(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
保管手段に保管された所定患者に関するレポートのうち、第1のレポートと第2のレポートとを比較して、レポート中の文字列に割り当てられた画像を特定するための識別子と当該文字列との組み合わせからなるハイパーリンクに関する変更を分析する分析手段と、
前記ハイパーリンクに関する変更の分析の結果、前記組み合わせのうちの前記文字列が変更された場合には、変更前の前記文字列及び変更後の前記文字列と、前記変更前の組み合わせを構成する識別子及び前記変更後の組み合わせを構成する識別子によって特定される画像と、を明示する差異情報を生成する差異情報生成手段と、
を具備することを特徴とする医用レポート作成支援システム。
変更前の前記文字列と変更後の前記文字列とを第1の領域において並べて表示し、前記変更前の組み合わせを構成する識別子及び前記変更後の組み合わせを構成する識別子によって特定される前記画像を第2の領域において表示する表示手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の医用レポート作成支援システム。
前記差異情報生成手段は、前記ハイパーリンクに関する変更の分析の結果、前記組み合わせのうちの前記画像を特定するための識別子が変更された場合には、変更前の前記識別子によって特定される画像及び変更後の前記識別子によって特定される画像を明示する前記差異情報を生成し、
前記表示手段は、変更前の前記識別子によって特定される前記画像及び変更後の前記識別子によって特定される前記画像を、前記第2の領域において並べて表示することを特徴とする請求項2記載の医用レポート作成支援システム。
保管手段に保管された所定患者に関するレポートのうち、第1のレポートと第2のレポートとを比較して、レポート中の文字列に割り当てられた画像を特定するための識別子と当該文字列との組み合わせからなるハイパーリンクに関する変更を分析する分析手段と、
前記ハイパーリンクに関する変更の分析の結果、前記組み合わせのうちの前記画像を特定するための識別子が変更された場合には、変更前の前記識別子によって特定される画像及び変更後の前記識別子によって特定される画像と、前記変更前の組み合わせ及び前記変更後の組み合わせを構成する文字列と、を明示する差異情報を生成する差異情報生成手段と、
を具備することを特徴とする医用レポート作成支援システム。
前記差異情報生成手段は、前記ハイパーリンクに関する変更の分析の結果、前記組み合わせのうちの前記文字列が変更された場合には、変更前の前記文字列及び変更後の前記文字列を明示する前記差異情報を生成し、
前記表示手段は、変更前の前記文字列及び変更後の前記文字列を、前記第2の領域において並べて表示することを特徴とする請求項5記載の医用レポート作成支援システム。
前記分析手段は、レポート中の文字列に対する画像を特定するための識別子の新たな割り当てと、レポート中の文字列に割り当てられた画像を特定するための識別子の削除とに基づいて、ハイパーリンクの追加又は削除を分析し、
前記差異情報生成手段は、ハイパーリンクの追加又は削除を明示する前記差異情報を生成すること、
を特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の医用レポート作成支援システム。
前記分析手段は、前記第2のレポートの保存指示に応答して、前記分析を実行することを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか一項記載の医用レポート作成支援システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、各実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る医用画像診断システムSの構成を説明するための図である。同図に示すように、本医用画像診断システムSは、医用画像撮像装置1、医用画像観察装置3、医用レポート作成装置5、医用画像保管装置7を具備している。なお、それぞれの装置はネットワークNに接続され、互いにデータのやり取りが可能である。以下、各装置の構成について説明する。
【0016】
[医用画像撮像装置]
医用画像撮像装置1は、主治医によって発行されるオーダに従う画像収集において使用される、X線コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴イメージング装置、X線診断装置、核医学診断装置、超音波診断装置等の各種装置である。医用画像撮像装置1は、その種類に拘泥されない。当該医用画像撮像装置1によって撮像された画像は、DICOMフォーマットにより医用画像保管装置7へ送信される。
