特許第5945664号(P5945664)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945664
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
   A63F7/02 315Z
【請求項の数】1
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-19404(P2012-19404)
(22)【出願日】2012年2月1日
(65)【公開番号】特開2013-154137(P2013-154137A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2015年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(72)【発明者】
【氏名】西井 誓資
【審査官】 河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−177296(JP,A)
【文献】 特開2009−279270(JP,A)
【文献】 特開2011−167498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた連続した値の数値群の中から1個の数値を乱数として抽出する図柄乱数抽出手段と、
異なる複数の加算値を記憶した加算値記憶手段と、
前記乱数と前記加算値との対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、
前記図柄乱数抽出手段が抽出した前記乱数と、前記対応関係記憶手段の記憶内容に基づいて求めた該乱数に対応する前記加算値との合計値を算出する合計値算出手段と、
該合値算出手段が算出した前記合値を2進数に変換し、図柄表示指示データとして図柄表示装置に出力する表示データ出力手段とを備え
前記対応関係記憶手段は、前記数値群を、前記予め定められた連続した値の初期値から所定の値までを等差数列の初項とし、該初期値から該所定の値までの該初項の数を公差とする複数の前記等差数列として構成したうえで、前記初項の異なる前記等差数列毎に異なる前記加算値が対応するように記憶する
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機、特に抽出した乱数に基づいて図柄を表示する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な遊技機であるパチンコ機は、遊技球が始動口へ入賞すると複数の乱数値が抽出され、該乱数値に基づいて当否判定を行い、該当否判定の結果が大当りなら、抽出した乱数値に基づいて特別図柄の大当り図柄を決定し、図柄表示装置で特別図柄の変動を開始した後に大当りを示す特別図柄を確定表示し、確定表示した大当り図柄の種類に応じて大入賞口を開放する大当り遊技を実行すると共に、該大当り図柄の種類に応じて大当り遊技終了後の遊技状態を決定する機種が主流である。
【0003】
上記したように、近年のパチンコ遊技機では、特別図柄の表示方法として、始動口入球時に取得した当否判定用乱数が当選値の場合、入球時に一緒に取得していた図柄決定用乱数の値を参照し、該値に応じた図柄表示指定データを記憶領域から読み出して特別図柄表示装置へ表示指示を行うのが一般的な構成である<特許文献1>。なお、特別図柄表示装置の制御は主制御装置が直接行い、特別図柄に対応した演出図柄(疑似図柄)表示装置の制御はサブ制御装置が行う構成が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−174863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在のパチンコ遊技機は、大当り遊技の内容(大入賞口の開放時間及び開放回数)と、大当り遊技終了後の遊技状態との組合せが多様化の傾向にあり、それにより大当り図柄の種類も多くなり、今後その傾向(大当り図柄の増加)はますます大きくなることが考えられる。そうなると、図柄表示指定データのデータ容量も増加し、主制御装置の負担が増えることが懸念される。
【0006】
図柄表示指定用のデータ容量が増加することに対する解決策の1つとして、大当り図柄の決定に用いる図柄決定用乱数の値をそのまま2進数に置き換えて特別図柄表示装置のポートへ出力する構成が考えられる。この構成ならば、図柄決定用乱数に対応する図柄表示指定データを主制御装置に備えておく必要が無く、大当り図柄の種類が増えても容量の問題は発生しない。
【0007】
しかしながら、単純に乱数値を2進数に変換しただけでは、大当り図柄の表示態様と乱数値との関係が容易に判別でき、特別図柄を見ただけで大当り遊技の内容(種類)や大当り遊技終了後の遊技状態(確変or通常)等が判明してしまう虞があり、サブ制御装置が主制御装置からの信号に応じて制御する演出図柄でどのような演出を行っても意味の無いものになってしまう。
【0008】
そこで本発明は上記した事情に鑑み、図柄決定用乱数の値をそのまま特別図柄の表示指示用のデータに変換しても、表示された特別図柄の種類と図柄決定用乱数との関係を判別し難くすることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の遊技機は、
予め定められた連続した値の数値群の中から1個の数値を乱数として抽出する図柄乱数抽出手段と、
異なる複数の加算値を記憶した加算値記憶手段と、
前記乱数と前記加算値との対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、
前記図柄乱数抽出手段が抽出した前記乱数と、前記対応関係記憶手段の記憶内容に基づいて求めた該乱数に対応する前記加算値との合計値を算出する合計値算出手段と、
