(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱可塑性合成樹脂をボトル状に成形して得られ、口部と、該口部から拡径した肩部と、胴部と、底部とが順に連接された形状を有し、繰り返し構成単位となる壁を複数個並べて前記胴部の全体又は一部分に配置したプラスチックボトルにおいて、
前記繰り返し構成単位となる壁は、底辺、該底辺の両端から垂直に起立する左側辺及び右側辺、該左側辺及び該右側辺のそれぞれの末端から相互に近づきあって鈍角の頂点を形成する左斜辺及び右斜辺の5辺で囲まれた第一五角形壁と、該第一五角形壁の底辺を共通の底辺とし、該底辺を対称軸として線対称の形状を有する第二五角形壁とからなる複合壁であり、かつ、
前記底辺が容器の内方向に凸の谷線をなし、
前記左側辺、前記右側辺、前記左斜辺及び前記右斜辺が容器の外方向に凸の稜線をなし、該稜線が、それぞれ、隣接する繰り返し構成単位との間で共通の稜線をなしており、
前記繰り返し構成単位となる壁を複数個並べて配置した上端側に、さらに前記第二五角形壁を下向き五角形壁として複数個配置して、該下向き五角形壁の配列体の上端辺を前記下向き五角形壁の底辺とし、
該底辺を共通辺とする底辺、該底辺の両端から垂直に起立する左側辺及び右側辺、及び、該左側辺及び該右側辺のそれぞれの上端を結ぶ上に凸の円弧辺で囲まれた上端壁を前記上端辺に沿って複数個配置し、かつ、
前記繰り返し構成単位となる壁を複数個並べて配置した下端側に、さらに前記第一五角形壁を上向き五角形壁として複数個配置して、該上向き五角形壁の配列体の下端辺を前記上向き五角形壁の底辺とし、
該底辺を共通辺とする底辺、該底辺の両端から垂直下方に起立する左側辺及び右側辺、及び、該左側辺及び該右側辺のそれぞれの下端を結ぶ下に凸の円弧辺で囲まれた下端壁を前記下端辺に沿って複数個配置し、
前記上端壁の左側辺又は右側辺の長さが前記下向き五角形壁の左側辺又は右側辺の長さよりも長く、かつ、前記下端壁の左側辺又は右側辺の長さが前記上向き五角形壁の左側辺又は右側辺の長さよりも長いことを特徴とするプラスチックボトル。
前記左側辺と前記右側辺とは同じ長さであり、かつ、前記左斜辺及び前記右斜辺とは同じ長さであり、前記底辺と前記頂点との距離が、前記底辺の長さよりも短いことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチックボトル。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性合成樹脂をボトル状に成形して得られ、口部と、該口部から拡径した肩部と、胴部と、底部とが順に連接された形状を有するプラスチックボトルが知られている。近年、環境及びコストの観点から、プラスチックボトルは、軽量化・薄肉化が求められている。その一方で、プラスチックボトルは、輸送・保管時に段積みされた時に生じる縦圧縮荷重に対する耐座屈性が求められる。耐座屈性を向上させる手法として、繰り返し構成単位となる壁を複数個並べて胴部の全体又は一部分に配置することが行われている(例えば、特許文献1〜3を参照。)。
【0003】
特許文献1には、実質的に円筒形状の胴部を備え、胴部上端には巻締め加工により金属蓋が設けられているプラスチック容器において、前記胴部は、熱可塑性樹脂の延伸ブロー成形により配向した壁面から成り、且つ該胴部の少なくとも一部には、実質的に多角形状の構成単位面が容器軸方向及び周方向に連続して配列して成る周状多面体壁を胴部に形成されており、互いに隣合う構成単位面同士の境界稜線及び該境界稜線同士が交叉する交叉部が、構成単位面に比べて相対的に容器胴部外側に凸となっており、互いに隣合う構成単位面の容器軸方向列は、位相差を有しており、前記構成単位面の形状等が所定の関係を満足しているプラスチック容器が開示されている。
【0004】
特許文献2には、胴部軸方向に波打つ少なくとも4面以上の曲面が胴部の少なくとも一部の周囲に形成されており、この曲面は全体として胴部の軸方向に延びる一対の互いに交差することのない波線を稜線としており、前記波線は4本以上の偶数本であって、隣り合う対が胴部軸線を通る面に対して対称となるように形成され、且つ前記波線が実質上平面上に位置するように配置されている容器が開示されている。
