特許第5945555号(P5945555)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945555
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】自動車及び自動車の制御方法
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/02 20060101AFI20160621BHJP
   B60W 10/18 20120101ALI20160621BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20160621BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20160621BHJP
   B60K 6/54 20071001ALI20160621BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20160621BHJP
   B60T 1/06 20060101ALI20160621BHJP
   F16H 61/26 20060101ALI20160621BHJP
   F16H 63/34 20060101ALI20160621BHJP
   F16H 61/02 20060101ALI20160621BHJP
   F16H 59/74 20060101ALI20160621BHJP
   F16H 61/22 20060101ALI20160621BHJP
   B60W 10/04 20060101ALI20160621BHJP
   B60W 10/00 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   F02D29/02 321A
   B60W10/18 900
   B60W10/06 900
   B60W20/00 900
   B60K6/54ZHV
   B60T7/12 A
   B60T1/06 G
   F16H61/26
   F16H63/34
   F16H61/02
   F16H59/74
   F16H61/22
   F02D29/02 321B
   F02D29/02 321C
   B60W10/00 120
   B60W10/00 148
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-558417(P2013-558417)
(86)(22)【出願日】2012年3月14日
(65)【公表番号】特表2014-515799(P2014-515799A)
(43)【公表日】2014年7月3日
(86)【国際出願番号】EP2012054440
(87)【国際公開番号】WO2012123483
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2013年9月12日
(31)【優先権主張番号】1104334.6
(32)【優先日】2011年3月15日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513208973
【氏名又は名称】ジャガー・ランド・ローバー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JAGUAR LAND ROVER LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】バティスト・ビューロー
(72)【発明者】
【氏名】アジェイ・ケムウォル−ニール
(72)【発明者】
【氏名】アダム・キース・レザーランド
(72)【発明者】
【氏名】ロブ・パリン
【審査官】 戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−143875(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/046273(WO,A1)
【文献】 特表2008−500217(JP,A)
【文献】 特開平11−321629(JP,A)
【文献】 特開2001−164957(JP,A)
【文献】 特開2008−116002(JP,A)
【文献】 特開2010−208462(JP,A)
【文献】 特開2004−249992(JP,A)
【文献】 特開2000−008905(JP,A)
【文献】 特表2006−520301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 29/02
