特許第5945467号(P5945467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945467
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
   G02F1/1343
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-155783(P2012-155783)
(22)【出願日】2012年7月11日
(65)【公開番号】特開2014-16579(P2014-16579A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】特許業務法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】岩本 宜久
【審査官】 小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−008922(JP,U)
【文献】 特開平07−072491(JP,A)
【文献】 特開2002−169158(JP,A)
【文献】 特開2002−098983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1343−1/1368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定型の文字又は図柄を表示する表示部を備えた液晶表示装置であって、
対向配置された一対の基板と、
前記一対の基板のうちの一方の基板の一面側に設けられており、前記表示部を画定する第1電極及び第2電極と、
前記一方の基板の一面側に設けられ、前記第1電極と接続された第1引き回し配線と、
前記一方の基板の一面側に設けられ、前記第2電極と接続された第2引き回し配線と、
前記一対の基板の相互間に設けられた液晶層と、
を含み、
前記第1電極と前記第2電極は、それぞれ複数の電極枝を有する櫛歯形状であり、前記第1電極の各電極枝と前記第2電極の各電極枝が互いのエッジ間を第1距離で離間させて互い違いに配置されており、
前記第1引き回し配線と前記第2引き回し配線は、少なくとも、互いが隣り合って配置された領域において各々のエッジの方向が電圧無印加時における前記液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して略平行又は略直交となるように配置されており、当該互いが隣り合って配置された領域における前記第1引き回し配線と前記第2引き回し配線のエッジ間が第2距離で離間している、
液晶表示装置。
【請求項2】
前記第2距離が前記第1距離の3倍以上に設定されている、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第1電極と前記第2電極は、各々の前記複数の電極枝のエッジの方向と前記液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向のなす角度が略45°に設定されており、
前記第2距離が前記第1距離の1.5倍以上に設定されている、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第1電極と前記第2電極は、各々の前記複数の電極枝のエッジが屈曲している、
請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
定型の文字又は図柄を表示する表示部を備えた液晶表示装置であって、
対向配置された一対の基板と、
前記一対の基板のうちの一方の基板の一面側に設けられており、前記表示部を画定する第1電極及び第2電極と、
前記一方の基板の一面側に設けられ、前記第1電極と接続された第1引き回し配線と、
前記一方の基板の一面側に設けられ、前記第2電極と接続された第2引き回し配線と、
前記一対の基板の相互間に設けられた液晶層と、
を含み、
前記第1電極と前記第2電極は、それぞれ複数の電極枝を有する櫛歯形状であり、前記第1電極の各電極枝と前記第2電極の各電極枝が互いのエッジ間を第1距離で離間させて互い違いに配置されており、
前記第1電極と前記第2電極の各々の前記複数の電極枝のエッジの方向と電圧無印加時における前記液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向のなす角度が15°以上45°以下に設定されており
前記第1引き回し配線と前記第2引き回し配線は、少なくとも、互いに隣り合って配置された領域において各々のエッジの方向電圧無印加時における前記液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して略平行又は略直行となるように配置されており、当該互いが隣り合って配置された領域における前記第1引き回し配線と前記第2引き回し配線のエッジ間が第2距離で離間している、
液晶表示装置。
【請求項6】
前記第2距離が前記第1距離の1.5倍以上に設定されている、
請求項5に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板面に水平方向の電界を用いて液晶層を駆動する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な液晶表示装置は、液晶層を挟んで対向配置された一対の基板のそれぞれに電極が設けられており、それらの電極を用いて基板面に垂直な方向に電界を発生させて液晶層の配向状態を変化させることにより明暗表示を実現する。このような液晶表示装置では、電界印加時に液晶層の液晶分子が基板面に対して傾斜して配向するため、傾斜方向が一方向に偏ることになり、明暗表示に視角依存性を生じる。
【0003】
