特許第5945319号(P5945319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5945319-自動車の出力要求の最適化方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945319
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】自動車の出力要求の最適化方法
(51)【国際特許分類】
   F01P 7/14 20060101AFI20160621BHJP
   F01P 7/02 20060101ALI20160621BHJP
   F01P 7/16 20060101ALI20160621BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20160621BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20160621BHJP
   F01P 7/12 20060101ALI20160621BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20160621BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20160621BHJP
   B60W 10/30 20060101ALI20160621BHJP
   B60W 10/10 20120101ALI20160621BHJP
   B60W 10/18 20120101ALI20160621BHJP
   B60K 6/54 20071001ALI20160621BHJP
   F01P 11/14 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   F01P7/14 N
   F01P7/02 G
   F01P7/16 502H
   F02D29/02 301Z
   B60W10/06
   F01P7/12 C
   B60K6/20 310
   B60K6/20 320
   B60K6/20 380
   B60K6/20 350
   B60K6/20 370
   B60K6/54
   F01P11/14 B
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-509607(P2014-509607)
(86)(22)【出願日】2011年12月10日
(65)【公表番号】特表2014-518975(P2014-518975A)
(43)【公表日】2014年8月7日
(86)【国際出願番号】EP2011006245
(87)【国際公開番号】WO2012155940
(87)【国際公開日】20121122
【審査請求日】2014年1月9日
(31)【優先権主張番号】102011101395.8
(32)【優先日】2011年5月13日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】オットマー・ゲーリング
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス・カウフマン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ヌルマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・エルザー
【審査官】 寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−324665(JP,A)
【文献】 特開2004−324613(JP,A)
【文献】 特開2010−096042(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0261648(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 1/00 − 11/20
B60W 10/00 − 10/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ユニットの速度調整装置(G)および前記駆動ユニットの冷却回路の温度調整装置(T)を備える自動車の出力要求の最適化方法であり、少なくとも1つの走行ルートパラメータ(St)に基づいて、予想される前記駆動ユニットの第1の出力要求および予想される前記冷却回路の第2の出力要求が最適化される方法であって、
