(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945596
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】Si−Mg系無機繊維及びその組成物
(51)【国際特許分類】
C03C 13/00 20060101AFI20160621BHJP
D01F 9/08 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
C03C13/00
D01F9/08 A
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-518077(P2014-518077)
(86)(22)【出願日】2012年5月28日
(86)【国際出願番号】JP2012003463
(87)【国際公開番号】WO2013179330
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2015年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110804
【氏名又は名称】ニチアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086759
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 喜平
(74)【代理人】
【識別番号】100112977
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 有子
(72)【発明者】
【氏名】岩田 耕治
(72)【発明者】
【氏名】北原 英樹
(72)【発明者】
【氏名】持田 貴仁
(72)【発明者】
【氏名】米内山 賢
(72)【発明者】
【氏名】石川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】三木 達郎
【審査官】
増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭61−232245(JP,A)
【文献】
特開昭56−037250(JP,A)
【文献】
特表平02−502372(JP,A)
【文献】
米国特許第04818290(US,A)
【文献】
特開昭55−007593(JP,A)
【文献】
特表平10−503463(JP,A)
【文献】
Torben KNUDSEN et al.,New type of stonewool (HT fibres) with a high dissolution rate at pH=4.5,Glastech. Ber. Glass Sci. Technol.,1996年,vol.69, No.10,p.331-337
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00 − 14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の組成1又は組成2を有する無機繊維用組成物。
[組成1]
SiO2 1.0〜21.5重量%
Al2O3 24.0重量%以上58.0重量%未満
MgO 1.0〜57.0重量%
CaO 7.4重量%未満
SiO2、Al2O3、MgOの合計は85重量%以上
[組成2]
SiO2 1.0〜22.0重量%
Al2O3 58.0重量%以上79.0重量%以下
MgO 19.2〜41.0重量%
CaO 7.4重量%未満
【請求項2】
組成2において、SiO2、Al2O3、MgOの合計が85重量%以上である請求項1記載の無機繊維用組成物。
【請求項3】
以下の組成3−1、組成3−2又は組成4を有する無機繊維用組成物。
[組成3−1]
SiO2 14.0〜51.0重量%
Al2O3 0.0〜39.0重量%
MgO 42.0〜59.0重量%
SiO2、Al2O3、MgOの合計は94.0重量%超
[組成3−2]
SiO2 44.0〜54.0重量%
Al2O3 33.0〜43.0重量%
MgO 8.0〜18.0重量%
SiO2、Al2O3、MgOの合計は94.0重量%超
[組成4]
SiO2 30.0〜41.0重量%
Al2O3 58.0〜69.0重量%
MgO 1.0〜12.0重量%
CaO 6.0重量%以下
SiO2、Al2O3、MgOの合計は94.0重量%超
【請求項4】
