特許第5945523号(P5945523)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945523
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】ヘルメット用ハンモックの掛止装置
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/06 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
   A42B3/06
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-162568(P2013-162568)
(22)【出願日】2013年8月5日
(65)【公開番号】特開2015-30948(P2015-30948A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2015年11月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000149930
【氏名又は名称】株式会社谷沢製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中澤 雅一
(72)【発明者】
【氏名】崔 成根
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−013549(JP,A)
【文献】 実開平05−019321(JP,U)
【文献】 実開昭54−083915(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 3/00 − 7/00
F16B 5/00 − 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルメットの帽体内部に取り付けて人頭に接するハンモックに設けられ、帽体内面に突設された鋲状部に掛止することによりハンモックを帽体に掛止するヘルメット用ハンモックの掛止装置であって、
前記帽体の内面に下面が接する環状の枠部と、該枠部の内周面の一部に形成されて前記鋲状部に係合する凹部と、前記枠部の内側に配設され、一端部に前記凹部から鋲状部が脱出する方向となる開放側で該凹部内の前記鋲状部に当接する当接部を有すると共に他端部に前記帽体の内面に向かって押圧操作するための押圧操作部を有する操作板と、該操作板の当接部と押圧操作部との間に位置する両側縁から前記枠部の対向する二辺に向かって延びて前記操作板を前記枠部に連結すると共に当該連結位置を支点として該操作板を搖動自在とする搖動軸と、前記操作板が搖動したときに前記当接部が凹部内の鋲状部に当接する方向に操作板を付勢する付勢手段とを備え、
前記操作板は、前記帽体の内面に向かって突設された規制部を備え、
該規制部は、前記押圧操作部の押圧操作による前記操作板の搖動を許容した状態を維持して、当該押圧操作を行うことによって発生する前記支点部分の下動を規制することを特徴とするヘルメット用ハンモックの掛止装置。
【請求項2】
前記規制部は、前記操作板の両側縁の夫々に連設されて前記鋲状部が通過可能となる間隔を存して互いに対向し、
一対の規制部間は、前記鋲状部を前記凹部に向かって案内する案内路とされることを特徴とする請求項1記載のヘルメット用ハンモックの掛止装置。
【請求項3】
前記枠部と前記操作板と前記搖動軸とは合成樹脂により一体成型されており、
前記搖動軸は、前記操作板が搖動したときに前記枠部との間に生じる捻じれに伴う復元弾性力により前記付勢手段の機能を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のヘルメット用ハンモックの掛止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルメットの帽体内部にハンモックを掛止するするヘルメット用ハンモックの掛止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘルメットの帽体の内部には、人頭に接するハンモックが取り付けられる。ハンモックは、頭頂部から放射状に延びる複数の脚部を備え、ハンモックの脚部の先端部を、帽体の下縁側の内面に連結することによって、ヘルメットの帽体の内部にハンモックが固定される。