前記走行ルートパラメータ(St)に対応する走行戦略が選択され、該走行戦略に対応する前記第1の出力要求、および前記走行戦略に対応する前記第2の出力要求が、車両パラメータ(Fz)および走行パラメータ(F)を考慮して特定され、前記第2の出力要求が前記温度調整装置(T)から前記速度調整装置(G)にフィードバックされ、これを受けて、前記駆動ユニットの第1の出力要求と前記冷却回路の第2の出力要求とから成る前記自動車の全出力要求が最小化されるように、前記速度調整装置(G)の走行戦略モジュール(3)が、前記第2の出力要求を計算に入れて、前記駆動ユニットの新しい作動点を特定することを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも1つの前記走行ルートパラメータ(St)が、デジタル道路マップのマップデータから特定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記温度調整装置(T)は、温度調整信号(TS1、・・・、TSn)を用いて、少なくとも1つのポンプユニット(10)、サーモスタットバルブ(11)、空気供給調整装置(12)および/またはファン(13)の調整動作を制御することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記速度調整装置(G)は、速度調整信号(GS1、・・・、GSn)を用いて、少なくとも1つのギヤ選択モジュール(4)、内燃機関用トルク設定モジュール(5)、電気モータ用トルク設定モジュール(6)および/または補助ブレーキ用トルク設定モジュール(7)の調整動作を制御することを特徴とする、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
速度調整装置(G)は、双方向インターフェースによって前記自動車の温度調整装置(T)と接続されていることを特徴とする、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の方法を実施するための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の出力要求の最適化方法ならびに出力要求の最適化方法を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、自動車の予測的温度調整システムが知られており、これらのシステムにより、自動車の駆動ユニットの温度調整に用いられる予測的調整戦略の実施が可能となる。
【0003】
従来技術による方法では、自動車のデジタルマップおよびGPS(Global Positioning System)によって実施可能な位置特定を用いて予測的に、特に内燃機関の将来的な熱入力が算出され、早期に調整を行うことによって、自動車のエネルギー消費および/または燃費を低下させる。
【0004】
そのため、例えば、特許文献1から温度調整システムの作動方法が知られており、この場合、予測される自動車の走行ルートから将来の熱入力が見積もられる。特に、予測される走行ルートの高度プロファイルが考慮されるため、上り坂で発生する追加の高い熱入力または下り坂での小さな熱入力をあらかじめ特定することができる。従って、この温度調整システムは、高度プロファイルに適合させることが可能である。特に、例えばこれから長い下り坂を走行する場合、一時的に高い温度が受入れ可能になる。従って、温度調整のための不要な調整動作が回避されるため、エネルギー消費または燃費が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0261648A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術に比べて改善された、自動車の出力要求の最適化方法を提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明に基づき、請求項1の特徴を備える自動車の出力要求の最適化方法、ならびに請求項5の特徴を備える出力要求の最適化装置によって解決される。
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0008】
駆動ユニットの速度調整装置および駆動ユニットの冷却回路の温度調整装置を備える自動車の出力要求の最適化方法では、少なくとも1つの走行ルートパラメータに基づいて、予想される駆動ユニットの第1の出力要求および予想される冷却回路の第2の出力要求が特定される。本発明に基づき、まず、走行ルートパラメータに対応する走行戦略が選択され、この走行戦略に対応する第1の出力要求、およびこの走行戦略に対応する第2の出力要求が特定される。これを受けて、この走行戦略は、特定された第1および第2の出力要求に基づいて、自動車の全出力要求が最小化されるように調整される。
【0009】
