特許第5945366号(P5945366)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボルボ コンストラクション イクイップメント アーベーの特許一覧

<>
  • 特許5945366-建設機械用油圧システム 図000002
  • 特許5945366-建設機械用油圧システム 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945366
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】建設機械用油圧システム
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/00 20060101AFI20160621BHJP
   F15B 11/08 20060101ALI20160621BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   F15B11/00 M
   F15B11/08 A
   E02F9/20 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-506874(P2015-506874)
(86)(22)【出願日】2012年4月17日
(65)【公表番号】特表2015-514942(P2015-514942A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】KR2012002918
(87)【国際公開番号】WO2013157672
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2014年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】502032378
【氏名又は名称】ボルボ コンストラクション イクイップメント アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペ サンギ
(72)【発明者】
【氏名】イ ジェフン
【審査官】 冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−192905(JP,A)
【文献】 特開2007−051781(JP,A)
【文献】 特開2011−017427(JP,A)
【文献】 国際公開第97/003292(WO,A1)
【文献】 特開平08−093002(JP,A)
【文献】 国際公開第92/009809(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00−11/22
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(図示せず)に接続される可変容量型油圧ポンプと、
運転者による操作量に比例して操作信号をそれぞれ出力する作業装置用操作装置及び旋回用操作装置と、
前記可変容量型油圧ポンプの吐出流路に接続され、前記作業装置用操作装置の操作により駆動される少なくとも一つ以上の作業装置用アクチュエータと、
前記吐出流路に配設され、前記作業装置用操作装置の操作により切り換えられるときに前記作業装置用アクチュエータの起動、停止及び方向切換えを制御する第1制御弁と、
前記吐出流路から分岐された流路に接続され、前記旋回用操作装置の操作により駆動される旋回モータと、
前記流路に配設され、前記旋回用操作装置の操作により切り換えられるときに前記旋回モータの起動、停止及び方向切換えを制御する第2制御弁と、
前記作業装置用アクチュエータの負荷圧力を検出する流路に配設され、検出された負荷圧力のうち最大の圧力を有する逆止弁と、
前記吐出流路の下流側に配設され、最大のロードセンシング圧力と前記吐出流路の下流側の圧力との差分により開口量が制御される第1圧力補償弁と、
前記流路の下流側に配設され、最大のロードセンシング圧力と流路下流側の圧力との差分により開口量が制御される第2圧力補償弁と、
前記可変容量型油圧ポンプの吐出圧力を検出する圧力センサと、
最大のロードセンシング圧力ラインの圧力を検出する最大負荷圧力センサと、
前記作業装置用操作装置の操作量を検出する作業装置操作量検出手段と、
前記旋回用操作装置の操作量を検出する旋回操作量検出手段と、
前記圧力センサ、前記最大負荷圧力センサ、前記作業装置操作量検出手段及び前記旋回操作量検出手段による検出値がそれぞれ入力され、前記可変容量型油圧ポンプの吐出流量を流量制御弁により制御するために制御信号を出力する制御部と、
