(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御値に対する調整値を決定することは、一度に複数の列のピクセルの一つの列に沿って進むスキャンライン順に前記第1のピクセルアレイのピクセルに対応する前記制御値を処理することを含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
前記制御値に対する調整値を決定することは、前記第1のピクセルアレイのピクセルを一つずつ処理し、前記第1のピクセルアレイの各処理されたピクセルに対し、処理されたピクセルと対応する第2のピクセルアレイ上の位置における予測された光パターンと目標光パターンとの間の差を減少させようとするアルゴリズムを適用することを含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
光パターンを予測することは、前記一集合の制御値が提供されるとき、前記第1のピクセルアレイの前記ピクセルの強度を前記ピクセルの点広がり関数によって畳み込むことを含む、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
前記第1のピクセルアレイによって照射される第2のピクセルアレイのピクセルにおいて生成されることが予測される光パターンの強度が、前記所望の画像の対応する位置における強度よりも前記第2のピクセルアレイのピクセルの変調範囲内の量だけ大きくなるように、前記目標光パターンと、前記一集合の制御値とを生成することを備える、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法。
前記調整値は、前記第1のピクセルアレイのピクセルに調整された制御値が与えられるとき、前記第1のピクセルアレイのピクセルに対応する領域内の前記第2のピクセルアレイのピクセルに対する制御値が丸められないように、前記第1のピクセルアレイのピクセルにより出力される光を低減する調整値を含む、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。
前記コントローラは、一度に複数の列のピクセルの一つの列に沿って進むスキャンライン順に前記第1のピクセルアレイのピクセルに対応する前記制御値を処理することにより前記制御値に対する調整値を決定するように構成されている、請求項17又は18に記載のディスプレイ。
前記コントローラは、前記第1のピクセルアレイのピクセルを一つずつ処理し、前記第1のピクセルアレイの各処理されたピクセルに対し、処理されたピクセルと対応する第2のピクセルアレイ上の位置における予測された光パターンと目標光パターンとの間の差を減少させようとするアルゴリズムを適用することにより前記制御値に対する調整値を決定するように構成されている、請求項17至21のいずれか1項に記載のディスプレイ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面は、本発明の非限定的な実施形態を示す。
【0011】
以下の説明を通じて、本発明をより十分に理解できるように詳細情報が記述されている。ただし、本発明はこれらの詳細情報なしで実施されてもよい。他の例では、本発明を不必要に分かりにくくすることがないように、周知の要素は示されていないか、もしくは詳しく説明されていない。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味であると見なされるべきである。
【0012】
本発明者らは、以下が必要であるものと判断している。
・デュアル変調器ディスプレイ
・デュアル変調器ディスプレイ用コントローラ
・デュアル変調器ディスプレイを動作させる方法
・デュアル変調器ディスプレイのピクセルを制御する制御値を生成する方法
・デュアル変調器ディスプレイを動作させるソフトウェアを含み、画像を表示すると同時に、第1および第2のピクセルアレイの能力によって課せられた制限にかかわらず、画像情報の喪失を減少させるデュアル変調器ディスプレイのピクセルに対する制御値を生成するプログラム製品
たとえば、
