特許第5945528号(P5945528)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945528
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】トナー搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/10 20060101AFI20160621BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20160621BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   G03G21/10
   G03G15/16
   G03G15/08 364
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-231612(P2013-231612)
(22)【出願日】2013年11月7日
(65)【公開番号】特開2015-90494(P2015-90494A)
(43)【公開日】2015年5月11日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】水谷 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】村田 耕治
【審査官】 三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−107930(JP,A)
【文献】 実開平03−112762(JP,U)
【文献】 特開2004−123337(JP,A)
【文献】 特開平11−015247(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0062614(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/10
G03G 15/08
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを搬送するためのスクリューが設けられた共通搬送路と、
上下方向に延びると共に下端が上記共通搬送路に接続された複数のトナー投入路と、
上記スクリューの軸に接触して設けられ、上記スクリューの軸に付着するトナーを掻き落とすブレードとを備え、
上記ブレードは、複数の上記トナー投入路の直下のみにおいて上記スクリューの軸に接触するように配置され、且つ上記スクリューにおけるフィンのピッチの整数倍のピッチで配置され
上記ブレードの基端部が上記トナー投入路において固定される一方、上記ブレードの先端部が下方に延び、上記ブレードの先端は上記スクリューの軸に対して略直角に当接している、トナー搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のトナー搬送装置において、
上記スクリューは、上記スクリューの軸に一体形成された螺旋状のフィンを有し、
上記フィンは、上記スクリューの軸方向に幅広となった幅広部が所定のピッチで形成されている、トナー搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のトナー搬送装置において、
上記整数倍は4倍である、トナー搬送装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載のトナー搬送装置を備えている、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー搬送装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばレーザープリンターや複合機等の画像形成装置は、クリーニング装置によって感光体ドラムの外周面から除去された残留トナーを搬送するトナー搬送装置を備えている。
【0003】
トナー搬送装置は、特許文献1に記載されているように、トナー回収容器にトナーを搬送するための共通搬送路と、共通搬送路に接続された複数のトナー投入路とを有している。
【0004】
共通搬送路は、水平方向に延びると共にその内部にトナーを搬送するスクリューが設けられている。スクリューは、共通搬送路に沿って延びるスクリュー軸と、スクリュー軸に巻回されるように一体形成された螺旋状のフィンとを有している。トナー投入路は上下方向に延びると共にその下端が共通搬送路に接続されている。そうして、トナー搬送装置は、複数のトナー投入路からトナーを落下させて共通搬送路に投入し、共通搬送路に投入されたトナーを、回転するスクリューによって搬送するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−20267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記トナー搬送装置には、共通搬送路内のスクリュー軸にトナーが付着することにより、トナーの搬送能力が低下してしまう問題がある。特に、スクリューのうち、トナー投入路からトナーが落下してくる部分において、トナー付着の問題が顕著になる。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、トナー搬送装置におけるスクリューへのトナー付着を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るトナー搬送装置は、トナーを搬送するためのスクリューが設けられた共通搬送路と、上下方向に延びると共に下端が上記共通搬送路に接続された複数のトナー投入路と、上記スクリューの軸に接触して設けられ、上記スクリューの軸に付着するトナーを掻き落とすブレードとを備え、上記ブレードは、複数の上記トナー投入路の直下のみにおいて上記スクリューの軸に接触するように配置され、且つ上記スクリューにおけるフィンのピッチの整数倍のピッチで配置され、上記ブレードの基端部が上記トナー投入路において固定される一方、上記ブレードの先端部が下方に延び、上記ブレードの先端は上記スクリューの軸に対して略直角に当接している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トナー搬送装置におけるスクリューへのトナー付着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、画像形成装置の概略構造を示す断面図である。
