(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945884
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】化粧料塗布体の製造方法
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
A45D34/04 510D
A45D34/04 510A
A45D34/04 515A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-266980(P2011-266980)
(22)【出願日】2011年12月6日
(65)【公開番号】特開2013-118898(P2013-118898A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2014年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000223986
【氏名又は名称】フィグラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141210
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100100767
【弁理士】
【氏名又は名称】湯浅 正彦
(72)【発明者】
【氏名】澤柳 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 布美子
【審査官】
山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−329946(JP,A)
【文献】
特開2011−239864(JP,A)
【文献】
特開2006−087962(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0083421(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0062552(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の塗布体分割体からなり、その表面に形成されるブラシと軸部とから構成されるものであって、
該塗布体分割体は、表面の一部に複数の突起からなるブラシ部を形成するとともに、該塗布体分割体において、一つには凹陥溝を、他の一つには前記凹陥溝に合致する突条部を長手方向に形成するように成形し、
複数の該塗布体分割体を、塗布体分割体の凹陥溝と突条部とを嵌合させることで一体として、軸部とともに、その表面に塗布体分割体のブラシ部よりなるブラシを形成する化粧料塗布体としてなる
ことを特徴とする化粧料塗布体の製造方法。
【請求項2】
上記複数の塗布体分割体において、
一方の塗布体分割体は、軸部とともに、表面の一部に複数の突起からなるブラシ部とともに長手方向に凹陥溝を形成するように略柱状に成形し、
他方の塗布体分割体は、表面の一部に複数の突起からなるブラシ部及び開口部とともに長手方向に前記凹陥溝に合致する突条部を形成するように略円筒状に成形し、
一方の塗布体分割体を他方の塗布体分割体内に挿嵌し、一方の塗布体分割体の凹陥溝と他方の塗布体分割体の突条部とを嵌合させることで一体とし、軸部とともに、その表面に塗布体分割体のブラシ部よりなるブラシを形成する化粧料塗布体としてなる
ことを特徴とする請求項1記載の化粧料塗布体の製造方法。
【請求項3】
上記複数の塗布体分割体において、
一方の塗布体分割体は、軸部とともに、表面の一部に複数の突起からなるブラシ部とともに長手方向に凹陥溝を形成するように略柱状に成形し、
他方の塗布体分割体は、表面の一部に複数の突起からなるブラシ部を形成する塗布体分割体片をヒンジ部を中心に連結して成形された平面状の成形体を折曲して表面の一部に複数の突起からなるブラシ部、開口部、及び長手方向に前記凹陥溝に合致する突条部を形成するように略円筒状とし、
一方の塗布体分割体を他方の塗布体分割体内に挿嵌し、一方の塗布体分割体の凹陥溝と他方の塗布体分割体の突条部とを嵌合させることで一体とし、軸部とともに、その表面に塗布体分割体のブラシ部よりなるブラシを形成する化粧料塗布体としてなる
ことを特徴とする請求項1記載の化粧料塗布体の製造方法。
【請求項4】
上記複数の塗布体分割体において、
少なくとも一以上の塗布体分割体が残りの塗布体分割体に対して、又はすべての塗布体分割体が互いに、形状、材質、硬度、又は色調を相違させてなる
ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つの請求項記載の化粧料塗布体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、液体化粧料、例えばマスカラを塗布する化粧料塗布体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、マスカラを塗布する化粧料塗布体には、長い柔軟なプラスチック製の芯と、該芯から放射状に伸びるプラスチック製の毛を備えているブラシとから構成するものがある。
そして、該化粧料塗布体は、金型を用いて射出成形によって芯とブラシとを一体に成形するものである(特許文献1参照)。
【0003】
そのため、上記化粧料塗布体を構成するブラシの毛の一部を他の部分と異なる形状の毛にしようとすると、ブラシをなす複数の毛の組み合わせに応じて、一体成形する金型を多量に必要とするものである。
【0004】
また、ブラシをなす毛が複雑な形状であると、一体成形後に金型から化粧料塗布体を取り出すにあたり、ブラシをなす毛の破損に注意しなければならず、毛の形状自体も金型から取り出し易い形状とする必要があり、その結果デザイン上の制限が生じてしまうものである。
【0005】
そこで、一体成形後に化粧料塗布体を金型から取り出すにあたり、ブラシをなす毛を破損することがないように、成形に用いる金型を円周方向における複数の型割り構造とすることも行われている。
【0006】
しかしながら、成形に用いる金型を円周方向における複数の型割り構造とすると、該金型は複雑、且つ精密としなければならず、金型の製造コストが上昇するばかりでなく、金型の取り扱い及び維持には慎重さが必要となって化粧料塗布体の製造作業は作業効率が低下してしまうものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−18245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、たとえ複雑な形状の毛や部分的に形状、材質、硬度、色調
等(以下、「形状等」という。)が相違する毛からなるブラシを表面に形成する化粧料塗
布体を安価、且つ容易に製造することができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の特徴として、
複数の塗布体分割体からなり、その表面に形成されるブラシと軸部とから構成されるものであって、
該塗布体分割体は、表面の一部に複数の突起からなるブラシ部を形成する
とともに、該塗布体分割体において、一つには凹陥溝を、他の一つには前記凹陥溝に合致する突条部を長手方向に形成するように成形し、
複数の該塗布体分割体を
、塗布体分割体の凹陥溝と突条部とを嵌合させることで一体として、軸部とともに、その表面に塗布体分割体のブラシ部よりなるブラシを形成する化粧料塗布体としてなるものである。
【0010】
そのため、複数の塗布体分割体を一体とするだけなので、該塗布体分割体のブラシ部よりなるブラシを表面に形成する化粧料塗布体を安価、且つ容易に製造することができる。
【0011】
さらに、一体とする複数の塗布体分割体の表面の一部にブラシ部として成形される複数の突起の形状等を互いに相違するものとすると、一つの化粧料塗布体の表面に形成されるブラシは、互いに形状等が相違するブラシ部からなるブラシとなるものである。その結果、様々な状況に対応できるように多種類の化粧料塗布体をも安価、且つ容易に製造することができるものとなる。
【0012】
その上、化粧料塗布体となる塗布体分割体は各々別個に成形されているので、該塗布体分割体を成形する金型は単純化され、さらに金型の取り扱いや維持は容易となる。その結果、化粧料塗布体の製造コストは削減されて、化粧料塗布体をより安価、且つ容易に製造することができるものとなる。
【0013】
第1の特徴を踏まえて、第2の特徴として、
上記複数の塗布体分割体において、
一方の塗布体分割体は、軸部とともに、表面の一部に複数の突起からなるブラシ部とともに
長手方向に凹陥溝を形成するように略柱状に成形し、
他方の塗布体分割体は、表面の一部に複数の突起からなるブラシ部及び開口部とともに
長手方向に前記凹陥溝に合致する突条部を形成するように略円筒状に成形し、
一方の塗布体分割体を他方の塗布体分割体内に挿嵌し
、一方の塗布体分割体の凹陥溝と他方の塗布体分割体の突条部とを嵌合させることで一体とし、軸部とともに、その表面に塗布体分割体のブラシ部よりなるブラシを形成する化粧料塗布体としてなるものである。
【0014】
そのため、一方の塗布体分割体を他方の塗布体分割体に挿嵌だけで化粧料塗布体となるので、化粧料塗布体の製造作業における作業効率を高めて、化粧料塗布体の製造コストは削減されて、化粧料塗布体を安価、且つ簡易に製造することができるものである。