図1に示された事例を検討する。ディスプレイ10は、ピクセル12Aの第1のアレイ12と、ピクセル14Aの第2のアレイ14とを備える。コントローラ16は、画像データ18を受け取り、制御信号19Aおよび19Bを生成して、それぞれ第1および第2のピクセルアレイのピクセルを制御する。第1のアレイ12は、たとえば、発光ダイオード(LED)のアレイなどの光源を備えていてもよい。第2のアレイ14は、たとえば、LCDパネルを備えていてもよい。
【0013】
コントローラ16は、画像データから信号19Aおよび19Bを得る。信号19Aは、たとえば、第1のアレイ12のピクセル12Aに対する制御値dの集合を備えていてもよい。信号19Bは、たとえば、第2のアレイ14のピクセル14Aに対する制御値pの集合を備えていてもよい。
【0014】
コントローラ16からの制御信号19Aに応じて、第1のアレイ12は光を発する。第1のアレイ12のピクセル12Aによって発せられる光は、第2のアレイ14上に光のパターン20を生成する。パターン20は、画像データ18によって指定される所望の画像の近似である。第1のアレイ12は、第2のアレイ14よりもピクセルが著しく少ないので、より高い空間周波数を有する所望の画像の態様は、主に制御信号19Bによって表わされることになる。パターン20は、比較的低い空間周波数を有する所望の画像の態様を追跡することになる。
【0015】
パターン20の特性は、第1のアレイ12のピクセル12Aによって発せられる光の量のほかに、ピクセル12Aの点広がり関数にも依存する。第1のアレイ12と第2のアレイ14との間に、ディフューザー、レンズ、コリメーターなどの光学部品(図示せず)が設けられてもよい。このような光学部品のパターン20への影響は、ピクセル12Aの点広がり関数によって考慮されてもよい。
【0016】
パターン20は、第2のアレイ14の各ピクセル14Aにおける強度値B
iによって特徴付けられる(ここで、iは個々のピクセル14Aを識別する添え字である)。制御信号19Aを画像データ18から導く方法は、ディスプレイ10によって生成される画質に影響することがある。制御信号19Aによって「良好な」パターン20が得られると、第2の変調器14はパターン20の光を変調して所望の画像を非常に正確に再生することができる。一方、制御信号19Aが準最適なパターン20を生成する場合、知覚されるアーチファクトのない所望の画像に適合するように第2の変調器14にパターン20を変調させる制御信号19Bを決定することは可能でないかもしれない。
【0017】
たとえば、所望の画像の領域において、パターン20で再生できないほど高い空間周波数を有する縞模様を、所望の画像が描く事例を検討する。この縞模様は、より低い空間周波数で変化する背景光強度に重畳される。
図2Aの曲線30は、縞模様を横断する方向における所望の画像の強度変化を示す。曲線32は、実例のパターン20における光の強度変化を示す。パターン20の光が曲線30の低空間周波数成分によく適合するように変化する強度を有する場合(曲線32によって示されるように)、第2のアレイ14は、
図2Bに示されるように、所望の画像の高空間周波数成分を生成するように設定することができるので、得られる画像は所望の画像を忠実に再生する。
【0018】
一方、状況によって、パターン20の光は、曲線30の低空間周波数成分にそれほどよく適合しないように変化する強度を有することもある。これは、たとえば、パターン20の低空間周波数が所望の画像の低空間周波数成分よりも低いというような、第1のアレイ12のピクセル12Aの点広がり関数の状況において起こりうる。
図2Cの曲線33は、別の実例のパターン20における光の強度変化を示すもので、曲線30の低空間周波数成分とパターン20とのこうした不整合を示す。このような状況において、第2のアレイ14は、
図2Dに示されるように、所望の画像の高空間周波数成分を正確に生成することができないので、得られる画像は、所望の画像を忠実に再生することができない場合がある。高空間周波数情報の喪失は、ピクセル14Aを制御する信号を量子化した結果として起こりうる。たとえば、B
iがピクセル14Aの所望の光出力よりも著しく大きい場合、ピクセル14Aに対する値p
iはゼロに丸められてもよい。B
iがピクセル14Aの所望の光出力に等しいかあるいは所望の光出力よりも小さい場合、ピクセル14Aに対する値p
iは最大値でクランプされてもよい。いずれにせよ、得られる画像は画像データ18における情報のすべてを含むわけではない。
