特許第5945606号(P5945606)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5945606無端の補強ベルトを製造するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945606
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】無端の補強ベルトを製造するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 29/08 20060101AFI20160621BHJP
   F16G 1/08 20060101ALI20160621BHJP
   F16G 1/28 20060101ALI20160621BHJP
   F16G 5/06 20060101ALI20160621BHJP
   F16G 5/20 20060101ALI20160621BHJP
   B29C 35/02 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   B29D29/08
   F16G1/08 A
   F16G1/28 E
   F16G5/06 A
   F16G5/20 A
   B29C35/02
【請求項の数】33
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-547527(P2014-547527)
(86)(22)【出願日】2012年12月14日
(65)【公表番号】特表2015-507555(P2015-507555A)
(43)【公表日】2015年3月12日
(86)【国際出願番号】US2012069932
(87)【国際公開番号】WO2013090835
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2014年8月13日
(31)【優先権主張番号】61/570,814
(32)【優先日】2011年12月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504005091
【氏名又は名称】ゲイツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】パッシュ,ランバート
(72)【発明者】
【氏名】ノックス,ジョン グリーム
【審査官】 深草 祐一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−150566(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第19544885(DE,A1)
【文献】 特開2010−023411(JP,A)
【文献】 特開2002−166482(JP,A)
【文献】 特開昭53−071181(JP,A)
【文献】 特開2008−291205(JP,A)
【文献】 特開平06−031611(JP,A)
【文献】 米国特許第3897291(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 29/08
F16G 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周と、内側にベルトプロファイルと、トップサイドを有する無端のプロファイル層から積層型補強無端ベルトを製造する積層型補強無端ベルト製造システムであって、
前記プロファイル層の前記トップサイドに積層するのに好適な上部層材料を供給する上部層材料供給手段と、
前記プロファイル層の周りのらせん巻きに適しており、前記プロファイル層と前記上部層との間に埋設するのに好適な連続的な抗張コードを供給する抗張コード供給手段と、
前記ベルトプロファイルに相補的なマンドレルプロファイルと、前記プロファイル層の外周長さよりも短い外周長さを有し、それにより前記プロファイル層の一部のみが常時係合することができる回転可能な円筒マンドレルと、
前記プロファイル層を前記マンドレルに押圧し、前記マンドレルの回転中に前記プロファイル層を前記マンドレルの巻き付け部に巻き付かせるため前記マンドレルに近接して配置される係合ローラと
形成される補強カーカス部が前記マンドレルの前記巻き付け部から離接する前に、前記コードが前記プロファイル層にしっかりと付着するように、前記巻き付け部において所定のコード間隔で前記抗張コードを前記プロファイル層にらせん状に適用するための、前記マンドレルに近接して配置可能なコードアプリケータと、
らせん状に貼付された前記抗張コードを被覆して前記ベルトを完成するために、前記マンドレルの前記巻き付け部において前記上部層材料を前記補強カーカスに適用して付着させるための、前記マンドレルに近接して配置可能な積層装置と
を備える積層型補強無端ベルト製造システム。
【請求項2】
前記係合ローラとは反対側に前記マンドレルに近接して配置され、前記マンドレルの回転中に、前記マンドレルの前記巻き付け部から前記プロファイル層を離接させる離脱ローラを更に備える請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記マンドレルから離れて配置され、前記無端のプロファイル層の前記巻き付け部に巻き付けられていない部分が掛け回される1つ以上のガイドロールを更に備える請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ガイドロールを複数備える請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記積層装置が、
前記マンドレルとの間にニップを形成する前記巻き付け部に近接する積層ローラと、
前記上部層材料と前記カーカスの一方または両方の少なくとも1つの面に融解エネルギーを供給するように配置された積層ヒータと
を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記コードアプリケータが、
前記マンドレルに対して軸方向において横方向に移動し、前記プロファイル層に所定の深さの加熱された溝を掘るために、前記巻き付け部に隣接して移動可能に取り付けられた加熱された鍬状部材と、
前記抗張コードを前記プロファイル層に融着するために、前記加熱された溝に前記抗張コードを敷設するように配置されるコード敷設ガイドを備え、前記コード敷設ガイドは、前記鍬状部材と連動して横方向に移動するように取り付けられた請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記コードアプリケータが、前記抗張コードを完全には前記プロファイル層へ押し込まない請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コードアプリケータが、らせん状に2本のコードを並べて敷設するための二重コード敷設ガイドを備え、前記二重コード敷設ガイドのブレイドは、前記2本のコードを前記プロファイル層に同時に敷設、融着するための2本の溝を形成するように構成される請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記巻き付けの軸方向に離間した2つ以上の区間にコードを同時にらせん状に敷設、融着するための1つ以上の追加のコードアプリケータを更に備える請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記コードアプリケータによってコードを巻き付けるための高速と、前記積層装置によって積層するための低速を含む少なくとも2つの異なる速度での駆動が可能なマンドレル駆動装置を更に備える請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記ベルトが歯付ベルトであり、前記プロファイル層が複数の歯を備え、前記マンドレルが前記複数の歯にぴったりと噛み合うように構成された複数の溝を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記無端のプロファイル層における歯数を測定するためのトゥースカウンターを更に備える請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記マンドレルの外周、前記ベルトプロファイルの歯数よりも少なくとも1つ少ない歯を有している請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記無端のプロファイル層、ランド部に継ぎ目を有する請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記上部層片面に歯形を有し、前記ベルトは両面歯付ベルトである請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記巻き付け部、前記マンドレルの外周の45〜315度を占める請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記コードアプリケータ導電性の抗張コードを一対の電極の上を移動させながら供給し、前記抗張コードを加熱するのに十分な電流を前記抗張コードに流す請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記積層装置、少なくとも3つのプーリの周りに掛け回され、部分的に前記マンドレルを覆う圧力バンドを備える請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記マンドレル上の前記カーカスと前記圧力バンドとの間の前記カーカス上に積層材料を流すための計量装置を更に備える請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記ベルト、装軌車両駆動システムの覆帯である請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