【0017】
[医用画像観察装置]
医用画像観察装置3は、前記医用画像を表示する装置であり、ユーザが医用レポートを作成・編集する時、或いは参照時に使用される。なお、本医用画像観察装置3と医用レポート作成装置とは、物理的に一体の装置であってもかまわない。
【0018】
図2は、医用画像観察装置3のブロック構成を示した図である。同図に示すように、医用画像観察装置3は、操作ユニット30、表示ユニット31、画像処理ユニット32、制御ユニット33、記憶ユニット34、送受信ユニット35を具備している。
【0019】
操作ユニット30は、キーボードや各種スイッチ、マウス、ボタン(例えば、GUI等)等を備え、オペレータからの指示(表示、階調変更、拡大・縮小、アノテーションの追加/削除/変更等の各種指示)を入力可能な装置である。また、操作ユニット30は、後述する医用レポート作成支援処理の実行を指示するためのI/F等を有する。
【0020】
表示ユニット31は、画像処理ユニット32において所定の画像処理を受けた画像等を所定の形態で表示する。
【0021】
画像処理ユニット32は、ボリュームレンダリング、サーフェスレンダリング、多断面変換処理(MPR:multi planar reconstruction)、最大値投影処理(MIP:maximum intensity projection)等の所定の画像処理を行う。
【0022】
制御ユニット33は、本医用画像観察装置3の静的又は動的な動作を、統括的に制御する。また、制御ユニット33は、専用プログラムを図示していないメモリに展開することで、後述する医用レポート作成支援処理を実現することも可能である。
【0023】
記憶ユニット34は、医用画像撮像装置1によって取得された各種医用画像(例えば、DICOM規格に従う画像)、或いは当該医用画像観察装置3において所定の画像処理が施された医用画像等を記憶する。この医用画像は、必要に応じて、検査(スタディ)、シリーズ、患者、医師等の各種管理情報によって管理される。
【0024】
送受信ユニット35は、医用画像保管装置7、医用画像撮像装置1より、ネットワークNを介して観察対象となる医用画像、医用レポート作成・編集に必要な各種情報等を受信する。また、送受信ユニット35は、画像処理ユニット32によって画像処理を施した医用画像を、ネットワークNを介して医用画像保管装置7へ送信する。
【0025】
[医用レポート作成装置5]
医用レポート作成装置5は、画像診断において読影医師の所見を記録するレポートを作成・編集する際に用いられる装置である。ユーザは、医用画像観察装置3に表示される医用画像を参照し、医用レポート作成装置5の医用レポート作成画面にコメントを入力することで、医用レポートを作成、編集する。
【0026】
図3は、医用レポート作成装置5の構成を説明するためのブロック図である。同図に示すように、医用レポート作成装置5は、操作ユニット50、表示ユニット51、レポートデータ処理ユニット52、制御ユニット53、記憶ユニット54、送受信ユニット55を具備している。
【0027】
操作ユニット50は、キーボードや各種スイッチ、マウス等を備え、検査の医用レポートの表示指示、レポート作成画面を操作するためのキー入力等を操作者が入力するための装置である。
【0028】
表示ユニット51は、各種医用画像撮像装置1で取得された画像、レポート作成・編集画面、当該レポート作成装置5において作成されたレポート、医用画像保管装置7から受け取った過去のレポート、後述する医用レポート作成支援処理において取得される差異情報等を、所定の形態で表示する。
【0029】
レポートデータ処理ユニット52は、操作ユニット50からの入力に従って医用レポートを作成・編集する。ここで、医用レポートの編集とは、医用レポートに含まれるキー画像(診断の根拠とされる画像)、コメント、ハイパーリンクについて、追加、削除、変更等を行うことを意味する。
【0030】
制御ユニット53は、当該医用レポート作成装置5の動作を統括的に制御する。特に、制御ユニット53は、専用プログラムを図示していないメモリに展開することで、後述する医用レポート作成支援処理を実行する。
【0031】
記憶ユニット54は、過去に作成されたレポート、現在作成中のバックアップとしてのレポート等を記憶する。また、記憶ユニット54は、後述する医用レポート作成支援システムを実現するための専用プログラムを格納する。
【0032】
送受信ユニット55は、医用画像保管装置7より、ネットワークNを介して編集対象となる過去の医用レポート、医用レポート作成・編集に必要な各種情報等を受信する。また、送受信ユニット55は、レポートデータ処理ユニット52によって作成、編集されたレポートを、ネットワークNを介して医用画像保管装置7へ送信する。