B60K 6/54
B60T 1/06
B60T 7/12
B60W 10/00
B60W 10/04
B60W 10/06
B60W 10/18
B60W 20/00
F16H 59/74
F16H 61/02
F16H 61/22
F16H 61/26
F16H 63/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に動力を供給するように動作可能な動力供給手段を備える自動車であって、自動車は、ドライブサイクル中、動力供給手段を自動的にオフに切り換え、その後、動力供給手段を再始動させるように動作可能であり、これにより、あるドライブサイクル中に動力供給手段がオンである時間を減らし、
前記自動車は、ドライバーが操作するブレーキ手段を備え、該ブレーキ手段は、自動車を減速するためにドライバーが操作可能である第1ブレーキと、自動車が無人の場合に自動車を静止状態に保持するためにドライバーによって操作可能な駐車ブレーキからなる第2ブレーキとを備え、
前記自動車は、前記第1ブレーキによっていわゆるエコ停止状態に置かれ得、該エコ停止状態において自動車は静止状態に保持され、かつ前記動力供給手段はオフであり、前記自動車は、いわゆるエコ始動状態を自動的に実行するように動作可能であり、該エコ始動状態において自動車が前記第1ブレーキの解放の信号を送信した場合、前記動力供給手段が再始動され、
エコ始動状態が実行される場合、動力供給手段が再始動されるのに対し、自動車は、静止状態に自動的に保持され続けるように構成され、動力供給手段が自動車を再始動できなかったら、自動車は、始動失敗状態を自動的にとるように構成され、該始動失敗状態において自動車は静止状態に保持され続け
記エコ停止状態において、前記自動車は第1ブレーキにより静止状態に自動的に保持され、かつ、前記始動失敗状態において、前記自動車は、該自動車のトランスミッションを駐車モードに置くか、及び/又は、前記第2ブレーキを自動的にかけることにより、静止状態に自動的に保持される自動車。
【請求項2】
前記駐車モードにおいて、前記自動車は、前記トランスミッションを駐車モードに置くことにより、静止状態に保持されるように構成され、前記トランスミッションは、少なくとも一つのピン要素を備える駐車モードブレーキ手段を含み、該ピン要素は前記トランスミッションをロックするように動作可能であり、これにより、自動車の少なくとも一つの車輪の回転を防ぐ請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
前記始動失敗状態において、前記自動車は、前記駐車ブレーキと該自動車のトランスミッションを駐車モードに自動的に置くこととの両方により、静止状態に保持される請求項1又は2に記載の自動車。
【請求項4】
前記始動失敗状態は、動力供給手段が所定の時間内に始動しなかった場合にとられる請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車。
【請求項5】
前記所定の時間は、第1ブレーキの最大許容保持時間未満である請求項4に記載の自動車。
【請求項6】
前記自動車は、自動車が斜面の登りに対面している場合にのみ始動失敗状態をとるように構成される請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動車。
【請求項7】
前記自動車は、自動車が斜面の下りに対面している場合にのみ始動失敗状態をとるように構成される請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動車。
【請求項8】
始動失敗状態を無視し、これにより自動車が移動することを許容するように動作可能である請求項1〜7のいずれか1項に記載の自動車。
【請求項9】
前記動力供給手段はエンジンを備え、自動車は、ドライバーが操作するブレーキ手段によってエコ停止状態で保持されるように構成され、エコ停止状態において自動車は静止状態でありかつエンジンはオフであり、自動車は、前記ブレーキ手段の解放を信号を送信した場合、エンジンを自動的に再始動させるように動作可能である請求項1〜8のいずれか1項に記載の自動車。
【請求項10】
自動車の動作パラメータの一つ又は複数の値を低減するため、ドライブサイクル中に動力供給手段を自動的にオフに切り換え、その後、動力供給手段を再始動させるように動作可能である請求項1〜9のいずれか1項に記載の自動車。
【請求項11】
前記自動車の動作パラメータの一つ又は複数は、エンジンによる燃料消費率、及びエンジンが放出する一つ又は複数の気体の量から選択される請求項9に従属する請求項10に記載の自動車。
【請求項12】
