特許第5945338号(P5945338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945338
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】イメージング
(51)【国際特許分類】
   H04N 9/09 20060101AFI20160621BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   H04N9/09 A
   G02B5/18
【請求項の数】33
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-557096(P2014-557096)
(86)(22)【出願日】2012年3月20日
(65)【公表番号】特表2015-513824(P2015-513824A)
(43)【公表日】2015年5月14日
(86)【国際出願番号】FI2012050265
(87)【国際公開番号】WO2013140016
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2014年8月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ビルチュ ラドゥ
(72)【発明者】
【氏名】シュレイダー マーティン
【審査官】 鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−046748(JP,A)
【文献】 特表2004−523888(JP,A)
【文献】 特開2011−180426(JP,A)
【文献】 特開平10−098591(JP,A)
【文献】 特開昭53−046227(JP,A)
【文献】 特開平10−257276(JP,A)
【文献】 特開平06−347643(JP,A)
【文献】 特開2000−241614(JP,A)
【文献】 特開平11−220579(JP,A)
【文献】 特表2008−519289(JP,A)
【文献】 特開平10−155057(JP,A)
【文献】 特開2008−191612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 9/04 − 9/11
H04N 5/222− 5/257
H04N 5/30 − 5/378
G02B 5/18
G02B 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光の複数のスペクトル成分を各々異なる方向に導くように構成される、少なくともつの色分離用回折格子と;
前記スペクトル成分の一つ又は複数における分散を少なくとも部分的に補償するように構成される、一つ又は複数の別の回折格子と;
前記分散が補償されたスペクトル成分の一つ又は複数をフォーカスさせるように構成される光学系と;
前記フォーカスされたスペクトル成分の一つ又は複数を検出するように構成される一つ又は複数のイメージセンサと;を備える、装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つの色分離用回折格子は、少なくとも一つのスペクトル成分の伝播方向を少なくとも第1の方向に変化させるように構成され;
前記一つ又は複数の別の回折格子は、前記少なくとも一つのスペクトル成分の伝播方向を、前記変化の前と同じ方向に戻すように構成される;
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つの色分離用回折格子は、入射光の中の互いに異なる複数のスペクトル成分を、それぞれ異なる回折次数の方向に回折させるように構成される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つの色分離用回折格子は、光の特定のスペクトル成分を特定の回折次数へと回折させ、前記一つ又は複数の別の回折格子は、前記特定のスペクトル成分を、前記特定の回折次数とは反対の回折次数へと回折させる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つの色分離用回折格子は、光の第1のスペクトル成分を0次方向に回折させ、光の第2のスペクトル成分を+1次方向に回折させ、光の第3のスペクトル成分を−1次方向に回折させるように構成される、請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記一つ又は複数の別の回折格子は、光の第2のスペクトル成分を−1次方向に回折させ、光の第3のスペクトル成分を+1次方向に回折させるように構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
