(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係るデジタル放送受信制御装置についての第一の実施形態を適用したナビゲーション装置について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1に、ナビゲーション装置100の全体構成図を示す。ナビゲーション装置100は、地図情報を表示して、ナビゲーション装置100の現在地を示す地点と、設定された目的地までの経路を誘導する情報とを示すことが可能ないわゆるナビゲーション装置である。
【0013】
ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4(音声入力装置としてマイクロフォン41、音声出力装置としてスピーカ42を備える)と、入力装置5と、ROM装置6と、車速センサ7と、ジャイロセンサ8と、GPS(Global Positioning System)受信装置9と、FM多重放送受信装置10と、ビーコン受信装置11と、デジタル放送を受信するデジタル放送受信装置12と、を備えている。
【0014】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種センサ7,8やGPS受信装置9、FM多重放送受信装置10等から出力される情報に基づいて現在地を算出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3あるいはROM装置6から読み出す。
【0015】
また、演算処理部1は、読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ2へ表示する。また、記憶装置3あるいはROM装置6に記憶されている地図データ等を用いて、ユーザから指示された出発地又は現在地と、目的地(または、経由地や立ち寄り地)とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。また、スピーカ42やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0016】
ナビゲーション装置100の演算処理部1は、各デバイス間をバス25で接続した構成である。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、各種ハードウェアを演算処理部1と接続するためのI/F(インターフェイス)24と、を有する。
【0017】
ディスプレイ2は、演算処理部1等で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ2は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどで構成される。
【0018】
記憶装置3は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリカードといった、少なくとも読み書きが可能な記憶媒体で構成される。
【0019】
この記憶媒体には、通常の経路探索装置に必要な地図データ(地図上の道路を構成するリンクのリンクデータを含む)であるリンクテーブル200と、所属する放送局ごとに局の位置および出力電力等が対応付けられた情報を格納する受信エリアテーブル300と、が記憶されている。
【0020】
図2は、リンクテーブル200の構成を示す図である。リンクテーブル200は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)201ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ202を含んでいる。
【0021】
リンクデータ202は、リンクの識別子であるリンクID211ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報222、リンクを含む道路の種別を示す道路種別223、リンクの長さを示すリンク長224、予め記憶されたリンク旅行時間225、開始接続リンクおよび終了接続リンク226、リンクを含む道路の制限速度を示す制限速度227などを含んでいる。なお、開始接続リンクおよび終了接続リンク226は、当該リンクの開始ノードに接続するリンクである開始接続リンクと、当該リンクの終了ノードに接続するリンクである終了接続リンクと、を特定する情報である。
【0022】
なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードとを区別することで、同じ道路の上り方向と下り方向とを、それぞれ別のリンクとして管理するようにしているが、これに限られない。例えば、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードとを区別しないものであってもよい。
【0023】