【0019】
本明細書に記載されるタイプ(このタイプでは、第1のピクセルアレイからの光のパターンが画像データの最高空間周波数成分を含まない)のデュアル変調器ディスプレイから最良の画質を得るためには、光パターン20のある程度の最適化を必要とする場合があることが分かる。
【0020】
図3は、本発明の実施形態によって、画像データ18から信号19Aおよび19Bを得る方法40のステップを示す。画像データ18は、値
【0022】
【数2】
を備える。一部の実施形態において、値は明度である。このような実施形態において、値は、画像が表示されるディスプレイ10と同じ色度、白色点、および原色を有する色空間で最も都合よく表わされる。
【0023】
ブロック42は、第1のアレイ12のピクセル12Aに対する制御信号19Aの初期集合を導く。実例の実施形態において、ブロック42は、
図3Aに示されるようなプロセス50を含む。プロセス50は、画像データ18から目標光パターン
【0025】
【数4】
は、第2のピクセルアレイ14の各ピクセル14Aに対応する値
【0026】
【数5】
を備えていてもよい。これらの値は、たとえば、測光単位で表わされてもよい。一部の実施形態において、値
【0027】
【数6】
は、輝度などの測光単位の単色値である。ブロック52は、画像が表示されるディスプレイ10によって輝度値が表示可能な範囲から外れないように輝度値をクランプすることを備えていてもよい。
【0028】
画像データ18がカラー画像を指定する場合、ブロック53は、画像データ18のモノクロ(単一チャネル輝度)表現を抽出することを備えていてもよい。これは、第2のピクセルアレイの各ピクセルに対して3色チャネル(たとえば、赤、緑、および青)の最大値を取り込むことによって実現されてもよい。
【0029】
ブロック54は、画像データ18のモノクロ表現の関数を計算することによって
【0030】
【数7】
に対する値を決定する。一部の実施形態において、この関数は、画像データ18のモノクロ表現における対応するピクセル値の分数乗を決定することを備える。この分数乗は、第1のアレイと第2のアレイとの間にダイナミックレンジを割り当てるために選定される。一部の実施形態において、ブロック54は、画像データ18のモノクロ表現における値の平方根(1/2乗)を取ることを備える。第1のピクセルアレイと第2のピクセルアレイとの間のダイナミックレンジの最適分配は、第1のアレイと第2のアレイとの間のダイナミックレンジの比に依存する。カナダ国バンクーバー市のBrightside Technologies社から入手できるモデルDR37Pディスプレイなど、一部のデュアル変調器ディスプレイにおいて、第1のアレイと第2のアレイとの間のダイナミックレンジの比は約1:1であり、約1/2の分数乗が信号19Aを得るための望ましい基準である。
【0031】
電源を完全に切ることができる単一光源は、無限のダイナミックレンジを有するものと見なすことができる。ただし、重複する点広がり関数を有するこのような光源の集合内にある光源のダイナミックレンジは、光源の点広がり関数と隣接する光源の光出力とによって決定される。
【0032】
第1および第2のピクセルアレイ上のピクセル値を同程度の大きさになるように維持することは、アレイの一方が大きいピクセル値を与えられて他方のアレイが非常に小さいピクセル値を与えられる事例よりも好ましい。なぜなら、量子化アーチファクトは小さいピクセル値に対して比較的大きいからだ。また、同じ強度の隣接するピクセルに対して値の種々の組合せが使用される場合、実際のハードウェアシステムに存在する不備な配列によって著しいアーチファクトが生じる可能性がある。
【0035】
【数9】
に対する値を範囲[0,1]で表わすと都合がよい。この表現への変換は、画像データを正規化することによって行なわれうる。ブロック54において、正規化画像データの適切な関数が計算されうる。この後、結果は調整されて
【0036】
【数10】
に対する値を所望の単位で提供する。
【0037】
m>nとして、第1のアレイ12がn個のピクセル12Aを有し、第2のアレイ14がm個のピクセル14Aを有する場合、所望のパターン20を生じるアレイ12のピクセル12Aに対する値を決定するという問題は、m×nの連立方程式として表わされる。第1のアレイ12が低空間周波数を有する場合(すなわち、第1のアレイ12の点広がり関数が高空間周波数成分を有しない場合)、パターン20も低空間周波数を有しているものと予期される。このような場合、