【0005】
特許文献3は金属缶に関する技術であるが、缶胴の周方向及び軸方向に複数の同一の矩形状の平坦面が形成されており、周方向に隣合う前記平坦面は、境界稜線を介して互いに連なって配置されることにより、缶胴を横断面視したときに多角形状を形成し、缶軸方向に隣合う前記平坦面は、互いに所定間隔を存して周方向に位置をずらして配置され、缶軸方向に隣合う前記平坦面間の位置には、上方の境界稜線の下端と、該境界稜線の直下に位置する下方の平坦面の両側の一対の境界稜線の上端とを結ぶ一対の連結稜線が形成され、互いに隣合う一対の連結稜線から上方の平坦面の下縁に向かって傾斜する三角形状の傾斜面と、互いに隣合う一対の連結稜線から下方の平坦面の上縁に向かって傾斜する三角形状の傾斜面とが周方向に交互に形成されている缶体が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0017】
図1は、本実施形態に係るプラスチックボトルの一例を示す正面図である。
図2は、
図1のA部分の部分拡大図である。本実施形態に係るプラスチックボトル100は、
図1に示すように、熱可塑性合成樹脂をボトル状に成形して得られ、口部10と、口部10から拡径した肩部20と、胴部30と、底部40とが順に連接された形状を有し、繰り返し構成単位となる壁50を複数個並べて胴部30の全体に配置したプラスチックボトルにおいて、繰り返し構成単位となる壁50は、
図1又は
図2の右上がり対角線のハッチング及び右下がり対角線のハッチングを付した部分を参照して説明すると、底辺de、底辺deの両端d,eから垂直に起立する左側辺bd及び右側辺ce、左側辺bd及び右側辺ceのそれぞれの末端b,cから相互に近づきあって
鈍角の頂点aを形成する左斜辺ab及び右斜辺acの5辺で囲まれた第一五角形壁51と、第一五角形壁51の底辺deを共通の底辺とし、底辺deを対称軸として線対称の形状を有する第二五角形壁52とからなる複合壁であり、かつ、底辺deが容器の内方向に凸の谷線2をなし、左側辺bd,df、右側辺ce,eg、左斜辺ab,fh及び右斜辺ac,ghが容器の外方向に凸の稜線3,4をなし、稜線3,4が、それぞれ、隣接する繰り返し構成単位50との間で共通の稜線をなしている。
【0018】
プラスチックボトル100は、熱可塑性合成樹脂をボトル状にブロー成形して得られる。より具体的には、まず、プリフォームを射出成型によって製造し、次にプリフォームをブロー成形することによってプラスチックボトル100を製造する。熱可塑性合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、シクロオレフィンコポリマー樹脂(COC、環状オレフィン共重合)、アイオノマ樹脂、ポリ‐4‐メチルペンテン−1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン‐ビニルアルコール共重合樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、又は、4弗化エチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂を例示することができる。この中で、PETが特に好ましい。プラスチックボトル100の容量は、特に制限はなく、例えば200ml〜2000mlである。
【0019】
プラスチックボトル100は、
図1に示すように、口部10、肩部20、胴部30及び底部40が順に連接された形状を有する。プラスチックボトルは、一般に丸型ボトルと角型ボトルとに分類されるが、本実施形態に係るプラスチックボトル100は、丸型ボトルであることが好ましい。口部10は、内容物の充填口及び注ぎ口として機能する。口部10は、上端10aが開口した円筒状の周壁11を有する。周壁11は、外周面に、キャップ(不図示)と螺合するネジ部12と、ネジ部12の下方に設けたビードリング13と、口部10の下端に設けたネックサポートリング14と、を有し、キャップ(不図示)が装着されることによってボトルの密閉がなされる。肩部20は、胴部30につながるように胴部30に向かって胴径を拡径させて錐体形状をしている。肩部20は、
