特許第5945295号(P5945295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5945295スペーサ形成用感光性樹脂組成物及びそれから製造されるスペーサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945295
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】スペーサ形成用感光性樹脂組成物及びそれから製造されるスペーサ
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20160621BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20160621BHJP
   G03F 7/033 20060101ALI20160621BHJP
   C08G 59/42 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   G02F1/1339 500
   G03F7/038 501
   G03F7/033
   C08G59/42
【請求項の数】6
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2014-107819(P2014-107819)
(22)【出願日】2014年5月26日
(65)【公開番号】特開2014-232322(P2014-232322A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2014年5月26日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0060240
(32)【優先日】2013年5月28日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE−CHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワ ソプ チョイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ ソン キム
(72)【発明者】
【氏名】井上 勝治
(72)【発明者】
【氏名】高橋 陽一
【審査官】 倉本 勝利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−041152(JP,A)
【文献】 特開2012−137745(JP,A)
【文献】 特開2013−041153(JP,A)
【文献】 特開2014−123116(JP,A)
【文献】 特開2014−041183(JP,A)
【文献】 特開2013−064989(JP,A)
【文献】 特開2013−092759(JP,A)
【文献】 特開2014−051659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と、光重合開始剤と、溶媒とを含む感光性樹脂組成物であって、
前記アルカリ可溶性樹脂は、エポキシ基を有する第1の樹脂と、前記エポキシ基と反応することができる酸性基(acid group)を有し、且つ酸価が170〜300mgKOH/gである第2の樹脂とを含み、
前記第2の樹脂は、1分子中にトリシクロデカン骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有し、且つ不飽和結合を有する化合物から誘導される構成単位と、芳香族ビニル基を有する化合物から誘導される構成単位と、前記第1の樹脂のエポキシ基を開環することができる酸性基を有する化合物から誘導される構成単位とを含む共重合である、スペーサ形成用感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記第1の樹脂は、不飽和結合及びカルボキシ基を有する化合物から誘導される構成単位と、下記化学式1及び2のうち少なくとも1種である化合物から誘導される構成単位とを含む共重合である、請求項1に記載のスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
【化1】
〔式中、R1は、水素、或いは、ヘテロ原子を有するか若しくは有しない炭素数1〜20のアルキル又はシクロアルキルであり;R2は、単結合、或いは、ヘテロ原子を有するか若しくは有しない炭素数1〜20のアルキレン又はシクロアルキレンであり;前記R1は、ヒドロキシ基で更に置換されてもよい。〕
【化2】

〔式中、R1は、水素、或いは、ヘテロ原子を有するか若しくは有しない炭素数1〜20のアルキル又はシクロアルキルであり;R2は、単結合、或いは、ヘテロ原子を有するか若しくは有しない炭素数1〜20のアルキレン又はシクロアルキレンであり;前記R1は、ヒドロキシ基で更に置換されてもよい。〕
【請求項3】
前記酸性基を有する化合物は、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、及び不飽和トリカルボン酸からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載のスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記第2の樹脂は、1分子中に不飽和結合及びエポキシ基を有する化合物から誘導される構成単位又は不飽和結合及びヒドロキシ基を有する化合物から誘導される構成単位を更に含共重合である、請求項1に記載のスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のスペーサ形成用感光性樹脂組成物から製造されたスペーサ。
【請求項6】
請求項5に記載のスペーサを備える画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサ形成用感光性樹脂組成物及びそれから製造されるスペーサに関し、より詳しくは、優れた弾性復元力を有しつつ、外部圧力による変形が少ないために画像表示装置に適用することができるスペーサ形成用感光性樹脂組成物及びそれから製造されるスペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な表示装置は、上下の基板の間隔を一定に維持するために一定の直径を有するシリカビーズ又はプラスチックビーズ等を用いてきた。しかしながら、このようなビーズが基板上に無作為に分散されてピクセルの内部に位置する場合、開口率が低下して光漏れ現象が生じるといった問題があった。このような問題点を解決するために、表示装置の内部にフォトリソグラフィによって形成されたスペーサを用いるようになり、現在、表示装置に用いられている多くのスペーサはフォトリソグラフィによって形成されている。
【0003】
フォトリソグラフィによるスペーサの形成方法は、基板上に感光性樹脂組成物を塗布し、マスクを介して紫外線を照射した後、現像工程を通じてマスクに形成されたパターンどおりに基板上の所望の位置にスペーサを形成するものである。
【0004】
近年、スマートフォン及びタブレットPCの普及によってタッチパネルの需要が増加するにつれ、表示装置を構成するカラーフィルタ基板とアレイ基板との間の間隔を維持するスペーサは、基本的な特性である弾性回復率と共に、外部圧力が加えられる場合、画素変形がないよう硬い(hard)特性を有することが求められている。しかしながら、既存のスペーサ形成用感光性樹脂組成物の場合、弾性回復率は充分に具現されるが、外部圧力による画素変形のない硬い特性は、満足するに値する水準にまで具現化されていないのが現状である。
【0005】
これに関して、特開1999−133600号公報には、カルボキシ基及びグリシジルエーテル基を有する共重合樹脂をバインダ樹脂として含むスペーサ形成用感光性樹脂組成物が開示されている。特開1999−133600号公報に記載の組成物では、耐熱寸法安定性及び強度がある程度確保されるものの、依然として満足するに値する弾性回復率及び強度が満たされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開1999−133600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、熱架橋工程を経ることで架橋密度が著しく増大するスペーサ形成用感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、優れた弾性回復率を有しつつ、外部圧力による変形の少ない硬い特性を有するスペーサ形成用感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、前記スペーサ形成用感光性樹脂組成物を所定のパターンで塗布、硬化して形成されるスペーサを提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、前記スペーサを備えた画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1.アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と、光重合開始剤と、溶媒とを含む感光性樹脂組成物であって、アルカリ可溶性樹脂は、エポキシ基を有する第1の樹脂と、エポキシ基と反応することができる酸性基(acid group)を有し、且つ酸価が170〜300mgKOH/gである第2の樹脂とを含む、スペーサ形成用感光性樹脂組成物。
