特許第5945472号(P5945472)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945472
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】曲げ耐性マルチモード光ファイバ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/036 20060101AFI20160621BHJP
   G02B 6/028 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   G02B6/036
   G02B6/028
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-161570(P2012-161570)
(22)【出願日】2012年7月20日
(65)【公開番号】特開2013-200544(P2013-200544A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2015年1月28日
(31)【優先権主張番号】13/428,520
(32)【優先日】2012年3月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507112468
【氏名又は名称】ドラカ・コムテツク・ベー・ベー
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】モリン デニス
(72)【発明者】
【氏名】シラール ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ビゴ−アストラツク マリアンヌ
(72)【発明者】
【氏名】グーイジャー フランス
(72)【発明者】
【氏名】アシュテン フランシスカス ヨハネス
【審査官】 奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/109263(WO,A1)
【文献】 特開2011−133875(JP,A)
【文献】 特表2011−507028(JP,A)
【文献】 米国特許第07903918(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02− 6/036
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率nclを有するアウター光クラッドにより囲まれた中心コアであって、(1)36ミクロン以上の外半径rと、(2)最大屈折率nと、(3)前記アウター光クラッドに対するグレーデッドインデックス型プロファイルと、(4)相対屈折率差:
を有する中心コアと、
前記中心コアと前記アウター光クラッドとの間に位置し、外半径rを有するインナークラッドと、
前記インナークラッドと前記アウター光クラッドとの間に位置するくぼみ溝であって、外半径rと、前記アウター光クラッドに対する屈折率差Δnと、ボリュームVとを有するくぼみ溝と、
を備えるマルチモード光ファイバであって、
は、5.6×10−3μm−1以上であり、
前記くぼみ溝のボリュームVは、−750%-μm以上且つ−450%-μm以下であることを特徴とするマルチモード光ファイバ。
【請求項2】
は、5.7×10−3μm−1上であることを特徴とする請求項1に記載のマルチモード光ファイバ。
【請求項3】
前記中心コアの外半径rは、50ミクロン以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のマルチモード光ファイバ。
【請求項4】
前記中心コアの外半径rは、37ミクロン以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマルチモード光ファイバ。
【請求項5】
前記インナークラッドの外半径rと前記中心コアの外半径rの差r−r、1ミクロンから3ミクロンであることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のマルチモード光ファイバ。
【請求項6】
前記くぼみ溝の外半径rと前記インナークラッドの外半径rの差r−r、3ミクロンから7ミクロンであることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のマルチモード光ファイバ。
【請求項7】
前記アウター光クラッドに対する屈折率差Δn、−10×10−3から−5×10−3であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のマルチモード光ファイバ。
【請求項8】
850nmの波長において、5mmの曲率半径の2巻きに対し、0.3dB未満の曲げ損失を有することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のマルチモード光ファイバ。
【請求項9】
屈折率nclを有するアウター光クラッドにより囲まれた中心コアであって、(1)36ミクロンから50ミクロンの外半径rと、(2)最大屈折率nと、(3)前記アウター光クラッドに対するグレーデッドインデックス型プロファイルと、(4)相対屈折率差:
を有し、
が5.6×10−3μm−1以上である、中心コアと、