前記自動車の動作パラメータの一つ又は複数は、エンジンが放出する一つ又は複数の気体の量を含み、該一つ又は複数の気体は、二酸化炭素、亜酸化窒素及び二酸化硫黄から選択される少なくとも一つを含む請求項10又は11に記載の自動車。
【請求項13】
前記自動車は、ハイブリッド電気自動車(HEV)であり、ハイブリッド電気自動車において前記動力供給手段は、エンジン及び電気機械を含む請求項1〜12のいずれか1項に記載の自動車。
【請求項14】
並列HEVモードで動作可能であり、並列HEVモードにおいて、エンジン及び電気機械は自動車を並列に駆動するために動力トルクを並列に供給する請求項13に記載の自動車。
【請求項15】
直列HEVモードで動作可能であり、直列HEVモードにおいて、電気機械を駆動するためにエンジンは電力を発生させ、これにより、自動車に動力トルクを供給する請求項13又は14に記載の自動車。
【請求項16】
自動車に動力を供給するように動作可能な動力供給手段を有する自動車を制御する方法であって、
該方法は、自動車がエコ停止状態を自動的にとるように制御する工程を含み、該工程において動力供給手段は燃料消費を低減するためにオフに切り換えられ、
該方法は、自動車を減速するためにドライバーによって操作可能な第1ブレーキによりエコ停止状態で自動車を静止状態に保持する工程と、エコ始動を実行するように自動車を制御する工程とを更に含み、前記エコ始動において動力供給手段は、自動車が前記第1ブレーキの解放の信号を送信した場合、再始動され、
動力供給手段が再始動しなかった場合において、該方法は、前記自動車のトランスミッションを駐車モードに置くか、及び/又は、自動車が無人の場合に自動車を静止状態に保持するためにドライバーによって操作可能な駐車ブレーキからなる第2ブレーキを自動的にかけることにより、自動車が、該自動車を実質上無期限に静止状態に自動的に保持し続けるように制御する工程を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車及び自動車の制御方法に関する。特に、限定はしないが、本発明は、エンジン始動に失敗した場合の停止/始動自動車及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ドライバーが操作するブレーキペダルが押し下げられて自動車が静止状態に保持される場合等のように状況が許容する時、燃料を節約するために自動車のエンジンがオフに切り換えられる停止/始動機能を有する自動車を提供することは知られている。ドライバーがブレーキペダルを解放すると、エンジンは再始動され、自動車の動力伝達経路はトランスミッションを介してエンジンにより駆動される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
斜面上で登りに対面していて車両が静止状態に保持されている際、ブレーキペダルが解放されてもエンジンが再始動しない場合、自動車は斜面を後方に転がり落ちるかもしれないといった問題が存在する。本発明の実施形態の目的は、既知の停止/始動自動車のこの欠点を少なくとも部分的に軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1側面において、自動車に動力を供給するように動作可能な動力供給手段を備える自動車であって、自動車は、ドライブサイクル中、動力供給手段を自動的にオフに切り換え、その後、動力供給手段を再始動させるように動作可能であり、これにより、あるドライブサイクル中に動力供給手段がオンである時間を減らし、前記自動車は、ドライバーが操作するブレーキ手段を備え、該ブレーキ手段は、自動車を減速するためにドライバーが操作可能である第1ブレーキと、自動車が無人の場合に自動車を静止状態に保持するためにドライバーによって操作可能な駐車ブレーキからなる第2ブレーキとを備え、
前記自動車は、前記第1ブレーキによっていわゆるエコ停止状態に置かれ得、該エコ停止状態において自動車は静止状態に保持され、かつ前記動力供給手段はオフであり、前記自動車は、いわゆるエコ始動状態を自動的に実行するように動作可能であり、該エコ始動状態において自動車が前記第1ブレーキの解放の信号を送信した場合、前記動力供給手段が再始動されエコ始動状態が実行される場合、動力供給手段が再始動されるのに対し、自動車は、静止状態に自動的に保持され続けるように構成され、動力供給手段自動車を再始動できなかった、自動車は、始動失敗状態を自動的にとるように構成され、該始動失敗状態において自動車は静止状態に保持され続け、前記エコ停止状態において、前記自動車は第1ブレーキにより静止状態に自動的に保持され、かつ、前記始動失敗状態において、前記自動車は、該自動車のトランスミッションを駐車モードに置くか、及び/又は、前記第2ブレーキを自動的にかけることにより、静止状態に自動的に保持される自動車が提供される。