【0012】
2.前記項目1において、第1の樹脂は、不飽和結合及びカルボキシ基を有する化合物と、下記化学式1及び2のうち少なくとも1種である化合物とを共重合してなる樹脂である、スペーサ形成用感光性樹脂組成物。
【0013】
【化1】
【0014】
〔式中、Rは、水素、或いは、ヘテロ原子を有するか若しくは有しない炭素数1〜20のアルキル又はシクロアルキルであり;Rは、単結合、或いは、ヘテロ原子を有するか若しくは有しない炭素数1〜20のアルキレン又はシクロアルキレンであり;前記Rは、ヒドロキシ基で更に置換されてもよい。〕
【0015】
【化2】
【0016】
〔式中、Rは、水素、或いは、ヘテロ原子を有するか若しくは有しない炭素数1〜20のアルキル又はシクロアルキルであり;Rは、単結合、或いは、ヘテロ原子を有するか若しくは有しない炭素数1〜20のアルキレン又はシクロアルキレンであり;前記Rは、ヒドロキシ基で更に置換されてもよい。〕
【0017】
3.前記項目1において、第2の樹脂は、1分子中にトリシクロデカン骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有し、且つ不飽和結合を有する化合物と、芳香族ビニル基を有する化合物と、第1の樹脂のエポキシ基を開環することができる酸性基を有する化合物とを共重合してなる樹脂である、スペーサ形成用感光性樹脂組成物。
【0018】
4.前記項目3において、酸性基を有する化合物は、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、及び不飽和トリカルボン酸からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、スペーサ形成用感光性樹脂組成物。
【0019】
5.前記項目1において、第2の樹脂は、1分子中に不飽和結合及びエポキシ基を有する化合物又は不飽和結合及びヒドロキシ基を有する化合物を更に含んで共重合してなる樹脂である、スペーサ形成用感光性樹脂組成物。
【0020】
6.前記項目1〜5のいずれか一項目に記載のスペーサ形成用感光性樹脂組成物から製造されたスペーサ。
【0021】
7.前記項目6に記載のスペーサを備える画像表示装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明のスペーサ形成用感光性樹脂組成物では、アルカリ可溶性樹脂が、エポキシ基を有する第1の樹脂と、エポキシ基を開環させる酸性基が高い酸価で存在する第2の樹脂とを含むことにより、得られるスペーサは硬化密度が顕著に高く、それ故に優れた機械的特性を有することができる。
【0023】
また、本発明のスペーサ形成用感光性樹脂組成物から製造されるスペーサは、優れた弾性回復率を有し、且つ外部圧力による変形の少ない硬い特性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と、光重合開始剤と、溶媒とを含む感光性樹脂組成物に関するものであり、アルカリ可溶性樹脂が、エポキシ基を有する第1の樹脂と、エポキシ基と反応することができる酸性基(acid group)を有し、且つ酸価が170〜300mgKOH/gである第2の樹脂とを含むことにより、優れた弾性回復率を有し、且つ外部圧力による変形の少ない硬い特性を有するスペーサを製造することができる感光性樹脂組成物に関するものである。
【0025】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0026】
<アルカリ可溶性樹脂(A)>
アルカリ可溶性樹脂は、光や熱に対する反応性及びアルカリ溶解性を有し、本発明の組成物中の各成分に対する分散媒として作用する。
【0027】
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、(A−1)エポキシ基を有する第1の樹脂と、(A−2)エポキシ基と反応することができる酸性基(acid group)を有し、且つ酸価が170〜300mgKOH/gである第2の樹脂とを含む。
【0028】
<(A−1)第1の樹脂>
第1の樹脂はエポキシ基を有する樹脂であって、アルカリ可溶性を有する樹脂である。このような樹脂として当分野において知られている樹脂であれば、特に制限なく用いられることができる。例えば、第1の樹脂は、(A−1−1)不飽和結合及びカルボキシ基を有する化合物と、(A−1−2)下記化学式1及び2のうち少なくとも1種である化合物とを共重合してなる樹脂であってもよい。
【0029】
【化3】
【0030】
〔式中、Rは、水素、或いは、ヘテロ原子を有するか若しくは有しない炭素数1〜20のアルキル又はシクロアルキルであり;Rは、単結合、或いは、ヘテロ原子を有するか若しくは有しない炭素数1〜20のアルキレン又はシクロアルキレンであり;Rは、ヒドロキシ基で更に置換されてもよい。〕
【0031】
【化4】
【0032】
〔式中、Rは、水素、或いは、ヘテロ原子を有するか若しくは有しない炭素数1〜20のアルキル又はシクロアルキルであり;Rは、単結合、或いは、ヘテロ原子を有するか若しくは有しない炭素数1〜20のアルキレン又はシクロアルキレンであり;Rは、ヒドロキシ基で更に置換されてもよい。〕
【0033】
<(A−1−1)不飽和結合及びカルボキシ基を有する化合物>
不飽和結合及びカルボキシ基を有する化合物としては、重合が可能な不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物であれば制限されず、具体的な例としては、不飽和モノカルボン酸や、不飽和ジカルボン酸又は不飽和トリカルボン酸のような分子中に2個以上のカルボキシ基を有する多価カルボン酸等が挙げられる。
【0034】
不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等が挙げられる。
【0035】
不飽和多価カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等が挙げられる。
【0036】
多価カルボン酸は、酸無水物であってよく、前記不飽和多価カルボン酸無水物としては、例えば、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物等が挙げられる。
【0037】
また、不飽和多価カルボン酸は、そのモノ(2−メタクリロイロキシアルキル)エステル類であってよく、例えば、コハク酸モノ(2−アクリルロイロキシエチル)、コハク酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリルロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)等が挙げられる。
【0038】
不飽和多価カルボン酸は、その両末端ジカルボキシポリマーのモノ(メタ)アクリレート類であってよく、例えば、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレート等が挙げられる。
【0039】
また、不飽和多価カルボン酸は、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシル基を有する不飽和アクリレートであってもよく、例えば、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸等が挙げられる。
【0040】
これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が共重合反応性の高い点から好ましく用いられる。
【0041】
本発明による不飽和結合及びカルボキシ基を有する化合物は、それぞれ単独に又は2種以上を組み合わせて用いられることができる。
【0042】
<(A−1−2)化学式1及び2のうち少なくとも1種である化合物>
本発明による化学式1及び2のうち少なくとも1種である化合物は、重合可能な不飽和結合と架橋密度を高くするエポキシ基とを有する化合物である。
【0043】
化学式1及び2において、Rのより具体的な例としては、それぞれ独立して、水素;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基;ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−n−プロピル基、2−ヒドロキシ−n−プロピル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1−ヒドロキシイソプロピル基、2−ヒドロキシイソプロピル基、1−ヒドロキシ−n−ブチル基、2−ヒドロキシ−n−ブチル基、3−ヒドロキシ−n−ブチル基、4−ヒドロキシ−n−ブチル基等のヒドロキシ基含有アルキル基であってもよい。その中でも、Rは、それぞれ独立して、水素、メチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基又は2−ヒドロキシエチル基であることが好ましく、特に、水素又はメチル基であることが更に好ましい。
【0044】