前記中心コアと前記アウター光クラッドとの間に位置し、外半径rを有するインナークラッドであって、前記インナークラッドの外半径rと前記中心コアの外半径rの差r−rが1ミクロンから3ミクロンである、インナークラッドと、
前記インナークラッドと前記アウター光クラッドとの間に位置しており、外半径r、−10×10−3から−5×10−3の前記アウター光クラッドに対する屈折率差Δnと、ボリュームVとを有するくぼみ溝であって、該くぼみ溝の外半径rと前記インナークラッドの外半径rの差r−rが3ミクロンから7ミクロンであり、該くぼみ溝のボリュームV−750%-μm以上且つ−450%-μm以下である、くぼみ溝と、
を備えるマルチモード光ファイバであって、
850nmの波長において、5mmの曲率半径の2巻きに対し、0.3dB未満の曲げ損失を有することを特徴とするマルチモード光ファイバ。
【請求項10】
請求項1からのいずれかに記載の光ファイバを備えることを特徴とする光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ伝送の分野に関し、特に低減された曲げ損失を有するマルチモード光ファイバに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ(すなわち、通常は1つまたは複数の被覆層により囲われたガラスファイバ)は、従来、光信号を伝送及び/又は増幅する光ファイバコアと、コア内に光信号を閉じ込める光クラッドとを含む。従って、コアの屈折率nは、通常、光クラッドの屈折率nよりも大きい(すなわち、n>n)。
【0003】
マルチモード光ファイバは、企業内情報通信網又はLAN(ローカルエリア・ネットワーク)などの広帯域幅を必要とする短距離のアプリケーションにより利用される。シングルモード光ファイバが通常約6ミクロンから9ミクロンの直径を有するのに対し、マルチモード光ファイバのコアは、通常約50ミクロンから62.5ミクロンの間の直径を有する。マルチモード光ファイバでは、特定の波長に対し、いくつかの光モードが光ファイバに沿って同時に伝搬される。
【0004】
マルチモード光ファイバは、特に光ファイバの互換性条件に関する基準(例えば帯域幅、開口数、及びコア径)を規定する国際標準化規格であるITU−T G.651.1(2007年7月)に従う。
【0005】
光ファイバの開口数(NA)は、下記の式により近似される。
【数1】
ここで、nは中心コアの屈折率であり、nはアウタークラッド(例えばアウター光クラッド)の屈折率である。
【0006】
光ファイバにおいては、屈折率のプロファイルは、通常、屈折率と光ファイバの半径とを関連付ける関数のグラフィック表示によって分類される。従来、光ファイバの中心に対する距離がx軸に示され、(半径rにおける)屈折率と、光ファイバの外側のクラッド(例えば、アウター光クラッド)の屈折率との差がy軸に示される。屈折率のプロファイルは、それぞれ図としてステップ、台形、放物形、アルファ形、または三角形の形状を有する、「ステップ」プロファイル、「台形(trapezoidal)」プロファイル、「放物形」プロファイル、「アルファ」プロファイル、または「三角形」プロファイルと称される。これらの曲線は、一般的に、光ファイバの理論的な又は設定されたプロファイルを表すものである。しかしながら、光ファイバの製造における制限のために、実際のプロファイルは僅かに異なるものとなる可能性がある。
【0007】
(すなわち、ステップインデックス型マルチモード光ファイバにおける)同一の伝搬媒体に関し、異なるモードは異なる群遅延時間を有する。この群遅延時間の差は、光ファイバを異なる半径方向オフセットで伝搬するパルス間にタイムラグ(すなわち、遅延)をもたらす。この遅延により、光パルスの広がりが生じる。光パルスの広がりは、パルスが後続のパルスに重なり合うリスクを高め、これは、光ファイバがサポートする帯域(すなわちデータ転送速度)を低下させる。従って、帯域は、光ファイバのマルチモードコアを伝搬する光モードの群遅延時間に関係している。それ故、広帯域を保証するために、全てのモードの群遅延時間が同一になることが望ましい。別の言い方をすれば、所定の波長に対して、多モード分散がゼロであるか、または少なくとも最小化されるべきである。
【0008】
多モード分散を低減するために、遠距離通信に用いられるマルチモード光ファイバは、一般的に、光ファイバの中心からクラッドとの接合部分まで徐々に減少する屈折率のコア(すなわち、「アルファ」コアプロファイル)を有する。このような光ファイバが長年にわたって用いられており、その特性は、"Multimode Theory of Graded-Core Fibers" by D. Gloge et al., Bell system Technical Journal 1973, pp. 1563-1578に記載されており、"Comprehensive Theory of Dispersion in Graded-Index Optical Fibers" by G. Yabre, Journal of Lightwave Technology, February 2000, Vol. 18, No. 2, pp. 166-177に要約されている。
【0009】
グレーデッドインデックス型プロファイル(すなわち、アルファ・インデックス型プロファイル)は、下記の数式のような屈折率nと光ファイバの中心からの距離rとの関係により表される。
