(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の焦点調節装置が、前記プロセッサからの命令に応答して、前記第1の焦点調節機能の方向にほぼ垂直な方向に沿って前記第2のビームをデフォーカスするように構成された、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
前記第1の焦点調節装置が電極の組をさらに含み、1つの電極の組が、前記コアの中心に近づくにつれ増加する大きさの電場を生じさせるように構成され、第2の電極の組が、前記コアの中心に近づくにつれ減少する大きさの電場を生じさせるように構成される、
ことを特徴とする請求項5に記載のシステム。
前記第1のビームが前記第1の焦点調節装置に到達したときに、前記第1のビームの横断面の幅が前記第1のビームの前記横断面の長さよりも狭くなるように前記第1のビームを成形するためのビームシェイパをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
前記ビームシェイパが、前記第1のビームを前記第1の焦点調節装置上に合焦するように構成され、前記システムが、前記第1の焦点調節装置と前記移動レンズ音響光学装置との間に位置するコリメーティングレンズをさらに備える、
ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明と見なされる主題については、本明細書の結論部分において具体的に示し、明確に特許請求する。しかしながら、添付図面とともに以下の詳細な説明を参照することにより、本発明を、その目的、特徴、及び利点とともに機構及び動作方法の両方に関して最も良く理解することができる。
【0015】
説明図を簡潔かつ明確にするために、図に示す要素は必ずしも縮尺通りに描いていない。例えば、明確にするために要素の一部の寸法を他の要素に対して誇張している場合がある。さらに、適当であると考えられる場合、図中で参照番号を繰り返して、対応する又は類似する要素を示している場合がある。
【0016】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解をもたらすために数多くの具体的な詳細を記載する。しかしながら、当業者であれば、これらの具体的な詳細を伴わずに本発明を実施できることが理解されよう。その他の場合、本発明を曖昧にしないために、周知の方法、手順、及び構成要素については詳細に説明していない。
【0017】
以下の詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態についてのものであるが、当業者には明らかであろうように、本発明には修正及び補足構造を加えることができるので、本発明はこれらの例示的な実施形態に限定されるものではない。具体的には、ただし限定的な意味ではなく、例示的な実施形態は、被検査オブジェクトの共通の側に配置された光源及び検出装置を使用して反射光を検出すること(「反射システム」)による被検査オブジェクト面の検査に関して開示することができるが、当業者には、被検査オブジェクトを挟んで光源と反対側にある検出装置で透過光を検出すること(「透過システム」)による被検査オブジェクトの検査にも本教示を容易に適用できることがすぐに明らかになるであろう。反射システム及び透過システムは、例えば透過システムにはビームスプリッタが存在しない点で異なるが、本発明の原理は両方の種類のシステムに適用可能である。当業者であれば理解するであろうが、本発明によれば、被検査オブジェクトの検査において両方の種類のシステムを別個に又はともに利用することができる。
【0018】
以下の例では、座標及び方向の組を定義する。これらの定義は、説明を簡潔にするためにのみ行うものである。方向については、互いに垂直であり、X、Y及びZ軸に平行であるように示している。これは必ずしもそうではない。
図1〜
図4に記載する例では、光がZ軸に沿って伝搬し、移動レンズがX軸に沿って移動し、焦点誤差補正は焦点面を上昇又は下降させることを目的としており、第1の方向はY軸に平行であり、第2及び第3の方向はX軸に平行である。
【0019】
図1は、本発明の実施形態による検査システム10及び被検査オブジェクト200を示す図である。