図3は、受信エリアテーブル300の構成を示す図である。受信エリアテーブル300は、放送局の系列を特定する情報である系列301と、放送局を特定する情報である局識別子302と、放送局の位置を特定する情報である局位置303と、出力される放送波の電界の強さを示す出力電力304と、を対応付けた情報を含んでいる。
【0024】
図1に戻って説明する。音声入出力装置4は、音声入力装置としてマイクロフォン41と、音声出力装置としてスピーカ42と、を備える。マイクロフォン41は、ユーザやその他の搭乗者が発した声などのナビゲーション装置100の外部の音声を取得する。
【0025】
スピーカ42は、演算処理部1で生成されたユーザへのメッセージを音声として出力する。マイクロフォン41とスピーカ42は、車両の所定の部位に、別個に配されている。ただし、一体の筐体に収納されていても良い。ナビゲーション装置100は、マイクロフォン41及びスピーカ42を、それぞれ複数備えることができる。
【0026】
入力装置5は、ユーザからの指示をユーザによる操作を介して受け付ける装置である。入力装置5は、タッチパネル51と、ダイヤルスイッチ52と、その他のハードスイッチ(図示しない)であるスクロールキー、縮尺変更キーなどで構成される。また、入力装置5には、ナビゲーション装置100に対して遠隔で操作指示を行うことができるリモートコントローラが含まれる。リモートコントローラは、ダイヤルスイッチやスクロールキー、縮尺変更キーなどを備え、各キーやスイッチが操作された情報をナビゲーション装置100に送出することができる。
【0027】
タッチパネル51は、ディスプレイ2の表示面側に搭載され、表示画面を透視可能である。タッチパネル51は、ディスプレイ2に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して出力する。タッチパネル51は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。なお、タッチパネル51は、同時に複数のタッチ位置を検出することのできるマルチタッチを実現できるものであってもよいが、本願発明に係るコスト効果がより高いと考えられるのは、同時に一か所のタッチ位置を検出できるシングルタッチ対応の安価なタッチパネルであるといえる。
【0028】
ダイヤルスイッチ52は、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、演算処理部1に出力する。演算処理部1では、パルス信号の数から、回転角度を求める。
【0029】
ROM装置6は、CD-ROMやDVD-ROM等のROM(Read Only Memory)や、IC(Integrated Circuit)カードといった、少なくとも読み取りが可能な記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、例えば、動画データや、音声データなどが記憶されている。
【0030】
車速センサ7,ジャイロセンサ8およびGPS受信装置9は、ナビゲーション装置100で現在地(自車位置)を検出するために使用されるものである。車速センサ7は、車速を算出するのに用いる値を出力するセンサである。ジャイロセンサ8は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するものである。GPS受信装置9は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率とを3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在地、進行速度および進行方位を測定するものである。
【0031】
FM多重放送受信装置10は、FM放送局から送られてくるFM多重放送信号を受信する。FM多重放送には、VICS(Vehicle Information Communication System:登録商標)情報の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報などやFM多重一般情報としてラジオ局が提供する文字情報などがある。
【0032】
ビーコン受信装置11は、VICS情報などの概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報や緊急警報などを受信する。例えば、光により通信する光ビーコン、電波により通信する電波ビーコン等の受信装置である。
【0033】
図4は、演算処理部1の機能ブロック図である。図示するように、演算処理部1は、基本制御部101と、入力受付部102と、出力処理部103と、経路探索部104と、経路誘導部105と、を有する。
【0034】
基本制御部101は、様々な処理を行う中心的な機能部であり、処理内容に応じて、他の処理部を制御する。また、各種センサ、GPS受信装置9等の情報を取得し、マップマッチング処理等を行って現在地を特定する。また、随時、移動(走行)した日付および時刻と、位置と、を対応付けて、リンクごとに走行履歴を記憶装置3に記憶する。さらに、各処理部からの要求に応じて、現在時刻を出力する。
