(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945887
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】コンクリートコアの採取方法
(51)【国際特許分類】
B28D 1/14 20060101AFI20160621BHJP
G01N 1/08 20060101ALI20160621BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20160621BHJP
B23B 51/04 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
B28D1/14
G01N1/08 A
G01N1/28 G
G01N1/28 E
B23B51/04 S
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-132984(P2012-132984)
(22)【出願日】2012年6月12日
(65)【公開番号】特開2013-256051(P2013-256051A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(72)【発明者】
【氏名】青木 滋
【審査官】
矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−320548(JP,A)
【文献】
特開2004−061472(JP,A)
【文献】
実開昭63−163913(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 1/14
B23B 51/04
G01N 1/08
G01N 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、支柱に沿って進退可能に支持された回転駆動モータと、軸線を同軸上に配して前記回転駆動モータの回転軸に後端側を着脱可能に接続して配設されたコアビットとを備えるコンクリートコア採取装置を用いて、コンクリート構造物から円柱状のコンクリートコアを採取する方法であって、
前記コアビットが、先端に切刃を備え、径が異なる複数の略円筒状のビット部を、互いの軸線が同軸上に配されるように、且つ順次径方向外側に配される前記ビット部の切刃が径方向内側に配される前記ビット部の切刃よりも前記軸線方向後端側に配されるようにして一体に重ね合わせ、複数の切刃を多段状に配設して形成されており、
前記コアビットを前記軸線周りに回転させつつ前記支柱に沿って進出させ、前記コアビットの多段状に配設された前記複数の切刃を順次前記コンクリート構造物の所定の深部位置まで切り込ませ、多段状の切削溝及び円柱状のコンクリートコアを形成する切削工程と、
前記多段状の切削溝内で前記コアビットを引き上げるとともに傾斜させ、前記コアビットの内面を前記コンクリートコアの先端側に、前記コアビットの先端の切刃を前記コンクリートコアの側面にそれぞれ当接させるコアビット傾斜工程と、
前記コアビットの内面が当接する前記コンクリートコアの先端部分を力点、前記コアビットの切刃が当接する前記コンクリートコアの側面部分を支点として、前記コアビットから前記コンクリートコアに外力を加え、前記コンクリートコアを前記コンクリート構造物に繋がる基端側で折って分離するコンクリートコア分離工程とを備えていることを特徴とするコンクリートコアの採取方法。
【請求項2】
支柱と、支柱に沿って進退可能に支持された回転駆動モータと、軸線を同軸上に配して前記回転駆動モータの回転軸に後端側を着脱可能に接続して配設されたコアビットとを備えるコンクリートコア採取装置を用いて、コンクリート構造物から円柱状のコンクリートコアを採取する方法であって、
前記コアビットが、先端に切刃を備え、径が異なる複数の略円筒状のビット部を、互いの軸線が同軸上に配されるように、且つ順次径方向外側に配される前記ビット部の切刃が径方向内側に配される前記ビット部の切刃よりも前記軸線方向後端側に配されるようにして一体に重ね合わせ、複数の切刃を多段状に配設して形成されており、
前記コアビットを前記軸線周りに回転させつつ前記支柱に沿って進出させ、前記コアビットの多段状に配設された前記複数の切刃を順次前記コンクリート構造物の所定の深部位置まで切り込ませ、多段状の切削溝及び円柱状のコンクリートコアを形成する切削工程と、
前記多段状の切削溝内で前記コアビットを引き上げるとともに傾斜させて前記コアビットの先端の切刃を前記コンクリートコアの側面に当接させるとともに、前記コアビットを軸線周りに回転させ、前記コンクリートコアの側面に前記切刃で切削してなる切り欠き部を形成する切り欠き部形成工程と、