【0005】
「アクチュエータ手段」は、限定はしないが、動力を自動車に供給するための装置又は機器、例えば、原動機、燃焼エンジン、電気機械(電動機)等を意味する。本発明の実施形態は、次の利点を有する。すなわち、自動車がエコ停止状態でアクチュエータ手段が再始動しなかった場合、自動車は後方へは転がらない。
【0006】
実質上無期限という言葉は、始動失敗状態において、アクチュエータ手段が始動しなかったという事実が自動車を静止状態に保持し続けることに対して影響しないということを意味するということが理解されるべきである。そのため、自動車の静止状態の保持はアクチュエータ手段の再始動に依存しない。
【0007】
例えば、アクチュエータ手段がエンジンを含み、継続するブレーキの効き目に対してエンジンに頼っているブレーキ手段により自動車が始動失敗状態で静止状態に保持されている場合、該ブレーキは、ある時間後にそれらの効き目を失うであろう。例えば、ドライバーが操作するブレーキが時間と共に低下するブレーキ真空レベルの維持に依存する場合、ブレーキ真空レベルがエンジン駆動真空ポンプの動作に依存するなら、ブレーキの効き目は低下するであろう。
【0008】
本発明の実施形態は、次の利点を有する。すなわち、自動車が実質上無期限に静止状態に保持されるよう構成されるため、エンジンが維持するブレーキ手段の失敗のために自動車がロールアウエイ(転がること)を被るリスクは低減する。
【0009】
ある実施形態において、燃料消費、エンジンが放出する一つ又は複数の気体の量、及び電気機械/電気モータが消費する電流の量から選択される少なくとも一つを低減するために、アクチュエータ手段がエコ停止状態においてオフに切り換えられることが理解されるべきである。
【0010】
本発明の実施形態は、次の利点を有する。すなわち、エンジンがエコ停止状態にある際にもしエンジンが再始動しなかったら、自動車は斜面にある際に後方又は前方に移動しない。
【0011】
有利には、始動失敗状態において、自動車はブレーキ手段により自動的に静止状態に保持される。
【0012】
ブレーキ手段は、第1ブレーキ及び第2ブレーキを備え得る。第1ブレーキは、自動車を減速するためにドライバーによって操作可能である。第2ブレーキは、自動車に無人の場合に自動車を静止状態に保持するためにドライバーによって操作可能な駐車(パーキング)ブレーキを含む。
【0013】
随意的に、エコ停止状態において、自動車は、第1ブレーキにより自動的に静止状態に保持される。
【0014】
更に随意的に、始動失敗状態において、自動車は、第2ブレーキにより自動車を静止状態に自動的に保持するように構成される。
【0015】
この特徴は次の利点を有する。すなわち、自動車は、始動に失敗した場合、下り坂を転がることなく、ドライバーが付き添っていない状態で自動車が放置され得る状況に自動的に置かれる。
【0016】
ある実施形態において、自動車は、駐車モードを有するトランスミッションを備える。駐車モードにおいて、自動車の移動を防止するために駐車モードブレーキ手段が適用される。ここで、始動失敗状態にある場合、自動車は、駐車モードを自動的にとるようにトランスミッションを制御することにより、自動車を静止状態に保持し続ける。
【0017】
駐車モードブレーキ手段は、トランスミッションをロックするように動作する少なくとも一つのピン要素を備え得る。トランスミッションのロックにより、自動車の少なくとも一つの車輪の回転を防止する。
【0018】
随意的に、アクチュエータ手段が所定の時間内に始動しなかった場合、始動失敗状態がとられる。
【0019】
上記所定の時間は、第1ブレーキの最大許容保持時間未満であり得る。
【0020】
この特徴は次の利点を有する。すなわち、第1ブレーキによりエコ停止状態で自動車が静止状態に保持され、かつ第1ブレーキ以外の手段、例えば第2ブレーキ又は駐車モードブレーキ手段等により始動失敗状態で自動車が静止状態に保持される場合、エコ停止モードにある自動車が後方に転がるリスクが低減する。
【0021】
例えば、第1ブレーキがエンジン駆動ポンプ等に頼っていて、かつ、エンジンがオフの際に第1ブレーキの有効性(効き目)が時間と共に低下する場合、自動車が後方に転がるリスクが存在し得る。
【0022】
上記時間は、自動車を静止状態に保持するために第1ブレーキが生じさせている圧力の量に反応(応答)し得る。
【0023】
随意的に、自動車は、自動車が斜面の登りに対面している場合にのみ始動失敗状態をとるように構成される。
【0024】
あるいは、自動車は、自動車が斜面の下りに対面している場合にのみ始動失敗状態をとるように構成される。