Na2Oが2.0重量%以下である請求項1〜3のいずれか記載の無機繊維用組成物。
【請求項5】
以下の組成1、組成2、組成3−1、組成3−2又は組成4を有する無機繊維。
[組成1]
SiO2 1.0〜21.5重量%
Al2O3 24.0重量%以上58.0重量%未満
MgO 1.0〜57.0重量%
CaO 7.4重量%未満
SiO2、Al2O3、MgOの合計は85重量%以上
[組成2]
SiO2 1.0〜22.0重量%
Al2O3 58.0重量%以上79.0重量%以下
MgO 19.2〜41.0重量%
CaO 7.4重量%未満
[組成3−1]
SiO2 14.0〜51.0重量%
Al2O3 0.0〜39.0重量%
MgO 42.0〜59.0重量%
SiO2、Al2O3、MgOの合計は94.0重量%超
[組成3−2]
SiO2 44.0〜54.0重量%
Al2O3 33.0〜43.0重量%
MgO 8.0〜18.0重量%
SiO2、Al2O3、MgOの合計は94.0重量%超
[組成4]
SiO2 30.0〜41.0重量%
Al2O3 58.0〜69.0重量%
MgO 1.0〜12.0重量%
CaO 6.0重量%以下
SiO2、Al2O3、MgOの合計は94.0重量%超
【請求項6】
組成2において、SiO2、Al2O3、MgOの合計が85重量%以上である請求項5記載の無機繊維。
【請求項7】
請求項5又は6記載の無機繊維を含む定形物又は不定形物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体溶解性に優れるSi−Mg系無機繊維とその無機繊維を得るための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アスベストは、軽量で扱いやすく且つ耐熱性に優れるため、例えば、耐熱性のシール材として使用されていた。しかしアスベストは人体に吸入されて肺に疾患を引き起こすため使用が禁止され、これに代わりにセラミック繊維等が使用されている。セラミック繊維等は、耐熱性がアスベストに匹敵する程高く、適切な取り扱いをすれば健康上の問題は無いと考えられているが、より安全性を求められる風潮がある。そこで、人体に吸入されても問題を起こさない又は起こしにくい生体溶解性無機繊維を目指して、様々な生体溶解性繊維が開発されている(例えば、特許文献1,2)。
【0003】
従来市販されている生体溶解性繊維はpH7.4の生理食塩水に対し高い溶解性を持つ物がほとんどであった。一方で繊維が肺に吸入されるとマクロファージに捕り込まれることが知られており、マクロファージ周囲のpHは4.5であることも知られている。従って、pH4.5の生理食塩水に対する溶解性の高い繊維も、肺内で溶解、分解されることが期待される。
【0004】
また、従来の無機繊維は、アスベストと同様に、様々なバインダーや添加物とともに、定形物、不定形物に二次加工されて、熱処理装置、工業窯炉や焼却炉等の炉における目地材、耐火タイル、断熱レンガ、鉄皮、モルタル耐火物等の隙間を埋める目地材、シール材、パッキング材、断熱材等として用いられている。従って、使用の際は高温に晒されることが多く、耐熱性を有することが好ましい。
【0005】
さらに、炉内の部材にアルミナが使用されていることが多く、二次加工品に含まれる繊維が、このアルミナと反応し二次加工品や部材が付着したり溶融したりする問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許公報第3753416号
【特許文献2】特表2005−514318
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、pH4.5の生理食塩水に対する溶解性が高い無機繊維とその無機繊維を得るための組成物を提供することである。
【0008】
本発明によれば、以下の無機繊維用組成物及び無機繊維等が提供される。
1.以下の組成を有する、溶媒は含まない無機繊維用組成物、及び無機繊維。
SiO
2 1.0〜54.5重量%
Al
2O
3 58.0重量%未満
MgO 1.0〜69.0重量%
CaO 6.0重量%以下
SiO
2、Al
2O
3、MgOの合計は94.0重量%超
2.溶融した1記載の無機繊維用組成物を繊維化する無機繊維の製造方法。
3.2記載の製造方法で得られる無機繊維。
4.以下の組成1又は組成2を有する無機繊維用組成物、及び無機繊維。
[組成1]
SiO
2 1.0〜21.5重量%
Al
2O
3 24.0重量%以上58.0重量%未満
