(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フィルム状注出ノズル用の積層フィルムは、該フィルム状注出ノズルの注出通路となる内表面側のシーラント層の融点が、前記袋本体の積層フィルムと接する外表面側シーラント層よりも高融点のフィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載の包装袋。
前記袋本体の肩部に設けられた前記切欠き端縁部は、袋本体用積層フィルムの上縁部から側縁部に向けて下り勾配で直線状に傾斜した傾斜縁部、前記袋本体の充填空間に向けて膨出した湾曲縁部、または一つもしくは複数の角部を連ねた角状縁部からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装袋。
前記フィルム状注出ノズルは、注出通路を横断して延び、かつ前記重なり合うノズル用積層フィルムの相互に入り込む少なくとも一条の凹凸条を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装袋。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献3に開示された包装袋は、液状被包装物を気密に充填包装してなる内包装体と、これとは別体の外容器を準備する必要があること、さらには内包装体を外容器内に収納して固定する製造工程が必要であって、コスト高になるという課題があった。
しかも、内包装体の注出ノズルおよび外容器の注出ノズルに相当する部分が、袋本体や外容器本体の側縁から突出した構造となっているため、これを輸送等するために箱体内に収納したり、商品棚に陳列等すると、該突出部分が邪魔になり、収納や陳列スペースが余分に広くなるという問題や、フィルム状注出ノズルが折れ曲がってセルフシール機能を有効に発揮することや破損等するおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明の第1の目的は、包装袋とは別に自立を助けるための外容器を必要とすることなく、製造工程を簡単にしてコストを低減できるだけでなく、フィルム状注出ノズルが包装袋の上縁部や側縁部から突出することがないため、収納や陳列のスペースを縮小できると共に、フィルム状注出ノズルの折れ曲がりや破損等のおそれのない包装袋を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、少なくとも使用の直前まで内容物を注出するためのフィルム状注出ノズルが、外気に触れることなく、衛生的で防菌性に優れる他、破袋のおそれのない包装袋を提供すること、さらには、包装袋を最後まで安定して自立させることのできる包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を実現するために開発した本発明は、上縁部と下縁部、これらを挟む一対の側縁部にて区画される輪郭形状を有する厚みが80μm〜300μmの積層フィルム
が二枚重ね、もしくは二つ折り
の状態で貼り合わ
されてなるものであり、その内側に
位置する被包装物の充填空間
と、前記充填空間下端に
、船底型の底部
となる共に、該下縁部
の相互
の離反
によるその末端部
の接地
により自立
を可能とする底壁
とを有する袋本体と、前記袋本体の上部に取り付けられる別体の、該袋本体用の積層フィルムよりも薄肉の厚みが30μm〜80μm未満の積層フィルム
が二枚重
ね、もしくは二つ折り
の状態で基部となる端辺部分を除く3方の周辺部分
で相互
に融着
されてなるものであり、その内側に前記袋本体の充填空間に通じる注出通路を
有し、この注出通路を通じ
た前記袋本体の充填空間内の被包装物
の注出
の際にセルフシール機能を発揮するフィルム状注出ノズルと、を備える包装袋において、前記袋本体は、その上縁部の一部分および側縁部の一部分をつなぐ、少なくとも一方の肩部を切り欠
いた切欠き部分の端縁部に、前記フィルム状注出ノズルを、袋本体の上縁部と側縁部とが交差する該肩部内に収まるように固定保持する切欠き部を備え、そしてその切欠き部は、該袋本体の上縁部および側縁部から延びる外端縁を有し、前記切欠き
部分の前記端縁部に切り離し可能に連結され、かつ前記フィルム状注出ノズルを挟み込んで収容するために該切欠き部に対応する三角形状を有する一対の積層フィルムからなり、上記外端縁に沿って設けた融着部と切欠き端縁部によって囲繞されてなる三角袋状の保護カバーとして形成されたものであり、
