(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ケーシング内に高性能フィルタが設けられ、その高性能フィルタを設けたケーシングの下部に吸込口が設けられ、ケーシングの上部に排気ダクトが設けられた排気用フィルタユニットにおいて、高性能フィルタの上部のケーシング前面に、プローブスキャンニング装置を出し入れする開閉蓋が設けられると共にケーシング内の両側に、プローブスキャンニング装置に設けたローラを介してプローブスキャンニング装置を支持する支持レールを設け、上記ローラは、プローブスキャンニング装置の四隅に設けた支持脚の下部に回転自在に、かつ上記ローラの下部がプローブスキャンニング装置のプローブの位置より低くなるよう設けられ、上記支持レールには、上記ローラと係合する位置決め溝が形成されたことを特徴とする排気用フィルタユニット。
【背景技術】
【0002】
クリーンルームは、建屋内で閉鎖したクリーンゾーン内に高性能フィルタ(HEPA、ULPA)を通して清浄空気を送り込み、排気経路から流出する空気を一部排気すると共にその排気量に応じた外気を取り込み、これを空調機で設定温度に空調した後、再度クリーンゾーンに循環する給排気システムが採用されている。
【0003】
しかし、近年は、バイオ・ケミカルハザード防止対策として、クリーンゾーンに供給した空気を高性能フィルタを通して排気するバイオハザードルームとすることが、抗ガン剤、ホルモン剤、高生理活性製剤などを製造する薬品工場では多く採用されている。
【0004】
このバイオ・ケミカルハザードルームにおいては、製造設備が設置されるクリーンゾーンの天井面に高性能フィルタを配置し、そのクリーンゾーンの床面に製造設備を取り囲むように排気用フィルタユニットを多数配置し、天井面の高性能フィルタから清浄空気をクリーンゾーンに流し、その空気を各排気用フィルタユニットで吸引し、製造設備でクリーンゾーンに飛散した医薬品などの微粒子を、排気用フィルタユニットで捕集して空気を清浄化し、その清浄化した排気空気を建屋外に排気、また一部は空調機に戻して循環するようにしている。
【0005】
ところで、排気用フィルタユニットの安全性の担保は、従来では、各排気用フィルタユニットから排気され、合流された空気中の微粒子を検査する総合捕集効率だけでは不十分であり、クリーンルームの高性能フィルタのリーク検査と同様に、排気用フィルタユニット内の高性能フィルタのリーク検査を個々に行う必要が高まってきている。
【0006】
従来、特許文献1〜3に示されるように高性能フィルタの上流側からリーク検出用のエアロゾルを流し、高性能フィルタの下流側で検査プローブを、手動又は自動でフィルタ面上でスキャンニングさせ、検査プローブで吸い込んだ空気中のエアロゾルの有無を検査装置で検出して、フィルタリークの有無を検出している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0018】
先ず、建屋内に区画形成されるバイオ・ケミカルクリーンルームを
図1により説明する。
【0019】
図1において、10は、医薬品等の製造設備11が設置されるクリーンゾーンで、床面10f上の製造設備11を囲むように周囲が仕切壁12で仕切られて形成され、その天井面10cには、HEPAやULPAなどの高性能フィルタ13が設けられた給気ボックス14が多数設置される。クリーンゾーン10を区画する仕切壁12には、クリーンゾーン10内の空気を排気する排気用フィルタユニット15が、仕切壁12の面に沿って多数埋め込まれた状態で設置されて排気用フィルタユニット群16が構成される。
【0020】
排気用フィルタユニット15は、詳細は後述するが前面下部に吸込口17が設けられ、上部に排気ダクト18が設けられる。各排気ダクト18は、仕切壁12外に位置し、仕切壁12外に設けた共通ダクト19に接続され、その共通ダクト19がクリーンゾーン10外に設置された空調機20の吸込側に接続される。この共通ダクト19には、排気用フィルタユニット群16から排気された空気の一部を建屋外に排気する排気ライン21が接続され、その排気ライン21に、安全性を担保するための高性能フィルタ27が接続されると共に、その下流側に排気量を調節する排気ダンパ22が接続される。