該合値算出手段が算出した前記合値を2進数に変換し、図柄表示指示データとして図柄表示装置に出力する表示データ出力手段とを備え
前記対応関係記憶手段は、前記数値群を、前記予め定められた連続した値の初期値から所定の値までを等差数列の初項とし、該初期値から該所定の値までの該初項の数を公差とする複数の前記等差数列として構成したうえで、前記初項の異なる前記等差数列毎に異なる前記加算値が対応するように記憶する
ことを特徴とする遊技機である。
【0010】
予め定められた連続した値の数値群とは、主制御装置が発生させる乱数の初期値から最終値(最大値)までの乱数としてもよく、該乱数は、主制御装置が定期的な割込処理によって作成してもよく、該割込処理を実行するごとに+1するインクリメント処理によって整数を昇順に作成した数値としてもよい。
【0011】
図柄乱数抽出手段は、遊技領域に配置された始動口への遊技球入球に起因して1個の図柄決定用乱数の抽出を実施するのが好適であり、該入球に起因して同時に当否判定に用いる乱数と図柄の変動パターンを決定する乱数を抽出するのが好適であり、他に抽出する乱数は、具体的に、大当り判定用乱数、リーチ決定用乱数、変動パターン決定用乱数とする構成が望ましい。
【0012】
対応関係記憶手段が記憶する各乱数と各加算値との関係は、予め定められたものであれば、遊技状態によって変化してもよい。また、全ての乱数の総数と、各乱数と加算値とを合算した値の総数とは同一となるように構成され、異なる乱数値と異なる加算値とを合算した場合に、同一値にならないように加算値が設定されるのが望ましい。
【0013】
値を2進数に変換した図柄表示指示データの各ビットは、図柄表示装置の各点灯位置に対応した構成が望ましい。
【0015】
「予め定められた連続した値とは」、例えば0、1、2、3、4、5、から99までの整数で構成される図柄乱数を指し、「初期値から所定の値までを等差数列の初項とする」とは、例えば図柄乱数の初期値が0で所定の値が3の場合、0、1、2、3が等差数列の初項となり、「初期値から所定の値までの初項の数を公差とする」とは、0から3までの整数の数となる4が初項0、1、2、3の等差数列の公差となる。
【0016】
従って、この例の場合の等差数列は「0、4、8、12、16、20、〜96」(初項0、公差4、最大)と、「1、5、9、13、17、21〜97」(初項1、公差4)と、「2、6、10、14、18、22〜98」(初項2、公差4)と、「3、7、11、15、19、23〜99」(初項3、公差4)との4種類となり、各等差数列に対して異なる加算値が対応するため、この場合の加算値記憶手段が記憶する加算値の種類も4種類となる。
【0017】
上記した構成において合計値算出手段は、図柄乱数が0、4、8、12(初項0、公差4)の場合は同一の加算値と合算し、1、5、9、13(初項1、公差4)の場合も同一の加算値を合算するが、0、4、8、12の場合に合算した加算値とは異なる値の加算値となる。従って、対象となる図柄乱数が同一の等差数列に含まれる場合は、同一の加算値を合算し、図柄乱数が異なる等差数列に含まれる場合は異なる加算値を合算する構成となる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の遊技機によれば、抽出した乱数値によって異なる値が加算されるため、表示された図柄を見ても図柄決定用乱数の値を判別するのが困難となると共に、抽出した乱数値に対応した合値を2進数に変換した値がそのまま図柄表示装置の点灯位置を指示するデータとなるため、専用の図柄表示データが不用となり、表示図柄の種類が増えた場合でもそれによる記憶容量の負担を回避することができる。
【0019】
また、複数種類の加算値と各乱数値とを容易に対応させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】遊技盤8の正面図。
図2】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図。
図3】主制御装置50が実行するメインルーチンを示すフローチャート。
図4】主制御装置50が実行する始動入賞処理を示すフローチャート。
図5】主制御装置50が実行する特図当否判定処理を示すフローチャート。
図6】大当り図柄決定用乱数の内容を示す図表。
図7】大当り図柄決定用乱数と各加算値と合算値と出力値(図柄表示指示データ)との関係を示す図表。
図8】図柄表示指示データと図柄表示態様の関係を示す図表。
図9】特図表示装置29の点灯表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【実施例1】
【0022】
図1は、本実施例のパチンコ機の遊技盤8の正面図である。なお、このパチンコ機の全体的な構成は公知技術に従っているので図示及び説明は省略する。遊技盤8には公知のガイドレール25a、25bによって囲まれた略円形の遊技領域26が設けられ、多数の遊技釘27が植設されている。遊技領域26の略中央には、窓部28aを有する液晶枠飾り28が設けられており、演出図柄表示装置54b(図2参照)のLCD画面が遊技者から視認可能に構成され、図示しない公知のワープ入口、ワープ通路、ステージ等も設けられている。
【0023】
液晶枠飾り28の左側には後述する普通図柄作動スイッチ42a(図2参照)を備える普通図柄作動ゲート42が設けられており、下側には第1始動口31と開放時のみ入賞可能となる普通電動役物が第2始動口32として設けられている。第2始動口32の下方には、アタッカー式の大入賞口33aを備える大入賞口ユニットが配置され、該大入賞口ユニットの下方にはアウト口が設けられている。また、大入賞口ユニット33の左上には、一般入賞口スイッチ35b(図2参照)を備える一般入賞口35aが4個設けられている。
【0024】
