【文献】
Alcatel-Lucent, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,"PCMAX,c signalling optimisation"[online],3GPP TSG-RAN WG2#72bis R2-110139,2011年 1月21日,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_72bis/Docs/R2-110139.zip
【文献】
3GPP TS 36.321 V10.0.0,2010年12月,pp.21,22,27,28,38-40,URL,http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/36_series/36.321/36321-a00.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パワーヘッドルーム情報を送信するための前記上りリンクリソースが、永続スケジューリング構成を介してスケジューリングされるか、あるいは、動的スケジューリングを介してスケジューリングされるかどうかを判断するプロセッサ、
を更に具備する請求項1に記載のユーザ機器。
前記プロセッサは、前記基本のパワーヘッドルーム報告が前記上りリンクリソースの中で送信されるケースでは、前記拡張されたパワーヘッドルーム報告の送信を前記ユーザ機器の中でトリガし、
前記送信機は、前記トリガされた拡張されたパワーヘッドルーム報告を、その次の可能な上りリンクリソースの中で前記ユーザ機器から前記基地局に送信する、
前記次の可能な上りリンクリソースは、動的スケジューリングを介してスケジューリングされる、
請求項2に記載のユーザ機器。
禁止タイマは、最初のパワーヘッドルーム情報を送信した後に特定の時間に対して第2のパワーヘッドルーム情報の送信を禁止するために使用され、前記禁止タイマは、前記トリガされた拡張されたパワーヘッドルーム報告に対して無視され、前記禁止タイマは、前記トリガされた拡張されたパワーヘッドルーム報告を送信した後に再スタートしない、
請求項4に記載のユーザ機器。
前記パワーヘッドルーム情報を送信するための前記上りリンクリソースが、永続スケジューリング構成を介してスケジューリングされるか、あるいは、動的スケジューリングを介してスケジューリングされるかどうかを判断する、
請求項6に記載の方法。
前記基本のパワーヘッドルーム報告が前記上りリンクリソースの中で送信されるケースでは、前記ユーザ機器の中で前記拡張されたパワーヘッドルーム報告の送信がトリガされ、
前記トリガされた拡張されたパワーヘッドルーム報告は、その次の可能な上りリンクリソースの中で前記ユーザ機器から前記基地局に送信される、
請求項6から請求項8のいずれかに記載の方法。
前記基本のパワーヘッドルーム報告が前記上りリンクリソースの中で送信されるケースでは、前記ユーザ機器の中で前記拡張されたパワーヘッドルーム報告の送信がトリガされ、
前記トリガされた拡張されたパワーヘッドルーム報告は、動的スケジューリングを介してスケジューリングされたその次の可能な上りリンクリソースの中で前記ユーザ機器から前記基地局に送信される、
請求項6から請求項8のいずれかに記載の方法。
【背景技術】
【0002】
ロングタームエボリューション(LTE)
WCDMA(登録商標)無線アクセス技術をベースとする第3世代の移動通信システム(3G)は、世界中で広範な規模で配備されつつある。この技術を機能強化あるいは発展・進化させるうえでの最初のステップとして、高速下りリンクパケットアクセス(HSDPA)と、エンハンスト上りリンク(高速上りリンクパケットアクセス(HSUPA)とも称する)とが導入され、これにより、極めて競争力の高い無線アクセス技術が提供されている。
【0003】
しかし、もう少し長い時間で見ると、ユーザの要求はさらに増加することに備えること、および、新たな無線アクセス技術に対して競争力を有することが必要である。この挑戦を満たすために、3GPPは、研究項目、進化されたUTRAおよびUTRANを始めた。研究で目指すところは、サービス配給およびコスト削減の項目の中に更なる実体的な飛躍を成し遂げることを意味するものである。この言葉の根拠として、3GPPは、ロングタームエボリューション(LTE)と称される新しい移動通信システムのために、ターゲットと要求のセットを締結した。LTEは、今後10年間にわたり、データおよびメディアの高速伝送ならびに大容量の音声サポートに要求されるキャリアを提供するように設計されている。
− 下りリンク方向で100Mbpsおよび上りリンク方向で50Mbpsを超えるピークレート
− 上りリンクおよび下りリンクに対してファクタ2および3によって改善された平均ユーザスループット
− 上りリンクおよび下りリンクに対してファクタ2によって改善されたセルエッジユーザスループット
− ファクタ2および3によってそれぞれ改善された上りリンクおよび下りリンクのスペクトル効率
− 著しく低減された制御プレーンレイテンシィ
− オペレータとエンドユーザのために低減されたコスト
− 多くの異なるスペクトラムの中で展開可能なスペクトル自由度
【0004】
高いビットレートを供給する能力が、LTEの重要な物差しである。多入力多出力(MIMO)技術を使用して、単一の端末に複数の並列データストリームを送信することは、これを実現するために重要なコンポーネントの1つである。より大きい送信帯域および同時に自由なスペクトラムの割り当ては、使用する無線アクセス技術を決定するときに考慮される他のピースである。下りリンクの中で、適応的マルチレイヤOFDM、ALM−OFDMを選択することは、一般的な異なる帯域幅で作業することのみならず、特殊な高いデータレートの大きな帯域幅で作業することも容易にする。下りリンクには、OFDM(直交周波数分割多重)をベースとする無線アクセスが採用されており、その理由として、そのような無線アクセスは、シンボルレートが低いため本質的にマルチパス干渉(MPI)を受けにくいこと、サイクリックプレフィックス(CP)を使用していること、さまざまな送信帯域幅の構成に対応可能であること、が挙げられる。上りリンクには、SC−FDMA(シングルキャリア周波数分割多元接続)をベースとする無線アクセスが採用されており、なぜなら、ユーザ機器(UE)の送信出力が限られていることを考えれば、ピークデータレートを向上させるよりも広いカバレッジエリアを提供することが優先されるためである。
【0005】
1.25MHzから20MHzに渡る様々なスペクトル配分は、ALM−OFDMサブキャリアの数に対応する割り当てによってサポートされる。時分割デュプレックスおよび周波数分割デュプレックスの両方で可能な、対になっているスペクトルおよび対になってないスペクトルの両方における作動は、ALM−OFDMによってサポートされる。LTEにおいては、与えられたスペクトルを使用してフレキシブルなシステム配備を達成する目的で、1.4、3.0、5.0、10.0、15.0および20.0MHzのような複数の送信帯域幅が指定されている。
【0006】
LTEアーキテクチャ
図1は、LTEの全体的なアーキテクチャを示しており、
図2は、E−UTRANのアーキテクチャをさらに詳しく示している。
【0007】
E−UTRANは、eNodeBから構成されており、eNodeBは、ユーザ機器(UE)に向かうE−UTRAのユーザプレーン(PDCP/RLC/MAC/PHY)および制御プレーン(RRC)のプロトコルを終端させる。eNodeB(eNB)は、物理層(PHY)、メディアアクセス制御(MAC)層、無線リンク制御(RLC)層、およびパケットデータ制御プロトコル(PDCP)層(ユーザプレーンのヘッダ圧縮および暗号化の機能を含んでいる)をホストする。eNodeBは、制御プレーンに対応する無線リソース制御(RRC)機能も提供する。eNodeBは、無線リソース管理、アドミッション制御、スケジューリング、交渉された上りリンクQoS(サービス品質)の実施、セル情報のブロードキャスト、ユーザプレーンデータおよび制御プレーンデータの暗号化/復号化、下りリンク/上りリンクのユーザプレーンパケットヘッダの圧縮/復元など、多くの機能を実行する。eNodeBは、X2インタフェースによって互いに接続されている。
【0008】
eNodeBは、S1インタフェースによってEPC(Evolved Packet Core:進化したパケットコア)に接続されており、より具体的には、S1−MMEによってMME(Mobility Management Entity:移動管理エンティティ)に接続されており、S1−Uによってサービングゲートウェイ(SGW:Serving Gateway)に接続されている。S1インタフェースは、MME/サービングゲートウェイとeNodeBとの間の多対多関係をサポートする。
【0009】
SGWは、ユーザデータパケットのルーティングおよび転送を行う一方で、eNodeB間のハンドオーバ時にユーザプレーンのモビリティアンカー(mobility anchor)としての役割と、LTEとそれ以外の3GPP技術との間のモビリティのためのアンカーとしての役割も果たす(S4インタフェースを終端させ、2G/3Gシステムとパケットデータネットワークゲートウェイ(PDN GW)との間でトラフィックを中継する)。SGWは、アイドル状態のユーザ機器に対しては、そのユーザ機器への下りリンクデータが到着したとき下りリンク(DL)データ経路を終端させ、ページングをトリガする。SGWは、ユーザ機器のコンテキスト(例えば、IPベアラサービスのパラメータ、ネットワーク内部ルーティング情報)を管理および格納する。さらに、SGWは、合法傍受(lawful interception)の場合にユーザトラフィックの複製を実行する。
【0010】