【0038】
【数11】
に対する値をより低い解像度までダウンサンプリングすることによって、著しいアーチファクトを導入せずに計算が削減されうる(第1のアレイ12の解像度と同じ低い解像度にすることが好都合である)。結果として生じた問題は、n×nの連立方程式として表わされる。したがって、
【0039】
【数12】
に対する値は、第1のアレイ12の対応するピクセル12Aに最も近い第2のアレイ14のピクセル14Aの各グループに対して、単一値
【0041】
【数14】
の集合を備えていてもよい。
【0042】
ブロック56において、結果として得られるデータは場合によって、第1のアレイ12の解像度と同じである可能性のある解像度までダウンサンプリングされる。ダウンサンプリングは、様々な方法で実施されてもよい。たとえば、
・ ダウンサンプリングは、適切にフィルタ処理されたサイズ変更機能によってソフトウェアで実施されてもよい。
・ ダウンサンプリングは、第1のピクセルアレイのピクセルの位置に対応する位置の近くで、ピクセル値の平均値として適切に構成されたフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などの論理回路で実施されてもよい。
・ ダウンサンプリングは、ピクセル値のブロック平均値を再帰的に取ることによって、グラフィックスプロセッサで実施されてもよい。
【0043】
ブロック58は、所望の光パターン20(第1のアレイ12の解像度での)を指定する
【0045】
方法40は、ブロック44で引き継がれて、ブロック58によって返された値
【0047】
【数17】
と同じ値を有する光パターン20を生じる第1のアレイ12のピクセルに対する制御値を引き続き決定する。これは、下記の最小化問題を解くことによって実現されうる。
【0048】
【数18】
式中、dはピクセル12Aに対する制御値の集合であり、Wはディラックのデルタ関数がピクセル12Aに位置する場合のピクセル12Aに対する点広がり関数の畳み込みである。
【0049】
計算結果は、第1のアレイ12の全ピクセルについて即時に解かずに、アレイ12よりも小さい近傍における第1のアレイ12のピクセルを考慮することによって、保存されうる。これは、典型的なデュアル変調器ディスプレイでは、第1のアレイ12のピクセル12Aがピクセル12Aから遠い座標にある第2のアレイ14のピクセル14Aに多くの光を与えないために行なわれうる。
【0050】
また、人間の視覚システムの特性と第2のピクセルアレイ14のダイナミックレンジとは、第2のピクセルアレイ14のピクセル14Aにおいて所望量の光を得るために調整可能な第1のアレイ12のピクセルを制限する。人間の視覚システムは、より明るい領域にかなり近い、それほど明るくない領域の輝度変化を検出することができない。この効果は「ベイリンググレア」として知られている。ベイリンググレアは、一つには、目の中で光が散乱することに起因して起きる。
【0051】
図4はベイリンググレアを示す。所望の画像がライン75によって示されている。画像75はより不鮮明な領域75Bに隣接した明るい領域75Aを有する。3つのピクセル12Aによって発せられる光が、曲線77A、77B、および77Cによって示される。明るい領域75Aによって生じるベイリンググレアは、領域76に影響を与える。領域76内で、人間の目はレベル76A(明るい領域75Aからの距離に応じて低下する)を下回る輝度差を見分けることができない。領域76外では、局所的に望まれる値を超えた第1のアレイ12の強度の増加が検出されることになる。領域76内の第1のアレイ12のピクセルは、画像を知覚できるほど変えずに強度を増加している可能性がある。たとえば、光出力77Bは、得られる画像に目に見えるほどの影響を与えずに(77B’のピーク強度はまだ曲線76Aを下回っているので)77B’によって示される値まで高めることができる。
【0052】
重み付け行列W(式(1)参照)は密であるが、第2のピクセルアレイ14の所与のピクセル14Aにおける光量を制御するために自由に変更しうるピクセル12Aの数はかなり制限される。得られる制御値dの行列は、ピクセル12Aに対する制御信号値d