図1では、複数のカット面から形成されているが、本発明はこれに限定されず、例えば、曲面で形成してもよい。胴部30は、主として消費者に把持される箇所である。胴部30は、
図1では、全体に、繰り返し構成単位となる壁50を複数個並べて配置している。また、胴部30の変形形態としては、図示しないが、胴部30の一部分に繰り返し構成単位となる壁50を配置してもよい。胴部30の一部分に繰り返し構成単位となる壁50を配置する形態は、例えば、胴部30の周方向に沿って帯状に平坦な部分(不図示)と繰り返し構成単位となる壁50を配置した部分とを交互に設ける形態である。底部40は、胴部30と底面とをつなぐ部分であり、胴部30とほぼ同じ胴径にて連接されている。底部40は、
図1では、複数のカット面から形成されているが、本発明はこれに限定されず、例えば、曲面で形成してもよい。また、図示しないが、肩部20と胴部30との境界部若しくは胴部30と底部40との境界部のいずれか一方又は両方に、環状溝を設けてもよい。
【0020】
図3は、
図2のZ−Z破断面図である。第一五角形壁51では、
図2又は
図3に示すように、底辺deは、容器の内方向に凸の谷線2上にある。左側辺bd及び右側辺ceは、容器の外方向に凸の稜線3上にある。左斜辺ab及び右斜辺acは、容器の外方向に凸の稜線4上にある。このため、第一五角形壁51は、
図3に示すように、頂点aから底辺de(谷線2)に向かって容器の内方向に傾斜している。言い換えると、
図2に示す点a、点b及び点cは、点d及び点eよりも相対的に容器の外方向に突出している。
【0021】
第二五角形壁52は、
図1又は
図2に示すように、第一五角形壁51の底辺deを共通の底辺とし、底辺deを対称軸として線対称の形状を有する。すなわち、第二五角形壁52は、
図2の右下がり対角線のハッチングを付した部分を参照して説明すると、底辺de、底辺deの両端d,eから下方に垂直に起立する左側辺df及び右側辺eg、左側辺df及び右側辺egのそれぞれの末端f,gから相互に近づきあって
鈍角の頂点hを形成する左斜辺fh及び右斜辺ghの5辺で囲まれた壁である。第二五角形壁52では、
図2又は
図3に示すように、底辺deは、容器の内方向に凸の谷線2上にある。左側辺df及び右側辺egは、容器の外方向に凸の稜線3上にある。左斜辺fh及び右斜辺ghは、容器の外方向に凸の稜線4上にある。このため、第二五角形壁52は、
図3に示すように、頂点hから底辺de(谷線2)に向かって容器の内方向に傾斜している。言い換えると、
図2に示す点h、点g及び点fは、点d及び点eよりも相対的に容器の外方向に突出している。
【0022】
第一五角形壁51及び第二五角形壁52では、
図2に示すように、左側辺bd,dfと右側辺ce,egとは同じ長さであり、かつ、左斜辺ab,fh及び右斜辺ac,ghとは同じ長さであり、底辺deと頂点a,hとの距離が、底辺deの長さよりも短いことが好ましい。このように、第一五角形壁51及び第二五角形壁52を長方形と二等辺三角形とを組み合わせた五角形とし、かつ、底辺deと頂点a,hとの距離を近くすることで、底辺deに対して垂直な方向からの荷重に対する耐座屈性を向上することができる。
【0023】
繰り返し構成単位となる壁50は、第一五角形壁51と第二五角形壁52とからなる複合壁であり、正面視した形状が六角形の壁である。このように、繰り返し構成単位となる壁50を正面視で六角形とすることで、応力を、繰り返し構成単位となる壁50を配置した部分の全体にわたって均等に分散することができる。このため、耐座屈性を向上することができる。また、第一五角形壁51の外表面と第二五角形壁52の外表面とのなす角度θ1(
図3に図示)は、100°〜165°であることが好ましく、130°〜158°であることがより好ましい。
【0024】