このような不都合を解消し、良好な視角特性を実現し得る液晶表示装置は、例えば特開昭56−91277号公報(特許文献1)や特開平7−72491号公報(特許文献2)に開示されている。これら特許文献1,2に開示される液晶表示装置は、液晶層を挟んで対向配置される一対の基板のうち、片側基板の一面上にそれぞれ表示電極と共通電極を設け、両電極間を用いて基板面にほぼ水平な方向に電界を発生させて液晶層の配向状態を変化させることにより明暗表示を実現する。このような液晶表示装置は、電界印加時に液晶層の液晶分子が基板面に水平な状態のままで配向変化するため明暗表示に視角依存性を生じにくく、このため良好な視角特性を実現することができる。このような液晶表示装置はインプレーンスイッチング(IPS:In-Plane Switching)型液晶表示装置と呼ばれる。特許文献1に開示の液晶表示装置は、表示電極と共通電極の各交差部に薄膜トランジスタ等の能動素子を設けて各画素をスイッチングするアクティブマトリクス駆動型である。他方、特許文献2に開示の液晶表示装置は、上記のような能動素子を用いない単純マトリクス駆動型である。
【0004】
ところで、先行例のIPS型液晶表示装置は、いずれも複数の画素をマトリクス状に配置して画像表示を行うことを想定したものであるが、任意の表示部形状を有するセグメント表示型液晶表示装置に適した構造を提案するものではない。具体的には、先行例のIPS型液晶表示装置は、表示電極と対向電極、又はそれに接続される引き回し配線において必ず平面視において交差部分が存在しており、この交差部分は絶縁膜を介在させることにより絶縁が確保されている。このような絶縁膜を設けることは液晶表示装置の製造時における工程数を増加させる要因となる。ここで、特許文献1に開示の液晶表示装置では、能動素子を構成するためにパッシベーション膜を設けており、これを成膜するときに併せて上記した交差部分の絶縁膜を形成することができるため、製造時の工程数を増加させる要因とはなりにくい。しかしながら、一般にセグメント表示型液晶表示装置においては能動素子を設けないため、上記したような交差部分に絶縁膜を設けることにした場合には製造時の工程数が増加する懸念がある。他方で、交差部分を設けないようにする場合には、表示電極と対向電極の各々の対応した引き回し配線をすべて同一面上に配置する必要があることから、引き回し配線相互の配置間隔が狭くなる。このため、引き回し配線同士が近接した領域では意図しない電界が生じることによる異常点灯を引き起こし、表示品位を低下させるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭56−91277号公報
【特許文献2】特開平7−72491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明に係る具体的態様は、工程数を増加させず、表示品位に優れ、特にセグメント表示型に適したIPS型液晶表示装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様の液晶表示装置は、定型の文字又は図柄を表示する表示部を備えた液晶表示装置であって、(a)対向配置された一対の基板と、(b)一対の基板のうちの一方の基板の一面側に設けられており、表示部を画定する第1電極及び第2電極と、(c)一方の基板の一面側に設けられ、第1電極と接続された第1引き回し配線と、(d)一方の基板の一面側に設けられ、第2電極と接続された第2引き回し配線と、(e)一対の基板の相互間に設けられた液晶層を含み、(f)第1電極と第2電極は、それぞれ複数の電極枝を有する櫛歯形状であり、第1電極の各電極枝と第2電極の各電極枝が互いのエッジ間を第1距離で離間させて互い違いに配置されており、(g)第1引き回し配線と第2引き回し配線は、少なくとも、互いが隣り合って配置された領域において各々のエッジの方向が電圧無印加時における液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して略平行又は略直交となるように配置されており、当該互いが隣り合って配置された領域における第1引き回し配線と第2引き回し配線のエッジ間が第2距離で離間している、ことを特徴とする液晶表示装置である。
【0008】
上記構成によれば、工程数を増加させることなく、引き回し線部分における異常点灯が抑制されて表示品位に優れ、特にセグメント表示型に適したIPS型液晶表示装置が得られる。
【0009】
上記の液晶表示装置においては、第2距離が第1距離の3倍以上に設定されていることが好ましい。
【0010】
それにより、異常点灯をより確実に抑制することができる。
【0011】
上記の液晶表示装置において、第1電極と第2電極が各々の前記複数の電極枝のエッジの方向と液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向のなす角度を略45°に設定し、かつ第2距離が第1距離の1.5倍以上に設定されていることも好ましい。
【0012】
それにより、第2距離をより小さく設定しつつ異常点灯を抑制することができる。
【0013】
上記の液晶表示装置において、第1電極と第2電極は、各々の前記複数の電極枝のエッジが屈曲していることも好ましい。
【0014】
それにより、電圧印加時に液晶層を複数のドメイン配向にすることができ、視角特性がより向上する。
【0015】
本発明に係る他の態様の液晶表示装置は、定型の文字又は図柄を表示する表示部を備えた液晶表示装置であって、(a)対向配置された一対の基板と、(b)一対の基板のうちの一方の基板の一面側に設けられており、表示部を画定する第1電極及び第2電極と、(c)一方の基板の一面側に設けられ、第1電極と接続された第1引き回し配線と、(d)一方の基板の一面側に設けられ、第2電極と接続された第2引き回し配線と、(e)一対の基板の相互間に設けられた液晶層を含み、(f)第1電極と第2電極は、それぞれ複数の電極枝を有する櫛歯形状であり、第1電極の各電極枝と第2電極の各電極枝が互いのエッジ間を第1距離で離間させて互い違いに配置されており、(g)第1電極と第2電極の各々の複数の電極枝のエッジの方向と電圧無印加時における液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向のなす角度が15°以上45°以下に設定されており、(h)第1引き回し配線と第2引き回し配線は、少なくとも、互いに隣り合って配置された領域において各々のエッジの方向電圧無印加時における液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して略平行又は略直行となるように配置されており、当該互いが隣り合って配置された領域における第1引き回し配線と第2引き回し配線のエッジ間が第2距離で離間している、ことを特徴とする液晶表示装置である。
