【実施例】
【0034】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0035】
[実施例1]
図1に示す装置と同様の構成を有する精製装置を用いた。その装置において、第1の重合防止剤タンク2に収容される重合防止剤として水、第2の重合防止剤タンク3に収容される重合防止剤としてメトキノンを用いた。また、精製塔1から抜き出される含モノマー液はアクリロニトリルを主成分として99質量%以上含むものであり、その含モノマー液を最終的に製品タンク7に貯留した。精製塔1から約24±1t/hrで流出する含モノマー液100質量%に対して、水の濃度及びメトキノンの濃度が、各々0.30質量%、35ppmになるように、流量計5が示す含モノマー液の流量からDCSにより重合防止剤の添加量を演算し、その添加量のデータを流量調節弁に送信し、そのデータに基づいて、純水とメトキノンの30質量%水溶液とを、それぞれ流量調節弁20,30の開度調節によって添加した。そして、重合防止剤を添加した含モノマー液を、製品タンク7に直接貯留した。
【0036】
製品分析計6により、含モノマー液における重合防止剤の濃度を4秒毎に測定した。その結果、水の濃度は0.30±0.02質量%、メトキノンの濃度は35±1ppmの範囲で調整できたことがわかった。
図4に、4秒毎に測定した水及びメトキノンの濃度を1日平均値にしたものを、重合防止剤の添加を開始してからの経過日数に対して示す。
【0037】
なお、抜出ライン10、熱交換器4、流量計5及び流量調節弁70では、アクリロニトリル重合物による閉塞は発生しなかった。
【0038】
[実施例2]
含モノマー液100質量%に対して、水の濃度及びメトキノンの濃度が、各々0.50質量%、45ppmになるように、流量計5が示す含モノマー液の流量からDCSにより重合防止剤の添加量を演算し、その添加量のデータを流量調節弁に送信し、そのデータに基づいて、純水とメトキノンの30質量%水溶液とを添加した以外は実施例1と同様にして、重合防止剤を添加した含モノマー液を製品タンク7に直接貯留した。
【0039】
製品分析計6により、含モノマー液における重合防止剤の濃度を4秒毎に測定した。その結果、水の濃度は0.50±0.02質量%、メトキノンの濃度は45±1ppmの範囲で調整できたことがわかった。
図5に、4秒毎に測定した水及びメトキノンの濃度を1日平均値にしたものを、重合防止剤の添加を開始してからの経過日数に対して示す。
【0040】
なお、抜出ライン10、熱交換器4、流量計5及び流量調節弁70では、アクリロニトリル重合物による閉塞は発生しなかった。
【0041】
[実施例3]
図1に示す装置と同様の構成を有する精製装置を用いた。その装置において、第1の重合防止剤タンク2に収容される重合防止剤として水、第2の重合防止剤タンク3に収容される重合防止剤としてハイドロキノンを用いた。また、精製塔1から抜き出される含モノマー液はアクリロニトリルを主成分として99質量%以上含むものであり、その含モノマー液を最終的に製品タンク7に貯留した。精製塔1から約24±1t/hrで流出する含モノマー液100質量%に対して、水の濃度及びハイドロキノンの濃度が、各々0.30質量%、30ppmになるように、流量計5が示す含モノマー液の流量からDCSにより重合防止剤の添加量を演算し、その添加量のデータを流量調節弁に送信し、そのデータに基づいて、純水とハイドロキノンの20質量%水溶液とを、それぞれ流量調節弁20,30の開度調節によって添加した。そして、重合防止剤を添加した含モノマー液を、製品タンク7に直接貯留した。
【0042】
製品分析計6により、含モノマー液における重合防止剤の濃度を4秒毎に測定した。その結果、水の濃度は0.30±0.02質量%、ハイドロキノンの濃度は30±1ppmの範囲で調整できたことがわかった。
図6に、4秒毎に測定した水及びハイドロキノンの濃度を1日平均値にしたものを、重合防止剤の添加を開始してからの経過日数に対して示す。
【0043】
なお、抜出ライン10、熱交換器4、流量計5及び流量調節弁70では、アクリロニトリル重合物による閉塞は発生しなかった。
【0044】
[実施例4]
