(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
照明されたトロリ線を走査線が横切るようにラインセンサを車両上に設置し、このラインセンサで取得された走査線の輝度信号を時系列的に並べてなるラインセンサ画像を取得し、形成されたラインセンサ画像中の前記トロリ線の摩耗幅内における画素濃淡値を求め、前記トロリ線の変動範囲マップの各画素上に前記画素濃淡値を濃淡としてグラデーションプロットしてなる濃淡値マップを作成するトロリ線照明反射光分布マップの作成方法において、前記変動範囲マップは、前記トロリ線の高さ及び偏位の一方を横軸とし、その他方を縦軸として、前記トロリ線の変動する範囲を示すことを特徴とするトロリ線照明反射光分布マップの作成方法。
請求項1記載のトロリ線照明反射光分布マップの作成方法において、前記トロリ線の変動範囲マップの各画素に前記画素濃淡値が複数存在する場合は、前記画素濃淡値の平均値を濃淡としてグラデーションプロットしてなる濃淡値マップを作成することを特徴とするトロリ線照明反射光分布マップの作成方法。
請求項2記載のトロリ線照明反射光分布マップの作成方法において、前記トロリ線の変動範囲マップの各画素に前記画素濃淡値が複数存在する場合は、前記画素濃淡値の分散、標準偏差等の統計的指標を算出し、前記統計的指標を濃淡としてグラデーションプロットしてなる統計的指標マップを作成することを特徴とするトロリ線照明反射光分布マップの作成方法。
照明されたトロリ線を走査線が横切るように車両上に設置されたラインセンサと、前記ラインセンサで取得された走査線の輝度信号を時系列的に並べてなるラインセンサ画像を作成するラインセンサ画像作成部と、前記ラインセンサ画像作成部で形成されたラインセンサ画像を画像処理して前記トロリ線の摩耗幅を求めるトロリ線摩耗部幅計算部とを備えるトロリ線摩耗測定装置において、前記トロリ線の摩耗幅内における画素濃淡値を求め、前記トロリ線の変動範囲マップの各画素上に前記画素濃淡値を濃淡としてグラデーションプロットしてなる濃淡値マップを作成する濃淡値マップ作成部とを有するトロリ線摩耗測定装置において、前記変動範囲マップは、前記トロリ線の高さ及び偏位の一方を横軸とし、その他方を縦軸として、前記トロリ線の変動する範囲を示すことを特徴とするトロリ線摩耗測定装置。
【背景技術】
【0002】
電気鉄道車輌へ電力を供給するトロリ線は車輌が通過するたびに集電装置と接触が生じる。このため、電気鉄道車輌を運用していく中でトロリ線は徐々に摩耗して行き、交換をしない場合は最終的には破断して事故を招くことになる。そこでトロリ線には摩耗限界が設けられており、その摩耗限界を目安にトロリ線を交換し電気鉄道車輌の安全性を確保している。
トロリ線の摩耗を測定する方法のひとつとして、保守用車などで走行しながらトロリ線摩耗部の幅を計算して摩耗幅からトロリ線の厚みを換算する方法がある。
【0003】
トロリ線摩耗部の幅を計測する方法もいくつかあり、ナトリウムランプやレーザ光を照射してトロリ線摩耗部を測定する方法があるが、これらに対して「画像処理によるトロリ線摩耗測定装置(特開2007−271445)」(特許文献1)ではラインセンサ画像から画像処理によって非接触に短時間で長い距離を測定することができるものである。しかしながら、画像処理によるトロリ線摩耗測定では、照明の反射光を用いてトロリ線摩耗部を強調させるために照明の設置状況をあらかじめ調整しておく必要がある。
【0004】
この調整が正しいものかどうかを判断するには測定終了後、走行中に取得された画像を見るほか無い。
しかしながら、取得された画像では各画素[pix]においての濃淡値で照明の反射光の明暗が表現されるが、実際の座標[mm]における照明の反射光の強さは枕木方向だけでなく奥行き方向にも依存するため、使用者の経験から照明の調整の適正さを判断するしかないといった問題があった。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(1) 基本的な考え方