遊技領域の右下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置41と、普通図柄保留数表示装置41aと、特別図柄保留数表示装置29aと、特別図柄表示装置29とが配置され、配置している位置によって遊技者が常時確認し辛くなっている。なお、特別図柄表示装置29は本発明の図柄表示装置に該当する。
【0025】
上記のように遊技盤8を構成することによって、普通図柄作動ゲート42に遊技球が入球(普通図柄作動スイッチ42a(図2参照)が遊技球を検出)すると、普通図柄表示装置41で普通図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止した普通図柄の態様に応じて、後述する普通電役ソレノイド40b(図2参照)を駆動させる。普通電役ソレノイド40bが駆動すると、ほぼ同期して普通電動役物の羽根部材が開放して、普通電動役物への入球(第2特図始動スイッチ32a(図2参照)の検出)が可能となるように構成されている。尚、本実施形態におけるパチンコ機では、普通電動役物の羽根部材が駆動する開放時間は、通常時は0.2秒(1回)、時短状態(開放延長状態)では1.8秒(2回)である。
【0026】
第1始動口31及び第2始動口32に遊技球が入球(第1特図始動スイッチ31a及び第2特図始動スイッチ32aが遊技球を検出)すると、特別図柄表示装置29において特別図柄が変動を開始し、所定時間後に停止する。特別図柄の変動中は、窓部28aに配置された演出図柄表示装置54bにおいて各々の特別図柄の変動に連動した演出態様を表示する。
【0027】
確定表示した特別図柄の態様に応じて後述する大入賞口ソレノイド33c(図2参照)を駆動させる。大入賞口ソレノイド33cを駆動させると、ほぼ同期して大入賞口ユニットの扉部材が開放して、大入賞口33aへの遊技球の入球(カウントスイッチ33b(図2参照)が遊技球を検出)が可能となるように構成されている。
【0028】
続いて、図2に本実施例におけるパチンコ機の電気配線を示すブロック図を示し説明する。図2には煩雑になる電源の供給系統に関する記載は行わないが、電源が必要な制御装置若しくはアクチュエータ類には、電源装置(図示せず)から直接的又は間接的に供給される構成となっている。尚、遊技盤8を装着するパチンコ機本体に関する部品は図示を省略している。
【0029】
図2に示す通り、主制御装置50の入力端には、遊技盤中継端子板62を介して第1始動口31に入球した遊技球を検出する第1特図始動スイッチ31aと第2始動口32である普通電動役物に入球した遊技球を検出する第2特図始動スイッチ32aと、普通図柄作動ゲート42に入球した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ42aと、大入賞口33aに入球した遊技球を検出するカウントスイッチ33bと、一般入賞口35aに入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ35bとが接続されており、裏配線中継端子板63を介して前面枠が閉鎖していることを検出する前面枠閉鎖スイッチ38と、意匠枠が閉鎖していることを検出する意匠枠閉鎖スイッチ39a、39bと、が接続されている。
【0030】
主制御装置50の出力端には、遊技盤中継端子板62を介して大入賞口33aの扉部材を開放する大入賞口ソレノイド33cと、普通電動役物の羽根部材を開放する普通電役ソレノイド40bとが接続されており、図柄表示装置中継端子板64を介して特別図柄を表示する特別図柄表示装置29と、特別図柄の保留数を表示する特別図柄保留数表示装置29aと、普通図柄を表示する普通図柄表示装置41と、普通図柄の保留数を表示する普図保留数表示装置41aとが接続されており、裏配線中継端子板63及び外部接続端子板61を介して図示しないホールコンピュータ70と、が接続されている。
【0031】
主制御装置50はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される各種検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種コマンド等を生成し、払出制御装置51及びサブ統合制御装置53に出力する。ここで、主制御装置50と払出制御装置51とは双方向通信回路として構成され、主制御装置50とサブ統合制御装置53とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置50からサブ統合制御装置53への一方向通信回路として構成されている。
【0032】
払出制御装置51の入力端には、裏配線中継端子板63を介して球タンク(図示せず)又はタンクレール(図示せず)内の遊技球が不足していることを検出する球切れスイッチ22a又は23aと、裏配線中継端子板63及び払出中継端子板66を介して払い出した遊技球を検出する払出スイッチ24bと、各種端子板を介することなく下皿への経路に遊技球が多数あることを検出する満杯スイッチ13aと、が接続されている。払出制御装置51の出力端には、裏配線中継端子板63及び払出中継端子板66を介して遊技球を上皿へと払い出す払出モータ24aが接続されている。
【0033】
払出制御装置51はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される各種検出信号ならびに主制御装置50から入力されるコマンドに基づいて遊技球の払い出しに関わる各種コマンド等を生成し、主制御装置50及び発射制御装置52に出力する。ここで、払出制御装置51と主制御装置50とは双方向通信回路として構成され、払出制御装置51と発射制御装置52とは払出制御装置51から発射制御装置52への一方向通信回路として構成されている。
【0034】