MMEは、LTEのアクセスネットワークの主要な制御ノードである。MMEは、アイドルモードのユーザ機器の追跡およびページング手順(再送信を含む)の役割を担う。MMEは、ベアラの有効化/無効化プロセスに関与し、さらには、最初のアタッチ時と、コアネットワーク(CN)ノードの再配置を伴うLTE内ハンドオーバ時とに、ユーザ機器のサービングゲートウェイを選択する役割も担う。MMEは、(HSSと対話することによって)ユーザを認証する役割を担う。非アクセス層(NAS:Non-Access Stratum)シグナリングはMMEにおいて終端され、MMEは、一時的なIDを生成してユーザ機器に割り当てる役割も担う。MMEは、サービスプロバイダの公衆陸上移動網(PLMN:Public Land Mobile Network)に入るためのユーザ機器の認証を確認し、ユーザ機器のローミング制限を実施する。MMEは、NASシグナリングの暗号化/完全性保護においてネットワーク内の終端点であり、セキュリティキーの管理を行う。シグナリングの合法傍受も、MMEによってサポートされる。さらに、MMEは、LTEのアクセスネットワークと2G/3Gのアクセスネットワークとの間のモビリティのための制御プレーン機能を提供し、SGSNからのS3インタフェースを終端させる。さらに、MMEは、ローミングするユーザ機器のためのホームHSSに向かうS6aインタフェースを終端させる。
【0011】
ハイブリッドARQ方式
信頼できないチャネルを通じてのパケット送信システムにおける誤り検出・訂正のための一般的な手法は、ハイブリッド自動再送要求(HARQ:Hybrid Automatic Repeat reQuest)と称される。ハイブリッドARQは、順方向誤り訂正(FEC)とARQの組合せである。
【0012】
自動再送要求(ARQ)は、データ送信のための誤り制御方法であり、ACKおよびタイムアウトを使用して信頼性のあるデータ送信を達成する。ACKは、受信側によって送信側に送られるメッセージであり、受信側がデータパケットを正しく受信したことを示している。送信側が、タイムアウト(ACKを受信するための適度な時間間隔)より前にACKを受信しない場合、通常では、送信側は、自身がACKを受信するまで、または所定の再送回数を超えるまで、フレームを再送信する。
【0013】
順方向誤り訂正は、データ送信における誤りを制御するために採用され、送信側が自身のメッセージに冗長データを追加する。これにより、受信側は、誤りが発生したかを検出することができ、さらに、送信側からの追加のデータを要求することなくいくつかの誤りを訂正することができる。結果として、順方向誤り訂正により、特定の制限内において誤りのいくつかを訂正できるため、データパケットの再送信をしばしば回避することができる。しかしながら、各データパケットに付加される追加のデータに起因して、この方策では広い帯域幅が要求される。
【0014】
FEC符号化されたパケットが送信され、受信側がそのパケットを正しく復号できない場合(誤りは通常ではCRC(巡回冗長検査)によってチェックされる)、受信側はそのパケットの再送信を要求する。
【0015】
LTEでは、信頼性を提供するために2つのレベルの再送がある。すなわち、MACレイヤでのHARQとRLCレイヤでのアウターARQである。アウターARQは、単一ビットエラー−フィードバック・メカニズム(すなわちACK/NACK)を用いることによって単純に行われるHARQによって修正されない残差を取り扱うために要求される。Nプロセス・ストップアンドウェイトHARQは、DL中の非同期再送とULの同期再送を持つところで用いられる。同期HARQは、HARQブロックの再送があらかじめ定義された周期的間隔で起こることを意味する。それゆえに、明白なシグナリングが、受信機に再送スケジュールを示すために要求されることはない。非同期HARQは、無線インタフェース状況に基づく再送のスケジューリングの柔軟性を提供する。この場合、HARQプロセスのいくらかの識別は、正しい組み合わせおよびプロトコルオペレーションを考慮に入れるために送出される必要がある。
【0016】
下りリンクデータ送信のためのHARQプロトコルオペレーションは、HSDPAに類似する、あるいは、同一でありさえする。
【0017】
上りリンクデータ送信のためのHARQプロトコルオペレーションでは、再送のスケジュールの仕方が異なる2つのオプションがある。再送は、(同期の非適応的再送のために)NACKによってスケジュールされるか、(同期の適応的再送のために)PDCCHによって、明白なスケジューリングされる。同期の非適応的な再送の場合、再送は、前の上りリンク送信と同一のパラメータを使用する。すなわち、再送は、それぞれ同一の変調スキームを使用する同一の物理チャネルリソース上で送出される。
【0018】
同期の適応的再送は、PDCCHを介して明白にスケジュールされるから、eNBは、再送のための特定のパラメータを交換する可能性を持つ。例えば、再送は、上りリンクの中でフラグメーションを避けるために、異なる周波数リソース上でスケジュールされる。あるいは、eNBは、変調スキームを変更したり、UEに再送のために使用するための冗長バージョンを示したりすることができる。
【0019】
HARQフィードバック(ACK/NACK)とPDCCHシグナリングが、同一のタイミングで起こることに留意すべきである。したがって、UEは、同期の非適応的再送が引き起こされるかどうか、すなわち、NACKのみが受信された、または、eNBが同期の適応的再送を要請したか否か、すなわちPDCCHが送出されたか、について確認する必要があるのみである。
【0020】
第1層/第2層(L1/L2)制御シグナリング
スケジューリングされたユーザに、その割り当てステータス、トランスポートフォーマット、およびその他のデータ関連情報(例:HARQ情報、送信電力制御(TPC)コマンド)を知らせる目的で、L1/L2制御シグナリングはデータと一緒に下りリンク上で送信される。L1/L2制御シグナリングは、サブフレームの中で下りリンクデータと一緒に多重化され、ユーザ割り当てがサブフレーム単位で変化しうるものとして仮定される。留意すべき点として、ユーザ割り当てはTTI(送信時間間隔)ベースで実行されることもあり、その場合、TTI長はサブフレームの倍数である。TTI長は、サービスエリアにおいてすべてのユーザについて一定とする、ユーザごとに異なる長さをとりうる、あるいは、ユーザごとに動的な長さとすることもできる。一般的には、L1/L2制御シグナリングをTTIごとに1回送信するのみでよい。L1/L2制御シグナリングは、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)を介して送信される。3GPP,LTEの中では、上りリンクスケジューリンググラントあるいは上りリンクリソース割り当てとも呼ばれる、上りリンク送信のための割り当ても、PDCCHを介して送信される、ということに留意すべきである。
【0021】
下りリンクと上りリンクのデータ送信
下りデータ送信に関して、L1/L2制御シグナリングは、下りリンクパケットデータと共に送信される分離物理チャネル(PDCCH)上で送信される。下りリンク制御情報は、全体的なサイズおよびその分野に含まれる情報も異なるいくつかのフォーマットの中に存在する。現在LTEのリリース8、リリース9(3GPP LTE)に定められた、異なるDCIフォーマットは、3GPP TS36.212、“Multiplexing and channel coding (Release 9)”、バージョン8.8.0あるいは9.0.0、セクション5.3.3.1(http://www.3gpp.orgから入手可能であり、その内容は本明細書に援用される)に詳細に記述されている。このL1/L2制御シグナリングは、一般には以下の情報を含んでいる。
− データが送信される物理リソース(例えば、OFDMにおけるサブキャリアあるいはサブキャリアブロック、CDMAにおけるコード)。この情報は、端末(受信機)に対して、データが送信されるリソースを特定することを可能にする。
− ユーザ機器が、L1/L2制御シグナリングの中にキャリア識別フィールド(CIF:Carrier Indication Field)を持つように構成されているときには、この情報は、特定の制御シグナリング情報が意味されるコンポーネントキャリアを特定する。これは、もう1つのコンポーネントキャリアを対象とした割り当てを、1つのコンポーネントキャリア上で送られること("cross-carrier scheduling")を可能にする。この他の、クロススケジュールコンポーネントキャリアは、例えば、PDCCHにはないコンポーネントキャリア、すなわち、そのクロススケジュールコンポーネントキャリアがL1/L2制御シグナリングを全く運ばないものとすることができる。
− 送信に使われるトランポートフォーマット。これは、データのトランポートブロックサイズ(ペイロードサイズ、情報ビットサイズ)、MCS(Modulation and Coding Scheme)レベル、周波数利用効率、コードレート等である。この情報(通常はリソース割り当て(ユーザ機器に割り当てられたリソースブロック数等)と共に)は、ユーザ機器(受信機)に対して、復調、デレートマッチングおよび復号プロセスを開始するために、情報ビットサイズ、変調方式およびコードレートを明らかにすることを可能とする。この変調方式は、信号によって明確に示される。
− ハイブリッドARQ(HARQ)情報:
・ HARQプロセス数:ユーザ機器に対して、データがマッピングされたハイブリッドARQプロセスを明らかにすることを可能とする。