含モノマー液100質量%に対して、水の濃度及びハイドロキノンの濃度が、各々0.50質量%、50ppmになるように、流量計5が示す含モノマー液の流量からDCSにより重合防止剤の添加量を演算し、その添加量のデータを流量調節弁に送信し、そのデータに基づいて、純水とハイドロキノンの20質量%水溶液とを添加した以外は実施例3と同様にして、重合防止剤を添加した含モノマー液を製品タンク7に直接貯留した。
【0045】
製品分析計6により、含モノマー液における重合防止剤の濃度を4秒毎に測定した。その結果、水の濃度は0.50±0.02質量%、ハイドロキノンの濃度は50±1ppmの範囲で調整できたことがわかった。
図7に、4秒毎に測定した水及びハイドロキノンの濃度を1日平均値にしたものを、重合防止剤の添加を開始してからの経過日数に対して示す。
【0046】
なお、抜出ライン10、熱交換器4、流量計5及び流量調節弁70では、アクリロニトリル重合物による閉塞は発生しなかった。
【0047】
[実施例5]
図1に示す装置と同様の構成を有する精製装置を用いた。その装置において、第1の重合防止剤タンク2に収容される重合防止剤としてTBCを用い、第2の重合防止剤タンク3は使用しなかった。また、精製塔1から抜き出される含モノマー液はスチレンを主成分として99質量%以上含むものであり、その含モノマー液を最終的に製品タンク7に貯留した。精製塔1から約24±1t/hrで流出する含モノマー液100質量%に対して、TBCの濃度が10ppmになるように、流量計5が示す含モノマー液の流量からDCSにより重合防止剤の添加量を演算し、その添加量のデータを流量調節弁に送信し、そのデータに基づいて、TBCの30質量%水溶液を、流量調節弁20の開度調節によって添加した。そして、重合防止剤を添加した含モノマー液を、製品タンク7に直接貯留した。
【0048】
製品分析計6により、含モノマー液における重合防止剤の濃度を4秒毎に測定した。その結果、TBCの濃度は10±1ppmの範囲で調整できたことがわかった。
図8に、4秒毎に測定したTBCの濃度を1日平均値にしたものを、重合防止剤の添加を開始してからの経過日数に対して示す。
【0049】
なお、抜出ライン10、熱交換器4、流量計5及び流量調節弁70では、スチレン重合物による閉塞は発生しなかった。
【0050】
[実施例6]
含モノマー液100質量%に対して、TBCの濃度が20ppmになるように、流量計5が示す含モノマー液の流量からDCSにより重合防止剤の添加量を演算し、その添加量のデータを流量調節弁に送信し、そのデータに基づいて、TBCの30質量%水溶液を添加した以外は実施例6と同様にして、重合防止剤を添加した含モノマー液を製品タンク7に直接貯留した。
【0051】
製品分析計6により、含モノマー液における重合防止剤の濃度を4秒毎に測定した。その結果、TBCの濃度は20±1ppmの範囲で調整できたことがわかった。
図9に、4秒毎に測定したTBCの濃度を1日平均値にしたものを、重合防止剤の添加を開始してからの経過日数に対して示す。
【0052】
なお、抜出ライン10、熱交換器4、流量計5及び流量調節弁70では、スチレン重合物による閉塞は発生しなかった。
【0053】
[実施例7]
図2に示す装置と同様の構成を有する精製装置を用いた。その装置において、第1の重合防止剤タンク2に収容される重合防止剤として水、第2の重合防止剤タンク2に収容される重合防止剤としてメトキノンを用いた。また、精製塔1から抜き出される含モノマー液はアクリロニトリルを主成分として99質量%以上含むものであり、その含モノマー液を最終的に製品タンク7に貯留した。精製塔1から約24±1t/hrで流出する含モノマー液100質量%に対して、水の濃度及びメトキノンの濃度が、各々0.30質量%、35ppmになるように、製品分析計6が示す含モノマー液中の水及びメトキノンの濃度からDCSにより重合防止剤の添加量を演算し、その添加量のデータを流量調節弁に送信し、そのデータに基づいて、純水とメトキノンの30質量%水溶液とを、それぞれ流量調節弁20,30の開度調節によって添加した。そして、重合防止剤を添加した含モノマー液を、製品タンク7に直接貯留した。
【0054】
製品分析計6により、含モノマー液における重合防止剤の濃度を4秒毎に測定した。その結果、水濃度は0.30±0.10質量%、メトキノンの濃度は35±5ppmの範囲で調整できたことがわかった。
図10に、4秒毎に測定した水及びメトキノンの濃度を1日平均値にしたものを、重合防止剤の添加を開始してからの経過日数に対して示す。