【0033】
[医用画像保管装置]
医用画像保管装置7は、医用画像撮像装置1によって収集された画像を格納し、データベース等の管理情報上に登録し管理及び保管する。また、医用画像保管装置7は、医用レポート作成装置5において作成された医用レポートを保管し、管理情報に従って管理する。さらに、医用画像保管装置7は、後述する医用レポート作成支援処理において、差異の分析、差異情報の生成等を行う。
【0034】
図4は、医用画像保管装置7の構成を説明するためのブロック図である。同図に示すように、医用画像保管装置7は、画像データベース70、レポートデータベース71、記憶ユニット72、差異情報生成ユニット73、制御ユニット74、送受信ユニット75を具備している。
【0035】
画像データベース70は、医用画像撮像装置1によって取得された画像、医用画像観察装置3において画像処理を施された画像等を、ネットワークNを介して受け取り、管理情報に基づいて保管し管理する。
【0036】
レポートデータベース71は、医用レポート作成装置5において作成・編集された医用レポートをネットワークNを介して受け取り、所定の属性(作業者、患者、検査種等)に基づいて保管し管理する。なお、医用レポートには、第1版、第2版など改訂(改版)された順番を示す概念である「版」が存在する(すなわち、版の番号が小さいものほど時間的に古い(過去の)レポートとなり、版の番号が大きいものほど時間的に新しいレポートとなる)。当該レポートデータベース71は、医用レポートの全ての版の情報を保管する。
【0037】
記憶ユニット72は、後述する医用レポート作成支援処理を実現するための専用プログラムを格納する。
【0038】
差異情報生成ユニット73は、作業終了通知後に受信する最新の医用レポートデータと、レポートDBに保管してある旧版の(過去の)レポートデータとを比較し、差異情報を分析する。例えば、差異情報生成ユニット73は、医用レポートの文字列、医用レポートに添付されているキー画像、医用レポートの文字列に張られているハイパーリンクについて差異を分析する。
【0039】
制御ユニット74は、医用画像保管装置7の動作を統括的に制御する。また、制御ユニット74は、管理情報に基づいて、画像データベース70に保管された画像、レポートデータベース71に保管された医用レポート等の検索を行う。さらに、制御ユニット74は、専用プログラムを図示していないメモリに展開することで、レポート作成・編集アプリケーション、後述する医用レポート作成支援処理等を実現する。
【0040】
送受信ユニット75は、要求に応じて、読影診断、医用レポート作成に必要な情報、過去のレポート、過去の医用画像等を、ネットワークNを介して医用画像観察装置3、医用レポート作成装置5に送信する。
【0041】
(医用レポート作成支援システム)
次に、医用レポート作成支援システムについて説明する。この医用レポート作成支援システムは、複数の作業者により、医用レポートの作成、編集を行う場合に、所定のレポートと当該所定のレポートよりも版番号の小さい(時間的に古い)レポートとの差異を分析し、差異情報を生成して作業者に分かり易く確実に伝達するものである。
【0042】
なお、本実施形態では、説明を具体的にするため、例えば、二次作業者としてのベテラン読影医が一次作業者としての若手読影医が作成した一時保存レポートの内容を編集する場合を想定する。係る場合において、二次作業者の編集処理によって作成された医用レポートと、一次作業者によって作成された医用レポートとを比較し、二つの医用レポート間の差異を分析し、差異が存在する場合には、差異情報を生成して関係作業者に伝達する。
【0043】
図5は、本医用レポート作成支援システムが実行する処理(医用レポート作成支援処理)の流れを示したフローチャートである。以下、同フローチャートを用いて、医用レポート作成支援処理において実行される各処理の具体的内容について説明する。
【0044】
まず、操作ユニット50を介して、一次作業者から一次レポート作成開始指示が入力されると、レポートデータ処理ユニット52は、レポート作成・編集アプリケーションを起動する(ステップS0)。ここで、一次作業者とは、当該検査に関する最初の(一次の)レポートを作成する若手読影医等を意味する。制御ユニット53は、同アプリケーションに従って操作ユニット50を介して一次作業者から入力される指示に応答して、医用レポートを作成する(ステップS1)。この医用レポートの作成作業においては、例えば、所見、コメント等の文字列の記入、キー画像の挿入(添付)、所定の画像や情報へのハイパーリンク等が実行される。
【0045】