前記フィルム状注出ノズルは、その注出通路が前記袋本体の上縁部に対して上向き、または斜め上向きになる
姿勢で、基部外面が、前記袋本体の切欠き端縁部の内面に、該注出通路内面を残して融着接合
した状態で、該袋本体に連設されている
ものであることを特徴とする包装袋である。
【0009】
本発明において、上記包装袋は、
(1)前記フィルム状注出ノズル基部の上下端部と、前記袋本体の切欠き端縁部との境界部分に
、加圧融着処理
した補強シール部を有すること、
(2)前記フィルム状注出ノズル用の積層フィルムは、該フィルム状注出ノズルの注出通路となる内表面側のシーラント層の融点が、前記袋本体の積層フィルムと接する外表面側シーラント層よりも高融点のフィルムであること、
(3)前記袋本体の肩部に設けられた前記切欠き端縁部は、袋本体用積層フィルムの上縁部から側縁部に向けて下り勾配で直線状に傾斜した傾斜縁部、前記袋本体の充填空間に向けて膨出した湾曲縁部、または一つもしくは複数の角部を連ねた角状縁部からなること、
(4
)前記フィルム状注出ノズルは、注出通路を横断して延び、かつ前記重なり合うノズル用積層フィルムの相互に入り込む少なくとも一条の凹凸条を有すること
、
がより好ましい解決手段となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る包装袋においては、袋本体の上縁部と側縁部とが交差する肩部を切欠いて設けた切欠き部の内側にフィルム状注出ノズルが固定保持されるため、フィルム状注出ノズルが包装袋の上縁部や側縁部から突出しないので、収納や陳列等のスペースを縮小できると共に、ハンドリング容易で、該フィルム状注出ノズルが折れ曲がったり、破損等することがない。
【0011】
また、本発明に係る包装袋においては、相対的に肉厚の積層フィルムにて袋本体を形成し、包装体として必要な強度を付与すると共に、自立可能に形成したことで別体の外容器を準備する必要がなくなり、製造工程が簡素化してコストを低減できる。
【0012】
さらに本発明に係る包装袋においては、袋本体の切欠き端縁部に保持されたフィルム状注出ノズルを内側に収納するように保護カバーが設けられているため、このフィルム状注出ノズルは、使用開始まで外部に晒されることがないので、衛生的で防菌性に優れると共に、フィルム状注出ノズルが破損するおそれがない。しかも、このような袋本体では、保護カバーを一対の袋状積層フィルムによって構成
することでフィルム状注出ノズルを平坦な状態に保つことができ、さらに保護カバーを切り取った後も、切り残った袋状積層フィルム部分によってフィルム状注出ノズルの基部近傍部分が押さえられることになり、フィルム状注出ノズルの折れ曲がりを抑制することができる。
【0013】
さらに、本発明に係る包装袋においては、前記フィルム状注出ノズルの基部上下端部と、袋本体の切欠き端縁部との境界部分に、融着接合後
に加圧融着処理を重ねて行うことによって補強シールを設けているので、厚肉の袋本体用積層フィルムと、薄肉のノズル用積層フィルムとを接合するときに不可避に生じる段差に伴うピンホールを防ぐことができると共に、該境界部分の融着強度
を向上させることができ、ひいては該境界部分での破袋を防いで被包装物の漏れ出しを効果的に防止することができる。
【0014】
さらに、本発明に係る包装袋において、フィルム状注出ノズルを構成するノズル用積層フィルムの、注出通路の内表面側となるシーラント層の融点を、外表面側のシーラント層より高融点としたときは、フィルム状注出ノズルの基部を、袋本体の切欠き端縁部の内面に融着接合して袋本体に一体連結する際の、フィルム状注出ノズルの内表面どうしの融着を十分に防止することができる。
【0015】
さらに、本発明に係る包装袋においては、袋本体の肩部に設けられた切欠き端縁部を、袋本体用積層フィルムの上縁部から側縁部に向けて下り勾配で直線状に傾斜した傾斜縁部、前記袋本体の充填空間に向けて膨出した湾曲縁部、または一つもしくは複数の角部を連ねた角状縁部とすることで、該切欠き端縁部に固定保持するフィルム状注出ノズルの形状や、該フィルム状注出ノズルからの被包装物の吐出方向を適宜に変更することができる。
【0016】