【0035】
また、基本制御部101は、デジタル放送受信装置12からの依頼に応じて、現在地が属する道路(リンク)と接続され、道路種別が同じかまたは上位となる道路を、走行に限らず、徒歩を含む通行が予測される進行方向に応じて走行予測経路として特定する。
【0036】
また、基本制御部101は、デジタル放送受信装置12からの依頼に応じて、所定の二地点間の距離を算出する。具体的には、二地点の座標情報、例えば緯度経度の情報を用いて、二地点の直線距離を算出する。
【0037】
また、基本制御部101は、デジタル放送受信装置12からの依頼に応じて、所定の走行予測経路と、受信エリアテーブル300に格納された放送局から送信される放送波の受信エリアとの位置関係に応じて、当該受信エリアへの進入地点と、当該受信エリアからの退出地点と、を進入地点が現在地から近い順に特定する。
【0038】
また、基本制御部101は、デジタル放送受信装置12からの依頼に応じて、所定の放送波の受信可能エリアにおいて、2ダイバーによる一方の系列を用いたチャンネルサーチを行うのにかかる所定の予想時間の間に移動する距離を算出する。具体的には、基本制御部101は、所定の放送波の受信可能エリアに最初に進入する進入位置から、最後に退出する退出位置までの経路を特定し、当該経路上のリンク長224とリンク旅行時間225とを用いて移動速度を算出し、上記予想時間を積算して移動する距離を算出する。
【0039】
入力受付部102は、入力装置5またはマイクロフォン41を介して入力されたユーザからの入力指示を受け付け、その入力指示に関する情報であるタッチの座標位置や、音声情報とともに、要求内容に対応する処理を実行するように基本制御部101へ伝達する。例えば、ユーザが推奨経路の探索を要求したときは、その要求指示内容を基本制御部101に要求する。
【0040】
出力処理部103は、例えばポリゴン情報等の表示させる画面情報を受け取り、ディスプレイ2に描画するための信号に変換してディスプレイ2に対して描画する指示を行う。
【0041】
経路探索部104は、現在地と、目的地とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。当該経路探索においては、ダイクストラ法等の経路探索ロジックを用いて、道路の所定の区間(リンク)に対して予め設定されたリンクコストに基づいて、リンクコストが最小となる経路を探索する。
【0042】
経路誘導部105は、車両の現在地が推奨経路から逸脱しないよう、推奨経路を表示させつつスピーカ42やディスプレイ2を用いてユーザの運転操作を誘導する。
【0043】
上記した演算処理部1の各機能部、すなわち基本制御部101、入力受付部102、出力処理部103、経路探索部104、経路誘導部105は、CPU21が所定のプログラムを読み込み実行することにより構築される。そのため、RAM22には、各機能部の処理を実現するためのプログラムが記憶されている。
【0044】
なお、上記した各構成要素は、ナビゲーション装置100の構成を、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。そのため、構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。ナビゲーション装置100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0045】
また、各機能部は、ハードウェア(ASIC、GPUなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0046】
デジタル放送受信装置12は、12セグメント等のいわゆるフルセグおよび1セグメント等のいわゆる1セグのデジタル放送を受信して、TS(Transport Stream)を出力する。デジタル放送受信装置12は、演算装置であるCPU12Aと、複数のアンテナ12Gで受信するデジタル放送波をチューニングする複数のチューナ回路部12Fと、チューナ回路部12Fおよびアンテナ12Gで受信した放送波からデータ信号を復調させる複数のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重方式)復調部12D、12Eと、復調されたデータ信号をMPEG情報にデコードしてTS(Transport Stream)を出力する複数のMPEGデコーダ12B、12Cと、を備える。
【0047】
なお、チューナ回路部12Fは、それぞれ独立してアンテナ12Gに対して、複数の周波数の放送波の一つを受信させることができ、OFDM復調部12D、12Eはチューナ回路部12Fおよびアンテナ12Gで受信した放送波が互いに異なる場合には、それぞれ互いに異なるTSを出力する。また、OFDM復調部12D、12Eは、任意のチューナ回路部12Fを用いてダイバーシチ処理を実施して一つまたは複数のTSを出力する。