【0003】
帽体の下縁側の内面には、帽体の周方向に所定間隔を存して複数の鋲状部が設けられている。鋲状部は、帽体から突出する鋲軸と、鋲軸の頂部で円盤状に拡径された鋲頭とを備える形状とされている。
【0004】
一方、ハンモックの脚部の先端部には、鋲状部に掛止するための掛止孔が形成されている。ハンモックの掛止孔は、鋲頭が挿通自在となる大径開口部と、鋲軸の外径に略対応する小径開口部とが連続して隣り合う所謂ダルマ孔となっている。
【0005】
ハンモックを帽体に取り付けるときには、ハンモックの掛止孔の大径開口部に鋲状部の鋲頭を通し、次いで、掛止孔を帽体内面に沿ってスライドさせるようにして鋲軸を小径開口部に嵌め込む。このとき、掛止孔の大径開口部と小径開口部との連続部分の幅寸法が鋲軸の直径寸法よりも小さいことにより、掛止孔の小径開口部に嵌め込まれた鋲軸は、大径開口部側に移動することはなく、帽体の鋲状部へのハンモックの掛止孔の掛止状態が維持される。これにより、ハンモックが帽体に取り付けられた状態となる。
【0006】
ところで、ハンモックは、帽体内部から不用意に外れることのないよう、ハンモックの掛止孔による帽体の鋲状部への掛止状態を強固とする必要がある。一方、ハンモックは、帽体内部で人頭に接することでヘルメットの着用状態を安定させると共に、帽体外部から付与される衝撃を吸収緩和して人頭を保護する作用を得るためのものであるため、定期的に、或いは、劣化や異常が生じた際に、新しいものに交換することが行われる。
【0007】
掛止孔においては、大径開口部と小径開口部との連続部分の幅寸法を鋲軸の直径寸法より小さくすることで、帽体の鋲状部への掛止状態を強固とすることができるが、大径開口部と小径開口部との連続部分の幅寸法を極度に小さくすると、ハンモックの交換の際に鋲状部から掛止孔を取り外す作業が困難となる不都合がある。
【0008】
そこで、従来、ハンモックを帽体に確実に掛止することができ、その掛止状態を押圧操作により解除可能とした掛止装置が提案されている(下記特許文献1参照)。
【0009】
この掛止装置は、ハンモックの脚部の先端部に設けられた環状の枠部と、枠部に搖動軸を介して搖動自在に支持された操作板とを備えている。枠部の内周面の一部には、鋲状部を係合させる凹部が形成されている。操作板は、その一端部に、凹部の開放側から鋲状部に当接する当接部が設けられ、搖動軸を介して当接部の反対側には、押圧操作部が設けられている。更に、操作板の他端部には、押圧操作部の押圧に伴い帽体内面に接して復元弾性力を発生させる弾性構造部が設けられている。
【0010】
これによれば、操作板の当接部が凹部内の鋲状部に当接することで、凹部からの鋲状部の脱出が防止され、鋲状部への掛止状態を確実に維持することができる。
【0011】
また、操作板の押圧操作部を押圧し、搖動軸を支点として操作板を搖動させることにより、操作板の当接部が凹部内の鋲状部から離反して鋲状部への掛止状態を解除することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−13549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上記従来の掛止装置では、操作板の搖動軸と弾性構造部との間に押圧操作部が位置しているため、押圧操作の仕方によって、その押圧力が弾性構造部だけでなく搖動軸(搖動する際の支点位置)にも伝達される場合がある。
【0014】
そして、搖動軸に比較的大きな押圧力が伝達された場合には、搖動軸や枠部に歪みが生じて操作板の支点位置が押圧操作部と同一方向に移動して操作板が円滑に搖動せず、帽体の鋲状部からの掛止解除が行えなくなる不都合があった。
【0015】