さらに、本発明に係る包装袋においては、フィルム状注出ノズルを構成するノズル用積層フィルム上の、好ましくは注出口近傍位置に、注出通路を横断して延びて、重なり合うノズル用積層フィルムの相互に入り込む少なくとも一条の凹凸条を設けることが好ましく、該凹凸条による弾性復元力の向上によって、被包装物の注出を停止して包装袋を起立復帰させた際の、ノズル用積層フィルムどうしの相互の密着が迅速かつ確実となり、セルフシール機能を有効に発揮させることができ、とくに、袋本体内に被包装物と共にガスを封入した際に効果的である。
【0017】
さらに、本発明に係る包装袋においては、袋本体の下端に自立用の底壁を設けることで、包装袋自体を自立させることが可能であり、さらに袋本体部分は、液状の被包装物を充填した後も、その立ち姿が、下部の円筒状に対し、上部についてはフラットな扁平形状を維持することができるため、フィルム状注出ノズルの逆止機能を効果的に発揮させることができる。
しかも、従来技術の包装袋では、フィルム状注出ノズルの有するセルフシール機能によって外気の侵入が阻止されるため、被包装物の注出に伴って次第に袋本体が収縮していくが、本発明では、袋本体の充填空間に、被包装物と共にガスを封入することで、袋本体の被包装物の注出に伴う収縮が抑制され、包装袋を最後まで安定して自立させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る包装袋の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る包装袋1は、
図1に示すように、被包装物を収納保持するための袋本体2と、袋本体2内の被包装物を注出するためのフィルム状注出ノズル3を備えている。
【0020】
前記袋本体2は、ベースフィルム層と、少なくとも被包装物とフィルム状注出ノズルの外側シーラント層とに接する部分にシーラント層を具える、二層もしくは三層以上の積層構造になる袋本体用積層フィルムを、図では2枚を重ね合わせて(シーラント層どうしが対向するように重ね合わせ)、下縁部6および一対の側縁部7a、7bを融着接合することで内側に被包装物のための充填空間8を形成したものである。
【0021】
本発明において特徴的な前記袋本体2の構成は、側縁部7aと上縁部9とが交差する肩部には、該側縁部7aおよび上縁部9の一部分を切欠いて形成された、たとえば略三角形状の切欠き部5が設けられ、そして、その切欠き端縁部5aの積層フィルム内面に、前記フィルム状注出ノズル3の基部3b外面(外側シーラント層)が、内側に注出通路を残すように熱融着(ヒートシール)処理すること等によって固定保持(連設)されている。
【0022】
前記袋本体2は、上記のように2枚の積層プラスチックフィルムを重ね合わせる他、1枚の袋本体用積層フィルムを中央部で折り返して二つ折りにして形成してもよく、また、切欠き部5は側縁部7a側のみに設けられているが、側縁部7b側あるいは側縁部7aおよび側縁部7bの両側にそれぞれ設けたものであってもよい。
【0023】
前記フィルム状注出ノズル3は、前記袋本体とは別体のものであって、該袋本体の上部とくに肩部の部分に融着して取り付けられるものである。そして、このフィルム状注出ノズル3は、少なくともベースフィルム層とその両面に積層されたシーラント層の三層以上からなるものであって、前述した逆止機能を付与するために、袋本体用積層フィルムよりも軟質かつ薄肉で、平坦度の高いプラスチック積層フィルムを2枚重ね、もしくは1枚の積層フィルムを折り返して二つ折りにして、基部3bとなる端辺を除く3方の周辺部分で相互に融着し、その内側に袋本体2の充填空間8に相通じる注出通路3aを形成したものである。なお、このフィルム状注出ノズル3は、注出通路3a内表面どうしの間に、液状の被包装物が毛細管現象等によって膜状に常時介在することになる。その結果、該注出通路の内面どうしは
、表面張力によって相互に密着し合い、この作用によって、注出した被包装物に入れ代って外気が侵入するのを阻止するセルフシール機能を発揮することができるものである。
【0024】