【0016】
上記構成によっても、工程数を増加させることなく、引き回し線部分における異常点灯が抑制されて表示品位に優れ、特にセグメント表示型に適したIPS型液晶表示装置が得られる。
【0017】
上記の液晶表示装置においては、第2距離が第1距離の1.5倍以上に設定されていることも好ましい。
【0018】
それにより、異常点灯をより確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、参考例1の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
図2図2は、参考例1の液晶表示装置における第1電極(セグメント電極)および引き回し配線の構成例を示す平面図である。
図3図3は、参考例1の液晶表示装置における第2電極(コモン電極)および引き回し配線の構成例を示す平面図である。
図4図4は、参考例1の液晶表示装置における第1電極と第2電極を一緒に示した平面図である。
図5図5(A)は、第1電極と第2電極の詳細な構成例を示す平面図である。図5(B)は、第1電極と第2電極の他の詳細な構成例を示す平面図である。
図6図6(A)は、G領域における顕微鏡観察写真を示す図であり、図6(B)は、I領域における顕微鏡観察写真を示す図であり、図6(C)は、K領域における顕微鏡観察写真を示す図である。
図7】参考例2の液晶表示装置の電極構造を示す平面図である。
図8図8(A)は、参考例2の液晶表示装置の第1電極と第2電極の間に0Vの駆動電圧を与えた際の顕微鏡観察像を示す図であり、図8(B)は、第1電極と第2電極の間に5Vの駆動電圧を与えた際の顕微鏡観察像を示す図であり、図8(C)は、第1電極と第2電極の間に7Vの駆動電圧を与えた際の顕微鏡観察像を示す図であり、図8(D)は、第1電極と第2電極の間に10Vの駆動電圧を与えた際の顕微鏡観察像を示す図であり、図8(E)は、第1電極と第2電極の間に12Vの駆動電圧を与えた際の顕微鏡観察像を示す図である。
図9図9は、上記した図4におけるG領域を拡大した平面図である。
図10図10は、参考例1の液晶表示装置に15Vの駆動電圧を与えた際のG領域の顕微鏡観察像を示す図である。
図11】参考例3の液晶表示装置の電極構造を示す平面図である。
図12図12は、参考例3の液晶表示装置に対して、第1電極と第2電極の間に15Vの駆動電圧を与えた際の顕微鏡観察像を示す図である。
図13図13は、実施例の液晶表示装置における第1電極(セグメント電極)および引き回し配線の構成例を示す平面図である。
図14図14は、実施例の液晶表示装置における第2電極(コモン電極)および引き回し配線の構成例を示す平面図である。
図15図15は、実施例の液晶表示装置における第1電極と第2電極を一緒に示した平面図である。
図16図16は、図15におけるG領域を拡大した平面図である。
図17図17(A)と図17(B)は、それぞれ、実施例の液晶表示装置における第1電極と第2電極の詳細な構成例を示す平面図である。
図18図18は、表示部の輪郭に対応して階段状に形成された第1電極および第2電極の端部を例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
(参考例)
図1は、参考例1の液晶表示装置の構成を示す断面図である。この液晶表示装置は、対向配置された第1基板11および第2基板12と、第1基板11と第2基板12の間に配置された液晶層17を基本構成として備える。例えば、この液晶表示装置は、電極同士の重なり合う領域が表示したい文字や図案を直接的に形作るように構成され、基本的に予め定められた文字等、すなわち定型の文字等のみを表示可能であり、概ね、有効表示領域内における面積比で50%以下程度の領域が文字等の表示に寄与するものであるセグメント表示型の液晶表示装置である。なお、液晶表示装置は、複数の画素がマトリクス状に配列されたドットマトリクス表示型とセグメント表示型が混在したものであってもよい。
【0022】
第1基板11および第2基板12は、それぞれ例えばガラス基板、プラスチック基板等の透明基板である。図示のように、第1基板11と第2基板12は、所定の間隙(例えば3μm程度)を設けて貼り合わされている。第1基板11と第2基板12の間隙は、図示しない枠状のシール材に含有するロット状又は球状のスペーサーと、基板面内に均一に分散配置される球状スペーサーにより保持される。
【0023】
第1電極13、第2電極14、引き回し配線(第1引き回し配線)23、引き回し配線(第2引き回し配線)24は、それぞれ第2基板12の一面側に設けられている。第1電極13は引き回し配線23と接続されており、第2電極14は引き回し配線24と接続されている。これらの第1電極13、第2電極14および引き回し配線23、24は、それぞれ例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。第1電極13と第2電極14は、ともに、複数の電極枝を連ねた櫛歯状電極であり、互いの電極枝が交互に噛み合うように配置されている。
【0024】
第1配向膜15は、第1基板11の一面側に設けられている。第2配向膜16は、第2基板12の一面側に第1電極13および第2電極14を覆うようにして設けられている。これらの第1配向膜15、第2配向膜16としては、液晶層17の配向状態を水平配向に規制する水平配向膜が用いられている。各配向膜にはラビング処理等の一軸配向処理が施されている。
【0025】
液晶層17は、第1基板11と第2基板12の間に設けられている。本実施形態においては、誘電率異方性Δεが負の液晶材料を用いて液晶層17が構成される。本実施形態の液晶層17は、電圧無印加時における液晶分子の配向方向が第1基板11および第2基板12の各基板面に対してほぼ水平となる水平配向に設定されている。