・ シーケンス数あるいは新規データインジケータ(NDI:New Data Indicator):ユーザ機器に対して、送信パケットが、新規パケットか再送パケットかを明らかにすることを可能とする。ソフト合成が、HARQプロトコルの中で実施されていれば、HAQRプロセス数と共にあるシーケンス数あるいは新規データインジケータは、復号に先だってのPDUのための送信パケットのソフト合成を可能とする。
・ 冗長性および/または配置バージョン:ユーザ機器に、使用された(デレートマッチングにおいて要求された)ハイブリッドARQ冗長性バージョン、および/または、使用された(復調において要求された)配置バージョンを伝える。
・ UE識別(UE ID):L1/L2制御シグナリングがどのユーザ機器を目的としているのかを伝える。典型的な実施の中において、この情報は、この情報を読もうとする他のユーザ機器を妨げるために、L1/L2制御シグナリングのCRCをマスクするために用いられる。
【0022】
上りリンクパケットデータ送信を可能にするために、L1/L2制御シグナリングは、送信の詳細についてユーザ機器に伝えるために、下りリンク(PDCCH)上で送信される。このL1/L2制御シグナリングは、一般には以下の情報を含んでいる。
− データが送信される物理リソース:ユーザ機器がデータを送信するときのもの(例えば、OFDMにおけるサブキャリアあるいはサブキャリアブロック、CDMAにおけるコード)。
− ユーザ機器が、L1/L2制御シグナリングの中にキャリア識別フィールド(CIF:Carrier Indication Field)を持つように構成されているときには、この情報は、特定の制御シグナリング情報が意味されるコンポーネントキャリアを特定する。これは、もう1つのコンポーネントキャリアを対象とした割り当てを、1つのコンポーネントキャリア上で送られること("cross-carrier scheduling")を可能にする。この他の、クロススケジュールコンポーネントキャリアは、例えば、PDCCHにはないコンポーネントキャリア、すなわち、そのクロススケジュールコンポーネントキャリアがL1/L2制御シグナリングを全く運ばないものとすることができる。
− 上りリンクグラントのためのL1/L2制御シグナリング:上りリンクのコンポーネントキャリアとリンクされたDLコンポーネントキャリアで、あるいは、いくつかのDLコンポーネントキャリアが同一のULコンポーネントキャリアにリンクしていればいくつかのDLコンポーネントキャリアのひとつで送られる。
− トランポートフォーマット:ユーザ機器が送信のために使うべきもの。これは、データのトランポートブロックサイズ(ペイロードサイズ、情報ビットサイズ)、MCS(Modulation and Coding Scheme)レベル、周波数利用効率、コードレート等である。この情報(通常はリソース割り当て(ユーザ機器に割り当てられたリソースブロック数等)と共に)は、ユーザ機器(受信機)に対して、復調、デレートマッチングおよび復号プロセスを開始するために、情報ビットサイズ、変調方式およびコードレートを明らかにすることを可能とする。この変調方式は、信号によって明確に示される。
− ハイブリッドARQ(HARQ)情報:
・ シーケンス数あるいは新規データインジケータ:ユーザ機器に、新規パケットあるいは再送パケットを送信することを伝える。
・ 冗長性および/または配置バージョン:ユーザ機器に、使用された(デレートマッチングにおいて要求された)ハイブリッドARQ冗長性バージョン、および/または、使用された(復調において要求された)配置バージョンを伝える。
・ UE識別(UE ID):L1/L2制御シグナリングがどのユーザ機器を目的としているのかを伝える。典型的な実施の中において、この情報は、この情報を読もうとする他のユーザ機器を妨げるために、L1/L2制御シグナリングのCRCをマスクするために用いられる。
【0023】
上りリンクと下りリンクのデータ伝送の中で上記に言及した情報部分の正確な送信の仕方についていくつかの異なる可能性がある。さらに、上りリンクと下りリンクの中で、L1/L2制御シグナリングが、さらなる情報を含む、あるいは、情報の一部を省略するかもしれない。例えば、以下の通りである。
− (いつも同一の冗長および/または配置(constellation)バージョンである)チェイスコンバイニングが使用されるか、冗長および/または配置バージョンが事前に決定されれば、冗長および/または配置バージョンは必要ないかもしれず、このためシグナリングされないかもしれない。
− 電力制御情報は、制御信号の中に追加的に含められるかもしれない。
− 例えば、プレコーディングのような制御情報に関連したMIMOは、制御信号の中に追加的に含められるかもしれない。
− 複数の符号語のMIMO送信のケースにおいて、トランスポートフォーマットおよび/または複数の符号語のためのHARQ情報は、含められるかもしれない。
【0024】
LTEの中で、PDCCH上で送出された(物理上りリンクシェアードチャネル(PUSCH)上の)上りリンクリソースの割り当てのために、L1/L2制御シグナリングは、HAQRプロセス数を含まない。これは、同期HARQプロトコルがLTE上り回線のために使用されるためである。上りリンク送信に使われるHARQプロセスは、タイミングによって与えられる。さらに、冗長バージョン(RV)情報がトランスポートフォーマット情報と共同で符号化される点に留意する必要がある。すなわち、RV情報は、トランスポートフォーマット(TF)フィールドの中に埋め込まれる。トランスポートフォーマット(TF)のそれぞれの変調と符号化のスキーム(MCS)フィールドは、例えば5ビットのサイズを持ち、それらは、32エントリに対応する。3つのTF/MCSテーブルエントリは、冗長バージョン(RV)1、2または3を示すために予約される。残りのMCSテーブルエントリは、暗黙的にRV0を示すMCSレベル(TBS)を送出するために使用される。PUSCHのためにPDCCH上で送信される上りリンク割り当てのためのTBS/RVシグナリングは、以下の(規格TS36.213、テーブル8.6.1−1から取られた)テーブル1に示される。
【表1】
【0025】
PDCCHのCRCフィールドのサイズは16ビットである。変調オーダとトランスポートブロックサイズの計算は、規格TS36.213のセクション8.6.2の中に記載されている(http://www.3gpp.orgから入手可能であり、その内容は本明細書に援用される)。上りリンクPUSCH送信のために使用されるトランスポートブロックサイズテーブルは、規格TS36.213のセクション7.1.7.2.1の中に見ることができる(http://www.3gpp.orgから入手可能であり、その内容は本明細書に援用される)。
【0026】
LTEの中のPDCCH上でシグナリングされる下りリンク割り当て(PDSCH)に対して、冗長バージョン(RV)が2ビットの領域の中に分かれてシグナリングされる。変調オーダ情報は、トランスポートフォーマット情報とともに一体で符号化される。上りリンクのケースと同様に、PDCCH上でシグナリングされる5ビットのMCS領域がある。エントリの3つは、トランスポートフォーマット(トランスポートブロック)情報を提供しない明示的な変調オーダをシグナリングするために受信される。残りの29エントリのために、変調オーダおよびトランスポートブロックサイズ情報が、(規格TS26.213、Table 7.7.7.1−1から得られる)PDSSHのために以下のテーブル2で示されるようにシグナリングされる。
【表2】
【0027】
変調オーダとトランスポートブロックサイズの計算は、規格TS36.213のセクション7.1.7の中に記載されている。
【0028】
半永続スケジューリング(SPS)
下りリンクおよび上りリンクでは、スケジューリングを行うeNodeBは、ユーザ機器がそれらを特定するC−RNTIを介してアドレスされるL1/L2制御チャネル(PDCCH)を介して送信時間間隔毎にユーザ機器にリソースを動的に割り当てる。既に上記で示したように、PDCCHのCRCは、アドレスされたユーザ機器のC−RNTI(動的PDCCHと呼ばれる)とともにマークされる。マッチングC−RNTIによるユーザ機器のみが、正しくPDCCHの内容を復号することができる。即ち、CRCチェックがポジティブである。この種のPDCCHシグナリングは、動的(スケジューリング)グラントとも呼ばれる。ユーザ機器は、それが割り当てられる可能性がある割り当て(下りリンクと上りリンク)を見つけるために、動的なグラントのためにL1/L2制御チャネルを送信時間間隔毎に監視する。
【0029】
加えて、E−UTRANは、永続的に、最初のHARQ送信に対して、上りリンク/下りリンクリソースを割り当てることができる。要求されたとき、再送は、L1/L2制御チャネルを介して明白に合図される。再送は、動的にスケジューリングされるため、この種のオペレーションは、半永続スケジューリング(SPS)と呼ばれる。すなわち、リソースは半永続的な原則(半永続的なリソース割り当て)で、ユーザ機器に割り当てられる。その利益は、最初のHARQ送信のためのPDCCHリソースが保存されることである。半永続スケジューリングが、SCellではなく、リリース10の中のPCellで使用されるかもしれない。
【0030】
半永続スケジューリングを使用してスケジューリングされるかもしれない1つの例は、ボイスオーバIP(VoIP)である。20ms毎にVoIPパケットは、トーク・スパート(talk-spurt)の間のコーデックで生成される。したがって、eNodeBは、20ms毎に、上りリンクあるいはそれぞれの下りリンクリソースを割り当てることができる。そのとき、そのリソースは、ボイスオーバIPパケットの送信のために使用され得る。一般的に、半永続スケジューリングは、予想されるトラフィック挙動が予測可能であるサービス(すなわち、ビットレートが一定であり、パケット到着時間が周期的である)に対するサービスのために有益である。
