(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945598
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】パラシュート型オストミーパウチ
(51)【国際特許分類】
A61F 5/445 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
A61F5/445
【請求項の数】18
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-525004(P2014-525004)
(86)(22)【出願日】2012年3月1日
(65)【公表番号】特表2014-521473(P2014-521473A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】US2012027215
(87)【国際公開番号】WO2013022487
(87)【国際公開日】20130214
【審査請求日】2014年9月19日
(31)【優先権主張番号】61/521,599
(32)【優先日】2011年8月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591000414
【氏名又は名称】ホリスター・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HOLLISTER INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(72)【発明者】
【氏名】マスターズ、ブロック・エドワード
(72)【発明者】
【氏名】デイビス、ロバート・アンソニー
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−528949(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0171999(US,A1)
【文献】
米国特許第05865819(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/445
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口と、身体側壁と、外側壁とを含むパウチであって、前記身体側壁及び前記外側壁が、それらの周辺縁部に沿って共にシールされて、身体の老廃物を収集するための空洞を画定するパウチと、
剥ぎ取りパネルと
を備えるオストミー器具であって、
該オストミー器具は、第1の表面積を有するコンパクトな状態と、第2の表面積を有する展開状態とを有し、前記第2の表面積は前記第1の表面積よりも大きく、前記オストミー器具は、前記剥ぎ取りパネルを取り除くことによって、前記コンパクトな状態から前記展開状態へ変化するように構成されているオストミー器具。
【請求項2】
前記入口の周りに配置された皮膚バリアをさらに含み、該皮膚バリアは、バリア裏打ち層と、前記身体の老廃物が前記入口を通って前記空洞に流入するように前記オストミー器具を使用者に取り付けるための接着層とを含み、前記バリア裏打ち層は、前記接着層のパウチ側面に積層され、前記身体側壁は、前記入口に近接して前記バリア裏打ち層に取り付けられ、前記剥ぎ取りパネルは、前記バリア裏打ち層の周辺縁部に沿って取り付けられている、請求項1に記載のオストミー器具。
【請求項3】
前記パウチが折り畳まれるかまたは寄せ集められて、前記コンパクトな状態において、前記パウチは、前記バリア裏打ち層と前記剥ぎ取りパネルとの間に収容される、請求項2に記載のオストミー器具。
【請求項4】
前記剥ぎ取りパネルの周辺縁部の近傍に配置されたプルタブをさらに含み、前記剥ぎ取りパネルは、前記バリア裏打ち層に剥ぎ取り可能に取り付けられて、前記プルタブを引っ張ることによって、前記剥ぎ取りパネルが前記バリア裏打ち層から剥がされるようにする、請求項2に記載のオストミー器具。
【請求項5】
前記剥ぎ取りパネルは、ヒートシールによって前記バリア裏打ち層に剥ぎ取り可能に取り付けられる、請求項4に記載のオストミー器具。