【0026】
第1偏光板21は、第1基板11の外側に配置されている。同様に、第2偏光板22は、第2基板12の外側に配置されている。第1偏光板21は、例えばその吸収軸が液晶層17の液晶分子の配向方向に対して略平行に配置される。また、第2偏光板22は、例えばその吸収軸が第1偏光板21の吸収軸に対して略直交に配置される。なお、各偏光板と各基板との間には適宜Cプレート等の光学補償板が配置されてもよい。
【0027】
図1に示すように、液晶表示装置の有効表示領域内は、第1電極13および第2電極14が配置された表示部(表示領域)31と、引き回し配線23または引き回し配線24のみが配置された引き回し線部(引き回し線領域)32と、電極と引き回し線のいずれも配置されていない非表示部(非表示領域)33を含む。表示部31においては第1電極13と第2電極14の各電極枝が一定間隔で交互に配置される。各引き回し配線23、24を介して第1電極13と第2電極14の間に電圧を印加することにより、第2基板12の一面とほぼ平行な電界を液晶層17へ与えることができる。それにより、表示部31の液晶層17の液晶分子の配向状態が変化し、明暗状態を制御することができる。
【0028】
図2は、参考例1の液晶表示装置における第1電極(セグメント電極)および引き回し配線の構成例を示す平面図である。図2に示す第1電極13は、「STANLEY」と「LCDs」の各文字を表示するために、それらの文字に対応した形状を有している。なお、図示を省略しているがこれら文字の部分は櫛歯状電極で構成されている。代表していくつかの第1電極13にのみ符号を付す。各第1電極13には、引き回し配線23が接続されている。代表していくつかの引き回し配線23にのみ符号を付す。外部取り出し電極端子25は、図示しない外部駆動回路に接続するためのものであり、それぞれ引き回し配線23と接続されている。
【0029】
図3は、参考例1の液晶表示装置における第2電極(コモン電極)および引き回し配線の構成例を示す平面図である。図2に示す第2電極14は、「STANLEY」と「LCDs」の各文字を表示するために、それらの文字に対応した形状を有している。なお、図示を省略しているがこれら文字の部分は櫛歯状電極で構成されている。代表していくつかの第2電極14にのみ符号を付す。各第2電極14には、引き回し配線24が接続されている。代表していくつかの引き回し配線24にのみ符号を付す。外部取り出し電極端子26は、図示しない外部駆動回路に接続するためのものであり、それぞれ引き回し配線24と接続されている。
【0030】
図4は、参考例1の液晶表示装置における第1電極と第2電極を一緒に示した平面図である。なお、図4では第1電極13と第2電極14を識別する都合上、第2電極14を点線により示している。図示のように、第1電極13と第2電極14はともに第2基板12の同一面上に設けられる。
【0031】
図5(A)は、第1電極と第2電極の詳細な構成例を示す平面図である。この図では、図4の図中に示すE領域(「Y」の文字の下側末端部分)における第1電極13と第2電極14の構成例が示されている。図示のように第1電極13と第2電極14は、それぞれの電極枝13a、14aがx方向に沿って交互に配置されており、かつy方向に沿って延在している。各電極枝13aと各電極枝14aは、いずれも屈曲したエッジを有する。それぞれのエッジは、各電極枝の延在方向であるy方向に対して+3°の角度をなす電極エッジと−3°の角度をなす電極エッジを交互に配置し、接続した構造を有する。各電極枝13a、14aの電極幅は15μmであり、隣り合う電極枝13aと電極枝14aの配置間隔は15μmに設定されている。なお、電極幅と配置間隔は等しくなくてもよい。また、電極幅は5μm〜30μm程度とすることが好ましい。
【0032】
上記のように液晶層17に負の誘電率異方性を有する液晶材料を用いる場合には、液晶層17の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向41は、例えば図示のように各電極枝13a、14aの延在方向と直交する方向であるx方向へ設定することができる。なお、正の誘電率異方性を有する液晶材料を用いる場合には、例えば各電極枝13a、14aの延在方向と平行な方向であるy方向へ設定することができる。これにより、屈曲するエッジの屈曲方向が異なる領域ごとに電圧印加時における液晶分子の面内回転方向を互いに逆にすることができるので、2ドメイン配向状態を実現し、視角特性の向上を図ることができる。
【0033】
図5(B)は、第1電極と第2電極の他の詳細な構成例を示す平面図である。この図においても図4の図中に示すE領域(「Y」の文字の下側末端部分)における第1電極13と第2電極14の構成例が示されている。図示のように第1電極13と第2電極14は、それぞれの電極枝13a、14aがx方向に沿って交互に配置されており、かつy方向に対して時計回りに3°の角度をなす方向へ延在している。各電極枝13a、14aの電極幅は15μmであり、隣り合う電極枝13aと電極枝14aの配置間隔は15μmに設定されている。なお、電極幅と配置間隔は等しくなくてもよい。また、電極幅は5μm〜30μm程度とすることが好ましい。また、液晶層17の液晶分子の配向方向41については上記した通りである。このような構成の第1電極13および第2電極14を用いる場合には、電圧印加時における液晶分子の面内回転方向は表示部31の全体で1つに限定される。
【0034】