繰り返し構成単位となる壁50は、稜線3,4を、それぞれ、隣接する繰り返し構成単位となる壁50との間で共通の稜線をなして配置する。このように配置することで、繰り返し構成単位となる壁50がハニカム形状に配列し、胴部30の剛性が高まる。結果として、プラスチックボトル100全体の座屈強度を高めることができる。また、胴膨れを抑制することができる。
【0025】
底辺同士を結んだ谷線2の胴部30への配置は、例えば、胴部30の周方向に沿って配置する形態(
図1に図示)、胴部に螺旋状に配置する形態(不図示)、容器の主軸方向に沿って配置する形態(不図示)である。このうち、底辺同士を結んだ谷線2が、
図1に示すように、胴部30の周方向に沿っていることが好ましい。このとき、第一五角形壁51は上向き五角形壁となり、第二五角形壁52は下向き五角形壁となる。底辺同士を結んだ谷線2を胴部30の周方向に沿って配置することで、応力を周方向に均一に分散して、耐座屈性をより高めることができる。また、第一五角形壁51の頂点aと第二五角形壁52の頂点hとを結ぶ線Pが、
図1又は
図3に示すように、容器の主軸Oと平行になるため、縦圧縮荷重に対する耐座屈性をより高めることができる。谷線2同士の間隔Q1(
図2に図示)は、5〜20mmであることが好ましく、7〜15mmであることがより好ましい。また、底辺同士を結んだ谷線2の本数は、
図1では、一例として7本である形態を示したが、本発明はこれに限定されない。底辺同士を結んだ谷線2の本数は、例えば、3〜15本であることが好ましく、5〜12本であることがより好ましい。
【0026】
図4は、
図1のX−X破断面図である。
図5は、
図1のY−Y破断面図である。胴部30のうち、底辺deを通る横断面形状は、
図4に示すように、底辺deの両端d,eを角とする正多角形(
図4では正十三角形)である。また、胴部30のうち、第一五角形壁51の頂点aを通る横断面形状は、
図5に示すように、第一五角形壁51の頂点aを角とする正多角形(
図4では正十三角形)である。図示しないが、胴部30のうち、第二五角形壁52の頂点hを通る横断面形状は、
図5に示す第一五角形壁51の頂点aを通る横断面形状と合同であり、第二五角形壁52の頂点hを角とする正多角形である。
【0027】
胴部30の周方向に配列する繰り返し単位となる壁50の数は、
図4では、一例として13個である形態を示したが、本発明はこれに限定されない。胴部30の周方向に配列する繰り返し単位となる壁50の数は、8〜20個であることが好ましく、10〜15個であることがより好ましい。
【0028】
図6は、
図1のB部分の部分拡大図である。本実施形態に係るプラスチックボトル100では、
図1に示すように、繰り返し構成単位となる壁50を複数個並べて配置した上端側に、さらに第二五角形壁52を下向き五角形壁53として複数個配置して、
図6の縦線のハッチングを付した部分を参照して説明すると、下向き五角形壁53の配列体の上端辺L1を下向き五角形壁53の底辺lmとし、底辺lmを共通辺とする底辺、底辺lmの両端l,mから垂直に起立する左側辺ln及び右側辺mo、及び、左側辺ln及び右側辺moのそれぞれの上端n,oを結ぶ上に凸の円弧辺noで囲まれた上端壁55を上端辺L1に沿って複数個配置している。
【0029】
上端壁55において、底辺lmは、容器の内方向に凸の谷線上にある。左側辺ln及び右側辺moは、容器の外方向に凸の稜線上にある。円弧辺noは、容器の外方向に凸の稜線上にある。このため、上端壁55は、円弧辺noから底辺lmに向かって容器の内方向に傾斜している。言い換えると、点n及び点oは、点l及び点mよりも相対的に容器の外方向に突出している。
【0030】
上端壁55では、左側辺ln及び右側辺moとは同じ長さであり、かつ、円弧辺noから底辺lmへ下ろした垂線の最大長さが、底辺lmの長さよりも短いことが好ましい。底辺lmに対して垂直な方向からの荷重に対する耐座屈性を向上することができる。また、