本発明は、画像処理によって求められたトロリ線摺動面情報を集計することによってトロリ線摺動面からの反射光が正しく返ってきているか、言い換えると、正しく照明が設置されているかを簡便に判断することを目的とする。
その構成は、例えば、
図1に示すように画像の入力手段としてラインセンサ1を用い、照明には通常の白色の照明器具2を利用する。
【0018】
ラインセンサ1を検査車輌4の屋根上に鉛直上向きを見上げるように設置し、ラインセンサ1の走査線が検査車輌4の進行方向と垂直になるようにラインセンサ1を設置して走査線がトロリ線3を横切るようにする。
検査車両4の車内には、計測用コンピュータ5、記録装置6が搭載され、ラインセンサ1により取得された画像は計測用コンピュータ5により画像処理され、記録装置6に記録される。
【0019】
計測用コンピュータ5は、ラインセンサ1より得られる走査線の輝度信号を時系列に並べてラインセンサ画像(平面の画像)を作成し、入力画像として保存し、ラインセンサ画像を画像処理してトロリ線の摩耗部の幅を求めるトロリ線摩耗計測装置であり、更に、本発明では、トロリ線摺動面に対する反射光分布マップ作成機能を追加したものである。その詳細は、以下の通りである。
【0020】
(1.1)二値化処理による空の部分の除去
ラインセンサ画像は、
図2に示すように、昼間にトロリ線の撮像を行うと背景に空Aが写ってしまう。また、通常、トロリ線側面3b,3cは錆、ススなどから黒く撮像される。そこで、トロリ線摩耗部3aは強力な照明をあてることにより側面に比べ白く撮像される。但し、照明器具2の向き、強さにより、トロリ線摩耗部3aにおいても多少の濃淡を生じてしまう。
【0021】
ここで、ラインセンサ画像に対して2値化を行うと、
図3に示すように、空Aとトロリ線摩耗部3aは白く、トロリ線側面3b,3cは黒くなる。
しかし、このままだとどの白い部分がトロリ線摩耗部であるかの判断ができない。
そこで、以降に述べる昼間光計測処理、即ち、空Aの領域を白から黒へ反転処理する。
【0022】
まず、ラインセンサ画像全体に対して2値化処理を行う。ここで、空の白い領域はトロリ線摩耗部よりはるかに幅が大きく撮像されている点に注目し、次に外部から入力されてくるトロリ線高さパラメータと実際のトロリ線の太さのパラメータを用いて画面上のトロリ線の太さを計算し、この太さ以上となって現れている白の領域を1ライン毎に反転させる。
これにより、
図4に示すように、空Aの領域が白から黒に反転されトロリ線摩耗部3aのみが白の領域として抽出される。
【0023】
(1.2)二値化ラインセンサ画像のノイズ除去
ラインセンサ画像から二値化処理により二値化ラインセンサ画像を構成した場合、そのままではトロリ線摩耗部3aの傷や背景部分の状態により細かな点々状のノイズや既存構造物が含まれる場合がある。
そこで二値化処理の膨張、収縮処理を行いこれらのノイズを除去する。
【0024】
(1.3)トロリ線摩耗部のエッジ検出
ノイズ、既存構造物を除去した二値化ラインセンサ画像上において白で表されているトロリ線摩耗部3aの両側のエッジを検出する。
これらのエッジ点は、あるラインについて左から探索した場合、背景の黒から摩耗部分の白へ変化する点が摩耗部分左側のエッジ点として、また摩耗部分の白から背景の黒へ変化する点を摩耗部分右側のエッジ点として検出することができる。
この処理を画像の上から下へライン毎に行うことで、
図5に示すように、1枚の二値化ラインセンサ画像に関するトロリ線摩耗部3aのエッジ3d,3eを検出する。
【0025】
(1.4)トロリ線摩耗部幅の計算
二値化ラインセンサ画像から検出したトロリ線摩耗部3aの両側のエッジデータを用いて、ラインセンサの一つの走査ライン上にある両側のエッジ3d,3eの間距離をトロリ線摩耗部分の画像上の幅として計算する。
この時のラインセンサからトロリ線までの高さ、レンズ焦点距離、センサ幅、センサ画素数から1画素[pix]に対する実寸法[mm]の度合いである画像分解能[mm/pix]を計算し、トロリ線摩耗部分の画像上の幅と画像分解能の乗算を行うことでトロリ線摩耗部分の幅を計算する。
