【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
以下の実施例および比較例における「粘着力測定」、「ヘイズ値測定」、「半導体部品飛散評価」および「ダイシング屑残り評価」を以下に示す。なお、各評価において紫外線照射が必要となる場合は、紫外線照射装置(リンテック社製、RAD−2000m/12)を用い、窒素雰囲気下にて紫外線照射(照度120mW/cm
2、光量80mJ/cm
2)した。
【0045】
(粘着力測定)
実施例および比較例において、得られたダイシングシートの粘着力を以下のように測定した。
半導体パッケージ(京セラケミカル製KE−G1250、サイズ:150mm×50mm、厚み:600μm、ダイシングシート貼付面の算術平均粗さRa:2μm)の樹脂封止面に、幅25mm×長さ200mmのダイシングシートを貼付し30分経過後、JIS Z0237;2000に準じて、万能型引張試験機(株式会社オリエンテック製、TENSILON/UTM−4−100)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180°にてダイシングシートの粘着力を測定し、紫外線照射前の粘着力(mN/25mm)とした。
【0046】
また、ダイシングシートを半導体パッケージの樹脂封止面に貼付してから、23℃、50%RHの雰囲気下に20分間放置した後、ダイシングシートの基材側より、紫外線照射を行った。紫外線照射後のダイシングシートにつき、上記と同様にして粘着力を測定し、紫外線照射後の粘着力(mN/25mm)とした。
【0047】
(ヘイズ値測定)
実施例および比較例において得られた粘着剤組成物を、剥離フィルム(リンテック社製 PET381031)に塗布した後に、乾燥(オーブンにて100℃、1分間)させ、厚み15μmの粘着剤層を作製した。次いで、粘着剤層にフィルム(東洋紡製PET50 A−4100)を貼り合わせ、剥離フィルムを剥離し、評価用サンプルとした。ヘイズメーター(日本電色工業社製 NDH−5000)を用いて、評価用サンプルにおける粘着剤層のヘイズ値(%)を測定した。ヘイズ値が0%以上5.0%未満を「A」、5.0%以上10.0%未満を「B」、10.0%以上または目視により評価用サンプルの粘着剤層にぎらつきがある場合を「C」と評価した。
【0048】
(半導体部品飛散評価)
半導体パッケージ(京セラケミカル製KE−G1250、サイズ:50mm×50mm、厚み:600μm、ダイシングシート貼付面の算術平均粗さRa:2μm)の樹脂封止面に、実施例および比較例のダイシングシートをテープマウンター(リンテック社製:Adwill RAD2500)を用いて貼付し、ダイシング用リングフレーム(ディスコ社製:2−6−1)に固定した。次いで、半導体パッケージを、以下のダイシング条件で1mm角の半導体部品にダイシングした。ダイシング後、ダイシングシートから飛散した半導体部品の個数を目視にて数えた。ダイシングされた半導体部品の個数に対する飛散した半導体部品の個数の割合(%)を算出し、0%以上10%未満を「A」、10%以上20%未満を「B」、20%以上を「C」と評価した。
<ダイシング条件>
・ダイシング装置 :DISCO社製 DFD−651
・ブレード :DISCO社製 ZBT−5074(Z111OLS3)
・刃の厚み :0.17mm
・刃先出し量 :3.3mm
・ブレード回転数 :30000rpm
・切削速度 :100mm/分
・基材切り込み深さ:50μm
・切削水量 :1.0L/分
・切削水温度 :20℃
【0049】
(ダイシング屑残り評価)
