【実施例】
【0109】
(実施例1)
実験手順
アルミニウムの結合の決定
アルミニウムおよび少なくとも1つのタンパク質抗原を含む組成物を遠心分離し、その結果、アルミニウムがペレット化された。アルミニウム吸収タンパク質の遠心分離は、当技術分野で公知である。例えば、Eganら、Vaccine、27巻(24):3175〜3180(2009)を参照されたい。また、アルミニウム結合型のタンパク質もペレット化され、一方、アルミニウム非結合型のタンパク質は、上清中に残留した。上清およびペレット中の総タンパク質を、ローリーアッセイにより決定した。上清中の総タンパク質を、組成物に添加した総タンパク質で割り、100%を乗じることによって、パーセント結合型タンパク質を計算した。同様に、パーセント非結合型タンパク質を、上清中の総タンパク質を、組成物に添加した総タンパク質で割り、100%を乗じることによって計算した。
【0110】
サブファミリーA抗原およびサブファミリーB抗原の両方を含む組成物については、上清中のサブファミリーAタンパク質およびサブファミリーBタンパク質の個々の濃度を、イオン交換クロマトグラフィーにより決定した。サブファミリーAタンパク質およびサブファミリーBタンパク質の分離および溶出を、強力なアニオンカラムおよび高い塩濃度の溶出液を使用して実施した。サブファミリーAタンパク質およびサブファミリーBタンパク質の両方を、励起=280runおよび放射=310runに設定した蛍光検出器を使用して検出および定量化した。サブファミリーAタンパク質とサブファミリーBタンパク質とは、明確に異なる保持時間で溶出し、rLP2086タンパク質基準物質に対して得た検量線を使用して定量化した。パーセント非結合型タンパク質は、上清中の総タンパク質を、組成物に添加した総タンパク質で割り、100%を乗じることによって計算した。パーセント結合型タンパク質は、100%からパーセント非結合型タンパク質を減じることによって計算した。
【0111】
in vitroにおける効力アッセイ
rLP2086の効力アッセイは、rLP2086薬物物質の単一のタンパク質分子上の、立体構造性であり、オーバーラップしないエピトープを認識する2つの機能性モノクローナル抗体に依存する均一な捕捉アッセイまたはサンドイッチアッセイである。一方の精製モノクローナル抗体は、捕捉抗体(mAb)として働き、特有の色でコードされた識別子を有するカルボキシル化ポリスチレンビーズに化学的にコンジュゲートしている。第2の抗体は、ビオチン化されており、検出抗体として働き、続いて、この抗体に、蛍光体R−フィコエリトリンにコンジュゲートしているストレプトアビジン(SA−PE)が結合する。Bio−Plex検出装置の流体素子が、個々のマイクロスフェアおよびそれらに伴うSA−PEシグナルを定量化する。マイクロスフェアを伴うR−フィコエリトリンからの蛍光シグナルは、ビーズコンジュゲート抗体、抗原および検出抗体の間で三成分複合体が形成されることによってのみ検出されることになり、rLP2086試料中の機能性エピトープの数に比例することになる。一方または両方のエピトープが変化すると、基準標準物質に比して蛍光の喪失が生じ、このことは、効力の喪失を示すことになる。
試薬
モノクローナル抗体コンジュゲートマイクロスフェア(Luminex MicroPlex Microsphereのビーズ領域12番またはビーズ領域66番にコンジュゲートしている)。
ビオチン化モノクローナル抗体。
rLP2086基準物質、サブファミリーAおよびB、2mg/ml。−70℃で保存。
rLP2086サブファミリーAおよびBの二価の対照
ストレプトアビジン、R−フィコエリトリンにコンジュゲート、凍結乾燥
緩衝液
10mMヒスチジン、150mM NaCl、pH6.0
0.85%w/v生理食塩水中の5%w/vポリソルベート80(PS−80)。
マトリックス緩衝液(10mMヒスチジン、0.02%ポリソルベート80、150mM NaCl、pH6.0)。
アッセイ用緩衝液(0.1%BSA、0.02%ポリソルベート80、0.1%アジドを有するPBS、pH7.4)。
100×ストレプトアビジン、R−フィコエリトリンコンジュゲート(SA−PE)−凍結乾燥ストレプトアビジン、R−フィコエリトリンのバイアルを開け、1mLの蒸留水を添加する。完全に溶解するまでボルテックスした。
【0112】
手順
200μLのサブファミリーAタンパク質および200μLのサブファミリーBタンパク質を、600μLのマトリックス緩衝液に添加して、各サブファミリーの400μg/mlの濃度を得た。8つの濃度(3333〜1.5ng/mL)の検量線を、ストック溶液をアッセイ用緩衝液中に希釈することによって得た。
【0113】
200μLの二価の対照を、800μLのマトリックス緩衝液に添加して、各サブファミリーの400μg/mLの濃度を得た。100、50および12.5ng/mLの作業濃度を作製するために、400μg/mLのストックをアッセイ用緩衝液中で希釈した。100および12.5ng/mLはそれぞれ、高い対照および低い対照、すなわち、(CH)および(CL)を表した。
【0114】
試験試料を、マトリックス緩衝液中で400μg/mLの濃度に希釈した。100、50および12.5ng/mLの作業溶液を、400μg/mLのストックから調製した。
【0115】
アッセイ用緩衝液中の2×10