図2図2は、トナー搬送装置の外観を示す斜視図である。
図3図3は、連結管が接続されたトナー搬送装置の構造を示す断面図である。
図4図4は、スクリューの一部を拡大して示す側面図である。
図5図5は、スクリューとブレードとの位置関係を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
図1は、画像形成装置1の概略構造を示す断面図である。画像形成装置1は、例えばタンデム方式のカラープリンターであって、図1に示すように、中間転写ベルト7と、一次転写部8及び二次転写部9と、定着部11と、光走査装置15と、複数の画像形成部16とを備えている。
【0013】
画像形成装置1の本体2の内部下方には、給紙カセット3が配置されている。給紙カセット3は、その内部に印刷前のカットペーパー等の用紙(図示省略)を積載して収容している。給紙カセット3の側方には、第1用紙搬送部21が設けられている。第1用紙搬送部21は、給紙カセット3から送り出された用紙を受け取り、その用紙を上方の二次転写部9へ搬送する。
【0014】
給紙カセット3の右側方には、手差し給紙部5が設けられている。手差し給紙部5の左方には第2用紙搬送部22が設けられている。第2用紙搬送部22は、手差し給紙部5から送り出された用紙等を受け取って第1用紙搬送部21へ搬送する。
【0015】
光走査装置15は、第2用紙搬送部22の上方に配置され、画像形成装置1が受信した画像データに基づいてレーザー光を画像形成部16へ照射する。画像形成部16は、光走査装置15の上方に設けられている。各画像形成部16の上方には、無端状の中間転写ベルト7が設けられている。中間転写ベルト7は、複数のローラーに巻き掛けられており、図示しない駆動装置によって回転駆動される。
【0016】
4つの画像形成部16は、図1に示すように、中間転写ベルト7に沿って一列に配置されており、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、又はブラック(K)のトナー像をそれぞれ形成する。
【0017】
画像形成部16は、感光体である感光体ドラム31と、感光体ドラム31の周囲にそれぞれ配置された帯電器32、現像装置33及びクリーニング装置10とを備えている。
【0018】
感光体ドラム31は、不図示の駆動モーターによって回転駆動される。帯電器32は、不図示の帯電バイアス電源から印加される帯電バイアスによって感光体ドラム31の外周面を所定の電位に均一に帯電させる。そして、各感光体ドラム31は、光走査装置15から出射された光が書き込まれることによって静電潜像が形成されるようになっている。
【0019】
現像装置33は、マゼンタのトナー、シアンのトナー、イエローのトナー、又はブラックのトナーをそれぞれ収容しており、各色毎に、感光体ドラム31の静電潜像にトナーを付着させることによって静電潜像を現像する。そうして、各感光体ドラム31の静電潜像をトナー像として可視化する。
【0020】
一次転写部8は、各画像形成部16の上方にそれぞれ配置されている。一次転写部8は、画像形成部16により形成されたトナー像を中間転写ベルト7の表面に一次転写する転写ローラーを有している。
【0021】
ここで、トナー像が中間転写ベルト7に転写された後の感光体ドラム31の外周面には、残留トナーや電生成物等の異物が付着している。画像形成部16のクリーニング装置10は、感光体ドラム31の外周面を清掃して、上記残留トナーや異物を除去する。
【0022】
そして、中間転写ベルト7が回転駆動されると共に、所定のタイミングで各画像形成部16のトナー像が中間転写ベルト7に転写されることによって、中間転写ベルト7の表面には、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー像が互いに重ね合わされたカラートナー像が形成される。
【0023】
二次転写部9は、図1に示すように、中間転写ベルト7の左側方に配置された転写ローラー18を有し、転写ローラー18によって中間転写ベルト7のトナー像を用紙へ転写する。
【0024】
定着部11は、二次転写部9の上方に設けられている。二次転写部9と定着部11との間には、トナー像が二次転写された用紙を定着部11へ搬送する第3用紙搬送部23が形成されている。
【0025】
定着部11は、各々回転する定着ローラー19と加圧ローラー20とを有し、定着ローラー19及び加圧ローラー20によって用紙を加熱及び加圧することにより、トナー像を用紙に定着させる。
【0026】
このように、上記画像形成装置1では、画像データに基づいて光走査装置15が感光体ドラム31を光走査することにより、感光体ドラム31に静電潜像が形成される。その後、感光体ドラム31の静電潜像は現像装置により各色のトナー像として現像される。次いで、各色のトナー像は一次転写部8によって感光体ドラム31から中間転写ベルト7に転写される。中間転写ベルト7のトナー像は、二次転写部9において、第1用紙搬送部21から搬送された用紙に転写される。その後、定着部11でトナー像が定着された用紙は、用紙排出部28へ排出される。
【0027】
さらに、画像形成装置1は、クリーニング装置10によって感光体ドラム31の外周面から除去された残留トナーを搬送するトナー搬送装置35を備えている。ここで、図2は、トナー搬送装置35の外観を示している。図3は、連結管36が接続されたトナー搬送装置35の断面構造を示している。