【0031】
ユーザ機器も、永続的に、最初の送信のために割り当てられたリソースのサブフレームの中でPDCCHを監視する。動的(スケジューリング)グラント、すなわち、C−RNTI−マスクされたCRCによるPDCCHは、半永続的なリソース割り当てを優先させることができる。このケースでは、ユーザ機器は、ユーザ機器が半永続的なリソース割り当てを持つサブフレームの中に、L1/L2制御チャネル上のC−RNTIを見つけた場合、このL1/L2制御チャネル割り当ては、送信時間間隔のための永続的リソース割り当てよりも優先される。そして、ユーザ機器は、動的グラントに従う。ユーザ機器は、動的グラントを探し出せないとき、半永続的なリソース割り当てに従って送信/受信を行う。
【0032】
半永続スケジューリングの構成は、RRCシグナリングによって行われる。例えば、永続的な配分の周期性(例えばPS_PERIOD)は、無線リソース制御(RRC)シグナリングの中で合図される。永続的な配分のアクティブ化、さらには物理的リソースおよびトランスポートフォーマットパラメータの正確なタイミングは、PDCCHシグナリングを介して送られる。一旦、半永続スケジューリングがアクティブ化すると、ユーザ機器は、すべてのPS_PERIODにおいてSPSアクティブ化PDCCHに従って半永続的なリソース割り当てを続ける。基本的に、ユーザ機器は、SPSアクティブ化PDCCHを保存し、合図された周期で、PDCCHに従う。
【0033】
永続スケジューリングをアクティブ化する動的PDCCH(SPSアクティブ化PDCCHとも呼ばれる)をPDCCHから区別するために、分離識別子が導入されている。基本的に、SPSアクティブ化PDCCHのCRCは、以下ではSPS C−RNTIと呼ばれるこの追加識別子によってマスクされる。SPS C−RNTIのサイズも、通常のC−RNTIと同じく16ビットである。さらに、SPS C−RNTIは、ユーザ機器特有のものであるすなわち、半永続のために構成される各ユーザ機器は、ユニークなSPS C−RNTIを割り当てられる。
【0034】
このケースでは、ユーザ機器は、半永続的なリソース割り当てが、対応するSPSアクティブ化PDCCHによってアクティブ化されたことを検出する。そのユーザ機器は、PDCCHの内容(すなわち半永続的なリソース割り当て指示)を記憶し、すべての半永続スケジューリング間隔、すなわち、RRCを介して合図された間隔でそれを適用する。既に述べたように、動的PDCCH上で合図される動的割り当ては、1回限りの割り当てである。SPS割り当ての再送も、SPS C−RNTIを使用して合図される。SPSアクティブ化をSPS再送から区別するために、NDI(新規データインジケータ)ビットが使用される。SPSアクティブ化は、NDIビットを0にセットすることによって示される。1にセットされたNDIビットのSPS PDCCHは、半永続スケジューリングされた最初の送信に対する再送を示す。
【0035】
半永続スケジューリングのアクティブ化と同様に、eNodeBは、SPSリソース開放とも呼ばれる、半永続スケジューリングを非アクティブ化することもできる。半永続スケジューリングの割り当ての取り消しが合図されるいくつかのオプションがある。1つのオプションは、いくつかの予め定義された値、すなわち、ゼロサイズリソース割り当てを示すSPS PDCCHにセットされるいくつかのPDCCHフィールドで、PDCCHシグナリングを使用することである。もうひとつのオプションは、MAC制御シグナリングを使用することである。
【0036】
LTEにおけるコンポーネントキャリアの構造
3GPP LTEシステムの下りリンクコンポーネントキャリアは、時間周波数領域でいわゆるサブフレームに副分割される。3GPP LTEでは、各サブフレームは、
図3に示されている2つの下りリンクスロットに分割され、第1の下りリンクスロットは、第1のOFDMシンボル内に制御チャネル領域(PDCCH領域)を含む。各サブフレームは、時間領域で所与の個数のOFDMシンボルからなり(3GPP LTE(リリース8)では12個または14個のOFDMシンボル)、OFDMシンボルのそれぞれは、コンポーネントキャリアの全帯域幅にまたがる。したがって、OFDMシンボルは、それぞれ、
図4にも示されているように、
【数1】
個のサブキャリア上で送信される複数の変調シンボルからなる。
【0037】
たとえば3GPPロング・ターム・エボリューション(LTE)で使用されているように、複数キャリア通信システム、たとえばOFDMを使用すると仮定すると、スケジューラによって割り当てることのできるリソースの最小単位は、1「リソースブロック」である。物理リソースブロックは、
図4に例示されているように、時間領域では
【数2】
個の連続するOFDMシンボル、周波数領域では
【数3】
個の連続するサブキャリアとして定義される。したがって、3GPP LTE(リリース8)では、物理リソースブロックは、時間領域の1スロット、周波数領域の180kHzに対応する
【数4】
個のリソース要素からなる(下りリンク・リソース・グリッドに関するさらなる詳細については、たとえば、http://www.3gpp.orgから入手可能であり、その内容が本明細書に援用される3GPP TS 36.211、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E−UTRA);Physical Channels and Modulation(Release 8)」、version 8.9.0または9.0.0、セクション6.2を参照されたい)。
【0038】
「コンポーネントキャリア」という用語は、数個のリソースブロックの組合せに言及する。LTEの将来のリリースにおいて、「コンポーネントキャリア」という用語はもはや使用されない。代わりに、この用語は「セル」に変更される。「セル」は、ダウンリンクリソースおよび任意でアップリンクリソースの組合せに言及する。ダウンリンクリソースのキャリア周波数とアップリンクリソースのキャリア周波数との連結(linking)は、ダウンリンクリソースで送信されるシステム情報に示される
【0039】
LTEのさらなる進化:LTE−Advanced (LTE−A)
世界無線通信会議2007(WRC−07)において、IMT−Advancedの周波数スペクトルが決定された。IMT−Advancedのための全体的な周波数スペクトルは決定されたが、実際に利用可能な周波数帯域幅は、地域または国によって異なる。しかしながら、利用可能な周波数スペクトルのアウトラインの決定に続いて、3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)において無線インタフェースの標準化が開始された。3GPP TSG RAN #39会合では、「Further Advancements for E-UTRA(LTE−Advanced)」に関する検討項目の記述が3GPPの中で承認された。この検討項目は、E−UTRAを進化・発展させるうえで(例えば、IMT−Advancedの要求条件を満たすために)考慮すべき技術要素をカバーしている。以下では、LTE−Aに関連して現在検討されている2つの主要な技術要素について説明する。
【0040】
広い帯域幅のサポートのためのLTE−Aのキャリアアグリゲーション
LTEシステムが20MHzのみをサポートできるのに対して、LTE−Advancedシステムがサポートすることができる帯域幅は100MHzである。近頃、無線周波スペクトルの欠如は、無線ネットワークの開発のボトルネックになっていた。そして、その結果、LTE−Advancedシステムのために十分に広いスペクトルバンドを見つけることは困難である。従って、より広い無線周波スペクトルバンドを得る方法を見つけることは緊急課題であって、ありうる答えはキャリアアグリゲーション機能である。
【0041】
キャリアアグリゲーション(CA)の中で、2またはそれ以上のコンポーネントキャリア(CCE)が、100MHzより広い送信帯域幅をサポートするためにアグリゲートされる。LTEのこれらのキャリアが異なる周波数帯域の中であるとしても、LTEシステムのいくつかのキャリアは100MHzに対して十分に広いLTE−Advancedシステムの中の1つのより広いチャネルにアグリゲートされる。アグリゲーとされたより広いチャネル上で、LTE−Advancedに準拠するユーザ機器は、いくつかのスペクトラム断片に対して同時にアクセスすることができる。一方、LTEユーザ機器は彼らの1つのスペクトル断片だけにのみアクセスすることができる。このように、ビットのコストを下げると同様に、スペクトラムの互換性のための必要性を検討する。
【0042】
少なくとも、上りリンクと下りリンクのコンポーネントキャリアのアグリゲータされた数が同一であるときには、すべてのコンポーネントキャリアは、3GPP LTE(リリース8/9)と互換性を持つように構成され得る。これは、すべてのコンポーネントキャリアが3GPP LTE(リリース8/9)と互換性を持つ必要があることを必ずしも意味するものではない。
【0043】
ユーザ機器は、1または複数のコンポーネントキャリア上で同時に送受信を行ってもよい。同時に送受信可能なコンポーネントキャリアの数は、ユーザ機器の能力に依存する。
【0044】
3GPP LTE(リリース8/9)と互換性を持つユーザ機器は、3GPP LTE(リリース8/9)の仕様に従うCCの構造を規定された単一CC上のみで送受信を行うことができる。一方、キャリアアグリゲーションのための送受信が可能な、3GPP LTE−A(リリース10)と互換性を持つユーザ機器は、複数のコンポーネントキャリア上で同時に送受信を行うことができる。
【0045】