【0026】
計算に用いるラインセンサからトロリ線までの高さについては「画像処理によるパンタグラフ動作測定装置(特開2006−250774)」(特許文献2)等の別の手段によって得られるデータを用いて求めるものとする。
また、トロリ線の偏位は「画像処理によるトロリ線の摩耗および偏位測定装置(特開2010−127746)」(特許文献3)等から求めるものとする。即ち、トロリ線摩耗部分の両側のエッジの位置からトロリ線の重心位置を求め、トロリ線の重心位置からトロリ線の実際の偏位量を検出する方法である。
【0027】
また、特許文献3に記載されるように、トロリ線の摩耗を測定する装置において、画像処理によって求めたトロリ線の全体の幅と、既知であるトロリ線のサイズとから、そのトロリ線の高さを算出する方法もある(特許文献4)。
こうして求めたエッジデータ、即ち、トロリ線摩耗部幅、トロリ線高さ、トロリ線偏位と計算に用いたラインセンサ画像や対応するライン番号を指し示すデータ等を記録しておく。
【0028】
(1.5)トロリ線摩耗部の集計と反射光分布MAPの作成
「(1.3)トロリ線摩耗部のエッジ検出」より求められたエッジデータのエッジ間はトロリ線摩耗部であるため、画像上の画素であるエッジデータ[pix]とトロリ線摩耗幅[mm]及びそれに付随するトロリ線偏位[mm]、トロリ線高さ[mm]が対応付けられる。
【0029】
一方、
図6に示すように、測定車両走行終了後に得られる画像データ(ラインセンサ画像)中のトロリ線摩耗部3aは、二値化される前においては、照明の影響による多少の濃淡がある。
図6は、
図2では垂直に撮影されていたトロリ線3が斜めに撮影された例である。そこで、トロリ線摩耗部3a内でのピクセル座標(u, v)[pix]+濃淡値(nn)を対応付けられた実座標に変換して空間座標(X, Y)[mm]+濃淡値(nn)とする。そして、ラインセンサ画像中のトロリ線摩耗部3aの全画像の解析を行い,濃淡値MAPに集計し、同一座標は平均化する。
【0030】
即ち、
図7(a)に示すように、予め決められた高さ方向[4400 mm〜 5400 mm]及び偏位[-300 mm〜+300 mm]よりなるトロリ線変動範囲MAPを作成し、上記により求められた実際の座標位置に画像上のエッジデータ間の画素の濃淡値を濃淡としてグラデーションプロットしていく。このとき、同一高さ、同一偏位の場合、つまり、同じ座標がある場合は、前回値との平均値をグラデーションプロットする。
【0031】
このように濃淡値がグラデーションプロットされたトロリ線変動範囲MAPが濃淡値MAPであり、
図7(a)に示すように、実際の座標上において反射光が弱い箇所は黒く、強い箇所は白く表現される。
図7(a)中破線で囲んで示す領域Bは、おおよそ、高さ5000mm以下、偏位−150mm〜150mmであるが、同様な高さの領域に比較して暗いことが判る。
【0032】
そこで、偏位±300付近を照らしていた照明を偏位±150付近に向けるように角度を調節すると、
図7(b)に破線で囲んで示す領域Bで示すように、明るさが比較的均一になる。
本発明の効果として、画像上の濃淡値からの経験者の推測からでしか判断できなかった照明の反射光の適正さを、濃淡値MAPとして一目でわかりやすく表示することにより誰にでも照明の適正さを判断することが可能となり、適正な照明の調整を行うことができる。
【0033】
(1.6)分散(標準偏差)を計算する方法
「(1.5)トロリ線摩耗部の集計と反射光分布MAPの作成」において、濃淡値MAPの実際の座標位置に画像上のエッジデータ間の画素の濃淡値を濃淡としてグラデーションプロットする際、その座標に複数の濃淡値が存在する場合は、その濃淡値の全データに対する平均値を濃淡としてグラデーションプロットした濃淡値MAPを作成することに加え、その濃淡値の分散や標準偏差等の統計的指標を計算し、その統計的指標を濃淡としてグラデーションプロットした統計的指標MAP(以下、ばらつき・信頼性MAPという)を作成するのである。
【0034】