半導体パッケージ(京セラケミカル製KE−G1250、サイズ:50mm×50mm、厚み:600μm、ダイシングシート貼付面の算術平均粗さRa:2μm)の樹脂封止面に、実施例および比較例のダイシングシートをテープマウンター(リンテック社製:Adwill RAD2500)を用いて貼付し、ダイシング用リングフレーム(ディスコ社製:2−6−1)に固定した。次いで、半導体パッケージを、以下のダイシング条件で5mm角の半導体部品にダイシングした。その後、紫外線照射を行い、5mm角に個片化された半導体部品のうち、半導体パッケージの四隅の位置と中央の位置にある半導体部品(計5個)をピックアップし、評価用サンプルとした。評価用サンプルの側面に付着した粘着剤層および/または基材の一部(ダイシング屑)を光学顕微鏡により目視にて確認した。20μm以上の大きさのダイシング屑の個数を数え、20個以下を「A」、21個〜30個を「B」、31個以上を「C」と評価した。
<ダイシング条件>
・ダイシング装置 :DISCO社製 DFD−651
・ブレード :DISCO社製 ZBT−5074(Z111OLS3)
・刃の厚み :0.17mm
・刃先出し量 :3.3mm
・ブレード回転数 :30000rpm
・切削速度 :50mm/分
・基材切り込み深さ:50μm
・切削水量 :1.0L/分
・切削水温度 :20℃
【0050】
(実施例1)
芳香族(メタ)アクリレートから導かれるモノマー単位を含む共重合体(ブチルアクリレート/ベンジルアクリレート/アクリル酸=67/23/10(質量比)、重量平均分子量=72万、Tg=−32℃)100質量部に対し、炭素−炭素二重結合を含有する基を有するイソシアヌレート系化合物として、下記一般式(I)の化合物(重量平均分子量=861)125質量部、エポキシ系架橋剤(三菱ガス化学製、TETRAD−C)0.15質量部、および光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア184」)3.75質量部を配合(全て固形分換算による配合比)し、粘着剤組成物とした。
【化5】
(ただし、Rは、下記一般式(II)で表され、R
1は炭素数が2のアルキレン基を表す。
【化6】
【0051】
剥離フィルムに、上記粘着剤組成物を塗布した後に、乾燥(オーブンにて100℃、1分間)させ、厚み15μmの粘着剤層を作製した。次いで、基材として、厚さ140μmのエチレン・メタクリル酸共重合体フィルムを用い、粘着剤層を転写し、ダイシングシートを得た。「粘着力測定」、「ヘイズ値測定」、「半導体部品飛散評価」および「ダイシング屑残り評価」の評価結果を表2に示す。
【0052】
(実施例2)
芳香族(メタ)アクリレートから導かれるモノマー単位を含む共重合体(ブチルアクリレート/ベンジルアクリレート/アクリル酸=43/47/10(質量比)、重量平均分子量=79万、Tg=−18℃)を用いた以外は、実施例1と同様にしてダイシングシートを得、評価を行った。結果を表2に示す。
【0053】
(実施例3)
芳香族(メタ)アクリレートから導かれるモノマー単位を含む共重合体(ブチルアクリレート/ベンジルアクリレート/アクリル酸=30/60/10(質量比)、重量平均分子量=79万、Tg=−9℃)を用いた以外は、実施例1と同様にしてダイシングシートを得、評価を行った。結果を表2に示す。
【0054】
(実施例4)
芳香族(メタ)アクリレートから導かれるモノマー単位を含む共重合体(ブチルアクリレート/ベンジルアクリレート/アクリル酸=20/70/10(質量比)、重量平均分子量=78万、Tg=−2℃)を用いた以外は、実施例1と同様にしてダイシングシートを得、評価を行った。結果を表2に示す。
【0055】
(実施例5)
芳香族(メタ)アクリレートから導かれるモノマー単位を含む共重合体(ブチルアクリレート/ベンジルアクリレート/アクリル酸=10/80/10(質量比)、重量平均分子量=79万、Tg=6℃)を用いた以外は、実施例1と同様にしてダイシングシートを得、評価を行った。結果を表2に示す。
【0056】
(実施例6)
炭素−炭素二重結合を含有する基を有するイソシアヌレート系化合物として、一般式(I)の化合物(重量平均分子量=861)を100質量部とした以外は、実施例2と同様にしてダイシングシートを得、評価を行った。結果を表2に示す。
【0057】
(実施例7)