【請求項6】
前記剥ぎ取りパネルは、接着層によって前記バリア裏打ち層に剥ぎ取り可能に取り付けられる、請求項4に記載のオストミー器具。
【請求項7】
前記オストミーパウチは、パウチ側連結リングと身体側連結リングとを含む2部片のオストミーパウチであり、前記コンパクトな状態にあるときに、前記パウチは、前記剥ぎ取りパネルの裏側に折り畳まれるかまたは寄せ集められる、請求項1に記載のオストミー器具。
【請求項8】
前記剥ぎ取りパネルは不織シートを含む、請求項1に記載のオストミー器具。
【請求項9】
前記パウチの身体の老廃物を収集する能力は、前記コンパクトな状態におけるよりも前記展開状態において大きい、請求項1〜8のいずれか一項に記載のオストミー器具。
【請求項10】
入口と、身体側壁と、外側壁とを有するパウチであって、前記身体側壁及び前記外側壁が、それらの周辺縁部に沿って共にシールされて、身体の老廃物を収集するための空洞を画定するパウチと、
剥ぎ取りパネルと
を含むオストミー器具であって、
該オストミー器具は、コンパクトな状態及び展開状態を有し、前記身体側壁及び前記外側壁の前記周辺縁部は、前記コンパクトな状態において前記剥ぎ取りパネルの裏側に隠されており、
前記展開状態にあるときに、前記剥ぎ取りパネルは前記オストミー器具から取り除かれており、前記パウチは完全に展開されて、前記展開状態において、身体の老廃物を収集する最大能力を提供するオストミー器具。
【請求項11】
前記パウチは、前記入口の周りに配置された皮膚バリアを含む1部片のパウチであり、前記皮膚バリアは、バリア裏打ち層と、前記身体の老廃物が前記入口を通って前記空洞に流入するように前記オストミー器具を使用者に取り付けるための接着層とを含み、前記バリア裏打ち層は、前記接着層のパウチ側面に積層されており、前記身体側壁は、前記入口に近接して前記バリア裏打ち層に取り付けられ、前記剥ぎ取りパネルは、前記バリア裏打ち層の周辺縁部に沿って取り付けられている、請求項10に記載のオストミー器具。
【請求項12】
前記パウチは、前記剥ぎ取りパネルよりも大きい表面積を有し、前記パウチは、折り畳まれるかまたは寄せ集められて、前記パウチのどの部分も前記剥ぎ取りパネルの前記周辺縁部を越えて延びないように、前記パウチが前記剥ぎ取りパネルによって覆われるようにする、請求項11に記載のオストミー器具。
【請求項13】
前記剥ぎ取りパネルの周辺縁部の近傍に配置されたプルタブをさらに含み、前記剥ぎ取りパネルは、前記バリア裏打ち層に剥ぎ取り可能に取り付けられ、前記プルタブを引っ張ることによって、前記剥ぎ取りパネルが前記バリア裏打ち層から剥がされるようにする、請求項12に記載のオストミー器具。
【請求項14】
前記オストミーパウチは、パウチ側連結リングと身体側連結リングとを含む2部片のオストミーパウチであり、前記コンパクトな状態において、前記パウチは、前記剥ぎ取りパネルの裏側に折り畳まれるかまたは寄せ集められる、請求項10に記載のオストミー器具。
【請求項15】
前記剥ぎ取りパネルは不織シートを含む、請求項10に記載のオストミー器具。
【請求項16】
前記オストミー器具は、前記コンパクトな状態にあるときの身体の老廃物を収集する第1の能力と、前記展開状態にあるときの身体の老廃物を収集する第2の能力とを有し、前記第2の能力は、前記第1の能力の少なくとも3倍上回る、請求項10〜15のいずれか一項に記載のオストミー器具。
【請求項17】
前記パウチは、排出口のない、1回使用の使い捨てパウチである、請求項1〜16のいずれか一項に記載のオストミー器具。
【請求項18】
前記パウチは、閉鎖機構を備えた排出口を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載のオストミー器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はオストミー器具に関し、より詳細には、後で廃棄するためにストーマ開口部を通して身体の老廃物を収集するオストミーパウチに関する。
【背景技術】
【0002】