分散が補償されたスペクトル成分の各々は、同じ撮影領域からの光からなる、請求項1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つの色分離用回折格子は、基体のインカップリング型回折格子であり、前記一つ又は複数の別の回折格子は、基体のアウトカップリング型回折格子である、請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記基体は、光の少なくとも一つのスペクトル成分を内部で反射させるように構成されるライトガイドである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記一つ又は複数の別の回折格子は、単一の色分離用回折格子からなる、請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記一つ又は複数の別の回折格子は、一つ又は複数のブレーズド回折格子及び/又は一つ又は複数のスラント型回折格子を有する、請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも一つの色分離用回折格子へ向けて光を平行にするように構成される光学系を備える、請求項1から11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記一つ又は複数の別の回折格子は、前記第1のスペクトル成分に対しては設けられない、請求項6に記載の装置。
【請求項14】
前記光学系は、前記一つ又は複数の別の回折格子と前記一つ又は複数のイメージセンサとの間に配置される、請求項1から13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
各々分散が補償された2つの異なるスペクトル成分を検出するために、少なくとも2つのイメージセンサを有する、請求項1から14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
表示装置と、請求項1から15のいずれかに記載の装置とを備える電子機器。
【請求項17】
入射光中の互いに異なる複数のスペクトル成分をそれぞれ異なる方向に回折させることと;
一つ又は複数の別の回折格子で、前記スペクトル成分の一つ又は複数における分散を少なくとも部分的に補償することと;
前記分散が補償されたスペクトル成分の一つ又は複数をフォーカスさせることと;
前記フォーカスされたスペクトル成分の一つ又は複数を検出することと;を含む、方法。
【請求項18】
前記互いに異なる複数のスペクトル成分は、それぞれ異なる回折次数の方へ回折させられる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
光の特定のスペクトル成分を特定の回折次数の方へ回折させ、続いて前記特定のスペクトル成分を、前記特定の回折次数とは逆の次数の方へ回折させる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも一つの色分離用回折格子が、入射光の中の互いに異なる複数のスペクトル成分を、それぞれ異なる方向に回折させるように構成される、請求項17〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも一つの色分離用回折格子は、少なくとも一つのスペクトル成分の伝播方向を少なくとも第1の方向に変化させるように構成される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも一つの色分離用回折格子は、光の第1のスペクトル成分を0次方向に回折させ、光の第2のスペクトル成分を+1次方向に回折させ、光の第3のスペクトル成分を−1次方向に回折させるように構成される、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記分散が補償されたスペクトル成分の一つ又は複数をフォーカスさせるために光学系が使用され、前記光学系は、前記一つ又は複数の別の回折格子と前記一つ又は複数のイメージセンサとの間に配置される、請求項17から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記一つ又は複数の別の回折格子は、光の少なくとも一つのスペクトル成分の伝播方向を変化させる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記一つ又は複数の別の回折格子は、単一の色分離用回折格子からなる、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記一つ又は複数の別の回折格子は、一つ又は複数のブレーズド回折格子及び/又は一つ又は複数のスラント型回折格子を有する、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項27】
分散が補償されたスペクトル成分の各々は、同じ撮影領域からの光からなる、請求項17から26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
