アイテムの購入には、対価を消費して、ゲーム中でアイテムを使用するための許諾を獲得すること等を含む。
【0022】
一方、非適合型ゲーム機3Bにおいても、ゲーム用プログラムに従ってゲームを所定の手順で進行させる制御部3cが設けられている。また、ゲーム機3Bにも上述したモード等の課金品目が存在する。しかし、非適合型ゲーム機3Bの制御部3cは、サーバシステム20が要求する仕様に従って課金情報を生成する機能を有しておらず、かつカードIDを読み取る機能も有していない。あるいは、カードリーダ機能がゲーム機3Bに実装されていたとしても、サーバシステム20が要求する仕様に従ってカードIDを読み取る機能はゲーム機3Bに実装されていない。そこで、店舗システム10においては、ゲーム機3Bの制御部3cと、リーダ11の制御部11aとが双方向に通信可能に接続される。リーダ11の制御部11aは、ゲーム機3Bにて課金が発生した場合に、その制御部3cからユーザへの課金額、あるいは課金品目の情報を読み取り、その情報を管理PC12の取引制御部31に通知する。なお、リーダ11の制御部11aにて課金額等を読み取るため、制御部3cにもプログラムモジュールの追加が必要になる場合もある。
【0023】
管理PC12の取引制御部31は、記憶部32に記録されたリーダ課金設定情報のデータD1に基づいて、リーダ11が取得した課金額又は課金品目の情報をサーバシステム20の仕様に準拠した課金情報を生成する。例えば、記憶部32には、ゲーム機3Bにおける課金額又は課金品目を仮想通貨の消費量に対応付ける料金設定テーブルがリーダ課金設定情報のデータD1に記録されている。その場合、取引制御部31は、リーダ11から通知された課金額又は課金品目に対応する仮想通貨の消費量を料金設定テーブルに従って算出し、その算出された消費量を、店舗2毎にユニークな店舗コード、リーダ11が取得したカードID及び品目コードと組み合わせて課金情報を生成する。なお、この品目コードは、サーバシステム20の仕様に従って記述されるが、適合型ゲーム機3Aにて提供される課金品目の品目コードと重複せず、かつリーダ11毎にユニークなコードである。つまり、一台のリーダ11に対して、適合型ゲーム機3Aにおける課金品目の品目コードと重複しない範囲で、一つの品目コードが設定される。したがって、非適合型ゲーム機3Bの課金に対応する課金情報を生成するためには、管理PC12において、いずれのリーダ11からの情報かを識別し、その識別結果に応じて品目コードを定めればよい。
【0024】
課金情報が生成されると、管理PC12の取引制御部31は、サーバシステム20に対して課金情報を提供して決済を要求する。以降は、ゲーム機3Aからの決済要求と同様にしてユーザの仮想処理を消費させる決済処理が行われ、その処理結果が管理PC12に通知される。管理PC12は、サーバシステム20から受け取った決済処理の結果をリーダ11に通知し、リーダ11はその結果を制御部3cに通知する。制御部3cは決済が完了すると、ユーザが選択した課金品目に対応したサービスをユーザに提供する。
【0025】
管理PC12には、さらに設定管理部33が設けられている。設定管理部33は、設定端末PC13に対して記憶部32のリーダ課金設定情報のデータD1を閲覧し、あるいはその設定内容を変更するためのWebページとしての管理ページを提示する。したがって、店舗2の運営者は、設定端末PC13のWebブラウズ機能を利用して管理PC12が提供する管理ページにアクセスすることにより、非適合型ゲーム機3Bにおける課金品目と仮想通貨の消費量との対応関係の設定状況を確認し、その設定を適宜に変更することができる。この機能を利用すれば、非適合型ゲーム機3Bの利用の対価として消費させるべき仮想通貨の量を運営者の都合に応じて調整することが可能となる。なお、設定端末PC13は、非適合型ゲーム機3Bで発生した課金に対してユーザに付与すべきポイントの利率を店舗2の運営者の都合に応じて設定するための端末としても用いられるが、この点は後述する。なお、リーダ課金設定情報のデータD1を各リーダ11に配信してその記憶部に記憶させることにより、サーバシステム20の仕様に適合する課金情報の生成及び決済要求を、リーダ11が実行するようにしてもよい。