身体の老廃物の回収のためのオストミーパウチはよく知られている。オストミーパウチは典型的には、回収空洞を画定するように縁部に沿って共に固定された、平坦で対向する側壁を含む。側壁のうち1つには、ストーマを受容する開口部を設け、ストーマを通じて排出される身体の老廃物が回収空洞内に受容されるように、ストーマを包囲するように配置された接着障壁にオストミーパウチを固定するために、接続フランジのような手段が設けられる。その下端において、オストミーパウチは、身体の老廃物の回収の最中に閉じることができるが使用期間の後にオストミーパウチから身体の老廃物を流し出すために開くことができる排出開口部を有してもよい。代替的には、使い捨て用にオストミーパウチを設計してもよく、その場合には、実質的にストーマ排出物で満ちた後にオストミーパウチの全体が廃棄されることになるため、排出開口部を設けることはない。
【0003】
オストミーパウチは、異なる使用者、または個々の使用者の異なる状況に対する異なる収集能力のニーズのために、様々なサイズで利用可能である。例えば、使用者は、一晩もたせるために大きなオストミーバッグを使用したいが、社会活動を行っている最中や運動時には、行動の自由を得るために小さなオストミーバッグやオストミーキャップを使用したいこともある。しかしながら、ストーマ排出物は自由自在に調整できるものではなく、小さなオストミーバッグやオストミーキャップは、ストーマ排出物が突然流出するときにそれを収容する十分な収集能力を提供しないことがある。
【0004】
従って、十分に小さくて、使用者が望む行動の自由をもたらしつつも、ストーマ排出物が突然流出してもそれを収容する十分な収集能力も提供できる、改良型のオストミーパウチに対するニーズがある。
【発明の概要】
【0005】
様々な実施形態によるミニオストミーパウチは、使用者により高い行動の自由をもたらすように十分に小さいが、ストーマ排出物の突然の流出に対応するために、フルサイズのオストミーパウチの収集能力を提供するように拡張するように構成されており、それにより、使用者に、さらなる安全性をもたらす。
【0006】
一つの態様では、オストミー器具は、パウチ及び剥ぎ取りパネルを含んでいる。パウチは、入口と、2つの壁、すなわち、身体側壁及び外側壁とを含み、それらの壁は、それらの周辺縁部に沿って共にシールされて、身体の老廃物を収集するための空洞を画定している。オストミー器具は、コンパクトな状態及び展開状態を有する。展開状態のオストミー器具の表面積は、コンパクトな状態のオストミー器具の表面積よりも大きい。オストミー器具は、剥ぎ取りパネルを取り除くことによって、コンパクトな状態から展開状態に変化するように構成されている。
【0007】
別の態様では、オストミー器具は、パウチ及び剥ぎ取りパネルを含んでいる。パウチは、入口と、2つの壁、すなわち、身体側壁及び外側壁とを含み、それらの壁は、それらの周辺縁部に沿って共にシールされて、身体の老廃物を収集するための空洞を画定している。オストミー器具は、コンパクトな状態及び展開状態を有する。コンパクトな状態では、パウチの壁の周辺縁部は、剥ぎ取りパネルの裏側に隠されている。
【0008】
上述したオストミー器具のいずれかは、入口の周りに配置された皮膚バリアをさらに含んでいる。皮膚バリアは、バリア裏打ち層と、身体の老廃物が入口を通って空洞に流入するようにオストミー器具を使用者に取り付けるための接着層とを含んでいる。バリア裏打ち層は、接着層のパウチ側面に積層されている。パウチの身体側壁は、入口に近接してバリア裏打ち層に取り付けられ、剥ぎ取りパネルは、バリア裏打ち層の周辺縁部に沿って取り付けられている。パウチが折り畳まれるかまたは寄せ集められて、コンパクトな状態において、パウチは、バリア裏打ち層と前記剥ぎ取りパネルとの間に収容される。
【0009】
上述したオストミー器具のいずれかは、剥ぎ取りパネルの周辺縁部の近傍に配置されたプルタブをさらに含むことができる。プルタブは、剥ぎ取りパネルと一体的に形成してもよく、剥ぎ取りパネルとバリア裏打ち層との間に配置された別個の部材としてもよい。剥ぎ取りパネルは、バリア裏打ち層に剥ぎ取り可能に取り付けられて、プルタブを引っ張ることによって、剥ぎ取りパネルがバリア裏打ち層から剥がされるようにすることができる。一つの実施形態では、剥ぎ取りパネルは、ヒートシールによってバリア裏打ち層に剥ぎ取り可能に取り付けられる。別の実施形態では、剥ぎ取りパネルは、接着層によってバリア裏打ち層に剥ぎ取り可能に取り付けられる。