化学式1及び2において、Rのより具体的な例としては、それぞれ独立して、単結合;メチレン基、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基;オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、チオメチレン基、チオエチレン基、チオプロピレン基、アミノメチレン基、アミノエチレン基、アミノプロピレン基等のヘテロ原子含有アルキレン基であってもよい。その中でも、Rは、単結合、メチレン基、エチレン基、オキシメチレン基又はオキシエチレン基であることが好ましく、特に、単結合又はオキシエチレン基であることが更に好ましい。本発明において、Rが単結合である場合、トリシクロデカニル基の8位又は9位の炭素とアクリレート基の酸素とが直接結合されていることを意味する。
【0045】
化学式1で示される化合物のより具体的な例としては、下記化学式1−1乃至1−15が挙げられる。
【0046】
【化5】
【0047】
【化6】
【0048】
【化7】
【0049】
【化8】
【0050】
【化9】
【0051】
【化10】
【0052】
【化11】
【0053】
【化12】
【0054】
【化13】
【0055】
【化14】
【0056】
【化15】
【0057】
【化16】
【0058】
【化17】
【0059】
【化18】
【0060】
【化19】
【0061】
化学式2で示される化合物のより具体的な例としては、下記化学式2−1乃至2−15が挙げられる。
【0062】
【化20】
【0063】
【化21】
【0064】
【化22】
【0065】
【化23】
【0066】
【化24】
【0067】
【化25】
【0068】
【化26】
【0069】
【化27】
【0070】
【化28】
【0071】
【化29】
【0072】
【化30】
【0073】
【化31】
【0074】
【化32】
【0075】
【化33】
【0076】
【化34】
【0077】
化学式1及び2で示される化合物の例として挙げた化合物は、それぞれ単独に又は2種以上を組み合わせて用いられることができる。
【0078】
また、第1の樹脂(A)において、(A−1−1)及び(A−1−2)の共重合体は、(A−1−1)及び(A−1−2)の他に、(A−1−1)及び(A−1−2)と共重合可能な不飽和結合を有する化合物を更に含んでもよい。
【0079】
(A−1−1)及び(A−1−2)と共重合可能な不飽和結合を有する化合物としては、具体的な例として、2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−アミノプロピルアクリレート、2−アミノプロピルメタクリレート、2−ジメチルアミノプロピルアクリレート、2−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3−アミノプロピルアクリレート、3−アミノプロピルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリレート、3−ジメチルアミノプロピルメタクリレート等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド等の不飽和アミド類;マレイミド、ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド類;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン類;及びポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ−n−ブチルアクリレート、ポリ−n−ブチルメタクリレート、ポリシロキサンのポリマー分子鎖の末端にモノアクリロイル基又はモノメタクリロイル基を有するマクロモノマー類等が挙げられる。
【0080】
本発明によるアルカリ可溶性樹脂のうち第1の樹脂(A)が、(A−1−1)及び(A−1−2)を共重合して得られる共重合体((A−1−1)及び(A−1−2)以外の単量体を更に含んで共重合される場合も本発明に含まれる)である場合、前記共重合体において、(A−1−1)及び(A−1−2)のそれぞれから誘導される構成単位の割合は、共重合体を構成する構成単位の合計モル数に対して、モル分率で以下の数値範囲であることが好ましい。
【0081】
(A−1−1)から誘導される構成単位:5〜75モル%
(A−1−2)から誘導される構成単位:25〜95モル%
特に、前記構成単位の割合が以下の数値範囲であれば、より好ましい。
【0082】
(A−1−1)から誘導される構成単位:10〜70モル%
(A−1−2)から誘導される構成単位:30〜90モル%
前記構成単位の割合が前記数値範囲であれば、現像性、耐溶媒性、耐熱性、及び機械強度の良好な感光性樹脂組成物の調製が可能になる。
【0083】
第1の樹脂(A)は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著、(株)化学同人、第1版第1刷、1972年3月1日発行)に記載の方法を参考にして調製されることができる。
【0084】
具体的には、共重合体を構成する単位(A−1−1)及び(A−1−2)の所定量と、重合開始剤と、溶媒とを反応容器に投入し、酸素を窒素で置換することで酸素不存在下、撹拌、加熱、保温することにより重合体が得られる。また、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま用いられてもよく、濃縮又は希薄した溶液を用いられてもよく、再沈殿等の方法により固体(粉体)として抽出したものを用いられてもよい。
【0085】
第1の樹脂は、酸価が20〜200(KOHmg/g)の数値範囲であることが好ましい。酸価が前記数値範囲であれば、優れた弾性復元率を有するスペーサの製造が可能になる。
【0086】
第1の樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、3,000〜100,000であってもよく、好ましくは、5,000〜50,000であってもよい。第1の樹脂の重量平均分子量が前記数値範囲であれば、現像の際に膜の減少が抑制され、パターン部分の抜け落ち性が良好になるため好ましい。
【0087】
第1の樹脂の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、1.5〜6.0であることが好ましく、1.8〜4.0であることがより好ましい。分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]が前記数値範囲内であれば、現像性に優れるため好ましい。
【0088】
<(A−2)第2の樹脂>
第2の樹脂は、第1の樹脂のエポキシ基を開環することができる酸性基(acid group)を有する化合物を重合してなる樹脂であり、170〜300mgKOH/gの高い酸価を有する樹脂である。前記化合物は、含まれる酸性基が前述の第1の樹脂のエポキシ基を開環して架橋密度を高めることにより、スペーサの強度等の機械的特性を強化することができる。また、酸価が前記数値範囲であれば、優れた弾性復元率を有するスペーサの製造が可能になる。
【0089】
第2の樹脂のより具体的な例としては、下記のとおり、(A−2−1)、(A−2−2)、及び(A−2−3)の化合物を重合してなる樹脂でもよい。
【0090】
(A−2−1):1分子中にトリシクロデカン骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有し、且つ不飽和結合を有する化合物
(A−2−2):芳香族ビニル基を有する化合物
(A−2−3):第1の樹脂のエポキシ基を開環することができる酸性基を有する化合物
1分子中にトリシクロデカン骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有し、且つ不飽和結合を有する化合物(A−2−1)は、例えば、1分子中に不飽和結合、並びにトリシクルロテカン骨格及び/又はジシクロペンタジエン骨格を有する化合物としては、具体的には、ジシクロフェンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロフェンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
【0091】
また、芳香族ビニル基を有する化合物(A−2−2)としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物が例として挙げられる。
【0092】
また、第1の樹脂のエポキシ基を開環することができる酸性基を有する化合物(A−2−3)としては、不飽和結合及びカルボキシ基を有する化合物として、重合が可能な不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物であれば制限されず、具体的な例としては、不飽和モノカルボン酸や、不飽和ジカルボン酸又は不飽和トリカルボン酸のような分子中に2個以上のカルボキシ基を有する多価カルボン酸等が挙げられる。
【0093】
不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等が挙げられる。
【0094】
不飽和多価カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等が挙げられる。