【0021】
空調機20には、外気導入ライン23が接続され、外気導入ライン23には吸気調整ダンパ24が接続される。空調機20は、共通ダクト19と外気導入ライン23からの空気を設定温度に空調し、これを給気ダクト25を介して各給気ボックス14に供給する。
【0022】
このバイオ・ケミカルクリーンルームにおいては、空調機20で設定温度に空調された空気が給気ダクト25を通して給気ボックス14内に供給され、給気ボックス14から高性能フィルタ13を通して清浄化された空気が、クリーンゾーン10内にダウンフローで吹き出される。クリーンゾーン10に吹き出された空気は、排気用フィルタユニット群16の各排気用フィルタユニット15内に吸い込まれ、排気用フィルタユニット15内に設けられた高性能フィルタで、製造設備11等から飛散した微粒子等を捕集し、清浄化した空気を、排気ダクト18から共通ダクト19に排気し、一部は空調機20に戻し、残りは共通ダクト19から排気ライン21を通して建屋外に排気する。
【0023】
この共通ダクト19内の排気は、排気用フィルタユニット群16でケミカル物質などの微粒子が除去された後の清浄化された排気であり、排気ライン21を通して建屋外に排気しても環境汚染が外部に広がることはなく、また空調機20、給気ダクト25を通して給気ボックス14に供給しても、これらの経路内にケミカル物質などが堆積することもない。
【0024】
バイオ・ケミカルクリーンルームにおいては、高性能フィルタ13から吹き出された清浄空気の全量が排気用フィルタユニット群16に吸い込まれることになる。この際に、排気用フィルタユニット15の設置台数が少ないと、クリーンゾーン10内で偏流や空気の流れのデッドスペースが発生しやすくなるため、排気用フィルタユニット15は、約1m〜数m間隔で多数設置され、クリーンゾーン10内で、数台から数十台設置される。
【0025】
この排気用フィルタユニット15は、経年使用よるシール部分の劣化によるリーク、フィルタに生じたピンホールからのリークなどにより汚染物質が外部拡散することを防止するために、定期的にフィルタのリーク検査を行う必要がある。また、フィルタ交換後には、必ずリーク検査を行う。
【0026】
ここで、排気用フィルタユニット15内の高性能フィルタは、例えば610mm角のHEPAフィルタやULPAフィルタであり、これら高性能フィルタの検査は、数台から数十台ある排気用フィルタユニット15毎に検査しなければならない。
【0027】
本発明においては、各排気用フィルタユニット15内に、プローブスキャンニング装置30を着脱自在に支持するようになし、排気用フィルタユニット群16のうち少なくとも一台にプローブスキャンニング装置30を設置しておき、他の排気用フィルタユニット15のフィルタリーク検査を行う際に、プローブスキャンニング装置30を他の排気用フィルタユニット15内に移し替えてフィルタリーク検査を行うようにしたものである。
【0028】
この排気用フィルタユニット15内の高性能フィルタのフィルタリーク検査を行うプローブスキャンニング装置30と排気用フィルタユニット15の基本構成を
図2により説明する。
【0029】
図2(a)、
図2(b)において、排気用フィルタユニット15は、ケーシング31内の中央に高性能フィルタ32が取り付けられる。この高性能フィルタ32は、ケーシング31の前面に取り外し自在に設けたフィルタ取り替え用カバー33を取り外し、その開口を通して取り替えができるようになっている。
【0030】
ケーシング31の前面下部の吸込口17には、着脱自在にパンチングメタルからなるネジ等で取り外し自在な吸込板17aが設けられ、フィルタリーク検査の際に、吸込板17aを取り外し、
