特許第5945508号(P5945508)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5945508工作物をプラズマ処理する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945508
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】工作物をプラズマ処理する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/52 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
   C23C16/52
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-557405(P2012-557405)
(86)(22)【出願日】2011年3月3日
(65)【公表番号】特表2013-522464(P2013-522464A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】DE2011000234
(87)【国際公開番号】WO2011110162
(87)【国際公開日】20110915
【審査請求日】2014年2月10日
(31)【優先権主張番号】102010012501.6
(32)【優先日】2010年3月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509017365
【氏名又は名称】カーハーエス コーポプラスト ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】ジーベルス ゼンケ
(72)【発明者】
【氏名】キッツィア セバスティアン
【審査官】 伊藤 光貴
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−513827(JP,A)
【文献】 特開2008−121116(JP,A)
【文献】 特開2006−083468(JP,A)
【文献】 特開2005−048249(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0271818(US,A1)
【文献】 特開2005−083835(JP,A)
【文献】 特開2005−002469(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0051520(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/048937(WO,A1)
【文献】 特開2003−321056(JP,A)
【文献】 特開2001−284322(JP,A)
【文献】 特開平07−065993(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0124488(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物をプラズマチャンバー内へ挿入し、プラズマを点火した後に負圧を作用させた状態で工作物上に層を析出させ、方法ステップを少なくとも一時的に光学的に監視するようにした、工作物をプラズマ処理する方法において、
光学的に監視する際、500ナノメートル以上のプラズマ光線の波長を評価し、検出したプラズマ放出光線の少なくとも一部を少なくとも1つの光導波路(44)によって伝送し、光学的監視の際に検出した信号推移の少なくとも一部を、予め設定可能な少なくとも1つの時間にわたって、予め設定可能なスペクトル範囲に対してすべての強度に関し積分することを特徴とする方法。
【請求項2】
600ナノメートル以上のスペクトル線を評価することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
700ナノメートル以上のスペクトル線を評価することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも2つの異なるスペクトル線を評価することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記予め設定可能なスペクトル範囲が700ナノメートルないし1000ナノメートルであることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記光導波路(44)が少なくとも1つのフォト要素(45)と連結され、該フォト要素の信号を前記フォト要素(45)に近い位置で増幅させることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