【0015】
第1の特徴を踏まえて、第3の特徴として、
上記複数の塗布体分割体において、
一方の塗布体分割体は、軸部とともに、表面の一部に複数の突起からなるブラシ部とともに
長手方向に凹陥溝を形成するように略柱状に成形し、
他方の塗布体分割体は、表面の一部に複数の突起からなるブラシ部を形成する塗布体分割体片をヒンジ部を中心に連結して成形された平面状の成形体を折曲して表面の一部に複数の突起からなるブラシ部、開口部、
及び長手方向に前記凹陥溝に合致する突条部を形成するように略円筒状とし、
一方の塗布体分割体を他方の塗布体分割体内に挿嵌し
、一方の塗布体分割体の凹陥溝と他方の塗布体分割体の突条部とを嵌合させることで一体とし、軸部とともに、その表面に塗布体分割体のブラシ部よりなるブラシを形成する化粧料塗布体としてなるものである。
【0016】
そのため、他方の塗布体分割体は、その表面に形成されるブラシ部の複数の突起が一体成形であっては成形困難な複雑な形状であっても成形可能となるものである。その結果、一つのブラシの中に複数の種類のブラシ部を存在させることができるので、使用目的や用途に合わせて適切に使用することができる化粧料塗布体とすることができるものである。
【0017】
第1の特徴乃至第
3の特徴を踏まえて、第
4の特徴として、
上記複数の塗布体分割体において、
少なくとも一以上の塗布体分割体が残りの塗布体分割体に対して、又はすべての塗布体分割体が互いに、形状、材質、硬度、又は色調を相違させてなるものである。
【0018】
そのため、上記複数の塗布体分割体によって形成される塗布体のブラシ中には形状、材質、硬度又は色調のうち、少なくとも一つが相違するブラシ部が存在するものとなる。その結果、化粧料を塗布する場所の状態、化粧料を塗布する目的、化粧料を塗布する場所に対するブラシの塗布性に合わせて、使用者はブラシを形成するブラシ部の選択を適切に図ることができるものである。
【発明の効果】
【0019】
本願発明は、表面の一部において複数の突起からなるブラシ部を形成する複数の塗布体分割体を一体として、その表面に複雑な形状である複数の突起のブラシ部よりなるブラシや、互いに形状等が相違する複数の突起のブラシ部よりなるブラシを形成する化粧料塗布体となるので、金型に要するコストの削減、及び化粧料塗布体の製造作業における作業効率の向上と合わせて、多種類の化粧料塗布体を安価、且つ簡易に製造することができる優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本願発明の実施例1である化粧料塗布体を具える化粧料容器の拡大断面図である。
【
図2】
図2(イ)は、本願発明の実施例1である化粧料塗布体を具えるキャップの正面図、(ロ)はそのA−A断面図である。
【
図3】
図3は、本願発明の実施例1である化粧料塗布体の製造工程を示す模式図及びその要部B−B、C−C、D−D断面図である。
【
図4】
図4は、本願発明の実施例2である化粧料塗布体の製造工程を示す模式図及びその要部E−E、F−F、G−G断面図である。
【
図5】
図5は、本願発明の実施例3である化粧料塗布体の製造工程を示す模式図及びその要部H−H、I−I断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ブラシとなるブラシ部の複数の突起を複雑な形状とし、また一つのブラシの中に互いに形状等が相違する複数の突起のブラシ部よりなるブラシを表面に形成する化粧料塗布体を安価、且つ容易に製造できるように、化粧料塗布体を、その表面の一部に複数の突起からなるブラシ部を形成してなる複数の塗布体分割体を一体として製造することで実現した。
【実施例1】
【0022】
図1において示すのは、本願発明の実施例1である化粧料塗布体11を具える化粧料容器1である。該化粧料容器1は、その内部でマスカラ3を貯留するとともに、その開口部4では、後述するキャップ7に一体に固持される保持軸10及び該保持軸10先端の化粧料塗布体11の表面に過剰に付着したマスカラ3を拭去するシゴキ5を内装し、その外周面に雄ネジ部6を螺設する化粧料容器本体2と、その開口部8の内周面に前記雄ネジ部6と螺合する雌ネジ部9を螺設するものであって、先端の保持孔10b内において実施例1の化粧料塗布体11を保持する保持軸10の根元部10aを固持してなるキャップ7とからなるものである。
【0023】
ここで、上記化粧料塗布体11は、二個の塗布体分割体15、18を一体として形成されるものであり、該化粧料塗布体11の側面の三列の線状の突起よりなるブラシ部13からなるブラシ12と、該化粧料塗布体11を保持軸10に保持するために保持孔10b内に挿嵌される軸部14とから構成されるものである(