【0025】
自動車は、始動失敗状態を無視し、これにより、自動車が移動することを許容するように動作可能であり得る。
【0026】
この特徴は次の利点を有する。エンジン始動が失敗した後、例えば牽引により、自動車が安全な場所に移動させられ得る。
【0027】
ある実施形態において、アクチュエータ手段はエンジンを備える。自動車は、ドライバーが操作するブレーキ手段によってエコ停止状態に保持されるように構成される。エコ停止状態において、自動車は静止状態にありかつエンジンはオフである。自動車は、ドライバーがブレーキ手段の解放の信号を送信した時にエンジンを自動的に再始動するように動作可能である。
【0028】
自動車の一つ又は複数の動作パラメータの値を低減するため、自動車は、ドライブサイク中、自動的にオフに切り換わり、その後、アクチュエータ手段を再始動するように動作可能であり得る。
【0029】
随意的に、自動車の一つ又は複数の動作パラメータは、エンジンによる燃料の消費率、及びエンジンが放出する一つ又は複数の気体の量から選択される。
【0030】
更に随意的には、一つ又は複数の動作パラメータは、エンジンが放出する一つ又は複数の気体の量を含む。該一つ又は複数の気体は、二酸化炭素、亜酸化窒素及び二酸化硫黄から選択される少なくとも一つを含む。
【0031】
随意的に、自動車はハイブリッド電気自動車(HEV)であり、該HEVにおいてアクチュエータ手段はエンジン及び電気機械を含む。
【0032】
自動車は、並列HEVモードで動作可能であり得る。並列HEVモードにおいて、エンジン及び電気機械は動力トルクを自動車を駆動するために動力トルクを並列に供給する。
【0033】
代替的に又は付加的に、自動車は、直列HEVモードで動作可能であり得る。直列HEVモードにおいて、電気機械を駆動し、これにより自動車に動力トルクを供給するため、エンジンが電力を発生させる。
【0034】
本発明の第2の側面において、自動車に動力を供給するように動作可能な動力供給手段を有する自動車を制御する方法であって、該方法は、自動車がエコ停止状態を自動的にとるように制御する工程を含み、該工程において動力供給手段は燃料消費を低減するためにオフに切り換えられ、該方法は、自動車を減速するためにドライバーによって操作可能な第1ブレーキによりエコ停止状態自動車を静止状態に保持する工程と、エコ始動を実行するように自動車を制御する工程とを更に含み、前記エコ始動において動力供給手段は、自動車前記第1ブレーキの解放の信号を送信した場合、再始動され、動力供給手段が再始動しなかった場合において、該方法は、前記自動車のトランスミッションを駐車モードに置くか、及び/又は、自動車が無人の場合に自動車を静止状態に保持するためにドライバーによって操作可能な駐車ブレーキからなる第2ブレーキを自動的にかけることにより、自動車が、該自動車を実質上無期限に静止状態に自動的に保持し続けるように制御する工程を含む方法が提供される
【0035】
本発明の一側面において、エンジン及びトランスミッションを備える自動車が供給される。自動車は、停止/始動モードで動作可能である。停止/始動モードにおいて、自動車はエコ停止状態を自動的にとるように制御される。エコ停止状態において、燃料消費を低減するために、エンジンはオフに切り換えられる。ドライバーが操作するブレーキ手段によりエコ停止状態で自動車が静止状態に保持される場合、自動車は、エコ始動を実行するように動作可能である。エコ始動において、ドライバーがブレーキ手段の解放の信号を送信した時にエンジンは再始動される。エコ始動が実行される場合、自動車は、ブレーキ手段により自動的に静止状態に保持され続けるように構成される。エンジンが再始動しなかった場合、自動車は、始動失敗状態を自動的にとるように更に構成される。始動失敗状態において、自動車は静止状態に保持され続ける。
【0036】
本出願の範囲内において、先行する段落、特許請求の範囲及び/又は以下の説明及び図面に記述した種々の側面、実施形態、実施例及び代替案、特にそれらの個々の特徴は、独立的に又は任意の組み合わせで採用され得ることが予期される。例えば、一つの実施形態との関連で記述した特徴は、そのような特徴が不適合な場合を除き、すべての実施形態に適用可能である。
【0037】
付随図面を参照して、例示の目的のためのみで、本発明の実施形態が以下に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、本発明の実施形態に従う停止/始動自動車の概略図である。