を備え、
前記第1圧力補償弁の出口ポートのうちのいずれか一方が前記第1制御弁のスプールを介して前記作業装置用アクチュエータに接続され、前記第1圧力補償弁の出口ポートのうちのいずれか他方が前記最大のロードセンシング圧力ラインに接続され、
前記第2圧力補償弁の出口ポートのうちのいずれか一方が前記第2制御弁のスプールを介して前記旋回モータに接続され、前記第2圧力補償弁の出口ポートのうちのいずれか他方が前記最大のロードセンシング圧力ラインに接続されることなく、前記旋回モータの負荷圧力を検出する旋回負荷圧力センサに接続される
ことを特徴とする建設機械用油圧システム。
【請求項2】
前記作業装置用操作装置及び前記旋回用操作装置が油圧式ジョイスティックであるとき、前記作業装置操作量検出手段及び前記旋回操作量検出手段は圧力センサからなる
ことを特徴とする請求項1に記載の建設機械用油圧システム。
【請求項3】
前記作業装置用操作装置及び前記旋回用操作装置が電気式ジョイスティックであるとき、前記作業装置操作量検出手段及び前記旋回操作量検出手段はポテンショメータからなる
ことを特徴とする請求項1に記載の建設機械用油圧システム。
【請求項4】
前記作業装置用操作装置及び前記旋回用操作装置が電気式ジョイスティックであるとき、前記作業装置操作量検出手段及び前記旋回操作量検出手段はホールセンサからなる
ことを特徴とする請求項1に記載の建設機械用油圧システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械用油圧システムに係り、さらに詳しくは、圧力補償弁が備えられた油圧システムにおいて、旋回操作及び作業装置操作の複合作動に際して操作性を向上できるようにした建設機械用油圧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、従来の技術による建設機械用油圧システムは、
エンジン(図示せず)に接続される可変容量型油圧ポンプ1(以下、油圧ポンプと称する)と、
運転者による操作量に比例して操作信号をそれぞれ出力する作業装置用操作装置2及び旋回用操作装置3と、
油圧ポンプ1の吐出流路4に接続され、作業装置用操作装置2の操作により駆動される少なくとも一つ以上の作業装置用アクチュエータ5と、
吐出流路4から分岐された流路6に接続され、旋回用操作装置3の操作により駆動される旋回モータ7と、
吐出流路4に配設され、作業装置用操作装置2の操作により切り換えられるときにアクチュエータ5の起動、停止及び方向切換えを制御する少なくとも一つ以上の第1制御弁8と、
流路6に配設され、旋回用操作装置3の操作により切り換えられるときに旋回モータ7の起動、停止及び方向切換えを制御する第2制御弁9と、
作業装置用アクチュエータ5の負荷圧力(load pressure)を検出する流路aと旋回モータ7の負荷圧力を検出する流路bを接続するが、これらの負荷圧力のうち最大の圧力(すなわち、最大のロードセンシング圧力のことをいう)を有するように流路a、bにそれぞれ配設される逆止弁20、21と、
吐出流路4の下流側に配設され、最大のロードセンシング圧力(max load sensing pressure)と吐出流路4の下流側圧力との差分により開口量が制御される第1圧力補償弁10と、
流路6の下流側に配設され、最大のロードセンシング圧力と流路6の下流側圧力との差分により開口量が制御される第2圧力補償弁11と、
作業装置用操作装置2の操作量を検出する作業装置操作量検出手段14と、旋回用操作装置3の操作量を検出する旋回操作量検出手段15と、最大のロードセンシング圧力を検出する最大負荷圧力センサ13及び油圧ポンプ1の吐出圧力を検出する圧力センサ12による検出値がそれぞれ入力され、油圧ポンプ1の吐出流量を流量制御弁17により制御するための制御信号を出力する制御部16と、を備える。
【0003】
上述したように、圧力補償弁(pressure compensated valve)が配備され、且つ、ロードセンシング弁が適用される掘削機において、油圧ポンプ1の吐出圧力を検出する圧力センサ12により検出された油圧ポンプ吐出圧力値と、最大のロードセンシング圧力を検出する最大負荷圧力センサ13により検出された最大の負荷圧力値との差分がある設定値以上であるときに、流量制御弁17により油圧ポンプ1の吐出流量を低減するように制御することができる。すなわち、制御部16においては、上述した圧力差が大きいときに油圧ポンプ1の吐出流量を低減し、圧力差が小さいときに油圧ポンプ1の吐出流量を増大させるように制御する。
【0004】