分散が補償された一つ又は複数のスペクトル成分は、一つ又は複数のイメージセンサにより検出される、請求項17から27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記一つ又は複数の別の回折格子は、前記第1のスペクトル成分に対しては設けられない、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
各々分散が補償された2つの異なるスペクトル成分を検出するために、少なくとも2つのイメージセンサが配される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
請求項17から30のいずれかに記載の方法を実行する手段を備える装置。
【請求項32】
入射光中の互いに異なる複数のスペクトル成分をそれぞれ異なる方向に回折させる手段と;
前記スペクトル成分の一つ又は複数における分散を少なくとも部分的に補償する手段であって、一つ又は複数の別の回折格子である、前記補償手段と;
前記分散が補償されたスペクトル成分の一つ又は複数をフォーカスさせる手段と;
前記フォーカスされたスペクトル成分の一つ又は複数を検出する手段と;
を備える、装置。
【請求項33】
入射光中の互いに異なる複数のスペクトル成分をそれぞれ異なる方向に回折させる前記手段は、少なくとも一つの色分離用回折格子であり
分散が補償されたスペクトル成分の一つ又は複数を検出する前記手段は、一つ又は複数のイメージセンサである;
請求項32に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態はイメージング技術に関する。より詳細には,本発明の実施形態は、色分離用回折格子を使用するイメージング技術に関する。
【背景】
【0002】
多くのイメージセンサは、赤,緑,青の光を感知する光感受性画素をベイヤーパターン配列に有している。各画素は、赤,緑,青のいずれかの光を通過させるフィルタを有している。ベイヤーパターン配列は、赤,緑,青を感知することのできる小型の画像センサを製造することを可能にするという利点を有している。しかしベイヤーパターン配列は、次のような不利も抱えている。
・ 特定の色の光だけを通過させる非常に小型のカラーフィルタを製造することは難しい。
・ 赤,緑,青で、画素の光感受性が変わってしまう傾向がある。
・ 異なる色を感知する画素を互いに近接して配することは、色漏れ(color leakage)を生ずる可能性がある。例えば、第1の色を感知するための画素の電荷が、隣接する第2の色を感知するための画素の電荷に影響を及ぼす可能性がある。
・ 多くの実装例において、センサ中の全ての画素に対して、露出時間及びアナログゲインが等しくなければならない。
・ RAW画像の解像度は"フル解像度"よりも低くなる。というのも、各位置において存在するのが、特定の一つの色を検知する一つの画素だけであるからである。存在していない色成分は画素補間により入手しなければならない。
【摘要】
【0003】
必ずしも全ての実施形態がそうであるわけではないが、様々な実施形態によれば、次のような装置が提供される。この装置は、入射光の複数のスペクトル成分を各々異なる方向に導くように構成される、少なくとも1つの色分離用回折格子と;前記スペクトル成分の一つ又は複数における分散を少なくとも部分的に補償するように構成される、一つ又は複数の別の回折格子と;分散が補償されたスペクトル成分の一つ又は複数を検出するように構成される一つ又は複数のイメージセンサと;を備える。
【0004】
必ずしも全ての実施形態がそうであるわけではないが、様々な実施形態によれば、次のような方法が提供される。この装置は、入射光中の互いに異なる複数のスペクトル成分をそれぞれ異なる方向に回折させることと;前記スペクトル成分の一つ又は複数における分散を少なくとも部分的に補償することと;分散が補償されたスペクトル成分の一つ又は複数を検出することと;を備える。
【0005】
必ずしも全ての実施形態がそうであるわけではないが、様々な実施形態によれば、次のような装置が提供される。この装置は、入射光中の互いに異なる複数のスペクトル成分をそれぞれ異なる方向に回折させる手段と;前記スペクトル成分の一つ又は複数における分散を少なくとも部分的に補償する手段と;分散が補償されたスペクトル成分の一つ又は複数を検出する手段と;を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の種々の例示的実施形態の理解に資するべく、例として次の添付図面を参照する。
図1】装置の機能の概要を描いたものである。
図2】方法のフローチャートを描いたものである。
図3】装置の第1実装例を描いたものである。
図4】装置の第2実装例を描いたものである。
【詳細説明】
【0007】
本発明の実施形態は、カラースペクトルの様々な部分を分離し、また光の分散(dispersion)を補償するために、色分離用回折格子(color separation diffraction grating )を使用することに関する。
【0008】