次に、レポートの作成作業が終了すると、一次作業者によって、操作ユニット50を介して保存指示が入力される。レポートデータ処理ユニット52は、当該保存指示(例えば、明示的な保存指示、レポートファイルを閉じる指示等)に応答して、作成されたレポートを「第1版レポート」として確定し、ネットワークNを介して当該第1版レポートを医用画像保管装置7に送信する(ステップS2)。医用画像保管装置1の制御ユニット74は、送受信ユニット75を介して受信した第1版レポートを受信すると、当該第1版レポートをレポートデータベース内に保存する(ステップS3)。
【0046】
次に、所望のタイミングにおいて、操作ユニット50を介して、二次作業者から当該患者の第1版レポートの編集開始指示が入力されると、レポートデータ処理ユニット52は、レポート作成・編集アプリケーションを起動すると共に、ネットワークNを介して医用画像保管装置7に対し、当該患者の第1版レポートを要求する(ステップS4)。ここで、二次作業者とは、一次作業者によって作成された「第1版レポート」に対してさらなる編集作業を実行し、第2版レポートを作成するベテランの読影医を意味する。医用画像保管装置7の制御ユニット74は、レポートデータベース71を検索して当該患者の第1版レポートを読み出し、ネットワークNを介して医用レポート作成装置5に送信する(ステップS5)。
【0047】
医用レポート作成装置5のレポートデータ処理ユニット52は、ネットワークNを介して医用画像保管装置7より第1版レポートを受け取ると、操作ユニット50を介して二次作業者から入力される指示に応答して、第1版レポートの編集処理を実行する(ステップS6)。この医用レポートの編集作業においては、例えば、所見、コメント等の文字列の追記、変更、削除、キー画像の削除、追加、変更、画像処理方法の変更、所定の画像や情報へのハイパーリンクの追加、削除、変更等が実行される。当該編集処理が終了すると、二次作業者によって、操作ユニット50を介して保存指示が入力される。レポートデータ処理ユニット52は、当該保存指示に応答して、第1版レポートに対する編集処理が終了した当該レポートを「第2版レポート」として確定し、ネットワークNを介して当該第2版レポートを医用画像保管装置7に送信する(ステップS7)。医用画像保管装置1の制御ユニット74は、送受信ユニット75を介して受信した第2版レポートを受信すると、当該第2版レポートをレポートデータベース71内に保存する(ステップS8)。
【0048】
なお、以上述べたステップS0〜ステップS8までの各処理の流れを、
図6に概念的に示した。
【0049】
次に、医用画像保管装置7の差異情報生成ユニット73は、レポート間の差異分析処理を実行する(ステップS9)。この差異分析処理は、例えば保存用のレポートを医用レポート作成装置5から受け取ったことをトリガとして、最新版レポートと、それ以前の旧版レポート(過去のレポート)とを用いて実行される。本実施形態では、第1版レポートと第2版レポートとを用いた差異分析処理となる。
【0050】
すなわち、差異情報生成ユニット73は、保存のための第2版レポート(すなわち、最新の医用レポート)を受け取ると、レポートデータベース71に保管された第1版レポート(すなわち、旧版レポート)を読み出し、当該第2版レポートと第1版レポートとを比較し、両者の間の差異を分析する。この差異の分析は、例えば文字列の差異の分析、キー画像の差異の分析、ハイパーリンクの差異の分析に分類することができる。以下、各分析処理の内容について説明する。
【0051】
(ステップS9a:文字列の差異の分析)
差異情報生成ユニット73は、第1版レポートに含まれる文字列と第2版レポートに含まれる文字列との差異の判定、第2版レポートに存在し第1版レポートに存在しない文字列(すなわち、編集前の第1版レポートに対して追記された文字)の判定、第1版レポートに存在し第2版レポートに存在しない文字列(すなわち、編集前の第1版レポートから削除された文字)の判定を実行する。なお、例えば2つの記号列が与えられた時、その記号列の差異を抽出する公知のアルゴリズム(2つの文字列の一方を他方へ変換するための最小手数”Shortest Edit Script”を求めるアルゴリズムなど)を採用することができる。
【0052】
(ステップS9b:キー画像の差異の分析)
差異情報生成ユニット73は、第1版レポートに含まれるキー画像と第2版レポートに含まれるキー画像との差異の判定、第2版レポートに存在し第1版レポートに存在しないキー画像(すなわち、編集前の第1版レポートに対して追加されたキー画像)の判定、第1版レポートに存在し第2版レポートに存在しないキー画像(すなわち、編集前の第1版レポートから削除されたキー画像)の判定を実行する。なお、キー画像の差異の判定においては、第1版レポートに添付されたキー画像に対する画像処理方法の変更(階調変更、拡大縮小、アノテーション、計測処理等)についても判定する。