次に、参考例1の液晶表示装置について実際に作製し、その特性を評価した結果を説明する。参考例1の液晶表示装置は以下のように作製された。具体的には、一方の面に10Ω/sq.のITO膜が形成された0.7mm厚のガラス基板をフォトリソグラフィー工程とエッチング工程にてパターニングすることにより、第1電極および第2電極を有する第2基板を得た。他方で、第2基板と同じ種類のガラス基板を用いて、シール枠内に電極が一切配置されない第1基板を用意した。第1基板、第2基板の各一面に水平配向膜をフレキソ印刷法にてパターン印刷し、焼成後、ラビング処理を施した。一方の基板(例えば第1基板)に略3μm径のロッド状スペーサーを含有する枠状シール材を印刷し、もう一方の基板(例えば第2基板)に略3μmのプラスチック製球状スペーサーを乾式散布法にて均等散布した。その後、両基板を重ね合わせ、プレス状態のままシール材を焼成することにより空セルを完成させた。この空セルに負の誘電率異方性を有する液晶材料を真空注入法にて注入し、セルをプレスしながら注入口に紫外線硬化樹脂を塗布し、プレス開放して注入口にわずかに樹脂が吸い込まれた状態において紫外線を照射することにより注入口を封止した。なお、第1電極および第2電極は上記した図5(A)に示したような屈曲した電極エッジを有するタイプとした。液晶層は一軸配向状態とし、その層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向は第1電極および第2電極の各電極枝の延在方向に対して略直交するようにした。第1偏光板はその吸収軸を液晶層の配向方向に対して略平行にして、第2偏光板はその吸収軸を第1偏光板21の吸収軸に対して略直交させた。外部取り出し電極端子にリードフレームを取り付け、液晶表示装置を完成させた。
【0035】
完成させた参考例1の液晶表示装置に対して第1電極と第2電極の間に120Hzのスタティック駆動波形の駆動電圧を印加し、外観観察したところ、各表示部は良好な明状態が得られることが確認でき、明表示状態のおける視角特性は色変化が少なく極めて優れていることが分かった。ところが、駆動電圧を15V以上に設定すると表示部でない部分においても光抜けが生じることが分かった。具体的には、上記した図4に示したF領域、G領域、H領域、I領域、J領域、K領域などで光抜けを生じることが分かった。代表例として、いくつかの領域における顕微鏡観察写真を以下に示す。
【0036】
図6(A)は、G領域における顕微鏡観察写真を示す図であり、図6(B)は、I領域における顕微鏡観察写真を示す図であり、図6(C)は、K領域における顕微鏡観察写真を示す図である。いずれの領域においても、表示部ではない引き回し線部分にて光抜けが生じていることが分かり、これが外観観察にて確認できる表示不良部分であることが分かった。詳細な検討の結果、これらの領域に共通する事項として、(1)第1電極に接続された引き回し配線と第2電極に接続された引き回し配線が近接していること、(2)電圧無印加時の液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向と引き回し配線のエッジの方向とのなす角度が上記液晶分子の配向方向と表示部における各電極のエッジの方向とのなす角度(本例では略87°)よりも小さいこと、が挙げられる。ただし、表示部における第1電極と第2電極の電極枝の相互間隔(本例では15μm)に比べると、引き回し配線同士の間隔は2倍以上(50μm以上)である。なお、この不具合は、誘電率異方性が正の液晶材料を用いた場合でも同様であり、引き回し配線のエッジの方向と電圧無印加時の液晶層の略中央の液晶分子の配向方向が鋭角をなしている部分では、高い駆動電圧が与えられたときに異常点灯部分が外観から観察される。
【0037】
上記の不具合を詳細に解析するために、参考例2として図7に示すような電極構造の液晶表示装置を作製した。具体的には、図示のように液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向41がx方向(図中の左右方向)となるように配向制御し、表示部は配向方向に対して45°に近いエッジを有するようにした。表示部には、第1電極と第2電極の各電極枝をかみ合わせて配置した。各電極枝の延在方向はy方向、すなわち液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向に対して略直交するようにし、各電極枝の電極エッジはy方向に沿って±3°で屈曲した構造とした。各電極枝の電極幅は略15μmとし、電極間隔も略15μmとした。第1電極と第2電極は、それぞれ、引き回し配線に接続されない端部が表示部のエッジに対応した形状とし、引き回し配線に接続される端部はその引き回し配線のエッジが表示部のエッジと平行な形状とした。これにより、第1電極と第2電極の各々の引き回し配線に接続されない端部の方向が液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向に対して斜交することになる。また、第1電極の引き回し配線と第2電極の引き回し配線のエッジ間距離は略30μmとした。以上のような電極構造を用いることにより、液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向に対してエッジが斜めに配置される部分における電圧印加時の点灯状態を確認できると考える。なお、電極構造以外の作製条件については上記した参考例1の液晶表示装置と同様である。
【0038】
図8(A)は、参考例2の液晶表示装置の第1電極と第2電極の間に0Vの駆動電圧を与えた際の顕微鏡観察像を示す図であり、図8(B)は、第1電極と第2電極の間に5Vの駆動電圧を与えた際の顕微鏡観察像を示す図であり、図8(C)は、第1電極と第2電極の間に7Vの駆動電圧を与えた際の顕微鏡観察像を示す図であり、図8(D)は、第1電極と第2電極の間に10Vの駆動電圧を与えた際の顕微鏡観察像を示す図であり、図8(E)は、第1電極と第2電極の間に12Vの駆動電圧を与えた際の顕微鏡観察像を示す図である。
【0039】
図8(A)に示すように電圧無印加時においては面内に分散散布したスペーサーの周りに光抜けが生じている以外は消光されていることが分かる。また、図8(B)に示すように、5V印加時においては、丸で囲んで示した部分と、引き回し配線のエッジ間距離が最も短い30μmの領域のエッジ付近で光抜けが生じていることが分かる。丸で囲んだ部分は、第1電極および第2電極のエッジの形状が表示部に合わせて斜めに形成されている部分であり、これらの電極エッジにおける光抜けと考える。これらの部分においてもエッジ間距離は略30μmと考えられるが、表示部内の液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向に対して略直交に延在する各電極枝のエッジ間に比べてエッジ間距離は2倍程度大きいにも関わらず、明表示にスイッチングする閾値電圧は低いことが明らかである。