すなわち、作業装置用アクチュエータ5の負荷圧力が低いとき、旋回モータ7の負荷圧力が最大のロードセンシング圧力となり、第1及び第2圧力補償弁10、11により最大のロードセンシング圧力よりも小さな負荷圧力を有する第1圧力補償弁10の開口面積を縮小させる。これにより、作業装置用アクチュエータ5及び旋回モータ7の最大のロードセンシング圧力に見合う圧力が形成されて複合操作性を確保することができる。
【0005】
一方、旋回用操作装置3の操作により旋回モータ7を駆動し、これと同時に作業装置用操作装置2を操作する複合作動であるとき、旋回側の負荷圧力が相対的に非常に高くなる。これにより、作業装置に接続された第1圧力補償弁10のスプールがほとんど閉止される方向に切り換えられるため、作業装置用アクチュエータ5に供給される流量が少なくなる。したがって、ブームなどの作業装置がほとんど駆動されず、複合操作性が低下するという問題点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、圧力補償弁が備えられた建設機械の作業装置及び旋回を操作して複合作動を行うに際して、操作性及び燃費を向上できるようにした建設機械用油圧システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による建設機械用油圧システムは、
エンジン(図示せず)に接続される可変容量型油圧ポンプと、
運転者による操作量に比例して操作信号をそれぞれ出力する作業装置用操作装置及び旋回用操作装置と、
可変容量型油圧ポンプの吐出流路に接続され、作業装置用操作装置の操作により駆動される少なくとも一つ以上の作業装置用アクチュエータと、
吐出流路に配設され、作業装置用操作装置の操作により切り換えられるときに作業装置用アクチュエータの起動、停止及び方向切換えを制御する第1制御弁と、
吐出流路から分岐された流路に接続され、旋回用操作装置の操作により駆動される旋回モータと、
流路に配設され、旋回用操作装置の操作により切り換えられるときに旋回モータの起動、停止及び方向切換えを制御する第2制御弁と、
作業装置用アクチュエータの負荷圧力を検出する流路に配設され、検出された負荷圧力のうち最大の圧力を有する逆止弁と、
吐出流路の下流側に配設され、最大のロードセンシング圧力と吐出流路の下流側の圧力との差分により開口量が制御される第1圧力補償弁と、
流路の下流側に配設され、最大のロードセンシング圧力と流路下流側の圧力との差分により開口量が制御される第2圧力補償弁と、
可変容量型油圧ポンプの吐出圧力を検出する圧力センサと、
最大のロードセンシング圧力ラインの圧力を検出する最大負荷圧力センサと、
作業装置用操作装置の操作量を検出する作業装置操作量検出手段と、
旋回用操作装置の操作量を検出する旋回操作量検出手段と、
圧力センサ、最大負荷圧力センサ、作業装置操作量検出手段及び旋回操作量検出手段による検出値がそれぞれ入力され、可変容量型油圧ポンプの吐出流量を流量制御弁により制御するために制御信号を出力する制御部と、
を備え、
第1圧力補償弁の出口ポートのうちのいずれか一方が第1制御弁のスプールを介して作業装置用アクチュエータに接続され、第1圧力補償弁の出口ポートのうちのいずれか他方が最大のロードセンシング圧力ラインに接続され、
第2圧力補償弁の出口ポートのうちのいずれか一方が第2制御弁のスプールを介して旋回モータに接続され、第2圧力補償弁の出口ポートのうちのいずれか他方が最大のロードセンシング圧力ラインに接続されることなく、旋回モータの負荷圧力を検出する旋回負荷圧力センサに接続される。
【0008】
好適な実施形態によれば、上述した作業装置用操作装置及び旋回用操作装置が油圧式ジョイスティックであるとき、作業装置操作量検出手段及び旋回操作量検出手段は圧力センサからなる。
【0009】
上述した作業装置用操作装置及び旋回用操作装置が電気式ジョイスティックであるとき、作業装置操作量検出手段及び旋回操作量検出手段はポテンショメータからなる。
【0010】
上述した作業装置用操作装置及び旋回用操作装置が電気式ジョイスティックであるとき、作業装置操作量検出手段及び旋回操作量検出手段はホールセンサからなる。
【発明の効果】
【0011】
上述した構成を有する本発明の実施形態による建設機械用油圧システムは、下記のメリットを有する。
【0012】
旋回及び作業装置を操作して複合作動を行う際、操作性の改善により作業性を向上させることができ、可変容量型油圧ポンプと作業装置の負荷圧力差が設定値を超えると可変容量型油圧ポンプの吐出流量を低減して制御するので燃費を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来の技術による建設機械用油圧システムの油圧回路図である。