j(jは特定のピクセル12Aを識別する添え字)を得るために、正確に、あるいは適切な方法で近似的に解くことができる比較的粗な帯状行列である。
【0053】
一実施形態において、d
jは次式によって与えられる。
【0055】
【数20】
は添え字j(j番目のピクセル)によって識別されるピクセル12Aに対応する領域にある第2のアレイ14のピクセル14Aにおける目標光パターンの値であり、
【0056】
【数21】
は添え字i(i番目のピクセル)によって識別されるピクセル12Aに対応する領域にある第2のアレイ14のピクセル14Aにおける目標光パターンの値であり、N(δ
j)はj番目のピクセルの近傍にあるピクセル12Aを含み、w
jjはj番目のピクセルに対応する領域にあるピクセル14Aにおけるj番目のピクセルに関する点広がり関数に対する値であり、w
jiはj番目のピクセルに対応する領域にあるピクセル14Aにおけるi番目のピクセルに関する点広がり関数に対する値である。
【0057】
上記のように得られた制御信号に由来する光パターン20は最適でないかもしれない。実際の光パターンは、ピクセル14Aに対応する値Bによって特徴付けられる。一般的には、
【0058】
【数22】
である。典型的に、画質は、最適な光パターンをよりよく近似する光パターンを生成するために、d
jに対する値を微調整することによって改善することができる。また、画質は、より高い空間周波数の詳細および色の表現に第2のアレイ14のビット深度のより多くを適用しうるようにd
jに対する値を微調整することによって改善することもできる。補正された制御値は、方法40のブロック46で決定される。
【0060】
【数23】
に対する初期値が最適値に適度に近いものと仮定すると、d
jの値をわずかに変化させるだけで最適化されるはずである。本明細書では、このような変化はΔd
jと呼ばれる。これらの変化は、ピクセル12Aを一つずつ処理する「欲張り」アルゴリズムを適用することによって決定することができる。このアルゴリズムは、ピクセル12Aに対応する位置でのBと
【0061】
【数24】
の差を減少させようとする。
【0062】
一部の実施形態において、第1のアレイ12のj番目のピクセルに対するΔd
jは、j番目のピクセルにd
j+Δd
jの制御値が与えられるとき、j番目のピクセルに対応する領域内の第2のアレイ14のピクセル14Aに丸められたりクランプされたりしない制御値pが与えられるように決定されてもよい。こうすると、第2のアレイ14は、信号19Bの量子化に起因する情報の喪失なしで所望の画像の高空間周波数成分を忠実に再生することができる。
【0063】
一実施形態において、アルゴリズムは次式を満たすΔd
jに対する値を決定することを備える。
【0064】
【数25】
式中、αは定数(これは第2のピクセルアレイ14の制御信号に対する所望の平均値と見なしてもよい)であり、
【0065】
【数26】
、W、およびdは先に定義した通りであり、W
jはディラックのデルタ関数がピクセル12Aに位置する場合の現在処理されているそのピクセル12Aに対する点広がり関数の畳み込みである。
【0066】
Bを式(3)のWdに代入すると、問題を次式の解を求めることとして表わすことができる。
【0067】
【数27】
式中、B
(j)は光パターン20を特徴付ける値(前処理されたピクセル12Aに対する変化Δd
jの影響を含む)の集合である。
【0068】
式(4)はピクセル12Aの座標(x,y)によって表わすことができ、次式が得られる。
【0069】
【数28】
式中、S
j(x,y)は位置(x,y)でのj番目のピクセル12Aの点広がり画像に対するテクスチャスプラットであり、M
j(x,y)は現在考慮中のピクセル12Aの位置を取り囲む領域に値1を有し、それ以外の領域(この領域は、たとえば、規定半径の円形領域であってもよい)に値0を有するマスキング関数である。式(5)はΔd
jについて解くことができ、次式が得られる。
【0070】
【数29】
B
(j)は、既に決定されている任意のΔd
jを含むdの値(計算の都合上、範囲[0,1]で表わされる)から計算してもよい。ピクセル12Aに対する点広がり関数は典型的に低空間周波数によって変化するので、B