5ビーズ/mLのコンジュゲートビーズ濃度および30μg/mLの検出抗体濃度を使用した均質アッセイ用混合物を調製した。0.4mLの標準物質、対照、試料またはブランクを、2mLの96ウェルの深いウェルプレートに添加することによって、試料プレートを調製した。96ウェルのMultiScreen
HTS−BVフィルタープレートのフィルターを、100μLのアッセイ用緩衝液を添加することによってあらかじめ湿潤させ、次いで、この緩衝液を、真空吸引(vacuum suction)により、フィルターを通して吸引した。25μLの調製した均質アッセイ用混合物を、96ウェルのプレートに添加した。標準物質、対照、試料またはブランク溶液それぞれの25μLを、96ウェルのフィルタープレートの各ウェルに添加した。プレートを、室温で振とうしながら1時間インキュベートした。
【0116】
抗原と抗体とのインキュベーションの後に、緩衝液を、真空吸引(vacuum aspiration)により、フィルターを通して除去した。各ウェルのフィルターを、100μLのアッセイ用緩衝液を用いて3回洗浄し、続いて、真空吸引(vacuum aspiration)した。最終の洗浄の後、50μLの1×SA−PEを各ウェルに添加した。暗所において、タイター上で、室温で振とうしながら10分間プレートをインキュベートした。
【0117】
SA−PEとのインキュベーションの後に、75μLのアッセイ用緩衝液をプレートの各ウェルに添加して、125μLの総体積を得た。プレートを、Bio−Plex 200 System上で直ちに読み取った。
【0118】
血清殺菌力アッセイ
Charles River Canada(St.Constant、QC、カナダ)から得たNew Zealand Whiteウサギ、雌、2.5〜3.0kgを全細胞ELISAによりあらかじめスクリーニングして、2つの異なる髄膜炎菌株(それぞれのP2086サブファミリーから1つ)に対して低い反応性を示すウサギを同定した。これらのウサギは一般に、非常に低いバックグラウンドを有し、最も低い値を示すウサギを選択して、使用した。ウサギに、一価のrLP2086−A05ワクチン、一価のrLP2086−B01ワクチンまたは二価のrLP2086−A05+B01ワクチンのいずれかを用いて、0、4および9週目に筋肉内にワクチン接種した。それぞれの用量は、一価のワクチンについては100μgのタンパク質および二価のワクチンについては100μgの各タンパク質を含有し、10mMヒスチジン緩衝液、pH6.0、150mM NaCl、0.02%ポリソルベート80および250μgのAlPO
4中に製剤化した。ワクチンを、右後ろ足中に筋肉内注射した(0.5ml/投与)。対照として、ウサギの1つの群に、製剤用緩衝液単独を用いてワクチン接種した。免疫前(0週目)の血清試料および免疫された(10週目)血清試料を得て、解析した。動物プロトコールは全て、確立されたInstitutional Animal Care and Use Committeeの指針に忠実に従った。
【0119】
rLP2086ワクチンを用いて免疫化したウサギ中の血清殺菌性抗体を、ヒト補体を用いるSBAを使用して決定した。ウサギ免疫血清を、内因性の補体活性を除去するために熱不活性化し、続いて、96ウェルのマイクロタイタープレート中のCa2+およびMg2+を有するダルベッコPBS(D−PBS)中で1:2に段階希釈して、ナイセリア・メニンギティディス(N.meningitidis)株に対する血清殺菌活性について試験した。アッセイに使用する細菌は、ケロッグの補充物質を補充したGC培地(GCK)中で増殖させ、650nmにおける光学密度によりモニターした。細菌は、アッセイにおいて使用するために、0.50〜0.55の最終的なOD
650で採取し、D−PBS中に希釈し、1000〜3000CFUを、20%ヒト補体と共にアッセイ混合物に添加した。
【0120】
検出可能な殺菌活性を示さないヒト血清を、外来の補体供給源として使用した。補体供給源を、それぞれの個々の試験株に対する適切性について試験した。補体供給源は、免疫血清が添加されていない対照中で生存する細菌の数が>75%である場合のみに使用した。この研究に記載するSBAを実施するには、10種の特有の補体供給源が必要であった。
【0121】
5%CO
2下、37℃における30分間のインキュベーションの後、D−PBSを、反応混合物に添加し、一定分量を、50%GCK培地を充填したマイクロフィルタープレートに移した。マイクロフィルタープレートをろ過し、5%CO
2下、37℃で一晩インキュベートし、マイクロコロニーを染色し、定量化した。血清殺菌力価を、免疫血清を有さない対照ウェル中のCFUと比較して、CFUの50%の低下をもたらす補間した血清希釈度の逆数と定義した。SBA力価を、37℃における30分間のインキュベーションの後に細菌数の50%の低下を引き起こす補間した試験血清の希釈度の逆数と定義する。P2086免疫血清について、対応する免疫前血清と比較してSBA力価の4倍以上の上昇がある場合に、P2086免疫血清による死滅に対する感受性が確立された。検出限度は、ウサギ血清については、8の力価であった。アッセイ株に対して開始希釈度では陰性である血清には、アッセイについての検出限度の2分の1の力価(すなわち、ウサギについては4)を割り当てた。
【0122】
フローサイトメトリー
MnB細胞を、0.45〜0.55のOD