そして、図示される装置100,101,102は:入射光40の複数のスペクトル成分51−53を、それぞれ異なる方向に導くように構成される、色分離用回折格子10と;スペクトル成分51−53の一つ又は複数における分散(dispersion)を、少なくとも部分的に補償するように構成される、一つ又は複数の別の回折格子20と;
【0009】
を備える。分散が補償された光スペクトル成分61−63の一つ又は複数を検出するように構成される一つ又は複数のイメージセンサ30−33と;
【0010】
図1は、装置100の機能の概要を描いたものである。装置100は、例えば、携帯電話やパーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、PDA、ゲームコンソール、のいずれかの全部又はその一部であってもよい。
【0011】
図1に描かれる装置100は、少なくとも一つの色分離用回折格子10と、一つ又は複数の別の回折格子20と、一つ又は複数のイメージセンサ30とを備える。要素10,20,30は、協働しうるように互いに接続される。またこれらの間には、様々な中間要素やその組合せが存在しうる(中間要素が存在しない場合もある)。
【0012】
少なくとも一つの色分離用回折格子10は、入射光51−53の様々なスペクトル成分を、それぞれ異なる方向に導くように構成される。少なくとも一つの色分離用回折格子10は、例えば、プレートのような基体の表面に配されることができる。
【0013】
一つ又は複数の別の回折格子20は、光の様々なスペクトル成分51−53の一つ又は複数における分散(dispersion)を、少なくとも部分的に補償するように構成される。実装形態によっては、この一つ又は複数の別の回折格子20は、別の色分離用回折格子によって構成されてもよい。実装形態によっては、この一つ又は複数の別の回折格子20は、一つ又は複数のブレーズド回折格子(blazed grating)及び/又は一つ又は複数のスラント型回折格子(slanted grating)であるか、またはこれらから成るものであってもよい。
【0014】
上記一つ又は複数の別の回折格子20は、例えば、上述の基体/プレートの面とは異なる面に配されてもよい。上記基体は全長・幅・厚みを有するものであってもよいが、ここで前記全長は、前記幅と同じか又はそれより長い長さを有し、前記厚みは全長及び幅よりも長さが短い。一つ又は複数の別の回折格子20が配される面は、少なくとも一つの色分離用回折格子10が配される面に対して、上記基体の厚みの分だけ隔てられていてもよい。少なくとも一つの色分離用回折格子10は、基体のインカップリング型(in-coupling)回折格子であってもよく、一つ又は複数の別の回折格子20は、基体6のアウトカップリング型(out-coupling)回折格子であってもよい。
【0015】
一つ又は複数のイメージセンサ30は、如何なるタイプのイメージセンサであってもよい。これらは、分散が補償された光スペクトル成分61−63の一つ又は複数を検出するように構成される。各イメージセンサは各々異なるカラーフィルタを備えていてもよい。なお備えていない場合もある。
【0016】
本発明の実施形態に従う方法が、図1及び2を参照しながら説明される。
【0017】
図1には、装置100へ侵入する入射光40が描かれている。入射光40は装置100の開口部から入射する。入射光40は、特定の光景や撮影領域から放射されたものであり、装置100の開口部を通って到達するものである。光40は様々な色のスペクトル成分を含んでいる。
【0018】
図2のブロック201において、少なくとも一つの色分離用回折格子10は、入射光中の異なるスペクトル成分51−53を、それぞれ異なる方向へと回折させる。この例では、単一の色分離用回折格子10が用いられ、光の3つのスペクトル成分51−53を、それぞれ異なる三つの方向に回折させている。図1の矢印51−53は、各スペクトル成分の伝播方向を示している。
【0019】
入射光40の第1のスペクトル成分52(例えば光40の緑色成分)は0次の方向に導かれる。すなわち、その伝播方向は、事実上、色分離用回折格子10によって影響を受けない。
【0020】
入射光40の第2のスペクトル成分51(例えば光40の赤色成分)は、色分離用回折格子10によって、−1次の方向に導かれる。それによって、第2のスペクトル成分51の伝播方向は、少なくとも1次分だけ変化させられる。図1には、デカルト座標軸80も描かれている。図示される例において、第2のスペクトル成分51の伝播方向は、色分離用回折格子10によって、そのx成分が変化させられる。
【0021】
入射光40の第3のスペクトル成分53(例えば光40の青色成分)は、色分離用回折格子10によって、+1次の方向に導かれる。それによって、第3のスペクトル成分53の伝播方向は、少なくとも1次分だけ変化させられる。図示される例において、第3のスペクトル成分53の伝播方向も、色分離用回折格子10によって、そのx成分が変化させられる。
【0022】