【0055】
なお、抜出ライン10、熱交換器4、流量計5及び流量調節弁70では、アクリロニトリル重合物による閉塞は発生しなかった。
【0056】
[実施例8]
含モノマー液100質量%に対して、水の濃度及びメトキノンの濃度が、各々0.50質量%、45ppmになるように、製品分析計6が示す含モノマー液中の水及びメトキノンの濃度からDCSにより重合防止剤の添加量を演算し、その添加量のデータを流量調節弁に送信し、そのデータに基づいて、純水とメトキノンの30質量%水溶液とを添加した以外は実施例7と同様にして、重合防止剤を添加した含モノマー液を製品タンク7に直接貯留した。
【0057】
製品分析計6により、含モノマー液における重合防止剤の濃度を4秒毎に測定した。その結果、水の濃度は0.50±0.08質量%、メトキノンの濃度は45±4ppmの範囲で調整できたことがわかった。
図11に、4秒毎に測定した水及びメトキノンの濃度を1日平均値にしたものを、重合防止剤の添加を開始してからの経過日数に対して示す。
【0058】
なお、抜出ライン10、熱交換器4、流量計5及び流量調節弁70では、アクリロニトリル重合物による閉塞は発生しなかった。
【0059】
[実施例9]
図2に示す装置と同様の構成を有する精製装置を用いた。その装置において、第1の重合防止剤タンク2に収容される重合防止剤として水、第2の重合防止剤タンク3に収容される重合防止剤としてハイドロキノンを用いた。また、精製塔1から抜き出される含モノマー液はアクリロニトリルを主成分として99質量%以上含むものであり、その含モノマー液を最終的に製品タンク7に貯留した。精製塔1から約24±1t/hrで流出する含モノマー液100質量%に対して、水の濃度及びハイドロキノンの濃度が、各々0.30質量%、30ppmになるように、製品分析計6が示す含モノマー液中の水及びハイドロキノンの濃度からDCSにより重合防止剤の添加量を演算し、その添加量のデータを流量調節弁に送信し、そのデータに基づいて、純水とハイドロキノンの20質量%水溶液とを、それぞれ流量調節弁20,30の開度調節によって添加した。そして、重合防止剤を添加した含モノマー液を、製品タンク7に直接貯留した。
【0060】
製品分析計6により、含モノマー液における重合防止剤の濃度を4秒毎に測定した。その結果、水濃度は0.30±0.09質量%、ハイドロキノンの濃度は30±4ppmの範囲で調整できたことがわかった。
図12に、4秒毎に測定した水及びハイドロキノンの濃度を1日平均値にしたものを、重合防止剤の添加を開始してからの経過日数に対して示す。
【0061】
なお、抜出ライン10、熱交換器4、流量計5及び流量調節弁70では、アクリロニトリル重合物による閉塞は発生しなかった。
【0062】
[実施例10]
含モノマー液100質量%に対して、水の濃度及びハイドロキノンの濃度が、各々0.50質量%、50ppmになるように、製品分析計6が示す含モノマー液中の水及びハイドロキノンの濃度からDCSにより重合防止剤の添加量を演算し、その添加量のデータを流量調節弁に送信し、そのデータに基づいて、純水とハイドロキノンの20質量%水溶液とを添加した以外は実施例7と同様にして、重合防止剤を添加した含モノマー液を製品タンク7に直接貯留した。
【0063】
製品分析計6により、含モノマー液における重合防止剤の濃度を4秒毎に測定した。その結果、水の濃度は0.50±0.08質量%、ハイドロキノンの濃度は50±4ppmの範囲で調整できたことがわかった。
図13に、4秒毎に測定した水及びハイドロキノンの濃度を1日平均値にしたものを、重合防止剤の添加を開始してからの経過日数に対して示す。
【0064】
なお、抜出ライン10、熱交換器4、流量計5、流量調節弁70では、アクリロニトリル重合物による閉塞は発生しなかった。
【0065】
[実施例11]
図2に示す装置と同様の構成を有する精製装置を用いた。その装置において、第1の重合防止剤タンク2に収容される重合防止剤としてTBCを用い、第2の重合防止剤タンク3は使用しなかった。また、精製塔1から抜き出される含モノマー液はスチレンを主成分として99質量%以上含むものであり、その含モノマー液を最終的に製品タンク7に貯留した。精製塔1から約24±1t/hrで流出する含モノマー液100質量%に対して、TBCの濃度が10ppmになるように、製品分析計6が示す含モノマー液中のTBCの濃度からDCSにより重合防止剤の添加量を演算し、その添加量のデータを流量調節弁に送信し、そのデータに基づいて、TBCの30質量%水溶液を、流量調節弁20の開度調節によって添加した。そして、重合防止剤を添加した含モノマー液を、製品タンク7に直接貯留した。