外周と、内側にベルトプロファイルと、トップサイドを有する無端のプロファイル層を与え、
前記プロファイル層の前記トップサイドに積層するのに好適な十分な上部層材料を与え、
前記プロファイル層の周りのらせん巻きに適しており、前記プロファイル層と前記上部層の間に埋設するのに好適な十分な連続的な抗張コードを与え、
強制的に前記マンドレル上に前記プロファイル層を係合することにより、前記プロファイル層の巻き付け部を前記ベルトプロファイルに相補的なマンドレルプロファイルと前記プロファイル層の外周長さよりも短い外周長さとを有する回転可能な円筒マンドレルの一部に係合させ、
前記プロファイル層の前記巻き付け部以外の部分は、前記マンドレルに係合せず、
前記係合が、係合ローラによって前記プロファイル層を前記マンドレルに押圧し、
形成された補強カーカス部が、前記マンドレルの前記巻き付け部から離接する前に前記抗張コードが前記プロファイル層にしっかりと付着するように、前記マンドレルの前記巻き付け部に近接して配置されたコードアプリケータを用いて前記プロファイル層に前記抗張コードを所定のコード間隔でらせん状に適用し、
前記らせん状の抗張コードを被覆して前記ベルトを完成するために、前記マンドレルの巻き付け部に近接して配置される積層装置によって、前記補強カーカスに前記上部層材料を適用して付着させる積層型補強無端ベルトの製造方法。
【請求項22】
前記プロファイル層、カーカス、ベルトスリーブの巻き付け部以外の部分、前記マンドレルの回転に伴って離脱ローラと前記マンドレルから離接される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
1つ以上のガイドロールに、前記プロファイル層の巻き付け部以外の部分が掛け回される請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ガイドロール複数のローラを備える請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記上部層材料を適用し付着させることが、前記上部層の少なくとも1つの表面を溶融するために加熱すること、および前記上部層を前記巻き付け部に近接する前記カーカスに押圧することを含む請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記上部層材料を適用し付着させること、前記上部層と、積層ローラと前記マンドレルとの間のニップの近傍のカーカスとの両方の片面に熱を供給し、
前記巻き付け部において前記上部層と前記カーカスとが互いに融合するように、前記ニップを前記積層ローラを用いて押圧することを含む請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記上部層材料を適用し付着させること、前記上部層又はカーカスの少なくとも1つの表面に接着剤を塗布すること、及び前記上部層とカーカスを一緒に押圧することを含む請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記無端のプロファイル層を与えること、独立した連続運転においてプロファイル材料を成形し、このようにして成形された連続したプロファイル材料を所定の長さに切断し、前記無端のプロファイル層を形成するために、前記所定の長さのプロファイル材料の端部を接合することを含む請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記上部層材料と前記プロファイル材料が、熱可塑性エラストマーである請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記プロファイル材料と前記上部層材料が、同じ組成である請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記プロファイル材料と前記上部層材料が、異なる組成である請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記プロファイル層が、複数のベルト歯を片側に有し、前記マンドレルは前記歯がピッタリと嵌合する溝が掘られており、それによって歯付きベルトが形成される請求項21に記載の方法。
【請求項33】
前記マンドレルとガイドロールに取り付けられている間に、ベルトスリーブに対して少なくとも一つの追加の仕上げ工程が実行され、前記仕上げ工程は、研削、機械加工、ラベル付け、および切断から選ばれる請求項21に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くはらせん状の抗張コード層によって補強された無端ベルトを製造するためのシステムに関し、より詳しくは、同じ装置及び金型で所定の長さの歯付きベルトを作るためのシステムに関し、そして、特にベルトの外表面に露出されたコードが無い無端ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
無端ベルトは、典型的には、周方向に埋め込まれた心体を有するエラストマーから形成されている。エラストマーは、加硫ゴム、熱可塑性エラストマー、又はキャスタブルエラストマーであってもよい。熱可塑性エラストマー及びゴムの無端ベルトを製造するために典型的に使用されるいくつかの方法がある。
【0003】
第1の方法は、定義された直径の円筒マンドレルを使用しており、その直径に対応する特定の無端ベルト長さを生成する。このようなマンドレルは、例えば歯付きベルトプロファイルを生成するために、その表面上に所望の表面パターンまたはプロファイルを含むことができる。熱可塑性ベルトに適用される例は、フッチェンラウフ(Hutzenlaub)の英国特許第886,754号明細書に開示されている。これらのマンドレルは高価であり、この方法は、与えられたマンドレル上にある特定のベルト長さのみを生成することができる。ベルトが長くなれば長くなるほど、マンドレルは大きく高価になる。したがって、ベルトの長さは、実用的な目的のために制限されている。無端ベルトにおいてベルト「長さ」はベルトの外周を指すことに留意されたい。この方法はまた、スクーラ(Skura)の米国特許第3,078,206号明細書の例に開示されているように、無端ラバーベルトを製造するために使用されている。このような方法はまた、キャスタブルエラストマーベルトには一般的である。
【0004】
特にオープンエンドのベルトから無端ベルトを製造するのに適した第2の方法では、補強ベルトの材料によって連続した長さを生成し、その後、所望の長さに切断し、無端ベルトを製造するためにその両端を結合する。様々な接合(splicing)または連結(joining)方法が使用されているが、接合は抗張コードが連続し、らせん状に巻かれている場合よりも常に弱い。オープンエンドの熱可塑性ベルトを製造する連続的な方法の例は、ブレヘール(Breher)らの米国特許第3,880,558号明細書及び第4,251,306号明細書に開示されており、回転可能な成形ホイール(molding wheel)には、コードが押し出されたベルト材料と共に供給され、回転する成形室を形成するために、成形ホイールの外周の約半分を包む成形バンド(通常は可撓性のスチールの)が供給される。同様に、ラバーベルトの連続的な長さは、加熱された溝付き円筒状の金型と圧力バンド(pressure band)との間のベルト要素を前進させることによって製造することができる。第2の工程では、所望のベルトの長さを有するオープンエンドベルトの端部が接合されている。このような接合は、寸法の不規則性(またはピッチエラー)を引き起こし、ベルトに弱点を提供し、一般的に、接合されていない(non-spliced)無端ベルトと比べると、ベルトの負荷能力及び寿命は約50%減少する。
【0005】
第3の方法は、所望のベルト長さを調整するために、互いに対して移動することができる2つの円筒マンドレルを使用する。一般的に、この方法は、2つのマンドレルの周りに心体をらせん状に巻き、その後、弾性マトリックスを提供するためにエラストマー材料を押出し、又は鋳造及び/又は硬化させ、心体を埋め込み、ベルトのプロファイルを形成する。一般的に、マンドレルの1つが上記第2の方法で説明したように、ベルト材料が注入又は押し出される成形室を形成する圧力バンドを有する成形ホイールである。この方法は、いくつかの欠点を有している。設備は高価であり、スペースを消費し、特により長いベルト長さ、運用効率及び出力速度のために、望ましいとは言い難い。ベルト長さは、2つのマンドレルの間の最小距離によってローエンドに制限されている。ベルトの長さは、ベルトの中心間距離の精度を制御することが技術的に実現可能な最大距離によってハイエンドに制限されている。中心間距離の変位も、コードが張力下に巻かれるように2つのマンドレルの間の徐々に増加する合計張力の結果として問題になる可能性がある。モールドフライト(Mold flight)は、一般的には、心体をサポートするために使用され、完成した熱可塑性ベルトではコードは露出する。この方法によれば、ゴムベルトは、ベルト材料が次第に平坦成形プレートの間に前進される一連の工程で硬化させることができる。
【0006】