図2図2は、図1の自動車の制御アーキテクチャーの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、本発明に従う停止/始動自動車100を示し、該自動車は、内燃エンジン121と、自動変速(トランスミッション)装置124と、四つの車輪111、112、114、115のセットとを有する。各車輪は、自動車が移動中に自動車を減速するためにドライバーが操作するブレーキペダル130Pにより動作するそれぞれのディスクブレーキ111B、112B、114B、115Bを有する。自動車の後方車輪114、115にはまた、それぞれドラムブレーキの形態のドライバーが操作する駐車ブレーキ114P、115Pが設けられている。駐車ブレーキ114P、115Pは、押しボタン作動装置の形態のドライバーが操作する駐車ブレーキアクチュエータ130Aにより適用されかつ解放されるように動作可能である。
【0040】
自動車100は、エンジンコントローラ121Cと、ブレーキコントローラ130Cと、トランスミッションコントローラ124Cと、ボディコントローラ140Cとを有する。コントローラ121C、130C、124C、140Cは、図2に例示するコントロールエリアネットワーク(CAN)バス160により互いに通信するように構成される。
【0041】
エンジン121は、エンジンコントローラ121Cにより始動されかつ停止されるように動作可能である。エンジンコントローラ121は、停止/始動制御方法論に従っていつエンジン121が停止されるべきかを決定する停止/始動スケジューラを実行するように構成される。エンジンが停止されるべきであると決定した場合、停止/始動スケジューラは、エンジンコントローラ121Cにエンジン121を止めるように命令する。エンジン121が再始動されるべきであると決定した場合、停止/始動スケジューラは、エンジンコントローラ121Cにエンジン121を再始動するように命令する。エンジンの停止及び再始動は、自動車が移動している際に起こるか、又は詳しくは後述するように静止状態の際に起こり得る。
【0042】
ブレーキコントローラ130Cは、ブレーキペダル130P及び駐車ブレーキアクチュエータ130Aからそれぞれ受信した信号に従って、駐車ブレーキ又はディスクブレーキを適用するように動作可能である。
【0043】
トランスミッションコントローラ124Cは、エンジン121に対しトランスミッション(変速装置)124を接続及び切断するようにトランスミッション(変速装置)124を制御するように動作可能である。コントローラ124Cはまた、複数の動作モードの一つに従って動作するようトランスミッション124を制御するように動作可能である。ドライバーが操作可能なアクチュエータ124Aは、トランスミッションコントローラ124Cに接続され、これにより、ドライバーは必要なモードを選択し得る。
【0044】
図1の実施形態において、モードは次の通りである。(1)駐車モード。このモードでは、トランスミッション124はエンジン121から切り離されている。また、駐車モードピン要素(図示せず)は、トランスミッション124をロックするように制御され、これにより自動車を動かなくする。(2)リバースモード。このモードでは、トランスミッション124が自動車を逆方向に駆動するように構成される。(3)ニュートラルモード。このモードでは、トランスミッション124はエンジンから切り離されるが、駐車モードピン要素は係合されない。(4)ドライブモード。このモードでは、トランスミッション124がエンジン121と係合され、トランスミッション124の八つの前方ギアの必要な一つを選択するように自動的に動作可能である。(5)ローギアモード。このモードでは、トランスミッション124は第1ギア又は第2ギアのみを選択するように自動的に動作可能である。
【0045】
他のギア数、例えば五つ、六つ、九つもしくは任意の他の適切なギア数も有益であることが理解されるべきである。
【0046】
自動車100は、必要時に駐車モードをとるように、トランスミッションコントローラ124Cによりトランスミッション124を制御し得ることが理解されるべきである。
【0047】
ある実施形態において、トランスミッションコントローラ124Cがトランスミッション124を駐車モードをとるように制御する時、トランスミッション124自体が駐車モードを帯びるのに加え、ドライバーが操作可能なトランスミッションモードセレクターが駐車モードをとるように自動車100が制御されることが理解されるべきである。
【0048】
ある実施形態において、トランスミッションモードセレクターは、駐車モードをとるために、物理的に移動することが要求される。ある代替的実施形態において、トランスミッションモードセレクターは、物理的に移動することを要求されない。むしろ、セレクターの物理的位置が選択されたモードを表さないので、電子的に制御される選択モードの表示が設けられ、これにより、選択モードがドライバーによって決定され得る。