【0020】
限定ではなくほんの一例として、被検査オブジェクト200は、いくつかの製造段階のいずれかにおける、上部に複数の半導体デバイスを有する8インチ又は12インチウェハなどのいずれかの半導体製品、又は製造工程で使用されるマスク、レチクルなどとすることができ、このような被検査オブジェクトを、欠陥、異物、又はパターン精度を目的に検査することができる。このようなシステムでは、被検査オブジェクト面に見られる構造、欠陥又はオブジェクトのサイズ、位置及び種類を、高い精度及び信頼性を持って識別することが望ましい。検査及び品質保証段階に充てられる製造工程の遅延を最小限に抑えるために、このような識別を高速で行うことも望ましい。
【0021】
システム10は、初期ビーム29を生成する連続(又はパルス)レーザ20などの明るい光源に依拠することができる。この初期ビーム29が、従来の設計を有するビームシェイパ30に印加され、このビームシェイパ30が、当業で公知の方法でビーム29を拡張及び平行化して均一な強度のビームプロファイルを有する第1のビーム39を形成する。ウェハ検査では、レーザが、安定した出力電力(又は安定したパルスエネルギー及びパルス繰り返し数)、安定した横モード及び安定したビーム指向で高い解像度を生じるために、例えば248nm又は193nmなどの短い波長で動作することが好ましい。
【0022】
本発明の実施形態によれば、ビームシェイパ30が、所望の横断面を実現するために、焦点調節、焦点ずらし、フィルタ処理、又はその他の周知の技術を使用することにより、第1のビーム39の横断面を成形することができる。例えば、
図12に示すように、第1のビーム39は楕円形を有することができ、図中、第1のビーム39の横断面1601は、第1の軸線に沿った長軸と、第3の軸線に沿ったはるかに小さな短軸とを有する狭い楕円形を有する。
【0023】
第1のビーム39は、第1の焦点調節装置40に供給される。第1の焦点調節装置40は、第2のビーム49を出射する。
【0024】
第2のビーム49は、第2のビーム49を複数のビーム59に変換する移動レンズ音響光学装置50上に照射される。便宜上、
図1には一例として3本のビーム59を示しているが、ビーム数はこれより多くてもよく、例示的な実施形態では10本又はそれ以上の同時走査ビームとすることができる。
【0025】
移動レンズ音響光学装置50は、無線周波数発生器51、無線周波数入力部52及び結晶53を含む。無線周波数(RF)発生器51は、チャープしたRFパルス56を生成してRF入力部52へ送り、この場合単一のRFパルスによって単レンズ54が生成され、一連のパルスによって移動レンズ音響光学装置50の結晶53内に複数の直列レンズが形成される。
【0026】
個々のレンズ54は、第2のビーム49又はその一部を受光して出射部において合焦させることにより所望の数のビームを形成する。RFパルス56が結晶53を通って移動すると、関連するレンズが移動して、これらのビームの各々が走査の性質を持って移動するようになる。
【0027】
音響光学セルの基本的理論、構造及び材料は、Gerald F.Marshall編集、「光走査」、11章(1991年、MarcelDekker社により出版)に記載されている。675〜677頁に説明があるように、単一ビームの周波数チャープ走査は、線形周波数掃引(「チャープ」)が適用される音響光学ブラッグセルを伴う。セルの光学的開口にわたって生じる周波数勾配が、チャープレートに基づく焦点距離を有する円柱レンズとして機能する。線形掃引音響周波数により回折された光は収束又は分岐していることがあり、これを相補的光学レンズによって補正することができる。
【0028】
結晶53は、UV光源に適合する、好ましくは溶融石英、GaAs又はTeO2ガラスで作製された音響光学媒体を有する材料で作製することができるが、UV光との適合性があるその他の公知の材料を使用してもよい。結晶53は、両側を0.5%未満に定格された反射防止コーティングを個々の主要面に有することができる。装置は、130MHzの帯域幅で、266nmの波長及び200MHzの中心周波数の縦音響モードで動作する。RF電力は、3.0ワット未満とすることができる。1つの例示的な実施形態では、装置のアクティブアパーチャを1.0mm「H」×60mm「L」とすることができる。
