【実施例】
【0030】
実施例
ルイス酸(LA)ルイス塩基(LB)複合体の調製
全ての操作は、乾燥N
2雰囲気MBraun 150-Mグローブボックス(Innovative Technology Inc., Newburyport, MA)中で行った。最初に、LA(3.9mmol)を、隔膜を有するねじ頂部を備えた20mlバイアル中の3.36mlのジクロロメタンに溶解した。バイアルを0℃に冷却して、1M複合体を形成した。次いで、溶液を撹拌しながら、1分間かけてLB(3.9mmol)を滴下した。溶液を+25℃に維持して、調製から1時間以内に使用した。
【0031】
重合
重合は、乾燥N
2雰囲気MBraun 150-Mグローブボックス(Innovative Technology Inc., Newburyport, MA)中で行った。重量測定法で収率を測定した。数平均分子量(
【化5】
)および多分散度指数(PDI)をサイズ排除クロマトグラフィーにより測定した。
1H NMRにより末端基の分布を測定した。反応が完了へとさらに導かれ得るかどうかの一つの指標である未反応塩素付加PIB(PIB-Cl)の量を、プロトンNMR分光学により測定した。
【0032】
実施例1(比較)
1:1のモル比のLA.LB複合体AlCl
3.ジブチルエーテル(0.022M)を使用して、ヘキサン中、-20℃で20分間イソブチレン(IB)(1M)を重合させた。IBおよびヘキサンは、隔膜を有するねじ頂部を備えた75ml培養チューブ内であらかじめ混合した。LA.LB複合体は最後に添加した。過剰な量の水性NH
4OHを使用して重合をクエンチした。
【表1】
【0033】
示されるように、AlCl
3は、開始剤を添加することなく、ヘキサン中でIBを重合させる。開始は、調節が困難な不十分な量の外来性の水による。モノマー変換は低く、多分散度は高かった。
【0034】
実施例2(比較)
LA.LB複合体AlCl
3.ジイソプロピルエーテル(0.02M)を0℃で使用した以外は実施例1と同様にIBの重合を行った。
【表2】
【0035】
モノマー変換は低いままであり、多分散度は高いままであった。より高い重合温度により収率は増加したが、同時により多くの異性化が生じた。
【0036】
実施例3(比較)
1:1のモル比のLA.LB複合体AlCl
3.ジブチルエーテル(0.022M)を使用して、ジクロロメタン/ヘキサン80/20(v/v)中、クミルアルコール(CumOH、0.018M)および2,6-ジtert.-ブチルピリジン(DTBP、0.006 M)の存在下、-40℃で3分間IB(1M)を重合した。IB、ヘキサン、CumOHおよびDTBPは、隔膜を有するねじ頂部を備えた75ml培養チューブ内であらかじめ混合した。LA.LB複合体は最後に添加した。過剰な量の水性NH
4OHにより重合をクエンチした。
モノマー変換:0%。
【0037】
DTBP(プロトントラップ)により鎖転移が抑制された場合に、開始剤を添加して変換が達成されなかったことは、開始は、外来性の水のみによるということを示す。添加した開始剤として、クミルアルコールは、ヘキサン中のAlCl
3によりイオン化され得ない。
【0038】
実施例4(比較)
60分間にした以外は実施例1と同様にIBの重合を行った。
【表3】
【0039】
モノマー変換は低いままであり、多分散度は高いままであったが、重合時間は増加した。
【0040】
実施例5(比較)
2-クロロ-2,4,4-トリメチルペンタン、すなわち「TMPCl」(0.015M)の存在下とした以外は実施例4と同様にIBの重合を行った。
【表4】
【0041】
実施例5と実施例4の比較により、AlCl
3がLAである場合は、TMPClは重合を開始しないことが示される。変換、Mnおよび末端基分布は実質的に同じままであった。
【0042】
実施例6(比較)
1:1のモル比のLA.LB複合体AlCl
3.ジイソブチルエーテル(0.022 M)を使用して、TMPCl(0.015M)およびDTBP(0.006M)の存在下、0℃で20分間、ヘキサン中でIB(1M)を重合させた。IB、ヘキサン、TMPClおよびDTBPを、隔膜を有するねじ頂部を備えた75ml培養チューブ内であらかじめ混合した。LA.LB複合体は最後に添加した。過剰な量の水性NH
4OHを用いて重合をクエンチした。
モノマー変換:0%
【0043】
実施例3と同様に、DTBP(プロトントラップ)により鎖転移が抑制された場合に、開始剤を添加しても変換は達成されず、これは、開始は外来性の水のみを介することを示す。添加した開始剤としてのTMPClは、ヘキサン中のAlCl
3.ジイソブチルエーテルによりイオン化され得ない。
【0044】
実施例7(比較)
1:1のモル比のLA.LB複合体AlCl