第4の方法では、ベルトのオープンエンドのストリップが所望のベルト長さを達成するために間隔を空けて配置された2つのマンドレルの周りにらせん状に巻かれ、エッジの継ぎ目は、所望のベルト幅の無端ベルトを形成するために融合又は接着される。この方法は、2つのマンドレルの間の距離を変えることによって、異なる長さのベルトを可能にする。一例が、ブレヘール(Breher)の米国特許第4,058,424号明細書に開示されている。この方法も、いくつかの欠点を有している。設備は高価であり、スペースを消費し、動作効率及び出力レートは望ましいとは言い難い。また、ストリップの幅に応じて、より多くのコードが切断され、ベルトエッジに露出され、ベルトの効果的な強度が低下し、ストリップの張力のわずかな違いは、ピッチ変化とベルトの横方向のトラッキングを引き起こし、ベルトの寿命が縮み、ノイズが生じる。ベルトの長さは、2つのマンドレル間の最小距離によってローエンドに制限されている。ベルトの長さは、ベルトの中心間距離の精度を制御することが技術的に実現可能な最大距離によってハイエンドに制限されている。更に信頼性の高いストリップの接合が困難であり、潜在的な故障リスクを表し、高負荷時にベルトを崩壊させ、特に、プーリフランジに対してストリップのベルトエッジの端部を切断することにより、ベルトが剥離又は分解する。
【0007】
同日に出願され、「オープンエンドの熱可塑性ベルトの製造方法」と題され、2011年12月14日に出願された仮出願61/570,815号明細書の利益を主張する出願人の同時係属中の米国出願番号____は、その全ての内容がここで援用され組み入れられる。
【0008】
必要とされているのは、接合部を必要とせず、露出されたコードが無く、そして異なるベルト長さを作るために1つの金型を使用する、効率的で、正確な無端の補強ベルトを製造する方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、心体の接合がない補強された無端ベルトを提供するか、又は心体は、周方向に埋設されたエラストマーマトリックス製の無端ベルトを製造するための方法及び装置を提供するシステム及び方法に関し、そこにおいて、たった1つのマンドレルは、異なる長さ及び幅のベルトを製造するために必要とされる。このようなベルトは、歯付きベルト、平ベルト、マルチVリブドベルト、コンベヤベルト及び同様の製品であることができる。エラストマーマトリックスは、熱可塑性ポリウレタン又は他の任意の適切な熱可塑性エラストマーであることができ、つまりその方法は、ゴム製のベルトを加硫するために適合させることができる。心体は、典型的には撚り繊維又はスチールのフィラメント、ガラス、アラミド、炭素、ポリエステル、ポリアミド、バサルト、又はその他の適切な材料又は合成物から成る。
【0010】
本発明は、3つのベルト材料、つまり、エラストマープロファイル層、抗張コード、及びエラストマー上部層を含むベルト製造システムに関する。そのシステムはベルト製造装置を含む。そのベルト製造装置は、ベルトプロファイルに相補的なプロファイルと、プロファイル層の一部のみが任意の時点でマンドレルに係合することができるように、プロファイル層のそれよりも小さい外周とを有する回転可能な円筒マンドレルと; マンドレルに近接して配置される1つ以上の係合ローラ、及び/又はマンドレルの回転中に、マンドレルの巻き付け部又は係合部にプロファイル層材料の巻き付け部の巻き付かれた係合を維持するテンションシステムと; 係合部内のプロファイル層の上に連続した抗張コードをらせん状に貼付及び付着するコードアプリケータと;そのように補強されたプロファイル層、2つの層の間に挟んだ又は埋設したコードの上に上部層を適用する積層装置を有する。
【0011】
コードアプリケータは、プロファイル層に溝を溶融する加熱されたプロファイルブレードと、その溝の表面にコードを押圧するコード敷設装置を含んでもよく、このようにしてプロファイル層がマンドレルと係合している間にプロファイル層にコードを融合する。コードアプリケータは、マンドレル軸に対して軸方向において横方向に移動するために、また正確なピッチライン制御のためにプロファイル表面に対してコードの位置を制御して、マンドレル表面からブレードを所定の距離に位置決めするために、巻き付け部上に移動可能に取り付けられてもよい。
【0012】
積層装置は、巻き付け部に近接して配置可能であり、マンドレルと圧力ロールとの間にニップを画成する圧力ロールと、上部層表面及び/又はプロファイル層材料が、その材料を共に融合するために押圧される前に溶融し、それによって熱可塑性エラストマー材料と心体との間の結合が同時に実現される加熱システムを有してもよい。他の実施形態では、積層装置は、熱可塑性樹脂又はTPEを押し出す、又は液体、つまり上部層の硬化性樹脂を流し込んでもよい。
【0013】
様々な実施形態において、装置はまた、マンドレルから遠く離れたバッファ部を表す1つ以上のガイドローラを有してもよく、そこにおいて、プロファイル層、カーカス及びベルトの遊離部又は非巻き付け部は形作られる。補強されていないプロファイル材料スリーブがマンドレルのプロファイルと完全に噛合うように、心体の埋め込みの前に、バッファローラの1つの位置を移動させることによって、バッファ部における(すなわち、非巻き付け部における)プロファイル層の張力を設定してもよく、そのような張力は、補強された最終的なベルトの強度に比べて比較的低い。この低張力は、高荷重を支える必要がないようなかなり単純なバッファ構造を可能にし、最終的なベルトピッチに対して、影響力を持たない、又は非常に限られた影響力しか持たない。
【0014】
コード敷設ガイドは、同時にプロファイル層上に複数のコードを敷設するための溝に対応する数を形成するように適合されるプロファイルブレードを有する1つの、2つの又は複数のコードを敷設するように設計されてもよい。更に生産性を向上させるために、同様に、1つ以上の追加のコード敷設ガイドと、プロファイル材料の2つ以上の部分に同時にコードを敷設するための関連する加熱ブレードを有してもよい。
【0015】
ベルトは、複数の歯を有するベルトプロファイルを有する歯付ベルトであってもよく、及びマンドレルのコード埋め込み時に、プロファイル材料の正確なピッチを制御する歯と緊密に嵌合するように適合される溝を有する。装置は、補強されていないプロファイル材料を接合する前に歯数を決定するための歯のカウンタを有してもよい。
【0016】
本発明はまた、プロファイル層と熱可塑性材料の上部層との間のらせん状に巻かれたコードの層を有する無端の歯付きベルトを製造する方法に関する。この方法は、複数のステップを含み、第1のエラストマー材料の無端のプロファイル層を与えることから始まり、これは、好都合には、別のプロセスでオフラインで行うことができる。無端のプロファイル層は、マンドレルの回転中にマンドレルを使用してプロファイル材料の係合を維持するために、バッファ張力(buffer tension force)又は1つ又は2つ又はそれ以上のクランプ又は係合ローラのいずれかを使用してマンドレルの巻き付け部に巻き付けられる。無端のプロファイル材料が巻き付け部の上を複数回通過するように、マンドレルはその後回転される。回転中に、回転プロファイル材料中で溝が溶融または形成され、コードがプロファイル材料の溝の溶融された表面に塗布される。回転の、溝形成の、溶融の及びコードを敷設するこのプロセスは、らせん状の抗張コード層がしっかりとそこに付着された補強された「カーカス」を形成するために継続される。最後に、第2のエラストマー材料の上部層は、ベルト「スリーブ」を形成するために、補強カーカス上に積層又は押出される。積層は、巻き付け部に配置された加圧ローラによって共に押圧する前又は押圧中にエラストマー材料に熱を与えることを含み、これによって上部層とカーカスを共に融合し、そして同時に、エラストマー材料に心体を接合する。
【0017】
様々な実施形態において、この方法は、マンドレルから離れて、少なくとも1つのバッファロール上に、又は複数のバッファローラ上に無端のプロファイル、カーカス及びベルトの遊離部を形成することを含んでもよい。バッファロールはマンドレルと係合していないプロファイル材料の全長が回転中に干渉することなく案内されることを保証するために調整可能である。だいたい、バッファ部におけるプロファイル層、カーカス及びベルトに張力は必要ない。これらのバッファロールはまた、本明細書においてガイドロール又はローラと呼ばれる。
【0018】
この方法は、別個の連続運転において、プロファイル材料を形成し; このように形成された連続的なプロファイル材料を所定の長さに切断し、無端のプロファイル層を形成するために端部を結合することを含んでもよい。歯付ベルトプロファイルの場合、結合は突き合わせ継手(butt join)であってもよく、有利には2つのベルト歯の間や歯が交互にあるランドエリアに配置することができる。歯付きベルトの場合、マンドレルは、この方法によって製造されるベルトの歯数よりも少ない少なくとも1つの溝を有する。作製することができるベルトの最大長は、実質的にバッファ部の容量によってのみ制限される。
【0019】
本発明の実施形態によれば、全く露出されていないエッジコードを有するベルトが、単一のマンドレル及び装置上に、実質的に任意の所望の長さで製造することができる。マンドレル上においてコードを支持するためのモールドフライトを必要としないため、ベルトはまたランドエリアにおいてコードの露出部分を有しない。多くのベルトは、単一のスリーブから製造することができ、すべては露出したエッジコード含まず、補強されたカーカスに上部層を積層する前にコードを除去することにより、そのエリアにおいてベルトはスリーブから切断された。
【0020】
ベルトピッチ及びピッチライン差(pitch line differential;PLD)の適切な制御は、コード敷設時のコード張力、加熱されたナイフ又はプラウの深さ位置、及びコード溝の溶融条件を制御することによって達成される。マンドレルは、コードの敷設用及び積層用に制御されたランプアップと生産速度を可能にする調節可能なドライブを有してもよい。コードアプリケーションでは、マンドレル回転は調整可能なギアを介して連結されて、好ましくは可動コードへの電子ギアは、スライド駆動を築く。これは、カーカスに埋め込まれたコードの1インチあたりの数の設定と制御と、マンドレルの外周対プロファイル材料の外周の検討を可能にする。
【0021】