【0029】
RF発生器51は、一連の「チャープ」又はパルスRF波形56を提供することができ、例示的な実施形態ではこれらの持続時間及び振幅が最適に全く同じであるが、移動レンズの所望の光学効果によれば、RF入力ポート52とは異なる場合がある。RF入力ポート52は、光の経路に対して横向きとなるように位置決めされ、RF波形が結晶53の縁部に注入されて、例示的な実施形態では5.96mm/マイクロ秒又はほぼ音速の速さで結晶53の長さを横切る圧力波を構築できるようにする。結晶媒体の中を伝搬する圧力波は、結晶53の上面に入射して結晶53の下面から出射する第2の光ビーム49のための直列焦点調節レンズ54を提供するように位置合わせされる。
【0030】
結晶53(音響光学装置50のアクティブ領域)内に複数の直列レンズ54が形成される効果により、これらの形成されたレンズごとに、移動レンズ音響光学装置50の焦点面に飛点59を有するビームレット58を生成できるようになる。飛点59を光学素子120によって被検査オブジェクト200上に結像して、被検査オブジェクト200の上面上に複数の点を形成することができる。
【0031】
被検査オブジェクト200から反射された光は、光学素子120の少なくとも一部を再び通過してセンサ70へ導かれる。
【0032】
センサ70は、センサにぶつかる光に応答して検出信号を生成する。これらの検出信号を、プロセッサ110によって処理することができる。
【0033】
プロセッサ110は、焦点誤差を計算又は別様に検出して、第1の焦点調節装置40、移動レンズ音響光学装置50、又はこれらの両方の焦点調節特性を制御することができる。従って、飛点の焦点面を(被検査オブジェクト200の方に向かって伝播軸に沿って測定した場合)より高い点又はより低い点に定めることができるとともに、第1の焦点調節装置40の焦点面もより高い点又はより低い点に定めることができる。
【0034】
基本的に、点の焦点を距離Jだけ上昇させることによって焦点誤差を修正した場合、第1の焦点調節装置40及び移動レンズ音響光学装置50の各々に、それぞれの焦点面をKだけ変更するように指示することができ、この場合、光学素子120の伝達関数により、これらの2つの構成要素(40及び50)によるKの焦点面の変化を被検査オブジェクト200の面に近いJの焦点面変化に「変換」することができるので、KはJ及びこの伝達関数に対応する。
【0035】
なお、焦点補正では、別個の光路、別個のセンサ及び別個の焦点誤差計算機のいずれか1つを使用することができるが、説明を簡潔にするためにこのような別個の構成要素は図示していない。
【0036】
図2は、本発明の実施形態による検査システム11及び被検査オブジェクト200を示す図である。
【0037】
検査システム10の光学素子120は、検査システム11のコリメーティングレンズ62、円柱レンズ60、ビームスプリッタ65、望遠鏡80、及び対物レンズ90に置き換えられている。
【0038】
円柱レンズ60は、第1の方向又は第2の方向に沿った固定焦点調節機能を実行することができる。
【0039】
円柱レンズ60の次に、ビームレット58を平行にして平行ビームを供給するコリメーティングレンズ62を設置することができる。これらの(個々の移動レンズの)平行ビームはビームスプリッタ59へ送られ、このビームスプリッタ59が、これらのビームを望遠鏡80及び対物レンズ90の方へ通過させて被検査オブジェクト200の表面上に一連の飛点を形成する。被検査オブジェクト200からの光は、対物レンズ90及び望遠鏡80を通じて導かれ、ビームスプリッタ65にぶつかり、このビームスプリッタ65が光をセンサ70の方へ導く。
【0040】
図3は、本発明の実施形態による検査システム12及び被検査オブジェクト200を示す図である。
【0041】
検査システム12は、(i)第1の焦点調節装置40の手前の、第1の焦点調節装置40が非平行光を受光するように入射ビームの焦点を調節するための焦点調節レンズ31と、(b)第1の焦点調節装置40の後に位置する、移動レンズ音響光学装置50に到達する前に第1の光ビーム39を平行にするためのコリメーティングレンズ32とを有することにより検査システム11とは異なる。
【0042】