650まで増殖させ、続いて、1×PBS中の1%(v/v)パラホルムアルデヒド中に10分間固定した。100マイクロリットル/ウェルの細菌を、96ウェルのU底ポリスチレン製プレート中に蒔き、遠心沈殿させ、1×PBS中の1%(w/v)BSA中で1回洗浄した。抗LP2086モノクローナル抗体を、細菌ペレットに添加し、再懸濁し、氷上で30分間インキュベートした。1%BSA/PBS中での2回の洗浄の後、ビオチン化ヤギ抗マウスIgG(サブクラス1+2a+2b+3)(Jackson Immunoresearch)を、細胞ペレットに添加し、再懸濁し、氷上で30分間インキュベートした。細胞を、2回洗浄し、ストレプトアビジン−PE(BD Biosciences)中に再懸濁し、氷上で30分間インキュベートした。1%BSA/PBS中での2回の洗浄の後、細胞ペレットを、1%パラホルムアルデヒド中に再懸濁した。マウスIgGを、陰性対照として含めた。1ウェル当たり2万(20,000)個の事象を、BD LSR IIフローサイトメーター上で獲得し、FlowJo v7ソフトウエア(Treestar、Ashland、Oregon)を使用して解析した。対数のFSC対SSCのドットプロット中で、細菌細胞に関するゲーティング後の各試料について、PEチャネルの平均蛍光強度(MFI)を決定した。MFIが、対照のマウスIgGのMFIの3倍である場合に、MFIを陽性とみなした。
【0123】
(実施例2)
rLP2086タンパク質とポリソルベート80の結合
rLP2086タンパク質AおよびBのそれぞれに結合しているポリソルベート80の安定性を理解するために、200μg/mLサブファミリーAをアルミニウム(Al)と共に用いて製剤化したrLP2086試料および200μg/mLサブファミリーBを用いて製剤化した別のrLP2086試料の両方を、2〜8℃および25℃で保存し、それらのタンパク質およびポリソルベート80の含有量について5カ月後に試験した。また、プラセボ(タンパク質を有さない緩衝液+Al)についても解析した。プラセボ中のポリソルベート80の分布を、
図14に示し、一方、サブファミリーAタンパク質およびサブファミリーBタンパク質についてのポリソルベート80の分布をそれぞれ、
図15および
図16に示す。
図17に示すように、サブファミリーBについての相対効力(%)を、結合型モル比と比較した。
【0124】
結果
図14に示すように、総%ポリソルベート80と上清中の%ポリソルベート80とが同じであり(0.017%)、このことは、ポリソルベート80は、アルミニウムに結合することも、ペレット中に捕捉されることもなかったことを示している。さらに、ポリソルベート80は、2〜8℃および25℃の両方で5カ月後も安定であった。
【0125】
rLP2086サブファミリーA試料およびサブファミリーB試料の、結合型(ペレット)、非結合型(上清)および全体のポリソルベート80の分布をそれぞれ、
図15および
図16に示す。サブファミリーAについては、上清およびペレット中の%ポリソルベート80は、2〜8℃および25℃、5カ月目の時点においては変化がなかった。しかし、サブファミリーB試料については、25℃、5カ月目の時点において、ペレット中により多くのポリソルベート80が観察された。上清およびペレット中のポリソルベート80の2〜8℃と25℃とにおける異なる濃度にもかかわらず、両方のサブファミリーについて、正確な質量バランスが達成された。このマトリックスでは、rLP2086タンパク質はリン酸アルミニウムに100%結合するので、ペレットにおいて結び付いているポリソルベート80は、タンパク質分子に結合している可能性が最も高かった。
【0126】
タンパク質AおよびBの両方がポリソルベート80に結合したが、タンパク質Aの結合は、2〜8℃で保存した試料と25℃で保存した試料とで同じであり、タンパク質Bの結合は、2〜8℃で保存した試料と比較して、25℃で保存した試料ではほとんど2倍であった。サブファミリーBについての相対効力を、T
oおよび5カ月目の時点において、2〜8℃および25℃の両方で決定し、
図17に記載するように、サブファミリーBの相対効力は、結合型モル比に反比例する挙動を示すことが見出された。%効力は、T
0時の120から、5M/25℃においては16%に低下し、一方、結合型モル比は、同じ期間中に、5.3から13.9に増加した。
【0127】
(実施例3)
臨界モル比の研究
rLP2086の安定性に必要なポリソルベート80の臨界濃度を決定するために、表1に記載するように、200μg/mLおよび400μg/mLのサブファミリーAのみ、サブファミリーBのみ、ならびにサブファミリーAおよびBの両方を、異なるポリソルベート80の濃度と共に含有する40個のrLP2086製剤を調製した。各試料について、総タンパク質および結合型タンパク質、ならびに全体、上清およびペレットの%ポリソルベート80を、時間ゼロ(T
0)、14日目および1カ月目において、2〜8℃および25℃の両方で決定した。この研究から得られた結果を
図18〜
図24に示す。
【0128】
【表1】
【0129】
結果
上清、ペレットおよび全体のポリソルベート80の濃度を、リン酸アルミニウムを有するrLP2086製剤試料40個全てについて決定した。全体および結合型のモル比を、サブファミリーAおよびBの両方について決定したが、200μg/mLにおける0.005%ポリソルベート80(5.4のモル比)以下を含有する両方のサブファミリーについては、それぞれ