【0066】
製品分析計6により、含モノマー液における重合防止剤の濃度を4秒毎に測定した。その結果、TBCの濃度は10±5ppmの範囲で調整できたことがわかった。
図14に、4秒毎に測定したTBCの濃度を1日平均値にしたものを、重合防止剤の添加を開始してからの経過日数に対して示す。
【0067】
なお、抜出ライン10、熱交換器4、流量計5及び流量調節弁70では、スチレン重合物による閉塞は発生しなかった。
【0068】
[実施例12]
含モノマー液100質量%に対して、TBCの濃度が20ppmになるように、製品分析計6が示す含モノマー液中のTBCの濃度からDCSにより重合防止剤の添加量を演算し、その添加量のデータを流量調節弁に送信し、そのデータに基づいて、TBCの30質量%水溶液を添加した以外は実施例11と同様にして、重合防止剤を添加した含モノマー液を製品タンク7に直接貯留した。
【0069】
製品分析計6により、含モノマー液における重合防止剤の濃度を4秒毎に測定した。その結果、TBCの濃度は20±5ppmの範囲で調整できたことがわかった。
図15に、4秒毎に測定したTBCの濃度を1日平均値にしたものを、重合防止剤の添加を開始してからの経過日数に対して示す。
【0070】
なお、抜出ライン10、熱交換器4、流量計5及び流量調節弁70では、スチレン重合物による閉塞は発生しなかった。
【0071】
[比較例1]
図3に概略的に示す精製装置を用いた。この精製装置は、流量調節弁70の下流かつ製品タンク7の上流に中間タンク6が設けられていること、重合防止剤タンク2,3は、その中間タンク6に重合防止剤を供給するよう接続されていること、重合防止剤タンク2,3から中間タンク8への重合防止剤の添加がバッチ式で行われること、並びに製品分析計6は中間タンク6に接続されていることを除いて、
図2に示す精製装置300と同様の構成を備えていた。
【0072】
その装置において、第1の重合防止剤タンク2に収容される重合防止剤として水、第2の重合防止剤タンク3に収容される重合防止剤としてメトキノンを用いた。また、精製塔1から抜き出される含モノマー液はアクリロニトリルを主成分として99質量%以上含むものであった。精製塔1から約24±1t/hrで流出する含モノマー液を中間タンク8に一旦貯留した。中間タンク8に含モノマー液を一定量貯留した後、精製塔1からの含モノマー液の流出先を他の中間タンク(図示なし)に切り替え、中間タンク8内の含モノマー液100質量%に対して、水の濃度及びメトキノンの濃度が、各々0.40質量%、40ppmになるように、中間タンク8に貯留した含モノマー液の容量に応じて、純水とメトキノンの30質量%水溶液とを添加した。その後、製品分析計6により、含モノマー液中の水及びメトキノンの濃度が各々0.40質量%、40ppmになったことを確認した後、中間タンク8内の含モノマー液を製品タンク7に移送した。
【0073】
抜出ライン10中の熱交換器4は、アクリロニトリルの重合物により約6ヶ月に一度の頻度で閉塞し、その都度、熱交換器4の切り替え及びクリーニングを余儀なく行う必要があった。
【0074】
[比較例2]
第1の重合防止剤として水、第2の重合防止剤としてハイドロキノンを用いた以外は比較例1と同様にして、中間タンク(図示なし)への切り替えまで行った。中間タンク8内の含モノマー液100質量%に対して、水の濃度及びハイドロキノンの濃度が、各々0.40質量%、40ppmになるように、中間タンク8に貯留した含モノマー液の容量に応じて、純水とハイドロキノンの20質量%水溶液とを添加した。その後、製品分析計6により、含モノマー液中の水及びハイドロキノンの濃度が各々0.40質量%、40ppmになったことを確認した後、中間タンク8内の含モノマー液を製品タンク7に移送した。
【0075】
なお、抜出ライン10中の熱交換器4は、アクリロニトリルの重合物により約6ヶ月に一度の頻度で閉塞し、その都度、熱交換器4の切り替え及びクリーニングを余儀なく行う必要があった。