【0026】
次に、
図3を参照してサーバシステム20の制御系を説明する。
図3に示すように、サーバシステム20には、そのサブシステムとして、仮想通貨に関する取引全般を管理する取引管理システム41と、仮想通貨の消費を管理する消費管理システム42とが設けられている。取引管理システム41には、コンピュータハードウエアとソフトウエアとの組み合わせによって実現される論理的装置として取引制御部43が設けられるとともに、その取引制御部43がアクセス可能なデータとして、ユーザ情報のデータD10、品目情報のデータD11、広域設定利率情報のデータD12及び店舗設定利率情報のデータD13とが設けられている。一方、消費管理システム42には、論理的装置として消費制御部44が設けられるとともに、その消費制御部44がアクセス可能なデータとして、仮想通貨残高のデータD20、広域ポイント残高のデータD21、店舗毎のポイント残高のデータD22A、D22B…(参照符号D22で代表することがある。)が設けられている。広域設定利率情報のデータD12、店舗設定利率情報のデータD13、広域ポイント残高のデータD21、店舗毎のポイント残高のデータD22A、D22B…は、本形態に係るポイント管理システムにて利用されるデータであり、それらの内容は後述する。
【0027】
ユーザ情報のデータD10は、ユーザのカードIDと、ユーザ毎にユニークなユーザIDとの対応関係を記述したデータである。また、仮想通貨残高のデータD20は、ユーザが保持する仮想通貨の残高をユーザIDと対応付けて記録したデータである。ユーザID毎のレコードがユーザの仮想通貨に関する口座である。その口座の残高は、ユーザ端末装置6等からユーザIDを指定してサーバシステム20にログインし、仮想通貨を購入するための所定の操作をユーザが行うことにより増加させることができる。
【0028】
取引制御部43は、店舗システム10から決済要求があると、ユーザ情報のデータD1にアクセスして、課金情報にて指定されたカードIDに対応するユーザIDを判別し、そのユーザIDと課金情報にて指定された仮想通貨の消費量とを消費制御部44に通知する。消費制御部44は、仮想通貨残高のデータD20にアクセスして、ユーザIDに対応する口座を特定し、その口座に保持された残高を課金情報で指定された消費量に相当する量減少させる。このようにして仮想通貨の決済処理が実現される。なお、決済処理に伴って、取引制御部43は、決済処理の内容を所定の決済履歴情報に記録するといった各種の関連処理を行うが、それらの処理の説明は省略する。また、
図3においては、関連処理に必要な構成要素の図示も省略されている。
【0029】
次に、本形態に係るポイント管理システムについて説明する。取引制御部43及び消費制御部44は、上述した仮想通貨の消費と関連付けて、ユーザに所定のポイントを付与する処理、及びユーザがゲーム機3A、3Bを利用する際に対価の一部又は全部としてポイントを消費する処理も実行する。これにより、取引制御部43及び消費制御部44は、本形態のポイント管理システムの構成要素としても機能する。
【0030】
図4は、店舗システム10からの決済要求と関連付けてユーザに2種類のポイントを付与する処理の流れを示している。2種類のポイントは、ユーザが店舗2にて有償サービスを利用する際に、その利用の対価として通用させることができる点で共通するが、通用可能なサービスの範囲が差別化されている。例えば、店舗2におけるゲーム機3の利用が、店舗2で提供される有償のサービスの利用であるとすれば、一種類のポイントは、店舗2の営業主体が発行し、その通用範囲は同一店舗2のゲーム機3に制限される。他の一種類のポイントは、適合型ゲーム機3Aの課金品目を店舗2の営業主体に提供する者によって発行され、その通用範囲は店舗2の異同を問わず、適合型ゲーム機3Aにて提供される課金品目の全てに設定されている。適合型ゲーム機3Aは多数の店舗2に広く提供されるため、以下の説明では、適合型ゲーム機3Aにおける課金品目の対価として通用可能なポイントを広域ポイントと呼び、店舗2内に限って通用するポイントを店舗ポイントと呼ぶことがある。また、適合型ゲーム機3Aの課金品目を広域品目、非適合型ゲーム機3Bの課金品目を店舗品目と呼んで区別することがある。