図18および
図19に示すように、全体のモル比と結合型モル比とが類似するように見える。しかし、0.0065%ポリソルベート80(7.0のモル比)以上を含有する試料については、サブファミリーBについての全体のモル比が、結合型モル比よりもはるかに高かった。また、
図20に記載するように、各400μg/mLにおけるサブファミリーA、サブファミリーBおよびサブファミリーA+Bについての全体のモル比と結合型モル比とについてのデータは、0.008%ポリソルベート80(8.6のモル比)以下を含有する製剤については同様に近かったが、0.017%ポリソルベート80(18.4のモル比)を含有する製剤については、全体のモル比が結合型モル比よりもはるかに高かった。
【0130】
(実施例4)
経時的なポリソルベート80の結合
上清およびペレット中のパーセント(%)ポリソルベート80を、AlPO
4を有するサブファミリーAおよびBの製剤試料について、T
0、14日目/25℃、1カ月目/4℃、および1カ月目/25℃において決定した。サブファミリーAおよびBの製剤試料の両方について、上清中の%ポリソルベート80は、2〜8℃で保存した試料については比較的同じであった。しかし、上清中の%ポリソルベート80は、25℃で保存した試料については、わずか14日後でさえ劇的に減少した。サブファミリーAおよびBの両方について、ペレット中の%ポリソルベート80は、T
0/5℃および1カ月目/5℃においては比較的類似していた。しかし、上清中の%ポリソルベートは、25℃で保存した試料、とりわけ、0.008%ポリソルベート80(8.6のモル比)以上を含有するサブファミリーBについては顕著に増加した。また、%ポリソルベート80を、上清およびペレット中で、AlPO
4を有するrLP2086サブファミリーAおよびBの製剤について、T
0、14日目/25℃、1カ月目/4℃、および1カ月目/25℃において決定した。
図21に示すように、ポリソルベート80の濃度は、0.008%を含有する試料については、4つの時点全てについておよそ同じであった。しかし、ポリソルベート80の濃度は、25℃で保存した、0.017%ポリソルベート80を含有する試料については増加した。ポリソルベート80は、0.008%以下のポリソルベート80を含有する試料の上清中には見出されなかった。
図22に示すように、結合型モル比は、0.008%以下のポリソルベート80を含有する試料については、4つの時点全てにおいて安定であった。しかし、結合型モル比は、25℃で保存した、0.017%ポリソルベート80を含有する試料については増加した。
【0131】
効力を、AlPO
4を有するサブファミリーAおよびBの製剤試料について、T
0および14日目/25℃において決定した(それぞれ、
図23および
図25)。
図23に記載するように、異なる全体のモル比におけるサブファミリーAについての効力は、5℃および25℃の両方において91〜102の範囲に及んだ。また、結合型モル比の結果も、いずれの温度においても比較的同じであったが、全体のモル比/結合型モル比が増加するにつれて、効力の軽微な増加が見られた。
【0132】
5℃の試料については、サブファミリーBについての効力は、9.0までの全体のモル比については約95%であった。しかし、全体のモル比が18.1に増加すると、サブファミリーBの効力は79%に減少した。さらに、18.1の全体のモル比を有する試料は、その他の試料と比較して、より高い結合型モル比を有した。25℃においては、全体のモル比が、5.3から18.1まで増加するにつれて、サブファミリーBの効力は83%から5%への顕著な低下を示した。結合型モル比の値は、25℃の試料については、全体のモル比が増加するにつれて、5.3から13.8まで増加した。したがって、サブファミリーBについての効力は、結合型モル比に反比例する。
【0133】
サブファミリーAタンパク質およびサブファミリーBタンパク質の両方が、ポリソルベート80に結合した。サブファミリーAの結合は、2〜8℃で保存した試料と25℃で保存した試料とで同じであったが、サブファミリーBの結合は、25℃で保存した試料では、ほとんど2倍であった。さらに、臨界モル比の研究から、200μg/mLの製剤試料は、0.008%以下のポリソルベート80を含有する場合に安定であることも示され、この濃度は、4.2以下の全体のモル比と同等である。
【0134】
(実施例5)
界面活性剤濃度とrLP2086サブファミリーB抗原の効力
ポリソルベート80の種々の濃度を伴う、さらなる安定性の研究により、効力を維持するためのポリソルベート80対タンパク質のモル比の臨界が裏付けられた。1つの実験では、免疫原性組成物を、200μgの投与量(400μg/mLの総タンパク質濃度)で、0.5mg/mLアルミニウム(リン酸アルミニウムとして)を有し、0.01%、0.02%、0.05%または0.1%のポリソルベート80(5.3、10.7、26.7および53.4のポリソルベート80対rLP2086タンパク質の対応するモル比)でスパイクした10mMヒスチジン緩衝溶液(HBS)中、pH6.3において製剤化した。製剤化した試料は、25℃でインキュベートし、対照試料は、2〜8℃で保存した。時間「0」においては、0.1%までのポリソルベート80の濃度では、効力の顕著な変化はなかった。しかし、より長い期間については、2〜8℃および25℃において、効力の低下が、温度およびポリソルベート80の濃度の関数として観察された。免疫原性組成物中のポリソルベート80の濃度を、0.01%から0.1%まで増加させると、安定性の3カ月目の時点で、25℃および2〜8℃においてそれぞれ、サブファミリーBタンパク質の効力が10%未満および25%に低下することが示された(