色分離用回折格子10は、入射光40を、各々規定された波長を有する複数の異なるスペクトル成分に空間的に分離するように構成される。ここで、これら指定された波長のいずれかと少しだけ異なる波長を有する光は、色分離用回折格子10によって、(少しだけ)異なる形で回折させられる。これは、回折したスペクトル成分51−53のいずれかにおいて分散(dispersion)を生ずる(そしておそらく画像の品質を悪化させる)。
【0023】
図2のブロック202において、一つ又は複数の別の回折格子20は、光のスペクトル成分51−53のいずれか、又はいくつか、又は全部における分散を、少なくとも一部は補償する。これは、スペクトル成分51−53のいずれか、又はいくつか、又は全部を回折させることによって行われる。分散が補償されたスペクトル成分は、図1において、矢印61,62,63によって示されている。
【0024】
分散の補償は、一つ又は複数の別の回折格子20を用いることによって達成されるが、それは、少なくとも一つの色分離用回折格子10によって生じた、伝播方向における何らかの変化を反転させることにより達成される。例えば、本例においては、一つ又は複数の別の回折格子20は第2及び第3のスペクトル成分51,53の伝播方向をx方向において変化させる。それによって、これらのスペクトル成分は光40が色分離用回折格子10に入射したときと同じ方向に伝播するようになる。
【0025】
このような効果を得るために、一つ又は複数の別の回折格子20は、少なくとも一つの色分離用回折格子10と同じ格子周期(grating period)を有する。すなわち、同じ格子密度(grating density)を有する。
【0026】
図1に示した例では、一つ又は複数の別の回折格子20は、光の第2の(赤色の)スペクトル成分51を正の1次方向に回折させ、光の第3の(青色の)スペクトル成分53を負の1次方向に回折させる。これらは、少なくとも一つの色分離用回折格子10によって規定される、各スペクトル成分の回折次数のそれぞれ逆となっている。
【0027】
図2のブロック203において、一つ又は複数のイメージセンサ30は、分散が補償されたスペクトル成分61−63のいずれか一つ以上を検出する。本発明の実施形態によっては、分散が補償されたスペクトル成分61−63の一つ一つのために、異なるイメージセンサが設けられる。代替的に、本発明の別の実施形態によっては、分散が補償されたスペクトル成分61−63の一つ一つを検出するために、単一のセンサ上でそれぞれ異なる場所が使用されてもよい。
【0028】
各イメージセンサ又は各イメージセンサ部分により検出された情報は、結合されて、画像を形成する。有利であることに、分散が補償されたスペクトル成分61−63は、同じシーン又は同じ画像撮影領域から到来する光のスペクトル成分であるため、各イメージセンサ又は各イメージセンサ部分により検出された情報を結合する際に、検出された情報(画像)の位置合わせのような複雑な処理を行う必要はない。
【0029】
光を複数のスペクトル成分に空間的に分離するために、少なくとも一つの色分離用回折格子10を用いることも、また有利である。というのも、光のスペクトル成分の各々が、特定のスペクトル帯域を検出するために特化されたピクセルからなるイメージセンサ又はイメージセンサ部分により検出されることが可能になるからである。このことは、色漏れ(color leakage)を減少させるという結果を生む。というのも、異なる色を検出するためのピクセルがよく区別しているからである。また、イメージセンサ又はイメージセンサ部分の製造を容易にする。というのも、ベイヤーパターン配列で用いられる交互配列のカラーフィルタを用いる必要がないからである。
【0030】
さらに、異なるスペクトル成分に対して異なるイメージセンサ又はイメージセンサ部分を用いることは、特定の帯域において特に感度の良いイメージセンサを、当該帯域のために選択することを可能にする。
【0031】
図3は、図1の機能概念図に描かれる装置100の第1の実装例101を描いたものである。図3に描かれる装置101は、開口部4、複数のイメージセンサ31,32,33、オブジェクト側の光学系8、センサ側の光学系71,72,73、基体6を有する。基体6は第1の面及び第2の面を有し、第1の面には少なくとも一つの色分離用回折格子101が配され、第2の面には複数の別の回折格子21,22が配されている。少なくとも一つの色分離用回折格子101は、基体6のインカップリング型(in-coupling)回折格子であってもよく、回折格子21,22は、基体6のアウトカップリング型(out-coupling)回折格子であってもよい。
【0032】
オブジェクト側の光学系8及びセンサ側の各光学系71,72,73は、一つ又は複数のレンズのような、一つ又は複数の光学デバイスであるか、そのような光学デバイスを備えてもよい。
【0033】
図3には、開口部4から入射する光41が描かれている。この実装例において、オブジェクト側の光学系8は、オブジェクトから放射される光線41を平行にし、オブジェクトの各点について、平行な光ビームを色分離用回折格子10に入射させるように構成される。各平行光ビームは、特定の入射角/画角をもって色分離用回折格子10に入射する。