3.ジイソプロピルエーテル(0.02M)を使用して、t-ブチルアルコールすなわち「tBuOH」(0.015M)の存在下、0℃で20分間、ヘキサン中でIB(1M)を重合させた。IB、ヘキサンおよびtBuOHは、隔膜を有するねじ頂部を備えた75ml培養チューブ内であらかじめ混合した。LA.LB複合体は最後に添加した。過剰な量のメタノールにより重合をクエンチした。
【表5】
【0045】
添加した開始剤としてのtBuOHは、実施例2(開始剤として外来性の水)と比較して変換を向上しなかったが、エキソ含量は増加した。
【0046】
実施例8(比較)
TMPClの代わりに塩化クミル(CumCl)を使用して、AlCl
3.ジイソブチルエーテルの代わりにAlCl
3.ジイソプロピルエーテルを使用した以外は、実施例6と同様にIBの重合を行った。
モノマー変換:2%
【0047】
実施例6と同様に、DTBP(プロトントラップ)により鎖転移が抑制された場合に、開始剤を添加しても変換は達成されず、これは、開始は外来性の水のみによることを示す。添加した開始剤としてのCumClは、ヘキサン中のAlCl
3.ジイソプロピルエーテルによりイオン化され得ない。
【0048】
実施例9(比較)
1:1のモル比のLA.LB複合体GaCl
3.ジイソプロピルエーテル(0.02M)を使用して、ヘキサン中、0℃で20分間、IB(1M)を重合させた。IBおよびヘキサンは、隔膜を有するねじ頂部を備えた75mlの培養チューブ内であらかじめ混合した。LA.LB複合体の添加により重合が開始した。過剰な量の水性NH
4OHにより重合をクエンチした。
【表6】
【0049】
開始剤の非存在下、開始は外来性の水のみによるものであり、モノマー変換は低いままであった。
【0050】
実施例10(発明)
1:1のモル比のLA.LB複合体GaCl
3.ジイソプロピルエーテル(0.02M)を使用して、TMPCl(0.02M)の存在下、0℃で20分間、ヘキサン中でIB(1M)を重合させた。IB、ヘキサンおよびTMPClは、隔膜を有するねじ頂部を備えた75mlの培養チューブ内であらかじめ混合した。LA.LB複合体の添加により、重合が開始した。過剰な量の水性NH
4OHにより重合をクエンチした。
【表7】
【0051】
実施例11(比較)
LA GaCl
3(0.02M)を使用して、TMPCl(0.02M)およびイソプロピルエーテル(0.02M)の存在下、0℃で20分間、ヘキサン中でIB(1M)を重合させた。IB、ヘキサン、イソプロピルエーテルおよびTMPClは、隔膜を有するねじ頂部を備えた75mlの培養チューブ内であらかじめ混合した。ヘキサン(0.02 M)中GaCl
3の1M溶液の添加により、重合を開始した。過剰な量の水性NH
4OHにより重合をクエンチした。
【表8】
【0052】
実施例10と比較する。ルイス塩基(イソプロピルエーテル)を最初にGaCl
3と複合体化させなかった場合、エキソ-オレフィン含量は、異性化および切断(cleavage)のために減少する。
【0053】
実施例12(発明)
TMPCl.[tBuCl]=0.01Mの代わりに2-クロロ-2-メチルプロパン(tBuCl)を使用した以外は、実施例10と同様にIBの重合を行った。
【表9】
【0054】
実施例10と比較する。TMPClと比較してより低い濃度のtBuClにより、より高いMWおよび同様のエキソ-オレフィン含量が生じた。
【0055】
実施例13(比較)
TMPClの代わりに2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン(tBuOH)を使用した以外は、実施例10と同様にIBの重合を行った。
【表10】
【0056】
実施例10と比較する。TMPClと比較して、開始剤としてtBuOHを用いると、有意な異性化および切断が生じ、変換はほとんど見られない。
【0057】
実施例14(発明)
重合時間を40分に増加した以外は実施例12と同様にIBの重合を行った。
【表11】
【0058】
実施例12と比較する。より長い反応時間により、一定のMWで、変換が増加し、PIB-Clが減少し、エキソ-オレフィン含量が増加した。
【0059】
実施例15(比較)
TMPClを使用しない以外は、実施例12と同様にIBの重合を行った。
【表12】
【0060】
実施例12と比較する。開始剤の非存在下で、外来性の水のみによる開始では、モノマー変換は低い。
【0061】
実施例16(比較)
2,6-ジ-tertブチルピリジン(DTBP);[DTBP]=0.005Mの存在下とした以外は実施例15と同様にIBの重合を行った。
【表13】
【0062】
実施例15と比較する。DTBP(プロトントラップ)により鎖転移が抑制されることにより、開始は外来性の水のみによることが示される。
【0063】
実施例17(発明)
[DTBP]=0.005Mの存在下とした以外は実施例10と同様にIBの重合を行った。
【表14】
【0064】