図1及び
図3参照)。
【0024】
そこで、本願発明の実施例1である化粧料塗布体11は、次のようにして製造されるものである。
まず、二個の塗布体分割体15、18のうち、一方の塗布体分割体15は、先端に係止突起16を、後端には軸部14を、対向する側面の一部には三列の線状の突起よりなるブラシ部13、13を、さらに該ブラシ部13、13が対向して配置される方向に対して直交する位置に凹陥溝17を長手方向に形成するように略柱状に成形する〔
図3(イ)参照〕。
また、他方の塗布体分割体15は、先端及び後端には上記係止突起16及び軸部14が挿嵌される係止孔19、対向する側面の一部には三列の線状の突起よりなるブラシ部13、13を、該ブラシ部13、13が対向して配置される方向に対して直交する位置に開口部20、20を、さらにその内部には前記凹陥溝17に合致する突条部21を長手方向に形成するように略円筒状に成形する〔
図3(ロ)参照〕。
そして、一方の塗布体分割体15を他方の塗布体分割体18内に該他方の塗布体分割体18の後端の係止孔19より挿入することで、一方の塗布体分割体15の凹陥溝17と他方の塗布体分割体18の突条部21とを嵌合させるとともに、該一方の塗布体分割体15先端の係止突起16を他方の塗布体分割体18前端の係止孔19内に係止させることで互いに一体として化粧料塗布体11とするものである〔
図3(ハ)参照〕。
【0025】
本願発明の実施例1である化粧料塗布体11は以上のようにして製造されるので、ブラシ12を形成する塗布体分割体15、18のブラシ部13、13をなす三列の線状の突起が複雑な形状であっても、安価、且つ容易に製造することができるものである。
【0026】
そして、上記塗布体分割体15、18は各々別個に成形されるので、該塗布体分割体15、18を成形する金型は単純化し易くなり、さらに金型の取り扱いや維持は容易となる。その結果、化粧料塗布体11の製造コストは削減され、安価、且つ容易に製造することができるものである。
【実施例2】
【0027】
図4に示すのは、本願発明の実施例2の化粧料塗布体11aであり、二個の塗布体分割体15a、18aを一体に形成する構成、及び一方の略柱状の塗布体分割体15aを他方の略円筒状の塗布体分割体18aに挿入し、凹陥溝17と突条部21との嵌合及び係止突起16と係止孔19との係止によって一体とする製造方法である実施例1の化粧料塗布体11と共通するものである〔同図(ハ)参照〕。
【0028】
しかしながら、本願発明の実施例2の化粧料塗布体11aは、一方の塗布体分割体15aの対向する側面の一部には長手方向へ複数並設される鋸歯状の突起のブラシ部13a及び尖突状の突起のブラシ部13b〔同図(イ)参照〕、他方の塗布体分割体18aの対向する側面の一部には三列の線状の突起のブラシ部13及び一列の線状の突起のブラシ部13cからなるものであり〔同図(ロ)参照〕、すなわち化粧料塗布体11aの側面の一部に形成されるブラシ12aが互いに形状が相違するブラシ部13、13a、13b、13cより形成されている点で、化粧料塗布体11の側面の一部に形成されるブラシ12が三列の線状の突起からなるブラシ部13で形成されている、すなわち、化粧料塗布体11の側面の一部に形成されるブラシ12がすべて同形状の複数の突起であるブラシ部13よりなる本願発明の実施例1の化粧料塗布体11の構成とは相違するものである。
【0029】
本願発明の実施例2の化粧料塗布体11aは以上のような構成を具えるので、マスカラ3を塗布する際には、塗布目的や睫毛の状況に合わせてブラシ部13、13a、13b、13cを使い分けることでより適切に塗布することができるものである。
【0030】
また、本願発明の実施例2の化粧料塗布体は実施例1の化粧料塗布体11と同様に製造されることから、互いに形状等が相違する突起よりなるブラシ部13、13a、13b、13cからなるブラシ12aを表面に形成する化粧料塗布体11aであっても安価、且つ容易に製造することができるとともに、成形における金型を単純化して、該金型の製造、取り扱い及び維持を容易にできるので、化粧料塗布体11aの製造コストをさらに削減してより安価、且つ容易に製造することができるものである。
【実施例3】
【0031】
図5に示すのは、本願発明の実施例3の化粧料塗布体11bであり、二個の塗布体分割体15、18bを一体に形成する構成、及び一方の略柱状の塗布体分割体15を他方の略円筒状の塗布体分割体18b内に挿入し、凹陥溝17と突条部19との嵌合及び係止突起16と係止孔19との係止によって一体とする製造方法である実施例1の化粧料塗布体11と共通するものである〔同図(ハ)参照〕。
【0032】