図1)。
【0135】
さらなる安定性の研究(
図2)を実施し、サブファミリーBタンパク質を、HBS中の4mg/mLの濃度で評価し、0.06、0.5および1%の最終濃度(3.3、26.7および53.4の対応するモル比)までポリソルベート80でスパイクした。対照は、0.09%ポリソルベート80を含有した。0.06%ポリソルベート80(3.3のモル比)中のサブファミリーBタンパク質は安定であった。ポリソルベート80を、濃度を0.5%および1%(それぞれ、26.7および53.4のモル比)に増加させて含有させた同じ試料は不安定であった。400μg/mLの免疫原性組成物製剤については、サブファミリーBタンパク質の不安定性が、0.01%(5.3のモル比)以上の濃度のポリソルベート80を含有する製剤全てにおいて認められた。しかし、4mg/mLタンパク質と0.06%ポリソルベート80との濃度においては、効力の低下はなかったが、これは、ポリソルベート80対タンパク質の比(3.3)が、400μg/mLタンパク質と0.01%ポリソルベート80との濃度における比(5.3のモル比)よりも低いことによる。したがって、ポリソルベート80によるサブファミリーBタンパク質の効力の低下は、ポリソルベート80界面活性剤対タンパク質のモル比に相関し、マトリックス中のポリソルベート80の絶対濃度には相関しなかった。
【0136】
したがって、ワクチン中の、および続いて2〜8℃で保存する間のサブファミリーBタンパク質の安定性を維持するためには、ポリソルベート80の濃度を、免疫原性組成物中では低下させなければならない。20および200μgの投与量において、ポリソルベート80の種々のモル比(0、1.1、2.7および5.3)を伴う免疫原性組成物について28日間の加速安定性の研究を設計した(
図3および
図4)。二価の(サブファミリーAとサブファミリーBとの)製剤を、10mMヒスチジン緩衝溶液、pH6.0、リン酸アルミニウムとしての0.5mg/mLアルミニウム中に、ポリソルベート80の種々の濃度を伴って調製した。2〜8℃の対照群と併せて、試料を25℃でインキュベートした。試料を効力について0、7、14および28日目に解析した。サブファミリーAタンパク質(データは図示せず)およびサブファミリーBタンパク質の両方が、5.3未満のポリソルベート80対タンパク質のモル比をもつ群全てについて安定であった。80%超の効力の値を、アッセイの変動性の範囲内にあるとみなす。5.3のモル比においては、サブファミリーBタンパク質の効力についての減少傾向を、25℃の試料について観察した。
【0137】
包括的な研究により、ポリソルベート80対タンパク質の種々のモル比を伴って製剤化した全ての予測される臨床投与量(20、60、120および200μgの投与量)を、加速保存安定性条件下で評価して、ポリソルベート80対タンパク質のモル比の、MnB rLP2086タンパク質の安定性に対する作用を調査した。およそ1.4〜10.7の範囲に及ぶポリソルベート80対タンパク質のモル比で製剤化した二価のMnB rLP2086免疫原性組成物を使用した。ポリソルベート80対タンパク質のモル比を(1.4、2.4、3.4、3.9、4.3、4.7および10.7に)増加させて製剤化した免疫原性組成物を生成するために、免疫原性組成物を製剤化する間に、さらなるポリソルベート80を必要としないように、ポリソルベート80を添加することによって、抗原を変動するモル比に対して調節した。この研究では、2セットの抗原のロットを使用した。一方のセットのサブファミリーAおよびBのロットは、1.4のポリソルベート80対タンパク質のモル比で生成し、他方は2.4に設定した。2.4のモル比を有するセットのタンパク質を使用して、さらなるポリソルベート80でスパイクすることによって、3.4、3.9、4.3および10.7のモル比を調節した。免疫原性組成物の最終的なマトリックスは、10mMヒスチジン、150mM NaCl、pH6.0、0.5mg/mLリン酸アルミニウムであり、上記で言及したポリソルベート80対タンパク質のモル比を有した。2〜8℃または25℃における特定の期間にわたる保存の後、試験の24時間前に、ロッカーを用いて穏やかな混合を適用した。IEX−HPLCによる総タンパク質、効力、外観、上清画分の320nmにおける光学密度、およびpHを試験した。
【0138】
200および20μgの用量の効力の結果をそれぞれ、
図5および
図6に示す。効力アッセイは、研究で使用したその他の試験よりも感度がよかった。全体的に、サブファミリーA抗原またはサブファミリーB抗原のいずれについても、4.3以下のモル比を有する全ての投与量については、最初の時点と比較して、効力の顕著な低下は観察されなかった。25℃で保存したサブファミリーBタンパク質については、4.7のモル比を有する製剤を、効力の軽微な低下に起因して限界であるとみなした。10.7のモル比の製剤については、サブファミリーB抗原についての効力の結果は、25℃で保存した試料の場合、2〜8℃で保存した試料よりも顕著に低かった。