【数2】
ここで、
α≧1であり、αはインデックス型プロファイルの形状を示す無次元パラメータであり、
は、光ファイバのコアの最大屈折率であり、
aは、光ファイバのコアの半径であり、
【数3】
である。
ここで、nはマルチモードコアの最小屈折率であり、これはアウタークラッド(ほとんどの場合、シリカで形成されている)の屈折率に相当する。
【0010】
従って、グレーデッドインデックス型の(すなわちアルファプロファイルの)マルチモード光ファイバは、光ファイバの半径方向に沿って、光ファイバのコアの中心から外周にかけて連続的に屈折率が減少するような回転対称のコアプロファイルを有する。マルチモード光信号がこのようなグレーデッドインデックス型のコアを伝搬するとき、異なる光モードは、(すなわち変化する屈折率のために)異なる伝搬媒質を経験する。これは、順々に、各光モードの伝搬速度に異なった影響を及ぼす。従って、パラメータαの値を調整することにより、全てのモードに対して実質的に等しい群遅延時間を得ることができる。別の言い方をすれば、多モード分散を低減、さらには除去するように屈折率プロファイルを修正できる。
【0011】
一般的に、高い開口数を有するマルチモード光ファイバほど、低いマクロベンド損失(以下、「曲げ損失」と称する)を有する。
【0012】
中心コアの直径が50ミクロンを超える従来のマルチモード光ファイバは、通常、多くのアプリケーションに対して十分な曲げ耐性をもたらすと期待されている。このような典型的な光ファイバは、62.5ミクロンの中心コア直径および0.275の開口数、または80ミクロンの中心コア直径および0.3の開口数を有してもよい。
【0013】
それでもなお、急な曲げ半径(例えば、5ミリメータ)に対し、このような光ファイバは(例えば、小型のコンシューマ電子デバイスにおける)高速伝送にとってクリティカルとなる大きな曲げ損失を示す。
【0014】
国際公開第WO2010/036684号は、大きなコアの光ファイバを扱っている。しかしながら、この開示された光ファイバは、
【数4】
となるような中心コア半径aおよび相対屈折率差Δを有する。
【0015】
開示された光ファイバの中心コアは、低減されたマイクロベンド損失を提供することができない。なぜなら、任意のΔ値に対し、中心コアの拡大はより大きなマイクロベンド損失をもたらすからである。さらに、開示された中心コア半径aと相対屈折率差Δとの間の関係は、望ましくない大きなマイクロベンド損失をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
それ故、低減された曲げ損失および50ミクロンより大きい中心コア直径を有するマルチモード光ファイバが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1の態様において、本発明はマルチモード光ファイバに関する。このマルチモード光ファイバは、
屈折率nclを有するアウター光クラッドにより囲まれた中心コアであって、(1)約35ミクロン以上の外半径rと、(2)最大屈折率nと、(3)アウター光クラッドに対するグレーデッドインデックス型プロファイルと、(4)相対屈折率差:
【数5】

を有する中心コアと、
中心コアとアウター光クラッドとの間に位置し、外半径rを有するインナークラッドと、
インナークラッドとアウター光クラッドとの間に位置するくぼみ溝であって、外半径rと、アウター光クラッドに対する屈折率差Δnと、ボリュームVとを有するくぼみ溝と、
を備え、
は約5.1×10−3μm−1以上である。
【0018】
第1の態様の他の実施形態によれば、
は約5.7×10−3μm−1以上である。
【0019】
第1の態様のさらに他の実施形態によれば、くぼみ溝のボリュームVは、−635%-μm以上である。
【0020】
第1の態様のさらに他の実施形態によれば、中心コアの外半径rは36ミクロン以上であり、くぼみ溝のボリュームVは−670%-μm以上である。
【0021】
第1の態様のさらに他の実施形態によれば、中心コアの外半径rは37ミクロン以上であり、
は約5.4×10−3μm−1以上である。
【0022】
第1の態様のさらに他の実施形態によれば、中心コアの外半径rは38ミクロン以上であり、くぼみ溝のボリュームVは−750%-μm以上である。
【0023】
第1の態様のさらに他の実施形態によれば、中心コアの外半径rは39ミクロン以上であり、
は約5.2×10−3μm−1以上である。
【0024】
第1の態様のさらに他の実施形態によれば、中心コアの外半径rは39ミクロン以上であり、くぼみ溝のボリュームVは−790%-μm以上である。
【0025】
第1の態様のさらに他の実施形態によれば、中心コアの外半径rは40ミクロン以上である。
【0026】
第2の態様において、本発明はマルチモード光ファイバに関する。このマルチモード光ファイバは、
屈折率nclを有するアウター光クラッドにより囲まれた中心コアであって、(1)約35ミクロンから50ミクロンの外半径rと、(2)最大屈折率nと、(3)アウター光クラッドに対するグレーデッドインデックス型プロファイルと、(4)相対屈折率差:
【数6】
とを有する中心コアと、
中心コアとアウター光クラッドとの間に位置し、外半径rを有するインナークラッドと、
インナークラッドとアウター光クラッドとの間に位置しており、外半径rと、約−10×10−3から−5×10−3のアウター光クラッドに対する屈折率差Δnと、ボリュームVとを有するくぼみ溝と、