プラズマの点火をマイクロ波発生器を用いて行い、マイクロ波発生器から出力され、マグネトロン内へのエネルギーチャージに対応する変調電流・電圧信号推移を、予め設定可能な少なくとも1つの時間にわたって積分することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
積分値を、光学的監視の積分値との相関関係で参照値として使用することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項9】
工作物を受容するための少なくとも1つの真空化可能なプラズマチャンバーを有し、該プラズマチャンバーが処理ステーションの領域に配置され、前記プラズマチャンバーがチャンバー底部とチャンバーカバーと側部のチャンバー壁とによって画成され、前記プラズマチャンバーが方法工程を光学的に監視するための光学的監視装置と連結されている、工作物をプラズマ処理する装置において、
前記光学的監視装置(40)が、信号伝送用の少なくとも1つの光導波路(44)を有し、且つプラズマから放出された500ナノメートル以上のスペクトル線を評価するように構成され、且つ光学的監視の際に検出した信号推移の少なくとも一部を、予め設定可能な少なくとも1つの時間にわたって、予め設定可能なスペクトル範囲に対してすべての強度に関し積分するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項10】
前記光導波路(44)が少なくとも1つのフォト要素(45)と連結され、該フォト要素の付近に、検出した信号用の増幅器が配置されていることを特徴とする、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記増幅器が少なくとも2つの切換え可能な増幅ファクタを有していることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記光学的監視装置(40)が、信号推移用の積分器を備えた評価装置(47)を有していることを特徴とする、請求項から11までのいずれか一つに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作物をプラズマチャンバー内へ挿入し、プラズマを点火した後に負圧を作用させた状態で工作物上に層を析出させ、方法ステップを少なくとも一時的に光学的に監視するようにした、工作物をプラズマ処理する方法に関するものである。
さらに本発明は、工作物を受容するための少なくとも1つの真空化可能なプラズマチャンバーを有し、該プラズマチャンバーが処理ステーションの領域に配置され、前記プラズマチャンバーがチャンバー底部とチャンバーカバーと側部のチャンバー壁とによって画成され、前記プラズマチャンバーが方法工程を光学的に監視するための光学的監視装置と連結されている、工作物をプラズマ処理する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の方法および装置は、たとえば、プラスチックに表面コーティングを備えさせるために使用される。特に、液体を充填するために設けられる容器の内表面または外表面をコーティングするためのこの種の装置はすでに知られている。さらに、プラズマ殺菌装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、PETから成るボトルの内側をコーティングするためのプラズマチャンバーが記載されている。コーティングすべきボトルは可動床によってプラズマチャンバー内へ挿入され、ボトル口部の領域でアダプタと結合される。アダプタを通じてボトル内部空間の真空化を行うことができる。さらに、プロセスガスを供給するため、アダプタを通じてボトル内部空間内に槍状ガス供給部材が挿入される。プラズマの点火はマイクロ波を使用して行われる。
【0004】
上記文献からは、複数個のプラズマチャンバーを1つの回転するホイール上に配置することもすでに知られている。これにより単位時間当たりのボトルの高生産率が支援される。
【0005】
特許文献2には、ボトル内部空間を真空化してプロセスガスを供給するための供給装置が説明されている。特許文献3には、ボトルを可動カバーから装入するようにしたプラズマチャンバーが記載されている。可動カバーは前もってボトルの口領域と結合される。
【0006】