MgO 1.0〜57.0重量%
CaO 7.4重量%未満
[組成2]
SiO
2 1.0〜22.0重量%
Al
2O
3 58.0重量%以上79.0重量%以下
MgO 19.2〜41.0重量%
CaO 7.4重量%未満
5.SiO
2、Al
2O
3、MgOの合計が85重量%以上である4記載の無機繊維用組成物、及び無機繊維。
6.以下の組成3又は組成4を有する無機繊維用組成物、及び無機繊維。
[組成3]
SiO
2 1.0〜54.5重量%
Al
2O
3 58.0重量%未満
MgO 3.0〜69.0重量%
CaO 6.0重量%以下
SiO
2、Al
2O
3、MgOの合計は94.0重量%超
[組成4]
SiO
2 30.0〜41.0重量%
Al
2O
3 58.0〜69.0重量%
MgO 1.0〜12.0重量%
CaO 6.0重量%以下
SiO
2、Al
2O
3、MgOの合計は94.0重量%超
7.組成3のSiO
2、Al
2O
3、MgOが以下の量である6記載の無機繊維用組成物、及び無機繊維。
SiO
2 14.0〜51.0重量%
Al
2O
3 0.0〜39.0重量%
MgO 42.0〜59.0重量%
8.組成3のSiO
2、Al
2O
3、MgOが以下の量である6記載の無機繊維用組成物、及び無機繊維。
SiO
2 39.0〜54.5重量%
Al
2O
3 28.0〜48.0重量%
MgO 3.0〜23.0重量%
9.Na
2Oが2.0重量%以下である1及び4〜8のいずれか記載の無機繊維用組成物、及び無機繊維。
10.4〜9のいずれか記載の無機繊維用組成物から得られる無機繊維。
11.3又は10記載の無機繊維を用いて得られる定形物又は不定形物。
【0009】
本発明によれば、pH4.5の生理食塩水に対する溶解性が高い無機繊維とその無機繊維を得るための組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例18で作製した繊維の組成を示す図である。
【
図2】実施例18で作製した繊維のSEM写真である。
【
図3A】実施例19で作製したサンプルAと繊維Aの未加熱のXRDチャートである。
【
図3B】実施例19で作製したサンプルAと繊維Aの加熱後のXRDチャートである。
【
図4】実験例1で実験したCaO、Na
2O、Fe
2O
3の量と体積収縮率の関係を示す図である。
【
図5】実験例1で実験したNa
2Oの量と体積収縮率の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の無機繊維用組成物は以下の組成を有する。
SiO
2 1.0〜54.5重量%
Al
2O
3 58.0重量%未満
MgO 1.0〜69.0重量%
CaO 6.0重量%以下
SiO
2、Al
2O
3、MgOの合計は94.0重量%超
【0012】
上記の組成を以下の組成とすることができる。
SiO
2 4.0〜54.5重量%
Al
2O
3 58.0重量%未満
MgO 4.0〜64.0重量%
CaO 6.0重量%未満
【0013】
また、本発明の無機繊維用組成物は以下の組成1〜4のいずれかを有する。
[組成1]
SiO
2 1.0〜21.5重量%
Al
2O
3 24.0重量%以上58.0重量%未満
MgO 1.0〜57.0重量%
CaO 7.4重量%未満
[組成2]
SiO
2 1.0〜22.0重量%
Al
2O
3 58.0重量%以上79.0重量%以下
MgO 19.2〜41.0重量%
CaO 7.4重量%未満
[組成3]
SiO
2 1.0〜54.5重量%
Al
2O
3 58.0重量%未満
MgO 3.0〜69.0重量%
CaO 6.0重量%以下
SiO
2、Al
2O
3、MgOの合計は94.0重量%超
[組成4]
SiO
2 30.0〜41.0重量%
Al
2O
3 58.0〜69.0重量%
MgO 1.0〜12.0重量%
CaO 6.0重量%以下
SiO
2、Al
2O
3、MgOの合計は94.0重量%超
【0014】
組成1は以下の組成とすることができる。
SiO
2 1.0〜21.5重量%
Al
2O
3 29.0重量%以上58.0重量%未満
MgO 4.0〜52.0重量%
CaO 6.0重量%未満
【0015】
組成3は以下の組成とすることができる。
SiO
2 6.0〜54.5重量%
Al
2O
3 58.0重量%未満
MgO 8.0〜64.0重量%
CaO 6.0重量%未満
【0016】
生体溶解性、耐アルミナ反応性の観点から、好ましくは以下の組成を挙げられる。