を備え、
が約5.1×10−3μm−1以上であり、
インナークラッドの外半径rと中心コアの外半径rの差r−rが約1ミクロンから3ミクロンであり、
くぼみ溝の外半径rとインナークラッドの外半径rの差r−rが約3ミクロンから7ミクロンであり、
850nmの波長において、5mmの曲率半径の2巻きに対し、当該光ファイバは約0.3dB未満の曲げ損失を有する。
【0027】
第2の態様の他の実施形態によれば、
は約5.4×10−3μm−1以上である。
【0028】
第2の態様のさらに他の実施形態によれば、
は約5.9×10−3μm−1以上である。
【0029】
第2の態様のさらに他の実施形態によれば、中心コアの外半径rは36ミクロン以上であり、
は約5.6×10−3μm−1以上である。
【0030】
第2の態様のさらに他の実施形態によれば、中心コアの外半径rは37ミクロン以上であり、くぼみ溝のボリュームVは−710%-μm以上である。
【0031】
第2の態様のさらに他の実施形態によれば、中心コアの外半径rは38ミクロン以上であり、
は約5.3×10−3μm−1以上である。
【0032】
第2の態様のさらに他の実施形態によれば、中心コアの外半径rは39ミクロンから41ミクロンである。
【0033】
第2の態様のさらに他の実施形態によれば、くぼみ溝のボリュームVは−650%-μm以上である。
【0034】
第2の態様のさらに他の実施形態によれば、中心コアの外半径rは40ミクロン以上であり、くぼみ溝のボリュームVは−830%-μm以上である。
【0035】
第2の態様のさらに他の実施形態によれば、インナークラッドの外半径rと中心コアの外半径rの差r−rは、2ミクロン未満である。
【0036】
第2の態様のさらに他の実施形態によれば、くぼみ溝の外半径rとインナークラッドの外半径rの差r−rは、5ミクロン未満である。
【0037】
第2の態様のさらに他の実施形態によれば、850nmの波長において、5mmの曲率半径の2巻きに対し、光ファイバは約0.2dB未満の曲げ損失を有する。
【0038】
第3の態様において、本発明は、本発明の第2の異様に係る光ファイバを備える光学システムに関する。
【0039】
従って、一態様において、本発明は、アウタークラッド(例えばアウター光クラッド)により囲まれた中心コアを含む光ファイバを包含する。アウタークラッドは、屈折率nclを有する。中心コアは、外半径rと、最大屈折率nと、アウタークラッドに対するグレーデッドインデックス型プロファイルとを有する。中心コアはまた、相対屈折率差:
【数7】
を有する。
【0040】
中心コアの外半径rは、典型的には、約30ミクロンから50ミクロンの間(例えば、35ミクロンから50ミクロン)である。典型的には、中心コアの外半径rと相対屈折率差Δは、以下の不等式を満たす。
【数8】
【0041】
中心コアとアウタークラッドとの間には、インナークラッドが位置している(例えば、中心コアを直接に囲んでいる)。インナークラッドは、外半径rと、アウタークラッドに対する屈折率差Δnとを有する。典型的に、インナークラッドの外半径rと中心コアの外半径rとの差r−rは、約1ミクロンから3ミクロンの間である。
【0042】
インナークラッドとアウタークラッドとの間には、くぼみ溝が位置している(例えば、インナークラッドを直接に囲んでいる)。くぼみ溝は、外半径rと、アウタークラッドに対する負の屈折率差Δnを有する。典型的には、くぼみ溝の外半径rとインナークラッドの外半径rとの差r−rは、約3ミクロンから7ミクロンの間である。くぼみ溝の屈折率差Δnは、典型的には、約−10×10−3から−5×10−3の間である。
【0043】
典型的な実施形態では、850nmの波長において、5mmの曲率半径の2巻きに対し、この光ファイバは約0.3dB未満の曲げ損失を有する。
【0044】
別の典型的な実施形態では、850nmの波長において、5mmの曲率半径の2巻きに対し、この光ファイバは約0.2dB未満の曲げ損失を有する。
【0045】
さらに別の典型的な実施形態では、中心コアの外半径rと相対屈折率差Δは、以下の不等式を満たす。
【数9】
【0046】
さらに別の典型的な実施形態では、中心コアの外半径rは、約35ミクロンから50ミクロンの間(例えば、約35ミクロンから45ミクロンの間)である。
【0047】
さらに別の典型的な実施形態では、中心コアの外半径rは、約36ミクロンより大きい(例えば、約37ミクロン以上)である。
【0048】
さらに別の典型的な実施形態では、中心コアの外半径rは、約38ミクロンより大きい(例えば、約39ミクロンから41ミクロンの間)である。
【0049】
さらに別の典型的な実施形態では、中心コアの外径(すなわち2r)は、約62.5ミクロンである。
【0050】
さらに別の典型的な実施形態では、中心コアの外径(すなわち2r)は、約80ミクロン(すなわち、外半径rは約40ミクロン)である。
【0051】
別の態様において、本発明は、上述の光ファイバを含むマルチモード光学システムを包含する。
【0052】
本発明の前述の概要および他の典型的な目的および/または利点、ならびにそれらが達成される方法は、以下の詳細な説明およびそれに付随する図面の中でさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】本発明に係る典型的な光ファイバの屈折率プロファイルをグラフを使って示す図である。