そのプロセスは、所望のベルトの歯を数え、連続的なプロファイル材料からプロファイル材料を接合することによって無端のプロファイル層を製造し、記載された方法でコードを敷設し、連続ロールから上部層を積層することまで自動化されてもよい。研削、ベルト切断及び印刷プロセス等の1つ以上の追加の操作は、1つ又は複数の機械において最後のベルトを作るために同じ設備上又は別の機械上に含まれてもよい。
【0022】
より長い加圧を提供し、これによって高い積層速度を提供するために、積層装置は、複数のローラの周囲に形成された圧力バンドを含んでもよい。圧力バンド積層装置はまた、熱可塑性又は熱硬化性の、硬化性樹脂の上部層に適用する、押出機又は歯車ポンプのような計量装置と共に使用することができる。適切なヒータと併せて圧力バンドはまた、上部層及び/又はプロファイル層用の加硫ゴム材料の適用及び硬化を可能にすることができる。
【0023】
積層材料はコード上に押し出され、コードの巻取りの際にらせん状に貼着することができる。代わりに、コードはプロファイル層上に接着することができる。
【0024】
上記内容は、以下の本発明の詳細な説明がより良く理解されることができるように本発明の特徴及び技術的利点を多少広く概説した。本発明の特許請求の範囲の主題を形成する本発明のさらなる特徴及び利点を以下に述べる。開示された概念及び特定の実施形態は、本発明の同じ目的を実施するために改変し又は他の構造を設計するための基礎として容易に利用することができるということを当業者であれば理解されたい。かかる等価の構造は添付の特許請求の範囲に記載した本発明の精神及び範囲から逸脱するものではないことも当業者であれば認識されたい。その機構(organization)及び操作方法の双方に関して本発明に特有であると考えられる新規な特徴は、さらなる目的及び利点とともに、添付の図面と関連して考慮されれば以下の説明からより良く理解されるであろう。しかしながら、各図は例示及び説明の目的でのみ設けられたものであり本発明の範囲の定義として意図されたものでないことを明確に理解されたい。
【0025】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例示し、詳細な説明とともに、本発明の原理を説明するためのものであり、同一参照番号は同一構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態であるベルトの一部破断斜視図である。
【0027】
図2】本発明の一実施形態であるシステムの略図である。
【0028】
図3図2のシステムの一部の拡大図である。
【0029】
図4図2のシステムの一部の一部破断斜視図である。
【0030】
図5】本発明の他の実施形態のシステムの一部の略図である。
【0031】
図6】本発明の他の実施形態のシステムの一部の略図である。
【0032】
図7】本発明の他の実施形態のシステムの一部の略図である。
【0033】
図8】本発明の他の実施形態のシステムの一部の略図である。
【0034】
図9】従来技術のベルトの一部破断斜視図である。
【0035】
図10】本発明の他の実施形態のシステムの一部の略図である。
【0036】
図11】本発明の他の実施形態のシステムの一部の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、心体が周方向に埋設されているエラストマーマトリックスからなる無端ベルトの製造のための方法及び装置を提供し、そこにおいて1つのマンドレル又は金型が、異なる長さと幅のベルトを製造するために使用される。このようなベルトは、歯付きベルト、平ベルト、マルチVリブドベルト、コンベヤーベルト及び類似の製品であることができる。このプロセスは、歯同士の距離、すなわち「ピッチ」の正確な制御が要求される歯付ベルトの製造に特に有用である。エラストマーマトリックスは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性加硫物(TPV)、または任意の他の適切な熱可塑性エラストマー(一般にTPE)であってもよい。このプロセスはまた、熱硬化性樹脂、又は加硫ゴムマトリックスに適合させることができる。マトリックス材料は、所望の成分をいくらでも含むことができ、例えば、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、UV安定剤、抗菌剤、加工助剤、軟化剤、充填剤、摩擦調整剤、発泡剤などを含む。
【0038】
心体は、一般的に、鋼、ガラス、アラミド、カーボン、ポリエステル、ポリアミド、バサルトや他の適切な材料、あるいはそれらの混合物のコード、ヤーン、ファイバ又はフィラメントから構成される。ヤーンは、ファイバ又はフィラメントの束で、撚り合わされた、あるいはケーブル状であってもよい。コードは撚り合わされた、編組された、あるいはケーブル状にされたヤーン又はヤーン束であり、接着や取扱い(handling)のための加工処理がなされている。ワイヤ及びケーブルという言葉は、多くの場合金属コード又は金属心体について用いられる。ここで、「コード」あるいは「抗張コード」は、あらゆる種類の心体に用いられる。ファブリック層又は他の一般的ではないタイプの抗張補強材は、ヤーン束や、より典型的なコードの代わりに、タイヤコード、目の粗い(open weave)スクリム、織布、不織布などと協同して用いられてもよい。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、図1の歯付ベルト20は、3つの主要な構成要素:プロファイル層1、心体7及び上部層10を備える。一方の面あるいは両方の面には、適宜、織布又は不織布、プラスチックフィルムを備えていてもよく、あるいは他の表面処理が施されていてもよい。プロファイル層と上部層は、同じ材料であってもよく、2つの異なる熱可塑性材料であってもよい。
【0040】
プロファイル層1は、例えば、連続した押し出されたTPEやTPUからなり、一方の側に歯、あるいは必要とされる他のベルト形状を備え、反対側に平坦面を備える。プロファイル層は、モールディングホイールと、モールディングホイールの外周の約半分に隣接し、連続成形のためにプロファイル用の原料が押出されるプロファイル成形回転チャンバを形成するモールディングバンドを用いる米国特許第4、251,306号明細書に開示される方法など、周知の押出フォーミングあるいは押出成形法を用いて成形される。あるいは、プロファイル層は、同様の方法で形成され、部分的に加硫することができるゴム組成物であってもよい。このような成形プロセスは、本発明の目的では埋設されたコードなしで実行されることを理解されたい。したがって、当該プロファイル層は、コードがその中に埋設されてベルトが成形される先の方法よりも、より迅速かつ効率的に成形することができる。更に、プロファイル層に形成されるベルトの輪郭は、コード支持のためのフライトやノーズが不要なことから、通常の陥凹あるいは欠陥なしで形成できる。必要であればプロファイル層は、耐摩耗性、音性能の向上、あるいは他の目的のために、歯面に布地層やフィルムを備えてもよい。適合する布地には、例えば織布、編布、不織布が挙げられる。プロファイル層の最終厚さは、心体を所定ピッチ線距離(PLD)において完全に、あるいは部分的に埋設できる値が選定される。PLDは、コードライン下のベルトの厚さの寸法であり、図1に示されるように、ランド領域におけるベルト面からコード中心線までの距離として定義される。ランド領域18は、隣接する任意の2つの歯21の間に位置するベルトの薄い部分である。
【0041】
心体7は、一般的には、コード状に撚られた複数の連続フィラメントから作られており、一般的にエラストマーのマトリクス材料に接着するように接着剤コーティングがなされている。心体7は、ベルトエッジに対してらせん状である。同時に2つ以上の異なるコードが、隣り合わせにベルト内に配置されてもよい。例えば、一種類、あるいは同一方向の撚り、あるいは逆方向の撚りを有する2以上のコード(すなわちS撚りとZ撚り)を心体として用いてもよい。心体はベルトの側面に露出してもよく、好ましくは、心体は一方又は両側面から露出することなくエラストマーのマトリクスに完全に埋設される。適切な如何なる種類のコードが用いられてもよい。接着剤コーティングは、コードの敷設に先立つ独立した作業において、あるいはコードがエラストマーのマトリクス材料に接触する前に、一体化されたコーティング作業におけるコード敷設作業中に、コードに施されてもよい。
【0042】
心体7は、以下でより詳細に説明される連続的なヘリカル巻き(helical winding)プロセスにおいて、プロファイル層1に接着され融合される。得られた補強されたプロファイル層は、ここでは「カーカス」あるいは「補強カーカス」と呼ぶ。完成されたベルト20を作るには、上部層10の付加が必要である。なお、プロファイル層へのコードの貼着と上部層のカーカスへの積層は、モールディングバンドを使用していない開放されたマンドレルの上で行われる。
【0043】
上部層10は、一般的には、プロファイル層と同じ材料あるいは異なる材料あるいは異なる配合組成の何れかの、連続的な、押し出されたTPEあるいはTPUあるいはゴムから作られる。例えば、より高い可撓性のため、異なる摩擦係数のため、及び/又は騒音の低減のため、及び/又はコスト削減のために、上部層は相対的に軟らかい材料からなるが、プロファイル層は、高い歯荷重を担うために相対的により硬い材料で作られる。上部層の厚さは、心体の埋設が完全なものとなるように選択され、ベルトにおいてコードの上に必要な付加材料の量を備える。上部層は、好ましくは、プロファイル層と略同じ幅を有する。上部層の処理は、滑らかな上部層を得るために、適切なダイを通しての従来の押出加工を用いてもよい。もし、ベルトの背面に第2のプロファイルあるいはテクスチャが必要な場合は、上部層を形成するために、プロファイル材料に用いられたようなプロセスを代わりに用いてもよい。プロファイル材料に関しては、もしそのようなカバーが外見を修正するため、あるいは摩擦および/または騒音を低減するために完成されたベルトに必要であるならば、成形中に上部層にテクスチャカバーを貼着してもよい。織物層は、カーカスと上部層との間に埋め込まれるカーカスに適用することができる。