【0053】
キー画像の差異の分析は、2つのキー画像の集合の差を分析することにより得る。具体的には、以下の処理を実行する。
【0054】
キー画像の集合を、Imageを画像、PをImageに対する画像処理パラメータの集合として、以下の通り定義する。
【0055】
キー画像 K = (Image, P)
また、画像処理パラメータの集合Pを次の様に定義する。
【0056】
画像処理パラメータの集合 P = {p_k|k=1…x}
ここで、各p_xは画像処理の種類と値の組であり、例えば、P_1={”拡大率=75%”、”回転=25℃”}等の情報である。
【0057】
さらに、キー画像の集合Iを次のように定義する。
【0058】
キー画像の集合 I = {(Image_i,P_j)|i=1…y,j=1…z}
この時、2つのキー画像の集合I(第1版レポートのキー画像の集合)、I’(第2版レポートのキー画像の集合)とについて、例えば以下の(1)〜(5)の基準に従って分析を行う。
【0059】
(1)I=I’であればキー画像に差異はない。
【0060】
(2)Iに含まれる(Image_i,P_j)がI’にも含まれる場合、(Image_i,P_j)_は編集が行われていないキー画像である。
【0061】
(3)Iに含まれるImage_iが、I’に含まれない場合、(Image_i,P_j)はIから削除されたキー画像である。
【0062】
(4)I’に含まれるImage_iが、Iに含まれない場合、(Image_i,P_j)はIに対して追加されたキー画像である。
【0063】
(5)Iに含まれるImage_iがI’に含まれ、Image_iと組みになっているP_jが異なる場合、Image_iは画像処理方法が変更されたキー画像である。
【0064】
なお、上記例では、キー画像を、画像と画像処理パラメータの組から構成されると定義したが、画像のみから為ると定義してもよい。その場合、キー画像の差異は、キー画像の追加、削除のみとなる(すなわち、画像処理方法や画像処理パラメータの変更は、キー画像の差異としてみなされない)。
【0065】
(ステップS9c:ハイパーリンクの差異)
ハイパーリンクの差異は、編集前のレポートに対して、追加されたハイパーリンク、削除されたハイパーリンク、ハイパーリンクに対する画像の置換、画像等にハイパーリンクされている文字列の変化の有無を特定する。
【0066】
まず、ハイパーリンクをハイパーリンクが貼られた文字列STRINGと、ハイパーリンク先を示す識別子URIとの組(URI,STRING)として定義する。このとき、第1版レポートにおけるハイパーリンクの集合L、及び第2版レポートのハイパーリンクの集合L’を、それぞれ次の通り定義する。
【0067】
第1版レポートのハイパーリンクの集合L = {(URI_i,STRING_j)|i=1…s, j=1…t}
第2版レポートのハイパーリンクの集合L’ = {(URI’_k,STRING’_l)|k=1…x, l=1…y}
第1版レポートに対して追加されたハイパーリンク、削除されたハイパーリンク、ハイパーリンクに対する画像の置換、ハイパーリンクされている文字列の変化を、例えば以下の(1)〜(10)の基準に従って分析する。
【0068】
(1)Lに含まれるハイパーリンク(URI_m,STRING_n)に対して、STRING_nと同じ文字列を持つハイパーリンクがL’に存在するか否かをチェックする。
【0069】
(2)STRING_nと同じ文字列を持つハイパーリンクがL’に存在する場合、そのハイパーリンクを(URI’_m,STRING_n)とし、URI_mがURI’_mと同じであるか否かをチェックする。
【0070】
(3)上記(2)にてURI_m=URI’_mである場合、(URI_m,STRING_n)=(URI’_m,STRING_n)となり、2つのハイパーリンクに差異は無い。
【0071】
(4)上記(2)にてURI_m≠URI’_mである場合、(URI’_m,STRING_n)は、編集前レポートのハイパーリンク(URI_m,STRING_n)に対して、画像が置換されたハイパーリンクであるとする。
【0072】
(5)Lに含まれるハイパーリンク(URI_m,STRING_n)に対して、URI_mと同じURIを持つハイパーリンクがL’に存在するか否かをチェックする。
【0073】
(6)URI_mと同じURIを持つハイパーリンクがL’に存在する場合、そのハイパーリンクを(URI_m,STRING’_n)とし、STRING_nがSTRING’_nと同じであるか否かをチェックする。
【0074】
(7)上記(6)にてSTRING_n=STRING’_nである場合、(URI_m,STRING_n)=(URI_m,STRING’_n)となり、2つのハイパーリンクに差異はない。