特許文献4も同様にプラズマステーションを1つの回転するホイール上に配置することを開示し、このような配置のために負圧ポンプとプラズマステーションとをグループ状に付設することで、チャンバーおよびボトルの内部空間の好ましい真空化を支援することを記載している。さらに、1つの共通のプラズマチャンバーまたは1つの共通のキャビティ内で複数の容器をコーティングすることを説明している。
【0007】
ボトルの内側コーティングを実施するための他の配置構成は特許文献5に記載されている。ここでは、特に、プラズマチャンバーの上方にマイクロ波発生器を配置することと、該プラズマチャンバーの底部を貫通する真空導管および作動媒体導管とを説明している。
【0008】
特許文献6には、すでに槍状該供給部材が説明されている。槍状ガス供給部材は、コーティングすべきパリソンの内部空間内へ挿入可能で、プロセスガスの供給用に用いられる。この槍状ガス供給部材は容器の長手方向に位置決め可能である。
【0009】
公知のほとんどの装置では、熱可塑性プラスチック材のバリヤー特性を改善するため、プラズマによって発生させる、酸化珪素(一般的な化学式SiOx)から成る容器層が使用される。この種のバリヤー層は、充填した液体内への酸素の侵入と、COを含む液体の場合には二酸化炭素の発生を阻止する。
【0010】
プラズマに含まれている化学元素のために、プラズマは特徴的なスペクトル線を有している。それ故、特許文献7には、プラズマコーティングを実施するために光学的監視を行うことが記載されている。この場合、425ナノメートルの範囲の輻射線の放出の評価が行われる。
【0011】
特許文献8には、プラズマコーティングを監視するための他の方法が説明されている。ここでは、800ナノメートルないし950ナノメートルのスペクトル範囲で評価が行われる。参照信号としての第1の帯域の信号と第2の帯域の信号との差が評価される。
【0012】
従来公知になった方法および装置は、変化する境界条件に対し確実で信頼性のあるプロセス監視を提供するにはまだ十分に適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第95/22413号パンフレット
【特許文献2】独国特許出願公開第1010773号明細書
【特許文献3】国際公開第01/31680号パンフレット
【特許文献4】国際公開第00/58631号パンフレット
【特許文献5】国際公開第99/17334号パンフレット
【特許文献6】独国特許出願公開第102004020185A1号明細書
【特許文献7】米国特許第6117243号明細書
【特許文献8】欧州特許第1948846号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、冒頭で述べた種類の方法を、確実なプロセス監視が支援されるように改善することである。
【0015】
本発明の他の課題は、冒頭で述べた種類の装置を、確実なプロセス監視が支援されるように改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題は、方法によれば、光学的に監視する際、500ナノメートル以上のプラズマ光線の波長を評価し、検出したプラズマ放出光線の少なくとも一部を少なくとも1つの光導波路によって伝送し、光学的監視の際に検出した信号推移の少なくとも一部を、予め設定可能な少なくとも1つの時間にわたって、予め設定可能なスペクトル範囲に対してすべての強度に関し積分することによって解決される。
【0017】
また装置によれば、光学的監視装置が、信号伝送用の少なくとも1つの光導波路を有し、且つプラズマから放出された500ナノメートル以上のスペクトル線を評価するように構成され、且つ光学的監視の際に検出した信号推移の少なくとも一部を、予め設定可能な少なくとも1つの時間にわたって、予め設定可能なスペクトル範囲に対してすべての強度に関し積分するように構成されていることによって解決される。
【0018】
本発明による方法および本発明による装置は、特に、プラスチックから成るボトルに対するコーティング方法の経過を監視するために適している。この場合、特に、ボトルはSiOxから成る層で内側コーティングされ、SiOxから成る装置のプラスチック上への接着は、定着剤(Haftvermittler)として形成されている中間層によって改善されている。コーティング方法は好ましくはPICVD(Plasma impuls chemical vapour deposition)プラズマプロセスによって実施される。この種の方法では、マイクロ波を使用してプラズマが点火される。そのパルスはパルス幅、パルス間隔、パルス高に関して制御することができる。
【0019】
光学的監視を使用すると、プラズマのガス成分およびプラズマに供給されるマイクロ波出力を監視することが可能である。
【0020】