【0010】
いくつかの実施形態では、オストミーパウチは、パウチ側連結リングと身体側連結リングとを含む2部片のオストミーパウチであってもよく、コンパクトな状態にあるときに、パウチは、剥ぎ取りパネルの裏側に折り畳まれるかまたは寄せ集められる。
【0011】
上述したオストミー器具のいずれかは、不織シートで形成された剥ぎ取りパネルを含むことができる。
【0012】
上述したオストミー器具のいずれかは、コンパクトな状態にあるときの身体の老廃物を収集する第1の能力と、展開状態にあるときの身体の老廃物を収集する第2の能力とを有し、第2の能力は、第1の能力よりも大きい。一つの実施形態では、第2の能力は、第1の能力の少なくとも3倍上回る。
【0013】
上述したオストミー器具のいずれかは、排出口のない、1回使用の使い捨てパウチか、または、閉鎖機構を備えた排出口を含むパウチを含むことができる。
【0014】
他の態様、目的、及び利点は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から、より明白になるであろう。
【0015】
本実施形態の利益及び利点は、以下の詳細な説明および添付の図面を検討すると、当業者により容易に明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態による、コンパクトな状態にある1部片のオストミーパウチを含むオストミー器具の斜視図である。
【
図3】
図1の線A−−Aに沿って取ったオストミー器具の断面図である。
【
図4】展開状態にある
図1のオストミー器具の斜視図である。
【
図5】
図4の線B−−Bに沿って取った1部片のオストミーパウチの断面図である。
【
図6】別の実施形態による、2部片のオストミーパウチを含むオストミー器具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、様々な形態の実施形態を受け入れることができるが、本開示は例示とみなされ、かつ説明する特定の実施形態に開示を限定するものではないことを理解して、現在の好ましい実施形態を図面に示しかつ以下で説明する。
【0018】
ここで図面を参照すると、
図1〜4は、オストミー器具10の実施形態を示している。
図1及び
図2は、コンパクトな状態11にあるオストミー器具10を示し、
図4は、展開状態13にあるオストミー器具10を示している。オストミー器具10は一般的に、パウチ12と、皮膚バリア14と、剥ぎ取りパネル16とを含んでいる。
図4に示すように、パウチ12は、異なるサイズで提供できるフルサイズのオストミーパウチである。
【0019】
図3に分解図及び
図2に断面図で示すように、パウチ12は、折り畳まれ、かつ剥ぎ取りパネル16によって適所に固定されて、パウチ12が完全に、剥ぎ取りパネル16と皮膚バリア14との間に画定された空洞15内に収容されるようにする。剥ぎ取りパネル16は、皮膚バリア14のパウチ側面17に剥ぎ取り可能に取り付けられて、オストミー器具10を、
図1及び
図2に示すようなコンパクトな状態11に形成する。コンパクトな状態11のオストミー器具10は、パウチ12が完全に展開されている展開状態13(
図4)のオストミー器具10と比較すると、サイズがかなり小さい。
【0020】
本明細書では、コンパクトな状態11にあるオストミー器具10は、完全に展開されているフルサイズのオストミーパウチと比較するとサイズがかなり小さくされているため、ミニパウチまたはミニオストミー器具とも称する。図示された実施形態のミニパウチの表面積は、剥ぎ取りパネルと実質的に同じである。ミニパウチは、多くの異なるサイズ、好ましくはオストミーキャップと同様のサイズとなることができる。大容量のパウチが必要な場合、使用者は、剥ぎ取りパネル16を取り除いてパウチ12を展開させる。それゆえ、使用者は、例えば、ストーマ排出物の突然の流出によって生じる漏れに起因する事態を心配することなく、公の場のようなより行動の自由が望まれるときに、ミニパウチを装着できる。