また、払出制御装置51は、外部接続端子板61を介して賞球に関する情報などをホールコンピュータ70に送信するほか、発射制御装置52に対して発射停止信号を送信する。発射制御装置52は発射モータ36を制御して、遊技球を遊技領域26に遊技球を発射させる。なお、発射制御装置52には払出制御装置51以外に発射ハンドル18からの回動量信号、タッチスイッチ20aからのタッチ信号、発射停止スイッチ19aから発射停止スイッチ信号が入力される。回動量信号は、遊技者が発射ハンドル18を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル18を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ19aを押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置51に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル18を触っていても遊技球は発射出来ないようになっている。
【0035】
サブ統合制御装置53の入力端には、遊技者により操作可能な遊技スイッチ14aが接続されている。サブ統合制御装置53の出力端には、図示しない意匠枠及び遊技盤8に備えられる各種LED・ランプ37と、前面枠及びスピーカユニットに備えられるスピーカ10と、が接続されている。尚、サブ統合制御装置53と主制御装置50とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置50からサブ統合制御装置53への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置53と演出図柄制御装置54aとはサブ統合制御装置53から演出図柄制御装置54aへの一方向通信回路として構成されている。
【0036】
サブ統合制御装置53はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される遊技スイッチ14aの入力ならびに主制御装置50から入力されるコマンドに基づいて演出に関わる各種コマンド等を生成し、演出図柄ユニット54の演出図柄制御装置54aに出力する。
【0037】
また、サブ統合制御装置53には、音量を調節する音量調節スイッチ10aが備えられ、音量調節スイッチ10aの状態(位置)を検出し、その検出結果とスピーカ10へ送信する内容とを判断し、スピーカ10から出力する音量をソフト的に制御するように構成されている。
【0038】
演出図柄制御装置54aは、サブ統合制御装置53から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置50から送信されてきたものとサブ統合制御装置53が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置54bを制御して、疑似図柄等の演出画像を窓部28aに表示させる。
【0039】
次に、図3を用いて、主制御装置50が実行するメインルーチンについて説明する。図3に示すフローチャートは、主制御装置50のマイコンにより実行されるメイン処理を表したものであり、約2mS毎のハード割り込みにより定期的に実行される処理である。本実施形態では、S10〜S75までの各処理は割り込み処理において1回だけ実行される処理であって「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS80、S85の処理を「残余処理」と称する。
【0040】
マイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(S10)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判断するためのものである。正常割り込みでない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、たいていが電源投入時である。電源投入時にはRAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
【0041】
正常割り込みでないと判断されると(S10:no)、前記メモリの所定領域に所定値を書き込む特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み、即ち初期設定が為され(S13)、残余処理に移行する。
【0042】
S10が肯定判定なら(S10:yes)、各種乱数についての更新処理が行なわれる。まず特別図柄の大当り判定用の初期値乱数1の更新処理が実行される(S15)。この処理は、初期値乱数1の値について、この処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、この処理実行前の初期値乱数1の値に+1するが、この処理を実行する前の乱数値が最大値である「3966」のときには次回の処理で初期値である「0」に戻り、「0」〜「3966」までの3967個の整数を繰り返し昇順に作成する。
【0043】
続いて、普通図柄の当り判定用の初期値乱数2の更新処理を実行する(S20)。この処理はS15の処理と同様に初期値乱数2の値について、実行毎に+1するインクリメント処理である。違いは、初期値乱数1の最大値が「3966」であるのに対して初期値乱数2の最大値が「997」であるということである。よって、この処理を実行する前の初期値乱数2の乱数値が最大値である「997」のときは次回の処理で初期値である「0」に戻る。
【0044】