【0095】
多価カルボン酸は、酸無水物であってよく、前記不飽和多価カルボン酸無水物は、例えば、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物等が挙げられる。
【0096】
また、不飽和多価カルボン酸は、そのモノ(2−メタクリロイロキシアルキル)エステル類であってよく、例えば、コハク酸モノ(2−アクリルロイロキシエチル)、コハク酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリルロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)等が挙げられる。
【0097】
不飽和多価カルボン酸は、その両末端ジカルボキシポリマーのモノ(メタ)アクリレート類であってよく、例えば、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレート等が挙げられる。
【0098】
また、不飽和多価カルボン酸は、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシル基を有する不飽和アクリレートであってもよく、例えば、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸等が挙げられる。
【0099】
これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が共重合反応性の高い点から好ましく用いられる。
【0100】
本発明による不飽和結合及びカルボキシ基を有する化合物は、それぞれ単独に又は2種以上を組み合わせて用いられることができる。
【0101】
本発明による第2の樹脂は、(A−2−1)〜(A−2−3)以外の単量体を更に含んで共重合してなる樹脂であってもよい。(A−2−1)〜(A−2−3)と共重合可能な不飽和結合を有する化合物としては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸の非置換又は置換アルキルエステル;
シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、シクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、シクロヘプテニル(メタ)アクリレート、シクロオクテニル(メタ)アクリレート、ペンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ピナニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ピネニル(メタ)アクリレート等の脂環族置換基を有する不飽和カルボン酸エステル化合物;
オリゴエチレングリコールモノアルキル(メタ)アクリレート等のグリコール類のモノ飽和カルボン酸エステル化合物;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート等の芳香環含有置換基を有する不飽和カルボン酸エステル化合物;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;
(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;及びN−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独に、又は2種以上を組み合わせて用いられることができる。
【0102】
本発明において用いられる(A−2−1)〜(A−2−3)のそれぞれから誘導される構成成分の割合は、前記共重合体を構成する構成成分の合計モル数に対して、モル分率で下記の数値範囲であることが好ましい。
【0103】
(A−2−1)から誘導される構成単位:10〜80モル%
(A−2−2)から誘導される構成単位:10〜80モル%
(A−2−3)から誘導される構成単位:10〜80モル%
特に、前記構成単位の割合が以下の数値範囲であれば、より好ましい。
【0104】
(A−2−1)から誘導される構成単位:20〜40モル%
(A−2−2)から誘導される構成単位:20〜50モル%
(A−2−3)から誘導される構成単位:10〜60モル%
前記の構成割合が前記数値範囲であれば、現像性、可溶性、及び耐熱性の均衡が良好であるため、好適な共重合体が得られることができる。
【0105】
本発明の一実施形態として、前記共重合体は以下の方法で調製されることができる。
【0106】
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート、及び窒素導入管を備えたフラスコに(A−2−1)〜(A−2−3)の合計量に対して質量基準で0.5〜20倍量の溶剤を共に加えて、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換する。次に、溶剤を40〜140℃に昇温した後、(A−2−2)及び(A−2−3)の合計量に対して質量基準で0〜20倍量の溶剤、及びアゾビスイソブチロニトリルやtert−ブチルペロキシ2−エチルヘキシルカーボネート等の重合開始剤を(A−2−1)、(A−2−2)、及び(A−2−3)の合計モル数に対して0.1〜10モル%添加した溶液(常温又は加熱下で撹拌溶解)を、滴下ロートから0.1〜8時間に亘って前記フラスコに滴下し、40〜140℃で1〜10時間更に撹拌することで、共重合体を得ることができる。
【0107】
また、前記工程において、重合開始剤の一部又は全量をフラスコに投入することもでき、(A−2−1)、(A−2−2)、及び(A−2−3)の一部又は全量をフラスコに投入することもできる。また、分子量や分子量分布を制御するために、α−メチルスチレンダイマーやメルカプト化合物を連鎖移動剤として用いることもできる。α−メチルスチレンダイマーやメルカプト化合物の使用量は、(A−2−1)、(A−2−2)、及び(A−2−3)の合計量に対して質量基準で0.005〜5%である。また、前記重合条件については、調製設備や重合による発熱量等を考慮して、投入方法や反応温度を適宜調整することもできる。
【0108】
本発明の第2の樹脂(A−2)は制限されないが、(A−2−1)、(A−2−2)、及び(A−2−3)を共重合して得られる共重合体に、1分子中に不飽和結合及びエポキシ基を有する化合物(A−2−4a)又は不飽和結合及びヒドロキシ基を有する化合物(A−2−4b)を更に反応させて得られる不飽和基含有樹脂であることがより好ましい。前記共重合体に前記(A−2−4)を付加することにより、第2の樹脂は光/熱硬化性を与えられることができる。
【0109】
本発明の前記1分子中に不飽和結合及びエポキシ基を有する化合物(A−2−4a)の具体的な例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。これらは、それぞれ単独に、又は2種以上を組み合わせて用いられることができる。
【0110】
また、前記1分子中に不飽和結合及びヒドロキシ基を有する化合物(A−2−4b)の具体的な例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート等が挙げられ、適用可能な化合物であれば、制限なくいずれも本発明に用いられることができる。
【0111】
また、前記第2の樹脂(A−2)中の(A−2−4)から誘導される構成単位の割合は、前記結合剤樹脂(A−2)中の(A−2−3)から誘導される構成成分のモル数に対して5〜80モル%であるのが好ましく、10〜70モル%がより好ましい。
【0112】
(A−2−4)の組成比が前記数値範囲であれば、十分な光硬化性や熱硬化性が得られ、感度及び鉛筆硬度が両立され、信頼性に優れるために好ましい。
【0113】
本発明の実施形態において、第2の樹脂(A−2)は、前記共重合体と(A−2−4)とを、例えば、以下の方法で反応させることで調製されることができる。
【0114】
フラスコ内の雰囲気を窒素から空気に置換し、前記共重合体において(A−2−3)から誘導される構成単位に対してモル分率で5〜80モル%の(A−2−4)と、カルボキシル基及びエポキシ基の反応触媒として、例えば、トリスジメチルアミノメチルフェノールを(A−2−1)、(A−2−2)、及び(A−2−3)の合計量に対して質量基準で0.01〜5%と、重合禁止剤として、例えば、ヒドロキノンを(A−2−1)、(A−2−2)、及び(A−2−3)の合計量に対して質量基準で0.001〜5%とをフラスコ内に投入して、60〜130℃で1〜10時間反応させることで、前記共重合体と(A−2−4)とを反応させることができる。また、重合条件と同様に、調製設備や重合による発熱量等を考慮して投入方法や反応温度を適宜調整することもできる。
【0115】
第2の樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、3,000〜100,000であってもよく、好ましくは、5,000〜50,000であってもよい。第2の樹脂(A−2)の重量平均分子量が3,000〜100,000の数値範囲であれば、現像の際に膜の減少が生じ難く、現像の際に非画素部分の抜け落ち性が良好である傾向があるため好ましい。
【0116】