【0075】
(8)上記(6)にてSTRING_n≠STRING’_nである場合、(URI_m,STRING’_n)は、編集前レポートのハイパーリンク(URI_m,STRING_N)に対して、ハイパーリンク文字列が編集されたハイパーリンクであるとする。
【0076】
(9)L’に含まれるハイパーリンクのうち、上記(1)且つ(5)のどちらのチェックにもマッチしなかったハイパーリンクを、編集前レポートに対して追加されたハイパーリンクであるとする。
【0077】
(10)Lに含まれるハイパーリンクのうち、上記(1)且つ(5)のどちらのチェックでも、マッチするハイパーリンクがL’に存在しなかったハイパーリンクを、編集前レポートに対して削除されたハイパーリンクであるとする。
【0078】
なお、ハイパーリンクは、一つの文字列に対して複数の画像をリンクすることも可能である。このとき、ハイパーリンクの定義を以下の様に拡張することで、先のアルゴリズムを拡張し、ハイパーリンクに対する画像追加、画像の削除を抽出できるようにしてもよい。
【0079】
(URI_SET,STRING)
URI_SET = {URI_i|i=1…x}
次に、差異情報生成ユニット73は、第1版レポート、第2版レポートのそれぞれについての作業者特定処理を実行する(ステップS10)。ここで、作業者特定処理とは、ある医用レポートの特定の版に対して、その版の作成に関わった作業者を特定するものである。また、ある医用レポートdの特定の版eの作成に関わった作業者(関係作業者)の集合Wを以下の通り定義する。
【0080】
W = {w_dei|dのe以前の版に対して作業終了通知を行った(レポートの編集、レポートの参照を行なった)作業者i(i=1〜x)。}
差異情報生成ユニット73は、関係作業者の集合Wに基づいて、差異情報を伝達する関係作業者を特定する。
【0081】
なお、関係作業者の定義は、上記例に拘泥されない。例えば、作業終了通知を行った全ての作業者を関係作業者とせず、例えば保存指示を行った作業者のみを関係作業者としてもよい。
【0082】
次に、差異情報生成ユニット73は、差異分析処理によって判定された文字列、キー画像、ハイパーリンクについての差異を関係作業者に明示するための差異情報を生成し、第2版レポートの付帯情報としてレポートデータベース71に記憶する(ステップS11)。この差異情報は、例えば、後述するように、第1版レポートに対する第2版レポートの差異がわかるような形態にて生成される。差異情報の具体的な形態については、ステップS15の内容と共に後述する。
【0083】
次に、差異情報生成ユニット73は、関係作業者に対して、レポート差異情報が存在することを通知するための情報(修正通知)を生成し、医用レポート作成装置5に送信する(ステップS12)。この修正通知の送信は、例えば差異情報が生成されたことをトリガとして実行される。修正通知があるということを、関係作業者が医用レポート作成装置7へログインした後、検査リストに修正マークとして表示する例を
図7に示した。
【0084】
次に、関係作業者の医用レポート作成装置5へのログイン後、関係作業者からの修正通知の伝達を受けて、任意のタイミングにおいて差異情報の要求指示が医用画像保管装置7に対して送信される(ステップS13)。医用画像保管装置7は、当該要求を受けて、レポートデータベース71を検索して第2版レポートを読み出し、ネットワークNを介して医用レポート作成装置5に送信する(ステップS14)。
【0085】
医用レポート作成装置5のレポートデータ処理ユニット52は、医用画像保管装置7からネットワークNを介して第2版レポートを受信し、当該第2版レポートの付帯情報として記憶されている差異情報を所定の形態にて提示する(ステップS15)。以下、具体的な提示形態例について説明する。
【0086】
(文字列変化の提示形態)
文字列変化の提示(表示)は、編集前のレポートに対して追記された文字、削除された文字を差分表示するものである。差異分析処理の結果から、例えば、
図8に示すような差分表示を行なう。同図において、取消線が引かれている文字列は、編集前のレポートから削除された文字列である。また、その他の赤字で表示されている文字列は、編集前のレポートに追記された文字列である。
【0087】
図8では、文字単位によって取消線を引く例を示した。しかしながら、当該例に拘泥されず、取消線は、単語単位であっても、文字単位であってもよい。例えば文章単位で取消線を引く場合には、上記例の文字列差分表示は
図9に示すようになる。
【0088】
なお、
図8、
図9に示した文字列変化の提示は、医用レポート作成装置5の表示ユニット51において、例えば
図10に示すような形態で表示することができる。