実施例10と比較する。DTBPにより収率は減少するが、排除はされない。MWおよびエキソ-オレフィン含量は維持される。AlCl
3を用いた実施例6と比較すると、DTBPの存在下で変換は達成されなかった。
【0065】
実施例18(発明)
+10℃とした以外は、実施例10と同様にIBの重合を行った。
【表15】
【0066】
実施例10と比較する。より高温で、変換、MWおよびエキソ-オレフィン含量は維持された。
【0067】
実施例19(発明)
[IB]=4Mとした以外は、実施例10と同様にIBの重合を行った。
【表16】
【0068】
実施例10と比較する。モノマーに対してより低いモル比の触媒により、MWが増加し、収率が減少するが、エキソ-オレフィン含量は維持される。
【0069】
実施例20(発明)
GaCl
3.2,4-ジメチル-3-ペンタノンLA.LB複合体を使用した以外は、実施例10と同様にIBの重合を行った。
【表17】
【0070】
実施例10と比較する。ケトンは、同等のMWおよびエキソ-オレフィン含量を有してルイス塩基として有効であるが、変換はより低い。
【0071】
実施例21(比較)
GaCl
3.トリエチルアミンLA.LB複合体を使用した以外は、実施例10と同様にIBの重合を行った。
モノマー変換:0%
実施例10と比較する。トリエチルアミンは効果的な塩基ではない。
【0072】
実施例22(比較)
SnCl
4.ジイソプロピルエーテルLA.LB複合体を使用した以外は、実施例10と同様にIBの重合を行った。
モノマー変換:0%
実施例10と比較する。SnCl
4は効果的なルイス酸触媒ではない。
【0073】
実施例23(比較)
SbCl
5.ジイソプロピルエーテルLA.LB複合体を使用した以外は、実施例10と同様にIBの重合を行った。
モノマー変換:0%
実施例10と比較する。SbCl
5は効果的なルイス酸触媒ではない。
【0074】
実施例24(発明)
FeCl
3.ジイソプロピルエーテルLA.LB複合体を使用した以外は、実施例10と同様にIBの重合を行った。
【表18】
【0075】
実施例10と比較する。同様のMWでより高いエキソ-オレフィン含量を有し、FeCl
3は効果的なルイス酸触媒であるが、変換は低い。
【0076】
実施例25(発明)
1:1のモル比のLA.LB複合体FeCl
3.クロロメチルエチルエーテル(0.02M)を使用して、tBuCl(0.02M)の存在下、0℃で20分間、ヘキサン中でIB(1M)を重合した。IB、ヘキサンおよびtBuClは、隔膜を有するねじ頂部を備えた75mlの培養チューブ内であらかじめ混合した。LA.LB複合体の添加により、重合が開始した。過剰な量の水性NH
4OHにより重合をクエンチした。
【表19】
【0077】
実施例26
種々のルイス酸およびルイス塩基の組み合わせならびに複合体を使用して、ヘキサン中[TMPCl]=0.02M、0℃、20分間での[IB]=1Mの重合を行った。それぞれの場合、重合はNH
4OHで終結させた。
【表20】
【0078】
実施例27(発明)
ヘキサン中[TMPCl]=0.02M、0℃、20分間での[IB]=1Mの重合。NH
4OHで終結。
【表21】
【0079】
実施例28(発明)
ヘキサン中0℃での[HfCl
4.iPr
2O]=0.02M(450nmのPTFE膜により濾過したDCM溶液)、[tBuCl]=0.01Mによる[IB]=1Mの重合。MeOHで終結。
【表22】
【0080】
実施例29(発明)
C
4供給物組成、IB=35%、1-ブテン=10%、2-ブテン=6%、ヘキサン=49%中0℃でのIBの重合。
【表23】
【0081】
実施例30(発明)
C
4供給物組成、IB=44%、1-ブテン=26.4%、トランス2-ブテン=14.7%、ヘキサン=14.5%中0℃でのIBの重合。
【表24】
【0082】
本発明を説明するために特定の例示的な態様および詳細を提供してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示されるものからの種々の生成物および方法の変化がなされ得ることは、当業者には明らかであろう。添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲を規定する。
【0083】
全ての引用される特許、試験手順、優先権書類および他の引用される書類は、参照による援用が可能になる全ての支配権について、これらのものが本明細書と一致する程度にまで参照により十分に援用される。
【0084】
本発明の特定の特徴は、一連の数値上限および一連の数値下限によって記載される。本明細書には、これらの限度の任意の組み合わせで形成される全ての範囲が開示される。本明細書に記載される上限および下限、ならびに範囲および比の限度は、独立して組み合され得ること、これらの限度の全ての組み合わせは、そうではないと示されなければ本発明の範囲内にあることが理解されよう。