焦点調節レンズ31は、第1のビーム39を第1の焦点調節装置のコアの小入射面49上に合焦させ、或いは第1のビーム39を、小入射面29が位置する面A131の前又は後の他のいずれかの面上に合焦させることができる。
【0043】
第1のビーム39を合焦させること、又は第1のビームの横断面の幅を第3の方向に沿って別様に狭めることにより、第1の焦点調節装置40により(第3の方向に沿って)加えられる望ましくない焦点ずれを低減することができる。なお、第1のビーム39の成形をビームシェイパ30によって(少なくとも部分的に)実行することもできる。
【0044】
図4は、本発明の実施形態による第1の焦点調節装置40を示す図である。第1の焦点調節装置40は、多重電極に接続されたコア43を含む。電極は、1組からそれ以上の電極の組の形で構成することができる。
【0045】
コア43は、対称芯を欠いた結晶で作製することができ、すなわち結晶の原子構造が対称芯を有していない。コアの屈折率は、コア上に印加される電場に対応することができる。
【0046】
コア43は、耐久性のある紫外線材料(及び特に耐久性がある深紫外線(DUV)材料)で作製すべきであり、これらの材料は、(ほとんどの放射が透過できる)良好な光学特性及び大きなEO係数も有するべきである。非限定的な例として、リン酸二重水素カリウム(KD*P)、KH
2PO
4(KDP)、リン酸二水素アンモニウム(ADP)及び二酸化シリコン(Si02)が挙げられる。
【0047】
コア43は、KD*Pで作製したものである。KD*Pは水溶性であるため、電極は水のない処理で蒸着すべきであり、従って化学処理を使用することはできない。コア43は、上部小面46及び下部小面45上の均一な金層によって気化することができる。その後、集束赤外線レーザビームを使用して金にスクライビングし、コア43の表面にわたって線を焼き付けることができる。スクライビング処理中に生じたくずは、空気圧によって回収することができる。
【0048】
電極の境界面を保護し、コア43を湿気に触れることから保護するために、個々の電極を、端子線に半田付けされた金の先端に接続することができる。端子線は、電圧源44に接続される。他の代替の解決策を適用してもよい。
【0049】
図4には、第1の電極の組41及び第2の電極の組42を示している。これらの2つの電極の組は、電圧源装置44から電圧を受け取る。個々の電極が異なる電圧レベルを受け取って、コア43が1又はそれ以上の焦点調節機能を適用するようにすることもできる。
【0050】
図4には、(
図5及び
図6に46及び45で示す)2つの対向する小面に接続された2つの電極の組41及び42を示している。なお、コアの2つよりも多くの小面に電極を接続してもよく、コア43を異なる方法で成形してもよい。例えば、コア43を、
図16に示すような等電位形状に基づいて成形することもできる。
【0051】
図4には、互いに平行な電極を示しており、個々の電極はZ軸に沿って延びることができる。なお、電極を異なる方法で位置決めし、異なる形状を有するようにすることができる。例えば、電極を格子として形成してもよく、或いはZ軸に沿って異なる電圧値を実現できるように別様に形成してもよい。
【0052】
さらに、組ごとの電極数は、(
図5及び
図6に示すような)9個又は(
図4に示すような)6個とは異なってもよい。
【0053】
コア43は、第1の方向にほぼ垂直な第3の方向に沿って第3の焦点調節機能を適用することもできる。このことを、例えば
図15に示す。第1の焦点調節機能が、第1のビームを第1の方向に沿って合焦させる場合、第3の焦点調節機能が、第1のビームの焦点を第3の方向に沿ってずらす。
【0054】
本発明の実施形態によれば、1つの電極の組42が、コアの中心に近づくにつれて増加する大きさの電場を第1の方向に沿って生じさせるように構成される。第2の電極の組41は、コアの中心に近づくにつれて減少する大きさの電場を第1の方向に沿って生じさせるように構成することができる。
【0055】
これらの電極は、コア43を第1の方向に沿って正レンズとして機能させ、第3の方向に沿って負レンズとして機能させる電場を生じさせるように構成される。これらの電極には、コア43を第1の方向に沿って正レンズとして機能させ、第3の方向に沿って負レンズとして機能させることができる異なる電圧を供給することができる。