【0049】
自動車100は、ドライバーが操作するアクチュエータ160Aの状態に従い、停止/始動制御方法論により動作を開始又は終了するように動作可能である。「停止/始動モード」において、自動車100は、上記したように燃料の節約がなされ得る選択された条件下で、エンジン121が停止するようにエンジン121を制御するように構成される。停止/始動モードでない場合、ドライバーが、例えば駐車後等にエンジン122を停止しない限り、エンジン121は停止しない。
【0050】
例えば、ブレーキペダル130P(これは、上述したディスクブレーキ111B−115Bを適用する)を用いてドライバーが自動車100を静止状態に保つ場合、停止/始動モードにおいて自動車100は、エンジン121をオフに切り換えるように構成され、これにより、燃料を節約する。この状態は、「エコ停止状態」と呼ばれる。すなわち、自動車100は静止状態であり、かつエンジン121は自動車100の停止/始動制御方法論に従って自動的に停止される。
【0051】
ドライバーがブレーキペダル130Pを解放した場合、ディスクブレーキ111B−115Bは、自動車100により自動的に適用され続け、エンジン121は再始動される。(エンジンコントローラ121Cがブレーキコントローラ130Cから入力を受信するように構成されることが理解されるべきである。エンジンが停止/始動スケジューラによる命令に従って停止している場合、ブレーキコントローラ130Cは、ブレーキペダル130Pが解放された際にエンジン121を再始動するように停止/始動スケジューラを作動させる。)
【0052】
一旦エンジン121が再始動したら、トランスミッションはエンジン121に再度係合され、ディスクブレーキ111B−115Bは解放される。
【0053】
エンジン121が再始動される一方、転がることを防ぐために、ディスクブレーキはブレーキコントローラ140Cにより自動的に保持され続けることが理解されるべきである。上記転がる現象は、「ロールアウエイ」と呼ばれ得、斜面を自動車が前後両方に転がることを含む。
【0054】
ブレーキペダル130Pが解放されてから所定の時間内にエンジン121が再始動しなかった場合、自動車は、トランスミッション124を駐車モードにするように自動的に制御される。これにより、自動車は、ドライバーが自動車のロールアウエイのリスクを伴うことなく自動車を直ちに出ることができる状態に置かれる。
【0055】
ある実施形態において、自動車100は、エンジン121が始動しなかった場合にトランスミッション124を駐車モードにすることに加えて又はそれに代えて、駐車ブレーキ114P、115Pを適用するように構成される。
【0056】
本発明の実施形態は、自動車100が斜面上にある時にエンジン121が始動しなかった場合に、自動車100が斜面を転がって下ることが防止されるという利点を有する。例えば、ディスクブレーキ圧力を保持するためにエンジン駆動ブレーキ流体コンプレッサー(又は代替的真空ポンプ)を有する自動車において、エンジンが再始動せず、ドライバー又は自動車100がディスクブレーキ111B−115Bを用いて該自動車を静止状態に保持し続ける場合、ブレーキは、ディスクブレーキ圧力の低減により性能の低下を被り得る。
【0057】
エンジンの再始動の失敗後に、自動車100がトランスミッション124を駐車モードに自動的に置くように(及び/又は駐車ブレーキ114P、115Pを適用するように)自動車100を制御することにより、自動車100がロールアウエイを被るリスクが低減され得る。
【0058】
本発明のある実施形態は、エンジン及び少なくとも一つの電気機械(電動機)を有するハイブリッド電気自動車(HEV)の形態であることが理解されるべきである。HEVは、エンジンが自動車及び随意的に前記少なくとも一つの電気機械を駆動する並列モードで、又は電気機械のみが自動車を駆動するEVモードで操作され得る。本発明のある実施形態は、エンジンが電力を発生させて電気機械に供給する連続(直列)タイプHEVを含む。
【符号の説明】
【0062】
100 停止/始動自動車
111、112、114、115 車輪
111B、112B、114B、115B ディスクブレーキ
114P、115P 駐車ブレーキ
121 内燃エンジン
121C エンジンコントローラ
124 自動変速(トランスミッション)装置
124C トランスミッションコントローラ
130A 駐車ブレーキアクチュエータ
130C ブレーキコントローラ
130P ブレーキペダル
140C ボディコントローラ
160 コントロールエリアネットワーク(CAN)バス
図1
図2