図2(b)に示した、エアロゾル供給管35を備えたリーク検査用エアロゾル供給パネル34が取り付けられるようになっている。
【0031】
吸込口17には、高性能フィルタ32を取り替える際に、シャワーノズル37を備えたシャワー用パネル36が取り付けられ、そのシャワーノズル37から水が高性能フィルタ32にスプレーされ、高性能フィルタ32に吸着された汚染物質が、一部洗い流されると共に、高性能フィルタ32に水スプレーすることで、フィルタ交換時の汚染物資の飛散を防止するようにされる。またケーシング31の底部には、水スプレーの際にケーシング31内に落下した水を排水する排水用栓38が設けられている。
【0032】
ケーシング31の上部に接続した排気ダクト18には、排気ダクト18を開閉する高気密ダンパ39が設けられる。
【0033】
さて、高性能フィルタ32の上面位置より上部のケーシング31の前面には、プローブスキャンニング装置30をケーシング31内に挿入・取り出すためのスキャンニング用開口40が形成され、そのスキャンニング用開口40に開閉蓋41がネジ等で取り外し自在に設けられる。
【0034】
ケーシング31内の両側には、プローブスキャンニング装置30を支持する支持レール42が着脱可能に設けられ、またプローブスキャンニング装置30の四隅には、支持脚47が設けられ、その支持脚47に支持レール42を転動するローラ43、43が回転自在に設けられる。
【0035】
ケーシング31の前面には、チューブとケーブルのコネクタ45が設けられる。このコネクタ45は、リーク検査装置50のチューブ51とケーブル52を接続するもので、コネクタ45の内側には、リーク検査装置50のチューブ51と繋がり、プローブスキャンニング装置30のプローブ46と接続する内側チューブ51iが接続され、またリーク検査装置50のケーブル52と繋がり、プローブスキャンニング装置30の駆動モータや各種センサと接続する内側ケーブル52iが接続される。
【0036】
次に、
図3〜
図7により、プローブスキャンニング装置30を説明する。
【0037】
プローブスキャンニング装置30は、ケーシング31の幅方向に沿った一対のX軸レールボックス60、60と、そのX軸レールボックス60、60間の下方に掛け渡されて設けられ、X軸レールボックス60、60に沿ってX軸方向に移動するY軸レールボックス61と、Y軸レールボックス61に沿ってY軸方向に移動すると共にプローブ46を支持するY軸スライダ62とで構成される。
【0038】
X軸レールボックス60、60は、その左右が連結部材63、63で連結される。連結部材63、63の上部には、プローブスキャンニング装置30を持ち上げるための取手64、64が設けられる。
【0039】
連結部材63、63で連結されたX軸レールボックス60、60の四隅には支持脚47、47が取り付けられ、その支持脚47、47の下部にローラ43、43が回転自在に取り付けられる(
図3、
図7(a)参照)。
【0040】
他方、ケーシング31内に設けた高性能フィルタ32を支持する支持枠48、48には、着脱自在に支持レール42、42が設けられ、この支持レール42、42上をローラ43、43が転動してプローブスキャンニング装置30をケーシング31内へ挿入・取り外しできるようになっている。
【0041】
支持枠48には、その前後にレール取付ピン66、66が設けられており、支持レール42の下部には、レール取付ピン66を嵌合するボス49が設けられる。また支持レール42には、ローラ43、43の転動を規制する位置決め溝65が形成される(
図3、
図7(b)、(c)参照)。
【0042】
支持レール42、42は、その底部のボス49を、ケーシング31の両側の支持枠48に設けた取付ピン66、66に着脱自在嵌め込むことで取り付けられる。また、ローラ43、43は、支持レール42、42上を転動することで、プローブスキャンニング装置30を移動し、前後のローラ43、43の下部が、位置決め溝65、65に嵌り込むことで、プローブスキャンニング装置30の位置決めが行える。
【0043】