【0089】
(キー画像の変化)
キー画像の変化の表示では、編集前の第1版レポートに対して、追加されたキー画像、削除されたキー画像、編集前のキー画像に対する編集(階調変更、拡大縮小など)の有無を区別し表示する。
【0090】
図11、
図12は、キー画像の変化の提示形態の一例を示した図である。各図の例では、画像の枠線の種類を区別することで、編集なし画像(表示された画像が編集処理を受けていない画像)、追加画像(第1版レポートに対して追加された画像)、削除画像(第1版レポートから削除された画像)、編集画像(パラメータ等が変更された画像)のいずれであるかを区別している。当然ながら、画像の枠線の種類のみならず、枠線の色や所定の標識によって各種画像を区別するようにしてもよい。また、編集画像については、編集前画像と編集後画像とを並べて表示するようにしてもよい。
【0091】
(ハイパーリンクの変化)
ハイパーリンクの変化の表示は、編集前の第1版レポートに対して、追加されたハイパーリンク、削除されたハイパーリンク、ハイパーリンクに対する画像の置換、ハイパーリンクされている文字列(ハイパーリンクを割り当てた文字列)の変化を区別し表示するものである。
【0092】
図13は、ハイパーリンクされている画像が第1版レポートと第2版レポートとの間で同一であるが、ハイパーリンクされている文字列が異なる場合である。同図の例では、画像1にハイパーリンクする文字列を「気管支透亮像」から「空洞」に変更する編集処理が実行されたことを、ハイパーリンクの変化として明示している。
【0093】
図14は、ハイパーリンク文字列は同一で、ハイパーリンクされている画像が異なる場合の例を示している。同図の例では、文字列「コンソリデーション」のハイパーリンク先を「画像2」から「画像3」に変更(置換)する編集処理が実行されたことを、ハイパーリンクの変化として明示している。なお、
図14においては、
図11、12と同様に、画像の枠線の種類を区別することで、編集なし画像、追加画像、削除画像、編集画像のいずれであるかを区別している。
【0094】
図15は、ハイパーリンクが追加又は削除された場合のハイパーリンクの変化を説明するための図である。同図の例では、文字列「右肺上葉」に対して新たに画像4へのハイパーリンクを割り当てたことを、例えば画像4の枠線を青色表示することで、ハイパーリンクの変化として明示している。また、文字列「右肺上葉」に対して割り当てられた画像4へのハイパーリンクを削除した場合には、例えば画像4の枠線を赤色表示することで、ハイパーリンクの変化として明示することができる。
【0095】
なお、
図13、
図14、
図15に示したハイパーリンクの変化の提示は、医用レポート作成装置5の表示ユニット51において、例えば
図16に示すような形態で表示することができる。
【0096】
(効果)
以上述べた本実施形態における医用レポート作成支援システムによれば、複数の作業者により、医用レポートの作成、編集を行う場合に、所定のレポートと当該所定のレポートよりも版番号の小さい(時間的に古い)レポートとの差異を分析し、差異情報を生成して作業者に分かり易く確実に伝達することができる。例えば、二次作業者としてのベテラン読影医が一次作業者としての若手読影医が作成した一時保存レポートの内容を編集した場合においては、二次作業者の編集処理によって作成された医用レポートと、一次作業者によって作成された医用レポートとを分析する。分析の結果、二つの医用レポート間に差異が存在する場合には、差異情報を生成して関係作業者に伝達する。関係作業者は、伝達された差異情報を観察することで、第1版レポートに対する変更を迅速且つ簡便に認識することができる。その結果、例えば一次作業者は、伝達された差異情報を今後の読影業務に活用することができ、画像診断の質の向上に寄与することができる。
【0097】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、第2版レポートの保存等をトリガとして差異分析処理を実行する場合の例を示した。これに対し、第2の実施形態に係る医用レポート作成支援システムは、医用レポート作成装置5のレポートデータ処理ユニット52に差異情報生成ユニット73の機能を持たせ、例えば第2版レポートと第1版レポートとの違いを見たい任意のタイミングで、差異分析処理を動的に実行するものである。
【0098】
図17は、第2の実施形態に係る医用レポート作成支援処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すフローチャートが適用される典型的な状況としては、例えば、医用レポート作成装置5において二次作業者(或いは三次以上の作業者)が第2版レポートを観察している際に、第1版レポートと第2版レポートとの差異を確認したい場合等である。