図6では、上端壁55の左側辺ln又は右側辺moの長さが下向き五角形壁53の左側辺jl又は右側辺kmの長さよりも長い形態を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、上端壁55の左側辺ln又は右側辺moの長さが下向き五角形壁53の左側辺jl又は右側辺kmの長さと同じ形態、上端壁55の左側辺ln又は右側辺moの長さが下向き五角形壁53の左側辺jl又は右側辺kmの長さより短い形態としてもよい。
【0031】
図7は、
図1のC部分の部分拡大図である。本実施形態に係るプラスチックボトル100では、
図1に示すように、繰り返し構成単位となる壁50を複数個並べて配置した下端側に、さらに第一五角形壁51として上向き五角形壁54を複数個配置して、
図7の横線のハッチングを付した部分を参照して説明すると、上向き五角形壁54の配列体の下端辺L2を上向き五角形壁54の底辺stとし、底辺stを共通辺とする底辺、底辺stの両端s,tから垂直下方に起立する左側辺su及び右側辺tv、及び、左側辺su及び右側辺tvのそれぞれの下端u,vを結ぶ下に凸の円弧辺uvで囲まれた下端壁56を下端辺L2に沿って複数個配置したことが好ましい。
図1に示すように、上端壁55及び下端壁56を配置することで、繰り返し構成単位となる壁50を複数個並べて配置した端部における耐座屈性をより高めることができる。
【0032】
下端壁56において、底辺stは、容器の内方向に凸の谷線上にある。左側辺su及び右側辺tvは、容器の外方向に凸の稜線上にある。円弧辺uvは、容器の外方向に凸の稜線上にある。このため、下端壁56は、円弧辺uvから底辺stに向かって容器の内方向に傾斜している。言い換えると、点v及び点uは、点s及び点tよりも相対的に容器の外方向に突出している。
【0033】
下端壁56では、左側辺su及び右側辺tvとは同じ長さであり、かつ、円弧辺uvから底辺stへ下ろした垂線の最大長さが、底辺stの長さよりも短いことが好ましい。底辺stに対して垂直な方向からの荷重に対する耐座屈性を向上することができる。また、
図7では、下端壁56の左側辺su又は右側辺tvの長さが上向き五角形壁54の左側辺qs又は右側辺rtの長さよりも長い形態を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、下端壁56の左側辺su又は右側辺tvの長さが上向き五角形壁54の左側辺qs又は右側辺rtの長さと同じ形態、下端壁56の左側辺su又は右側辺tvの長さが上向き五角形壁54の左側辺qs又は右側辺rtの長さより短い形態としてもよい。
【0034】
本実施形態に係る飲料製品は、本実施形態に係るプラスチックボトルに飲料が充填されている。飲料は、特に制限はないが、例えば、水、茶飲料、清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料である。また、飲料は、ビールなどのアルコール飲料であってもよい。
【実施例】
【0035】
以下、実施例を示しながら本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されない。
【0036】
(実施例1)
実施例1のプラスチックボトルとして、
図1に示した形状で、容量500mlのPET製のプラスチックボトル(縦寸法206mm(縦寸法の内訳;口部28mm、肩部47mm、胴部87mm、底部44mm)、胴部の外径60.94mm、口部の外径24.94mm、樹脂量20.5g)を用意した。繰り返し構成単位となる壁を周方向に沿って13個配置したものを、7段設けた。谷線同士の間隔は、8mmであった。第一五角形壁及び第二五角形壁の寸法は、底辺が15mm、左側辺及び右側辺がそれぞれ2.5mm、左斜辺及び右斜辺がそれぞれ9mmであった。上端壁及び下端壁の寸法は、底辺が15mm、左側辺及び右側辺がそれぞれ4mm、円弧辺から底辺へ下ろした垂線の最大長さが8mmであった。
【0037】
(比較例1)
図8は、比較例1のプラスチックボトルを示す正面図である。比較例1のプラスチックボトル901として、
図8に示した形状のプラスチックボトルを用意した。比較例1のプラスチックボトル901は、