【0044】
積層プロセスは一般的に、圧力ロールとマンドレルとの間のニップラインの少し手前で、補強カーカスの接触面と上部層のみが溶かされ、又は粘着性となり、これらの材料の本体は固体のままでその形状を維持するように、所定の積層レートで積層表面に投入される熱を利用して行われる。良好な結合と接着成果を得るために、3つ全ての材料(積層材料、コード、そしてプロファイル材料)に十分な熱を与えることを保証するには、圧力ロールとプロファイル・マンドレル(profile mandrel)の温度管理もマンドレルの回転速度と関連して重要である。ニップを通るときに、空気が封入されるのを防止し、全ての3つの材料(コード、上部層、そしてプロファイル層)を即時に結合させるため、材料は互いに確りと押圧される。積層装置のニップに入る材料面への熱の入力は、熱と空気の流れを与える熱風送風機、あるいは赤外線放射、あるいはホットナイフ、あるいはレーザ、あるいは加熱手段の組み合わせにより供給される。他の実施形態では、上述したニップよりも積層のためにより長い時間を提供するために、マンドレルの一部の周りに巻き付けられる圧力バンドを使用してもよい。
【0045】
本発明の実施形態では、製造工程には、図2に示される装置を用いた以下のステップが含まれる。
【0046】
所望のベルト形状を一方の側に有するプロファイル材料が、所望の長さと幅で供給される。プロファイル材料は、このように、連続押出成形ストリップから切断し、所望の長さの、無端のプロファイル材層1を形成するために、公知の方法によって接合してもよく、歯付ベルトの場合には、所望の歯数を有していても良い。非限定的な例としては、末端の融合は、熱処理や超音波溶接による熱融合、直接接着、又は薄膜又は接着テープ、またはそれらの組み合わせによって行ってもよい。「ベルトプロファイル」とは、ベルト駆動システムにおけるプーリやスプロケットとの走行関係において、プーリやスプロケットに係合されるように適合されたベルト表面の輪郭のことを意味する。摩擦ベルト伝動システムでは、ベルトプロファイルは、例えば、平ら、V字形、マルチVリブドなどであり、一方、同期あるいはポジティブ・ドライブシステムでは、ベルトプロファイルは、連続した等間隔で配置された横方向の歯、傾けられた歯、あるいはハス歯である。本発明は、歯付プーリとの適切な噛み合いのために歯の形状、ピッチ、ピッチ長さに精密な公差を必要とするポジティブ・ドライブシステムの歯付ベルトの製造に特に有用である。歯付きプロファイル材料については、端部は、好ましくは、コードの敷設のためのマンドレルとの係合時により伸張または圧縮することができるようにランドエリアで接合されており、したがって、結合の領域でピッチ誤差を回避している。しかしながら、ランド接合によって、予定されるよりもより強い接合が必要であるならば、接合は歯地域にあることができる。もちろん、例えば、フィンガ継手、のこぎり歯継手等のような他の接合方法を用いることができる。このようにして、無端のプロファイル層が設けられる。
【0047】
そして、無端のプロファイル層1は、図2に示されるように、製造装置上に導入される。これにより、プロファイル層1は、マンドレル2の一部の周りに巻き付けられ、プロファイル層をマンドレルの相補的な鋳型プロファイルに係合させる。2つの滑らかな係合ローラ3、4は、マンドレルの回転中にプロファイル層をモールド(鋳型)プロファイルに係合させておくために用いられる。これらのローラは、「位置決め可能」であり、これは異なる材料の厚さ、異なる圧力要求などに合わせ、それらが必要とされる位置に移動可能であることを意味する。それらはマンドレルに「隣接」し、これは近接する、近づく、あるいは更にマンドレルまたはマンドレルに係合されたベルト材料に接触することを意味し、すなわち同期して一緒に回転する。矢印はマンドレル2の回転方向、および他のローラや材料の流れる方向を示す。二重の矢印は、様々な箇所に配置できるローラの係合や離脱の移動方向を示している。2つの係合ロール3、4によって画定され、プロファイル層が巻き付けられるマンドレルの部分は、ここではマンドレルの「巻き付け部」あるいは「係合部」と呼ばれる。プロファイル層、カーカスあるいはマンドレルに巻かれたベルトの部分は、同様に、それらの巻き付け部、あるいは係合部と呼ばれる。図2では、巻き付け部は約7時の位置、すなわちガイドロール4の位置から、約4時の位置、すなわちガイドロール3の位置までマンドレル2の上に延在する。この位置は単に説明を目的として描かれるのであって、本発明の範囲を逸脱することなく変更可能である。巻き付けの値は、特に限定される訳ではないが、約45°〜約315°、あるいは約90°〜約300°、あるいは約180°〜約270°、あるいはマンドレルの周囲約270°の範囲が特に有効である。更なる巻き付けは、一般的により正確なピッチ制御、及び/又は、より速い装置の作動を可能にする。マンドレル軸の方向は水平なものとして示されるが、それは垂直や、必要とされる他の方向とされてもよい。
【0048】
本発明のシステムでは、マンドレルは、その上に構築されているベルトよりも周長が小さい。このように、ベルト又はプロファイル層の巻き付け部と、マンドレルに係合又は接触しない遊離部が常に存在する。歯付きベルトを作るためには、マンドレルは、作られているベルトよりも少なくとも1歯ピッチ円周が小さくなければならない。換言すれば、マンドレルは、ベルトプロファイル内の歯数よりも少なくとも1つ少ない溝を有する。
【0049】
プロファイル層(最終的にはベルト)の遊離部(loose or free portion)、すなわち、マンドレル2に巻き付けられていない、又は係合していない部分は、1つ以上の追加のバッファローラ、例えば、図2におけるローラ14及び/又はローラ15に繋がっていてもよい。短いベルトでは(つまり、マンドレル円周ほど長くない)、そのようなバッファロールは使用されていないか、必要とされない。ベルトの特定の長さまで、1つの調整バッファロールは各増分長さを調整するために用いることができ、長さの範囲は、最大100メートル以上の長さの無端のベルトを作るための複数のバッファロールによってさらに拡張可能である。非常に長い無端ベルトを作るための典型的な緩衝装置は、図2に示されている。複数のバッファロールを有するバッファ部16は、有利には、製造時にプロファイル層の遊離部、補強カーカス及びベルトを案内するために利用することができる。上部バッファローラは、他に必要な床面積を拡張することなく、ベルトの長さの範囲を拡大するために上方に移動可能であってもよい。バッファ部は、このように、迅速かつ便利なロードとアンロードを可能にし、遊離部が、それ自体にハングアップしたり、機器の他の部分に絡みつくことなく、マンドレルの急速な回転を可能にする。バッファローラ及び/又はバッファ部はまた、ベルトの長さや幅に関係なく、単一の成形されたマンドレル2の使用により、非常にコンパクトなエリアで製造されることが望ましい、実質的に任意のサイズの無端ベルトを可能にする。以下に説明するように、バッファ部におけるベルトの遊離部は、好ましくは、それぞれのベルトスパン又はスパンの過剰なたるみを解消するために必要な最小限の張力を越えた著しい張力下にはなく、その張力はプロファイル材料がガイドロール4でマンドレルプロファイルに係合し、ガイドロール3で終了してマンドレルから解放されることを保障するために必要である。したがって、いくつかの最小限の張力は、バッファの配置におけるベルトの適切な整列を保障し、ベルト自体の重量を支え、ガイドローラや摩擦等の任意の回転抵抗を解消するために好ましい。そのような最小限の張力は、本明細書において「略張力がない」または「張力のない」と呼ばれる。これは、従来技術の方法とは対照的であり、特に2つの離間したマンドレルを含む方法は、コードが敷設された点におけるコード張力がベルトの構築中にベルト全体の構築を通じて維持される場合、多くの場合、マンドレルとその支持構造上に極めて高い合力が生じる。このような従来技術の方法は、ベルト長さ及びピッチを維持するために大規模なフレームと剛性構造を必要とする。この装置では、ローラ及び/又はマンドレルの他端が、無端のプロファイル層とベルトの簡単な取り付けと取り外しのために開放されるように、ローラとマンドレルが装置の一方の側の単一のフレーム上に取り付けることができる。別の方法として、ロールの両端はフレーム上に取り付けることができるが、ベルトの取り付けと取り外しのために、一方の側でフレームで容易に開放可能に取り付けることができる。
【0050】
図5−8は、係合ロールとバッファ部の代替的ないくつかの配置を示し、異なる長さのベルトを作るときにも適用できる。図5は、バッファロールを使用するには短すぎるベルトからマンドレルの歯数よりも歯1つ長い最小ベルト長までを製造するのに適した装置の構成を示している。このようにして、図5において、プロファイル層1は係合部52を介してマンドレル2に巻き付けられ、2つのガイドロール3及び4によって促進されることが示される。ベルトの非係合又は遊離部51は自立され、すなわち、他のプーリやローラの周りに仕立てられていない。この配置は、図示されるより幾分長いベルトに適切であるが、ただ遊離部51がそれ自体の上に折り重なることができない間は、その歯の間に干渉を引き起こす。その長さ以上のベルトの場合、図6の構成は適切な代替である。図6において、プロファイル層1は2つのガイドロール3及び4によりマンドレル2上に係合されており、そして遊離部61は、単一のバッファロール14aの周りにつながり、様々な長さのベルトの製造に対応するために調整することが可能なように示されている。ロール14aの主な目的は、それ自体で、ベルトの遊離部の絡み又は干渉を防止することである。ロール14aには、遊離部を制御するために必要とされる以上の張力を付与する必要はない、すなわち、略張力がない。