なお、このフィルム状注出ノズル3を、切欠き端縁部5aの内面に融着接合等によって固定保持するに当たっては、ノズル用積層フィルムとして、注出通路3a内表面側となるシーラント層の融点が、該フィルム状注出ノズル3の外表面側のシーラント層よりも、例えば20℃程度、高融点のものを用いることが好ましく、さらには、外表面側のシーラント層として、切欠き端縁部5aの内面(袋本体用積層フィルムのシーラント層)のヒートシール温度よりも高い温度でヒートシール可能なフィルムを用いることが好ましい。このような積層フィルムによれば、注出通路3a内表面のシーラント間に離型材その他の融着防止部材を介在させるまでもなく、フィルム状注出ノズル3の基部3bを、フィルム状注出ノズル3内表面どうしの意図しない融着接合のおそれなしに、所期した通りに確実に切欠き端縁部5aに融着接合させることができる。
【0025】
前記切欠き部5は、切欠き端縁部5aに連結されて、袋本体2の上縁部9および側縁部7aからそれぞれ延びる外端縁4aを有する保護カバー4として形成され、その外端縁4aの内側にフィルム状注出ノズル3が収容される。なお、前記保護カバー4は、袋本体用積層フィルムによって袋本体2と一体で形成してもよいし、袋本体2とは別体で形成し、切欠き端縁部5a位置において、融着接合等によって連結してもよい。
【0026】
従って、本発明の包装袋1は、フィルム状注出ノズル3を袋本体2の前記切欠き部5に位置させると共に、該フィルム状注出ノズル3を内側に収容する保護カバー4の外端縁4aが、袋本体2の上端縁9および側端縁2aに沿って形成されているため、従来のようにフィルム状注出ノズル3が包装袋の各端縁部から突出することがない。その結果、このような構造の包装袋は、収納や陳列スペースを縮小するのに有効で、しかも取り扱い時にフィルム状注出ノズルが誤開封されたり、破損等するおそれがない。
【0027】
なお、前記保護カバー4には、好ましくは切欠き端縁部5aの近傍位置に、ミシン目状の穿孔や、レーザー加工その他によって形成した連続的もしくは不連続的な溶融疵等からなる引裂き誘導疵11を設けることが好ましい。そして、使用の開始に当たっては、
図2に示すように、保護カバー4の、例えば上縁部に設けた切欠き等を始点として、引裂き誘導疵11に沿って下向きに引裂いて保護カバー4を切り取ることで、内側にあるフィルム状注出ノズル3を外部に露出させることができる。なお、この保護カバー4は、その側縁部に引裂き誘導疵11の始点を設け、上縁部に向かって上向きに引裂いて切り離してもよい。
【0028】
また、上記保護カバー4は、前記切欠き部に対応する略三角形状を有し、前記フィルム状注出ノズル3を両側から挟みつけてこれを囲繞する一対の積層フィルムによって構成した三角袋の体をなすものである。このような保護カバー4によれば、挟みつける一対の積層フィルムによってフィルム状注出ノズル3を常に平坦な状態に保つことができるため、セルフシール機能を有効に発揮させることができる。さらに、この保護カバー4を袋本体2から切り取った後も、残った一対の積層フィルム部分によってフィルム状注出ノズル3の基部3b近傍部分が押さえられることになり、フィルム状注出ノズル3の折れ曲がりが抑制され、被包装物の吐出方向性を向上させることができる。
【0029】
ところで、袋本体用積層フィルムは、上記したように少なくともベースフィルム層とシーラント層とを具える2層以上の積層フィルムからなり、例えば、ベースフィルム層としてはポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロン樹脂フィルム、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどにより構成し、一方、シーラント層としては、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどにより構成することが好ましく、一定量の被包装物を充填した際の、包装体としての強度を付与し、自立を可能にするため、その積層フィルムの積層厚みは80〜300μm、好ましくは100〜200μmの範囲とする。また、このベースフィルム層のいずれか一方の表面にSiO
2蒸着層、塩化ビニリデンコーティング層、酸化アルミニウムコーティング層、Al蒸着層あるいはこれらのスパッタリング層などからなるガスバリア層を、好ましくは0.5〜20μmの厚みで設けてもよく、この場合には、袋本体2に水蒸気不透過性やガスバリア性等が付与されて、袋本体2内の被包装物の長期に亘る劣化のない保存が可能になる。
【0030】