キャリアアグリゲーションは、3GPP LTE(リリース8/9)の数理神秘学(numerology)を使用する周波数領域中の最大110リソースブロックに限定される各コンポーネントキャリアの隣接および非隣接のコンポーネントキャリアの両方に対してサポートする。
【0046】
同一のeNodeB(基地局)から始まる、上りリンクと下りリンクで帯域幅が異なるかもしれない、異なる数のコンポーネントキャリアをアグリゲートするために、3GPP LTE−A(リリース10)と互換性を持つユーザ機器を構成することができる。構成され得る下りリンクのコンポーネントキャリアの数はUEの下りリンクアグリゲーション能力に依存する。対照的に、構成され得る上りリンクのコンポーネントキャリアの数はUEの上りリンクアグリゲーション能力に依存する。下りリンクコンポーネントキャリアより多くの上りリンクコンポーネントキャリアでUEを構成することができないかもしれない。
【0047】
典型的なTDDの配置では、コンポーネントキャリアの数および上りリンクと下りリンクにおける各コンポーネントキャリアの帯域幅は同一となる。同一のeNodeBから始まるコンポーネントキャリアは、同一のカバレッジを供給しない必要がある。
【0048】
隣接してアグリゲートされたコンポーネントキャリアの中心周波数の間隔は、300KHzの倍数である。これは、3GPP LTE(リリース8/9)の100KHz周波数ラスタと互換性を持たせるためと同時に、15KHz間隔のサブキャリアの直交性を保つためである。アグリゲーションシナリオによれば、n×300KHzの間隔は、隣接するコンポーネントキャリア間で使用していない少ない数のサブキャリアの挿入によって容易になされ得る。
【0049】
複数キャリアのアグリゲーションの性質は、MACレイヤ上でのみ公開される。上りリンクと下りリンクの両方のために、各アグリゲートされたコンポーネントキャリアにMACで要求される1つのHARQエンティティがある。(上りリンクのためのSU−MIMOを除いて)コンポーネントキャリア毎に多くても一つのトランポートブロックがある。トランポートブロックとその潜在的なHARQ再送は、同一のコンポーネントキャリア上にマッピングされる必要がある。
【0050】
動的なキャリアアグリゲーションのレイヤ2構造は、下りリンと上りリンクとで、それぞれ、
図5と
図6に示される。
【0051】
RRC接続の設定/再設定で、1つのセルは、セキュリティ入力(1つのECGI、1つのPCIおよび1つのARFCN)およびLTE(リリース8/9)と同様に非アクセス層モビリティ情報(例えばTAI)を提供する。RRC接続の設定/再設定の後、そのセルに対応するコンポーネントキャリアは、プライマリセル(PCell)と呼ばれる。接続モード中のユーザ機器毎に構成される1つの下りリンクプライマリセル(DL PCell)と1つの上りリンクプライマリセル(UL PCell)のみがいつも存在する。コンポーネントキャリアのセットを構成された範囲内で、他のセルは、セカンダリセル(SCells)と呼ばれる。下りリンクと上りリンクのプライマリセルの特徴は以下の通りである:
− 上りリンクPCellは、レイヤ1上りリンク制御情報の送信のために使用される。
− 下りリンクPCellは、SCellsと異なり、非アクティブかすることができない。
− 下りリンクPCellが、レイリーフェージング(RLF)を経験するときであって、下りリンクSCellsがRLFを経験するときではないときに、再設定は引き起こされる。
− 下りリンクPCellは、ハンドオーバ時に変更することができる。
− 非アクセス層情報は、下りリンクPCellから取られる。
− PCellは、ハンドオーバ手順(すなわちセキュリティ鍵変更とRACH手順)でのみ変更され得る。
− PCellは、PUCCHの送信のために使用される。
【0052】
コンポーネントキャリアの設定および再設定は、RRCによって実行され得る。アクティブ化および非アクティブ化は、MAC制御エレメントを介して行われる。イントラLTEハンドオーバで、RRCは、ターゲットセルの中の使用のためにSCellsを追加、削除あるいは変更することができる。新しいSCellを加えるとき、専用のRRCシグナリングがそのSCellのシステム情報を送るために使用される。その情報は、(ハンドオーバのためのリリース8/9の場合のように)送信/受信のために必要となる。
【0053】
ユーザ機器は、キャリアアグリゲーションで構成されるとき、常にアクティブである一組の上りリンクと下りリンクのコンポーネントキャリアが存在する。その一組の下りリンクのコンポーネントキャリアは、「DLアンカーキャリア」とも呼ばれる。同様のことが、上りリンクでも適用される。
【0054】
キャリアアグリゲーションが構成されるとき、ユーザ機器は、同時に複数のコンポーネントキャリアにスケジューリングされるかもしれないが、いつでも、最大でも1つのランダムアクセス手順しか進行しない。クロスキャリアスケジューリングは、もう一つのコンポーネントキャリア上のリソースをスケジューリングするために、コンポーネントキャリアのPDCCHを用いることを可能にする。この目的のために、コンポーネントキャリア識別フィールドは、CIFと呼ばれるそれぞれのDCIフォーマットの中に導入される。
【0055】
否クロスキャリアスケジューリングがあるとき、上りリンクと下りリンクとの間のコンポーネントキャリアのリンクは、グラントが適用されるための上りリンクのコンポーネントキャリアを特定することを可能にする。
【0056】
コンポーネントキャリアの(非)アクティブ化およびDRXオペレーション
キャリアアグリゲーションの中で、UEが1つのコンポーネントキャリアのみで構成されるときにはいつでも、リリース8/9の適用に従う非連続受信(DRX)が適用される。他のケースでは、同一のDRXオペレーションが、全ての、構成されアクティブ化されたコンポーネントキャリア(すなわち、PDCCHを監視するための同一のアクティブ時間)に適用される。アクティブ時間内のとき、コンポーネントキャリアは、いつも、他の構成され、アクティブ化されたコンポーネントキャリア(更なる規制FFS)をスケジューリングするかもしれない。
【0057】
CAが構成されるとき、合理的なUEバッテリの消費を可能にするために、DL SCellのためのコンポーネントキャリアのアクティブ化/非アクティブ化のメカニズムは導入される(すなわち、アクティブ化/非アクティブ化はPCに適用されない)。SCellがアクティブでないとき、UEは、対応するPDCCHまたはPDSCHを受信する必要がなく、CQI測定を実行することを要求されない。反対に、下りリンクSCellがアクティブであるとき、UEは、PDSCHと(存在するならば)PDCCHを受信し、CQI測定を実行することが期待される。同様に、非アクティブ化されたSCellのために、UEは、SCell上にUL−SCHも、SCell上でサウンディング基準信号(SRS)も送信しない。
【0058】
SCellのためのアクティブ化/非アクティブ化のメカニズムの他の詳細は以下の通りである。
− SCellの明白なアクティブ化はMACシグナリングによって行われる。
− SCellの明白な非アクティブ化はMACシグナリングによって行われる。
− SCellの暗黙の非アクティブ化も可能である。
− SCellは、個別にアクティブ化/非アクティブ化され得る。そして、単一のアクティブ化/非アクティブ化コマンドは、構成された下りリンクSCellのサブセットをアクティブ化/非アクティブ化することができる。
− 構成されたCCのセットに追加されたSCellは、最初のうちは非アクティブ化されている。
【0059】
ULレート制御/論理チャネルの優先順位付け手順
UEは、無線ベアラ間で上りリンクリソースの共有を管理する上りリンクレート制御機能を持っている。以下では、この上りリンクレート制御機能は、論理チャネルの優先順位付け手順とも呼ばれる。論理チャネルの優先順位付け(LCP)手順は、新規送信が実行されるとき、すなわち、トランスポートブロックが生成される必要があるときに適用される。キャパシティを割り当てるための1つの提案は、それぞれが、そのベアラのために最小限のデータレートにて割り当てられたものと等価のものを受信するまで、優先順序の中でそれぞれのベアラにリソースを割り当てることである。この後、追加のキャパシティが例えば、優先順序の中で、ベアラに割り当てられる。
【0060】
以下のLPC手順の説明から明らかなように、UEにあるLCP手順の実行は、IP界でよく知られているトークンバケットトモデルに基づく。このモデルの基本機能性は、以下の通りである。周期的そして所定のレートで、データ量を送信するための権利を表すトークンがバケットに加えられる。UEがリソースを与えられるとき、バケットの中のトークンの数によって表される量までデータを送信することが許可される。データを送信するとき、UEは、送信されたデータ量に相当する数のトークンを取り去る。バケットがいっぱいの場合、さらなるトークンは破棄される。
【0061】
トークンの追加のために、このプロセスの繰り返しの期間がTTI毎であると推定され得る。しかし、トークンが毎秒加えられるだけであるようにこの周期を延ばすことが簡単にできる。基本的に、1ms毎にバケットにトークンを加える代わりに、1000トークンが毎秒加えられ得る。以下に、リリース8で使用される論理チャネル優先順位付け手順が記載される(その内容が本明細書に援用される規格TS36.321を参照)。
【0062】
RRCは、各論理チャネルに対して、シグナリングによって上りリンクデータのスケジューリングを制御する。
− "priority":増加している優先度値が、低い優先度レベルを示す。
− "prioritisedBitRate":優先されるビットレート(PBR)をセットする。
− "bucketSizeDuration":バケットサイズ期間(BSD)をセットする。
【0063】