続く大当り判定用乱数更新処理(S25)は、初期値乱数1、初期値乱数2の更新処理と同様に処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であるが、最大値である「3966」に至ると次回の処理では、そのときの前記初期値乱数1の値を初期値(以下、「更新初期値」という。)とし、更に割り込み毎に+1する処理を続行して更新初期値より「1」少ない値(以下、「更新最大値」という。)に至れば次回の処理では、更にそのときの初期値乱数1の値を初期値とし「0」〜「3966」までの3967個の整数値を繰り返し作成する。
【0045】
即ち、割り込み処理毎に+1し、乱数を構成する要素を「0」〜「3966」までの整数値とすることは前記初期値乱数1と何等変わることはないが、今回の更新最大値に至れば次回の割り込み処理ではそのときの更新初期値を初期値とし更新最大値に至るまで割り込み毎に+1し、更に次回の更新初期値を初期値とする構成である。これにより、大当り判定用乱数は、乱数を構成する要素を「0」〜「3966」までの3967個の整数値とし、割り込み処理毎に+1するが、更新最大値に至れば、次回の割り込み処理ではそのときの初期値乱数1により決定される値に変更されるので、当否乱数の値を予測不可能にすることができる。また、更新初期値と更新最大値とにより決定される乱数の構成要素は従来の当否乱数と同じ「0」〜「3966」の3967個の整数値と何等変わることがないので乱数を構成する要素の出現率を均一にしている。
【0046】
S25に続く当り判定用乱数の更新処理(S30)は、初期値乱数1、初期値乱数2の更新処理と同様に処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であるが、最大値である「996」に至ると次回の処理では、そのときの前記初期値乱数2の値を初期値(以下、「更新初期値」という。)とし、更に割り込み毎に+1する処理を続行して更新初期値より「1」少ない値(以下、「更新最大値」という。)に至れば次回の処理では、更にそのときの初期値乱数2の値を初期値とし「0」〜「996」までの997個の整数値を繰り返し作成する。
【0047】
即ち、割り込み処理毎に+1し、乱数を構成する要素を「0」〜「996」までの整数値とすることは前記初期値乱数2と何等変わることはないが、今回の更新最大値に至れば次回の割り込み処理ではそのときの更新初期値を初期値とし更新最大値に至るまで割り込み毎に+1し、更に次回の更新初期値を初期値とする構成である。これにより、当り判定用乱数は、乱数を構成する要素を「0」〜「996」までの997個の整数値とし、割り込み処理毎に+1するが、更新最大値に至れば、次回の割り込み処理ではそのときの初期値乱数1により決定される値に変更されるので、当否乱数の値を予測不可能にすることができる。また、更新初期値と更新最大値とにより決定される乱数の構成要素は従来の当否乱数と同じ「0」〜「996」の997個の整数値と何等変わることがないので乱数を構成する要素の出現率を均一にしている。尚、図6に記載するように通常確率状態時の当選することとなる値の数は10で、値は「31」〜「40」であり、高確率状態時の当選することとなる値の数は966で、値は「31」〜「996」である。
【0048】
大当り図柄決定用乱数の更新処理(S35)は「0」〜「99」の100個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1され最大値(99)を超えると初期値である「0」に戻る構成になっており、この100個の乱数値により100種類の大当り図柄より1つの大当り図柄が決定される構成になっている。
【0049】
リーチ判定用乱数の更新処理(S45)は「0」〜「228」の229個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初期値である「0」に戻る。なお、通常確率状態時で変動時間短縮機能未作動時に当選する値の数は21で、値は「0」〜「20」であり、通常確率状態時で変動時間短縮機能作動時に当選する値の数は5で、値は「0」〜「4」であり、高確率状態時に当選する値の数は6で、値は「0」〜「5」である。
【0050】
変動パターン決定用乱数の更新処理(S50)は、「0」〜「1020」の1021個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初期値である「0」に戻る。尚、大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数は第1特別図柄始動口31又は第2特別図柄始動口32に遊技球が入球することで抽出され、当り判定用乱数は普通図柄作動ゲート42を遊技球が通過することで抽出される。
【0051】
続く入賞確認処理(S55)では、遊技領域26に設けられた各入賞口へ遊技球が入球したか否か及び普通図柄作動ゲート42を遊技球が通過したか否かを確認する処理である。
【0052】
続いては、大当りか否かを判定する条件成立判定手段としての特図当否判定処理(S60)、普通図柄抽選が当りか否かを判定する普図当否判定処理(S65)行う。この特図当否判定処理(S60)、普図当否判定処理(S65)が終了すると、画像出力処理等の各出力処理(S70)が実行される。
【0053】
各出力処理(S70)では、遊技の進行に応じて主制御装置50は演出図柄制御装置54a、払出制御装置51、発射制御装置54、サブ統合制御装置53、大入賞口ソレノイド33c等に対して各々出力処理を実行する。即ち、入賞確認処理(S55)により遊技盤8上の各入賞口に遊技球の入賞があることが検知されたときには賞球としての遊技球を払い出すべく払出制御装置51に賞球データを出力する処理を、遊技状態に対応したサウンドデータをサブ統合制御装置53に出力する処理を、パチンコ機に異常があるときにはエラー中であることを報知すべく演出図柄制御装置54aにエラー信号を出力する処理を各々実行する。
【0054】