選択された走行戦略に対して予想される第1の出力要求の特定は、特に、様々な方法による算出によって行われるか、または特定のパラメータに応じた評価によっても行われる。第1の出力要求の特定とは無関係に、冷却回路の予想される第2の出力要求は、特に、様々な方法による算出によっても、または特定のパラメータに応じた評価によっても特定することができる。
【0010】
この方法は、自動車の全出力要求の軽減に用いられる。そのために、温度調整装置と速度調整装置とは互いに連結されており、ユニットとして見なすことができる。従って、特に、ほんの少しだけ高い駆動ユニットの出力要求でも、この要求が、それに相応して低い冷却回路の第2の出力要求によって埋め合わされる場合には許容することができる。
【0011】
さらに、この出力要求の最適化方法により、自動車の温度調整装置の早期の、エネルギー効率の高い制御が可能となる。従って、予測的な介入にもかかわらず必要な温度限界を維持できないかどうか、もしくは極めて多くのエネルギーを使用しないと維持できないかどうかを検知することが可能である。この温度調整装置は自動車の速度調整装置と双方向に通信するため、そのようなケースでは、自動車の走行戦略を適合させることができる。例えば、冷却回路の出力要求を上昇させる高い熱入力が早期に軽減されるように、走行戦略が調整される。このことは、例えば、自動車のトランスミッションユニットへの該当する調整動作によって実施することができる。
【0012】
好ましくは、予想される駆動ユニットの熱入力が危険値を超えた場合に、走行戦略が調整される。
【0013】
この出力要求の最適化方法は、内燃機関を備える自動車にも、電気モータを備える自動車にも、あるいはハイブリッド駆動を備える自動車にも同じように適合し、冷却システムにもう1つの熱入力を提供する熱回復システムとも組み合わせることができる。
【0014】
有利には、冷却回路への不必要な調整動作が防止されるため、冷却回路の該当するコンポーネントの寿命が延びる。
【0015】
本発明の実施例を、図に基づいて以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】自動車の最適化装置の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
互いに対応する部品は、この図の中で同一の記号が付されている。
【0018】
図1は、自動車の出力要求の最適化方法およびこの方法を実施するのに適した装置の概要図である。
【0019】
予測モジュール1は、自動車の位置特定が行われるデータを供給する。この予測モジュール1は、例えば、特にGPS(Global Positioning System)データなど、衛星からの位置信号の受信機を備えている。この代替の方法として、従来のナビゲーション機能によっても自動車の現在位置を規定することができる。さらに、ナビゲーションユニットにはそれに属する入力装置が設けられているため、運転者は、自動車の出発地および/または1つもしくは複数の希望する車両の目的地を設定することができる。さらに、予測モジュール1は、特に、自動車の周辺を検知する車間距離レーダなどの周辺センサを有することもできる。
【0020】
予測モジュール1は、3次元のマップデータを提供するデジタル道路マップを備えている。自動車がこれから走行するルートを特徴づける走行ルートパラメータStは、3次元のマップデータから特定される。予測モジュール1には、走行ルートの高度データ、道路変化および/または速度制限が保存されており、これらが走行ルートパラメータStを特定するために評価される。走行ルートパラメータStとして、特に路面の勾配またはカーブのデータ、ならびに走行ルートの交通量を特定することができる。
【0021】
この場合、特徴づけられる走行ルート区間は、出発地および目的地を設定することによって規定することができる。この代替の方法として、最も可能性のある経路を算出することによって予測範囲の走行ルート区間を選択することができる。そのために、特に自動車の現在位置、進行方向および/または速度など、現在の走行パラメータFが評価される。
作動データモジュール2は、現在関連している自動車の走行パラメータFおよび車両パラメータFzを検知する。特に、運転者の現在の制御動作(アクセルペダルの操作など)、エンジンとギヤのデータ(トランスミッションユニットの現在の実際ギヤシフト、駆動ユニットおよび/または冷却液の温度など)、および走行データ(自動車の速度および/または加速など)が、走行パラメータFまたは車両パラメータFzとして検知される。
【0022】
自動車の速度調整装置Gの走行戦略モジュール3は、これから走行する走行ルート区間について、駆動ユニットの第1の出力要求を最適化する予測走行戦略を算出する。走行ルートパラメータStに基づいて、予測された第1のパラメータP1のため、燃費に最適な設定が調べられ、この設定には、特に、走行戦略の実施に必要な、駆動ユニット用冷却回路の温度調整装置Tへの出力要求が含まれている。
【0023】