【0139】
(実施例6)
アルミニウム濃度とrLP2086サブファミリーA抗原およびB抗原の効力
いくつかの実験を実施して、サブファミリーAタンパク質およびサブファミリーBタンパク質の両方の95%超の結合を確保するのに最適なリン酸アルミニウムのレベルを決定した。最初の研究は、pH6.5における製剤化の最適化に焦点を合わせた。製剤を、サブファミリーAタンパク質およびサブファミリーBタンパク質に由来するそれぞれのタンパク質の200μg/mLを標的投与量として、0.02%ポリソルベート80および0.25mg/mLまたは0.5mg/mLのいずれかのアルミニウム(リン酸アルミニウムとして)を有するpH6.5の10mMヒスチジン緩衝液中に調製した。サブファミリーBタンパク質は、サブファミリーAタンパク質よりも低い程度でリン酸アルミニウムに結合した(
図7)。アルミニウム含有量を0.25mg/mLから0.5mg/mLに増加させると、サブファミリーBタンパク質の結合が、>80%に増加した。タンパク質とアルミニウム懸濁液との間の結合機構が大部分はイオン性の相互作用であることから、懸濁液のpHが、結合に影響を及ぼす要因である。
【0140】
製剤のpHを、サブファミリーBタンパク質の90〜95%超の結合を確保するように最適化した。異なるロットの免疫原性組成物を用いた、Aタンパク質およびBタンパク質のそれぞれが200μg/mLであり、5.6〜6.5の範囲に及ぶpHを有する複数の製剤について調べた(
図8)。両方のタンパク質の90〜95%超の結合が、5.6〜6.4の範囲に及ぶpHを有する製剤において生じた。製剤のpHを6.5以上に増加させると、サブファミリーBタンパク質の結合が顕著に低下した。サブファミリーAタンパク質およびサブファミリーBタンパク質の両方の90%超の結合を確保するために推奨される標的pHは6.0である。
【0141】
また、pH、緩衝液、タンパク質およびポリソルベート80の濃度を変化させることによる製剤化の変数および/または限界下での製剤のロバスト性も評価した(
図9)。サブファミリーAタンパク質の結合は、総タンパク質濃度が500μg/mL(各タンパク質250μg/mL)までは、一貫して高かった(≧95%)が、サブファミリーBタンパク質の結合は、タンパク質濃度およびpHに対してより感受性を示した。市販の製剤は、200μgの投与量で使用されるので、この実験から得られた結果により、0.5mg/mLリン酸アルミニウムを用いた6.0のpHにおける製剤化の推奨がさらに支持される。
【0142】
リン酸アルミニウムを有する製剤とリン酸アルミニウムを有さない製剤とを評価して、サブファミリーBタンパク質の安定性のために十分低いポリソルベート80の濃度で、リン酸アルミニウムを有さない安定な製剤を提供することの実現可能性を調査した。免疫原性組成物を、20および200μgの投与量で、0〜5.3のモル比の範囲に及ぶポリソルベート80の濃度を有するヒスチジン緩衝溶液の緩衝液中に製剤化した。試料の半分を、パルスモード(2秒間のオンおよび1秒間のオフ)下で500rpmに設定したデジタル複数チューブ型ボルテックスミキサーを用いて、試験の前に24時間撹拌した。この条件を採用して、輸送条件の間の極度の振動を模倣するために、最終的な免疫原性組成物の出荷包装段階において典型的に実施されるISTA試験(国際安全輸送協会)をシミュレートした。
【0143】
撹拌すると、リン酸アルミニウムを有さない製剤は沈殿し、沈殿により最終的には、サブファミリーA抗原およびB抗原の両方の効力の喪失に至った。外観試験(
図10)およびλ=320nmにおける吸光度の測定(
図11)から、リン酸アルミニウムを有さない製剤を撹拌すると、凝集体および/または沈殿物が形成されることが示された。これらの試料の効力試験(
図12および
図13)から、試験した時点全てにおいて、サブファミリーAタンパク質およびBタンパク質の両方について、効力の顕著な喪失が示された。低い量のポリソルベート80を含有する製剤において、効力の喪失が最も著しかった。低い量のポリソルベート80は、サブファミリーBタンパク質の安定化を維持するのに必要であることから、安定性を保つには、製剤中にリン酸アルミニウムを含めることが必要である。rLP2086免疫原性組成物は、リン酸アルミニウムと共に製剤化することができ、リン酸アルミニウムは、in vitroにおける効力アッセイにより測定されるように効力の安定性を増強するように働くであろう。
【0144】
(実施例7)
緩衝剤としてのコハク酸塩およびヒスチジン
一連の製剤を調製して、コハク酸塩中とヒスチジン中とで、rLP2086サブファミリーAタンパク質およびBタンパク質の結合、ならびにpH、ポリソルベート80およびMgCl2の結合に対する作用を比較した(表2)。pH、緩衝液、タンパク質およびポリソルベートの濃度を変化させることによる製剤化の変数および/または限界下での製剤のロバスト性を評価した(
図25および26)。アルミニウムとサブファミリーAタンパク質およびサブファミリーBタンパク質の結合は、使用した緩衝液(ヒスチジンまたはコハク酸)にかかわらず類似していた。
【0145】
【表2】
【0146】