(j)の計算は低い解像度で実施して、後でアップサンプリングしてもよい。これを行なう場合、低い解像度の画像のピクセルをピクセル12Aと一直線になるようにして丸め誤差を回避することが望ましい。
【0071】
B
(j)は様々な方法で計算することができる。たとえば、一部の実施形態において、B
(j)は畳み込みとして計算される。一部のこのような実施形態において、必要に応じてそれぞれの制御値(d
jまたはd+Δd
j)に設定されたピクセル12Aの位置に個々のピクセルを有する真っ黒な画像(ピクセル値がすべてゼロ)は、測光単位で調整されたピクセル12Aに対する点広がり関数によって畳み込まれる。このような実施形態は、ソフトウェアで都合よく実施することができる。
【0072】
他の実施形態において、各ピクセル14Aの光量は、そのピクセル14Aから寄与ピクセル12Aまでの距離を計算し、この各寄与ピクセル12Aに対して、そのピクセル14Aでの寄与ピクセル12Aに対する点広がり関数の値を得るために表内の対応する距離を調べることによって決定される。各点広がり関数の値は、必要に応じて、ピクセル12Aに対する現在の制御値(d
jまたはd+Δd
j)によって変調される(たとえば、乗じられる)。このような実施形態は、適切に構成されたFPGAなどの論理回路で都合よく実施することができる。
【0073】
他の実施形態では、スプラッティング法を適用し、適用可能な点広がり関数のテクスチャを用いて画面に配列された四辺形をフレームバッファの中に描画する。各テクスチャは、必要に応じて、対応する制御値(d
jまたはd+Δd
j)によって変調される。結果を蓄積するために、アルファブレンディングを適用してもよい。このような実施形態は、グラフィックプロセッサユニット(GPU)で都合よく実施することができる。
【0074】
ピクセル12Aに適用可能な点広がり関数の末尾は非常に長くなる可能性がある(すなわち、具体的なピクセル12Aからの光は、第1および第2のピクセルアレイの座標空間においてピクセル12Aから比較的遠いピクセル14Aに達する可能性がある)。精度と計算オーバーヘッドとの妥協には、点広がり関数を妥当な距離で切り捨てることを必要とするかもしれない。これを行なう場合、点広がり関数に有意な不連続性を残すのではなく、切捨て点の領域で点広がり関数をゼロに調和させることが望ましい。
【0075】
点広がり関数の切捨ては、切捨て距離外のピクセル14Aに対して本来あるべき強度よりも小さい計算強度をもたらす可能性がある。ディスプレイのピーク輝度に比べて有意ではないものの、この差異は暗領域での知覚可能な不整合の一因となる可能性がある。点広がり関数の切捨て部分の空間周波数は非常に低いので、バックライト画像の各ピクセルに項uを加えることによって、切捨ての結果として考慮されない光を表わすように補償することが可能である。uの値は、制御値dの集合の一部分(または、他の適切な関数)となるように選定してもよい。uに対する適切な値は、実際の点広がり関数とこの点広がり関数の切捨てられたシミュレーションとのエネルギー差に基づいていてもよい。
【0076】
式(6)を解くプロセスは、スキャンライン順に(すなわち、第1のピクセルアレイ12の1つの隅で始まり、一度にピクセルの1つの列に沿って進む)ピクセル12Aに作用することを備えていてもよい。現在のピクセル12Aに対応する点広がり関数S
jでは、
【0077】
【数30】
およびBの対応する領域が選択されて、それぞれの要素が乗じられた後、加算されてΔd
jを生成する。この後、対応する制御値d+Δd
jは制御値dに書き込まれ、結果的に、Bは値Δd
jS
jをBに蓄積することによって修正される。
【0078】
Bをさらにリファインするために、必要に応じて、前述のプロセスは2回以上繰り返してもよい。
【0079】
ピクセル12Aに対する制御値dをリファインする上記の計算では、実際の光パターンの値Bの正しい集合が既知である(たとえば、式(6)はBを含む)と仮定している。しかし、ほとんどすべての場合、Δd
jの計算が特定のピクセル12Aに対して実行されている時点で、Δd
jはまだ他のピクセル12Aに対して計算されていないことになる。Δd
jは通常小さいものの(ブロック42において
【0080】
【数31】
に対する良好な近似が得られる限り)、累積誤差は有意である可能性がある。