ローラ43、43を支持する支持脚48は、ローラ43、43の最下端の位置に対してプローブスキャンニング装置30のプローブ46の最下端の位置より2〜4mm低くなるような長さに形成される。これにより、プローブスキャンニング装置30をケーシング31から取り外して床面に置いたときに、プローブ46の下端部が床面に当たらず、ローラ43、43にてプローブスキャンニング装置30が床面を移動できる。またプローブスキャンニング装置30をケーシング31内に挿入し、ローラ43、43が支持レール42、42上を転動し、位置決め溝65、65に嵌り込んだときに、プローブ46の下端が、高性能フィルタ32の上面に10〜30mm離れて位置する。
【0044】
図3〜
図6に示すようにX軸レールボックス60、60内には、X軸レール67が設けられると共にそのX軸レール67と係合してX軸方向に摺動するX軸スライダ68が設けられる。X軸スライダ68は、X軸レールボックス60、60の底部に形成した溝を通して下方のY軸レールボックス61、61と連結され、X軸スライダ68のX軸方向の移動と共にY軸レールボックス61をX軸方向に移動する。X軸レール67には、そのX軸レール67に沿ってX軸ラック69が設けられる。X軸レールボックス60、60の内側面には切り込み溝70が形成され、その切り込み溝70を通してX軸スライダ68、68間に、駆動軸71が回転自在に設けられると共に、駆動軸71の両側に、X軸ラック69に噛合するピニオン72が設けられる。
【0045】
Y軸レールボックス61上には、駆動軸71を回転するギヤボックス73が設けられ、そのギヤボックス73がX軸駆動モータ74で駆動されるようになっている。
【0046】
このY軸レールボックス61のX軸方向の移動は、X軸駆動モータ74を駆動することで、ギヤボックス73を介して駆動軸71が回転され、その駆動軸71に設けられたピニオン72がX軸ラック69に噛合しながら回転することでX軸スライダ68、68が移動し、Y軸レールボックス61をX軸方向に移動する。また、Y軸レールボックス61の上面にはX軸レールボックス60、60の内側に位置し、駆動軸71を回転自在に支持する支持板76が設けられている。
【0047】
Y軸スライダ62は、Y軸レールボックス61内に設けられると共にY軸レールボックス61内に設けられたY軸レール80に係合してスライドするスライダ本体81と、Y軸レールボックス61の下部と側部に沿うようコ字状に形成されると共に、Y軸レールボックス61の両側に設けたY軸ガイド溝82を通して連結板83にてスライダ本体81に連結され、Y軸レールボックス61に沿って移動するプローブ支持部材84とからなる。
【0048】
Y軸レール80には、Y軸レール80に沿ってY軸ラック85が設けられ、そのY軸ラック85に噛合するピニオン86がスライダ本体81に設けられたY軸駆動モータ87にて回転駆動されるようになっている。
【0049】
このY軸スライダ62のY軸方向の移動は、Y軸駆動モータ87にてY軸ラック85と噛合するピニオン86を回転することで、スライダ本体81がY軸レール80に沿って移動し、そのスライダ本体81に連結したプローブ支持部材84がY軸レールボックス61に沿って移動し、プローブ46をY軸方向に移動する。
【0050】
このように、X軸駆動モータ74とY軸駆動モータ87を駆動することで、プローブ46を、高性能フィルタ32の上面に沿って、Y軸方向に主走査した後、X軸方向に副走査させ、以下これを繰り返すことで、高性能フィルタ32の全面をスキャンニングすることができる。
【0051】
X軸駆動モータ74やY軸駆動モータ87に接続する電線、また図には示していないがX軸スライダ68やY軸スライダ62の走査終端位置を検出するリミットスイッチやプローブ46に設けられた位置センサなどに接続される信号線などのケーブルは、前方のX軸レールボックス60の電源コネクタ90に接続され、またプローブ46に接続されたチューブも前方のX軸レールボックス60のチューブコネクタ91に接続される。
【0052】