【0056】
図5は、本発明の実施形態による、第1の焦点調節装置のコアの横断面にわたって発生した電場を示す図である。この横断面は、面A131及びB132の間に位置する面X−Yに沿って切り取ったものである。
【0057】
曲線302は、第1の方向に沿って略逆放物形を有する、電極の組42によって生じた大きさの電場を示している。
【0058】
曲線301は、第1の方向に沿って略放物形を有する、電極の組41によって生じた大きさの電場を示している。
【0059】
図6は、本発明の実施形態による第1の焦点調節装置のコアの横断面にわたって発生した電場を示す図である。
【0060】
実際には、有限数の離散ステップによって、放物形の電場を大まかに近似させることができる。この大まかな近似は、電場に不連続部が生じないようにコア43の中心へ向けて円滑化され、従って中心付近で次第にかつ円滑に変化すると予想される。不連続部は、無限の電荷密度が存在する場合にのみ生じる可能性があり、発明者らのモデルでは結晶内部に(巨視的)電荷は存在しない。一方で、シミュレーションから分かるように、電極近くでは、電場の大きさに急激な「ジャンプ」が生じるようになる。
【0061】
曲線304は、電極の組42により第1の方向に沿って生じた逆放物形の大まかな近似である大きさの電場を示している。
【0062】
曲線303は、電極の組41により第1の方向に沿って生じた放物形の大まかな近似である大きさの電場を示している。
【0063】
図7は、光が結晶(コア)を通過することにより生じる位相遅延(遅延)を、結晶の長さ及び結晶の屈折率を考慮することによって電場の理想的なEy成分から計算される位置の関数として示す図である。
【0064】
図8は、コア内のX−Y面に沿った等電位線を示す図である。
【0065】
図9は電場のEx成分を示す図であるのに対し、
図10は電場のEy成分を示す図である。
【0066】
図11は、本発明の実施形態による、第1の焦点調節装置40から出射する第2のビームの波面を示す図である。波面1501は、第1の方向に沿って放物形を、及び第3の方向に沿って逆放物形(鞍状)を有する。
【0067】
図13は、本発明の別の実施形態による第1の焦点調節装置40を示す図である。
【0068】
第1の焦点調節装置40は、第1の焦点調節装置40内を伝搬する第1のビーム39の光路長を変化させることにより焦点面を変化させる。
【0069】
第2の鏡142は、ビームスプリッタ145と第2の鏡142の間の距離D149を変化させ、従って光路長を変化させるように(モータ143により)X軸に沿って移動可能である。第2の鏡142は小型かつ軽量であり、比較的すばやく移動することができる。
【0070】
第1のビーム39は、第1の焦点調節装置40にZ軸と平行に入射する。このビーム39は、ビームスプリッタ145により第2の鏡142の方へ反射される。第2の鏡142は、ビームスプリッタ145を通過する光を第1の鏡141にぶつかるまで反射する。第1の鏡141は、このビームを反射して、垂直に伝搬する第2のビーム49を供給する。
【0071】
図14は、本発明の実施形態による方法1800を示す図である。
【0072】
方法1800は、所望の焦点誤差補正量を受け取るステップ1810から開始する。所望の焦点誤差補正量は、いずれかの従来の手段により計算することができる。
【0073】
ステップ1810の後、ステップ1820において、第1の焦点調節機能及び第2の焦点調節機能の少なくとも一方の焦点調節機能を(第1の速度を上回る速度で、及び所望の焦点誤差補正量に応じて)変更する。
【0074】
第1の速度は、被検査オブジェクトとセンサの間の距離を変更するように構成された機械モジュールにより適用される距離変更の速度よりも速い。
【0075】
第1の焦点調節機能は、第1の焦点調節装置により第1の方向に沿って適用される。
【0076】
第2の焦点調節機能は、無線周波数信号に応答して複数の移動レンズを生じるように構成された移動レンズ音響光学装置により適用される。個々の移動レンズは、第2のビームの少なくとも一部を受光し、第2の方向に沿って第2の焦点調節機能を適用して複数の集束点を生成するように構成される。