【0081】
Δd
jが既に処理されている領域とΔd
jがまだ処理されていない領域とを区別することができるように、ピクセル12Aを既知の順序で処理する場合、この誤差を補償することが可能である。たとえば、ピクセル12Aが第1のアレイ12の左上隅で始まるスキャンライン順に処理される事例を検討する。この事例において、現在のピクセル12Aの上方および左側のピクセル12Aは既に更新されているが、現在のピクセル12Aの下方および右側のピクセル12Aはまだ更新されていない。Δd
kが一部のk>jに対してたとえ未知であっても、所望の画像
【0082】
【数32】
およびB
(k)に対する値は既知である。k番目のピクセル12Aによって発せられる光が
【0083】
【数33】
とB
(k)の差に等しい量だけ変化するようにk番目のピクセル12Aに対する制御値は変化するものと仮定することができる。
【0084】
式(5)に補正処置を実行する画像フィルタを追加すると次式を得ることができる。
【0085】
【数34】
式中、Fは画像フィルタである。式(7)をΔd
jについて解くと次式を得ることができる。
【0086】
【数35】
式(8)は、たとえば、前述のように解いてもよい。必要なのは、既に補正されている(すなわち、Δd
jが計算されていてかつ対応する制御値に加えられている)ピクセル12Aに対して正値を有しまだ補正されていないピクセル12Aに対して負値を有するフィルタ関数Fだけである。
【0087】
表示された画像を調整するためにαの値を設定することができる。α=1の値は、ピクセル12Aを
【0088】
【数36】
と同じ強度になるようにして動作を目標の
【0089】
【数37】
にできる限り適合させる。誤差拡散は、所望の画像を実現するために第2の反復として実施することができる。α=0.5の値は、第1のアレイ12を
【0090】
【数38】
の2倍の明るさになるようにして、p
avg=0.5をもたらす。これは、典型的に、補正に利用できるピクセル14Aに対する制御値のビット数を最大にし、第2のアレイ14に対する制御値pの量子化に起因するアーチファクトを最小にする。
【0091】
局所的な近傍に依存するαの値を選定するなど、より複雑な方式も、可能であり、光パターン20の機能別トーンスケーリングを提供するために採用することができる。
【0092】
制御値dは、ディスプレイ10の第1のアレイ12の対応するピクセル12Aを駆動するために信号19Aで供給されてもよい。第2のアレイ14のピクセル14Aに対する制御値pは、たとえば、以下によって決定されてもよい。
・ 第1のアレイ12のピクセルに制御値dを適用することから得られるパターン20の光の分布Bを推定すること
・ 次式に従って値pを計算すること
【0093】
【数39】
図5は、ディスプレイ10を制御する実例のコントローラ16におけるデータの実例の流れを示す。
図5の機能ブロックは、汎用データプロセッサ、つまり論理回路(たとえば、構成済みFPGA)、グラフィックスプロセッサ、またはこれらの組合せで実行されるソフトウェアで実現されてもよい。画像データ18は、コントローラ16で受け取られる。所望の画像
【0094】
【数40】
は、画像データ18から抽出される。所望の光パターン生成器60は、第1のアレイ12によって生成される所望の光パターン
【0095】
【数41】
を生成する。第1のアレイ制御値生成器62は、制御値dを生成する。第1のアレイ制御値生成器62は、前述のような方法に従って制御値dおよび調整値Δdを生成してもよい。
【0096】
制御信号生成器64Aは、第1のアレイ制御回路65Aに供給される制御信号19Aを生成する。第1のアレイ制御回路65Aは、第1のアレイ制御値dに従って第1のアレイ12のピクセルを操作する。制御信号19Aは、第1のアレイ制御回路65Aに直ちに供給されてもよく、遅延後に第1のアレイ制御回路65Aに送られてもよい。たとえば、信号19Aは、媒体(図示せず)に記録されて、後に第1のアレイ制御回路65Aにプレイバックされてもよい。
【0097】
また、第1のアレイ制御値dは、光パターンシミュレータ66に供給される。光パターンシミュレータ66は、シミュレートされた光パターンBを決定する。第2のアレイ制御値生成器68は、シミュレートされた光パターンBおよび所望の画像
【0098】