【0031】
店舗システム10から決済要求が送られると(ステップS1)、取引制御部43は、品目情報のデータD11にアクセスし、課金情報に含まれる品目コードを用いて課金品目が広域品目X1、X2…又は店舗品目Yのいずれに該当するかを確認する(ステップS2)。店舗品目は店舗2毎に複数種類存在し得るが、ここでは広域品目のいずれにも該当しなければ単一の店舗品目Yと判別される。課金品目を判別した後、取引制御部43は広域設定利率情報のデータD12にアクセスして、課金品目に対応する広域ポイントの付与率を取得するとともに(ステップS3)、店舗設定利率情報のデータD13にアクセスして、課金品目に対応する店舗ポイントの付与率を取得する(ステップS4)。広域設定利率情報のデータD12は、課金品目と広域ポイントの付与率との対応関係を記述したデータであり、広域ポイントの発行主体により、店舗2を問わず共通に適用される付与率として課金品目毎に設定される。なお、店舗品目に関しては単一のポイント付与率が設定されている。したがって、取引制御部43は、課金品目が店舗品目Yと判別された場合には、その品目がいずれの店舗品目であるかに関わりなく単一の広域ポイント付与率を取得する。
【0032】
一方、店舗設定利率情報のデータD13は、課金品目と店舗ポイントの付与率との対応関係を記述した店舗2毎のデータであって、店舗ポイントの発行主体(店舗2の営業主体)により、自己の店舗2に限定して適用される付与率として課金品目毎に設定される。店舗設定付与率のデータD13では、広域品目のみならず、店舗品目も品目Y1、Y2…毎に個別に設定されている。取引制御部43は、課金品目が店舗品目Yと確認された場合、品目コードを手がかりとして課金品目が店舗品目Y1、Y2…のいずれであるかを判別し、その判別結果に応じた店舗ポイント付与率を取得する。なお、取引制御部43がいずれの店舗2に対応した店舗設定利率データD13を参照すべきかは、課金情報に含まれている店舗コードを利用して特定することができる。
【0033】
取引制御部43は、広域ポイント付与率及び店舗ポイント付与率を取得した後、課金情報に含まれているカードIDに対応するユーザID及び仮想通貨の消費量と、先に取得された広域ポイント及び店舗ポイントのそれぞれの付与率、及び店舗コードを消費制御部44に提供する(ステップS5)。これを受けて、消費制御部44は、仮想通貨残高のデータD20にユーザIDと対応付けて記録されている仮想通貨の残高を消費量相当減少させる決済処理を行う(ステップS6)。また、消費制御部44は、指定された消費量に広域ポイント付与率を乗じてユーザに付与すべき広域ポイント数を算出し、得られたポイント数を、広域ポイント残高のデータD21にユーザIDと対応付けて記録されている広域ポイントの残高に加算する(ステップS7)。さらに、消費制御部44は、指定された消費量に店舗ポイント付与率を乗じてユーザに付与すべき店舗ポイント数を算出し、得られたポイント数を、店舗ポイント残高のデータD21にユーザIDと対応付けて記録されている店舗ポイントの残高に加算する(ステップS8)。なお、店舗ポイントの加算においては、店舗ポイント残高のデータD22A、22B…から、店舗コードに対応するデータが加算対象のデータとして選択され、その選択されたデータにおけるユーザの残高に加算が行われる。仮想通貨の消費、広域ポイントの加算、及び店舗ポイントの加算が終わると、消費制御部44は取引制御部43に処理結果を通知し(ステップS9)、取引制御部43はその処理結果を店舗システム10に通知する(ステップS10)。
【0034】
なお、
図4から明らかなように、サーバシステム20には、店舗2の設定端末PC13からの要求に応じて、その店舗2に関する店舗設定利率情報のデータD13を設定端末PC13に閲覧させ、設定端末PC13からの指示に従って自店舗2に関するデータD13の設定値を変更する利率操作部45が設けられている。これにより、店舗2の運営者は、店舗ポイントの付与率を課金品目毎に適宜に変更することが可能である。したがって、短期的なポイント付与率の増加といった顧客誘導の施策を適宜のタイミングで実施することができる。