続く不正監視処理(S75)は、一般入賞口に対する不正が行われていないか監視する処理であり、所定時間内における入賞口への遊技球の入球が予め決定された規定数よりも多いか否かを判断して、多かった場合には不正と判断され、その旨を報知する処理である。つまり、異常判断手段は、主制御装置50に設けている。
【0055】
本処理に続く前述の残余処理は、初期値乱数1の更新処理(S80)、初期値乱数2の更新処理(S85)から構成されるが、各々前述したS15、S20の処理と全く同じ処理である。この処理は無限ループを形成し、次の割り込みが実行されるまで、時間の許される限り繰り返し実行される。前述したS10〜S75までの本処理を実行するのに必要とされる時間は、大当り処理を実行(特別遊技の実行)するか否か、特別図柄の表示態様の相違等により割り込み毎に異なる。この結果、残余処理を実行する回数も割り込み毎に異なり、割り込み処理が1回実行されることにより初期値乱数1、初期値乱数2の更新される(加算される)値も一律ではなくなる。これにより、初期値乱数1が大当り判定用乱数と、初期値乱数2が当り判定用乱数と同期する可能性はなくなる。尚、本実施形態においては、大当り判定用乱数の更新は初期値乱数1の値により変更され、当り判定用乱数は初期値乱数2の値により変更される構成なので同期の虞は全くない。
【0056】
次に、図4を用いて主制御措置50が実行する始動入賞処理を説明する。この処理は、本発明の図柄乱数抽出手段を含む処理となる。始動入賞処理を開始すると、第1特図始動スイッチ31a又は第2特図始動スイッチ32aが遊技球を検出したか否か判定する(S100)。肯定判定なら(S100:yes)、主制御装置50に既に格納されている保留記憶数が最大値(本発明では4個)未満であるか否か判定する(S105)。肯定判定なら(S105:yes)、大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ決定用乱数、変動パターン決定用乱数を抽出し(本発明の図柄乱数抽出手段に該当)保留記憶し保留記憶数を示す保留記憶カウンタに1を加算する(S110)。
【0057】
S110に続いては、記憶した保留記憶の先読判定を行う(S115)。具体的には、大当り判定用乱数の値が大当りを生起する値か否かを確認し、大当り値なら大当り図柄の種類(確変又は非確変)を確認する。大当り判定がハズレなら、小当りを生起する値か否かを確認し、ハズレならリーチ決定用乱数がスーパーリーチとなる値か否かを確認する。スーパーリーチでなければ、リーチとなる値か否かを確認し、変動パターン決定用乱数の値から変動時間を確認する。上記判定を行うことによって、記憶した乱数値が遊技者が大当りの期待ができる特定の値か否かを判定する。
【0058】
続いて、S115の判定結果から先読判定コマンドを生成してサブ統合制御装置53に送信し(S120)(先読判定コマンド送信手段)、S110で加算した保留記憶カウンタの値を示す保留数指示コマンドをサブ統合制御装置53に送信する(S125)。
【0059】
S125の処理、S100、S105の否定判定(S100:no、S105:no)に続いては、普通図柄作動スイッチ42aが遊技球を検出したか否か判定する(S130)。否定判定なら(S130:no)リターンに抜け、肯定判定なら(S130:yes)、主制御装置50に格納されている普図保留記憶数が上限値(=4個)未満か否か判定する(S135)。否定判定なら(S135:no)リターンに抜け、肯定判定であれば(S135:yes)、抽出した当り判定用乱数と当り図柄決定用乱数とを普図保留記憶として記憶し(普図保留記憶手段)、普図保留記憶数を示す普図保留記憶カウンタに1を加算し(S140)、加算した普図保留記憶カウンタの値を示す普図保留記憶数指示コマンドをサブ統合制御装置53に送信し(S145)(保留記憶数送信手段)、リターンする。
【0060】
サブ統合制御装置53は保留記憶数指示コマンドを受信すると、受信したコマンドが示す保留記憶数に応じて演出図柄表示装置54b上で表示する各保留記憶数を変化させる制御を行う。また、本実施例では、演出図柄表示装置54b上では普通図柄の保留記憶数表示は行わないが、普図保留記憶数指示コマンドの受信に応じて表示する構成としてもよいし、普図保留記憶数指示コマンド自体を送信しない構成としてもよい。また、普図の先読判定を実施し判定結果をサブ統合制御装置に送信する構成も考えられる。これにより、普通電動役物40のロング開放を期待させる先読予告の実施が可能となる。
【0061】
次に、図5を用いて、主制御装置50が実行する特図当否判定処理を説明する。当否判定処理を開始すると、特図の始動条件が成立しているか否か判定する(S150)。この判定処理では、大当り遊技中でないこと、特別図柄が変動中又は確定表示中でないことを確認する。
【0062】
S150が否定判定なら(S150:no)リターンし、肯定判定なら(S150:yes)特図の保留記憶があるか否か判定する(S155)。否定判定なら(S155:no)リターンし、肯定判定なら(S155:yes)、保留記憶のシフト処理を行い、これにより最も古い保留記憶を当否判定の対象とするとともに、対象となった保留記憶数を示す保留記憶カウンタから1を減算し(S160)、該減算した保留記憶カウンタの値を示す保留数指示コマンドをサブ統合制御装置53に送信する(S165)。
【0063】
続く、大当り判定用乱数比較処理では、特図当否判定の対象とした保留記憶の大当り判定用乱数と、予め設定された特図当否判定テーブル(大当り判定用及び小当り判定用)とを比較して、大当り判定用乱数の値が特図当否判定テーブル内の判定値と一致するか比較する(S170)。
【0064】
続いてS170の比較結果が大当りか否かを判定し(S175)、肯定判定なら(S175:yes)、読み出した大当り図柄決定用乱数の値に応じて、後述する内容(図6、7を用いて詳細説明)で大当り図柄表示データの基となる合算値を算出し、大当り図柄データとして図柄確定時まで記憶する(S180)(本発明の合計値算出手段に該当)。