優先されるビット率の後の考えは、潜在的枯渇を避けるために最小限のビットレートを、各々のベアラ(低い優先度の非GBRベアラを含む)のため、サポートすることである。各ベアラは、優先されるビットレート(PBR)を成し遂げるために、十分なリソースを少なくとも得なければならない。
【0064】
UEは、各論理チャネルjのために可変的なBjを維持する。関連した論理チャネルが確立されるとき、Bjはゼロまで初期化されて、TTI毎に製品PBR×TTI期間によってインクリメントされる。ここで、PBRは、論理チャネルjの優先されるビットレートである。しかしながら、Bjの値はバケットサイズを決して超えることができない。そして、Bjの値が論理チャネルjのバケットサイズより大きいならば、それはバケットサイズにセットされる。論理チャネルのバケットサイズはPBR×BSDに等しい。ここで、PBRとBSDは上位レイヤによって構成される。
【0065】
UEは、新たな送信が実行されるときに、以下の論理チャネル優先順位付け手順を実行する。
− UEは、下記のステップの中で、論理チャネルにリソースを割り当てる。
− ステップ1:Bj>0の全ての論理チャネルは、減少している優先度の命令の中でリソースが割り当てられる。無線ベアラのPBRが「無限」にセットされているのであれば、UEは、低い優先度の無線ベアラのPBRを満たす前に、無線上で送信可能な全てのデータのためにリソースを割り当てる。
− ステップ2:UEは、ステップ1の中で、論理チャネルjのために扱われるMAC SDUの総サイズによってBjを減少させる。
注意:Bjの値は、負であり得る。
− ステップ3:リソースが残れば、全ての論理チャネルは、最初に来るものはどれでも、論理チャネルのためのデータあるいはULグラントが使い果たされるまで、(Bjの値に関係なく)厳しく減少している優先度の命令の中で扱われる。等しい優先度で構成される論理チャネルは、等しく扱われる。
− UEは、上記スケジューリング手順の間、下記のルールにも従う。
− 全てのSDU(あるいは部分的に送信されたSDUあるいは再送されたRLC SDU)が、残留している資源に適合するならば、UEは、RLC SDU(あるいは部分的に送信されたSDUあるいは再送されたRLC SDU)を分割しない。
− UEが論理チャネルからRLC SDUを分割するならば、UEは、可能な限りグラントを満たすために、分割のサイズを最大にする。
− UEは、データの送信を最大にする。
【0066】
論理チャネル優先順位付け手順のために、UEは、減少している命令の中で、以下の相対的な優先度を考慮する。
− C−RNTIのためのMAC制御エレメントまたはUL−CCCHからのデータ
− パディングのために含まれるBSRを除く、BSR(バッファ状態報告)のためのMAC制御エレメント
− PHRまたは拡張されたPHRのためのMAC制御エレメント
− UL−CCCHからのデータを除く、いずれかの論理チャネルからのデータ
− パディングのために含まれるBSRのためのMAC制御エレメント
【0067】
UEは、例えば、キャリアアグリゲーションあるいはUL空間多重のケースのように、1つのTTIの中に複数のMAC PDUを送信することを要求されたとき、ステップ1から3および関連のルールは、独立して各グラントに、あるいは、グラントの容量の合計に適用されるかもしれない。グラントが作動された命令も、UEの実施に任せられる。UEが1つのTTIの中に複数のMAC PDUを送信することを要求されたとき、MAC制御エレメントが含められたMAC PDUを決定することは、UEの実施に任されている。
【0068】
電力制御
移動通信システムの上りリンク送信電力制御は、システムの他のユーザの干渉を最小化し、ユーザ機器のバッテリ寿命を最大化する必要性に対して、要求されるQoSを成し遂げるために十分なビットあたりの送信電力のための必要性とのバランスを取ることを目的として提供される。電力制御(PC)の役割は、近隣のセルに因る干渉を同時に制御する間に、要求されたSINR(希望波対干渉波および雑音の比)を提供するために重大なものでなる。上りリンクの中の古典的なPCのアイデアは、全補償(full compensation)として知られる、全てのユーザからの信号が同一のSINRで受信されるということである。これに代えて、LTEのリリース8/9において、部分電力制御(FPC:Fractional Power Control)の使用を採用した。この新しい機能では、経路損失の大きいユーザは、より低いSINR要件で動作し、したがって多くの場合、隣接セルに引き起こされる干渉が小さい。
【0069】
LTEのリリース8/9の中で提供される電力制御方式は、開ループ制御と閉ループ制御の組み合わせを用いる。オペレーションのモードは、パスロス評価に基づく開ループ手段によって、送信電力密度スペクトルに対する粗い動作点を設定することを必要とする。より速いオペレーションが、閉ループ電力制御によって開ループ動作点のまわりで適用され得る。これは干渉を制御し、速いフェージングを含むチャネル状況に合うために、電力のセッティングを微調整する。
【0070】
このメカニズムの組合せで、LTEのリリース8/9の中の電力制御方式は、オペレーションの複数のモードをサポートする。それは、配備シナリオ、システム負荷およびオペレータ選択に従う異なる電力制御戦略のためのツールキットとみなすことができる。
【0071】
3GPP TS36.213のセクション5.1の中で、LTEのリリース8/9においては、物理上りリンクシェアードチャネル(PUSCH)、物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)、およびサウンディング参照信号(SRS)に対して、きめ細かい電力制御式が指定されている(http//www.3gpp.orgから入手可能であり、その内容が本明細書に援用される)。これらの上りリンク信号のそれぞれの式は、同じ基本原理に従う。全てのケースにおいて、電力制御式は、2つの主項、すなわち基地局装置によってシグナリングされる静的パラメータまたは半静的パラメータから導かれる、開ループの基本動作点と、サブフレームごとに更新される動的オフセット(補正)と、の合計と考えることができる。
【0072】
リソースブロックあたりの送信電力のための開ループの基本動作点は、セル間干渉やセル負荷など複数の要因に依存する。開ループの基本動作点は、さらに2つの成分として、半静的な基本レベルP
0(これはさらにセル内のすべてのユーザ機器(UE)の共通電力レベル(測定単位:dBm)とユーザ機器に固有なオフセットとからなる)と、開ループの経路損失補償成分とに、分解することができる。リソースブロックあたりの電力の動的オフセットの部分は、さらに2つの成分として、変調・符号化方式(MCS)に依存する成分と、明示的な送信電力制御(TPC:Transmitter Power Control)コマンドとに、分解することができる。
【0073】
MCSに依存する成分(LTE仕様ではΔ
TFと称し、TFはトランスポートフォーマットの略)は、リソースブロックあたりの送信電力を、送信される情報のデータレートに従って適合させることができる。
【0074】
動的オフセットのもう1つの成分は、ユーザ機器に固有なTPCコマンドである。このコマンドは、以下の2種類のモード、すなわち、累積的TPCコマンド(PUSCH、PUCCH、およびSRSに対して利用できる)、および。絶対的TPCコマンド(PUSCHのみに対して利用できる)で動作することができる。PUSCHに対して、これら2つのモードの間の切替えは、ユーザ機器ごとにRRCシグナリングによって半静的に設定される(すなわち、モードを動的に変更することはできない)。累積的TPCコマンドの場合、各TPCコマンドは、前のレベルを基準としたときの電力ステップをシグナリングする。
【0075】
関連するサブフレームiのPUSCH送信のためのUE送信電力P
PDSCH[dBm]のセッティングは、その内容が本明細書に援用される3GPP TS36.213のセクション5.1.1.1から明確に定義される。
【0076】
パワーヘッドルーム報告
eNodeBが上りリンク送信リソースを適当な形で異なるユーザ機器にスケジューリングするのを援助するためには、ユーザ機器がその使用可能なパワーヘッドルームをeNodeBに報告できることが重要である。eNodeBは、ユーザ機器がサブフレームあたりどれほどの上りリンク帯域幅を使用できるのかを判定するのに、パワーヘッドルーム報告を使用することができる。これは、リソースの浪費を避けるために上りリンク送信リソースを使用できないユーザ機器に、そのリソースを割り当てるのを避けるのを助ける。
【0077】
パワーヘッドルーム報告の範囲は、+40dBから−23dBまでである(http//www.3gpp.orgから入手可能であり、その内容が本明細書に援用される3GPP TS 36.133を参照されたい)。この範囲の負の部分は、ユーザ機器が、そのユーザ機器(UE)が使用可能であるものより多くの送信電力を要求するUL許可を受信した範囲をeNodeBにシグナリングすることを可能にする。これは、eNodeBが、後続許可のサイズを減らし、送信リソースを解放して他のUEにその送信リソースを割り当てることを可能にする。
【0078】
パワーヘッドルーム報告を、UEがUL送信許可を有するサブフレーム内でのみ送信することができる。この報告は、それが送信されるサブフレームに関連する。したがって、ヘッドルーム報告は、直接測定値ではなく予測であり、UEは、報告が送信されるサブフレームの実際の送信パワーヘッドルームを直接に測定することができない。したがって、UEは、UEの電力増幅器出力の穏当に正確な校正に頼る。
【0079】
パワーヘッドルーム報告をトリガする複数の判断基準が定義されている。これらは、次を含む。