【0051】
図7は代替的な構成を示しており、ここにおいて、マンドレル2に隣接する1つの係合ロール63のみが、マンドレル2上のプロファイル層1の係合を維持するために必要とされる。ここでも、遊離部71は単一のバッファロール74上につながっている。
【0052】
図8は代替的な構成を示しており、ここにおいて、マンドレル2に隣接する係合ロールやガイドロールは使用されておらず、その代り張力システムが使用されている。プロファイル層1の巻き付け部82は、テンションロール83と最後のバッファロール15によって作られたラップ角によって決定される。追加のバッファロール14はバッファ部16を構成し、その結果、ベルトのほぼ全ての長さは、前述の実施形態及び図2に示されるように製造することができる。しかしながら、図8の特殊な配置において、いくらかの張力がテンションロール83及び/又はマンドレル上のプロファイル層の係合及び係脱を維持するための最後のガイドロール15で必要とされる。しかしながら、プロファイル層に係合するために必要な張力は、依然として2つのマンドレル上にコードを巻き付ける先行技術の方法に加えられる張力よりもはるかに小さい。更に、コードがプロファイル層に巻き付けられるときの張力が増加する必要はない。
【0053】
プロファイル層がマンドレルとバッファロール上に取り付けられた後に、マンドレルはコード敷設のために所定の速度で回転される。プロファイル層の巻き付けられた部分は、常に強制的に回転中のマンドレルの巻き付け部に係合している。マンドレルの回転中において、加熱されたプロファイルブレード5は、正確な深さ、幅及び温度で材料に溝を溶融するために、プロファイル材料の背面に対して配置され、コードから離れることにより心体又はコード7が提供され、張力はガイドロール6にコードを供給するために装置19を制御し、それはベルトのピッチラインを制御するために、所望の深さの溝にコードを配置する。溝幅及び深さは、コード直径とほぼ同じであってもよい。ナイフ加熱は、可変速度のコードの敷設を可能にするように、例えば最初のランプアップ又は他の速度変化に適応するように制御することができる。プロファイル材料の溝内の溶融材料が、コードがそこに埋め込まれる前かその最中に急速に冷却される。コードは、包まれた部分がマンドレルの係合部から出る前にプロファイル材料に接着又は融合される。コードはこのようにプロファイル層に部分的に埋め込まれ及び融合されて、得られた補強カーカスがまだマンドレル上に係合している間に、非常に正確に歯のピッチをフリーズすることができる。コードの一般的に非常に高い引張係数のために、カーカスがマンドレルから外れた場合であっても、ピッチはその後正確に保持される。溝の正確な深さとコードの正確な配置は、特に歯付きベルト用に望ましいように正確に制御されたピッチ線とPLDをもたらす。本発明の方法の重要な利点は、正確なコード深さが厚さやうねりのばらつきを持つプロファイル材料内に維持されることである。加熱されたナイフは正確な距離で溝を刻むことができ、波形材料を介してマンドレル表面を形成する。このようにして、正確かつ均一なPLDが生成される。例えば、その形成プロセス中にプロファイル材料の収縮差によりうねりが発生する可能性がある。
【0054】
らせん状のコード敷設時において、加熱されたブレード5とコードガイドロール6は、スライド9によりプロファイル層の一方の側から他の側へ同時に移動可能である。スライド9の移動は、所望のコード間隔を提供するために、マンドレルの回転と同期している。コードの敷設の間、ベルトの正確な長さとピッチを実現するために、コードはまた、所定のレベルに引っ張られる。コード供給装置19は、このように1つ以上のスプール又はリールを、必要に応じて関連した張力又は制動装置等を含むことができる。また、コード温度は、水分を除去し、溶融及び融着作用を調節又は安定化するために、及び/又は、湿度や温度などの環境条件の影響を最小にするために、コード敷設ゾーンにおいて上昇又は制御することができる。
【0055】
マンドレルの強制的係合部において、カーカスが所望のPLDと張力となるようにコードを融合することで、バッファ部16を介して牽引される補強カーカスの部分は、コード間隔、コード位置ベルトピッチ(cord lay belt pitch)、あるいはカーカスの統合性を維持するための特別な張力を全く必要とせず、コードの巻き付けは、更にコードを巻き付けなくても引張力の増加をもたらすことが理解されるべきである。この原理は、カーカスがマンドレルから離接する間にカーカスを所与の張力(もしくは増加する張力)の下で保持する必要性を無くし、プロセスを簡略化し、生産性及び寸法精度において極めて有効である。したがって、従来の方法で起こる多くの問題が解消される。上記の既知の説明した2つの方法の接合部のピッチ誤差や弱さの問題は、本発明によって解消される。ピッチ(歯間隔)を制御するために単一のマンドレルでベルトを製造する際の信頼性は、従来の方法に対して顕著な利点を示し、顕著な低コストを可能にし、よりコンパクトな設備デザイン、より高い材料効率、労働効率、そしてエネルギー効率とともに、より精密な製品寸法、特に長尺の無端、歯付ベルトにおけるピッチ制御、を提供する。張力のある量は、もちろん、前述のようにバッファ部にベルトの適正な牽引を保証するために有利に利用することができる。
【0056】
また、本発明の方法によれば、コードはプロファイル層により完全に支持されることを理解すべきである。これは、要求されるPLDを得るためにコードをマンドレル面から持ち上げるため、マンドレルの各歯に小さなフライトや突起、あるいはノーズを必要とする従来の方法に対して明らかなアドバンテージを示す。図9は、コード97が金型のフライトによって支持されているこのような従来の方法によって製造されたベルト90を示す。このようなフライトはコード曲げをもたらし、コードを弱め、あるいは早期の疲労破壊を導きかねない。またこのようなフライトは、完成したベルト90のランド領域98のフライト跡92においてコードを暴露させるが、これは早期のベルト破損の原因となる汚損及び/又は腐食事項にもなり得る。フライトを利用しなくともよいようにしたことは、同じ機械において、様々な種類のコード素材、コード直径、及び/又はPLDを有するベルトの製造を可能にもする。フライトを用いる従来の方法は、通常コードの太さの変更に合わせて新しい金型設備を必要とした。また、ガラスファイバなどの特定の心体素材の利用は、製造中及びベルトの運転中にフライトがそのような材料にダメージを与え得るので利用できなかった。本発明は、加熱された溝輪郭形成(プロファイリング)装置の位置をPLD制御のために調整することで、同じ設備で全ての種類の心体の利用を可能にする。「設備」は、マンドレルについて言及するもので、その設備の特定のプロファイルを有するベルトを製造することに特化された特別のモールド(実質的に変更されない限り)である。本発明の設備は、従来技術の方法に比べ、より汎用性がある。
【0057】
コード敷設については、図3に示されている。図3において、プロファイル材料1aは強固に又は密接にマンドレル2の歯32の間の溝31に係合される歯を有する。プロファイル材料1aの歯はぴったりとマンドレル2の溝31に係合しなければならない。矢印はマンドレル2の回転方向を示している。加熱されたブレード5は、そのプロファイル層1aの背面側に溝34を形成するプロファイルされたエッジを有する。加熱されたブレードは、好ましくは、溶融材料の溝を形成するような鋤のような役割を果たす。コードガイドロール6はコード7aを供給し、溝材料が再凝固する前に、それを溝34にガイド又は押圧する。ブレードとコードガイドロールの間の距離、コード敷設速度及び温度は、コードが埋め込まれるまで、プロファイル材料表面が溶融又は粘着性の状態であるように制御されるべきである。その結果、補強カーカス1bはコード7b上でそれと融合される。代わりの実施形態では、コードが溝表面に接触する前に、溝材料は代わりに凝固される。この場合、コードはもっぱら、プロファイル材料に融着のための熱を供給することができ、あるいは、接着剤又は粘着性材料は、カーカスを形成するために、プロファイル材料にコードを融合するために使用することができる。
【0058】
また、いくつかの従来の方法は、熱可塑性樹脂に融合するためにコードの加熱を必要とすることに留意されたい。このような方法は、一般的に金属コードに限定され、電気加熱に使用されていた。本発明は、通常、そのようなコードの加熱を必要とせず、抗張コード材料の全ての種類に適用することができる。しかし、コードの加熱は、コード敷設速度の増加を可能にすることができ、かつガイドロールに入る前に及び/又はガイドロールを加熱する前に、コードの加熱により簡単に供給することができる。加熱は、電気的に又は任意の適切なタイプの外部ヒータを用いて達成することができる。コードは、約30%〜100%、又は50%未満〜90%未満、又はその厚さの2/3、又はコードの直径の半分〜1埋め込まれてもよいが、これは、 所望のPLDを得るために、コード及びプロファイル層及びコード直径の材料に応じて有利に調整することができる。
【0059】
他の実施形態では、いくつかの巻かれたヘッドは、複数のコードを適用するために使用することができる。例えば、S及びZ撚りコードはらせん状に並べて配置することができる。あるいは、または加えて、複数のヘッドは、単一のベルトスリーブ内に複数のベルトを製造するために使用することができ、ベルトがギャップにおいて切り離されているときに、エッジコードを示さないように、ベルト間にコードレスのギャップを残す。代わりに、コードが巻き取りを中断することなくコードを巻き取り、ギャップをジャンプすることができ、その後、積層する前にギャップ中のコードを取り除き、再びギャップでスリーブを切断した後にエッジコードなしを実現する。これとは対照的に、先行技術の方法は、図9においてエッジコード91で示されるように、エッジコードの露出をもたらす。