【0048】
したがって、OFDM復調部12D、12Eは、いずれか片方が4ダイバーシチ処理を行い1つのTSを出力することも可能である(以降、このような出力態様を「4ダイバー」と表記する)。あるいは、それぞれが異なる2つのTS(例えば片方のOFDM復調部12Dが2ダイバーシチ処理を行い、他方のOFDM復調部12Eが異なる周波数の放送を受信して2ダイバーシチ処理を行った2つのTS)を出力することも可能である(以降、このような出力態様を「2ダイバー」と表記する)。
【0049】
また、チューナ回路部12Fは、いわゆる12セグ放送のようなフルセグ放送のチューニングを行う。また、チューナ回路部12Fは、いわゆる1セグ放送のチューニングを行う。
【0050】
したがって、MPEGデコーダ12B、12Cは、12セグ放送を4ダイバーで処理してTSを出力することができる。また、MPEGデコーダ12B、12Cは、12セグ放送を2ダイバーで処理して2つの異なるTSを出力することができる。また、MPEGデコーダ12B、12Cは、1セグ放送を4ダイバーで処理してTSを出力することができる。また、MPEGデコーダ12B、12Cは、1セグ放送を2ダイバーで処理して2つの異なるTSを出力することができる。
【0051】
CPU12Aは、チューナ回路部12Fと、OFDM復調部12D、12Eと、MPEGデコーダ12B、12Cを制御する。例えば、上記の4ダイバーの処理あるいは2ダイバーの処理を実現するために、チューナ回路部12Fと、OFDM復調部12D、12Eと、MPEGデコーダ12B、12Cを単系統あるいは複数系統に分割して動作させる。
【0052】
図5は、CPU12Aの機能ブロック図である。図示するように、CPU12Aは、基本制御部111と、サーチ位置設定部112と、を有する。
【0053】
基本制御部111は、デジタル放送受信装置12の様々な処理を行う中心的な機能部であり、処理内容に応じて、他の処理部を制御する。サーチ位置設定部112は、デジタル放送受信装置12が受信する放送波をサーチする処理の開始位置を地図上の位置に対応付けて設定する。基本制御部111は、ナビゲーション装置100から取得した現在位置の情報が、サーチ位置設定部112により設定された地図上の所定位置へ到達した場合に、放送波を受信中の4ダイバー1系統を2ダイバー2系統に分けて1セグ放送波のチャンネルサーチを開始する。
【0054】
上記したCPU12Aの各機能部、すなわち基本制御部111、サーチ位置設定部112は、CPU21が所定のプログラムを読み込み実行することにより構築される。そのため、CPU12Aに付随する図示しないRAMには、各機能部の処理を実現するためのプログラムが記憶されている。
【0055】
なお、上記した各構成要素は、デジタル放送受信装置12の構成を、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。そのため、構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。デジタル放送受信装置12の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0056】
また、CPU12Aの各機能部は、ハードウェア(ASIC、GPUなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理およびMPEGデコーダ12B、12C、OFDM復調部12D、12E、チューナ回路部12Fは、一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0057】
図6は、放送波の受信エリアの説明図である。放送局400から出力される放送波は、所定の電界強度で出力される。当該電界強度は、放送局400により異なるが、電波の特性は基本的に同様である。すなわち、放送局400を中心として、2ダイバーフルセグ受信エリア411、4ダイバーフルセグ受信エリア412、2ダイバー1セグ受信エリア421、4ダイバー1セグ受信エリア422、の順に同心円状に放射方向に広がる。すなわち、放送局から最も離れて受信し得る放送波が1セグ放送波であり、フルセグ放送波はより放送局に近くなければ受信できない。また、2ダイバーで受信するよりも4ダイバーで受信した方が、受信感度を高めることができる。
【0058】
[動作の説明]次に、デジタル放送受信装置12が実施するサーチ位置設定処理の動作について説明する。
図7は、デジタル放送受信装置12が実施するサーチ位置設定処理を示すフロー図である。このフローは、ナビゲーション装置100およびデジタル放送受信装置12の起動後に、所定の周期(例えば、5秒周期)で繰り返し実施される。
【0059】