上記の点に鑑み、本発明は、帽体へのハンモックの取り付け状態を確実に維持することができるだけでなく、帽体からのハンモックの取り外しを極めて容易に行うことができるヘルメット用ハンモックの掛止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる目的を達成するために、本発明は、ヘルメットの帽体内部に取り付けて人頭に接するハンモックに設けられ、帽体内面に突設された鋲状部に掛止することによりハンモックを帽体に掛止するヘルメット用ハンモックの掛止装置であって、前記帽体の内面に下面が接する環状の枠部と、該枠部の内周面の一部に形成されて前記鋲状部に係合する凹部と、前記枠部の内側に配設され、一端部に前記凹部から鋲状部が脱出する方向となる開放側で該凹部内の前記鋲状部に当接する当接部を有すると共に他端部に前記帽体の内面に向かって押圧操作するための押圧操作部を有する操作板と、該操作板の当接部と押圧操作部との間に位置する両側縁から前記枠部の対向する二辺に向かって延びて前記操作板を前記枠部に連結すると共に当該連結位置を支点として該操作板を搖動自在とする搖動軸と、前記操作板が搖動したときに前記当接部が凹部内の鋲状部に当接する方向に操作板を付勢する付勢手段とを備え、前記操作板は、前記帽体の内面に向かって突設された規制部を備え、該規制部は、前記押圧操作部の押圧操作による前記操作板の搖動を許容した状態を維持して、当該押圧操作を行うことによって発生する前記支点部分の下動を規制することを特徴とする。
【0017】
本発明の掛止装置は、前記枠部に形成された凹部に帽体の鋲状部が係合したとき、前記操作板の当接部が、凹部の開放側から鋲状部に当接することにより、凹部からの鋲状部の脱出が防止される。そして、操作板の当接部が鋲状部に当接した状態は、前記付勢手段により維持される。このように、本発明の掛止装置によれば、帽体の鋲状部への掛止が不用意に解除されることがなく、帽体へのハンモックの連結状態を確実に維持することができる。
【0018】
また、帽体からハンモックを取り外すときには、操作板の押圧操作部を帽体の内面方向に押圧することにより、前記搖動軸を支点として操作板を搖動させる。このとき、押圧操作部に付与された押圧力の一部が搖動軸に対応する操作板の支点部分に伝達されても、操作板に設けた前記規制部が帽体の内面に当接し、支点部分の下動が規制される。これにより、当接部が押圧操作部と同方向に移動することが防止され、操作板を確実に搖動させることができる。そして、操作板が搖動軸を支点として確実に搖動することにより、当接部が鋲状部から離反し、掛止状態を円滑に解除することができる。よって、帽体からハンモックを極めて容易に取り外すことができる。
【0019】
また、本発明において、前記規制部は、前記操作板の両側縁の夫々に連設されて前記鋲状部が通過可能となる間隔を存して互いに対向し、一対の規制部間は、前記鋲状部を前記凹部に向かって案内する案内路とされることが好ましい。
【0020】
これによれば、押圧操作部の押圧時に操作板の前記支点部分に伝達された押圧力を、一対の規制部が帽体の内面に当接して確実に規制することができるだけでなく、一対の規制部が操作板の両側縁を支えた状態となって安定した搖動軸の回転を得ることができる。
【0021】
更に、一対の規制部間を前記案内路とすることにより、掛止装置を鋲状部に掛止させる際に掛止装置と相対的に移動する鋲状部を凹部に向かって確実に案内することができ、凹部に鋲状部を係合させる操作を円滑に行うことができる。
【0022】
また、本発明において、前記枠部と前記操作板と前記搖動軸とは合成樹脂により一体成型されており、前記搖動軸は、前記操作板が搖動したときに前記枠部との間に生じる捻じれに伴う復元弾性力により前記付勢手段の機能を備えることが好ましい。
【0023】
これによれば、掛止装置の部品点数を少なくしてしかも製造容易とすることができ、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態の掛止装置によるハンモックの取り付け状態を示す説明図。
図2】本実施形態の掛止装置を備えるハンモックの平面図。
図3】鋲状部を示す説明図であって、(a)は円形の鋲頭を有する鋲状部を示し、(b)は略半円形の鋲頭を有する鋲状部を示す。
図4】本実施形態の掛止装置の平面図。
図5】本実施形態の掛止装置の底面図。
図6】本実施形態の操作板を示す説明的斜視図。
図7】本実施形態の掛止装置の作動を示す説明的断面図であって、(a)は鋲状部に掛止した状態を示し、(b)は操作板の搖動状態を示す。
図8】他の実施形態の掛止装置を示す平面図。