緩衝塩および混合時間の、アルミニウムの結合に対する作用を、3つの一般に使用されている緩衝塩を用いて評価し、これらの緩衝塩は、それらのpKaが生理的な範囲内にあり、これらの塩が一般に安全であるとみなされていることから選ばれた。rLP2086サブファミリーAタンパク質およびBタンパク質を、3つの緩衝塩、すなわち、5mMコハク酸塩、10mMヒスチジンまたは10mMリン酸塩のうちの1つと共に、それぞれの塩のpKaに適しているpHで製剤化して、それぞれの条件における結合の程度を決定した。結合が完了に達するのに必要な時間を、試料を5分または120分のいずれかの間混合させてから、結合したタンパク質の量を測定することによって評価した。
【0147】
図27に示すように、サブファミリーBタンパク質は、リン酸緩衝液中、pH6.8において結合の低下を示し、一方、サブファミリーAタンパク質は、同じ条件において顕著な影響は受けなかった。アルミニウムに結合したタンパク質の量は、ヒスチジンと共に製剤化した試料またはコハク酸塩と共に製剤化した試料で類似していた。したがって、これら2つの緩衝塩を選んで、さらに評価した。理論に縛られる意図はないが、リン酸緩衝液中の結合の低下は、AlPO
4上の結合部位についての、添加されたリン酸イオンとの競合から生じる可能性がある。
【0148】
これらの条件、ならびにタンパク質およびAlPO
4の濃度では、結合は、室温での5分間の混合の後に完了し、類似の結果が、2時間の混合の後にも得られた。
【0149】
リン酸緩衝液中、pH6.8におけるサブファミリーBタンパク質の結合の低下がpHまたは緩衝塩間の差に起因するかどうかをさらに調べるために、ヒスチジン緩衝製剤またはコハク酸緩衝製剤のいずれかの中で、5.3〜7.0のpH範囲にわたり、結合を測定した。0.2mg/mLの各サブファミリータンパク質(0.4mg/mLの総タンパク質)、0.02%PS80、0.5mgのAl/mLおよび150mM NaClを含有する二価の製剤を調製した。試料を10mMヒスチジンまたは5mMコハク酸塩のいずれかの中に製剤化して、緩衝塩の作用を比較した。製剤化の後、各試料のpHを個々に検証した。
【0150】
pH5.3〜7.0の結合プロファイルを、サブファミリーAタンパク質については
図28に、サブファミリーBタンパク質については
図29に示す。サブファミリーAタンパク質は、結合したタンパク質の量の変化をほとんど示さず、試験したpH範囲にわたり、95%超の結合を維持した。標的pHが7.0である、ヒスチジンを含有する製剤からは、6.8のpHが生じた。タンパク質またはAlPO
4に対して起こり得る作用を回避するために、pHの7.0への(例えば、塩基の添加による)調節は行なわず、したがって、このデータポイントについての結果は利用できない。
【0151】
サブファミリーBタンパク質の結合プロファイル(
図29に示す)は、pH依存性の傾向を示した。しかし、結合を、ヒスチジン緩衝製剤中で実施した場合であっても、コハク酸緩衝製剤中で実施した場合であっても、アルミニウムに結合したタンパク質の量は類似していた。結合は、緩衝塩ではなく、製剤のpHに依存した。結合は、pH6.5までは95%(ヒスチジン中では94%、コハク酸塩中では95%)で維持されたが、pHが6.5超になると減少した。pH7.0では、結合が約82%まで減少し、緩衝塩間で小さな差が生じた。
【0152】
これらの濃度におけるサブファミリーBタンパク質のAlPO
4とのロバストな結合を得るためには、6.5以下のpHが好ましい。
【0153】
(実施例8)
安全性、耐容性および免疫原性の研究
0および2カ月目の投与;0、2および6カ月目の投与;0および2カ月目の投与、続いて、12カ月目の追加免疫の投与のいずれかの投与計画に従って、研究を実施して、健常な思春期の集団において、投与したrLP2086ワクチンの安全性、耐容性および免疫原性を評価した。
【0154】
免疫原性組成物は、rLP2086ワクチン(脂質が付加されている組換え体)である。免疫原性組成物は、大腸菌(Escherichia coli)中に発現させたナイセリア・メニンギティディス(N.meningitidis)血清群B組換えORF2086タンパク質を含み、rLP2086の1つのサブファミリーA株および1つのサブファミリーB株から構成される二価のワクチンとして製剤化されている。特に、免疫原性組成物は、それぞれ60μg、120μgまたは200μgの精製サブファミリーA rLP2086タンパク質および精製サブファミリーB rLP2086タンパク質、2.8のモル比のポリソルベート80ならびにAlPO
4として、0.25mgのAl
3+、pH6.0の10mMヒスチジン緩衝溶液を含有するように製剤化した0.5mL用量である。対照の組成物は、0.5mL用量中に、生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)を含む。
【0155】
対象を、5群に無作為に帰属させる。表3を参照されたい。対象を、2つの年齢群、すなわち、≧11歳〜<14歳、および≧14歳〜<19歳に階層化する。
【0156】
【表3】
【0157】
生理食塩水を、プラセボとして使用するが、これは、活性な対照として働くことができる、安全で、免疫原性を示し、かつ有効な、実績のあるMnBに対するワクチンがないことによる。
【0158】
表3に従って、ワクチン接種の各来診(例えば、来診1、2、4および6)時に、対象は、1回用量のrLP2086ワクチンまたは生理食塩水の投与を受ける。標準的なワクチン接種の慣行を順守し、ワクチンは血管内には注射しない。rLP2086ワクチンを、上部三角筋内に0.5mLを注射することによって筋肉内投与する。生理食塩水を、上部三角筋内に筋肉内投与する。