【0035】
次に、
図5〜
図7を参照して、広域ポイント及び店舗ポイントのそれぞれの消費を説明する。
図5は、複数の店舗2(
図5では店舗A、店舗Bと表記されている。)と、各店舗2にて提供される課金品目と、広域ポイント及び店舗ポイントの通用の可否との関係の具体例を示している。まず、広域ポイントは複数の店舗2で通用可能であるのに対して、店舗ポイントは対応する店舗でしか通用しない。例えば、店舗Aでは、店舗Aの営業主体が発行した店舗ポイントしか通用せず、他の店舗B、C…では一切通用しない。次に、同一店舗内に着目すると、店舗ポイントは広域品目及び店舗品目の両者に対して通用するが、広域ポイントは広域品目にのみ通用する。例えば、店舗Aでは、広域品目に対して店舗Aの店舗ポイント及び広域ポイントの両者が通用する。つまり、広域品目は、2種類以上のポイントが通用可能なサービスの重複範囲である。一方、店舗品目に対しては店舗Aの店舗ポイントのみが通用可能であり、広域ポイントは通用しない。
【0036】
広域品目をユーザが利用する場合、その利用の対価として、広域ポイント及び店舗Aの店舗ポイントのそれぞれの残高の合計数が消費可能とされる。ただし、その消費には店舗ポイントが優先される。つまり、店舗Aにてユーザが広域品目の利用の対価をポイントの消費によって支払う場合、まず店舗Aのポイントが優先して消費され、その消費では対価として不足する場合、不足分に従って広域ポイントが消費される。
【0037】
図6は、課金品目を利用する対価としてユーザにポイントを消費させるためにサーバシステム20が実行する処理の手順を示す。店舗システム10からポイントの消費が要求されると、サーバシステム20は図示の処理を開始する。なお、ポイント消費の要求は、例えば、課金品目の利用に際して、ユーザに仮想通貨又はポイントのいずれを消費するかを選択させてもよいし、一定の条件が満たされたときに仮想通貨の消費に代えてポイントの消費が自動的に要求されるものとしてもよい。ポイント消費の要求には、仮想通貨を利用した決済要求と同様に、課金情報が含まれるものとする。ただし、課金情報には、仮想通貨の消費量に代えてポイントの消費量が含まれる。
【0038】
サーバシステム20にて
図6の処理が開始されると、まず取引制御部43は、課金情報にて指定されたカードIDに対応するユーザIDをユーザ情報のデータD10から取得し(ステップS11)、続いて品目情報のデータD11を参照して、課金情報にて指定された品目コードに対応する課金品目が広域品目又は店舗品目のいずれであるかを判別する(ステップS12)。次に、取引制御部43は、先に判別したユーザID、品目タイプ及び課金情報に含まれているポイントの消費量及び店舗コードを消費制御部44に提供する(ステップS13)。これを受けて消費制御部44は所定のポイント消費処理を実行し(ステップS21)、その処理結果を取引制御部43に通知する(ステップS22)。取引制御部43は、受け取った処理結果を店舗システム10に通知する(ステップS14)。消費完了の場合、ゲーム機3にてユーザが選択した課金品目がユーザの利用に供される。
【0039】
図6のステップS21で実行されるポイント消費処理の詳細な手順を
図7に示す。消費制御部44は、
図7のポイント消費処理を開始すると、まず、店舗コードを用いて、ポイント消費を要求した店舗2に対応する店舗ポイント残高のデータD22を特定し、そのデータD22にユーザIDと対応付けて記録されている店舗ポイントの残高を取得する(ステップS101)。次に、消費制御部44は、課金情報で指定されたポイントの消費量がユーザの店舗ポイントの残高以下か否かを判別し(ステップS102)、残高以下であれば店舗ポイント残高を消費量相当減少させる(ステップS103)。これにより、課金品目が広域品目であるか店舗品目であるかを問わず、消費量が店舗ポイントの残高以下の場合には店舗ポイントのみが消費される。
【0040】
一方、ステップS102にて消費量が店舗ポイントの残高を超えると判断された場合、消費制御部44は、