【0054】
図2】本発明に係る典型的な光ファイバと、比較の光ファイバとに関し、曲げ損失を曲げ半径(すなわち、曲率半径)の関数としてグラフを用いて示す図である。
【0055】
図3】本発明に係る別の典型的な光ファイバと、別の比較の光ファイバとに関し、曲げ損失を曲げ半径(すなわち、曲率半径)の関数としてグラフを用いて示す図である。
【0056】
図4】ピンチテストを受けている光ファイバケーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明は、マルチモード光ファイバに関する。このマルチモード光ファイバは、屈折率nclを有するアウター光クラッドにより囲まれた中心コアであって、(1)約35ミクロン以上の外半径rと、(2)最大屈折率nと、(3)アウター光クラッドに対するグレーデッドインデックス型プロファイルと、(4)相対屈折率差:
を有する中心コアと、中心コアとアウター光クラッドとの間に位置し、外半径rを有するインナークラッドと、インナークラッドとアウター光クラッドとの間に位置するくぼみ溝であって、外半径rと、アウター光クラッドに対する屈折率差Δnと、ボリュームVとを有するくぼみ溝と、を備え、
は、約5.1×10−3μm−1以上であり、くぼみ溝のボリュームVは、−635%-μm以上である。
本発明の実施形態において、
は、約5.2×10−3μm−1以上、好ましくは約5.3×10−3μm−1以上、より好ましくは約5.4×10−3μm−1以上、より好ましくは約5.6×10−3μm−1以上、さらにより好ましくは約5.7×10−3μm−1以上、さらにより好ましくは約5.9×10−3μm−1以上であり、
中心コアの外半径rは、50ミクロン以下であり、
中心コアの外半径rは、36ミクロン以上、好ましくは37ミクロン以上、より好ましくは38ミクロン以上、さらにより好ましくは39ミクロン以上、さらにより好ましくは40ミクロン以上、最も好ましくは約39ミクロンから41ミクロンであり、
くぼみ溝のボリュームVは−650%-μm以上、好ましくはVは−670%-μm以上、好ましくはVは−710%-μm以上、より好ましくはVは−750%-μm以上、さらにより好ましくはVは−790%-μm以上、さらにより好ましくはVは−830%-μm以上であり、
インナークラッドの外半径rと中心コアの外半径rの差r−rは、約1ミクロンから3ミクロンであり、好ましくは2ミクロン以下であり、
くぼみ溝の外半径rとインナークラッドの外半径rの差r−rは、約3ミクロンから7ミクロンであり、好ましくは5ミクロン以下であり、
アウター光クラッドに対する屈折率差Δnは、約−10×10−3から−5×10−3であり、
850nmの波長において、5mmの曲率半径の2巻きに対し、光ファイバは約0.3dB未満の曲げ損失、好ましくは約0.2dB未満の曲げ損失を有する。
【0058】
さらに、本発明は、マルチモード光ファイバに関する。このマルチモード光ファイバは、屈折率nclを有するアウター光クラッドにより囲まれた中心コアであって、(1)約35ミクロンから50ミクロンの外半径rと、(2)最大屈折率nと、(3)前記アウター光クラッドに対するグレーデッドインデックス型プロファイルと、(4)相対屈折率差:
を有し、
が約5.1×10−3μm−1以上である、中心コアと、中心コアとアウター光クラッドとの間に位置し、外半径rを有するインナークラッドであって、インナークラッドの外半径rと中心コアの外半径rの差r−rが約1ミクロンから3ミクロンである、インナークラッドと、インナークラッドとアウター光クラッドとの間に位置しており、外半径rと、約−10×10−3から−5×10−3のアウター光クラッドに対する屈折率差Δnと、ボリュームVとを有するくぼみ溝であって、該くぼみ溝の外半径rとインナークラッドの外半径rの差r−rが約3ミクロンから7ミクロンであり、該くぼみ溝のボリュームVが−635%-μm以上である、くぼみ溝と、を備える。850nmの波長において、5mmの曲率半径の2巻きに対し、この光ファイバは、約0.3dB未満の曲げ損失を有する。
【0059】
さらに、本発明は、本発明に係る光ファイバを備える光学システムに関する。
【0060】
本発明は、低減された曲げ損失および50ミクロンより大きい中心コア直径を有するマルチモード光ファイバを包含する。
【0061】
図1は、本発明に係る典型的な光ファイバの屈折率プロファイルを示す。この典型的な光ファイバは、アウタークラッド(例えばアウター光クラッド)により囲まれた中心コア(例えばインナーコア)を含むマルチモード光ファイバである。
【0062】
図示されるように、この典型的な光ファイバもまた、中心コアとアウタークラッドとの間に位置するインナークラッドを含んでいる(例えば、中心コアを直接に取り囲んでいる)。インナークラッドとアウター光クラッドとの間には、くぼみ溝(depressed trench)が位置している(例えばインナークラッドを直接に取り囲んでいる)。
【0063】
中心コアは、典型的には30ミクロンから50ミクロン、より典型的には35ミクロン以上(例えば約39ミクロンから41ミクロンの間)の外半径rを有する。中心コアもまた、アウタークラッドに対してグレーデッドインデックス型プロファイルを有する。中心コアの外半径rと相対屈折率差Δは、典型的には下記の不等式を満たす。