SiO
2 14.0〜24.0重量%
Al
2O
3 29.0〜39.0重量%
MgO 42.0〜52.0重量%
【0017】
また、生体溶解性、耐アルミナ反応性の観点から、好ましくは以下の組成を挙げられる。
SiO
2 39.0〜54.5重量%
Al
2O
3 28.0〜48.0重量%
MgO 3.0〜23.0重量%
【0018】
上記の組成物を以下の組成とすることができる。
SiO
2 44.0〜54.0重量%
Al
2O
3 33.0〜43.0重量%
MgO 8.0〜18.0重量%
【0019】
また、生体溶解性、耐アルミナ反応性の観点から、好ましくは以下の組成を挙げられる。
SiO
2 17.0〜21.5重量%
Al
2O
3 63.0重量%以上58.0重量%未満
MgO 5.0〜15.0重量%
【0020】
また、生体溶解性、耐アルミナ反応性の観点から、好ましくは以下の組成を挙げられる。
SiO
2 36.0〜54.5重量%
Al
2O
3 0.0〜10.0重量%
MgO 44.0〜64.0重量%
【0021】
上記の組成物を以下の組成とすることができる。
SiO
2 41.0〜51.0重量%
Al
2O
3 0.0〜3.0重量%
MgO 49.0〜59.0重量%
【0022】
また、生体溶解性、耐アルミナ反応性の観点から、好ましくは以下の組成を挙げられる。
SiO
2 6.0〜16.0重量%
Al
2O
3 46.0〜56.0重量%
MgO 33.0〜43.0重量%
【0023】
また、生体溶解性、耐アルミナ反応性の観点から、好ましくは以下の組成を挙げられる。
SiO
2 25.0〜35.0重量%
Al
2O
3 6.0〜16.0重量%
MgO 54.0〜64.0重量%
【0024】
上記の組成に対応させて、以下のようにできる。
【0025】
SiO
2は、5.0重量%以上、8.0重量%以上、又は10.0重量%以上としてもよい。
SiO
2は、53.0重量%以下又は39.0重量%未満としてもよい。
Al
2O
3は、3.0重量%以上、5.0重量%以上、又は8.0重量%以上としてもよい。
Al
2O
3は、74.0重量%以下してもよい。
MgOは、1.0重量%超、5.0重量%以上、7.0重量%以上、20.0重量%以上、又は21.0重量%以上としてもよい。
MgOは、63.0重量%以下、又は60.0重量%以下としてもよい。
CaOは、7.0重量%以下、5.0重量%以下、2重量%以下又は1重量%以下としてもよい。
【0026】
生体溶解性の観点から、好ましくは、MgOは、30重量%以上、36.5重量%以上、又は38.0重量%以上である。また、生体溶解性の観点から、好ましくは、SiO
2は、20.0重量%以上、又は26.0重量%以上である。耐アルミナ反応性の観点から、好ましくは、Al
2O
3は、34.0重量%以上、43.0重量%以上、又は56.0重量%以上である。耐アルミナ反応性の観点から、好ましくは、MgOは、24.0重量%以下、23.8重量%以下、21.5重量%以下、又は21.0重量%以下である。
【0027】
SiO
2、Al
2O
3、MgOの合計を、85重量%以上、90重量%以上、93重量%以上、95重量%以上、98重量%以上、99重量%以上又は100重量%としてもよい。
特定する成分以外の残りは他の元素の酸化物又は不純物等である。
【0028】
本発明の組成物は、Sc,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Y又はこれらの混合物から選択されるそれぞれの酸化物を含んでも含まなくてもよい。これらの酸化物の量を、それぞれ10重量%以下、5.0重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1.0重量%以下、0.5重量%以下、0.2重量%以下又は0.1重量%以下としてもよい。
【0029】
アルカリ金属酸化物(K
2O、Na
2O、Li
2O等)の各々は含まれても含まれなくてもよく、それぞれ又は合計で10重量%以下、5.0重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1.0重量%以下、0.5重量%以下、0.2重量%以下又は0.1重量%以下とすることができる。アルカリ金属酸化物を5モル%未満とすることもできる。酸化カリウムを12モル%未満又は5モル%未満とすることもできる。
【0030】
TiO
2、ZnO、B
2O
3、P
2O
5、CaO、SrO、BaO、Cr
2O