図6のステップS12で判別された品目タイプが広域品目であるか否かを判別する(ステップS104)。広域品目であった場合、消費制御部44は、広域ポイント残高のデータD21にユーザIDと対応付けて記録されている広域ポイントの残高を取得する(ステップS105)。次に、消費制御部44は、課金情報で指定されているポイントの消費量が、ステップS101で取得した店舗ポイントの残高及びステップS105で取得した広域ポイントの残高の合計数以下か否かを判別する(ステップS106)。合計数以下の場合、消費制御部44は、ステップS101で特定した店舗ポイント残高のデータD22において、ユーザIDと対応付けられている店舗ポイントの残高をゼロにリセットする(ステップS107)。これにより、広域ポイントと店舗ポイントの合計数を広域品目利用の対価に充当する場合には、店舗ポイントが優先的に消費される。
【0041】
次に、消費制御部44は、広域ポイント残高のデータD21にユーザIDと対応付けて記録されている広域ポイントの残高を、消費量に対する不足分、つまり、消費量からステップS101で取得した店舗ポイントの残高を差し引いた値、に相当するポイント数だけ減少させる(ステップS108)。これにより、店舗ポイントが不足している場合でもその不足分を広域ポイントの消費で補うことができる。ユーザが初めて訪れた店舗2であっても、広域品目を利用する際にはその対価として広域ポイントを活用することができる。
【0042】
ステップS108の処理後、消費制御部44は、ポイント消費要求に対する処理結果を消費完了と判別する(ステップS109)。ステップS103の処理が行われた場合も同様である。一方、ステップS104にて広域品目ではないと判断された場合、又はステップS106にて消費量がポイントの合計数を超えると判断された場合、消費制御部44はポイントを消費させることなく、ポイント消費要求に対する処理結果を消費失敗と判別する(ステップS110)。ステップS109又はステップS110の処理後、消費制御部44は
図7のポイント消費処理を終えて
図6のステップS22へと進み、ステップS109又はS110の判別結果に従って処理結果を通知する。
【0043】
なお、上記の処理では、ユーザが課金品目を利用する際の対価を、仮想通貨の消費、又はポイントのいずれかで択一的に支払うものとしたが、それらの消費は併用されてもよい。例えば、ステップS104又はステップS106が否定判断された場合、ポイントが不足する分を仮想通貨の消費によって補うといった代替的な処理が行われることにより、仮想通貨とポイントとが同時に利用されてもよい。あるいは、課金品目を利用する対価の全部をポイントの消費によって支払い可能としてもよいし、対価の一部に制限してポイントの消費を認めるようにしてもよい。
【0044】
上記の形態では、店舗2毎に営業主体が異なり、店舗ポイントの種類も店舗毎に異なるものとしたが、2以上の店舗2において営業主体が一致する場合には、営業主体毎にユニークな法人コード等の営業識別情報を設定し、店舗ポイントをその営業識別情報毎に区別して管理し、同一営業主体に係る複数店舗2で店舗ポイントを通用させるものとしてもよい。いずれにしても、店舗ポイントの消費をその店舗ポイントの発行主体が営業している店舗の範囲に限って認めることにより、店舗ポイントの発行や消費に伴う経理処理をその営業主体の営業範囲に限定し、営業主体の都合に応じてポイント付与率等を柔軟に設定することが可能となる。一方、広域ポイントの通用範囲を複数の営業主体に亘って広く設定することにより、より多くの店舗でユーザにポイントのメリットを享受させることができる。
【0045】
上記の形態では、広域ポイントと店舗ポイントとの合計数の消費が可能な場合において、店舗ポイントを優先的に消費させるものとした。これにより、通用範囲が広い広域ポイントを優先的に残し、ユーザがポイントのメリットを享受できる範囲を極力広く確保することができる。また、上記の形態においては、広域ポイント及び店舗ポイントの少なくとも一方に有効期限を設けてもよい。有効期限を設ける場合、ポイントの種類別に有効期限を差別化してもよい。例えば、店舗ポイントの有効期限を広域ポイントのそれと比較して短期間に設定してもよい。その場合、同一店舗へのユーザの早期の再来店を促す一方で、広域ポイントのメリットをユーザに長期に亘って享受させ、それにより、ポイントによってユーザを店舗に誘引する効果を長期に亘って維持することができる。