−最後のパワーヘッドルーム報告以降の推定経路損の大きい変化。
−以前のパワーヘッドルーム報告以降に、構成された時間を超える時間が経過した。
−構成された個数を超える個数の閉ループTPCコマンドがUEによって実施された。
【0080】
eNodeBは、システム負荷およびそのスケジューリング・アルゴリズムの要件に応じて、これらのトリガのそれぞれを制御するためにパラメータを構成することができる。より具体的には、RRCは、2つのタイマperiodicPHR−TimerおよびprohibitPHR−Timerを構成することと、パワーヘッドルーム報告をトリガするための測定された下りリンク経路損の変化をセットするdl−PathlossChangeをシグナリングすることとによって、パワーヘッドルーム報告を制御する。
【0081】
パワーヘッドルーム報告は、MAC制御要素として送信される。パワーヘッドルーム報告は、最上位2ビットが予約済みであり、最下位6ビットが1dBステップで上述の64dB値を表す、単一のオクテットからなる。このMAC制御要素の構造を、
図7に示す。
【0082】
R領域は、予約されたビットで有り、「0」にセットされる。パワーヘッドルーム(PH)領域は、パワーヘッドルームレベルを示す。その領域の長さは6ビットである。報告されたヘッドルームおよび対応するパワーヘッドルームレベルは、規格TS36.321のテーブル6.1.3.6−1に示されている。
【0083】
サブフレームiについて有効なUEパワーヘッドルームPH[dB]は、以下の式1によって定義される(3GPP TS 36.213のセクション5.1.1.2を参照されたい)。
PH(i)=P
CMAX−{10・log
10(M
PUSCH(i))+P
O_PUSCH(j)+α(j)・PL+Δ
TF(i)+f(i)} 式1
【0084】
パワーヘッドルームは、1dBのステップで範囲[40;−23]dB内の最も近い値に丸められる。P
CMAXは、総最大UE送信電力(またはユーザ機器の総最大送信電力)であり、次の制約に基づいてP
CMAX_LおよびP
CMAX_Hの所与の範囲内でユーザ機器によって選択される値である。
【0085】
−P
CMAX_L≦P
CMAX≦P
CMAX_H
−P
CMAX_L=min(P
EMAX−ΔT
C,P
PowerClass−MPR−AMPR−ΔT
C)
−P
CMAX_H=min(P
EMAX,P
PowerClass)
【0086】
P
EMAXは、ネットワークによってシグナリングされる値であり、ΔT
C、MPR、およびAMPR(A−MPR(追加最大電力削減)とも表される)は、http//www.3gpp.orgから入手可能であり、その内容が本明細書に援用される3GPP TS 36.101の中で明示されている。
【0087】
MPRは、さまざまな変調方式および送信帯域幅に関連する隣接チャネル漏洩電力比(ACLR)を制御するのに使用される電力削減値である。
【0088】
A−MPRは、追加最大電力削減である。AMPRは、帯域固有であり、ネットワークによって構成される時に適用される。したがって、P
CMAXは、UE実施態様固有であり、したがって、eNBには未知である。
【0089】
キャリアアグリゲーションに関する上りリンク電力制御
LTE−AdvancedにおけるUL電力制御の1つの主なポイントは、コンポーネントキャリア固有上りリンク電力制御がサポートされていること、すなわち、ユーザ機器のために構成された上りリンクコンポーネントキャリアごとに1つの独立の電力制御ループがあることである。さらに、パワーヘッドルームがコンポーネントキャリアごとに報告される。
【0090】
さらに、LTEのリリース10では、キャリアアグリゲーションのスコープ内に、2つの最大電力制限、すなわち、総最大UE送信電力P
CNMAXおよびコンポーネントキャリア固有最大送信電力P
CMAC,cがある。3GPP RAN4ワーキング・グループは、単一キャリア動作モードのキャリアアグリゲーション対応ユーザ機器のリンク・バジェットに影響しないようにするために、ユーザ機器あたりの(公称)最大送信電力P
CNMAXと(公称)最大コンポーネントキャリア固有送信電力P
CMAC,cとの両方が、サポートされるキャリアの個数にかかわりなく同一でなければならないことを既に示した。RAN1は、コンポーネントキャリアごとに報告されるパワー・ヘッドルーム報告が、最大電力削減(MPR)を考慮に入れることに合意した。言い替えると、ユーザ機器によって適用される電力削減は、コンポーネントキャリア固有最大送信電力P
cmax,cで考慮される。ここで、cはコンポーネントキャリアを表す。
【0091】
さらに、LTEのリリース8/9とは異なって、LTE−Aのリリース10では、ユーザ機器は、同時PUSCH−PUCCH送信、マルチクラスタ・スケジューリング、および複数コンポーネントキャリア上の同時送信にも対処しなければならず、これは、3GPPのリリース8/9と比較して、より大きいMPR値を必要とし、適用されるMPR値のより大きい変動をも引き起こす。
【0092】
実際の電力削減が、割当のタイプ、標準化されたMPR値、およびユーザ機器実施態様にも依存するので、eNodeBは、各コンポーネントキャリアに対してユーザ機器によって適用される電力削減を知らないことに留意されたい。したがって、eNodeBは、ユーザ機器がそれに関してパワーヘッドルームを計算するコンポーネントキャリア固有最大送信電力を知らない。たとえば、LTEのリリース8/9では、ユーザ機器最大送信電力P
CNMAXは、上で説明したようにある範囲内にあるものとすることができる。
P
CMAX_L≦P
CMAX≦P
CMAX_H
【0093】
上で説明したeNodeBには未知のコンポーネントキャリア固有最大送信電力P
CMAC,cの削減に起因して、eNodeBは、実際に、ユーザ機器がその総最大送信電力P
CNMAXのどれほど近くで動作しているのかを知り得ない。したがって、ユーザ機器が、総ユーザ機器最大送信電力P
CNMAXを超えている(したがって、電力スケーリングを必要とする)状況がある可能性がある。
図8に、ユーザ機器が電力制限される、すなわち、上りリンクで構成されたコンポーネントキャリアCC#1およびCC#2上で電力スケーリングを適用している、例示的なシナリオを示す。ユーザ機器は電力制限されるが、リリース8/9のLTE定義によるコンポーネントキャリア固有パワーヘッドルーム報告は、十分に大きいパワーヘッドルームを示す。
【0094】
コンポーネントキャリアの最大送信電力のために、ユーザ機器によって適用される電力削減がeNodeBには知らされないという事実に起因して、リリース10において、拡張されたパワーヘッドルームMAC制御エレメントとも呼ばれる、新たなパワーヘッドルームMAC制御エレメントを導入することが合意された。リリース8/9のPHR MAC CEフォーマットとの主な違いは、それが、各アクティブ化された上りリンクコンポーネントキャリアに対してリリース8/9のパワーヘッドルーム値を含み、それゆえに可変的なサイズである、ということである。
【0095】
さらに、それは、コンポーネントキャリアに対してパワーヘッドルーム値のみならず、対応するP
CMAC,c(インデックスcのコンポーネントキャリアの最大送信電力)値をも報告する。同時PUSCH−PUCCH送信を説明するために、ユーザ機器は、PCellのために、(タイプ1パワーヘッドルームとも呼ばれる)PUSCHのみの送信に関するリリース8/9のパワーヘッドルーム値を報告し、そして、UEが同時PUSCH−PUCCH送信のために構成されるならば、タイプ2パワーヘッドルームとしても関連する、PUSCHおよびPUSCHの送信を考慮する、更なるパワーヘッドルーム値を報告する。
図9は、タイプ2パワーヘッドルーム情報を含む、拡張されたパワーヘッドルームMAC制御エレメントを示している。
【0096】
拡張されたパワーヘッドルームMAC制御エレメントの中のフィールドは、以下のように定義される。
− Ci:このフィールドは、セルインデックスiのSCellのアクティブ化/非アクティブ化の状態を示す。”1”にセットされたCiフィールドは、インデックスiのSCellに対するPHフィールドが報告されていることを示す。”0”にセットされたCiフィールドは、インデックスiのSCellに対するPHフィールドが報告されていないことを示す。
− R:受信されたビット、”0”にセットされる。
− V:このフィールドは、PH値が実際の送信に基づくか、あるいは、参照フォーマットに基づくかを示す。タイプ1のPHにおいて、V=0はPUSCH上の実際の送信を示し、V=1はPUSCHの参照フォーマットが使用されたことを示す。タイプ2のPHにおいて、V=0はPUCCH上の実際の送信を示し、V=1はPUCCHの参照フォーマットが使用されたことを示す。
− パワーヘッドルーム(PH):このフィールドは、パワーヘッドルームのレベルを示す。このフィールドの長さは、6ビットである。報告されたPHおよび対応するパワーヘッドルームのレベルは、規格36.321のテーブル6.1.3.6-1に示されている。(FFS:対応するVが1であれば、PCMAX,cを含むオクテットは省略される。)
− PCMAX,c:このフィールドは、前述のPHフィールドの計算のために使用されるPCMAX,cを含む。
【0097】
パワーヘッドルーム報告がトリガされたとき、UEは、可能な上りリンクPCellあるいはSCellの1つで、上りリンクリソースの中で、拡張されたパワーヘッドルームMAC制御エレメントを送信する。そのコンポーネントキャリア上で送信されるePHRは、受信された上りリンクグラントおよびパワーヘッドルームを報告するためのトリガに依存する。
【0098】
拡張されたパワーヘッドルームMAC制御エレメントのさらなる詳細は、その内容が本明細書に援用される規格TS36.321のセクション6.1.3の中に載っている。