図8の右上がり対角線のハッチング及び右下がり対角線のハッチングを付した部分を参照して説明すると、繰り返し構成単位となる壁950を、底辺を共通とし、かつ、底辺を対称軸とする上向き二等辺三角形壁951及び下向き二等辺三角形壁952を組み合わせた、正面視でダイヤ形状の複合壁に変更した以外は、容量及び寸法を実施例1のプラスチックボトルと同じとした。上向き二等辺三角形壁951又は下向き二等辺三角形壁952では、底辺は、容器の内方向に凸の谷線上にある。また、2つの斜辺は、容器の外方向に凸の稜線上にある。上向き二等辺三角形壁951及び下向き二等辺三角形壁952の寸法は、底辺が14.5mm、高さが7.7mmであった。
【0038】
(比較例2)
図9は、比較例2のプラスチックボトルを示す正面図である。比較例2のプラスチックボトル902として、
図9に示した形状のプラスチックボトルを用意した。比較例2のプラスチックボトルは、繰り返し構成単位となる壁を配置せず、円筒形状とした以外は、容量及び寸法を実施例1のプラスチックボトルと同じとした。
【0039】
(座屈強度解析)
圧縮試験機(型式AG−IS、SHIMADZU社製)を用いて、各プラスチックボトルに試験速度50mm/分で縦圧縮荷重を加えて、変位量[mm](プラスチックボトルの縦寸法の縮み量)に対する反力[N]を測定した。このとき、プラスチックボトルが座屈したときの反力を座屈強度とした。また、変位量1mm毎に各プラスチックボトルの画像を撮影し、応力の分布を確認した。
【0040】
図10は、座屈強度解析における変位量2mmの各プラスチックボトルの画像である。
図11は、座屈強度解析における変位量3mmの各プラスチックボトルの画像である。
図12は、座屈強度解析における変位量6mmの各プラスチックボトルの画像である。
図10〜
図12において、実施例1、比較例1又は比較例2の画像は、それぞれ左側の画像がボトルの外形を示し、右側の画像が応力分布を示したものである。また、
図10〜
図12では、応力分布はグレー調に処理した画像を示したが、グレー調に処理する前のカラー画像によって、より正確に表現される。
【0041】
変位量が2mmのとき、
図10に示すように、実施例1のプラスチックボトルでは、応力が胴部の全体にわたって分散していた。これに対して、比較例1のプラスチックボトルでは、胴部の上半分と下半分とで応力分布に差が見られた。また、比較例2のプラスチックボトルでは、応力が口部、肩部及び底部に集中していた。変位量が3mmのとき、
図11に示すように、実施例1のプラスチックボトルでは、口部、肩部、胴部及び底部に平均的に応力がかかっていた。これに対して、比較例1のプラスチックボトルでは、胴部にかかる応力が、口部、肩部及び底部にかかる応力よりも少なかった。また、比較例2のプラスチックボトルでは、口部と肩部との境界部分で座屈が生じた。変位量が6mmのとき、
図12に示すように、実施例1のプラスチックボトル及び比較例1のプラスチックボトルでも、口部と肩部との境界部分で座屈が生じた。また、比較例2のプラスチックボトルは、引き続き口部と肩部との境界部分で座屈したままであった。
【0042】
図13は、変位量[mm]及び反力[N]の関係を示すグラフである。
図13に示すとおり、実施例1のプラスチックボトルは、変位量が5.3mmの時、口部と肩部との境界部分で座屈し、座屈強度は574.7Nであった。比較例1のプラスチックボトルは、変位量が5.2mmの時、口部と肩部との境界部分で座屈し、座屈強度は473.3Nであった。比較例2のプラスチックボトルは、変位量が3.0mmの時、口部と肩部との境界部分で座屈し、座屈強度は185.7Nであった。実施例1のプラスチックボトルと比較例2のプラスチックボトルとを比較すると、胴部に繰り返し構成単位となる壁を配置することで、耐座屈性及び座屈強度を向上できることが確認できた。また、実施例1のプラスチックボトルと比較例1のプラスチックボトルとを比較すると、繰り返し構成単位となる壁は、第一五角形壁51と第二五角形壁52とを組み合わせた、正面視で六角形の複合壁の方が、上向き二等辺三角形壁951及び下向き二等辺三角形壁952を組み合わせた、正面視でダイヤ形状の複合壁よりも座屈強度を更に向上できることが確認できた。