第2の樹脂の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、1.5〜6.0であることが好ましく、1.8〜4.0であることがより好ましい。分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]が1.5〜6.0であれば、現像性に優れるために好ましい。
【0117】
本発明において、アルカリ可溶性樹脂は、前記第1の樹脂と第2の樹脂とを適宜混合して用いられることができ、具体的な例を挙げると、アルカリ可溶性樹脂は、第1の樹脂:第2の樹脂=1:0.5〜1:2の混合重量比で混合して用いられることができる。
【0118】
アルカリ可溶性樹脂の含有量は、スペーサ形成用感光性樹脂組成物中の全体固形分に対して5〜90質量%、好ましくは、10〜70質量%の範囲である。アルカリ可溶性樹脂の含有量が前記基準で5〜90質量%であれば、現像液への溶解性が十分になり現像性に優れ、優れた弾性回復率を有し、且つ外部圧力による変形の少ない硬い特性を有するスペーサの製造が可能になる。
【0119】
<光重合性化合物(B)>
本発明のスペーサ形成用感光性樹脂組成物に含まれる光重合性化合物は、光及び後述の光重合開始剤の作用により重合することができる化合物であって、単官能性単量体、二官能性単量体、その他の多官能性単量体等が挙げられる。
【0120】
本発明に用いられる光重合性化合物は、スペーサ形成用樹脂組成物の現像性、感度、密着性、表面問題等を改良するために、官能基の構造や官能基数が異なる2個又はそれ以上の光重合性化合物を混合して用いられることができ、その範囲は限定されない。単官能性単量体の具体例としては、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。二官能性単量体の具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。その他の多官能性単量体の具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシル化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシル化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中で、二官能以上の多官能性単量体が好ましく用いられる。
【0121】
光重合性化合物は、スペーサ形成用感光性樹脂組成物中の固形分を基準とし、アルカリ可溶性樹脂及び光重合性化合物の合計100質量部に対して、1〜90質量部、好ましくは、10〜80質量部の範囲で用いられる。光重合性化合物が前記の含有量範囲であれば、スペーサパターンの強度や平滑性が良好になるため好ましい。
【0122】
<光重合開始剤(C)>
光重合開始剤としては、当分野において一般的に用いられるものが制限なく適用されることができる。
【0123】
例えば、トリアジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、及びオキシム化合物からなる群から選択される1種以上の化合物が用いられることができる。前記光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物は高感度であり、その組成物を用いて形成されるスペーサパターンの強度や表面平滑性が良好になる。
【0124】
トリアジン系化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−フラン−2−イル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0125】
アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン−1−オンのオリゴマー等が挙げられる。
【0126】
また、アセトフェノン系化合物としては、例えば、下記化学式4で示される化合物が挙げられる。
【0127】
【化35】
【0128】
化学式4において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基で置換され得るフェニル基、炭素数1〜12のアルキル基で置換され得るベンジル基、又は炭素数1〜12のアルキル基で置換され得るナフチル基を示す。
【0129】
化学式4で示される化合物の具体的な例としては、2−メチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)エタン−1−オン、2−エチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)エタン−1−オン、2−プロピル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)エタン−1−オン、2−ブチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)エタン−1−オン、2−メチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−エチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)プロパン−1−オン、2−エチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−2−メチルアミノ(4−モルホリノフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−2−ジメチルアミノ(4−モルホリノフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−2−ジエチルアミノ(4−モルホリノフェニル)プロパン−1−オン等が挙げられる。
【0130】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール、4,4’,5,5’位のフェニル基がカルボアルコキシ基で置換されたイミダゾール化合物等が挙げられる。これらの中で、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールが好ましく用いられる。
【0131】
オキシム化合物としては、O−エトキシカルボニル−α−オキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、下記の化学式5、6、7等が挙げられる。
【0132】
【化36】
【0133】
【化37】
【0134】
【化38】
【0135】
また、本発明の効果を損なわない程度であれば、この分野において通常用いられるその他の光重合開始剤等が更に併用されることもできる。その他の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アントラセン系化合物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独に又は2種以上組み合わせて用いられることができる。
【0136】
ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
【0137】
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、O−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等が挙げられる。
【0138】
チオキサントン系化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0139】
アントラセン系化合物としては、例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン等が挙げられる。
【0140】
その他、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナントレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が、その他の光重合開始剤として挙げられる。
【0141】
また、光重合開始剤として、連鎖移動を起こし得る基を有する光重合開始剤が用いられてもよい。このような光重合開始剤としては、例えば、特表2002−544205号公報に記載のものが挙げられる。
【0142】
連鎖移動を起こし得る基を有する光重合開始剤としては、例えば、下記化学式8〜13で示される化合物が挙げられる。
【0143】
【化39】
【0144】
【化40】
【0145】
【化41】
【0146】
【化42】
【0147】
【化43】
【0148】
【化44】
【0149】
また、本発明において、光重合開始剤に光重合開始助剤を組み合わせて用いることもできる。前記光重合開始剤と光重合開始助剤とを併用すれば、これらを含む感光性樹脂組成物は更に高感度になり、スペーサ形成時の生産性の向上を図ることができるため好ましい。
【0150】
光重合開始助剤としては、アミン化合物、カルボン酸化合物が好ましく用いられる。
【0151】