このマイクロ波出力の供給は、マイクロ波システムの整合性およびマグネトロンに供給されるエネルギーに直接依存している。それ故、システム全体を判断することができるようにするために、マグネトロンに供給されるエネルギーの監視が必要である。
【0021】
技術水準により公知になった、可視光範囲でのコーティングプロセスの光学的監視には、すでに、コーティングされる工作物を色で識別できるという利点と、可視光の伝送特性が著しい影響を受けないという利点がある。それ故、本発明によれば、500ナノメートル以上で発光分光法が実施される。
【0022】
有利には、600ナノメートル以上のスペクトル線を評価することが考えられる。
【0023】
特に、700ナノメートル以上のスペクトル線を評価することが有利であることが明らかになった。
【0024】
特に優れた実施態様は、少なくとも2つの異なるスペクトル線を評価することによって達成できる。
【0025】
装置の構成を簡潔にするには、検出したプラズマ放出光線の少なくとも一部を少なくとも1つの光導波路によって伝送することが寄与する。
【0026】
同様に、光導波路が少なくとも1つのフォト要素と連結され、該フォト要素の信号を該フォト要素に近い位置で増幅させることも有利であることが明らかになった。
【0027】
ノイズに対して感度を特に大きくするため、光学的監視の際に検出した信号推移の少なくとも一部を、予め設定可能な少なくとも1つの時間にわたって積分する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図面には、本発明の実施形態が図示されている。
図1】回転するプラズマホイール上に配置され、プラズマホイールが装入ホイールおよび搬出ホイールと連結されている複数個のプラズマチャンバーの基本配置構成図である。
図2】プラズマステーションがそれぞれ2つのプラズマチャンバーを備えている配置構成の、図1と類似の図である。
図3】多数のプラズマチャンバーを備えた1つのプラズマホイールの斜視図である。
図4】1つのキャビティを備えた1つのプラズマステーションの斜視図である。
図5図4の装置を、プラズマチャンバーを閉じた状態で示した前面図である。
図6図5の切断線VI−VIによる横断面図である。
図7】光波伝送用のケーブルを使用した、監視すべきプロセス側の石英ガラス板とフォト要素との光学的結合を示す図である。
図8】光波伝送用のケーブルの拡大横断面図である。
図9】接着層を被着させる際の、PETボトルSiOxコーティング用プラズマの典型的な放出スペクトルを示す図である。
図10】バリヤー層を被着させる際の、図9に対応する放出スペクトルを示す図である。
図11】使用した光導波路の伝送特性の図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1の図示から、回転するプラズマホイール(2)を備えたプラズマモジュール(1)が見て取れる。プラズマホイール(2)の周に沿って複数個のプラズマステーション(3)が配置されている。プラズマステーション(3)は、処理すべき工作物を受容するためのキャビティ(4)またはプラズマチャンバー(17)を備えている。
【0030】
処理すべき工作物(5)は装入部(6)の領域においてプラズマモジュール(1)に供給され、個別化ホイール(7)を介して受け渡しホイール(8)に転送される。受け渡しホイール(8)は位置決め可能な担持アーム(9)を備えている。担持アーム(9)は受け渡しホイール(8)の台座(10)に対し相対的に回動可能に配置され、その結果工作物(5)相互の相対間隔を変化させることができる。これにより、受け渡しホイール(8)から装入ホイール(11)への工作物(5)の受け渡しは、工作物(5)相互の相対間隔を個別化ホイール(7)に対し相対的に大きくして行われる。装入ホイール(11)は処理すべき工作物(5)をプラズマホイール(2)に受け渡す。処理を実施した後、処理された工作物(5)は搬出ホイール(12)によってプラズマホイール(2)の領域から除去されて搬出区間(13)の領域へ移送される。
【0031】
図2の実施形態では、プラズマステーション(3)はそれぞれ2つのキャビティ(4)またはプラズマチャンバー(17)を備えている。これによりその都度2つの工作物(5)を同時に処理することができる。この場合、基本的には、キャビティ(4)を互いに完全に切り離して形成することが可能であるが、しかし基本的には、1つの共通のキャビティ空間内で複数の部分領域のみを互いに境界づけてすべての工作物(5)の最適なコーティングが保証されるようにしてもよい。この場合、特に、部分キャビティを少なくとも別個のマイクロ波カップリングによって互いに境界づけることが考えられる。