【0021】
概括的に説明したオストミー器具10に関して、オストミー器具10の追加的な構造上の詳細を説明する。
図2及び
図5に示すように、パウチ12は、身体側壁18と、外側壁20と、不織シート22とを含んでいる。身体側壁18及び外側壁20は、それらの外周縁部21に沿って共にシールされて、ストーマ排出物を収集するための空洞24を画定している。不織シート22は、外側壁20の外表面に取り付けられている。不織シートは任意選択的であるため、一部の実施形態は、不織シートを含まなくてもよく、または身体側壁の外表面にのみ若しくは両壁の外表面に不織シートを含んでもよい。
【0022】
この実施形態のパウチ12は、使い捨て用の設計であるため、吐出口のない閉鎖端部34を有している。他の実施形態では、パウチは、ストーマ排出物を収集する間は閉鎖することができ、かつパウチからストーマ排出物を周期的に排出するために開放することができる吐出口を含んでもよい。例えば、パウチは、米国特許第7,879,015号明細書のVillefranceら及び米国特許第7,879,016号明細書のMandzijらによって開示されているもののような折り畳み式の閉鎖部を備える排出口を含んでもよく、これらは、両方とも、本出願と同一出願人によるものであり、かつ本願明細書に援用される。そのような実施形態では、吐出用開口部が閉鎖された後、パウチは折り畳まれ、かつ剥ぎ取りパネルによって固定されて、ミニオストミー器具を形成する。
【0023】
身体側壁18は、ストーマを受け入れる入口開口部26を備えている。皮膚バリア14は、入口開口部26の周りに配置されて、ストーマの周囲に取り付けられる。皮膚バリア14は、接着層28と、バリア裏打ち層30と、剥離ライナー32とを含んでいる。バリア裏打ち層30は、接着層28のパウチ側面に積層されている。身体側壁18は、入口開口部26に近接してバリア裏打ち層30に取り付けられている。身体側壁18は、接着剤やヒートシールのような任意の好適な方法によってバリア裏打ち層30に取り付けることができる。好ましくは、身体側壁18は、バリア裏打ち層30にヒートシールされる。身体側壁18及び外側壁20は、同じ材料で、または異なる材料で形成することができ、単層フィルムまたは多層フィルムとすることができる。バリア裏打ち層30も、単層フィルムまたは多層フィルムで形成することができる。好ましくは、身体側壁18及びバリア裏打ち層30は、ヒートシール可能な表面層を含むフィルムで形成され、身体側壁18及びバリア裏打ち層30を一緒にヒートシールできる。
【0024】
パウチ12はまた、米国特許第3,952,727号明細書のNolan及び米国特許第7,559,922号明細書のBottenによって開示されているようなフィルタ36を備えてもよく、これらは、本出願と同一出願人によるものであり、かつ本願明細書に援用される。フィルタ36は、パウチ12に戦略的に配置され、オストミー器具10がコンパクトな状態11にあるときでもパウチ12内の腸内ガスが依然としてフィルタ36を介して出ることができるようにする。図示された実施形態のフィルタ36は、パウチ12の内表面に取り付けられているが、他の実施形態では、フィルタは、パウチの外表面に取り付けられてもよく、またはパウチはフィルタを含まなくてもよい。
【0025】
図2及び
図3に示すように、剥ぎ取りパネル16は、剥ぎ取りパネル16の外周42が全体的に皮膚バリア14の外周44に適合するような形状及びサイズである。剥ぎ取りパネル16は、周辺縁部62から延びるプルタブ60を含んでいる。この実施形態では、プルタブ60は、剥ぎ取りパネル16と一体的に形成されているが、他の実施形態では、剥ぎ取りパネル及びバリア裏打ち層のシールされた周辺縁部からプルタブが延びるように、プルタブは、剥ぎ取りパネル16とバリア裏打ち層30との間に配置された別個の部材としてもよい。図示された実施形態では、プルタブ60は、剥ぎ取りパネル16の上部周辺縁部62に配置されているが、使用者がプルタブを掴んで引く力を加えて、バリア裏打ち層30から剥ぎ取りパネル16を取り除くかまたは剥がすことができる限り、プルタブは、角または底部周辺縁部のような異なる周辺の箇所に配置できる。