図2】本発明の一実施形態による建設機械用油圧システムの油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について詳述するが、これは本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が発明を容易に実施できる程度に詳細に説明するためのものであり、これにより本発明の技術的な思想及び範疇が限定されることはない。
【0015】
図2に示す本発明の一実施形態による建設機械用油圧システムは、
エンジン(図示せず)に接続される可変容量型油圧ポンプ1(以下、油圧ポンプと称する)と、
運転者による操作量に比例して操作信号をそれぞれ出力する作業装置用操作装置(actuator joystick)2及び旋回用操作装置(swing joystick)3と、
油圧ポンプ1の吐出流路4に接続され、作業装置用操作装置2の操作により駆動される少なくとも一つ以上の作業装置用アクチュエータ5(図面には一つしか図示されていないが、ブーム、アームなどを駆動するそれぞれの油圧アクチュエータのことをいう)と、
吐出流路4に配設され、作業装置用操作装置2の操作により切り換えられるときにアクチュエータ5の起動、停止及び方向切換えを制御する少なくとも一つ以上の第1制御弁(作業装置用スプールのことをいう)8と、
吐出流路4から分岐された流路6に接続され、旋回用操作装置3の操作により駆動される旋回モータ(swing motor)7と、
流路6に配設され、旋回用操作装置3の操作により切り換えられるときに旋回モータ7の起動、停止及び方向切換えを制御する第2制御弁(旋回用スプールのことをいう)9と、
作業装置用アクチュエータ5の負荷圧力を検出する流路aに配設され、検出された負荷圧力のうち最大の圧力を有する逆止弁20と、
吐出流路4の下流側に配設され、最大のロードセンシング(max load sensing)圧力と吐出流路4の下流側の圧力との差分により開口量が制御される第1圧力補償弁10と、
流路6の下流側に配設され、最大のロードセンシング圧力と流路6下流側の圧力との差分により開口量が制御される第2圧力補償弁11と、
油圧ポンプ1の吐出圧力を検出する圧力センサ12と、
最大のロードセンシング圧力ライン19の圧力を検出する最大負荷圧力センサ13と、
作業装置用操作装置2の操作量を検出する作業装置操作量検出手段14と、
旋回用操作装置3の操作量を検出する旋回操作量検出手段15と、
油圧ポンプ1の吐出圧力を検出する圧力センサ12、最大負荷圧力センサ13、作業装置用操作装置2の操作量を検出する作業装置操作量検出手段14及び旋回用操作装置3の操作量を検出する旋回操作量検出手段15による検出値がそれぞれ入力され、油圧ポンプ1の吐出流量を流量制御弁17により制御するために制御信号を出力する制御部16と、
を備え、
第1圧力補償弁10は、この出口ポートのうちのいずれか一方が第1制御弁8のスプールを介して作業装置用アクチュエータ5に接続され、出口ポートのうちのいずれか他方が最大のロードセンシング圧力ライン19に接続され、
第2圧力補償弁11は、この出口ポートのうちのいずれか一方が第2制御弁9のスプールを介して旋回モータ7に接続され、出口ポートのうちのいずれか他方が最大のロードセンシング圧力ライン19に接続されることなく、旋回モータ7の負荷圧力を検出する旋回負荷圧力センサ18に接続される。
【0016】
上述した構成を有する油圧システムによれば、上述した制御部16は旋回負荷圧力センサ18により検出された旋回モータ7の負荷圧力値と、最大負荷圧力センサ13により検出された最大のロードセンシング圧力値を比較して大きな方の圧力値を選択する。前記選択された圧力値と油圧ポンプ吐出圧力センサ12により検出された圧力値との差分が設定値を超えると、油圧ポンプ1の吐出流量を低減するように制御するので燃費を向上させることができる。
【0017】
一方、上述した作業装置用操作装置2及び旋回用操作装置3が油圧式ジョイスティックであるとき、作業装置操作量検出手段14及び旋回操作量検出手段15は圧力センサからなることができる。
【0018】
上述した作業装置用操作装置2及び旋回用操作装置3が電気式ジョイスティックであるとき、作業装置操作量検出手段14及び旋回操作量検出手段15はポテンショメータからなることができる。
【0019】
上述した作業装置用操作装置2及び旋回用操作装置3が電気式ジョイスティックであるとき、作業装置操作量検出手段14及び旋回操作量検出手段15はホールセンサからなることができる。