このばらつき・信頼性MAPは、その位置に照射・反射される光のばらつきを計算することができ、またそれはそのデータの信頼性として示すことができる利点がある。
尚、本発明としては、「(1.5)トロリ線摩耗部の集計と反射光分布MAPの作成」、「(1.6)分散(標準偏差)を計算する方法」を行うことができれば、画像処理によりトロリ線の摩耗部の幅を求めることは必ずしも必要ではない。
【実施例1】
【0035】
本発明の第1の実施例を
図8〜
図10に示す。本実施例は、基本的な考え方の(1.1)〜(1.5)に関するものであり、
図8は濃淡値MAP作成を加えたトロリ線摩耗測定処理のフローチャート、
図9は濃淡値MAP作成を加えたトロリ線摩耗測定装置の構成を示す。
図10は、濃淡値MAP作成部のフローチャートである。
【0036】
図9は、基本的な考え方で説明した計測用コンピュータ5の具体的な構成に関するものであり、ラインセンサ画像作成部10、2値化処理部20、空領域除去処理部30、ノイズ除去処理部40、トロリ線摩耗部エッジ検出部50、トロリ線摩耗部幅計算部60、濃淡値MAP(平均処理)作成部70及びメモリ80,90を備える。
【0037】
本実施例のトロリ線摩耗測定装置は、
図8に示すフローチャートに従い、ラインセンサ画像の取得(ステップS1)、2値化処理(ステップS2)、白(空の部分)を反転(ステップS3)、ノイズ除去(ステップS4)、トロリ線摩耗部のエッジ検出処理(ステップS5)、トロリ線摩耗部幅の計算処理(ステップS6)、各データの集計(平均)処理(ステップS7)、濃淡値MAP作成処理(ステップS8)を順に行う。
【0038】
ラインセンサ画像作成部10は、ラインセンサ1より得られる走査線の輝度信号を時系列に並べてラインセンサ画像を取得する(ステップS1)。作成されたラインセンサ画像はメモリ80を経て記録装置6へ保存される他、パラメータと共にメモリ90を経て2値化処理部20へ送られる。
【0039】
2値化処理部20は、ラインセンサ画像全体に対して2値化処理を行って2値化ラインセンサ画像とする(ステップS2)。昼間にトロリ線の撮像を行った場合には、
図2に示すように、2値化ラインセンサ画像の中で白領域は空Aの部分又はトロリ線摩耗部3aであり、黒領域はトロリ線側面3b,3cである。
2値化ラインセンサ画像は、メモリ90を経てパラメータと共に空領域除去処理部30へ送られる。
【0040】
空領域除去処理部30は、パラメータとして外部から入力されるトロリ線高さ及び実際のトロリ線太さを用いて画面上のトロリ線の太さを計算し、この太さ以上となっている白領域を1ライン毎に反転させる(ステップS3)。
空Aの部分は、トロリ線の太さ以上であるから、昼間光計測処理により、黒領域に反転される。従って、トロリ線摩耗部3aのみが白領域として抽出される。
昼間光計測処理された2値化ラインセンサ画像は、メモリ90を経てノイズ除去処理部40へ送られる。
【0041】
ノイズ除去処理部40は、トロリ線摩耗部の傷や背景部分の状態により含まれる細かな点々状のノイズを、2値化処理の膨張、収縮処理により除去する(ステップS4)。
ノイズ除去処理及び昼間光計測処理された2値化ラインセンサ画像は、メモリ90を経てパラメータと共にトロリ線摩耗部エッジ検出部50へ送られる。
【0042】
トロリ線摩耗部エッジ検出部50は、あるラインについて左から探索した場合、背景の黒から摩耗部分の白へ変化する点が摩耗部分左側のエッジ点として、また摩耗部分の白から背景の黒へ変化する点を摩耗部分右側のエッジ点として検出する処理を画像の上から下へライン毎に行うことで2値化ラインセンサ画像に関するトロリ線摩耗部分のエッジ3d,3eを検出する(ステップS5)。
【0043】
検出されたトロリ線摩耗部の両側のエッジ3d,3eは、エッジデータとして、メモリ90を経てパラメータと共にトロリ線摩耗部幅計算部60へ送られる。
トロリ線摩耗部幅計算部60は、2値化ラインセンサ画像から検出したトロリ線摩耗部分の両側のエッジデータを用いて、ラインセンサの一つの走査ライン上にある両側のエッジ3d,3eの間の距離をトロリ線摩耗部分の画像上の幅として計算する(ステップS6)。