【0026】
オストミー器具10をコンパクトな状態11に形成するために、パウチ12は、バリア裏打ち層30の中心64の方へ折り畳まれるかまたは寄せ集められ、パウチ12の周辺縁部21が皮膚バリアの外周44を越えて延びないようにする。パウチ12は折り畳まれるかまたは寄せ集められて、皮膚バリア14の外周44の近傍に、剥ぎ取りパネル16を取り付けるための封止空間50を残す。パウチ12を折り畳むかまたは寄せ集めるとき、折り目や襞が形成されるため、コンパクトな状態11にあるときに、パウチ12内の腸内ガスがフィルタ36を介しかつ剥ぎ取りパネル16を通ってオストミー器具10から出られるように、フィルタ36が折り目や襞によって塞がれないようにする。
【0027】
剥ぎ取りパネル16は、バリア裏打ち層30に剥ぎ取り可能に取り付けられて、皮膚バリア14を引き裂いたりまたは損傷させたりせずに、剥ぎ取りパネル16を裏打ち層30から取り除くかまたは剥がすことができるようにする。さらに、剥ぎ取りパネル16とバリア裏打ち層30との間の剥ぎ取り可能な取り付け部を、接着層28と使用者の皮膚との間のシールを断つことなく、バリア裏打ち層30から剥ぎ取りパネル16を容易に取り除くことができるように構成する。剥ぎ取りパネル16とバリア裏打ち層30との間のそのような剥ぎ取り可能な取り付け部は、剥ぎ取り可能な接着剤やヒートシールのような任意の好適な方法によって得ることができる。剥ぎ取りパネル16は、高分子フィルムまたは不織シート、好ましくは不織シートのような任意の好適な材料で形成できる。好ましくは、剥ぎ取りパネル16は、ヒートシールによってバリア裏打ち層30と剥ぎ取り可能にシールを形成できる材料で形成される。
【0028】
図示された実施形態では、パウチ12は、四方向から折り畳まれており、パウチ12の周辺縁部21がバリア裏打ち層30の中心の方へ折り畳まれて、コンパクトな状態11のオストミー器具10を形成している。他の実施形態では、パウチ12は、周辺部42、44が共にシールされるときに、バリア裏打ち層30と剥ぎ取りパネル16との間に形成された空洞15内にパウチ12を収容できる限り、3回以下または5回以上折り畳むことができる。例えば、パウチ12は、複数の襞が寄せられた状態でバリア裏打ち層30上に寄せ集められて、バリア裏打ち層30と剥ぎ取りパネル16との間にはまり込むことができる。
【0029】
パウチ12は、様々なサイズにすることができる。一つの実施形態では、パウチ12は、
図4に示すように、完全に展開すると、約23cm(9インチ)の長さ38及び約15cm(6インチ)の幅40の表面積37を有する。剥ぎ取りパネル16は全体的に、角が丸みを帯びた矩形形状であり、約10cm(4インチ)の長さ52及び約10cm(4インチ)の幅54の表面積51を有する。皮膚バリア14は、対応する形状及びサイズを有し、剥ぎ取りパネル16の外周と皮膚バリア14の外周とは、共にシールされてミニパウチを形成するときに、全体的に適合する。パウチ12は、折り畳まれるかまたは寄せ集められ、かつバリア裏打ち層30の周辺縁部に剥ぎ取りパネル16を取り付けることによって適所に固定されて、コンパクトな状態11のオストミー器具10を形成する。そのようなものとして、コンパクトな状態11のオストミー器具10の表面積51は、剥ぎ取りパネル16の表面積に等しい。展開状態13にあるオストミー器具10は表面積37を有し、これは、完全に展開されたパウチ12の表面積と等しい。ミニパウチは、様々な形状及びサイズにすることができる。例えば、ミニパウチは、直径約8cm(3インチ)の円形形状を有することができる。
【0030】