しかしながら、本願発明の実施例3の化粧料塗布体11bでは、他方の塗布体分割体18bは、先端及び後端には上記係止突起15及び軸部14が挿嵌する係止孔19を、表面の一部には三列の線状の突起よりなるブラシ部13、13及び開口部20となる切り欠き部20aを形成する塗布体分割体片18b’を係止孔19を穿設するヒンジ部22を中心に連結して成形された平面状の成形体A〔同図(ロ)参照〕を折曲することで、対向する側面の一部には三列の線状の突起よりなるブラシ部13、13を、該ブラシ部13、13が対向して配置される方向に対して直交する位置に開口部20を形成するように円筒状にしてなる点で、他方の塗布体分割体18が、先端及び後端には上記係止突起16及び軸部14が挿嵌する係止孔19を、対向する側面の一部には三列の線状の突起よりなるブラシ部13、13を、該ブラシ部13、13が対向して配置される方向に対して直交する位置に開口部20を円筒状に当初より一体成形してなる実施例1の化粧料塗布体11とは相違するものである。
【0033】
そこで、上記本願発明の実施例3の化粧料塗布体11bは、次のようにして製造されるものである。
まず、実施例1と同様に、二個の塗布体分割体15、18bのうち、一方の塗布体分割体15は、先端に係止突起16を、後端には軸部14を、対向する側面の一部には三列の線状の突起よりなるブラシ部13、13を、さらに該ブラシ部13、13が対向して配置される方向に対して直交する位置に凹陥溝17を長手方向に形成するように略柱状に成形する〔同図(イ)参照〕。
また、他方の塗布体分割体18bは、先端及び後端には上記係止突起16及び軸部14が挿嵌される係止孔19を、表面の一部には三列の線状の突起よりなるブラシ部13及び一体となって開口部20となる切り欠き部20aを形成する塗布体分割体片18b’を係止孔19を穿設するヒンジ部22を中心に連結して成形された平面状の成形体Aを折曲することで、対向する側面の一部には三列の線状の突起よりなるブラシ部13、13を、該ブラシ部13、13が対向して配置される方向に対して直交する位置に開口部20を、さらにその内部には前記凹陥溝17に合致する突条部21を長手方向に形成するように略円筒状に成形する。
そして、実施例1と同様に、一方の塗布体分割体15を他方の塗布体分割体18b内に該他方の塗布体分割体18bの後端の係止孔19より挿入することで、一方の塗布体分割体15の凹陥溝17と他方の塗布体分割体18bの突条部21とを嵌合させるとともに、該一方の塗布体分割体15先端の係止突起16を他方の塗布体分割体18b前端の係止孔19内に係止させることで互いに一体として化粧料塗布体11bとするものである。
【0034】
本願発明の実施例3である化粧料塗布体11bは以上のようにして製造されるので、ブラシ12bをなす塗布体分割体15をなす三列の線状の突起のブラシ部13、13が複雑な形状であっても、安価、且つ容易に製造することができるものである。
【0035】
そして、上記塗布体分割体15、18bは各々別個に成形されるので、該塗布体分割体15、18bを成形する金型は単純化し易くなり、さらに金型の取り扱いや維持は容易となる。その結果、化粧料塗布体11bの製造コストは削減され、安価、且つ容易に製造することができるものである。
【0036】
その上、化粧料塗布体11bを構成する塗布体分割体15、18bのうち、他方の塗布体分割体18bは表面の一部に、塗布体分割体片18b’を係止孔19を穿設するヒンジ部22を中心に連結して成形された平面状の成形体Aを折曲してブラシ部13及び開口部20を形成するように略円筒状に形成するので、該他方の塗布体分割体18bにおいてブラシ部13となる複数の突起が一体成形であっては成形困難な複雑な形状であっても容易に成形することができ、ブラシ部13の組み合わせを増加させて、多種類の化粧料塗布体11bを製造することもできるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本願発明の化粧料塗布体は複数の種類の形状等が相違するブラシを有するものとすることができるので、マスカラ等の液体化粧料のみならず接着剤や染毛剤等を塗布する塗布体に適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 化粧料容器
2 化粧料容器本体
3 マスカラ
4 開口部
5 シゴキ
6 雄ネジ部
7 キャップ
8 開口部
9 雌ネジ部
10 保持軸
10a 根元部
10b 保持孔
11、11a、11b 化粧料塗布体
12、12a、12b ブラシ
13、13a、13b ブラシ部
14、14a 軸部
15、15a 塗布体分割体
16、16a 係止突起
17 凹陥溝
18、18a、18b 塗布体分割体
18b’ 塗布体分割体片
20 開口部
20a 切り欠き部
21 突条部
22 ヒンジ部
A 成形体