3、ZrO
2、Fe
2O
3の各々は含まれても含まれなくてもよく、それぞれ10重量%以下、5.0重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1.0重量%以下、0.5重量%以下、0.2重量%以下又は0.1重量%以下とすることができる。
【0031】
加熱収縮率の観点から、Na
2O、Fe
2O
3、特にNa
2Oは少ない程よい。また、CaOは少量のときは少ない程よい。例えば、CaO、Na
2O、Fe
2O
3の合計を2重量%以下、1重量%以下又は0.5重量%以下とできる。
【0032】
上記の組成の各成分の量を任意に組み合わせてもよい。
【0033】
本発明の組成物は通常以下の物質を含まない、又は含んでもそれぞれ1.0重量%以下、0.5重量%以下、0.2重量%以下又は0.1重量%以下である。
酸化ゲルマニウム、酸化テルル、酸化バナジウム、酸化イオウ、リン化合物、スズ、コバルト、酸化マンガン、フッ化物、酸化銅。
【0034】
本発明の組成物から無機繊維を得ることができる。
無機繊維は溶融法、ゾルゲル法等公知の方法で製造できるが、低コストのため溶融法が好ましい。溶融法では、通常の方法により、原料の溶融物を作製し、この溶融物を繊維化して製造する。溶媒は含まない。例えば、高速回転しているホイール上に熔解した原料を流し当てることで繊維化するスピニング法及び熔解した原料に圧縮空気を当てることで繊維化するブロー法等により製造できる。
【0035】
繊維は公知の被覆材により被覆されていてもよいし被覆されていなくてもよい。
【0036】
本発明の繊維は原料の組成の組成と同じであり、上記の組成を有することにより、pH4.5の生理食塩水に対する溶解性に優れる。
【0037】
pH4.5の生理食塩水に対する溶解性は、実施例の測定方法で、好ましくは3.5mg/g以上、より好ましくは5.0mg/g以上、さらに好ましくは6.3mg/g以上である。
【0038】
繊維の溶解性は以下の方法でも測定できる。
繊維を、メンブレンフィルター上に置き、繊維上にマイクロポンプによりpH4.5の生理食塩水を滴下させ、繊維、フィルターを通った濾液を容器内に貯める。貯めた濾液を24、48時間経過後に取り出し、溶出成分をICP発光分析装置により定量し、溶解度及び溶解速度定数を算出する。例えば、測定元素は主要元素であるAl、Ca、Mgの3元素とすることができる。尚、繊維径を測定して単位表面積・単位時間当たりの溶出量である溶解速度定数k(単位:ng/cm
2・h)に換算してもよい。
【0039】
本発明の繊維は、アルミナ反応性が低いことが好ましい。アルミナ反応性は、実施例の測定方法で、好ましくは痕は付くが付着せず、さらに好ましくは付着しないで痕も無いことである。
【0040】
本発明の繊維は、好ましくは800℃以上、1000℃以上、1100℃以上、1200℃以上、1300℃以上、1400℃以上で耐熱性を有する。具体的には、直径約7mm、高さ約15mmの円柱状サンプルを800〜1400℃の所定温度で8時間加熱して求めた体積収縮率(%)が、1400℃−8時間で40%以下、好ましくは30%以下、更に好ましくは23%以下、最も好ましくは15%以下である。1300℃−8時間で40%以下、好ましくは30%以下、更に好ましくは23%以下、最も好ましくは15%以下である。1200℃−8時間で40%以下、好ましくは30%以下、更に好ましくは23%以下、最も好ましくは15%以下である。1100℃−8時間で40%以下、好ましくは30%以下、更に好ましくは23%以下、最も好ましくは15%以下である。1000℃−8時間で40%以下、好ましくは30%以下、更に好ましくは23%以下、最も好ましくは15%以下である。800℃−8時間で40%以下、好ましくは30%以下、更に好ましくは23%以下、最も好ましくは15%以下である。
【0041】
繊維の加熱収縮率は、繊維からブランケットを製造して1100℃,1260℃で24時間焼成した前後で測定することができる。また、引張強度は万能試験機により測定できる。
【0042】
さらに、本発明の繊維は、必須成分の種類が少ないので、配合過程の工数が減り、コスト減となる。また微妙な配合量を調整する成分の種類が少ないことは製造の困難性を低減する。
【0043】
本発明の繊維から、バルク、ブランケット、ブロックや、水等の溶媒を使用し製造するボード、モールド、ペーパー、フェルト等の定形品が得られる。また、水等の溶媒を使用し製造する不定形材料(マスチック、キャスター、コーティング材等)も得られる。