【0060】
別の幾つかの溝形成方法があげられる。コードを敷設する溝を形成するために、加熱されたナイフの代わりに、レーザ切断、あるいは輪郭研削を利用することができる。別の実施形態では、機械的なナイフ切断は、レーザ加熱や赤外線加熱、あるいは熱風等との組み合わせで利用することもできる。溝は上述したように、コードローラの直前で形成されてもよく、さもなければ、溝は、コード敷設に先立ち、1つ以上のターンを形成してもよい。溝は、コード敷設に先立ち、全スリーブに亘り、別個の処理で形成されてもよい。後者の場合、もし溝がコードロールの前方に直接成形されていない場合には、コードのプロファイル材料への必要な融合を達成するために、溝面はコードが溝に敷設される直前に加熱され融解され、あるいはコードが加熱され、あるいは接着剤を利用することもでき、それらの組み合わせであってもよい。
【0061】
コードを適用し、1回の操作で積層体を提供する別の方法は、スライド9に設置され、コードを導くために塗装コード(1つ又は2つのコード)のために設計されたダイを有しており、十分な量で、その周りに十分な量のエラストマー材料を適用し、同時にこの部分にコードを敷設し、積層材料を提供するミニ押出機を用いて提案されている。その後、積層材料は、コード敷設とともにらせん状に適用される。この方法の押出し部は、ケーブル引抜成形プロセスと同様であり、その速度とコードの埋め込みに更なる改善を提供する。この方法は、溝切削ブレードまたはそれなしに組み合わせて適用することができる。
【0062】
マンドレル2に向けてラミネート加圧ロール13を所望のラミネート速度にマンドレルの回転を設定して移動させることにより、コード敷設操作の完了後に上部層材料10が適用され、上部層10と補強カーカスがニップを形成し、そこにおいて積層ヒータ11によって部分的に溶融した2つの材料が押圧され、接合されてベルトスリーブを形成する。積層工程の間にコード取付装置は使用されないので、コードアプリケータは後退し、マンドレルから離れて再配置され得る。好ましくは、積層ヒータはカーカスに熱を適用し、上部層とプロファイル層の表面溶融を生じる。溶融の薄い膜が材料が溶融し、その形状を失うことなく両面に起こるように、ラミネーション速度及び熱入力のプロセスパラメータが調整されるべきである。最適な加熱溶融量は、カーカスとコードに上部層に完全に結合させ、まだ埋め込まれていないコードの一部の周りを流れるが、コードのピッチ線と位置を乱すことはない。ニップ圧は均一であるべきであり、全ての気泡を予防又は除去するために選択すべきである。
【0063】
本発明の実施形態によれば、積層装置は、単一の加圧ロールの代わりに、マンドレルの巻き付け部の別の部分を包み込む圧力バンドを含んでもよい。圧力バンドは、与えられたマンドレル速度のために、ニップよりも積層圧力印加のより長い時間を提供する。圧力バンドとの積層は図10に示される。カーカス91はプロファイル層とらせん状に巻きつかれたコードを備え、マンドレル2の上に牽引され、強制的に係合ローラ4によって係合される。カーカスの遊離部は、ガイドローラ95、96及び97からなるバッファ部を介して牽引される。圧力バンド92は、加圧ロール103、離脱ロール93及び張力ロール94の周りに牽引され、したがって、92aでマンドレルの一部に巻きつく。圧力バンドは柔軟なスチール構造のものであってもよい。ロール103及び93に矢印で示すように、圧力バンドシステムは、移動可能または取り外し可能であり、その結果、コード巻回工程と干渉しない。バンドに付着するベルト材料を防止するために、マンドレルを非粘着性コーティングによってコーティングすることは有利である。適切な非粘着コーティングは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーンポリマー等のようなフルオロポリマーが挙げられる。上部層10は、積層供給ロール104等の供給ロールから離れることができ、加圧ロール103とマンドレル2の間のニップに送り込まれる。ヒータ102は、上部層材料10の表面を溶融又は軟化するために使用することができ、それは圧力バンド92aとマンドレル2との間のカーカス91を押圧するときにコードの周りに流れる。数字101はまた、カーカス91におけるプロファイル層の表面を溶融するためのヒータの別の有用な位置を示している。
【0064】
また図10に示される本発明の他の実施形態によれば、数字101は、ロール104に供給されるシート材料の代わりの流動性積層材料のための計量装置を示す。計量装置は、例えば、TPE又はTPU、又は、例えばシリコーンポリマー、キャスタブルポリウレタン等の液状硬化性樹脂のための歯車ポンプのような熱可塑性材料のための押出機であってもよい。圧力バンドは、その後、このような材料を使用してベルトの上部層を成形及び形成するための空洞を提供することができる。ヒータは、圧力バンドの巻き付け部92aの近傍に設けられてもよい。このように、空洞は、樹脂を硬化するため、又は加硫可能なゴム材料の積層体を硬化させるために加熱することができる。圧力バンドは、このように、硬化性のベルト材料に必要な硬化温度、圧力及び滞留時間を提供する。したがって、カーカスによって積層が完了した後、完成したベルト20が製造される。圧力バンドは、上部層、すなわちベルトの背面に所望のテクスチャを導入するために、表面テクスチャまたはパターンを有することができる。
【0065】
また図11に示される本発明の他の実施形態によれば、カーカス上にプロファイルされたトップ層を積層するために、加圧ロール113は溝付きであっても良い。プロファイルされた上部層は、ベース層(同じプロファイル材料を用いてもよい)と同じプロファイルであってもよいし、異なるプロファイルを使用してもよい。したがって、両面歯付きベルトは同じ装置で製造することができる。ベルトの両側の間の相対的な歯の配向を制御することが望ましい場合がある。従って、マンドレル2と加圧ロール13は、有利にはベルト又はチェーン駆動システム及び/又は歯車システム又は電子的に同期させることができる。図11は、マンドレル2により駆動される第1ベルト116によって駆動されるリバーシングギヤ114、及び第2ベルト115を有する駆動加圧ロール113を備える1つの可能な同期構成を示す。同期の目標は、例えば、コードピッチ線に基づく線速度に適合する、上部層とカーカスを積層することであってもよい。図11に示されているドライブは、およそマンドレルの直径の約半分の直径の加圧ロールを示し、したがって加圧ロール113とマンドレル2用の表面速度のマッチングの結果、ベルト116は2:1の駆動であり、ベルト115は1:1の駆動である。他の構成は、所望の最終結果に応じて可能である。例えば、実施形態のいずれかの積層ロールは、上部層、すなわち、ベルトの背面に所望のテクスチャを導入するために、表面テクスチャ又はパターンを有することができる。
【0066】
本発明の他の実施形態によれば、上部層は、いかなる外部圧力なしに(すなわち圧力バンドなしに)カーカス上に直接鋳造することができる。したがって、液体、高速硬化樹脂は、上部層を構築するマンドレルの1つ以上の回転において、カーカスに適用することができる。この方法は、ベルトの周りに厚さのばらつきを生じ得る。そのために研削やスカイビング動作は、所望の厚さの均一性でベルトを終了するのに有利であり得る。この鋳造のオプションでは、マンドレルのエッジフランジは、硬化前に液状樹脂がマンドレルから流れ落ちるのを防ぐために有用であり得る。任意の適切な樹脂を使用することができ、提供される適切な接着はカーカスを用いて達成される。上部層において所望の圧縮性又は柔軟性を達成するために、発泡樹脂を用いることができる 。
【0067】
ベルトスリーブを製造した後に、背面を研削するために、又はそうでなければ背面に滑らかな又は特定の設計されたパターンを提供する目的でスリーブを機械加工するために同じ装置が適合されて使用されてもよい。必要に応じて又はこれに加えて、スリーブの背面は、例えば特定の摩擦、磨耗やノイズ特性を提供するために、記載された装置及び方法を使用して布を積層することができる。最後に、同じ装置の一実施形態の回転中、設置中、又はそうでなければ使用中に、スリーブは、印刷された又はラベル化され、及び/又は所望のベルト幅にカットされる。
【0068】
本発明の他の実施形態によれば、追加の特徴又は多数の変形が可能である。例えば、プロセスをスピードアップするために、いくつかのコードを巻いているヘッドは、それぞれ隣から一定の距離で、例えばベルトの所望の幅に応じて、スライド9に配置することができる。
【0069】
この方法及び装置はまた、各ベルトの間に心体がないスペースを残した複数のベルトに十分な幅のカーカスの上に、コードをらせん状にすることを可能にする。この空間は、ベルトの切断を容易にし、結果的に切断端にコードが露出していない、すなわち「エッジコード」がないベルトが得られる。あるいは、連続した間隔のコードによって、又はコードの短い部分がベルトの間のスペースをとびこえることによってコードはカーカス上に巻きつけられることができる。コードは、次にそのスペースから取り外すことができ、ここでベルト幅に切断する。上部層を積層する前にベルト間のコードを取り外すことは、エッジコードが切断されたエッジに露出していないことを保証する。図4は多数のベルトが単一のベルトスリーブから切断される装置及び方法の実施形態を示す。図4は、コード7がコードの巻付処理工程の終わり近くに適用されるマンドレル2の巻き付け部中のプロファイル層1を示す。加熱されたプロファイルブレード36は、コード7がその中に敷設される直前に溝34を形成している。多くの抗張コード層のギャップ41は、個別のベルトがスリーブから切断される場所に対応がなされている。積層及び切断後の結果、フライトにより露出されたエッジも露出されたコードを持たないベルトになる。他の実施形態において、異なる材料がプロファイルに(例えば、ノイズや負荷性能を向上させるため)及びトップサイドに(例えば、摩擦、外観、プロファイリングなどのために)使用される。同様に、布地又は織物は、プロファイル及び/又は背面に使用することができる。背面も滑らかにする代わりにプロファイルすることができる。例えば、ベルトはその後、両面タイミングベルト、又はタイミング/V−ベルトの組み合わせ、あるいは片面か両面がマルチリブドVベルトであってもよい。代わりに、ベルトは平ベルトであるか、又はいくつかの他の特定のプロファイルを有してもよい。