【0065】
S180に続いては、大当り図柄決定用乱数の値に基づいて決定する大当り遊技終了後の遊技状態をモードバッファに記憶する。モードバッファは、当否判定時に決定した大当り遊技終了後の遊技状態(確変又は非確変)を、大当り遊技が終了するまで(大当り遊技終了時に遊技状態を設定するまで)記憶する装置であり、設定するモードバッファの値により大当り遊技終了時に設定される遊技状態が異なる内容になる。
【0066】
S175が否定判定なら(S175:no)、S170の比較結果が小当りか否かを判定し(S200)、肯定判定なら(S200:yes)、読み出した小当り図柄決定用乱数の値に基づいて小当り図柄を選択し図柄確定時まで記憶する(S210)。
【0067】
S185又はS210に続いては、大当り遊技、又は小当り遊技の大入賞口33aの開放パターンを設定し(S215)、上記した内容に応じて変動パターン選択テーブルから変動パターンを選択する(S225)。S200が否定判定なら(S200:no)、ハズレ図柄選択処理を行い(S220)、上記と同様に変動パターン選択処理を行う(S225)。S225の変動パターン選択処理に続いては、上述の抽選結果を示すデータ(大当り図柄の種類、小当り図柄の種類、ハズレの種類(リーチの有無)、変動時間等)を含んだ変動指示コマンドをサブ統合制御装置53に出力するとともに、特図表示装置29において特別図柄を変動表示させる処理を行い(S230)、リターンする。
【0068】
次に図6を用いて、大当り図柄決定用乱数(本発明の図柄乱数に該当)の内容について説明する。上記したように大当り図柄決定用乱数は「0」〜「99」の100個の整数(本発明の「予め定められた連続した値の数値群」に該当)で構成され、初期値(本発明の初期値に該当)が「0」、最大値が「99」となっている。また、大当りに当選した場合に抽出していた大当り図柄決定用乱数が「10〜29」「40〜59」「70〜89」の60個の中のいずれかであった場合は、大当り遊技終了後に確率変動状態に移行する構成となっている。
【0069】
次に、大当り図柄決定用乱数と大当り図柄を特別図柄表示装置29に表示する場合の図柄表示指示データとの関係について図7を用いて説明する。本実施例では、大当り図柄決定用乱数の値を予め定められた内容で演算処理し(S180)、特別図柄の確定表示を実施する際に演算結果を2進数に変換して特別図柄表示装置29に表示する大当り図柄を指示する図柄表示指示データとしている。従って図7は、乱数値毎の具体的な演算内容となり、本発明の加算値記憶手段を含む内容となる。
【0070】
図7は、上記した予め定められた演算内容、詳しくは、乱数値毎に設定された加算値と、各乱数値と加算値の合算値と、合算値を2進数に変換した図柄表示指示データとの関係を示している。
【0071】
本実施例でも、抽出した乱数値に所定の加算値を合算し、該合算値を2進数に変換したものを図柄表示指示データとしているため、抽出した各乱数値に対応した専用の図柄データを記憶する必要は無が、抽出した乱数値と特別図柄の表示態様との関係が判別し難くなるように単純に加算値の種類を増やした場合、加算値自体の記憶が記憶容量に負担をかけてしまう。
【0072】
従って、本実施例では、加算値の種類を必要以上に多くする必要がないように、大当り図柄決定用乱数全体の配列を公差が同一の複数種類の等差数列として記憶し、初項の異なる等差数列ごとに異なる加算値を対応させることによって加算値の種類を4種類としている。但し、加算値の数(等差数列の数)はこれに限るわけではない。
【0073】
具体的な本実施例の構成は、全体で100個(0〜99)の大当り図柄決定用乱数の値を、4個の等差数列のいずれかに配置している。具体的には、4個の等差数列の各初項を、大当り図柄決定用乱数の初期値「0」と、該0に+1した「1」と、該1に+1した「2」と、該2に+1した「3」とし、初項の数4を全ての等差数列の公差として最大値をそれぞれ「96」「97」「98」「99」とすることで100個の乱数値の全てが4個の等差数列のいずれかに配置される。
【0074】
そして、初項「0」の等差数列には、加算値として11が設定され、初項「0」公差4の等差数列に含まれる大当り図柄決定用乱数が抽出された場合には、加算値11との合算が行われる。
【0075】
同様に、初項「1」の等差数列には、加算値として23が設定され、初項「1」公差4の等差数列に含まれる大当り図柄決定用乱数が抽出された場合には、加算値23との合算が行われ、初項「2」の等差数列には、加算値として35が設定され、初項「2」公差4の等差数列に含まれる大当り図柄決定用乱数が抽出された場合には、加算値35との合算が行われ、初項「3」の等差数列には、加算値として51が設定され、初項「3」公差4の等差数列に含まれる大当り図柄決定用乱数が抽出された場合には、加算値51との合算が行われる。
【0076】
上記の大当り図柄決定用乱数の等差数列への配置と加算値の関係は、本発明の「前記数値群を、前記予め定められた連続した値の初期値から所定の値までを等差数列の初項とし、該初期値から該所定の値までの該初項の数を公差とする複数の前記等差数列として構成したうえで、前記初項の異なる前記等差数列毎に異なる前記加算値が対応するように記憶する」に該当する構成となり、図7の内容が対応関係記憶手段となる。
【0077】
図7の表では、左端の列が各等差数列に設定された加算値となり、各加算値を表記した右側の行がその加算値に対応する等差数列として配置された大当り図柄決定用乱数の値となる。例えば、乱数値が「0」であった場合(表の最上段左端)は、対応する加算値は11となり、0+11で合算値は11となる。そして、特別図柄表示装置29へ表示図柄を指示する図柄表示指示データ(本発明の図柄表示指示データに該当)として11を2進数に変換した1011を1バイトデータの00001011を確定図柄表示時に出力する(本発明の表示データ出力手段に該当)。