【0032】
図3は、一部にプラズマホイール(2)を配設したプラズマモジュール(1)の斜視図である。プラズマステーション(3)は担持リング(14)上に配置されている。担持リング(14)は回転結合部の一部として構成され、機械台座(15)の領域に支持されている。プラズマステーション(3)はそれぞれステーションフレーム(16)を有し、該ステーションフレームはプラズマチャンバー(17)を保持している。プラズマチャンバー(17)は、筒状のチャンバー壁(18)と、マイクロ波発生器(19)とを有している。
【0033】
プラズマホイール(2)の中心部には回転分配器(20)が配置され、該回転分配器を介してプラズマステーション(3)に作動媒体およびエネルギーが供給される。作動媒体を分配するために、特にリング管(21)を使用してよい。
【0034】
処理すべき工作物(5)は筒状のチャンバー壁(18)の下方に図示されている。プラズマチャンバー(17)の下部部分は図面を簡単にするためにそれぞれ図示していない。
【0035】
図4はプラズマステーション(3)の斜視図である。ステーションフレーム(16)が案内棒(23)を備え、該案内棒上に、筒状のチャンバー壁(18)を保持するためのスライダ(24)が案内されているのが見て取れる。図4は持ち上げた状態のチャンバー壁(18)とともにスライダ(24)を示したもので、従って工作物(5)は解放されている。
【0036】
プラズマステーション(3)の上部領域には、マイクロ波発生器(19)が配置されている。マイクロ波発生器(19)は、転向部(25)とアダプタ(26)とを介して、プラズマチャンバー(17)内に開口しているカップリングチャネル(27)に接続されている。基本的には、マイクロ波発生器(19)はチャンバーカバー(31)の領域に直接連結されていてもよいし、また間隔要素を介してチャンバーカバー(31)に連結されていてもよい。後者の場合には、チャンバーカバー(31)に対し予め設定可能な距離をもって配置され、よってチャンバーカバー(31)の比較的広い範囲に配置される。アダプタ(26)はジャンクション素子の機能を有し、カップリングチャネル(27)は同軸ケーブルとして形成されている。チャンバーカバー(31)内へのカップリングチャネル(27)の開口領域には、石英ガラス窓が配置されている。転向部(25)は中空導体として形成されている。
【0037】
工作物(5)は、チャンバー底部(29)の領域に配置されている保持要素(28)によって位置決めされる。チャンバー底部(29)はチャンバー台座(30)の一部として形成されている。位置調整を容易にするため、チャンバー台座(30)を案内棒(23)の領域に固定することが可能である。他の実施形態によれば、チャンバー台座(30)は直接ステーションフレーム(16)に固定される。この種の配置構成では、たとえば案内棒(23)を鉛直方向において2分割に実施することも可能である。
【0038】
図5は、図3のプラズマステーション(3)をプラズマチャンバー(17)を閉じた状態で示したものである。この場合、筒状のチャンバー壁(18)を備えたスライダ(24)は、図4の位置よりも降下しており、その結果チャンバー壁(18)はチャンバー底部(29)のほうへ移動している。この位置決め状態でプラズマコーティングを実施することができる。
【0039】
図6図5の配置構成の鉛直断面図である。特に、カップリングチャネル(27)がチャンバーカバー(31)内に開口し、該チャンバーカバーが側方に突出しているフランジ(32)を有しているのが見て取れる。フランジ(32)の領域にはパッキン(33)が配置され、該パッキンはチャンバー壁(18)の内側フランジ(34)の作用を受ける。これにより、チャンバー壁(18)の降下状態で、チャンバーカバー(31)に対するチャンバー壁(18)の密封が行われる。他のパッキン(35)がチャンバー壁(18)の下部領域に配置されており、ここでもチャンバー底部(29)に対する密封が保証されている。
【0040】
図6に図示した位置では、チャンバー壁(18)はキャビティ(4)を取り囲んでおり、その結果キャビティ(4)の内部空間も、工作物(5)の内部空間も真空にすることができる。プロセスガスの供給を支援するため、チャンバー台座(30)の領域には中空の槍状ガス供給部材(36)が配置され、該槍状ガス供給部材は工作物(5)の内部空間内へ走入可能である。槍状ガス供給部材(36)の位置決めを実施するため、該槍状ガス供給部材を、案内棒(23)に沿って位置決め可能な槍状ガス供給部材用スライダ(37)によって保持させる。槍状ガス供給部材用スライダ(37)の内部にはプロセスガス通路(38)が延在し、該プロセスガス通路は、図6に図示した上昇位置では、チャンバー台座(30)のガス接続部(39)と連結されている。このような配置により、槍状ガス供給部材用スライダ(37)にチューブ状結合要素を設けることが回避される。