このケーブルとチューブは、スライダ62、68の移動に追従して変形するU字状のケーブルベア(登録商標)にて電源コネクタ90、チューブコネクタ91に案内されるようになっている。
【0053】
これを説明すると、X軸レールボックス60内に設けられたX軸走行ケーブルベア92は、その下部左端がX軸レールボックス60内の左側に固定され、上部の移動端がX軸スライダ68に連結され、X軸スライダ68の移動に追従してX軸走行ケーブルベア92がU字状からJ字状に変形する。またY軸レールボックス61内に設けられたY軸走行ケーブルベア93は、そのY軸走行ケーブルベア93の下部奧側がY軸レールボックス61の奧側に固定され、移動端がY軸スライダ62に連結され、Y軸スライダ62の移動に追従してY軸走行ケーブルベア93がU字状からJ字状に変形する。
【0054】
詳細は図示していないがX軸駆動モータ74の電線は、Y軸レールボックス61を通して、前方のX軸レールボックス60内のX軸スライダ68を通しX軸走行ケーブルベア92の移動側からX軸走行ケーブルベア92内を挿通されて電源コネクタ90に接続される。またX軸スライダ68の移動端を検出するリミットスイッチなどの信号線はX軸レールボックス60内を通して電源コネクタ90に接続される。
【0055】
Y軸駆動モータ87の電線とプローブ46に接続されたチューブとプローブ周りに設けられた位置センサの信号線とは、一つのケーブル95とされ、Y軸走行ケーブルベア93の移動端からY軸走行ケーブルベア93内に挿通され、固定側で、Y軸レールボックス61に設けたケーブルボックス96から奧側のX軸レールボックス60のX軸レールボックス60を介してX軸走行ケーブルベア92内に挿入され、さらに左側の連結部材63内を通って電源コネクタ90とチューブコネクタ91に接続される。
【0056】
この内側チューブ51iには、その両端にソケット53、53が設けられており、その一方をチューブコネクタ91に着脱自在接続し、他方を
図2に示したコネクタ45の内側に着脱自在に接続できるようになっている。また内側ケーブル52iには、その両端に多芯のソケット54、54が設けられており、その一方を電源コネクタ90に接続し、他方を
図2に示したコネクタ45の内側に着脱自在に接続できるようになっている。
【0057】
次に、プローブスキャンニング装置30を用いた排気用フィルタユニット群のフィルタ検査システムを説明する。
【0058】
先ず、
図1に示した排気用フィルタユニット群16のうち、少なくとも1台の排気用フィルタユニット15内のケーシング31内にプローブスキャンニング装置30を装着しておき、他の排気用フィルタユニット15には、プローブスキャンニング装置30を装着しない状態とする。
【0059】
この状態で、クリーンゾーン10内に吹き出された空気を排気用フィルタユニット群16で、通常の吸引排気運転を行うと共に通常の吸引排気運転中にフィルタ検査を行う。
【0060】
フィルタ検査を行う際には、例えばプローブスキャンニング装置30を装着した排気用フィルタユニット15の高性能フィルタ32のフィルタ検査を行うとすると、
図2に示した高気密ダンパ39を閉とし、プローブスキャンニング装置30を出し入れする開閉蓋41を開いて、プローブスキャンニング装置30の電源コネクタ90及びチューブコネクタ91とケーシング31側のコネクタ45とを内側ケーブル52i及び内側チューブ51iで接続した後、開閉蓋41を閉じる。
【0061】
その後、リーク検査装置50のチューブ51とケーブル52を、コネクタ45に接続すると共に吸込板17aを取り外して、エアロゾル供給パネル34を吸込口17に取り付ける。なお、チューブ51を接続する際には、コネクタ45側には、リーク防止のための閉止栓が装着されているためこれを取り外して接続を行い、検査終了後は再度閉止栓を装着する。
【0062】