一方、フィルム状注出ノズル3用の積層フィルムは、袋本体用積層フィルムよりも薄肉で軟質の、ベースフィルム層とそれを両側に挟んで積層したシーラント層とからなる3層以上の積層フィルムから構成されてなり、その積層厚みは30〜80μm未満、好ましくは40〜70μmの範囲からなる。ベースフィルム層としては、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、EVOHなどの一軸もしくは二軸延伸フィルムにより構成することが好ましい。このベースフィルム層のいずれか一方の表面には、SiO
2蒸着層、塩化ビニリデンコーティング層、酸化アルミニウムコーティング層、Al蒸着層あるいはこれらのスパッタリング層などからなるガスバリア層を、好ましくは0.5〜20μmの厚みで設けてもよい。この場合には、被包装物に濡れたフィルム状注出ノズルの内表面が相互によく密着すると共に、水蒸気不透過性やガスバリア性等が付与され、効果的なセルフシール機能が長期にわたって発揮され、袋内への外気の侵入を有効に阻止することができる。また、シーラント層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアルコール、アイオノマーあるいはEVOHなどの熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
【0031】
前記したようにフィルム状注出ノズル3は、基部3b外表面を、切欠き端縁部5a内面の袋本体用積層フィルム間に融着接合等して固定するが、ノズル基部3bと袋本体2の切欠き端縁部5aとの境界部分、すなわち、ノズル基部3bの両端部分は、
図1のX−X線位置における端面図(
図3)に示すように、ノズル用積層フィルム20a、20bおよび袋本体用積層フィルム21a、21bの4枚のフィルムが重なっているため、フィルムの厚みが大きく、切欠き端縁部5aの、袋本体用積層フィルム21a、21bのみが重なっている部分との厚み差によって、隙間22が生じやすく、該隙間22から、袋本体2の充填空間8にある被包装物が漏れ出すおそれがある。
【0032】
そこで、本発明では、
図2等に示すように、ノズル基部3bの上下端部と袋本体2の切欠き端縁部5a(袋本体用積層フィルム21a、21b)との境界部分を、該切欠き端縁部5aと、ノズル基部3bとの融着接合の後、さらに少なくとも1回以上の熱融着処理を施して得られる複数の補強シール部10を設けることが好ましい。このような構造にすれば、フィルム状注出ノズル3と袋本体2との接合強度を向上させることができると共に、液漏れのおそれがなく、また、補強シール部10において、薄肉で軟質の積層フィルムからなるフィルム状注出ノズル3の強度を、袋本体2のフィルム強度と同程度まで補強することができるため、フィルム状注出ノズル3が基部3b位置から折れ曲がることがなく、吐出性能を向上させることができる。
【0033】
前記切欠き部5の切欠き端縁部5aは、
図1に示すように、袋本体2の上端縁9からフィルム側端縁7aに向けて直線状に傾斜した傾斜縁部の他、
図4に示すような充填空間8に向けて膨出した湾曲縁部(a)、一つもしくは複数の(図では一つ)角部を連ねた角状縁部(b)、(c)からなることが好ましく、切欠き端縁部5aの形状は、注出ノズル3からの被包装物の吐出方向やフィルム状注出ノズル3の形状等に合わせて適宜決定する。なお、注出ノズル3は
、図4(a)に示すように、注出通路3aが斜め上向
きとなるように設け
ることで、被包装物を注出した後、包装袋1を起立姿勢にした際の、注出通路3a内の被包装物の液戻りがよく、液だれの発生を効果的に抑制することができる。
【0034】
このような包装袋1においては、袋本体2の切欠き部5を除く上縁部9の、重なり合う袋本体用積層フィルムを相互に離反させ、袋本体2の充填空間8内に被包装物を、例えば液中シール充填による抜気下や、窒素や炭酸ガス等を微小気泡(直径1μm〜150000μm程度)として被包装物中に拡散させた状態で充填した後、該上縁部9を融着接合等して、充填空間8を密封することが好ましい。
【0035】
また、