検出されたトロリ線摩耗部の幅は、エッジデータとして、メモリ90を経てパラメータと共に濃淡値MAP(平均処理)作成部70へ送られる。
【0044】
濃淡値MAP(平均処理)作成部70は、基本的な考え方で説明した「(1.5)トロリ線摩耗部の集計と反射光分布MAPの作成」に従って、各データの集計(平均)処理を行い(ステップS7)、濃淡値MAP作成処理を行う(ステップS8)。
即ち、
図10に示すように、先ず、対象画像データ、トロリ線磨耗部エッジデータ(画像上座標[pix])に基づいて、エッジデータ間の画素濃淡値を取得する(ステップT1)。
【0045】
次に、トロリ線高さデータ(実座標[mm])、トロリ線磨耗部偏位データ(実座標[mm])に基づいて、濃淡値MAPの座標系に変換する(ステップT2)。
引き続き、ステップT2で求めた濃淡値MAPの座標値にすでにデータがあるか、つまり、一つの座標値に複数の濃淡値が存在するか否かを判定し(ステップT3)、一つの座標値に複数の濃淡値が存在するときには、同座標データ配列に濃淡値を加算し、データ個数をカウントする(ステップT4)。一方、ステップT2で求めた濃淡値MAPの座標値にすでにデータがなく、つまり、一つの座標値に一つの濃淡値のみが存在するときには、同座標データ配列に濃淡値を格納する(ステップT5)。
【0046】
更に、ステップT2で求めた濃淡値MAPの座標値が最終データか否か判定し(ステップT6)、最終データでないときには、ステップT1に戻る。
一方、最終データのときには、各座標データ配列をデータ個数で除算して平均値として出力し、平均値である濃淡値を濃淡としてグラデーションプロットした濃淡値MAPを作成する(ステップT7)。
【実施例2】
【0047】
本発明の第2の実施例を
図11〜
図13に示す。本実施例は、基本的な考え方の(1.1)〜(1.6)に関するものであり、
図11は濃淡値MAP(分散・標準偏差)作成を加えたトロリ線摩耗測定処理のフローチャート、
図12は濃淡値MAP(分散・標準偏差)作成を加えたトロリ線摩耗測定装置の構成を示す。
図13は、濃淡値MAP(分散・標準偏差処理追加)作成部のフローチャートである。
【0048】
図12は、基本的な考え方で説明した計測用コンピュータ5の具体的な構成に関するものであり、ラインセンサ画像作成部10、2値化処理部20、空領域除去処理部30、ノイズ除去処理部40、トロリ線摩耗部エッジ検出部50、トロリ線摩耗部幅計算部60、濃淡値MAP(分散・標準偏差処理追加)作成部71及びメモリ80,90を備える。
濃淡値MAP(分散・標準偏差)作成部71以外については、前述した実施例1と同様であり、同一部分について同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
本実施例のトロリ線摩耗測定装置は、
図11に示すフローチャートに従い、ラインセンサ画像の取得(ステップS1)、2値化処理(ステップS2)、白(空の部分)を反転(ステップS3)、ノイズ除去(ステップS4)、トロリ線摩耗部のエッジ検出処理(ステップS5)、トロリ線摩耗部幅の計算処理(ステップS6)、各データの集計(平均)処理(ステップS7)、濃淡値MAP作成処理(ステップS8)、各データの集計(分散・標準偏差)処理(S9)、ばらつきMAP,信頼性MAP作成処理(ステップS10)を順に行う。
【0050】
濃淡値MAP(分散・標準偏差処理追加)作成部71は、実施例1で説明した濃淡値MAP(平均処理)作成部70と同様な処理を行い濃淡値MAPを作成する他、基本的な考え方で説明した「(1.6)分散(標準偏差)を計算する方法」に従って、各データの集計(分散・標準偏差)処理(ステップS9)、ばらつきMAP,信頼性MAP作成処理(ステップS10)を行う。
即ち、
図13に示すフローチャートに従って、実施例1と同様にステップT1〜T7を実施した後、各座標データ配列にて、濃淡値の分散(標準偏差)を計算し、分散(標準偏差)を濃淡としてグラデーションプロットしたばらつき・信頼性MAPを作成する(ステップT8)