光重合開始助剤の中でアミン化合物の具体的な例としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の脂肪族アミン化合物;及び、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称:ミヒラーケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の芳香族アミン化合物が挙げられる。この中でも、前記アミン化合物としては、芳香族アミン化合物が好ましく用いられる。
【0152】
光重合開始助剤の中でカルボン酸化合物の具体的な例としては、フェニルチオ酢酸、メチルフェニルチオ酢酸、エチルフェニルチオ酢酸、メチルエチルフェニルチオ酢酸、ジメチルフェニルチオ酢酸、メトキシフェニルチオ酢酸、ジメトキシフェニルチオ酢酸、クロロフェニルチオ酢酸、ジクロロフェニルチオ酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等の芳香族ヘテロ酢酸類が挙げられる。
【0153】
光重合開始剤の含有量は、スペーサ形成用感光性樹脂組成物中の固形分を基準とし、アルカリ可溶性樹脂及び光重合性化合物の合計100質量部に対して、0.1〜40質量部、好ましくは、1〜30質量部であり、前記光重合開始助剤の含有量は、前記基準で0.1〜50質量部、好ましくは、1〜40質量部である。
【0154】
光重合開始剤の含有量が前記数値範囲であれば、感光性樹脂組成物が高感度化されて、その組成物を用いて形成されるスペーサの強度や平滑性が良好になるため好ましい。また、光重合開始助剤の含有量が前記数値範囲であれば、感光性樹脂組成物の感度が更に高くなり、その組成物を用いて形成されるスペーサパターンの生産性が向上するため好ましい。
【0155】
<溶媒(D)>
溶媒は、当分野において通常用いられるものであれば、どのようなものであっても制限なく用いられることができる。
【0156】
溶媒の具体的な例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、及びエチレングリコールモノブチルエーテルのようなエチレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート等のアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールプロピルメチルエーテル、プロピレングリコールエチルプロピルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネート等のプロピレングリコールアルキルエーテルプロピオネート類;メトキシブチルアルコール、エトキシブチルアルコール、プロポキシブチルアルコール、ブトキシブチルアルコール等のブチルジオールモノアルキルエーテル類;メトキシブチルアセテート、エトキシブチルアセテート、プロポキシブチルアセテート、ブトキシブチルアセテート等のブタンジオールモノアルキルエーテルアセテート類;メトキシブチルプロピオネート、エトキシブチルプロピオネート、プロポキシブチルプロピオネート、ブトキシブチルプロピオネート等のブタンジオールモノアルキルエーテルプロピオネート類;ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル等のジプロピレングリコールジアルキルエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸ブチル、2−ブトキシプロピオン酸メチル、2−ブトキシプロピオン酸エチル、2−ブトキシプロピオン酸プロピル、2−ブトキシプロピオン酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸プロピル、3−エトキシプロピオン酸ブチル、3−プロポキシプロピオン酸メチル、3−プロポキシプロピオン酸エチル、3−プロポキシプロピオン酸プロピル、3−プロポキシプロピオン酸ブチル、3−ブトキシプロピオン酸メチル、3−ブトキシプロピオン酸エチル、3−ブトキシプロピオン酸プロピル、3−ブトキシプロピオン酸ブチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ピラン等の環状エーテル類;γ−ブチロラクトン等の環状エステル類等が挙げられる。ここで例として挙げた溶媒は、それぞれ単独に又は2種以上を混合して用いられることができる。
【0157】
溶媒は、好ましくは、塗布性及び乾燥性を考慮すると、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、ブタンジオールアルキルエーテルアセテート類、ブタンジオールモノアルキルエーテル類、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル等のエステル類を用いてもよく、更に好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、メトキシブチルアセテート、メトキシブタノール、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル等を用いてもよい。
【0158】
溶媒の含有量は、当該溶媒を含む感光性樹脂組成物の全質量に対して、50〜90質量%、好ましくは、60〜85質量%である。溶媒の含有量が前記数値範囲であれば、スピンコーター、スリットアンドスピンコーター、スリットコーター(「ダイコーター」、「カーテンフローコーター」と称す場合がある)、インクジェット等の塗布装置で塗布した時、塗布性が良好になるため好ましい。
【0159】
<添加剤(E)>
本発明による感光性樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、硬化剤、レベリング剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、連鎖移動剤等の添加剤を更に含むことができる。
【0160】
充填剤の具体的な例としては、ガラス、シリカ、アルミナ等が挙げられる。
【0161】
他の高分子化合物の具体的な例としては、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂等の硬化性樹脂;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0162】
硬化剤は、深部硬化及び機械的強度を高めるために用いられ、硬化剤の具体的な例としては、エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物、オキセタン化合物等が挙げられる。
【0163】
硬化剤でエポキシ化合物の具体的な例としては、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、その他の芳香族系エポキシ樹脂、脂環族系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアミン系樹脂、又はこのようなエポキシ樹脂のブロム誘導体、エポキシ樹脂及びそのブロム誘導体以外の脂肪族、脂環族又は芳香族エポキシ化合物、ブタジエン(共)重合体エポキシ化合物、イソプレン(共)重合体エポキシ化合物、グリシジル(メタ)アクリレート(共)重合体、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。
【0164】
硬化剤としてのオキセタン化合物の具体的な例としては、カーボネートビスオキセタン、キシレンビスオキセタン、アジペートビスオキセタン、テレフタレートビスオキセタン、シクロヘキサンジカルボン酸ビスオキセタン等が挙げられる。
【0165】
硬化剤は、当該硬化剤と共に、エポキシ化合物のエポキシ基、オキセタン化合物のオキセタン骨格を開環重合させることができる硬化補助化合物を併用されることができる。前記硬化補助化合物としては、例えば、多価カルボン酸類、多価カルボン酸無水物類、酸発生剤等が挙げられる。
【0166】
カルボン酸無水物類としては、エポキシ樹脂硬化剤として市販されるものが利用されることができる。前記エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、商品名アデカハードナーEH−700(アデカ工業(株)製)、商品名リカシッドHH(新日本理化(株)製)、商品名MH−700(新日本理化(株)製)等が挙げられる。前記において例示した硬化剤は、単独に又は2種以上を混合して用いられることができる。
【0167】
レベリング剤としては、市販の界面活性剤が用いられることができ、例えば、シリコーン系、フッ素系、エステル系、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性等の界面活性剤等が挙げられる。これらは、それぞれ単独でも2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0168】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、第三級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類等以外に、商品名として、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄化学(株)製)、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース(ゼネカ(株)製)、EFKA(EFKA CHEMICALS社製)、PB821(味の素(株)製)等が挙げられる。