炭素−炭素二重結合を含有する基を有するイソシアヌレート系化合物として、一般式(I)の化合物(重量平均分子量=861)を150質量部とした以外は、実施例2と同様にしてダイシングシートを得、評価を行った。結果を表2に示す。
【0058】
(実施例8)
炭素−炭素二重結合を含有する基を有するイソシアヌレート系化合物として、一般式(I)の化合物(重量平均分子量=861)を50質量部とした以外は、実施例2と同様にしてダイシングシートを得、評価を行った。結果を表2に示す。
【0059】
(実施例9)
粘着剤層の厚みを10μmとした以外は、実施例2と同様にしてダイシングシートを得、評価を行った。結果を表2に示す。
【0060】
(比較例1)
芳香族(メタ)アクリレートから導かれるモノマー単位を含む共重合体の代わりに、アクリル系共重合体(ブチルアクリレート/アクリル酸=90/10(質量比)、重量平均分子量=60万、Tg=−44℃)を用いた以外は、実施例1と同様にしてダイシングシートを得、評価を行った。結果を表3に示す。
【0061】
(比較例2)
炭素−炭素二重結合を含有する基を有するイソシアヌレート系化合物の代わりに、脂肪族系ウレタンアクリレート(大日精化工業製、セイカビーム EXL−810TL、重量平均分子量=3500)を用いて粘着剤組成物を得た以外は、実施例2と同様にしてダイシングシートを得、評価を行った。結果を表3に示す。
【0062】
(比較例3)
炭素−炭素二重結合を含有する基を有するイソシアヌレート系化合物の代わりに、脂肪族系ウレタンアクリレート(大日精化工業製、セイカビーム EXL−810TL、重量平均分子量=3500)を用いて粘着剤組成物を得、粘着剤層の厚みを30μmとした以外は、比較例1と同様にしてダイシングシートを得、評価を行った。結果を表3に示す。
【0063】
(比較例4)
粘着剤層の厚みを15μmとした以外は、比較例3と同様にしてダイシングシートを得、評価を行った。結果を表3に示す。
【0064】
(比較例5)
粘着剤層の厚みを10μmとした以外は、比較例3と同様にしてダイシングシートを得、評価を行った。結果を表3に示す。
【0065】
(比較例6)
芳香族(メタ)アクリレートから導かれるモノマー単位を含む共重合体(ブチルアクリレート/ベンジルアクリレート/アクリル酸=85/5/10(質量比)、重量平均分子量=78万、Tg=−42℃)を用いた以外は、実施例1と同様にしてダイシングシートを得、評価を行った。結果を表3に示す。
【0066】
(比較例7)
芳香族(メタ)アクリレートから導かれるモノマー単位を含む共重合体(ベンジルアクリレート/アクリル酸=90/10(質量比)、重量平均分子量=78万、Tg=13℃)を用いた以外は、実施例1と同様にしてダイシングシートを得、評価を行った。結果を表3に示す。
【0067】
(比較例8)
粘着剤層の厚みを5μmとした以外は、実施例2と同様にしてダイシングシートを得、評価を行った。結果を表3に示す。
【0068】
(比較例9)
粘着剤層の厚みを25μmとした以外は、実施例2と同様にしてダイシングシートを得、評価を行った。結果を表3に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
実施例1〜9のダイシングシートは、エネルギー線照射前の粘着剤層の粘着力が高く、ヘイズ値評価、半導体部品飛散評価およびダイシング屑残り評価のバランスに優れる。
特に実施例2〜7,9のダイシングシートは、半導体部品の飛散を防止すると共に、半導体部品の側面へのダイシング屑の付着を抑制できた。また、ヘイズ値評価が良好であることから、共重合体(A)とエネルギー線重合性化合物(B)との相溶性が高い。そのため、被着体に対する粘着力が安定し、ダイシングシートの信頼性が高い。
一方、比較例1〜9のダイシングシートは、実施例1〜9のダイシングシートと比較して、エネルギー線照射前の粘着剤層の粘着力、ヘイズ値評価、半導体部品飛散評価およびダイシング屑残り評価のバランスに劣る。