【0041】
しかし、本発明によれば、プラズマステーションの上述の構成の代わりに、工作物(5)を付設の担持構造部に対し相対的に不動なプラズマチャンバー(17)に挿入してもよい。同様に、工作物(5)を、図示したようにその口部を鉛直方向下方へ向けてコーティングする代わりに、工作物を、その口部を鉛直方向上方へ向けてコーティングするようにしてもよい。特に、ボトル状の工作物(5)のコーティングを実施することが考えられる。この種のボトルも同様に熱可塑性プラスチックから成っているのが有利である。好ましくはPETまたはPPを使用することが考えられる。他の有利な実施形態によれば、コーティングしたボトルは飲料物を収容するために用いる。
【0042】
次に、典型的な処理工程を、コーティング工程を例にして説明する。まず、装入ホイール(11)を使用して工作物(5)をプラズマホイール(2)へ搬送し、スリーブ状のチャンバー壁(18)を高く移動させた状態で工作物(5)をプラズマステーション(3)へ挿入する。
【0043】
挿入工程が終了した後、チャンバー壁(18)をその密封位置へ降下させ、時間的にずらして保持要素(28)を移動させる。その結果工作物(5)の内部空間がキャビティ(4)の内部空間に対し隔絶される。次に、槍状ガス供給部材(36)を工作物(5)の内部空間内へ走入させる。槍状ガス供給部材(36)を、すでにキャビティ(4)の降下開始に同期させて工作物(5)の内部空間内へ走入させてもよい。キャビティ(4)および工作物(5)の内部空間の真空化を同時にまたは時間をずらして行う。キャビティ(4)の内部空間を十分に真空にした後、工作物(5)の内部空間の圧力をさらに降下させる。槍状ガス供給部材(36)の位置決め運動を、少なくとも部分的に、すでにチャンバー壁(18)の位置決めに並行して行うことも考えられる。
【0044】
十分低い負圧に達した後、プロセスガスを工作物(5)の内部空間内へ導入し、マイクロ波発生器(19)を用いてプラズマを点火する。特に、プラズマを用いて工作物(5)の内表面に定着剤を析出させること、および、酸化珪素から成る本来のバリヤー層を析出させることが考えられる。
【0045】
コーティング工程の終了後、プラズマチャンバー(17)および工作物(5)の内部空間を通気する。キャビティ(4)の内部および工作物(5)の内部空間が周囲圧に達した後、チャンバー壁(18)を再び持ち上げ、槍状ガス供給部材(36)を再び工作物(5)の内部空間から除去する。この時点で、コーティングした工作物(5)の取り出しと、コーティングすべき新たな工作物(5)の装入とを行うことができる。
【0046】
チャンバー壁(18)、パッキン要素(28)および/または槍状ガス供給部材(36)の位置決めは、種々の駆動アッセンブリを使用して行うことができる。基本的には、空気圧式駆動部および/または電気式駆動部、特にリニアモータの実施形態での電気式駆動部が考えられる。しかし、特に、プラズマホイール(2)の回転との正確な運動協調を支援するため、カム制御を実現することが考えられる。カム制御は、たとえば、プラズマホイール(2)の周に沿って複数個の制御カムを配置し、これら制御カムに沿ってカムローラが案内されるように実施されていてよい。カムローラはその都度位置決めされるべき構成要素と連結されている。
【0047】
図7は、コーティング工程を光学的に監視するための装置(40)の図である。窓(41)を備えたプラズマチャンバー(17)が図示されている。窓(41)には石英ガラス板(42)が挿着されている。プラズマチャンバー(17)の内部にはプラズマ(43)が図示されている。
【0048】
石英ガラス板(42)を起点として光導波路(44)がフォト要素(45)まで延びている。フォト要素(45)は、典型的にはアナログデジタル変換器(46)にダイレクトに連結される増幅段(52)とダイレクトに結合されている。アナログデジタル変換器(46)は評価装置(47)に接続されている。
【0049】
このように構成要素(45,52,46,47)はプラズマチャンバー(17)に対し間隔をもって配置され、マイクロ波システムの直接の影響外にある。フォト要素(45)は、信号成分とノイズ成分との比率を小さくするために、増幅段とダイレクトに連結されている。典型的な増幅率は10ないし10の範囲にある。この増幅率の範囲では、フォトダイオードおよび増幅段の熱的挙動の相殺を可能にする暗電流調整が実現されるので有利である。さらに、増幅回路が実装される。これにより、種々の光強度に対しその都度最適な増幅を提供することが可能である。増幅器の出力信号はアナログデジタル変換器(46)に送られる。フォト要素(45)と増幅器とのダイレクトな連結は、たとえば1つの共通の電子ユニット内、1つの共通の取り付け板上、または1つの共通の半導体チップ上に配置することによって実現できる。
