技術分野
所要の工具が取着されたツールホルダが、主軸モータによって回転駆動される主軸に対し着脱自在に取り付けられる構造を備えた、例えばマシニングセンタのような工作機械に関するものである。
発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋
近年において、マシニングセンタのような工作機械に対して金型等の被加工物を高効率で、且つ高精度に加工することが要望されており、この要望を実現するために、大出力で高回転数の主軸モータを搭載して主軸40の回転を高速化することが行われている。しかしながら、図9(a)の工作機械では、主軸40が高速回転するのに伴って主軸40に生じる遠心力が増大し、この大きな遠心力によってテーパ穴43がテーパシャンク部46の外径よりも大きな内径に拡径する状態に主軸40が変形する。これは、主軸40がツールホルダ41に比べて遠心力の影響を受け易いためである。このようにテーパ穴43が拡径すると、テーパ穴43とテーパシャンク部46との密着度が低下するため、テーパ穴43によるテーパシャンク部46の把持力が低下し、ツールホルダ41にびびり振動が発生し易くなって被加工物の加工精度が低下する。
また、主軸40の高速回転によってテーパ穴43が拡径すると、図9(b)に示すように、ツールホルダ41に作用しているクランプ力Fcによってテーパシャンク部46が拡径したテーパ穴43内に入り込み、ツールホルダ41は、フランジ部44の端面44aが主軸40の端面40aに当接する位置まで矢印で示す軸心方向に変位してしまう。このように、位置固定されている主軸40に対するツールホルダ41の相対位置が図2(b)にdで示す距離だけ変化してしまうと、ツールホルダ41に取り付けられた工具が被加工物に対して予め設定された相対位置からdで示す距離だけずれてしまうので、これによっても被加工物の加工精度が低下する。
さらに、主軸40の高速回転によってテーパ穴43が拡径すると、上述のようにテーパ穴43によるテーパシャンク部46の把持力が低下するため、図9(c)に示すように、工具が被加工物に押し付けられることによる反力によってホルダ部45に曲げ荷重Fが加わったときに、主軸40の回転軸心C1に対しツールホルダ41の回転軸心C2がずれてしまい、この状態で主軸40が回転すると、主軸40にびびり振動が発生して、被加工物に対する加工精度が大きく低下してしまう。
一方、図10(a)の工作機械では、ツールホルダ41のフランジ部44の端面44aがクランプ力Fcによって主軸40の端面40aに押し付けられるので、主軸40が高速回転する場合にもツールホルダ41が軸心方向へ向けて変位することがないが、以下のような課題がある。すなわち、自動工具交換装置を備えたマシニングセンタのような工作機械では、各種工具がそれぞれ取り付けられてツールマガジンに格納されている複数のツールホルダ41のうちから加工工程に従って選択されたツールホルダ41がツールマガジンから取り出されて主軸40に自動的に装着される。このとき、図10(a)の工作機械では、テーパ穴43の内周面の径がテーパシャンク部46の外周面の径よりも僅かに大きく設定されて両者の間に隙間が存在するので、自動工具交換装置によりツールホルダ41が主軸40に自動的に取り付けられるときに、図10(b)に示すように、ツールホルダ41が、これの回転軸心C2が主軸40の回転軸心C1に対しずれる相対配置で主軸40に装着されるおそれがある。このようにツールホルダ41が偏心状態で取り付けられた主軸40が高速回転されたときには、ツールホルダ41にびびり振動が発生して被加工物の加工精度が低下する。
また、この工作機械では、ツールホルダ41の径方向への変位を防止する機械的な位置
決め機構が存在しないことから、クランプ力Fcを極めて大きく設定した場合であっても、主軸40が高速回転された状態で工具が被加工物に押し付けられることによる反力によってホルダ部45に曲げ荷重が加わったときにツールホルダ41が径方向に変位するおそれがあり、これによっても被加工物の加工精度が低下する。
本発明は、交換すべきツールホルダを主軸に対して所定の相対位置に高精度、且つ容易に位置決めして主軸に取り付けることができ、主軸が高速回転する場合においてもツールホルダの変位を確実に防止して被加工物を高精度に加工することができる工作機械を提供することを目的とするものである。
課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋
目的を達成するために、請求項1に係る発明は、所要の工具が取り付けられたツールホルダが、主軸モータによって回転駆動される主軸のテーパ穴に前記ツールホルダのテーパシャンク部を挿入した状態で前記主軸に着脱自在に取り付けられる工作機械において、前記テーパシャンク部が前記テーパ穴に挿入された状態でクランプ機構により前記ツールホルダを前記主軸の近接方向に引っ張るクランプ力が付与されたときに、前記ツー・・・ 続きを
知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