図9図8の掛止装置の作動を示す説明的断面図であって、(a)は鋲状部に掛止した状態を示し、(b)は操作板の搖動状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、ヘルメットの帽体1の内部にはハンモック2が取り付けられる。帽体1は硬質材料により形成されている。ハンモック2は、図示しないヘッドバンドと共にヘルメットの着装体を構成し、帽体1の内部で人頭に接することにより、ヘルメットの着用状態を安定させると共に、帽体1に受けた衝撃を吸収緩和して人頭を保護する作用を有している。
【0026】
ハンモック2は、図2に示すように、頭頂から放射状に延びる複数(本実施形態においては8本)の脚部3を備えている。各脚部3の先端には、本発明の掛止装置4が設けられている。
【0027】
ハンモック2は、合成樹脂(例えば低密度ポリエチレン等)を材料とする一体成型により形成され、これによって、脚部3と掛止装置4とは一体に形成されている。なお、掛止装置4を別体として、脚部3の先端に接着等により後付けしてもよい。
【0028】
掛止装置4は、図1に示すように、帽体1の内面に突設された鋲状部5に掛止することにより、ハンモック2を帽体1の内部に連結する。鋲状部5は、図3に示すように、帽体1の内面に突出する鋲軸5aと、鋲軸5aの頂部で拡径する円盤状の鋲頭5bとからなり、帽体1と一体に設けられている。
【0029】
なお、鋲状部5は、帽体と一体成型されていてもよく、また、図示しないが、帽体1を貫通して固定される鋲状部材を採用してもよい。帽体と一体成型されている鋲状部5においては、図3(b)に示すように、鋲頭5bの形状として、上方側を切欠いた略半円形のものが一般的であるが、掛止装置4は何れの形状の鋲頭5bであっても掛止することが可能である。
【0030】
掛止装置4は、図4及び図5に示すように、枠部6と操作板7と搖動軸8とを備えている。枠部6は、環状に形成されており、その下面の一部が帽体1の内面に接して、内側に配置された操作板7を包囲する。操作板7は、平面視大略長方形状に形成されており、その両側から延びる搖動軸8により枠部6の対向する二辺に一体に連結されている。搖動軸8は、操作板7を搖動自在に支持しており、操作板7が搖動する際の支点となる。
【0031】
また、搖動軸8は、操作板7が搖動するときに捻じれによる復元弾性力が発生し、操作板7を搖動する前の姿勢に復帰させる付勢手段としての機能も有している。なお、本実施形態においては、図6に示すように、搖動軸8がT字形の断面形状を有し、これによって、捻じれによる復元弾性力が得られるようにしている。しかし、搖動軸8の断面形状はこれに限るものではない。例えば、図示しないが、搖動軸8において復元弾性力を得るための断面形状として、V字形、コ字形、W字形、或いはH字形等を挙げることができる。また、搖動軸8においては角(かど)の数を増やすことで必要な弾性力を生み出すことができる。
【0032】
枠部6の先端側の内周面には凹部9が形成されている。凹部9は、鋲状部5の鋲軸5aを受け入れて係合する鋲軸受入部9aと、鋲軸受入部9aに鋲軸5aが係合したとき、鋲頭5bを収容する鋲頭収容部9bとによって構成されている。
【0033】
操作板7は、枠部6の凹部9の開放位置に向かって突出する先端突起部10と、先端突起部10から連続して延びる押圧操作部11とを備え、先端突起部10と押圧操作部11との間に搖動軸8が位置している。押圧操作部11の表面には、押圧操作位置を示すマーク12が設けられている。
【0034】
図5及び図6に示すように、操作板7の先端突起部10には、当接部13が形成されている。当接部13は、図7(a)に示すように、凹部9の鋲頭収容部9bに収容された鋲頭5bに、凹部9の開放側から当接する。
【0035】
先端突起部10における帽体1内面との対向面には、搖動軸8の位置(搖動する際の支点部分)から当接部13にかけて次第に帽体1内面に接近する方向に傾斜する傾斜面14が形成されている。
【0036】
図5及び図6に示すように、操作板7には一対の規制部15が設けられている。規制部15は、操作板7の両端から搖動軸8の下方に向かって延びており、その下端は、図7(a)に示すように、帽体1の内面に摺動自在に当接する当接端16とされている。
【0037】
一対の規制部15は、鋲状部5の鋲頭5bが通過自在の間隔寸法を存して互いに対向しており、両規制部15間は、鋲状部5を凹部9に向かって案内する案内路17とされている。