【0040】
図8(C)に示すように、7V印加時においては表示部内の各電極枝のエッジ付近において光抜けが生じていることから、閾値が7V付近であることが分かった。図8(B)で示した部分ではさらに光抜けの領域が大きくなり、引き回し配線のエッジ間距離が最も小さい部分では光抜けの領域がかなり広がっている様子が観察された。
【0041】
また、図8(D)に示すように、10V印加時においては表示部内の各電極枝のエッジから生じた光抜けが印加電圧の上昇に伴ってエッジから遠い領域へと拡大する様子が観察された。5V印加時に光抜けが生じた領域はさらに光抜けの領域が周辺に拡大し、特に引き回し配線のエッジ間距離が最も小さい部分では表示部よりも広い範囲で明状態になっている様子が観察された。さらに、右斜め上側に延在する引き回し配線のエッジ付近にて光抜けが生じ始めることも分かった。
【0042】
図8(E)に示すように、12V印加時においては表示部内の光抜けの領域が各電極枝のエッジからより遠い部分へ拡大しており、表示部の透過率が増加していることが分かる。そして、引き回し配線のエッジ間距離が最も小さい部分では表示部よりも広い範囲で明状態になっている様子が観察された。さらに、右斜め上側に延在する引き回し配線のエッジ付近においても光抜けがより先鋭化していることが観察された。
【0043】
以上の観察結果から、液晶層の略中央における液晶分子の配向方向に対して斜めに交わるエッジ、特に略45°の角度をなして交わるエッジを有する引き回し配線のエッジ間において低い駆動電圧で光抜けが生じることが明確となった。このような領域では表示部に比べてエッジ間距離が2倍以上であるにも関わらず、比較的に低い駆動電圧で光抜けが生じることから、より高い駆動電圧を与えた場合には外観観察からも異常点灯部分として認識されると考えられる。
【0044】
一方で、図6(A)〜図6(C)に示した顕微鏡観察像からは、液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して引き回し配線のエッジが斜めに交わる部分では光抜けが生じるが、引き回し配線のエッジが液晶分子の配向方向に対して略平行又は略直交である部分では光抜けが生じにくいといえる。この点について、上記した参考例1の液晶表示装置を用いて検討する。
【0045】
図9は、上記した図4におけるG領域を拡大した平面図である。第1電極と第2電極はそれぞれy方向(図中の上下方向)に延在しており、液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向41はx方向(図中の左右方向)である。また、図9に示したG1領域、G2領域およびG3領域はそれぞれ、引き回し配線のエッジの方向が液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向41に対して斜交する領域である。なお、G1〜G3領域以外における引き回し配線のエッジの方向は、概ね、液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して略平行である。
【0046】
図10は、参考例1の液晶表示装置に15Vの駆動電圧を与えた際のG領域の顕微鏡観察像を示す図である。図10からも、引き回し配線のエッジの方向と液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向が略平行な領域においては光抜けが観察されないことが分かる。これは、液晶材料として負の誘電率異方性を有するものを用いているため、このような高い駆動電圧が与えられても液晶層内の配向変形がほぼ発生しないと考えられるためである。これらの領域における引き回し配線のエッジ間距離は0.12mm、0.06mm、0.03mmと様々である。しかし、光抜けのエッジ間距離に対する依存性は存在しない。一方で、液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して引き回し配線のエッジの方向が斜交しているG1〜G3領域では、領域ごとにエッジの方向と液晶分子の配向方向のなす角度が異なり、引き回し配線のエッジ間距離も異なる。エッジの方向と液晶分子の配向方向のなす角度が小さく、引き回し配線のエッジ間距離が小さいG1領域では光抜けが明確に観察される。これに対して、G2領域およびG3領域では、エッジの方向と液晶分子の配向方向のなす角度はG1領域に比べて大きいが、エッジ間距離が小さいG2領域ではエッジ付近に光抜けが観察され、エッジ間距離が大きいG3領域では光抜けが観察されない。
【0047】
ここで、液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して略直交するエッジを有する引き回し配線が存在する場合のエッジ付近における光抜け状態をさらに確認するために、参考例3として、図11に示すように略円形の表示部に対応してy方向(図中の上下方向)に延在する第1電極および第2電極を配置し、かつ各々に接続された引き回し配線を配置し、x方向(図中の左右方向)に電圧無印加時の液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向が設定された液晶表示装置を作製した。なお、その他の作製条件は上記した参考例1の液晶表示装置と同様である。
【0048】