図5に示す本発明の包装袋1の他の実施形態においては、袋本体2下端となる袋本体用積層フィルムの下縁部6に設けた底壁によって船底型の自立用底部12が形成される。底壁は、例えば袋本体用積層フィルムと同じ積層フィルムや、該積層フィルムよりも肉厚で腰のあるフィルムによって形成し、該底壁を、重なり合う袋本体用積層フィルム間に挿入した状態で、該袋本体用積層フィルムと共に所要の形状にヒートシールすることで、袋本体用積層フィルムの下縁部6の内壁面に融着接合させて自立用底部12を構成する。なお、この自立用底部12付の包装袋1では、袋本体2の充填空間8内に被包装物を充填すると、袋本体用積層フィルムの下縁部6が相互に離反し、該下縁部6の末端部が接地することで包装袋1を自立させることができる。
【0036】
ところで、袋本体2は、フィルム状注出ノズル3の有するセルフシール機能によって、注出した被包装物の代わりに外気が袋内に進入することがないため、被包装物の注出に伴って収縮していく。そのため、
図5に示すような自立用底部12を有する包装袋1においては、上記したように、袋本体2の充填空間8に被包装物と共に、被包装物の体積の2vol%以上、好ましくは30vol%以下の窒素や炭酸ガス等を封入することが好ましい。このような構成のものでは、該ガスによって袋本体2の収縮が抑制され、包装袋1を最後まで安定して自立させることができる。さらに、被包装物の残量が1/3以下にまで低下した場合にも、前記ガスによって袋本体2内表面どうし(2枚の袋本体用積層フィルムどうし)の密着力が緩和されると共に、該ガスの占有スペース内へ被包装物の流入が誘導(置換)されることで、被包装物をスムーズに注出することができると共に、被包装物の袋内残量を減少させることができる。
【0037】
なお、袋本体2に被包装物とともに封入するガスとしては、被包装物の種類によって選択することが好ましい。とくに、被包装物が空気によって酸化や汚損等しやすいものの場合(例えば、醤油のような調味液、油類、化粧品、医薬品等)には、窒素や炭酸ガス等の不活性ガスを用いることが好ましい。まだ、被包装物が一定量の活性ガスと接触することによっても品質の低下を招かないものの場合(例えば、各種酒類等)には、酸素や希釈空気等の活性ガスを用いてもよい。とくに、本発明では、前記したようにフィルム状注出ノズル3がセルフシール機能を有するため、フィルム状注出ノズル3によって袋本体2内への外気の侵入が阻止されるため、袋本体2内での好気性菌の増殖を有効に抑制することができる反面、袋本体2内の溶存酸素量が少ないため、ボツリヌス菌やウエルシュ菌のような嫌気性菌が増殖するおそれがあるという問題点があった。この点に関しても、被包装物と共に静菌効果を有する、例えば炭酸ガスや、炭酸ガスと窒素ガス等との混合ガスを封入することで、被包装物のpHが下がり、嫌気性菌の増殖を有効に抑制することができるという効果が期待できる。
【0038】
また、本発明では、被包装物の注出を停止して包装袋を起立復帰させた際の、フィルム状注出ノズル3の注出通路3a内表面どうしの密着によるセルフシール機能を向上させるため、
図6に示すように、フィルム状注出ノズル3を構成する積層フィルム20a、20b上の、好ましくは注出口近傍位置に、フィルム状注出ノズル3の注出通路3aを横断して延びて、かつ
図6(a)のA−A部における断面図(
図6(b))に示すように、ノズル用積層フィルム20a、20bが相互に入り込む、少なくとも一条の凹凸条23、24を設けることが好ましく、これによれば、両積層フィルム20a、20bの原形状への弾性復元力が高まり、注出通路3aの内表面どうしの密着が迅速かつ確実になり、セルフシール機能を有効に発揮させることができる。とくに、上記したように袋本体2に被包装物と共にガスを封入した場合には、該ガスがフィルム状注出ノズル3の注出通路3aに進入するなどして注出通路3a内面どうしの密着が阻害されるおそれがあるため、該凹凸条23、24の形成が非常に有効となる。
【0039】
本発明の包装袋1の形成方法としては、これに特定されるものではないが、例えば、保護カバー4を袋本体2と一体で形成する場合の一例として、袋本体用積層フィルムを二枚重ねにしてその側縁部7a、7bおよび下縁部6を融着接合させた後、側縁部7aと上縁部9とが交差する肩部に、上縁部9からフィルム状注出ノズル3を挿入し、該フィルム状注出ノズル3の基部3bを含むように袋本体用積層フィルムの上縁部9から側縁部7aに向かってヒートシールを行うことで切欠き端縁部5aを形成し、該切欠き端縁部5aによってフィルム状注出ノズル3を包装袋1内に固定保持させると共に、包装袋1を保護カバー4(切欠き部5)と袋本体2とに区画することで簡単に形成することができる。