A.来診1
来診1、1日目、ワクチン接種1の際に、対象は、最初に採血され、次いで、ワクチン接種を受ける。来診1の採血およびワクチン接種1は、同日に行う。ワクチン接種の前に、血液試料(およそ20mL)を、対象から収集する。群1、2、3および4に無作為化した対象については、rLP2086ワクチンの単回の0.5mLの筋肉内注射を、上部三角筋内に投与する。群5の対象については、生理食塩水の単回の0.5mLの筋肉内注射を、上部三角筋内に投与する。
B.来診2(来診1の42〜70日後)、ワクチン接種2
群1、2および3については、rLP2086ワクチンの単回の0.5mLの筋肉内注射を、上部三角筋内に投与する。群4および5については、生理食塩水の単回の0.5mLの筋肉内注射を、上部三角筋内に投与する。
C.来診3(来診2の28〜42日後)、ワクチン接種2後の採血
血液試料(およそ20mL)を、対象から収集する。
D.来診4(来診2の105〜126日後)、ワクチン接種3
群2、4および5については、rLP2086ワクチンの単回の0.5mLの筋肉内注射を、上部三角筋内に投与する。群1および3については、生理食塩水の単回の0.5mLの筋肉内注射を、上部三角筋内に投与する。
E.来診5(来診4の28〜42日後)、ワクチン接種3後の採血
血液試料(およそ20mL)を、対象から収集する。
F.来診6(来診4の161〜175日後)、ワクチン接種4
来診6時に、対象は、最初に採血され、次いで、ワクチン接種を受ける。来診6の採血およびワクチン接種4は、同日に行う。ワクチン接種の前に、血液試料(およそ20mL)を、対象から収集する。群3および5については、rLP2086ワクチンの単回の0.5mLの筋肉内注射を、上部三角筋内に投与する。群1、2および4の対象については、生理食塩水の単回の0.5mLの筋肉内注射を、上部三角筋内に投与する。
G.来診7(来診6の28〜42日後)、ワクチン接種4後の採血
血液試料(およそ20mL)を、対象から収集する。
【0159】
免疫原性の結果
この研究の主要な目標は、LP2086サブファミリーAタンパク質およびLP2086サブファミリーBタンパク質を発現するMnB株を用いて実施するSBAにより測定する場合の60μg、120μgおよび200μgのrLP2086ワクチンの免疫原性を評価することであった。
【0160】
この研究の副次的な目標は、rLP2086ワクチンのサブファミリーAタンパク質およびサブファミリーBタンパク質とIgの結合の定量化により決定する場合の60μg、120μgおよび200μgのrLP2086ワクチンの免疫原性を評価することであった。
【0161】
表4に示すように、SBA活性を、3つのサブファミリーA株および3つのサブファミリーB株を使用して評価した。
【0162】
【表4】
【0163】
規定したレベルに達する力価を示した対象の比率を、表5に示す。両方のサブファミリーについて、規定したSBA力価のレベルを達成した対象の比率は、投与2の後においてよりも、投与3の後においての方が多かった。
【0164】
【表5-1】
【0165】
【表5-2】
【0166】
【表5-3】
【0167】
【表5-4】
【0168】
免疫原性データから、ワクチンは、MnBのサブファミリーA株およびサブファミリーB株に対して顕著なSBA活性を有する抗体を生成することができることが示されている。サブファミリーA株2については、投与2の後、SBA応答率は、88.9%〜90.9%の範囲に及び、投与3の後、SBA応答率は、90.0%〜97.4%の範囲に及んだ。サブファミリーA株1の変異体については、投与2および投与3の両方の後、100.0%の対象が、60μgおよび120μgの両方の用量レベルにおいて、この変異体に対するSBA応答を示した。200μgの用量レベルにおいては、投与2および投与3の後にそれぞれ、対象の96.5%および99.0%がSBA応答を示した。サブファミリーA株1の変異体については、SBA応答率は、投与2の後には85.0%〜96.3%および投与3の後には95.2%〜97.4%の範囲に及んだ。
【0169】
サブファミリーB株1の変異体については、投与2の後、SBA応答率は、76.2%〜81.0%の範囲に及び、投与3の後、SBA応答率は、89.5%〜92.0%の範囲に及んだ。サブファミリーB株2の変異体については、投与2の後、SBA応答率を有する対象のパーセントは、21.1%〜33.3%の範囲に及んだ。しかし、第3の投与の後、60μg、120μgおよび200μgの用量レベルにおいてそれぞれ、対象の53.3%、75.6%および67.9%がSBA応答を示した。サブファミリーB株3の変異体については、SBA応答率は、投与2の後には61.9%〜70.8%および投与3の後には76.2%〜88.7%の範囲に及んだ。
【0170】
全体的に、試験したのがサブファミリーA株であるかまたはサブファミリーB株であるかにかかわりなく、高い比率の対象が、≧LLOQのSBA力価で応答した。hSBAデータは、60μg〜200μgの用量において、ロバストな免疫応答を示したが、明確な用量応答関係はなかった。応答の頻度は、調べた解析方法にかかわりなく、120μgの群の数値が最も高かった。200μgの群は、120μgの用量レベルを上回る免疫応答の改善を示さなかった。