【数10】
【0064】
中心コアの相対屈折率差Δは、下記の式により定義される。
【数11】
ここで、nは、中心コアの最大屈折率(通常、中心コアの中心の屈折率に相当する)であり、nclは、アウタークラッドの屈折率である。
【0065】
光ファイバのインナークラッドは、外半径rを有する。典型的には、インナークラッドの外半径rと中心コアの外半径rとの差r−r(例えば、中心コアの外半径とくぼみ溝の内半径との間の半径方向距離)は、1ミクロンから3ミクロンの間(例えば、約2ミクロン以下)である。
【0066】
くぼみ溝は、外半径rと、アウタークラッドに対する負の屈折率差Δnを有する。典型的には、くぼみ溝の外半径rとインナークラッドの外半径rとの差r−r(例えば、くぼみ溝の幅)は、3ミクロンから7ミクロンの間(例えば、約4ミクロンなど、約5ミクロン以下)である。くぼみ溝の屈折率差Δn(例えば、くぼみ溝の深さ)は、典型的には−10×10−3から−5×10−3の間である。
【0067】
本マルチモード光ファイバは、優れたマクロベンド性能を提供する。例えば、850nmの波長において、曲率半径5mmの2巻きに対し、本光ファイバは典型的には0.3dB未満(例えば0.2dB未満)の曲げ損失を有する。別の典型的な実施形態では、850nmの波長において、曲率半径3mmの1巻きに対し、本光ファイバは典型的には約0.5dB未満の曲げ損失を有する。
【0068】
本発明に係る典型的なマルチモード光ファイバは、62.5ミクロンの外径を有する中心コアを含み(すなわち62.5ミクロンMMF(マルチモードファイバ))、改善された曲げ耐性を示す。加えて、典型的なマルチモード光ファイバは、80ミクロンの外径を有する中心コアを含み(すなわち80ミクロンMMF)、改善された曲げ耐性を示す。
【0069】
言及したように、典型的なマルチモード光ファイバは、アウタークラッドに対してグレーデッドインデックス型プロファイルを有する(すなわち、グレーデッドインデックス型マルチモードファイバまたはGI−MMF)。GI−MMFのモード構造は以下の通りである。
以下の屈折率プロファイル:
【数12】
ここでαは約1.9から2.1の間、Δ>1.2パーセント、およびa>30ミクロン、を有するマルチモード光ファイバにおいては、導波モードの実効屈折率は以下のように正しく近似される。
【数13】
ここで、mはモードの次数であり、
【数14】
である。ここで、k=2π/λ、およびλ=850nmである。
【0070】
約2に等しいαに対し、モード間の間隔は、モード次数mからいくらか独立しており、単に中心コアの半径aと、中心コアの高さΔの関数である。
【数15】
【0071】
Δ=0.9パーセントおよびa=26ミクロン(閾値として)を有する50ミクロンGI−MMFにおいて、このモード間隔(すなわちΔβ)は5.1×10−3μm−1に等しい。製造プロセスにおける制約を考慮して、コア径に関する許容可能なトレランス(例えば、±2.5ミクロン)および開口数に関する許容可能なトレランス(例えば、±0.015)が考慮されてもよい。
【0072】
特定の理論に縛られることがなければ、本発明者は、モード間隔がマイクロベンド損失に影響を及ぼすことを見いだした。実際に、表1の3つの実施例を検討すると、
の値(すなわち、モード間隔基準(mode-spacing criterion))が大きくなると、マイクロベンド損失が小さくなるという関係がある。表1において、相対屈折率差Δはパーセンテージとして与えられる。
【表1】
【0073】
表1に示すように、5.06×10−3から5.94×10−3への基準(criterion)が増加すると、マイクロベンド損失は半分に減少する。従って、本発明に係る典型的な光ファイバは、
が5.1×10−3μm−1以上(例えば、5.2×10−3μm−1以上)となるように、例えば5.4×10−3μm−1以上(例えば5.6×10−3μm−1以上)となるように、中心コア外半径rおよび相対屈折率差Δを有する。さらに、典型的な光ファイバは、
が5.7×10−3μm−1以上(例えば、5.9×10−3μm−1以上)となるように、中心コア外半径rおよび相対屈折率差Δを有してもよい。
【0074】
マイクロベンドは、IECの固定径サンドペーパードラムテスト(すなわち、IEC TR62221、方法B、40ミクロングレードサンドペーパー)に従って解析されてもよい。これは、室温でもマルチモードファイバに影響を及ぼすマイクロベンドストレス条件を提供する。IEC TR62221のマイクロベンド感度の技術報告書および標準検査手順は、とりわけIEC TR62221、方法B(固定径サンドペーパードラム)および方法D(バスケットウィーブ)を含む。
【0075】
上述の中心コア外半径rと相対屈折率差Δの関係を満たすために、表2に示されるように、中心コア半径が大きくなると、Δに対してより大きな値が要求される。表2では、相対屈折率差Δはパーセンテージとして与えられる。
【表2】
【0076】
通常、このような大きな開口数の光ファイバにおいて、マイクロベンド損失は低い。さらに、図2および図3に示すように、中心コアとアウタークラッド間のくぼみ溝を含むことにより、これらの大きなコア半径のMMFのマクロな曲げ挙動(マクロベンド挙動)がさらに改善される。
【0077】
図2は、本発明に係る典型的な溝を用いた光ファイバ(すなわち実施例2)と、ITU−T G.651.1勧告に準拠した比較の光ファイバ(すなわち実施例1)とに関し、曲げ損失を曲げ半径(すなわち、曲率半径)の関数としてグラフを用いて示す。