【0099】
従来技術の課題
上記で説明したように、リリース10に従う、拡張されたパワーヘッドルームMAC制御エレメントは、リリース8/9のものと異なる。
図7乃至9から明らかなように、1つの違いは、拡張されたパワーヘッドルームMAC制御エレメントのサイズが可変であり、例えば、アクティブ化されたコンポーネントキャリアの数に依存し、ユーザ機器が同時PUSCH−PUCCH送信のために構成されているか(すなわち、パワーヘッドルームMAC CEがPCellのためのタイプ2のパワーヘッドルームを含んでいるか)否かに依存する。加えて、(
図9に示す)拡張されたパワーヘッドルームMAC制御エレメントのサイズは、(
図7に示す)通常のパワーヘッドルームMAC制御エレメントのものよりも著しく大きい。
【0100】
リリース8/9によって定義された通常のパワーヘッドルームMAC制御エレメントは、1バイトのみである。ユーザ機器が、同時PUSCH−PUCCH送信のために構成され、2つのアクティブ化された上りリンクコンポーネントキャリアを持っている、と仮定すると、ePHR MAC制御エレメントのサイズは7バイトになる。
【0101】
半永続スケジューリングは、主に、ボイスオーバIPアプリケーションのために設計された。それは、パケットが、小さく、同一のサイズを持ち、周期的に到着する、という特定の特徴を持つ。したがって、半永続スケジューリングに対して割り振られるリソース割り当ては、一般的に小さい。リリース8/9では、トランスポートブロック(TB)サイズテーブルは、最も突出した音声コーデックのために最適化される。すなわち、TBサイズテーブルの確実なエントリは、効果的な半永続スケジューリングのサポートのために定義される。
【0102】
以下のテーブル4は、狭帯域(NB)と広帯域(WB)とで異なる音声コーデックのために最適化される、すなわち異なる適応可能なマルチレート(AMR)に依存するトランスポートブロックサイズを示している。
【表4】
【0103】
例えば、狭帯域で12.2kbpsで符号化された音声データは、320ビットのトランスポートブロックサイズで送信される。ここで、その320ビットは、短いバッファ状態報告あるいはパワーヘッドルーム報告のための16ビットを含む。したがって、音声データは、(プロトコルヘッダを含む)304ビットのVoIPパケットを持っている。2つのMAC制御エレメント(短いBSRおよびPHR)の両方は、対応するMACサブヘッダのために1オクテットプラス1バイトのサイズを持っている。特に、これらのトランスポートブロックサイズは、AMRのための帯域幅の効率的なペイロードフォーマットを使用するRTPペイロードとして、対応するスピーチフレームビットの数に基づいて選択される。加えて、その320ビットは、ROHC(Robust Header Compression)ヘッダの3オクテット、MAC/RLC/PDCPヘッダのための3オクテット、および、ROCHヘッダサイズおよび/またはL2ヘッダサイズ(例えば、短いBSRおよびPHR)の中の小さいバリエーションを扱うための追加の2オクテットを含む。したがって、64ビットが、オーバヘッドのために使用される。残る256ビットが、VoIPペイロードである。同じことが、328ビットのトランスポートブロックサイズに適用される。そこでは、264ビットがVoIPペイロード(RTPペイロード)であり、64ビットがプロトコルおよび制御シグナリングオーバヘッドである。
【0104】
以下のテーブル5は、リリース8/9に従って、リソースブロックサイズN
PRBとトランスポートブロックサイズインデックスI
TBS(1−26)に依存してトランスポートブロックサイズを決めるために使用されるトランスポートブロックサイズテーブルである。トランスポートブロックサイズインデックスI
TBSは、テーブル1、2から参照され得るMCSインデックスによって指示される。
【表5】
【0105】
上記テーブル5は、本発明の議論に関連するリソースブロックサイズ、すなわちリソースブロックサイズ1−10についてのみ示されている。テーブル5から明らかなように、リソースブロック割り当ての大きな数に対してサポートされた明確なトランスポートブロックサイズがある。例えば、328ビット(太字および下線)は、リソースブロックサイズ1−6、8−9に対して割り当てられ得る。同様に、トランスポートブロックサイズ176、208、224および256も、いくつかのリソースブロックサイズに対して、テーブル5の中で示されている。明らかなように、これらのトランスポートブロックサイズは、例えば、テーブル4に従った適応可能なマルチレートのような、典型的な音声コーデックに対して最適化されるものに一致する。
【0106】
例えば、328ビットのトランスポートブロックサイズは、12.2kbpsNB−AMRコーデックあるいは12.65kbpsWB−AMRコーデックのVoIPパケット、および、PHR MAC制御エレメントあるいは代わりの短いBSR MAC制御エレメント(256ビットVoIPデータ+64ビットヘッダ等+8ビットパッディング;264ビットVoIPデータ+64ビットヘッダ等)の送信のために用いられる。
【0107】
PHRあるいはePHRのためのMAC制御エレメントは、論理チャネル優先順位手順の中で、(UL−CCHを除く)論理チャネルのデータよりも高い優先度を持つことに留意すべきである。換言すれば、ePHR/PHRのためのMAC制御エレメントは、上りリンクトランスポートブロックの中に最初に含まれる。残りのビットは、例えばVoIPデータのような論理チャネルに割り当てられる。
【0108】
上記の内容は、LTEのリリース10に従う拡張されたパワーヘッドルーム報告に対して著しく変化する。基本的に、リリース8/9に対して最適化されたトランスポートブロックサイズテーブルは、もはや、リリース10に対して最適化されたものではない。なぜならば、拡張されたパワーヘッドルーム報告のサイズは、可変なものだからである。例えば、328ビットは、8ビット以上を持つ(ePHR MAC CEの最小値は24ビット)拡張されたパワーヘッドルーム報告のために、VoIPパケット(12.2kbpsあるいは12.65kbps)および拡張されたパワーヘッドルーム報告の送信に対して用いられない。したがって、ePHR MAC CEおよびMACサブヘッダは少なくとも32ビットを持つ。
【0109】
半永続スケジューリングのためのトランスポートブロックサイズは、特定の時間に対して固定される。例えば、328ビットのトランスポートブロックサイズは、使用されるためにセットされる。したがって、ユーザ機器がVoIP上りリンクデータのための半永続上りリンクリソースを割り当てられているTTI(例えばサブフレーム)の中でePHR MAC制御エレメントを送信する必要があるケースにおいて、UEは、そのサブフレームに対して上りリンクの中で例えば328ビットのみを送信することができる。論理チャネル優先順位によってトランスポートブロックは、最初に、例えば7バイト長であるePHR MAC制御エレメントで”満たされる”。制御情報(ROHC/MAC/RLC/PDCPヘッダ)の64ビットを考慮すると、328ビットのトランスポートブロックの残りの208ビットが、VoIPデータのために使用され得る。しかしながら、VoIPデータは、例えば(12.2kbpsあるいは12.65kbpsに対して)256あるいは264ビット長である。
【0110】
従って、VoIPデータは、同一のグラントで送信され得ない。MACレイヤは、MAC PDUの残りのビット(すなわちトランスポートブロック)の中で送信される適切なサイズを持つRLC PDUを生成するために、PLC SDUのRLC分割(
図5参照)を実行するRLCレイヤに、これをシグナリングする。
【0111】
RLC分割は、PDCCHと同様に、すなわち、RLC SDUの残りの送信のために、データパケット送信の遅延を増加させるから、一般には回避されるべきである。VoIPサービスに対して厳しい遅延の要求があるから、VoIPパケットのRLC分割は不利である。
【0112】
RLC分割は、上記のトランスポートブロックサイズテーブル5から、より大きいトランスポートブロックサイズ(例えば、328ビットの代わりに392ビット)を使用することによって回避される。しかしながら、これにより、VoIPの容量は著しく減少させられる。すなわち、システムは、リリース8/9のケースのために、以前よりも少ないVoIPユーザ数しかサポートできない。また、拡張されたパワーヘッドルーム報告がトリガされず、そのためにVoIPパケットのみが永続的に割り当てられた上りリンクリソース上で送信されるサブフレームの中で、パディングが、より大きいトランスポートブロックサイズ(例えば、328ビットの代わりの392ビット)を満たすために使用される。VoIPアプリケーションに対してより大きいトランスポートブロックサイズ(例えば、392ビット)を割り当てることのもう1つの不利な点は、トランスポートブロックサイズテーブルの中に392ビットより少ないエントリがあるから、再送のためのスケジューリングの柔軟性を減少させることである。
【0113】
拡張されたパワーヘッドルーム報告は可変であるから、拡張されたパワーヘッドルーム報告を考慮するリリース10のための新たなトランスポートブロックサイズテーブルを定義することは困難である。従って、トランスポートブロックサイズテーブルは、全ての可能なePHR MAC制御エレメントサイズに対して最適化されるわけではない。さらに、リリース10のUEは、基本の(リリース8/9のPHR MAC制御エレメント)パワーヘッドルーム報告および拡張されたパワーヘッドルーム報告をサポートするために、複数のトランスポートブロックサイズテーブルをサポートする必要がある。これは、複雑さを増加させる。