【数42】
に基づいて第2のアレイ制御値pを生成する。また、シミュレータ66によって決定される光パターンBは、たとえば、前述のように、Δd
jの計算に使用するためのB
(j)を生成するために第1のアレイ制御値生成器62によって使用されてもよい。
【0099】
制御信号生成器64Bは、第2のアレイ制御回路65Bに供給される制御信号19Bを生成する。第2のアレイ制御回路65Bは、第2のアレイ制御値pに従って第2のアレイ14のピクセルを操作する。データ19Bは、第2のアレイ制御回路65Bに直ちに供給されてもよく、信号19Aに関連して前述したように遅延後に供給されてもよい。
【0100】
図6は、デュアル変調器ディスプレイにおける第1のピクセルアレイに対する制御信号を生成する実例のシステム70を示す。
図6の機能ブロックは、汎用データプロセッサ、つまり論理回路(たとえば、構成済みFPGA)、グラフィックスプロセッサ、またはこれらの組合せで実行されるソフトウェアで実現されてもよい。所望の画像
【0101】
【数43】
は、初期制御値生成器72に提供される。初期制御値生成器72は、初期制御値dを生成する。初期制御値生成器72は、前述のような方法に従って初期制御値dを生成してもよい。初期制御値生成器72は、初期制御値dを生成する過程で所望の光パターン
【0103】
制御値dは、光パターンシミュレータ74に提供される。光パターンシミュレータ74は、シミュレートされた光パターンBを決定する。シミュレートされた光パターンBは、所望の画像
【0104】
【数45】
とともに制御値調整値生成器76に提供される。制御値調整値生成器76は、制御信号調整値Δdを生成する。制御値調整値生成器76は、前述のような方法に従って各制御値d
jに対する制御信号調整値Δd
jを生成してもよい。制御信号調整値Δdは、初期制御値dと結合されて調整された制御値d+Δdを生成する。
【0105】
本発明の一部の実施では、プロセッサに本発明の方法を実施させるソフトウェア命令を実行するコンピュータプロセッサが備えられる。たとえば、ディスプレイコントローラ内の1つまたは複数のプロセッサ、またはデュアル変調器ディスプレイで使用される制御信号19Aおよび19Bを含む信号を出力するデバイス内の1つまたは複数のプロセッサは、これらのプロセッサにアクセス可能なプログラムメモリ内のソフトウェア命令を実行することによって
図3および
図3Aの方法を実施してもよい。また、本発明は、プログラム製品の形で提供されてもよい。プログラム製品は、データプロセッサによって実行されるときにデータプロセッサに本発明の方法を実行させる命令を備えるコンピュータ可読信号の集合を伝送する媒体を備えていてもよい。本発明に従ったプログラム製品は、様々な形態のどのようなものであってもよい。プログラム製品は、たとえば、フロッピー(登録商標)ディスケット、ハードディスクドライブを含む磁気データ記憶媒体、CD ROM、DVDを含む光データ記憶媒体、ROM、フラッシュRAMなどを含む電子データ記憶媒体などの媒体を備えていてもよい。プログラム製品上のコンピュータ可読信号は、光学的に圧縮または暗号化されてもよい。
【0106】
構成部品(たとえば、ソフトウェアモジュール、プロセッサ、アセンブリ、デバイス、回路など)について上記で言及したが、特に明記しない限り、当該構成部品への言及(「手段」への言及を含む)は、当該構成部品の等効物、記載された構成部品の機能を実行する任意の構成部品(すなわち、機能的に等価である)として含み、本発明で説明された例示的実施形態における機能を実行する開示構造物に構造的に等価でない構成部品を含むものと解釈されるべきである。
【0107】
前述の開示に照らして当業者には明らかなように、本発明の実施に際して、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく多くの変更形態または修正形態が可能である。たとえば、
・ 制御信号19Aおよび19Bは、画像データ18(これは、たとえば、ビデオデータを備えていてもよい)に応じてリアルタイムで生成されてもよく、事前に生成されてもよい。
【0108】
したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲で規定される要旨に従って解釈されるべきである。