【実施例】
【0044】
実施例1〜17,比較例1
表1に示す繊維組成について以下のように検討した。
まず、表1に示す組成となるように原料を混合し、プレス加工して成形体を得た。この成形体を加熱溶融し、急冷して得られた物を粉砕しサンプルを得た。このサンプルを用いて以下の方法で評価した。その結果を表1に示す。
【0045】
(1)生体溶解性
サンプル1gを、pH4.5の生理食塩水150mLが入った三角フラスコ(容積300mL)に入れた。このフラスコを、37℃のインキュベーター内に設置して、毎分120回転の水平振動を2.5時間継続した。その後、ろ過により得られた濾液に含有されている各元素の量(mg)をICP発光分析装置により測定し、その合計を溶出量とした(mg/サンプル1g)。
【0046】
(2)アルミナ反応性
サンプルを成形して、直径約7mm、厚み約5mmの円柱状サンプルを得た。この円柱状サンプルをアルミナ板に載せて、1400℃8時間加熱して、付着や溶融の有無を観察した。円柱状サンプルが溶融したときは4、付着したときは3、付着しないが痕が残ったときは2、付着もせず痕も残らないときは1とした。
【0047】
比較例2
SiO
2を47質量%、Al
2O
3を52質量%含むセラミック繊維(従来の耐熱性無機繊維)について、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例18
SiO
2、Al
2O
3、MgOの組成が
図1の三角図の○に示す組成であり、CaOは2重量%以下の無機繊維用組成物から、熔融法により繊維を製造した。尚、三角図の黒四角は、実施例1〜17で製造したものである。
繊維の品質は良好又は許容できるものであった。得られた繊維(SiO
244.1重量%、Al
2O
339.9重量%、MgO15.4重量%)のSEM写真を
図2に示す。
【0050】
実施例19
(1)実施例1の方法で、表2に示す組成のサンプルAを作製し、実施例18の方法で、表2に示す組成の繊維Aを作製した。
サンプルAと繊維Aについて、実施例1と同様に、生体溶解性とアルミナ反応性を評価し、耐熱性については以下の方法で評価した。結果を表2に示す。サンプルAと繊維Aの特性はほぼ一致した。
【0051】
(耐熱性)
サンプルA及び繊維Aを成形して、直径約7mm、高さ約15mmの円柱状サンプルを得た。この円柱状サンプルを1400℃8時間加熱して、体積収縮率を求めた。
【0052】
(2)また、サンプルAと繊維AについてXRD測定した。結果を
図3Aに示す。さらに、サンプルAと繊維Aを1400℃で8時間加熱した後、XRD測定して結晶相を確認した。結果を
図3Bに示す。
図3A,Bから分かるように、結晶ピーク、強度ともほぼ同じで、生成結晶相に違いはなかった。
【0053】
【表2】
【0054】
実験例1
(1)SiO
2、Al
2O
3、MgOを主成分とする組成における、CaO、Na
2O、Fe
2O
3の影響を調べた。
まず表3に示す組成A,B,C(重量%)のSiO
2、Al
2O
3、MgOに、CaO、Na
2O、Fe
2O
3を表4に示す量を加えた組成で、実施例1と同様にサンプルを準備し、体積収縮率(1400℃8時間)を測定した。結果を
図4に示す。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
図4から、CaO、Na
2O、Fe
2O
3を添加すると収縮率が高くなり。特にNa
2Oを添加すると収縮率が高くなることが分かる。
【0058】
(2)表3に示す組成Bに、Na
2Oを、添加量(0〜約1.3重量%)を変えて加え、実施例1と同様にサンプルを準備し、体積収縮率(1400℃8時間)を測定した。結果を
図5に示す。
図5から、Na
2Oの量が増えると収縮率が高くなることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の無機繊維は、断熱材、またアスベストの代替品として、様々な用途に用いることができる。
【0060】
上記に本発明の実施形態及び/又は実施例を幾つか詳細に説明したが、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施形態及び/又は実施例に多くの変更を加えることが容易である。従って、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
この明細書に記載の文献の内容を全てここに援用する。