【0078】
図3は、本発明に係る別の典型的な溝を用いた光ファイバ(すなわち実施例4)と、所定のエンサークルド・フラックス・ランチ(Encircled Flux Launch(EFL))の条件に従う別の比較の光ファイバ(すなわち実施例3)とに関し、曲げ損失を曲げ半径(すなわち、曲率半径)の関数としてグラフを用いて示す。
【0079】
曲げ前の光ファイバのエンサークルドフラックス(EF)は、以下の表3の基準を満たしている。
【表3】
【0080】
62.5ミクロンおよび50ミクロンMFFにおいて、マクロベンド損失測定に対するEFの条件は、ITU−T G.651.1勧告およびIEC61280−4−1ドキュメント内のEFテンプレートにより与えられる。
【0081】
図2および図3の比較の光ファイバ(実施例1および3)並びに典型的な光ファイバ(実施例2および4)は、表4に記載されたパラメータを有する光ファイバに対応する。
【表4】
【0082】
言及したように、実施例2および4は、本発明に従う光ファイバであり、適切な幅(すなわち、r−r)および深さ(すなわち、Δn)のくぼみ溝を有する。実施例1および3は、比較の光ファイバであり、くぼみ溝はない。曲げ損失は、850nmの波長で測定されている。
【0083】
表4により証明され、図2および図3により示されるように、くぼみ溝は、低減された曲げ損失の達成を容易にする。実際に、典型的な光ファイバは、比較の光ファイバの曲げ損失に比べて4倍以上小さい曲げ損失を示す(すなわち、比較の光ファイバの曲げ損失の1/4未満に減少する)。
【0084】
低減された曲げ損失を有する大コア光ファイバの利点は、“80μm-core graded-index MMF for consumer electronic devices” by D. Molin, M. Bigot-Astruc, and P. Sillard, Optoelectronic Interconnects XII, February 2, 2012, Proceedings of SPIE Vol. 8267にさらに説明されている。
【0085】
本発明に係る典型的な光ファイバは、特定のボリュームVを有するくぼみ溝を含む。本明細書において、くぼみ溝のボリュームVは、以下の式により定義される。
【数16】
ここで、rintおよびrextは、それぞれくぼみ溝の内半径および外半径であり、Δ%(r)は、アウタークラッドに対するくぼみ溝の屈折率差であり、パーセンテージで表される。当業者であれば、この式は矩形および非矩形の両方の溝に適用できることを理解するであろう。
くぼみ溝が矩形状を有する場合(すなわちステップインデックス型プロファイル)、上記の式は以下の式に簡略化することができる。
【数17】
ここで、rextおよびrintは、それぞれくぼみ溝の外半径および内半径であり、Δ%(r)は、アウタークラッドに対するくぼみ溝の屈折率差であり、パーセンテージで表される。
【0086】
この点において、典型的な光ファイバは、約−1710%-μmから−210%-μmのボリュームV(例えば、約−830%-μmのボリュームV)を有するくぼみ溝を含む。典型的には、くぼみ溝のボリュームVは、約−790%-μm以上(例えば、約−750%-μm以上のボリュームV)である。より典型的には、くぼみ溝のボリュームVは、約−710%-μm以上(例えば、約−670%-μm以上、例えば約−635%-μm以上のボリュームV)である。典型的な実施形態において、くぼみ溝のボリュームVは、約−750%-μmから−450%-μm(例えば、約−628%-μmから−565%-μm、例えば約−600%-μm)である。
【0087】
本発明に係るもう一つの光ファイバを含む光ファイバケーブルは、図4に示されるようなピンチテスト(pinch test)を受ける。ピンチテストの間、光ファイバケーブルは、折り曲げ部の両側の2つのケーブル部分が実質的に互いに平行となるように折り重ねられ、それにより光ファイバケーブルにピンチを作り出す。結果として生じる折り曲げられたケーブルは、ケーブルの標準径の約2倍の最大径を有する。ピンチ点において、光ファイバケーブルはぺちゃんこになり、その標準径未満の直径を有する。光ファイバケーブルは、ピンチ点およびその近傍において低減された直径を有するが、ケーブルの残りの部分はその標準径を保っている。ケーブルは、約10分間このピンチ状態に維持される。10分が経過した後、ケーブルをピンチ状態に維持しながら、(例えば室温で)ケーブル内の光ファイバの減衰が測定される。
【0088】
850nmでのピンチテストの間、本発明に係る(光ファイバケーブル中に含まれる)典型的なマルチモード光ファイバは、典型的には約0.5dB未満、より典型的には約0.3dB未満(例えば、約0.25dB未満、例えば0.20dB未満など)の損失が追加された減衰を有する。
【0089】
優れたピンチテスト性能を有する典型的な光ファイバケーブルは、同一出願人による光ファイバ相互接続ケーブルに関する米国特許出願第13/401,026号に開示されている。
【0090】