【0070】
本発明の実施形態によれば、コードアプリケータは、コードが移動する上でのローラとすることができる一対の電極を含んでいてもよく、これは、コードを加熱するためにコードを介して十分な電流を供給する。他の実施形態では、コードアプリケータは、2つ以上の対の電極上に2つ以上の導電性のコード端を供給することができ、これは、コードを加熱するために全てのコードを通じて十分な電流を供給する。コードはそこに接触させられるため、供給された熱は、プロファイル層を溶融し、プロファイル層にコードを融合させるのに十分である。導電性のコードとして、スチールコード、カーボン繊維コード等が挙げられる。
【0071】
本発明の装置と方法の自動化のための適当な制御を提供できる。例えば、自動制御は、マンドレル、ガイドローラ、積層ローラ、コードガイドローラ、加熱ブレード、コード/ブレードスライド(cord/blade slide)などの様々なローラに係合させ、回転させ及び/又は離脱させるのに適用できる。自動制御は、加熱ブレード、積層ヒータなどの温度及び/又はエネルギー入力の制御に適用することも可能である。自動制御は、研削工程、切削工程、ラベリング工程、切断工程など連携される様々な仕上げ工程に適用することもできる。制御アルゴリズムは、ソフトウエア及び/又はハードウエアとして実装できる。必要に応じてマニュアルでの中断、あるいはマニュアル操作を行うこともできる。本発明の実施形態よれば、無端プロファイル層の形成を容易にするために、同じ装置上のプロファイル層の歯数の自動計数を実現することができる。歯のカウンタは直接であってもよく、歯を検出するために、例えば、機械的、光学的、又は近接センサーを使用し;又は、間接的であってもよく、例えば、ステッピングモータでステップをカウントし、そこから歯数を算出する。プロファイル層の端部の結合は、同じ装置上で実行することができる 。
【0072】
本発明の多くの追加の利点を挙げることもできる。フライトとエッジコードを共になくしたことで、ベルトは洗浄、滅菌などが必要とされる食品サービスやその他の「クリーンベルト」アプリケーションで必要とされるであろう意図された使用環境から完全に密閉され得る。また、完全に被包された心体は、腐食と曲げに対してより良好に保護され、使用可能寿命が著しく向上される。したがって、より高価な耐腐食スチールワイヤをより経済的なスチールワイヤに置き換えることが可能である。
【0073】
プロファイル材料と上部層材料を個別に製造することは、全てが同じ装置で成形され組み立てられた従来の方法に対して多くの利点を有する。個別製造は、プロファイル層材料と上部層材料を、通常コード敷設が同時に行われるときに可能な速度よりも速い押出加工に最適な速度で製造することを可能にする。個別製造は、更に図2のベルト製造システムのより簡単なセットアップを可能にし、より簡単な設計とより低い資本コストを可能にする。特に、押出成形機と従来のモールディング圧力バンドと、それの連携駆動システムは必要とされない。セットアップ時間は著しく低減され、コード材料の利用が1つ又は2つだけ改善され、または比較的少数のコードは、むしろ最大100までねじ込まれるか、取り付けられる必要があり、より多くのコードは、従来のオープンエンドのベルト製造装置で終わる。
【0074】
デュアル・コード巻きとり(例えば、S及びZコードの両方)はこの処理で可能であるが、非常に困難であるか、又は知られている第4の従来技術の方法として上述された長い無端ベルトの方法で再現性よく行うことはむしろ不可能である。前述のように、多数の単一又は2つの巻きとりヘッドを使用することができる(例えば、各ベルト幅のための1つの又は1組のヘッドは、単一のベルトスリーブから同時に作られる)。これらの可能性により大幅にプロセスがスピードアップし、さらに、ベルトのコストが低減する。無端ベルトのコード巻きとりは、製造プロセスにおける律速段階であることができる。本発明の実施形態によれば、コード巻き取り工程は、カーカスへのコードの適切な融合とPLDの適切な制御により、毎分5〜50メートルの範囲で直線巻き取り速度で行うことができる。
【0075】
本発明の方法は、係合ロール13及び14又は適切な張力を用いた巻き付けの間に、プロファイル材料をマンドレルに強制的にピッタリと嵌め合わせる工程を含む。1つの実施形態では、プロファイル材料の巻き付け部のプロファイル層の歯は、マンドレルの巻き付け部に存在する嵌合溝にピッタリと嵌り込む。マンドレルプロファイルの精密な機械加工に加え、そしてコード位置の制御と相俟って、このピッタリとした嵌合は、出来上がるベルトのピットとピッチ長さ、また、プロファイル層における結合と接合の一貫した制御を保証するのを助ける。プロファイル層のピッチがマンドレルの基準ピッチよりも長い場合の圧縮になるよりも、プロファイル層がマンドレルにおいてタイトフィットを維持するように引張されることを保証するには、無端のプロファイル層を最終ベルトの長さよりも最初に少し短くすると有利である。歯付ベルトの最終的なベルトピッチとピッチ長さを制御するのは、マンドレルとコード敷設プロセスである。2つのマンドレルを含む他の既知のベルト製造方法は、ベルトピッチは、特に接合領域で、一貫性がないという大きなリスクを伴う。
【0076】
一例として、約400mm幅と直径約320mmのマンドレルを有している装置の実施形態を構築した。連続的なプロファイル材料はオフラインで生成され、(ランド領域内で)長さに切断され、ランドにおいてテープを使用することよって又は超音波溶接によって端部が接合される。歯のカウントは、マンドレル駆動のステッパモータと、関連したステップカウントソフトを使用して自動化された。無端TPU歯ベルトは、スチール、ガラスやアラミド抗張コードで、必要に応じてナイロン製の歯カバー生地で補強され、約1メートルから30メートルまでの範囲のベルト長さを有する同じマンドレル上で製造された。マンドレルは少なくとも2つの異なるスピード:プロファイル層上にコードを巻くための高速(毎分5〜50メートルの範囲で選択可能)と、補強カーカス上に上部層を積層するための低速(毎分0.1〜2メートルの範囲で選択可能)で回転される。加熱されたプロファイルブレードと積層ヒータは250℃と500℃の間で設定した温度を用いて簡単で、急速な加熱が可能であった。ブレード温度は、ブレードとプロファイル材料との間の接触時の露出時間がコード融着動作のためにちょうど十分な表面を溶融するのに十分であるような温度である。PLD変動は30ミクロン以内に制御された。
【0077】
見本の長尺の無端の歯付ベルトは、他の方法によって作成された同じプロファイル及び長さのベルトに対して試験された。予想されるように、抗張力は、抗張コードの同じタイプのベルトと同等であった。動的なベルトテストは、他のベルトを上回る本発明のベルトの改善を示したが、これは、本発明の方法及び装置に起因する改善されたピッチ制御に起因するものであった。
【0078】
ここで説明された本発明のシステムおよび方法は、限定的にではなく、スノーモービル、雪上車や、他の輸送車両、軍用車両、建設車両、ロボットなどを含む様々なタイプの装軌車両(track-driven vehicles)用の軌道駆動システム(track drive systems)の無限軌道(endless track)を作成するのにも用いることができる。そのような無限軌道の例は、キークハイファー(Kiekhaifer)の米国特許第3,338,107号明細書、ベルメール(Bellemare)の米国特許第8,033,619号明細書、ソーシー等(Soucy et al.)の米国特許第7,090,312号明細書に開示されており、その内容はここで援用される。覆帯は、例えば連続した内側駆動突起(internal drive lugs)を備え、これはここで説明されるように、歯付ベルトの歯と同様の方法でマンドレルの上で形成され噛み合わされる。同様に、覆帯は連続した外側牽引突起(external traction lugs)を備えてもよく、これもまたここで説明されたように、デュアル歯付ベルトの歯と同様の方法で形成されてもよい。他の実施形態では、覆帯は例えば、ここで説明された本発明のシステムおよび方法で形成されるベースベルトを備え、内側および/または外側突起は後で留め付けられてもよい。
【0079】
本発明及びその利点が詳細に説明されたが、様々な変更、置換及び代替が、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱しない限り、ここでなされ得ることが当然に理解されるであろう。更に本出願の範囲は、明細書で述べられたプロセス、機械、生産物、組成物、手段、方法及びステップの特定の実施形態に限定されることを意図したものではない。ここで説明した実施形態と実質的に同一の機能を果たし、あいは実質的に同一の結果をもたらす、既存のあるいは後に開発されるプロセス、機械、生産物、組成物、手段、方法、又はステップを本発明に従って利用できることは、当該技術分野の当業者であるならば本発明の開示内容から容易に理解できる。したがって、添付された特許請求の範囲は、その範囲に、そのようなプロセス、機械、生産物、組成物、手段、方法、又はステップを含むことを意図している。ここで開示された発明は、ここでは特に開示されない構成要素のいかなるものが欠けたとしても適正に実施できる。
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