【0050】
評価装置(47)の領域では、有利には、アナログデジタル変換器(46)の信号を所定の時間にわたって積分することが考えられる。信号の推移を時間的に表示するため、それぞれのサンプル値を中間蓄積する。
【0051】
図8は光導波路(44)の拡大横断面図である。光導波路は、オプティカルコア(48)と、オプティカルシェル(49)と、外側スリーブ(50)とを有している。コア(48)は典型的にはほぼ400−600マイクロメートルの径を有している。オプティカルシェル(49)の材料としてはPMMAを使用できる。外側スリーブ(50)に対してはETFEを使用するのが効果的であることが明らかになった。
【0052】
伝達すべき波長が850ナノメートルの場合、光導波路(44)の典型的な減衰率はたかだか8db/kmである。ファクタNA(開口数)はほぼ0.37である。オプティカルコア(48)の材料としては石英ガラスを使用する。
【0053】
図9は、PETボトルの内側コーティングを実施する際の典型的な伝送推移を示している。この場合、PET材料とSiOxから成る層との間に定着層を被着させるプロセスステップが実施される。700ナノメートル以上の範囲では、3つの特徴的なスペクトル線が生じる。これらは777ナノメートル、845ナノメートル、927ナノメートルにある。これらスペクトル線のうちの少なくとも2つ、好ましくは3つのスペクトル線すべてを監視すれば、プロセス管理および場合によってはプロセス制御に対し特に有利であることが明らかになった。
【0054】
図10は、SiOx層を被着させる際のスペクトル線の比較可能な推移を示している。ここでも上記の3つの特徴的なスペクトル線がはっきりと発生する。
【0055】
図11は、有利な光導波路に対する典型的なスペクトル範囲を説明する図である。前述した光導波路は推移(51)に相当している。
【0056】
図9ないし図11には、それぞれ波長(ナノメートル)と強度との関係が図示されているが、強度はカウントで示した。
【0057】
図7の光導波路は2つの主要な機能を有している。第1の機能によれば、光導波路(44)は、その開口数を介して、プラズマによって発生した散乱光を吸収する。これにより特殊な集光レンズは必要ない。光導波路の第2の機能はスペクトルフィルタとしてのその特性にある。図11に示したスペクトル挙動に基づき、種々の波長(スペクトル線)が異なる減衰率で光導波路(44)によって伝送される。図11で推移(51)を持った光導波路は、図9および図10のスペクトル線を伝送させるために最適な光学特性を有している。
【0058】
フォト要素(45)としては、700ナノメートルないし1000ナノメートルの範囲のスペクトル感度を備えた安価なフォトダイオードを使用することができる。基本的には、フォト要素(45)としてフォトレジスタンスまたはフォトトランジスタを使用することも可能であるが、フォトダイオードは慣性が非常に小さい。
【0059】
すでに述べたように、評価装置(47)の領域では、検出した信号推移の積分が行われる。これによって求められる面積は、信号の中に含まれているエネルギーを表わしている。積分は高感度と高精度の双方をもたらす。
【0060】
このように、本発明によるプロセス監視にとって重要な成分として、光導波路(44)を介しての信号伝送、光導波路(44)の光学特性による700ナノメートル以上の波長の選択伝送、位置的にフォト要素(45)の付近で実施される信号増幅、切換え可能な信号増幅、そして評価装置(47)の領域での信号推移の積分が挙げられる。上記の5つの特性すべてを互いに組み合わせて実現することが特に有利であるが、これら個々の特性を単独でまたは他の特性のうちの1つまたは2つまたは3つを組み合わせて実現することも可能である。
【0061】
前記積分に関しては、特に、1つのスペクトル線に対して信号を積分するばかりでなく、予め設定可能なスペクトル範囲に対してすべての強度を積分することが考えられる。たとえば700ナノメートルないし1000ナノメートルの範囲にたいし積分することが考えられる。その結果得られる面積を参照面積と比較して、ずれがある場合には上限および下限を維持するようにする。
【0062】
プロセス監視に対しては特にスペクトル範囲での酸素線が重要であることが明らかになった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11