【0034】
色分離用回折格子10は、各平行光ビームを回折させる。その結果、図3の矢印51−53に描かれるように、スペクトル成分毎にそれぞれ異なる方向へと回折させられる。
【0035】
この例において、0次の方向へ導かれる第1のスペクトル成分52(例えば緑色の光)は回折させられない。第1のスペクトル成分52は、第1のセンサ側光学系72によって、第1のイメージセンサ32上にフォーカスされる。
【0036】
第1及び第2のブレーズド回折格子またはスラント型回折格子21,22は、それぞれ第2及び第3のスペクトル成分51,53(例えばそれぞれ赤色光及び青色光)を回折させる。これらは第2及び第3のスペクトル成分51,53中の分散を少なくとも一部補償する。
【0037】
図1に関して説明したように、回折格子21,22は、色分離用回折格子10によって伝播方向に生じた何らかの変化を反転させる。本例においては、図1の例と同様に、回折格子21,22は、第2及び第3のスペクトル成分51,53の伝播方向をx方向において変化させる。それによって、これらのスペクトル成分は、色分離用回折格子10に入射する平行光と同じ方向に伝播するようになる。従って、撮影対象オブジェクトの特定の点から放射される光は、オブジェクト側の光学系8に入射した時の入射角/画角と同じ入射角/画角で、センサ側の光学系71,73に入射することになる。このため、各イメージセンサ31−33において、正確な光学イメージが形成されることになる。
【0038】
各イメージセンサ31−33は、導かれた光から、分散が補償されたスペクトル成分の色を有する画像を検出する。各イメージセンサ31−33は、それぞれ通過色の異なるカラーフィルタを有していてもよい。しかし、色分離用回折格子10がそれぞれ異なる複数のスペクトル成分に分離しているので、イメージセンサ31−33にカラーフィルタを設ける必要はない。
【0039】
イメージセンサ31−33により形成される画像は、完全なカラー画像を形成するために、結合されてもよい。
【0040】
図4は、図1の機能概念図に描かれる装置100の第2の実装例102を描いたものである。第2の実装例102は、一つ又は複数の別の回折格子20が、第1及び第2のブレーズド回折格子またはスラント型回折格子21,22の代わりに、第2の色分離用回折格子23を備えるところが、第1の実装例101と異なっている。
【0041】
この実装例において、第2の色分離用回折格子23は、第1の色分離用回折格子10と同じものであってもよいが、異なる方向に向けられている。第2の色分離用回折格子23は、第2及び第3のスペクトル成分51,53の伝播方向について、第1の色分離用回折格子10によって生じた変化と反対の変化を生じさせるように配される。
【0042】
図2のブロックを特定の順序で図示することは、当該ブロックに必須のまたは望ましい順序があることを必ずしも示唆していない。こうしたブロックの順序や配置構成は変えられてもよい。また、一部のブロックが省略されることも可能である。
【0043】
前述の通り、本発明の様々な実施形態が様々な実施例と共に説明されてきたが、当然のこととして、特許請求の範囲にある本発明の範囲を逸脱することなく実施例の変形が可能である。例えば、実施形態によっては、基体6はライトガイドとして用いられてもよく、内部で光が反射してもよい。イメージセンサ31−33は、それぞれ同じ解像度を有していても良く、また互いに異なる解像度を有していてもよい。イメージセンサ31−33の各々でキャプチャされる画像のために、異なるセッティングが用いられてもよい。センサ側の光学系71,72,73は、同調して制御されてもよいし、別々に制御されてもよい。
【0044】
上述の例において、光の第2及び第3のスペクトル成分51,53は、色分離用回折格子10によって−1次および+1次の方向に回折させられていた。別の例では、第2及び第3のスペクトル成分51,53のいずれか又は両方は、より高次の方向に回折させられてもよい。そのような例においては、一つ又は複数の別の回折格子20は、第2及び第3のスペクトル成分51,53を、第1の色分離用回折格子10による回折次数とは反対の高次回折次数の方向に回折させる。
【0045】
これまでに記述してきた事項は、明示的に記述された組合せだけでなく、それ以外の組合せで用いられてもよい。
【0046】
特定の事項を参照して種々の機能を記述してきたが、こうした機能は、記述の有無を問わずその他の事項によって遂行可能であってもよい。
【0047】
特定の実施形態を参照して種々の事項を記述してきたが、こうした事項は、記述の有無を問わずその他の実施形態で用いられてもよい。
【0048】
前述のように本明細書において、とりわけ重要であると考えられる本発明のこうした事項に注目するように努めてきた。しかし、前述した特許されうる全ての事項およびそれらの組合せに対して、参照された添付の図面にそうした事項が特段強調されていたかどうかにかかわらず、本出願人はその保護を求めるものである点を理解されたい。
図1
図2
図3
図4