【0046】
上記の形態では、ユーザが店舗でゲーム機を利用する際の金銭的価値の消費と関連付けて複数種類のポイントをユーザに付与し、それらのポイントを店舗におけるゲーム機の利用の対価として消費させるポイント管理システムを例示した。しかし、複数種類のポイントのそれぞれをユーザに付与する時期、条件等は適宜に変更可能であり、それらの発行主体が相互に異なっていることも必ずしも要しない。さらに、同一のサービスを利用する際に複数種類のポイントが同時に付与されることも必ずしも要しない。つまり、複数種類のポイント間で通用可能なサービスの範囲が差別化され、かつ2種類以上のポイント間で通用可能なサービスの範囲に重複が生じている限り、本発明に係るポイント管理システムは広く適用可能である。本発明に係るポイント管理システムは、2種類のポイントを対象とした例に限らず、3種類又はそれ以上の種類のポイントを種類別に管理する場合のそれらの消費に関して適用することができる。
【0047】
上記の形態では、プリペイド方式でかつシンクライアント方式の決済システムに対してポイント管理システムを組み込んだ例を説明したが、本発明のポイント管理システムはこれに限定されず、ポストペイド方式の決済システムを対象としてもよい。あるいは、カード等の媒体に金銭的価値の残高を記録し、その残高情報を用いて決済を行なう方式の決済システムに対しても本発明のポイント管理システムは適用可能である。カード等の媒体に残高情報が記録され、その残高情報を媒体から読み出して店舗内の管理PCやサーバシステム側で残高からの金銭的価値の消費を実行し、消費後の残高情報をカード等の媒体に書き戻す方式の決済システムにも本発明のポイント管理システムは適用可能である。
【0048】
上記の形態において、複数の課金対象機器が設置される施設は、有償でユーザの遊戯に供される少なくとも一台の遊戯機が課金対象機器として設置されているアミューズメント施設としたが、本発明はそのような施設に設置される機器における課金と関連付けてポイントを消費させる例に限らない。例えば、無形のサービスをユーザが利用する際の対価支払の一部又は全部にポイントを充当する場合でも本発明のポイント管理システムは適用可能である。また、物理的な機器の利用料金の一部又は全部としてポイントを消費させる場合であっても、その機器はゲーム機、あるいはパチンコ機、スロットマシン等といった遊技機に限定されず、自動販売機、その他の各種の機器の利用の対価としてポイントの消費を認めてもよい。
【0049】
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書にて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0050】
本発明の一態様に係るポイント管理システムは、ユーザに付与された複数種類のポイント(一例として広域ポイントと店舗ポイント)のそれぞれの残高をユーザの識別情報(一例としてユーザID)と対応付けてポイントの種類別に残高データ(D21、D22A、D22B…)に記録するポイント残高記録手段(44、S7、S8)と、ユーザがサービスを利用する際に、該ユーザの識別情報と対応付けて記録されている少なくとも一種類のポイントの残高をその利用の対価の少なくとも一部として消費させるポイント消費手段(43、44、S11〜S15、S21)とを備えたポイント管理システムであって、前記ポイント消費手段は、前記ポイントを前記対価として通用させることが可能なサービスの範囲が前記複数種類のポイント間で差別化され、かつ2種類以上のポイントが通用可能なサービスの重複範囲(一例として広域品目の利用)に関しては、当該重複範囲にて通用可能なポイントの残高の合計数を前記対価として消費させることができるように、前記ポイントの消費を制御するものである。
【0051】