使用するときに、使用者は、剥離ライナー32を剥がして、露出させた接着層をストーマの周りに配置することによって、コンパクトな状態11のオストミー器具10をストーマの周りに取り付け、ストーマが入口開口部26に受け入れられてストーマ排出物が空洞24に流入するようにする。コンパクトな状態11のオストミー器具10は、展開状態13にある完全に展開されたパウチ12と比較すると、オストミー器具のサイズを著しく低減させ、使用者に、より高い行動の自由を与える。しかしながら、パウチ12は折り畳まれるかまたは寄せ集められ、かつ剥ぎ取りパネル16とバリア裏打ち層30との間にある空洞15内に入れられるため、パウチ12の収集能力も、ストーマ排出物を保持するためにパウチが空洞15内で拡張できるだけであるとき、著しく低下している。完全に展開されたパウチ12と比較すると収集能力は低いが、ミニパウチは、使用者が高い行動の自由を得ながらも、依然として、ある程度のストーマ排出物を含むことができ、かつフィルタ36を介して腸内ガスを出すことができる。使用者は、例えばストーマ排出物の突然の流出に対応するために、収集能力を高くしたいと望むとき、プルタブ60を引っ張って剥ぎ取りパネル16を取り除き、パウチ12を展開させることができる。展開状態13では、完全に展開されたパウチ12は、使用者に、漏れることなくストーマ排出物を収容する高い収集能力を提供する。一つの実施形態では、展開状態のオストミー器具の収集能力は、コンパクトな状態のオストミー器具の収容能力よりも、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍高い。それゆえ、オストミー器具10は、使用者に、収集能力を高める能力を備える望ましいミニパウチを提供する。
【0031】
図6は、別の実施形態によるミニパウチ70の断面図を示している。オストミー器具10と同様に、ミニパウチ70は、パウチ72及び剥ぎ取りパネル74を含んでいる。しかしながら、パウチ72は、オストミー器具10の皮膚バリア14の代わりに、パウチ側連結リング78を備えた2部片パウチである。パウチ側連結リング78は、皮膚バリア(図示せず)上の身体側連結リング
(図示せず)とかみ合うように構成されている。この実施形態では、まず、皮膚バリアがストーマの周りで使用者に取り付けられ、ミニパウチ70は、パウチ側連結リング78を身体側連結リング(図示せず)と結合させることによって、皮膚バリアに取り付けられる。
【0032】
ミニパウチ70は、裏打ちパネル76も含んでいる。パウチ72は、入口開口部84の周りで裏打ちパネル76の第1の面80に取り付けられ、パウチ側連結部78は、裏打ちパネル76の第2の面82に取り付けられている。パウチ72の他の態様は、先に説明した実施形態のパウチ12と同じである。ミニパウチ70はプルタブ86を含み、このプルタブは、剥ぎ取りパネル74と裏打ちパネル76との間のそれらの周辺縁部の近傍に配置されている。プルタブ86は、少なくとも剥ぎ取りパネル74に取り付けられるか、または剥ぎ取りパネル74及び裏打ちパネル76の両方に取り付けられる。好ましくは、プルタブ86は、剥ぎ取りパネル74に永久的に取り付けられており、使用者がプルタブを引っ張って剥ぎ取りパネル74を取り除いてパウチ72を展開させるときに、プルタブ86が剥ぎ取りパネル74に取り付けられたままとなるようにする。実際、オストミー器具10に関しては、ミニパウチ70は、パウチ72を折り畳んで寄せ集めることによって形成される。折り畳まれたまたは寄せ集められたパウチ72は、剥ぎ取りパネル74の周辺縁部と裏打ちパネル76の周辺縁部とを共にシールすることによって、適所に固定される。ミニパウチ70の収集能力は、オストミー器具10に関して上記で詳細に説明したように、剥ぎ取りパネル74を取り除いてパウチ72を展開させることによって、高めることができる。
【0033】
本明細書で参照した全ての特許文献は、本開示の本文にそのように明確に示したか否かに関わらず、それら全体を参照により本書に援用する。
【0034】
本開示では、語「1つ」は、単数形および複数形の双方を含むとみなされる。反対に、複数形の項目への言及は、適切な場合には、単数形を含む。
【0035】
上記から、本開示の新規の概念の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、多数の修正形態および変形形態を達成できることが観察される。説明の特定の実施形態に関して限定を意図するものでも推測されるものではないことが理解される。本開示は、添付の特許請求の範囲によって、特許請求の範囲にあるそのような全ての修正形態を網羅するものである。