本発明に 係る工作機械によれば、ツールホルダの主軸への取り付けに際して、テーパシャンク部がテーパ穴に挿入された状態でツールホルダにクランプ力が付与されたときに、ツールホルダが、これの回転軸心が主軸の回転軸心に一致するように主軸に対する相対位置を変位するように位置決めガイド手段によりガイドされる。これにより、この工作機械は、ツールホルダの交換に際して、ツールホルダの主軸に対する相対位置を容易に、且つ高精度に位置決めできるので、ツールホルダにびびり振動が発生するのが極力抑制されて、被加工物の加工精度の低下を確実に防止できる。また、この工作機械は、テーパ穴とテーパシャンク部との密着によりツールホルダを主軸に取り付ける構造の従来の工作機械とは異なり、ツールホルダの押圧部を主軸の受部に前記クランプ力により軸心方向に押し付けてツールホルダを主軸に固定するようになっているので、主軸が高速回転したときに発生する遠心力によるテーパ穴の拡径に起因して生じるテーパシャンク部の把持力の低下やツールホルダの軸心方向への変位といった不具合が生じることがなく、これらの発生に伴う被加工物の加工精度の低下が無関係となる。
更に詳細には、 請求項
1 に係る工作機械によれば、ツールホルダの主軸への取り付けに際して、ツールホルダのテーパシャンク部が主軸のテーパ穴に挿入された状態においてクランプ力が付与されることにより、受け溝部内にガイド位置決め突部が強制的に嵌め入れられ、このときに、ツールホルダの受け溝部の位置決め当接部に主軸のガイド位置決め突部の位置決め受部が当接される。この互いに当接される位置決め当接部と位置決め受け部とは同じ径に設定されているから、ツールホルダの回転軸心が主軸の回転軸心に対しずれた相対配置でテーパシャンク部がテーパ穴に挿入されても、位置決め当接部と位置決め受け部とが当接するようガイドされることにより、ツールホルダが、これの回転軸心が主軸の回転軸心に一致する所定の相対配置に位置修正されて、主軸に対し高精度に位置決めされる。この位置決め状態において互いに接触する位置決め当接部が位置決め受け部にクランプ力により押し付けられてツールホルダが主軸に固定される。
請求項
2 に係る工作機械によれば、ツールホルダは、径方向の異なる2箇所が主軸に係合された状態で主軸に取り付けられることから、主軸が高速回転したときにも主軸に対しこれの径方向へ向けて変位するのが確実に阻止される。そのため、主軸が高速回転するのに加えて、被加工物からの反力による大きな曲げ荷重が加わった場合であっても、ツールホルダの曲げ剛性の低下を招くことがなく、被加工物を高精度に加工できる。
請求項
3 に係る工作機械によれば、クランプ機構のクランプ力によりツールホルダのテーパシャンク部が主軸のテーパ穴内に強く引き込まれたときに、ツールホルダの受け溝部内に主軸のガイド位置決め突部の全体が強制的に挿入されることにより、共にほぼ同一の径に設定された受け溝部の位置決め保持部とガイド位置決め突部の位置決め受部とが互いに当接される。これにより、ツールホルダは、これの回転軸心が主軸の回転軸心に一致するように主軸に対する相対位置を修正するようにガイドされて、主軸に対して容易に、且つ高精度に位置決めされる。また、受け溝部内にガイド位置決め突部の全体が嵌め入れられたときに、ツールホルダのホルダ端面が主軸の主軸端面にクランプ力により強く押し付けられて、ツールホルダが主軸に固定される。
請求項
4 に係る工作機械によれば、主軸とツールホルダの各々の軸心が互いにずれた配置でテーパシャンク部がテーパ穴に挿入されても、ガイド位置決め突部の先端のガイド位置決め受部が受け溝部の開口周端部に当接した時点で、ツールホルダがクランプ機構のクランプ力で引っ張られることにより、受け溝部の外周側溝壁面の開口周縁が、ガイド位置決め突部のガイド位置決め受部における断面半円形状のガイド位置決め受面に摺接しながらガイドされることにより、受け溝部の外周側溝壁面内にガイド位置決め受部の頂部が入り込む状態となる。このとき、受け溝部の外周側溝壁面がガイド位置決め受部の頂部とほぼ同じ径に設定されているから、ツールホルダは、これの回転軸心が主軸の回転軸心に一致する相対配置に容易に、且つ高精度に位置決めされる。この位置決め状態において、ツールホルダのホルダ端面が主軸の主軸端面にクランプ力で押し付けられて、ツールホルダが主軸に固定される。
この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]
知財ポータルサイト IP Force にログインして確認する (無料)
この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋
【図1】 本発明の第1工作機械を示す断面図である。
【図2】 図1の工作機械の要部の拡大断面図である。
【図3】 図2の分解断面図である。
【図4】 本発明の第2工作機械の要部の断面図である。
【図5】 図4の分解断面図である。
【図6】 本発明の第3工作機械の要部の断面図である。
【図7】 図6の分解断面図である。
【図8】 本発明の第4工作機械の要部の断面図である。
【図9】 (a)は従来の工作機械の断面図、(b),(c)は(a)の工作機械における不具合の発生状態の断面図である。
【図10】 (a)は従来の他の工作機械の断面図、(b)は(a)の工作機械における不具合の発生状態の断面図である。
1A〜1D 主軸
2A〜2D ツールホルダ
9 テーパ穴
10 主軸端面
11 ガイド位置決め突部
11a ガイド受面
11b 位置決め受け部
17 テーパシャンク部
18 ホルダ端面
19 受け溝部
19a 内周側溝壁面
19c 位置決め当接部
19e 支持当接部
20 クランプ機構
30 ガイド位置決め突部
30b ガイド受面
30c ガイド位置決め受部
31 受け溝部
31a 内周側溝壁面
31d 位置決め保持部
32 ガイド位置決め突部
32c ガイド位置決め受部
33 受け溝部
33c 外周側溝壁面
34 位置決め環状条部
C1 主軸の回転軸心
C2 ツールホルダの回転軸心
Fc クランプ力
全ての図面はログインすると無料で閲覧できます。ログイン・ユーザー登録