まず、サーチ位置設定部112は、フルセグ受信レベルが所定以下であるか否かを判定する(ステップS001)。なお、フルセグ受信レベルとは、複数セグメントの放送波の受信強度のことをいい、本実施形態においては12セグ放送波の受信強度のことをいう。具体的には、サーチ位置設定部112は、フルセグ受信中ではない場合には、フルセグ受信レベルは所定以下ではないと判定し、サーチ位置設定処理を終了させる。フルセグ受信中であって、かつその受信レベルが所定以下(例えば、CN(Carrier to Noise Ratio)、BER(Bit Error Rate)、PER(Packet Error Rate)等のいずれかの指標が所定の指標以下)である場合には、フルセグ受信レベルが所定以下であると判定する。
【0060】
フルセグ受信レベルが所定以下である場合(ステップS001にて「Yes」の場合)には、サーチ位置設定部112は、現在位置を特定する(ステップS002)。具体的には、サーチ位置設定部112は、ナビゲーション装置100の基本制御部101に対して現在位置の情報を要求し、基本制御部101は、現在位置を特定する情報(例えば、緯度経度)をサーチ位置設定部112に受け渡す。
【0061】
次に、サーチ位置設定部112は、現在位置が最寄局から遠ざかったか否かを判定する(ステップS003)。具体的には、サーチ位置設定部112は、ステップS002にて特定した現在位置と、受信中のフルセグ放送波の放送局との間の距離(例えば、直線距離)を算出するようナビゲーション装置100の基本制御部101へ要求し、基本制御部101は両地点の距離を、受信エリアテーブル300の局位置303を用いて算出し、サーチ位置設定部112へ受け渡す。サーチ位置設定部112は、基本制御部101から当該距離を受け渡されると、直前に受け渡された距離と比較して、距離が大きくなっている場合には遠ざかったと判定し、距離が等しいか小さくなっている場合には遠ざかっていないと判定する。なお、サーチ位置設定部112は、直前に受け渡された距離の情報が無い場合、例えば初回起動時には、遠ざかっていないと判定する。遠ざかっていない場合には、サーチ位置設定部112は、サーチ位置設定処理を終了させる。
【0062】
遠ざかっている場合(ステップS003にて「Yes」の場合)には、サーチ位置設定部112は、走行予測経路を構成する走行予測道路上で次に通過する放送局の2ダイバー1セグ受信エリアを検索する(ステップS004)。具体的には、サーチ位置設定部112は、ナビゲーション装置100の基本制御部101に対して、ナビゲーション装置100の経路探索部104により探索された推奨経路が存在するか否かを問い合わせて、推奨経路が存在する場合には、基本制御部101に対して、当該経路上に2ダイバー1セグ放送の受信エリアが重なる受信可能エリアのうち、同一の系列に属する放送局が放送する放送波の次の受信可能エリアおよび当該受信可能エリアへの進入地点と、当該受信可能エリアからの退出地点と、を検索させる。
【0063】
なお、推奨経路が存在しない場合には、サーチ位置設定部112は、ナビゲーション装置100の基本制御部101に依頼して、現在位置が属する道路と道路種別が同一あるいは上位となる連続する道路を所定範囲内(例えば、500km内)で通行の順に追って特定させる。そして、サーチ位置設定部112は、特定された道路を走行予測道路として用いる。当該処理において、ナビゲーション装置100の基本制御部101は、道路種別が同一あるいは上位となる道路との接続がない道路に至ると、当該道路に至る道路を特定するものとする。
【0064】
次に、サーチ位置設定部112は、走行予測道路上で次に通過する2ダイバー1セグ受信可能エリアを検索した結果、次の受信可能エリアを特定できたか否かを判定する(ステップS005)。特定できなかった場合には、サーチ位置設定部112は、サーチ位置設定処理を終了させる。
【0065】
次の受信可能エリアを特定できた場合(ステップS005にて「Yes」の場合)には、サーチ位置設定部112は、ナビゲーション装置100の基本制御部101に対して、当該受信可能エリアに対して走行予測道路が最初に進入する位置から当該受信可能エリアに対して走行予測道路が最後に退出する位置へ至る距離Xを算出させる(ステップS006)。
【0066】
そして、サーチ位置設定部112は、2ダイバーでサーチ中に移動する距離Zを算出する(ステップS007)。具体的には、サーチ位置設定部112は、ナビゲーション装置100の基本制御部101に対して、当該受信可能エリアにおいて2ダイバーによる一方の系列を用いたチャンネルサーチを行うのにかかる所定の予想時間の間に移動する距離Zを算出させる。つまり、チャンネルサーチにかかる時間(例えば、30秒)と、当該区間の平均速度とを積算することで、距離Zを算出する。なお、当該平均速度については、当該受信可能エリアに含まれるリンクの、リンクテーブル200に格納されたリンク長224の合計を、リンク旅行時間225の合計で除算して求めるものとする。