【0020】
以下、添付図面に基づき、本発明の一実施形態による建設機械用油圧システムの使用例について詳細に説明する。
【0021】
図2に示すように、運転者により旋回用操作装置3を操作して旋回モータ7を駆動し、これと同時に作業装置用操作装置2を操作してブームやアームの作業装置を操作する複合作動であるとき、旋回側の負荷圧力が相対的に非常に高く形成される。このとき、旋回側の負荷圧力を最大のロードセンシング圧力ライン19に伝達する流路が遮断された状態であるため、旋回モータ7側に発生する過度な圧力が最大のロードセンシング圧力ライン19に伝達されない。これにより、ブームなどの作業装置に接続される第1圧力補償弁10のスプールが閉止されないため、油圧ポンプ1から吐出される作動油をブームなどの作業装置用アクチュエータ5に円滑に供給することができる。
【0022】
したがって、掘削機の旋回操作に際してブームなどの作業装置を操作して複合作動を行うときであっても、複合操作性を向上させることができる。
【0023】
一方、上述した旋回モータ7を駆動して単独で旋回操作を行うとき、旋回モータ7側に発生する圧力が最大のロードセンシング圧力ライン19に伝達されないため、最大負荷圧力センサ13により検出される最大のロードセンシング圧力ライン19の圧力値は油圧タンクTの圧力値に等しい。このとき、油圧ポンプ吐出圧力センサ12により検出される圧力値は旋回モータ7の負荷圧力に等しく、最大負荷圧力センサ13により検出される圧力値は油圧タンクTの圧力値に等しい。これらの圧力値の差分が設定された圧力値を超えてしまう結果、制御部16は油圧ポンプ流量制御弁17を制御して油圧ポンプ1の吐出流量を低減する。これにより、単独で旋回操作を行うときに操作性が低下してしまう。
【0024】
このように単独で旋回操作を行うときに操作性が低下することは、旋回モータ7の負荷圧力を検出する旋回負荷圧力センサ18により解消することができる。旋回負荷圧力センサ18が、旋回モータ7側の負荷圧力が最大のロードセンシング圧力ライン19に伝達されないように遮断した流路に配設されている。これにより、旋回モータ7側に発生する負荷圧力を旋回負荷圧力センサ18により検出して検出信号を制御部16に転送する。このため、制御部16は、旋回モータ7側の負荷圧力と最大負荷圧力センサ13により検出される圧力値を比較して大きな方の圧力値を基準値として選択する。選択された圧力値と油圧ポンプ吐出圧力センサ12により検出された圧力値との差分が設定値を超えると、油圧ポンプ1の吐出流量を低減するように制御するので、単独で旋回操作を行うときにも操作性を確保することができる。
【0025】
上述したように、旋回操作に際してブームなどの作業装置を操作して複合作動を行うとき、旋回モータ7側に発生する負荷圧力が最大のロードセンシング圧力ライン19に伝達されない。これにより、第1圧力補償弁10のスプールが閉止されないため、油圧ポンプ1の作動油を作業装置用アクチュエータ5に円滑に供給することができる。
【0026】
また、単独で旋回操作を行うとき、旋回負荷圧力センサ18により検出される旋回モータ7側の負荷圧力と最大負荷圧力センサ13により検出される最大のロードセンシング圧力ライン19の圧力値のうち大きな方の値と、油圧ポンプ吐出圧力センサ12により検出された圧力値との差分が設定値を超えるときにのみ油圧ポンプ1の吐出流量を低減するように制御する。これにより、単独の旋回操作により旋回モータ7側の負荷圧力と油圧ポンプ吐出圧力センサ12により検出された圧力値との差分が設定値を超えないかぎり、油圧ポンプ1からの作動油を旋回モータ7側に円滑に供給することができる。
【0027】
以上述べたように、本発明の実施形態による建設機械用油圧システムによれば、旋回操作及びブームなどの作業装置操作の複合作動に際して操作性を向上させることができる。油圧ポンプと作業装置の負荷圧力差が設定値を超える場合に油圧ポンプ吐出流量を低減して制御するため燃費を向上させることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 可変容量型油圧ポンプ(油圧ポンプ)
2 作業装置用操作装置
3 旋回用操作装置
4 吐出流路
5 作業装置用アクチュエータ
6 流路
7 旋回モータ
8 第1制御弁
9 第2制御弁
10 第1圧力補償弁
11 第2圧力補償弁
12 油圧ポンプ吐出圧力センサ(圧力センサ)
13 最大負荷圧力センサ
14 作業装置操作量検出手段
15 旋回操作量検出手段
16 制御部
17 油圧ポンプ流量制御弁
18 旋回負荷圧力センサ
19 最大のロードセンシング圧力ライン
図1
図2