【0169】
密着促進剤としては、シラン系化合物が好ましく、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0170】
酸化防止剤としては、具体的に、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。
【0171】
紫外線吸収剤としては、具体的には、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0172】
凝集防止剤としては、具体的には、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
【0173】
連鎖移動剤としては、具体的には、ドデシルメルカプタン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0174】
<スペーサ及び画像表示装置>
本発明は、前述の感光性樹脂組成物を所定のパターンで形成した後、露光及び現像して形成されるスペーサ、並びにこれを備えた画像表示装置を提供する。
【0175】
画像表示装置用スペーサは、例えば、感光性樹脂組成物を以下のとおり基材上に塗布し、光硬化及び現像してパターンを形成することで製造されることができる。
【0176】
先ず、感光性樹脂組成物を基板(通常、ガラス)又は先に形成された感光性樹脂組成物の固形分からなる層上に塗布した後、加熱乾燥させることで溶媒等の揮発成分を除去し、平滑な塗膜を得る。
【0177】
塗布方法としては、例えば、スピンコート、流延塗布法、ロール塗布法、スリットアンドスピンコート又はスリットコート法等が実施され得る。
【0178】
塗布後に加熱乾燥(プリベーク)、又は減圧乾燥後に加熱して、溶媒等の揮発成分を揮発させる。ここで、加熱温度は、通常、70〜200℃、好ましくは、80〜130℃である。加熱乾燥後の塗膜厚さは、通常、1〜8μm程度である。
【0179】
このようにして得られた塗膜に、目的のパターンを形成するためのマスクを介して紫外線を照射する。この時、露光部全体に均一に平行光線が照射され、且つマスクと基板との正確な位置合わせが実施されるように、マスクアライナやステッパ等の装置を用いることが好ましい。紫外線を照射すると、紫外線が照射された部位の硬化が行われる。
【0180】
紫外線としては、g線(波長:436nm)、h線、i線(波長:365nm)等が用いられ得る。紫外線の照射量は、必要に応じて適切に選択され得るものであり、本発明においてこれは限定されない。
【0181】
硬化が終了した塗膜を現像液に接触させて非露光部を溶解させることで現像すれば、目的のパターン形状を有するスペーサが得られることができる。
【0182】
現像方法は、液添加法、ディッピング法、スプレー法等のいずれでもよい。また、現像の際に基板を任意の角度に傾斜させてもよい。
【0183】
現像液は、通常、アルカリ性化合物及び界面活性剤を含む水溶液である。
【0184】
アルカリ性化合物は、無機及び有機アルカリ性化合物のいずれでもよい。無機アルカリ性化合物の具体的な例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニア等が挙げられる。また、有機アルカリ性化合物の具体的な例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミン等が挙げられる。これら無機及び有機アルカリ性化合物は、それぞれ単独に又は2種以上組み合わせて用いられることができる。アルカリ現像液中のアルカリ性化合物の濃度は、好ましくは、0.01〜10質量%であり、より好ましくは、0.03〜5質量%である。
【0185】
アルカリ現像液中の界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、又はカチオン系界面活性剤からなる群から選択される少なくとも一種が用いられることができる。
【0186】
ノニオン系界面活性剤の具体的な例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
【0187】
アニオン系界面活性剤の具体的な例としては、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウムやオレイルアルコール硫酸エステルナトリウム等の高級アルコール硫酸エステル塩類、ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類等が挙げられる。
【0188】
カチオン系界面活性剤の具体的な例としては、ステアリルアミン塩酸塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロリド等のアミン塩又は第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0189】
これら界面活性剤は、それぞれ単独に又は2種以上組み合わせて用いられることができる。
【0190】
現像液中の界面活性剤の濃度は、通常、0.01〜10質量%、好ましくは、0.05〜8質量%、より好ましくは、0.1〜5質量%である。
【0191】
現像後洗浄して、更に必要に応じて150〜230℃で10〜60分のポストベークを実施することができる。
【0192】
本発明の感光性樹脂組成物において、(A−2)樹脂の酸性基(acid group)による(A−1)樹脂のエポキシ基開環反応は、スペーサ形成工程における加熱環境で進行され得、例えば、ポストベーク工程において進行され得る。
【0193】
本発明の感光性樹脂組成物を用い、以上のような各工程を経ることによって、基板上又はカラーフィルタ基板上にパターンが形成されることができる。このパターンは、表示装置に用いられるフォトスペーサとして有用である。
【0194】
従って、このようにして得られるパターンを有するスペーサは、液晶表示装置等の画像表示装置に有用に用いられ得、特に、タッチパネルに適用された場合、既存スペーサと同様の弾性回復率を有しつつ、架橋密度が高くて優れた機械的特性を有し、且つ外部圧力による変形の少ない硬い特性を有する。
【0195】
以下、本発明の理解を容易にするために好適な実施例を示すが、これら実施例は本発明を例示するに過ぎず、添付された特許請求の範囲を制限するわけではなく、本発明の範疇及び技術思想の範囲内において実施例に対し変更が多様であること且つ修正が可能であることは、当業者にとって明らかなものであり、このような変更及び修正が添付された特許請求の範囲に属するのも当然のことである。
【0196】
<合成例1:アルカリ可溶性樹脂のうち第1の樹脂(A−1)の合成>
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート、及び窒素導入管を備えたフラスコを準備し、その一方で、モノマー滴下ロートに、3,4−エポキシトリシクロデカン−8−イル(メタ)アクリレート(化学式1)と3,4−エポキシトリシクロデカン−9−イル(メタ)アクリレート(化学式2)との混合物(モル比50:50)を40質量部、メチルメタクリレートを50質量部、アクリル酸を40質量部、ビニルトルエンを70質量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを4質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を40質量部投入した後に撹拌混合して準備し、連鎖移動剤滴下槽に、n−ドデカンチオールを6質量部、PGMEAを24質量部投入して撹拌混合したものを準備した。次に、フラスコにPGMEAを395質量部加えてフラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、撹拌しながらフラスコの温度を90℃まで昇温させた。次いで、モノマー及び連鎖移動剤を滴下ロートから滴下し始めた。滴下は、90℃を維持しながらそれぞれ2時間行い、1時間後、110℃に昇温して5時間維持することで、固形分の酸価が75mgKOH/gである樹脂(A−1−1)を得た。GPCによって測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量は17,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。
【0197】
<合成例2:アルカリ可溶性樹脂のうち第2の樹脂(A−2−a)の合成>