【0067】
そして、サーチ位置設定部112は、距離Xが距離Zのn倍(nは所定の係数、例えば1.2)よりも大きいか否かを判定する(ステップS008)。大きくない場合、サーチ位置設定部112は、ステップS004に制御を戻し、さらに先の次の受信可能エリアを対象として処理を行う。
【0068】
距離Xが距離Zのn倍よりも大きい場合(ステップS008にて「Yes」の場合)には、サーチ位置設定部112は、現局(受信中の放送局)と次局の2ダイバー1セグ受信可能エリアが断裂しているか否かを判定する(ステップS009)。具体的には、サーチ位置設定部112は、受信中の放送波の放送局が放送する1セグ放送の2ダイバーでの受信可能エリアと、ステップS004で検索した結果特定できた次の受信可能エリアの2ダイバーでの1セグ放送の受信可能エリアの重なり合いを特定し、走行予測経路上で重なりあう区間がない場合には断裂していると判定する。
【0069】
現局と次局の2ダイバー1セグ受信可能エリアが断裂していない場合(ステップS009にて「No」の場合)には、サーチ位置設定部112は、走行予測経路上で次局の2ダイバー1セグ放送波の受信可能エリアへ進入する位置を、2ダイバー受信チャンネルサーチの地点として設定する(ステップS010)。そして、サーチ位置設定部112は、サーチ位置設定処理を終了させる。
【0070】
現局と次局の2ダイバー1セグ受信可能エリアが断裂している場合(ステップS009にて「Yes」の場合)には、サーチ位置設定部112は、現局と次局の4ダイバー1セグ受信可能エリアが連続しているか否かを判定する(ステップS011)。具体的には、サーチ位置設定部112は、受信している放送波の放送局が放送する1セグ放送の4ダイバーでの受信可能エリアと、ステップS004で検索した結果特定できた次の受信可能エリアの4ダイバーでの1セグ放送の受信可能エリアの重なり合いを特定し、走行予測経路上で重なりあう区間がある場合には連続していると判定する。
【0071】
現局と次局の4ダイバー1セグ受信可能エリアが連続している場合(ステップS011にて「Yes」の場合)には、サーチ位置設定部112は、走行予測経路上で現局の4ダイバー1セグ放送波の受信可能エリアから退出する位置を、4ダイバー受信チャンネルサーチの地点として設定する(ステップS012)。そして、サーチ位置設定部112は、サーチ位置設定処理を終了させる。
【0072】
現局と次局の4ダイバー1セグ受信可能エリアが連続していない場合(ステップS011にて「No」の場合)には、サーチ位置設定部112は、走行予測経路上で次局の4ダイバー1セグ放送波の受信可能エリアへ進入する位置を、4ダイバー受信チャンネルサーチの地点として設定する(ステップS013)。そして、サーチ位置設定部112は、サーチ位置設定処理を終了させる。
【0073】
以上が、サーチ位置設定処理の処理フローである。サーチ位置設定処理によれば、受信中の放送波の次の受信可能エリアを通行する距離がチャンネルサーチに必要な時間に通行する距離よりも十分に大きい場合に、チャンネルサーチを行うべき地点を設定することができる。さらに、チャンネルサーチを行うべき地点は、次の受信可能エリアまで2ダイバー1セグでの受信により連続性を維持できる場合には次の受信可能エリアに入った地点とすることができる。また、次の受信可能エリアまで4ダイバー1セグでの受信により連続性を維持できる場合には受信中の放送局の受信可能エリアから出た地点とすることができる。また、次の受信可能エリアまで4ダイバー1セグでの受信により連続性を維持できない場合には、次の放送局の受信可能エリアに入った地点とすることができる。
【0074】
なお、上記実施形態においては、サーチ位置設定処理のステップS006からステップS008において、距離を基準として比較を行っているが、これに限られない。すなわち、受信可能エリアを通行する時間と、サーチに必要な時間とを比較するようにしてもよい。
【0075】
図8〜
図10は、上記実施形態におけるサーチ位置設定処理によるサーチ位置の設定例を示す図である。
【0076】
図8は、現局500と次局550の2ダイバー1セグ放送の受信可能エリア521、571が断裂していて、4ダイバー1セグ放送の受信可能エリア522、572が連続している位置関係にある例を示す。また、走行予測経路580が次局550の2ダイバー1セグ放送の受信可能エリア571へ進入する地点と退出する地点とを結ぶ線分581の距離Xはサーチを十分に行うに足る距離であるものとする。この場合には、ステップS012により、走行予測経路580上で現局500の4ダイバー1セグ放送波の受信可能エリア522から退出する位置590が、4ダイバー受信チャンネルサーチの地点として設定される。
【0077】