図12は、参考例3の液晶表示装置に対して、第1電極と第2電極の間に15Vの駆動電圧を与えた際の顕微鏡観察像を示す図である。図11におけるL1領域、L2領域およびL3領域は、いずれも引き回し配線のエッジ間距離が0.1mmに設定されているが、領域L1では液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対してエッジの方向が斜交していることからエッジ付近において光抜けが生じている。一方で、液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対してエッジの方向が略直交するL2領域およびL3領域では光抜けが観察されないことが分かった。さらなる検討の結果、引き回し配線のエッジ間距離を各電極枝の相互間距離の少なくとも3倍以上に設定すれば光抜けが生じないことが分かった。例えば、第1電極と第2電極の各電極枝の相互間距離が0.015mmとすると、L2領域およびL3領域の引き回し配線のエッジ間距離は0.045mm以上に設定されていればよいことになる。
【0049】
(実施例)
上記の結果より、液晶層に誘電率異方性が負の液晶材料を用いた場合において引き回し配線による光抜けを抑制する為には以下の知見に基づいて液晶表示装置を構成することが有効であるといえる。
(1)表示部を構成する第1電極および第2電極のそれぞれに接続される引き回し配線のエッジが近接する領域においては、エッジの方向が液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して略平行または略直交となるように引き回し配線を配置する。
(2)引き回し配線のエッジの方向が液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して略平行となる領域では、光抜けの程度と引き回し配線のエッジ間距離との相関はほとんどない。
(3)引き回し配線のエッジの方向が液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して略直交となる領域では、引き回し配線のエッジ間距離は表示部における第1電極と第2電極の各電極枝の相互間距離の3倍以上とすることが好ましく、0.1mm以上に設定することが好ましい。
【0050】
なお、液晶層に誘電率異方性が正の液晶材料を用いた場合には、電圧無印加時における液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向は表示部の第1電極および第2電極の延在方向に対して略平行に配置することから、上記した液晶材料の誘電率異方性が負の場合に対して、引き回し配線のエッジの方向と液晶層の略中央における液晶分子の配向方向との関係を入れ替える必要がある。すなわち、上記した(2)と(3)の条件が以下のようになる。
(2)引き回し配線のエッジの方向が液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して略直交となる領域では、光抜けの程度と引き回し配線のエッジ間距離との相関はほとんどない。
(3)引き回し配線のエッジの方向が液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して略平行となる領域では、引き回し配線のエッジ間距離は表示部における第1電極と第2電極の各電極枝の相互間距離の3倍以上とすることが好ましく、0.1mm以上に設定することが好ましい。
【0051】
上記の知見に基づく実施例の液晶表示装置について説明する。実施例の液晶表示装置は上記した参考例1の液晶表示装置と同様に、第1基板11、第2基板12、第1電極13、第2電極14、第1配向膜15、第2配向膜16、液晶層17、第1偏光板21、第2偏光板22、引き回し配線23、24を備えており、表示部31、引き回し線部32、非表示部33を有する(図1参照)。したがって、以下で実施例の液晶表示装置を説明する際に、参考例1〜3の液晶表示装置と共通する構成要素については同一名称、同一符号を用いたうえで、それらの詳細な説明については適宜省略する。
【0052】
図13は、実施例の液晶表示装置における第1電極(セグメント電極)および引き回し配線の構成例を示す平面図である。図14は、実施例の液晶表示装置における第2電極(コモン電極)および引き回し配線の構成例を示す平面図である。図15は、実施例の液晶表示装置における第1電極と第2電極を一緒に示した平面図である。なお、図15では同一面上に配置される第1電極13と第2電極14を識別する都合上、第2電極14を点線により示している。図13図15においては、液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向が図中の左右方向に対応している。
【0053】
図13図15に示すように、引き回し配線23と引き回し配線24のエッジ同士が近接する領域においては、すべてのエッジの方向が液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して略直交し、または略平行となるように各引き回し配線23、24を形成した。また、引き回し配線23と引き回し配線24のエッジの最も接近した箇所でのエッジ間距離が0.05mm以上となるようにした。これにより、表示部の第1電極13および第2電極14の各電極枝の相互間距離(本例では0.15mm)に比べてエッジ間距離が3倍以上になる。上記で示した通り、引き回し配線23と引き回し配線24のエッジの最も近接した箇所でのエッジ間距離は0.1mmに設定してもよい。
【0054】
一例として、図15におけるG領域を拡大した平面図を図16に示す。引き回し配線のエッジ同士が近接する領域においては、すべてのエッジの方向が液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向41に対して略直交し、または略平行となっており、また、エッジ間距離が第1電極13および第2電極14の各電極枝の相互間距離に比べて3倍以上に設定されている。このようにすることで、引き回し配線のエッジ間における異常点灯を抑制することができる。
【0055】
なお、液晶層の液晶材料の誘電率異方性が負の場合には、液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して各引き回し配線のエッジの方向が略平行である場合のエッジ間距離を当該液晶分子の配向方向に対して各引き回し配線のエッジの方向が略直交する場合のエッジ間距離に比べて小さく設定してもよい。また、液晶層の液晶材料の誘電率異方性が正の場合には、液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して各引き回し配線のエッジの方向が略直交する場合のエッジ間距離を当該液晶分子の配向方向に対して各引き回し配線のエッジの方向が略平行である場合のエッジ間距離に比べて小さく設定してもよい。