【0077】
図15は、本発明の実施形態による方法1900を示す図である。
【0078】
方法1900は、第1の焦点調節モジュールによって第1のビームを受光し、第1の方向に沿って第1の焦点調節機能を適用して第2のビームを供給するステップ1920から開始する。
【0079】
ステップ1920の後、ステップ1930において、移動レンズ音響光学装置により、無線周波数信号に応答して複数の移動レンズを生じさせる。
【0080】
ステップ1930の後、ステップ1940において、個々の移動レンズによって第2のビームの少なくとも一部を受光する。
【0081】
ステップ1940の後、ステップ1950において、個々の移動レンズにより、第2の方向に沿って第2の焦点調節機能を適用して複数の集束点を生成する。
【0082】
ステップ1950の後、ステップ1960において、複数の集束点を被検査オブジェクト上に導く。
【0083】
ステップ1960の後、ステップ1970において、被検査オブジェクトからの放射をセンサへ導く。
【0084】
ステップ1970の後、ステップ1980において、センサにぶつかる放射を感知する。
【0085】
方法1900では、焦点誤差補正を行うステップ1990によって示すように、ステップ1920〜1980の実行中に焦点誤差補正も行う。
【0086】
ステップ1990は、ステップ1992、1993及び1994のいずれか1つを含むことができる。
【0087】
ステップ1992は、機械モジュールにより、被検査オブジェクトとセンサの間の距離を第1の速度よりも低い速度で変更するステップを含む。
【0088】
ステップ1993は、第1の焦点調節機能を第1の速度を上回る速度で変更するステップを含む。
【0089】
ステップ1994は、第2の焦点調節機能を第1の速度を上回る速度で変更するステップを含む。
【0090】
図16は、本発明の実施形態による方法2000を示す図である。
【0091】
方法2000は、ステップ2010及び2020により開始する。
【0092】
ステップ2010は、紫外線に耐久性のある材料で作製されたコアの小入射面を介して第1の光ビームを受光するステップを含み、コアの屈折率は、コア上に印加される電場に対応する。
【0093】
ステップ2020は、小入射面とは異なるコアの第1の小面に接続された第1の電極の組により、第1の光ビームの伝搬方向に沿って配向された第1の方向に沿って略放物形を有する大きさの電場を生じさせることにより、コアに第1の光ビームに対して第1の方向に沿って第1の焦点調節機能を適用させるステップを含む。
【0094】
ステップ2010及び2020は、複数回繰り返すことができる。
【0095】
これらのステップを実行することに平行して、方法2000は、第1の電極の組によって生じた電場を高速変化させることにより第1の焦点調節機能の高速変更を行うステップ2030によって示すように、焦点誤差補正処理を行うステップを含むこともできる。この変更が高速となる理由は、被検査オブジェクト、光学素子などを移動(上昇又は下降)させることを必要とする焦点の変更よりも高速(及びはるかに高速)なためである。
【0096】
図17は、本発明の別の実施形態による第1の焦点調節装置40を示す図である。
【0097】
第1の焦点調節装置40は、コア43、回転光学素子1701及び追加のコア43’を含む。コア43は、コア43に対して(Z軸を中心に)約90°回転している。例えば、電極の組41及び42が、
図17を含むページの面と平行に存在する場合、追加のコア43’の電極の組41’及び42’は、
図17を含むページの面と垂直になる。
【0098】
第1のビームは、コア43上にぶつかった場合、Y軸に平行な長軸を有する狭い楕円形の横断面1710を有し、従って第3の方向に沿った望ましくない合焦又は焦点ずれの影響が最小限に抑えられる。
【0099】
コア43から出射するビームは、(プリズムの組などのいずれかの公知の回転光学素子を含むことができる)光学素子1701を回転させることにより約90°回転し、追加のコア43’にぶつかったときに、横断面が、X軸に平行な長軸を有する狭い楕円形となる。
【0100】
この構成により、第1及び第3の方向に沿った焦点調節を制御できるようになり、移動レンズ音響光学装置50によって適用される焦点調節機能を変更することに加え、或いはこれの代わりにこの構成を適用することができる。