【0038】
次に、以上の構成からなる掛止装置4の作動を説明する。
【0039】
掛止装置4を鋲状部5に掛止させるときには、先ず、鋲状部5が枠部6の内側に入るように位置を合わせて枠部6の下面を帽体1の内面に当接させる。次いで、鋲状部5に対して枠部6の凹部9を係合させる方向に枠部6を移動させる。これにより、鋲状部5は、枠部6と相対的に凹部9に向かって移動する。このとき、鋲状部5は、一対の規制部15間の案内路17により凹部9に向かって確実に案内され、操作板7の傾斜面14に接して先端突起部10を押し上げる。先端突起部10の押し上げにより操作板7が搖動し、搖動軸8が捻じれて復元弾性力が生じる。その後、鋲状部5の鋲軸5aが凹部9の鋲軸受入部9aに係合し、鋲頭5bが鋲頭収容部9bに収容されると、鋲状部5による操作板7の先端突起部10の押し上げが解除され、搖動軸8の復元弾性力によって、操作板7が元の姿勢(先端突起部10が凹部9の開放側を塞ぐ状態となる姿勢)に戻る。
【0040】
これにより、図7(a)に示すように、当接部13が凹部9の開放側から鋲頭5bに当接し、鋲状部5への掛止状態が確実に維持される。従って、帽体1の内部へのハンモック2の取り付け状態が強固に維持される。
【0041】
鋲状部5に対する掛止装置4の掛止を解除するときには、図7(b)に示すように、操作板7の押圧操作部11を押圧しつつ凹部9から鋲状部5を脱出させる方向に枠部6を移動させる。押圧操作部11を押圧することにより、操作板7は搖動軸8を支点として搖動し、先端突起部10の当接部13が鋲状部5の鋲頭5bから離反する。
【0042】
ところで、押圧操作部11を押圧しつつ凹部9から鋲状部5を脱出させる方向に枠部6を移動させると、押圧操作部11に付与される押圧力の一部が搖動軸8にも伝達される。従来においては、このとき搖動軸に伝達された押圧力によって搖動軸が歪んで操作板の搖動するときの支点位置が下動(帽体内面に接近する方向に移動)してしまい、操作板が円滑に搖動しないことがあった。
【0043】
それに対して、本実施形態の掛止装置4は、操作板7に規制部15を設けたことにより、図7(b)に示すように、規制部15が帽体1の内面に当接して操作板7の下動が規制される。これにより、押圧操作部11の押圧力が搖動軸8に伝達されても、規制部15によって支えられた搖動軸8は殆ど下動することはなく、操作板7は円滑に搖動する。また、このとき、規制部15の当接端16は、帽体1の内面に沿って摺動するので、搖動軸8を支点とする操作板7の搖動は阻害されることはない。
【0044】
そして、先端突起部10の当接部13を鋲状部5の鋲頭5bから確実に離反させることができるので、掛止装置4による鋲状部5への掛止状態を円滑に解除することができ、帽体1の内部からのハンモック2の取り外しを極めて容易に行うことができる。
【0045】
なお、本実施形態においては、付勢手段として搖動軸8の捻じれによる復元弾性力を用いたが、これに限るものではなく、例えば、バネ部材等を用いて操作板7を付勢してもよい。
【0046】
また、他の実施形態として図8に示すように、操作板7を枠部6に一体に連結することにより操作板7を押圧した際の撓みによる復元弾性力を発生させ、これを付勢手段としてもよい。即ち、図8に示す掛止装置4´においては、図9(a)に示す鋲状部5への掛止状態から、押圧操作部11を押圧すると、図9(b)に示すように枠部6と搖動軸8との間に位置する押圧操作部11が凹入反転する。これにより、操作板7は搖動軸8を支点として搖動し、先端突起部10の当接部13が鋲状部5の鋲頭5bから離反する。その後、押圧操作部11の押圧を解除するだけで、反転状態の押圧操作部11が復元弾性力によって元の形状に戻り、先端突起部10が凹部9の開放側を塞ぐ状態とすることができる。
【0047】
また、本実施形態においては、8本の脚部3を備えるハンモック2を挙げて説明したが、ハンモック2の脚部3の数はこれに限るものではない。
【符号の説明】
【0048】
1…帽体、2…ハンモック、4,4´…掛止装置、5…鋲状部、6…枠部、7…操作板、8…搖動軸(付勢手段)、9…凹部、11…押圧操作部、13…当接部、15…規制部、17…案内路。
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図1
図2