本光ファイバを用いることにより、光ファイバの全径を小さくすることが容易となる。当業者により理解されるように、小径の光ファイバは、費用効率が高く、多くの原材料を必要としない。さらに、小径の光ファイバは、(例えば、バッファチューブおよび/または光ファイバケーブル内に)多くの配置スペースを必要とせず、それにより、ファイバ数を増大したり、および/またはケーブルサイズを小さくしたりすることが容易となる。
【0091】
当業者であれば、一次被覆(および追加の二次被覆および/またはインク層)を備える光ファイバは、通常、約235ミクロンから約265ミクロン(μm)の外径を有することを分かるであろう。コンポーネントガラスファイバ単体(すなわち、ガラスコアおよび周囲のクラッド層)は、通常約125ミクロンの直径を有しており、全コーティング厚は通常約55ミクロンから70ミクロンとされる。
【0092】
本光ファイバにおいて、コンポーネントガラスファイバは、典型的には約125ミクロンの外径を有する。光ファイバの周囲のコーティング層において、一次被覆は、典型的には約175ミクロンから約195ミクロンの外径(すなわち、約25ミクロンから35ミクロンの一次被覆厚)を有し、二次被覆は、典型的には約235ミクロンから約265ミクロン(すなわち、約20ミクロンから45ミクロンの二次被覆厚)を有する。任意で、本光ファイバは、最外のインク層を含んでもよい。これは、典型的には2から10ミクロンの厚さである。
【0093】
一つの他の実施形態では、光ファイバは、小径(例えば、150ミクロンから230ミクロンの最外径)を有してもよい。この他の光ファイバ構成では、コンポーネントガラスファイバの直径は約125ミクロンであるが、一次被覆および/または二次被覆の厚さが低減される。(当業者であれば、特別の定めのない限り、直径測定は外径のことを指していることを分かるであろう。)
【0094】
実例として、このような典型的な実施形態では、一次被覆層は約135ミクロンから約175ミクロン(例えば、約160ミクロン)、典型的には165ミクロン未満(例えば、約135ミクロンから150ミクロンの間)、且つ通常140ミクロンを超える(例えば、約145ミクロンから155ミクロン、例えば約150ミクロンなど)外径を有してもよい。
【0095】
さらに、このような典型的な実施形態では、二次被覆層は、約150ミクロンから約230ミクロン(例えば、約165ミクロンを超える、例えば190〜210ミクロンなど)、典型的には約180ミクロンから200ミクロンの外径を有してもよい。言い換えると、光ファイバの全径が約230ミクロン未満(例えば約195ミクロンから205ミクロン、特に約200ミクロン)に低減される。さらなる実例として、光ファイバは、±5ミクロンの許容誤差で約197ミクロンの二次被覆(すなわち、192ミクロンから202ミクロンの外径の二次被覆)を採用してもよい。典型的には、二次被覆は、少なくとも約10ミクロンの厚さを保持している(例えば、15ミクロンから25ミクロンの低減された二次被覆厚を有する光ファイバ)。
【0096】
もう一つの他の実施形態では、コンポーネントガラスファイバは、125ミクロン未満(例えば、約60ミクロンから120ミクロン)、できれば約70ミクロンから115ミクロン(例えば約80〜110ミクロン)に低減されてもよい。これは、例えば一つまたは複数のクラッド層の厚さを低減することにより達成され得る。上記の他の実施形態と比べると、(1)光ファイバの全径が低減されてもよく(すなわち、一次および二次被覆の厚さが上記の他の実施形態に一致して維持され)、または(2)一次および/または二次被覆のそれぞれの厚さが上記の他の実施形態と比べて増大されてもよい(例えば光ファイバの全径が維持されるように)。
【0097】
実例として、前者に関し、約90から100ミクロンの直径を有するコンポーネントガラスファイバは、約110ミクロンから150ミクロン(例えば約125ミクロン)の外径を有する一次被覆および約130から190ミクロン(例えば約155ミクロン)の外径を有する二次被覆と組み合わされてもよい。後者に関し、約90から100ミクロンの直径を有するコンポーネントガラスファイバは、約120ミクロンから140ミクロン(例えば約130ミクロン)の外径を有する一次被覆および約160ミクロンから230ミクロン(例えば、約195〜200ミクロン)の外径を有する二次被覆と組み合わされてもよい。
【0098】
コンポーネントガラスファイバの直径を低減することにより、結果として生じる光ファイバがマイクロベンド損失の影響をより受けやすくなる可能性がある。とは言うものの、光ファイバ径をさらに低減することの利点は、いくつかの光ファイバアプリケーションにとって価値のあることである。
【0099】
前述したように、本光ファイバは、一つまたは複数の被覆層(例えば、一次被覆および二次被覆)を含んでよい。被覆層の少なくとも一つ、典型的には二次被覆、は、個々のファイバを特定するのを助けるために、着色されてもよく、および/または他のマーキングを有してもよい。あるいは、三次のインク層が一次および二次被覆を取り囲んでもよい。
【0100】
本明細書および/または図面においては、本発明の典型的な実施形態が開示されている。本発明はこのような典型的な実施形態に限定されない。「および/または」という用語の使用は、関連した並び項目の1つまたは複数のありとあらゆる組み合わせを含む。図面は、略図であり、従って必ずしも縮尺どおりには描かれていない。特に断りのない限り、明細書の用語は、一般的且つ説明的な意味で用いられており、限定を目的とするものではない。
図1
図2
図3
図4