また、本発明の一態様に係るポイント管理方法は、ユーザに付与された複数種類のポイント(一例として広域ポイントと店舗ポイント)のそれぞれの残高をユーザの識別情報(一例としてユーザID)と対応付けてポイントの種類別に残高データ(D21、D22A、D22B…)に記録する手順(S7、S8)と、ユーザがサービスを利用する際に、該ユーザの識別情報と対応付けて記録されている少なくとも一種類のポイントの残高をその利用の対価の少なくとも一部として消費させる手順(S11〜S15、S21)とを備えたポイント管理方法であって、前記消費させる手順では、前記ポイントを前記対価として通用させることが可能なサービスの範囲が前記複数種類のポイント間で差別化され、かつ2種類以上のポイントが通用可能なサービスの重複範囲に関しては、当該重複範囲にて通用可能なポイントの残高の合計数を前記対価として消費させることができるように、前記ポイントの消費を制御するものである。
【0052】
さらに、本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、所定のコンピュータ(20)を、ユーザに付与された複数種類のポイント(一例として広域ポイントと店舗ポイント)のそれぞれの残高をユーザの識別情報(一例としてユーザID)と対応付けてポイントの種類別に残高データ(D21、D22A、D22B…)に記録するポイント残高記録手段(44、S7、S8)、及びユーザがサービスを利用する際に、該ユーザの識別情報と対応付けて記録されている少なくとも一種類のポイントの残高をその利用の対価の少なくとも一部として消費させるポイント消費手段(43、44、S11〜S15、S21)として機能させるように構成され、前記ポイントを前記対価として通用させることが可能なサービスの範囲が前記複数種類のポイント間で差別化され、かつ2種類以上のポイントが通用可能なサービスの重複範囲に関しては、当該重複範囲にて通用可能なポイントの残高の合計数を前記対価として消費させることができるように、前記ポイント消費手段によるポイントの消費を制御させるように構成されたものである。
【0053】
本発明の各態様によれば、複数種類のポイントの消費に関して、ポイントを対価の少なくとも一部として通用させることが可能なサービスの範囲がポイントの種類間で差別化される。これにより、サービスの提供主体やポイントの発行主体等の都合に合わせて各種類のポイントに対応したサービスの範囲を適切に設定することができる。一方、2種類以上のポイントが通用可能なサービスの重複範囲においては、それらのポイントの残高の合計数の消費を認めることにより、ユーザの便宜を図ることができる。これにより、複数種類のポイントをユーザに合理的に消費させることにより、各種のポイント発行サービスを効果的に運用させることが可能である。
【0054】
なお、上記の形態では、サーバシステム20のコンピュータを、取引制御部43及び消費制御部44として機能させるためのコンピュータプログラムが本発明の一態様に係るコンピュータプログラムに相当する。本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。この記憶媒体を用いれば、例えばコンピュータに本発明に係るコンピュータプログラムをインストールして実行することにより、そのコンピュータを利用して本発明のゲームシステムを実現することができる。コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は、CDROM等の非一過性の記憶媒体であってもよい。
【0055】