【0028】
図2及び図3に示すように、トナー搬送装置35は、水平方向に延びるトナーの搬送管37と、搬送管37に接続された複数のトナー投入部38とを備えている。トナー投入部38は、搬送管37の長さ方向に所定のピッチP1で配置されている。
【0029】
搬送管37の内部は、トナー回収容器(図示省略)にトナーを搬送するための共通搬送路42となっている。共通搬送路42には、トナーを搬送するためのスクリュー45が設けられている。共通搬送路42の一端には、この共通搬送路42を開閉するためのシャッター部46が設けられている。そして、共通搬送路42は、シャッター部46が開放されることによって、トナー回収容器に連通するようになっている。
【0030】
ここで、図4は、スクリュー45の一部を拡大して示す側面図である。図3及び図4に示すように、スクリュー45は、共通搬送路42に沿って延びるスクリュー軸47と、スクリュー軸47に巻回されるように一体形成された螺旋状のフィン48とを有している。そして、スクリュー45は、駆動モーター等の駆動機構(図示省略)によって回転駆動され、トナーをシャッター部46側へ(図2に示す搬送方向Aへ)搬送するように構成されている。
【0031】
スクリュー45は、射出成形によって製造されている。スクリュー45は、その製造時において金型を2つに分けて外す際に、フィン48にアンダーカットが生じないような形状を有している。すなわち、フィン48は、図4に示すように、スクリュー45の軸方向に比較的幅広となった幅広部49を有している。幅広部49は、スクリュー45の軸方向に所定のピッチで配置されている。
【0032】
図2及び図3に示すように、複数のトナー投入部38は、上下方向に延びると共にその下端が共通搬送路42に接続されたトナー投入路43と、トナー投入路43に連通すると共に側方に開口された接続口44とをそれぞれ有している。
【0033】
接続口44には、連結管36の先端が接続される。連結管36の基端側には、クリーニング装置10からトナーが供給される。連結管36の内部には、図示省略のスクリューが設けられており、そのスクリューが回転することによって、クリーニング装置10から供給されたトナーを、トナー投入部38の接続口44側へ搬送するようになっている。そして、トナー投入部38に搬送されたトナーは、トナー投入路43を自由落下して共通搬送路42に投入されることとなる。共通搬送路42に投入されたトナーは、上述のようにスクリュー45によってシャッター部46側へ搬送される。
【0034】
さらに、トナー搬送装置35は、スクリュー45に付着したトナーを掻き落とすためのブレード51を有している。ブレード51は、例えばPETフィルム等の弾性を有するシートにより構成されている。ブレード51は、その基端部がトナー投入部38の内壁面に取付固定されることによりトナー投入路43において固定されている。図4に示すように、ブレード51は、その先端部が下方に延びてスクリュー軸47に接触している。そのことによって、スクリュー軸47に付着するトナーを好適に掻き落とすようになっている。
【0035】
ここで、図5は、スクリュー45とブレード51との位置関係を模式的に示す側面図である。図2及び図5に示すように、ブレード51は、トナー投入部38のピッチ(言い換えれば、トナー投入路43のピッチ)P1と同じピッチで配置されている。また、ブレード51は、トナー投入路43の直下にそれぞれ配置されている。さらに、ブレード51は、フィン48のピッチP2の整数倍のピッチで配置されている。例えば、図5に示す例では、ブレード51のピッチP1は、フィン48のピッチP2の4倍になっている。
【0036】
また、ここで、仮にブレード51を設けない場合、スクリュー軸47には、トナーが投入される領域(つまり、トナー投入路43の直下)においてトナーが付着し易くなる。これに対し、本実施形態では、特に、トナー投入路43の直下においてスクリュー軸47に接触するようにブレード51を配置したので、スクリュー軸47に付着しようとするトナーを好適に掻き落とすことができる。
【0037】
一方、図4に示すように、スクリュー45のフィン48には、金型成形時におけるアンダーカットを防止するために幅広部49が所定のピッチで形成されている。したがって、幅広部49の近傍では、隣り合うフィン48の羽根同士の間隔が狭くなっている。そのため、このようなスクリュー45では、全てのブレード51をスクリュー軸47に確実に接触させることが難しい。
【0038】
これに対し、本実施形態では、ブレード51をフィン48のピッチP2の整数倍のピッチP1で配置するようにしたので、全てのブレード51をスクリュー軸47に確実に接触させることが可能になる。
【0039】
すなわち、本実施形態によると、トナーが付着し易いトナー投入路43の直下において全てのブレード51をスクリュー軸47に確実に接触させることができるので、スクリュー軸47へのトナー付着を、好適に抑制することができる。その結果、トナー搬送装置35によるトナーの搬送能力を高く維持することができる。また、高温環境や高湿度環境では、スクリュー軸47へのトナーの付着がより大きな問題となるが、上記トナー搬送装置35によれば、そのような環境下であっても、適切にトナー搬送能力を維持できる。
【0040】
尚、上記実施形態では、カラープリンターを画像形成装置の一例として説明したが、これに限らず、例えば複写機、スキャナ装置、又は複合機等の他の画像形成装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上説明したように、本発明は、トナー搬送装置及びそれを備えた画像形成装置について有用である。
【符号の説明】
【0042】
1 画像形成装置
35 トナー搬送装置
42 共通搬送路
43 トナー投入路
45 スクリュー
47 スクリュー軸
48 フィン
49 幅広部
51 ブレード
図1
図2
図3
図4
図5