【0078】
また、例えば、抽出した乱数値が確率変動図柄となる「21」であった場合は、加算値として23が用いられ、21+23で合算値は44となる。そして、44を2進数に変換した101100を1バイトデータの00101100として出力する。同様に、抽出した乱数値が確率変動図柄となる「42」であった場合は、加算値として35が用いられ、42+35で合算値は77となる。そして、77を2進数に変換した1001101を1バイトデータの01001101として出力する。また、抽出した乱数値が「91」であった場合は、加算値として51が用いられ、91+51で合算値は142となる。そして、142を2進数に変換した10001110を1バイトデータの10001110として出力する。
【0079】
本実施例においても、4個の加算値は全て異なる値として設定されているが、本実施例のように大当り図柄決定用乱数と特別図柄の大当り図柄の種類とが1対1の対応関係にある場合は、異なる等差数列に配置された乱数値にそれぞれの属する等差数列に設定された加算値を合算した場合、合算値に同一の値が存在しないように加算値を設定する必要がある。また、複数の大当り図柄決定用乱数が1つの大当り図柄に対応する場合は、合算値が重複するように加算値を設定する。
【0080】
上述したように、加算値が複数あり、乱数の昇順(異なる等差数列)に合わせて異なる値の加算が順に行われるが、等差数列の数に応じて所定の段階で同一値の加算が繰り返されるため、乱数値と加算後との合算値、即ち特別図柄の表示態様と乱数値との関係を判別するのが困難となっている。
【0081】
次に図8、9を用いて、図柄表示指示データ(大当り図柄決定用乱数の値と対応する加算値との合算値を2進数に変換したデータ)の内容と、該データに応じて実際に特別図柄表示装置29に表示される大当り図柄の表示(点灯)態様について説明する。
【0082】
本実施例の特図表示装置29は、8個のLEDが図に示す点灯位置に配置され、8ビットで構成された図柄表示指示データの各ビットの値が、対応した点灯位置に配置されたLEDの点灯及び消灯を指示する。
【0083】
具体的には、図柄表示指示データの下位から1ビット目(最下位ビット)が図の0で示す位置のLEDの点灯(又は消灯)を指示し、同様に、2ビット目が図の1のLEDの点灯を示し、3ビット目が図の2のLEDの点灯を示し、4ビット目が図の3のLEDの点灯を示し、5ビット目が図の4のLEDの点灯を示し、6ビット目が図の5のLEDの点灯を示し、7ビット目が図の6のLEDの点灯を示し、8ビット目が図の7のLEDの点灯を示す。
【0084】
従って、例えば、図9の(点灯態様例1)に示すように、大当り図柄決定用乱数として0を抽出した場合は、合算値11(加算値11との合算値)が2進数に変換されて図柄表示指示データは00001011となり、特別図柄表示装置29はこの図柄表示指示データを受けて、点灯位置が0、1、3のLEDを点灯させる(点灯位置2、4、5、6、7のLED消灯)。
【0085】
また、(点灯態様例2)に示すように、大当り図柄決定用乱数として確変値である21を抽出した場合は、合算値44(加算値23との合算値)が2進数に変換されて図柄表示指示データは00101100となり、特別図柄表示装置29はこの図柄表示指示データを受けて、点灯位置が2、3、5のLEDを点灯させる。
【0086】
また、(点灯態様例3)に示すように、大当り図柄決定用乱数として確変値である42を抽出した場合は、合算値77(加算値35との合算値)が2進数に変換されて図柄表示指示データは01001101となり、特別図柄表示装置29はこの図柄表示指示データを受けて、点灯位置が0、2、3、6のLEDを点灯させる。
【0087】
また、(点灯態様例4)に示すように、大当り図柄決定用乱数として91を抽出した場合は、合算値142(加算値51との合算値)が2進数に変換されて図柄表示指示データは10001110となり、特別図柄表示装置29はこの図柄表示指示データを受けて、点灯位置が1、2、3、7LEDを点灯させる。
【0088】
以上が実施例の説明となる。上述したように、本実施例では抽出した乱数値(大当り図柄決定用乱数)に応じて、該乱数値と複数の加算値の中から予め該乱数値との対応関係が定められた加算値との合算が行われることによって図柄表示データが生成される。従って、抽出された乱数値によって異なる値が加算されて図柄表示データとなるため、図柄の内容で乱数値を判断するのが困難な構成となる。
【0089】
また、図柄表示データは、乱数値と該乱数値との対応が設定された加算値との合算値が2進数に変換されることによってそのまま図柄表示データとなるため、図柄表示用のデータを別に記憶する必要が無く、大当り図柄の種類が増えても記憶容量の負担を考慮することなく対応可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上のように、本発明の遊技機によれば、抽出した乱数値に応じて異なる値を該乱数値に加算した上で、合算値を2進数に変換することによりそのまま図柄表示指示データとして扱うことが可能な構成となっている。従って、抽出した乱数値に基づいて表示図柄を決定する構成の遊技機に適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
8 遊技盤
29 特別図柄表示装置
31 第1始動口
31a 第1特図始動スイッチ
32 第2始動口
32a 第2特図始動スイッチ
33a 大入賞口
42 普通図柄作動ゲート
42a 普通図柄作動スイッチ
50 主制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9