該当する速度調整パラメータGS1〜GSnを用いて、走行戦略を実施するための様々な自動車の調整ユニット4、5、6、7が制御される。例えば、オートマチックトランスミッションユニットのギヤ選択、および特に内燃機関または電気モータを備えられる駆動ユニットのトルク制御が、この走行戦略に従って制御される。さらに、速度調整パラメータGS1〜GSnによって、特に自動車の1つまたは複数の補助ブレーキ(リターダなど)操作が調整される。電気モータおよび補助ブレーキは、温度調整の際に、特に追加の熱源として機能する。トルク制御は、とりわけ自動速度/クルーズコントロールモードの中で行うことができる。
【0024】
速度調整装置Gは、自動車の速度調整のための調整ユニット4、5、6、7を備えている。ギヤ選択モジュール4は、走行戦略モジュール3によって特性された予測走行戦略に従って、トランスミッションユニットとギヤ設定をコーディネートする。特に、自動車のセミオートマチックトランスミッションユニットまたはオートマチックトランスミッションユニットの作動機能が、燃費に最適な走行戦略を実施するために速度調整パラメータGS1〜GSnによって調整される。
【0025】
さらに、速度調整装置Gは、少なくとも1つの内燃機関用トルク設定モジュール5または電気モータ用トルク設定モジュール6を備えている。この自動車の出力要求の最適化方法は、特に、駆動ユニットが内燃機関と電気モータの両方を有しているハイブリッド自動車に適している。トルク設定モジュール5、6は、設定された速度調整パラメータGS1〜GSnに従って、自動車の駆動ユニットの全てのトルクパスを相応に制御する。
【0026】
例えばトラックなどの商用車のエネルギー消費または燃費を最適化するために、特に、補助ブレーキ(リターダなど)を制御するためのトルク設定モジュール7が設けられている。この補助ブレーキは、例えば渦電流を発生させることによって自動車の減速が達成される電磁式リターダとして、または自動車の減速に必要なエネルギーが熱によってブレーキオイルに供給される流体式リターダとして形成することができる。そのような補助ブレーキは、特に、長い下り坂において自動車の通常のブレーキユニットがオーバーヒートする危険を軽減するために用いられる。この速度調整パラメータGS1〜GSnを用いて、エネルギー効率よく自動車を使用するために補助ブレーキが制御される。特に、この補助ブレーキは、自動車の冷却回路に追加の熱を供給するためにも使用することができる。
【0027】
特に、電気モータ用トルク設定モジュール6によってブレーキ機能または補助ブレーキ機能を提供することもでき、この機能では、ジェネレータモードの電気モータが走行エネルギーを回生し、電気エネルギーの形でエネルギーアキュムレータに供給する。
【0028】
自動車の温度調整装置Tは、温度予測モジュール8を有し、このモジュールは、予想された第1のパラメータP1に基づいて、自動車に作用する熱入力を事前に算出する。そのために、該当する数学的モデルまたは数値モデルが使用される。とりわけ、内燃機関、電気モータ、補助ブレーキまたは冷却回路に接続されているその他の自動車コンポーネントの熱入力が特定される。これから走行する走行ルート区間およびそれに属する走行ルートパラメータに基づき、将来的な下り坂走行は、特に熱低下として特定される。結果として、予測範囲に亘る予想温度変化およびそれに応じた第2の予想パラメータP2が生じ、これらのパラメータに基づいて温度変化を制御するための調整戦略が実行される。
【0029】
評価ユニット9は予想温度変化に基づいて調整戦略を調べ、第2の予想パラメータP2を特定する。温度調整装置Tの調整動作のための調整戦略は、できるだけ少ない第2の追加的エネルギー消費または燃費およびアクチュエータ動作によって調整冷却機能が実現されるように特定される。温度調整装置Tを制御するための関連する温度調整信号TS1〜TSnは事前に算出される。温度調整信号TS1〜TSnは、予想される大きな熱入力の前に冷却液の温度が過冷却されるように、駆動ユニットの温度を調整し、駆動系ユニットのサーマルバッファを利用することによって、高い出力要求を示す可能性のある、温度制御のための追加の調整ユニット10、11、12、13がオンになるのを防止する。さらに、短い調整ブレーキと勾配での補助ブレーキとを区別することができるため、調整ユニット10、11、12、13を目的に応じて制御することもできる。
【0030】
温度調整信号TS1〜TSnを用いて、温度調整装置の複数の調整ユニット10、11、12、13が制御される。そのため、予想温度変化を実行するため、例えば冷却回路のポンプユニット10の圧送出力が制御される。この場合、ポンプユニット10の圧送出力は無段階または段階的に調整することができる。
【0031】