【0056】
ここで、実施例の液晶表示装置における第1電極と第2電極の構成については、例えば上記した参考例1と同様にすることができる(図5(A)、図5(B)参照)。また、上記の検討により、液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して各電極のエッジの方向が斜交する場合、特に略45°の角度をなして斜交する場合においてはより低電圧でエッジ付近の光抜けを生じることから、表示部内の第1電極および第2電極の各電極枝のエッジを液晶分子の配向方向に対して斜交させること、例えば略45°に配置することも考えられる。これについて以下に説明する。
【0057】
図17(A)と図17(B)は、それぞれ、実施例の液晶表示装置における第1電極と第2電極の詳細な構成例を示す平面図である。図17(A)に示すように第1電極13と第2電極14は、それぞれの電極枝13a、14aがx方向に沿って交互に配置されており、かつy方向に沿って延在している。各電極枝13aと各電極枝14aは、いずれも屈曲した電極エッジを有する。それぞれのエッジは、各電極枝の延在方向であるy方向に対して+45°の角度をなすエッジと−45°の角度をなすエッジを交互に配置し、接続した構造を有する。各電極枝13a、14aの電極幅は15μmであり、隣り合う電極枝13aと電極枝14aの配置間隔は15μmに設定されている。なお、電極幅と配置間隔は等しくなくてもよい。また、電極幅は5μm〜30μm程度とすることが好ましい。このとき、液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向を図中のx方向またはy方向に設定することにより、この液晶分子の配向方向と各電極枝のエッジが斜交することから閾値電圧を低下させる効果が得られる。また、図17(B)に示すように、第1電極13および第2電極14の各電極枝の延在方向自体が液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して45°の角度をなすように配置され、かつ各電極枝が交互に配置された場合にも同様に閾値電圧を低下する効果が得られる。また、これらの電極構造を用いた場合には、閾値電圧を低下する効果が得られることから駆動電圧をより低くすることができる。このような駆動電圧の低電圧化により、引き回し配線のエッジ付近において光抜けが生じる可能性をより低くすることができる。
【0058】
図17(A)に示したように、表示部における第1電極13および第2電極14の各電極枝のエッジの方向を液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して略45°の角度をなすように設定し、かつ引き回し線23、24のエッジの方向を液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して略平行または略直交に設定した場合には、各電極枝の相互間距離よりも引き回し配線のエッジ間距離を1.5倍以上に設定することが好ましい。それにより、引き回し配線のエッジ付近における光抜けをより効果的に抑制することができる。また、表示部における第1電極13および第2電極14の各電極枝のエッジの方向を液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向に対して15°以上45°以下の角度をなすように設定した場合には、引き回し配線23、24のエッジの方向を表示部の第1電極13および第2電極14の各電極枝のエッジの方向に対して10°以上の角度をなすように配置し、かつ、引き回し配線23、34のエッジの方向と液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向とのなす角度が0°に近い(平行に近い)かまたは90°に近い(直交に近い)状態であり、かつ、各電極枝の相互間距離よりも引き回し配線のエッジ間距離を1.5倍以上、より好ましくは2倍以上に設定することが好ましい。それにより、引き回し配線のエッジ付近における光抜けをより効果的に抑制することができる。
【0059】
また、上記した実施例では、表示部の輪郭がx方向とy方向のいずれとも平行ではない部分についてはその輪郭に合わせて第1電極および第2電極の端部を形成していたが、図18に例示するように、表示部の輪郭に対応して階段状に第1電極および第2電極の端部を形成してもよい。なお、例示した図は上記した図15におけるG領域を拡大した平面図であり、「S」の文字の一部が示されている。この場合、表示部の輪郭は曲線状であり、x方向、y方向のいずれとも平行ではない。このような部分を図18に示すように輪郭に合わせて階段状に形成することにより、第1電極および第2電極の端部におけるわずかな光抜けの発生も抑制することが可能となる。
【0060】
なお、本発明は上述した内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記した実施例では液晶層が電圧無印加時において一軸水平配向の場合について説明したが、ねじれ配向であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
11:第1基板、
12:第2基板
13:第1電極
14:第2電極
13a、14a:電極枝
15:第1配向膜
16:第2配向膜
17:液晶層
21:第1偏光板
22:第2偏光板
23、24:引き回し配線
31:表示部
32:引き回し線部
33:非表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図7
図9
図11
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図6
図8
図10
図12