図9は、現局500と次局650の2ダイバー1セグ放送の受信可能エリア521、671が連続していて、4ダイバー1セグ放送の受信可能エリア522、672も連続している位置関係にある例を示す。また、走行予測経路580が次局650の2ダイバー1セグ放送の受信可能エリア671へ進入する地点と退出する地点とを結ぶ線分681の距離Xはサーチを十分に行うに足る距離であるものとする。この場合には、ステップS010により、走行予測経路580上で次局650の2ダイバー1セグ放送波の受信可能エリア671へ進入する位置690が、2ダイバー受信チャンネルサーチの地点として設定される。
【0078】
図10は、現局500と次局750の2ダイバー1セグ放送の受信可能エリア521、771が連続していて、4ダイバー1セグ放送の受信可能エリア522、772も連続している位置関係にあるが、走行予測経路580が次局750の2ダイバー1セグ放送の受信可能エリア771へ進入する地点と退出する地点とを結ぶ線分781の距離Xがサーチを十分に行うに足る距離でないものとする。また、次局750のさらに次に進入する受信可能エリアに関する放送波を送信する次々局850については、現局500と次々局850の2ダイバー1セグ放送の受信可能エリア521、871は連続しておらず、4ダイバー1セグ放送の受信可能エリア522、872も連続していない位置関係にある例を示す。また、走行予測経路580が次々局850の2ダイバー1セグ放送の受信可能エリア871へ進入する地点と退出する地点とを結ぶ線分881の距離Xはサーチを十分に行うに足る距離であるものとする。
【0079】
このような場合には、次局750についてはサーチ時間不足からステップS008においてNoが選択されるためサーチ位置が設定されない。次々局850については、ステップS013により、走行予測経路580上で次々局850の4ダイバー1セグ放送波の受信可能エリア871へ進入する位置890が、4ダイバー受信チャンネルサーチの地点として設定される。
【0080】
以上、本発明の第一の実施形態について説明した。本発明の第一の実施形態によると、デジタル放送受信制御装置は、より効率のよい放送波受信制御技術を提供できるといえる。
【0081】
また、例えば、本発明の第一の実施形態によると、デジタル放送受信制御装置は、中継局および系列局の受信可能エリアの情報、現在地の情報および走行予測経路の情報を用いることで、より多くのアンテナを放送受信に用いてマルチダイバーの効果を高く維持することができる。具体的には、系列局が存在しないにも関わらずダイバーを分割してしまい、放送波を受信する精度そのものが低下してしまうことを防ぐことができる。すなわち、精度の高いチャンネルサーチを効率よく行うことが可能となる。
【0082】
また、例えば、本発明の第一の実施形態によると、デジタル放送受信制御装置は、高速移動している場合(例えば、高速道路走行中等)に、チャンネルサーチ中に受信可能エリアを越えてしまい、チャンネルサーチが終了するころには受信可能エリア外に位置してしまうような、無駄なチャンネルサーチを回避できる。
【0083】
本発明は、上記の実施形態に制限されない。上記の第一の実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。例えば、上記の第一の実施形態では、4ダイバーにより1つのTSを得る放送波の受信および2ダイバーにより2つのTSを得る放送波の受信を前提としているが、これに限られない。例えば、より多くのアンテナを用いたダイバーシチ処理により、より多くのTSを得る放送波の受信としてもよい。
【0084】
このようにすることで、より多くのアンテナを有効に用いたマルチダイバーによる受信感度の維持により受信品質を高めることができるといえる。
【0085】
また例えば、上記の第一の実施形態においては、サーチ位置設定部112は、チャンネルサーチの位置を設定しているが、これに限らず、チャンネルサーチの開始条件を設定するものであってもよい。例えば、当該位置へ至ると予測される時刻をナビゲーション装置100の基本制御部101に算出させて、当該時刻にチャンネルサーチを行うよう設定するものであってもよい。
【0086】
このようにすることで、多少の位置の相違があっても、当該条件を満たすことで、デジタル放送受信装置12がナビゲーション装置100に処理負荷をかけることなく単独でチャンネルサーチを開始することができる。
【0087】
以上、本発明について、第一の実施形態を中心に説明した。なお、上記の実施形態では、本発明にナビゲーション装置を用いた例について説明したが、本発明はナビゲーション装置に限らず、経路案内を行う装置全般、例えば携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、モバイルPC、音楽プレーヤー等の情報端末全般に適用することができる。また、デジタル放送受信装置をナビゲーション装置に接続しているが、これに限られず、デジタル放送受信装置がナビゲーション装置内に組み込まれる、あるいは逆にデジタル放送受信装置にナビゲーション装置が組み込まれる等により一体化されるものであってもよい。