【0101】
計算、理論
以下の計算により、コア43などの光電気レンズ(電位によって電力を制御できるレンズ)上に印加する電場の例が得られる。生じるレンズはグレーデッドインデックス型である。このレンズは放物線状の屈折率を有し、焦点調節レンズとして機能するので、非ゼロの電気光学係数を有する材料を採用して振幅がx
2の関数として変化する電場をレンズ内に生じさせることによりレンズが形成される。電気光学テンソルを使用することにより、新たな屈折力の楕円体を計算し、レンズ性能を評価して最適化することができる。
【0102】
電場計算
放物線状の屈折率を得るために、電場を以下の形にすべきである。
【0103】
或いは、以下のより一般的な形にすべきである。
【0104】
電場は、マクスウェルの方程式に従わなければならない。
【0105】
これらの2つの方程式により、以下の方程式が得られる。
【0106】
これらの方程式を積分して以下の方程式を得ることができる。
【0107】
E
yはx方向では2次式でなければならないので、この方程式により以下の制限が課される。
【0108】
g(y)について解くと以下のようになる。
【0109】
g及びfが得られたので、電場を計算することができる。
【0110】
これらの方程式から、電位を計算することができる。
【0111】
また、直接積分によって以下のようになる。
【0112】
実際的見地から、φ(x,y)=φ(x,−y)となることが望ましい。
【0113】
これにより対称的な供給電圧を使用できるようになる。
【0114】
この条件は、a
1=0を意味する。C及びd
1は固定場にのみ寄与するので、最終結果は以下のようになる。
【0115】
E
yは望んだように機能するが、E
xはこの望ましい目標とは異なり、従って結晶にEOテンソルを結合するときにはこの電場成分について注意すべきであることが分かる。
【0116】
E
y電場は鞍点の形(逆放物形)を有するので、一方向では正レンズが提供され、直交方向では負レンズが提供されることが分かる。
【0117】
リン酸二重水素カリウムは、以下の屈折率楕円体方程式を有する。
【0118】
座標系は結晶系である。混乱を無くすために、結晶座標システムを、結晶のc方向(異なる屈折率を有する方向)をtとする(x,y,z)⇒(s,v,t)として示す。
【0119】
EOレンズを得るために、E
yをt方向に適用する。屈折率楕円体方程式は以下のようになる。
【0120】
座標変形により、この方程式を対角化することができる。
定義:
【0121】
すると、屈折率楕円体方程式は以下のようになる。
【0122】
電場の効果は屈折率を変更することであったので、結晶方向に対して45°の新しい光方向が作成された。屈折率の変化は以下のように計算することができる。
【0123】
光が結晶の110方向に伝播し、偏向が110方向である場合、屈折率は、n
s'となる。
【0124】
電場内では方程式E
xを排除できないので、これが屈折率に及ぼす影響を検討すべきである。E
xを有する屈折率楕円体は、以下の通りである。
【0125】
いくつかの代数を使用すると以下のようになる。
【0126】
屈折率楕円体の新たな主方向を発見するために、二次形式行列の固有値及び固有ベクトルを求めるべきである。
【0128】
は非常に小さいので、ルート
の補正を求めるためにニュートンラフソン法を用いて、ルートの摂動として処理することができる。すなわち、
【0129】
このようにして、ルートの補正が得られる。
【0130】
の補正である
は、
に比例し、これはn
Oの補正であるr
63E
yと比較して非常に小さく、従ってE
xがレンズを阻害するはずがないことが分かる。
【0131】
図9に、10mm長の結晶の
図12に示す電位の位相遅延を示す。
【0132】
本明細書では、本発明のいくつかの特徴を示して説明したが、当業者には、多くの修正物、置換物、変更物及び同等物が思い浮かぶであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、このような全ての修正物及び変更物を本発明の真の思想に含まれるものとして含むことが意図されていると理解されたい。