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート、及び窒素導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート182gを加え、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素にした後、100℃に昇温してから、(A−2−1)トリシクロデカン骨格のモノメタクリレート(FA−513M;日立化成(株)製)を66.0g(0.3モル)、(A−2−2)α−メチルスチレンを35.0g(0.30モル)、(A−2−3)アクリル酸を28.8g(0.40モル)、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを136g含む混合物に、アゾビスイソブチロニトリルを3.6g添加した溶液を滴下ロートから2時間に亘ってフラスコに滴下し、100℃で更に5時間撹拌し続けた。次いで、フラスコ内の雰囲気を窒素から空気にし、(A−2−4)グリシジルメタクリレートを42.0g(0.28モル)、トリスジメチルアミノメチルフェノールを0.9g、及びヒドロキノンを0.145gフラスコ内に投入して110℃で6時間反応を続けることで、固形分の酸価が170.7mgKOH/gである樹脂(A−2−a)を得た。GPCによって測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量は22.180であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。
【0198】
<合成例3〜18:アルカリ可溶性樹脂のうち第2の樹脂(A−2−b〜q)の合成>
下記[表1]のとおり、(A−2−1〜4)の各構成成分及び割合を変更する以外は、合成例2と同様に行った。
【0199】
【表1】
【0200】
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定においては、GPC法を用いて以下の条件で行った。
【0201】
装置:HLC−8120GPC(東ソー(株)製)
カラム:TSK−GELG4000HXL+TSK−GELG2000HXL(直列接続)
カラム温度:40℃
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
注入量:50μL
検出機:RI
測定試料濃度:0.6質量%(溶媒=テトラヒドロフラン)
校正用標準物質:TSK STANDARD POLYSTYRENE F−40、F−4、F−1、A−2500、A−500(東ソー(株)製)
前記で得られた重量平均分子量及び数平均分子量の比を分子量分布(Mw/Mn)とした。
【0202】
<実施例1;スペーサ形成用感光性樹脂組成物の調製>
下記表2に記載の成分及び組成からスペーサ形成用感光性樹脂組成物を調製した(単位は質量部)。
【0203】
【表2】
【0204】
<実施例2;スペーサ形成用感光性樹脂組成物の調製>
樹脂A−2−aを樹脂A−2−bに変更すること以外は、実施例1と同様に調製した。
【0205】
<実施例3;スペーサ形成用感光性樹脂組成物の調製>
実施例1における樹脂A−2−aを樹脂A−2−cに変更すること以外は、実施例1と同様に調製した。
【0206】
<実施例4;スペーサ形成用感光性樹脂組成物の調製>
実施例1における樹脂A−2−aを樹脂A−2−dに変更すること以外は、実施例1と同様に調製した。
【0207】
<実施例5;スペーサ形成用感光性樹脂組成物の調製>
実施例1における樹脂A−2−aを樹脂A−2−eに変更すること以外は、実施例1と同様に調製した。
【0208】
<実施例6;スペーサ形成用感光性樹脂組成物の調製>
実施例1における樹脂A−2−aを樹脂A−2−fに変更すること以外は、実施例1と同様に調製した。
【0209】
<実施例7;スペーサ形成用感光性樹脂組成物の調製>
実施例1における樹脂A−2−aを樹脂A−2−gに変更すること以外は、実施例1と同様に調製した。
【0210】
<実施例8;スペーサ形成用感光性樹脂組成物の調製>
実施例1における樹脂A−2−aを樹脂A−2−hに変更すること以外は、実施例1と同様に調製した。
【0211】
<実施例9;スペーサ形成用感光性樹脂組成物の調製>
実施例1における樹脂A−2−aを樹脂A−2−iに変更すること以外は、実施例1と同様に調製した。
【0212】
<実施例10;スペーサ形成用感光性樹脂組成物の調製>
実施例1における樹脂A−2−aを樹脂A−2−jに変更すること以外は、実施例1と同様に調製した。
【0213】
<実施例11;スペーサ形成用感光性樹脂組成物の調製>
実施例1における樹脂A−2−aを樹脂A−2−kに変更すること以外は、実施例1と同様に調製した。
【0214】
<実施例12;スペーサ形成用感光性樹脂組成物の調製>
実施例1における樹脂A−2−aを樹脂A−2−lに変更すること以外は、実施例1と同様に調製した。
【0215】
<実施例13;スペーサ形成用感光性樹脂組成物の調製>
実施例1における樹脂A−2−aを樹脂A−2−mに変更すること以外は、実施例1と同様に調製した。
【0216】
<実施例14;スペーサ形成用感光性樹脂組成物の調製>
実施例1における樹脂A−2−aを樹脂A−2−nに変更すること以外は、実施例1と同様に調製した。
【0217】
<比較例1;スペーサ形成用感光性樹脂組成物の調製>
実施例1における樹脂A−2−aを樹脂A−2−oに変更すること以外は、実施例1と同様に調製した。
【0218】
<比較例2;スペーサ形成用感光性樹脂組成物の調製>
実施例1における樹脂A−2−aを樹脂A−2−pに変更すること以外は、実施例1と同様に調製した。
【0219】
<比較例3;スペーサ形成用感光性樹脂組成物の調製>
実施例1における樹脂A−2−aを樹脂A−2−qに変更すること以外は、実施例1と同様に調製した。
【0220】
<比較例4;スペーサ形成用感光性樹脂組成物の調製>
実施例1における樹脂A−2−aを樹脂A−1に変更すること以外は、実施例1と同様に調製した。
【0221】
[実験例]
横及び縦の長さが2インチのガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)を中性洗剤、水、及びアルコールで順次洗浄した後、乾燥させた。このガラス基板上に、前記実施例及び比較例において調製した感光性樹脂組成物をそれぞれスピンコーティングした後、クリーンオーブン中において90℃で3分間プリベークした。前記プリベークした基板を常温に冷却させた後、石英ガラス製フォトマスクとの間隔を150μmにして、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製)を用いて60mJ/cmの露光量(405nm基準)で光を照射した。この時の重合性樹脂組成物への照射は、超高圧水銀灯からの放射光を、光学フィルタ(LU0400;朝日分光(株)製)を通過させた後、400nm以下の光をカットして用いた。この時、フォトマスクとして、次のパターンが同一平面上に形成されたフォトマスクが用いられた。
【0222】
一つの辺が10μmである正四角形の透光部(パターン)を有し、当該正四角形の間隔は100μmである。光照射後、ノニオン系界面活性剤0.12%及び水酸化カリウム0.04%を含む水系現像液に前記塗膜を25℃で100秒間浸漬して現像し、洗浄した後、オーブン中において220℃で20分間ポストベークを施した。得られた膜厚は3μmであった。膜厚は、膜厚測定装置(DEKTAK 6M;Veeco社製)を用いて測定した。こうして得られたパターンを用いて下記のとおり物性評価を実施し、その結果を下記表2に示す。
【0223】
1.パターンのCD−bias
前記で得られた膜厚3.0μmにおけるパターンサイズを三次元形状測定装置(SIS−2000 System;SNU Precision社製)を用いて測定し、マスクサイズとの差をCD−biasで下記のとおり算出する。CD−biasは、0に近接する程良好であり、(+)は、パターンがマスクよりサイズが大きいことを、(−)は、マスクよりサイズが小さいことを意味する。
【0224】
CD−bias=(形成されたパターンサイズ)−(形成時に用いたマスクサイズ)
【0225】
2.線幅、断面形状
前記で得られた硬化膜を走査型電子顕微鏡(S−4600;(株)日立製作所製)を用いてマスク14μmによって形成されたパターンの線幅を測定し、断面形状を下記のように評価した。断面形状は、基板に対するパターンの角度が90度未満であれば順テーパであり、90度以上であれば逆テーパであると判断した。
【0226】
順テーパであれば、表示装置の形成時にITO配線の断線が生じ難いために好ましい。
【0227】
3.機械的特性(総変位量及び回復率)
前記で得られた硬化膜をダイナミック超微小硬度計(HM−2000;Helmut Fischer GmbH+Co.KG)を用いて、その総変位量(μm)及び弾性変位量(μm)を下記の測定条件によって測定し、測定された数値を用いて下記のように回復率(%)を算出した。総変位量が少なく、且つ回復率が大きければ硬いと判断した。
【0228】
回復率(%)=[弾性変位量(μm)]/[総変位量(μm)]×100
測定条件は下記のとおりである。
【0229】
試験モード:Load−Unload試験
試験力:50.0mN
負荷速度:4.41mN/sec
維持時間:5sec
圧子:四角錐台圧子(直径50μm)
【0230】
4.感度
現像密着性は、直径(size)が5μmから20μmまで1μm間隔の円型パターンをそれぞれ1000個有するフォトマスクによって、膜厚が3μmで形成されたパターンが欠落なく100%残存するマスクによって形成されたパターンサイズを顕微鏡で評価した。マスクのサイズが小さい程、感度に優れる。
【0231】
【表3】
【0232】
表3を参照すると、本発明による第2の樹脂を含む実施例の場合、これらを含まない比較例と比較して機械的特性に優れていることが確認された。また、低露光量において基板への密着性及びパターン形状が良好であり、弾性回復率に優れ、且つ総変位量が少ない機械的特性を有するのみならず、感度が良好であることが確認された。