【0099】
図17に示すように、第2版レポート観察中の任意のタイミングにおいて、医用レポート作成支援処理の実行が操作ユニット50を介して入力されると、レポートデータ作成ユニット52は、
図5に示したステップS9と同様の差異分析処理を実行する(ステップS20)。
【0100】
次に、差異情報生成ユニット73は、差異分析処理によって判定された文字列、キー画像、ハイパーリンクについての差異を関係作業者に明示するための差異情報を生成し(ステップS21)、ステップS15で示した形態にて差異情報を提示する(ステップS22)。二次作業者は、提示された差異情報を観察することで、第1版レポートに対する第2版レポートの差異を容易に視認することができる。
【0101】
なお、提示された差異情報を保存したい場合には、操作ユニット50から所定の指示を入力することで、差異情報を付帯情報とする第2版レポートがネットワークNを介して医用画像保管装置7に送信される(ステップS23)。制御ユニット74は、差異情報を付帯情報とする第2版レポートをレポートデータベース71に保存する(ステップS24)。
【0102】
以上述べた構成によれば、第1の実施形態に係る医用レポート作成処理を、柔軟に実行することができる。
【0103】
なお、ステップS24において第2版レポートの付帯情報として保存される差異情報(第1の差異情報)と、当該第1の差異情報の生成・保存後、任意のタイミングで新たに生成される第1版レポートと第2版レポートとの差異情報(第2の差異情報)とを比較検証する比較検証ユニットを更に備えるようにしてもよい。係る構成は、例えばいずれかのレポートが書き換え権限のない第三者によって不正に書き換えられた場合に、その事実を確実に発見し通知するものである。
【0104】
例えば、第1版、第2版のレポートがステップS24において記憶された後、悪意を持った第3者により第1版、第2版のいずれかについて任意のタイミングで上書きが実施された場合を想定する。係る場合には、前述の第1の差異情報と第2の差異情報との間に相違が発生し、且つ不正に書き換えられたレポート及び差異情報が時間的に新しくなる。従って、不正書き換えの事実を把握することができない場合には、当該不正書き換え後のレポート或いは差異情報を利用することになるという問題が発生する。
【0105】
比較検証ユニットは、任意のタイミングで、第1版レポートと第2版レポートとの検証用差異情報を生成する。比較検証ユニットは、生成した検証用差異情報とすでに保存されている差異情報のうち最新の差異情報とを比較し、両者の間で差異が存在するか否かを検証する。医用レポート作成支援システムは、比較検証ユニットの相違検知に基づいて、第三者によるレポートの上書きが行われた旨の通知を操作者に通知することができる。なお、比較検証ユニットの前述の比較検証動作は、レポートの閲覧要求が届いた際に実施してもよいし、あらかじめ設定された所定のタイミングで(例えば定期的に)装置側が実施するようにしてもよい。
【0106】
このような機能を有することで、医療データの改ざん行為を検知することが可能となり、データの信頼性のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0107】
(第3の実施形態)
第1の実施形態、及び第2の実施形態では、差異情報生成ユニット73の差異分析処理によって判定された、文字列、キー画像、ハイパーリンクについての差異情報を、第2版レポートの付帯情報としてレポートデータベース71に記憶している。しかしながら、この差異情報は必ずしも記憶される必要はない。作業者から差異情報の提示を求められた際に、その都度、差異情報を分析し作業者に提示し、その後、その情報を記憶せずに廃棄してもよい。
【0108】
なお、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0109】
(1)上記各実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0110】
(2)また、上記各実施形態に係る医用レポート作成支援システムは、例えば、医用画像保管装置7に設けられた画像データベース70、レポートデータベース71、差異情報生成ユニット73等によって実現される。しかしながら、当該例に拘泥されることなく、本医用レポート作成支援システムは、例えば医用レポート作成装置5、医用画像観察装置3においても、対象とする画像データ及び医用レポートデータを保管し、差異情報生成ユニット73等を機能を持たせることで、実現することができる。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。