無段階または段階的に調整可能なサーモスタットバルブ11は、温度調整信号TS1〜TSnを用いて、冷却液クーラからの冷やされた冷却液と、冷却液クーラのない第2の小型冷却回路からの冷やされていない冷却液との混合状態が、熱入力を調整するために最適に適合するように調整される。
【0032】
さらに、温度を調整するための温度調整信号TS1〜TSnを用いて、空気供給調整装置12の調整ユニットが制御される。これにより、例えば冷却エア流を調整するためのエアルーバ、エアフラップまたはエアローラが開閉されるか、またはエンジン温度を冷却するために適した中間ポジションにすることができる。
【0033】
ファン13は、熱入力を調整するために、温度調整信号TS1〜TSnによってオンまたはオフにされる。必要に応じて、駆動ユニットの最適な冷却を確実にするため、ファン13の回転数も調整することができる。
【0034】
温度予測モジュール8によって特定された第2の予想パラメータP2は、予想温度変化に関するインフォメーションも含んでおり、これらのパラメータは速度調整装置Gの走行戦略モジュール3に戻されることも可能である。従って、該当する信号の流れは、温度調整装置Tから速度調整装置Gへのフィードバックも有している。これにより、温度調整装置Tとその調整ユニット10、11、12、13の負担を軽減するための走行戦略に介入することが可能となる。特に、温度調整装置Tのアクチュエータ動作があまりにも大きすぎるか、または冷却回路の第2の出力要求が設定可能な限界値を超えている場合、走行戦略を適合させることができる。従って、走行戦略モジュール3へのフィードバックにより、駆動ユニットの第1の出力要求と冷却回路の第2の出力要求とから成る全出力要求が最小化されるように、走行戦略を適合することが可能となる。
【0035】
これに対応して、評価ユニット9と温度予測モジュール8との間の信号の流れも逆向きに接続されている。特に回転数およびトルク要求などの出力要求を含んでいる温度調整信号TS1〜TSnが温度予測モジュール8へ戻されるため、将来的な温度変化の予測にこれらの値を考慮することが可能となる。従って、最適化方法または発見的調整戦略が実現可能であり、これは温度調整信号TS1〜TSnを特定するために温度予測モジュール8の事前の計算を必要とする。
【0036】
作動データモジュール2は、車両パラメータおよび走行パラメータFz、Fを、速度調整装置Gの走行戦略モジュール3と、温度調整装置Tの温度予測モジュール8との両方に提供する。従って、特に予想走行戦略および/または予想温度変化の中に運転者の介入を組み込むことができる。
【0037】
温度調整装置Tは、双方向インターフェースによって速度調整装置Gと接続されているため、データ交換を二方向で行うことができる。このことにより、特に、温度調整装置Tの高すぎる第2の出力要求に走行戦略を適合させることが可能となるため、自動車の全出力要求が最小化される。
【0038】
従って、自動車の出力要求を最適化するために、まず走行ルートパラメータStに対応した走行戦略を選択することができる。特に、これから走行する路面が急激に傾斜している場合、予測走行戦略がエンジン作動点の最適条件を選択すると考えられるため、第1の出力要求は僅かであり、駆動エネルギーの面では有利であるが、温度調整装置Tへの非常に大きな熱入力を発生する。必要に応じて調整される補助冷却があるにもかかわらず、将来的な冷却出力への高い要求が温度予測モジュール8によって予想される場合、これに対応する冷却回路の第2の出力要求が温度調整装置Tから速度調整装置Gにフィードバックされる。そのようなフィードバックは、特に、ポンプユニット10の圧送出力を含む予想冷却出力が危険な値に達する場合などに行われる。この走行戦略モジュール3は、見込まれる冷却回路の第2の出力要求を計算に入れて、全体のエネルギー面で有利な、自動車の駆動ユニットの新しい作動点を特定する。この場合、同じ作動点が再び特定されることもあるが、それは、高い冷却出力にもかかわらず、この作動点が全出力要求の最適条件と一致している場合である。しかし、それ以外では、第1の出力要求が高く、駆動エネルギー面では不利な作動点が選択されることもあり、その場合は、対応する熱入力が縮小される。従って、冷却回路のより小さな冷却出力が必要となり、第2の出力要求は、全エネルギー収支が縮小されるように削減される。
【符号の説明】
【0039】
1 予測モジュール
2 作動データモジュール
3 走行戦略モジュール
4 ギヤ選択モジュール
5 内燃機関用トルク設定モジュール
6 電気モータ用トルク設定モジュール
7 補助ブレーキ用トルク設定モジュール
8 温度予測モジュール
9 評価ユニット
10 ポンプユニット
11 サーモスタットバルブ
12 空気供給調整装置
13 ファン
F 走行パラメータ
Fz 車両パラメータ
G 速度調整装置
GS1〜GSn 速度調整パラメータ
P1 第1のパラメータ
P2 第2のパラメータ
St 走行ルートパラメータ
T 温度
TS1〜TSn 温度調整信号
図1