本発明の一態様において、前記ポイント消費手段は、ユーザの識別情報と、該ユーザが利用しようとするサービス及びポイントの消費量のそれぞれを指定する情報とを含んだポイント消費要求に応答して、前記ユーザが利用しようとするサービスを判別する判別手段(43、S12)と、前記ユーザ識別情報と前記判別手段の判別結果とに従って、ユーザが利用を希望するサービスに対して通用可能な種類のポイントの残高データ(一例として店舗A)を特定し、該特定された残高データに記録されている残高を、前記ポイント消費要求にて指定された消費量に従って消費させるポイント消費実行手段(44、S101〜S108)と、を具備し、前記ポイント消費実行手段は、前記残高データ特定手段にて1種類のポイントの残高データのみが特定された場合には該残高データの残高を前記ポイント消費要求にて指定された消費量に従って消費させ(S103)、前記残高データ特定手段にて2種類以上のポイントの残高データが特定された場合には、前記ポイント消費要求にて指定された消費量を該2種類以上のポイントの残高データに対して所定の振り分け基準に従って振り分けて前記残高を消費させる(S103、S107、S108)、ものとしてもよい。これによれば、サービスの種類に応じて消費対象の残高データを使い分けることによりポイントが通用する範囲の差別化を実現しつつ、2種類以上のポイントの残高データが特定された場合には、振り分け基準に従って各種類のポイントを消費させることにより、ポイントの目的や性質に応じてそれらの消費を適切に制御することができる。
【0056】
前記振り分け基準は、特定種類のポイント(一例として店舗ポイント)の残高データ(一例としてD22A)における残高が優先して消費され、該特定種類のポイントの残高が前記ポイント消費要求にて指定された消費量に対して不足する場合(一例としてS106で肯定判断された場合)に、その不足分が、他の種類の残高データ(一例としてD21)の残高から消費されるように定められてもよい。これによれば、発行主体等の都合で優先して消費させたいポイントと、ユーザに残しておきたいポイントとを生じさせることができる。
【0057】
前記2種類以上のポイントとして、通用可能なサービスの範囲が相対的に広い広域ポイントと、通用可能なサービスの範囲が相対的に狭い狭域ポイント(一例として店舗ポイント)とが存在し、前記狭域ポイントが前記特定種類のポイントに相当するものとしてもよい。これによれば、相対的に狭い範囲で通用可能な狭域ポイントの消費を優先させる一方で、広域で通用するポイントはユーザになるべく残すように複数種類のポイントの消費を制御することができる。
【0058】
本発明の一態様においては、複数の施設のそれぞれに設置された課金対象機器(3A、3B)をユーザが利用する際に前記ポイントを前記対価として消費させることが可能であり、前記ポイント消費手段は、前記広域ポイントが前記複数の施設(一例として複数の店舗)において通用可能でありかつ前記狭域ポイントが特定の施設(一例として特定の店舗)に限って通用可能となるように、前記ポイントを前記対価として通用させることが可能なサービスの範囲を差別化するものとしてもよい。この場合、特定の施設のみで通用可能な狭域ポイントの消費を優先させ、複数施設で通用する広域ポイントは、各施設における狭域ポイントの不足を補うポイントとしてユーザに極力残し、それにより、ユーザがポイントのメリットを享受できる可能性を高めることができる。
【0059】
さらに、前記課金対象機器には、ユーザの利用に対して前記対価が必要となる複数種類の品目が用意され、前記品目には、前記広域ポイントの発行主体によって前記複数の施設のそれぞれに提供される広域品目と、前記狭域ポイントの発行主体によって特定の施設に提供される狭域品目(一例として店舗品目)とが存在し、前記ポイント消費手段は、前記広域ポイントが前記施設を問わず前記広域品目の利用に対して通用可能であり、前記狭域ポイントが前記特定の施設に限って前記広域品目及び前記狭域品目のそれぞれの利用に対して通用可能となるように前記ポイントの消費を制御するものとしてもよい。これによれば、広域ポイントの発行主体が提供した広域品目に対しては広域ポイント及び狭域ポイントのいずれも消費させ、狭域ポイントの発行主体が特定の施設に提供した狭域品目に対してはその施設内に限定して、狭域ポイントのみを消費させることができる。したがって、狭域品目の利用に対してはこれを提供した発行主体の都合に応じて狭域ポイントの付与や消費の条件を柔軟に設定し、その一方、広域品目の利用に対しては広域ポイントの発行主体が提供する付加価値として、より多くのユーザにメリットを与えて、それぞれの施設で広域品目を利用する動機付けをユーザに与えることができる。