次に、高気密ダンパ39を開とし、エアロゾル供給パネル34のエアロゾル供給管35からDOP(フタル酸ジオクチル)やPAO(ポリアルファオレフィン)等のエアロゾルを供給し、同時にリーク検査装置50のケーブル52を通してX軸駆動モータ74、Y軸駆動モータ87を駆動してプローブスキャンニング装置30のプローブ46をY軸、X軸方向にスキャンニングする。プローブ46には、走査位置で高性能フィルタ32を通過した気流が吸引され、これがプローブスキャンニング装置30のチューブコネクタ91、内側チューブ51i、コネクタ45及びチューブ51を介してリーク検査装置50内に導入され、リーク検査装置50内のパーティクルカウンタにてエアロゾルからのパーティクルの有無とその個数がカウントされる。
【0063】
リーク検査装置50は、高性能フィルタ32に対するプローブ46の位置とその位置でのリークの有無を検出し、リークがないときにはその高性能フィルタ32の健全性を表示し、またリークがあるときには、高性能フィルタ32のどの位置でリークが発生し、そのパーティクルの個数を表示できるようになっている。
【0064】
このように、1台の排気用フィルタユニット15のリーク検査を行った後は、高気密ダンパ39を閉じ、エアロゾル供給パネル34を取り外して吸込板17aを取り付け、また開閉蓋41を取り外すと共に内側ケーブル52i及び内側チューブ51iをコネクタ45から取り外し、その状態でプローブスキャンニング装置30を取手64をもって手前側に引くと、ローラ43、43が支持レール42、42の位置決め溝65、65を乗り越えるため、ローラ43、43が支持レール42、42を移動でき、開口40を通してプローブスキャンニング装置30を取り出すと共に、取り出し後は支持レール42、42も取り外しておく。また、リーク検査装置50側のチューブ51とケーブル52をコネクタ45から取り外し、コネクタ45のチューブ側は閉止栓で閉じておく。
【0065】
その後、開閉蓋41で開口40を閉じ、高気密ダンパ39を開いて、通常の吸引排気運転を行う。
【0066】
次に、他の排気用フィルタユニット15のフィルタ検査を行う際には、その排気用フィルタユニット15の高気密ダンパ39を閉じ、開閉蓋41を取り外して、そのケーシング31内に、先の検査に用いたプローブスキャンニング装置30を挿入する。この際、検査後のケーシング31から取り外した支持レール42の底部のボス49を、ケーシング31に設けた支持部材84の取付ピン66にはめ込んで支持レール42を取り付ける。これにより、プローブスキャンニング装置30の支持脚47に設けたローラ43を支持レール42、42に載せるだけで、簡単に挿入できる。またプローブスキャンニング装置30を押し込むことでローラ43、43は、支持レール42、42に形成した位置決め溝65、65に嵌り込み、これが抵抗となるため、プローブスキャンニング装置30を設定の位置に装着できる。
【0067】
このようにプローブスキャンニング装置30を装着したならば、上述した手順で、高気密ダンパ39の開閉、吸込板17a、エアロゾル供給パネル34、開閉蓋41の取り付け・取り外しと、内側ケーブル52i及び内側チューブ51iの接続と、リーク検査装置50のチューブ51とケーブル52の接続を行ってフィルタリーク検査を行う。
【0068】
なお、フィルタリークが検出された高性能フィルタ32を交換する際には、
図2(b)に示したシャワー用パネル36を吸込口17に装着し、シャワーノズル37から高性能フィルタ32の下面に向けて水を噴射して高性能フィルタ32の下面に付着捕集されている微粒子を水で一部洗い落とすと共にその表面からの飛散を防止した上で高性能フィルタ32を取り外して交換する。
【0069】
このように、本発明は、排気用フィルタユニット群16の各排気用フィルタユニット15にプローブスキャンニング装置30を着脱自在に設けられるようになし、そのうち少なくとも1台の排気用フィルタユニット15にプローブスキャンニング装置30を設置した状態とすることで、1台のプローブスキャンニング装置30で他の排気用フィルタユニット15のフィルタリーク検査を簡単に行うことができると共にコストの低減が図れる。