前記コアビットを傾斜させて前記コアビットの内面を前記コンクリートコアの先端側に当接させて前記コアビットから前記コンクリートコアに外力を加え、前記コンクリートコアを前記切り欠き部で折って分離するコンクリートコア分離工程とを備えていることを特徴とするコンクリートコアの採取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
コンクリートコアの採取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、既存のコンクリート構造物の性状・健全度評価を行う場合やコンクリート構造物に孔を設ける場合には、コアドリル(コンクリートコア採取装置)を用い、略円筒状のコアビットを軸線周りに回転させつつその先端に設けられた切刃をコンクリート構造物に切り込ませ、円柱状のコンクリートコアを採取する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、一般に、コアドリルは、コンクリート構造物の表面に固定されるベースと、ベースに一端を接続して一体に立設された支柱と、支柱に着脱可能に、且つ支柱に沿って進退自在に支持された回転駆動モータと、回転駆動モータの回転軸に着脱可能に接続されるコアビットとを備えて構成されている。そして、例えば、コンクリート構造物の所定位置にコンクリートアンカーを打設し、このコンクリートアンカーにネジ止め、ナット止めするなどして接続し、ベースをコンクリート構造物の表面に固定し、所定の位置に支柱、ひいては回転駆動モータ、コアビットを配設する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−320548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のコンクリートコア採取装置(コアドリル)では、コンクリート構造物の深部まで切り込ませたコアビットを切削溝から引き抜き、切削溝にたがねなどを挿入してコンクリートコアを折ることが必要になってしまう。言い換えると、たがねなどのコアビットとは別の工具を用いてコンクリートコアを分離することが必要になっており、コンクリートコア採取装置だけを用いて効率的にコンクリートコアを採取できるようにすることが強く望まれていた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、たがねなどの別部材を用いることなく、コンクリートコアを採取することが可能
なコンクリートコアの採取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0009】
本発明のコンクリートコアの採取方法は、
支柱と、支柱に沿って進退可能に支持された回転駆動モータと、軸線を同軸上に配して前記回転駆動モータの回転軸に後端側を着脱可能に接続して配設されたコアビットとを備えるコンクリートコア採取装置を用いて、コンクリート構造物から円柱状のコンクリートコアを採取する方法であって、
前記コアビットが、先端に切刃を備え、径が異なる複数の略円筒状のビット部を、互いの軸線が同軸上に配されるように、且つ順次径方向外側に配される前記ビット部の切刃が径方向内側に配される前記ビット部の切刃よりも前記軸線方向後端側に配されるようにして一体に重ね合わせ、複数の切刃を多段状に配設して形成されており、前記コアビットを前記軸線周りに回転させつつ前記支柱に沿って進出させ、前記コアビットの多段状に配設された前記複数の切刃を順次前記コンクリート構造物の所定の深部位置まで切り込ませ、多段状の切削溝及び円柱状のコンクリートコアを形成する切削工程と、前記多段状の切削溝内で前記コアビットを引き上げるとともに傾斜させ、前記コアビットの内面を前記コンクリートコアの先端側に、前記コアビットの先端の切刃を前記コンクリートコアの側面にそれぞれ当接させるコアビット傾斜工程と、前記コアビットの内面が当接する前記コンクリートコアの先端部分を力点、前記コアビットの切刃が当接する前記コンクリートコアの側面部分を支点として、前記コアビットから前記コンクリートコアに外力を加え、前記コンクリートコアを前記コンクリート構造物に繋がる基端側で折って分離するコンクリートコア分離工程とを備えていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のコンクリートコアの採取方法は、
支柱と、支柱に沿って進退可能に支持された回転駆動モータと、軸線を同軸上に配して前記回転駆動モータの回転軸に後端側を着脱可能に接続して配設されたコアビットとを備えるコンクリートコア採取装置を用いて、コンクリート構造物から円柱状のコンクリートコアを採取する方法であって、
前記コアビットが、先端に切刃を備え、径が異なる複数の略円筒状のビット部を、互いの軸線が同軸上に配されるように、且つ順次径方向外側に配される前記ビット部の切刃が径方向内側に配される前記ビット部の切刃よりも前記軸線方向後端側に配されるようにして一体に重ね合わせ、複数の切刃を多段状に配設して形成されており、前記コアビットを前記軸線周りに回転させつつ前記支柱に沿って進出させ、前記コアビットの多段状に配設された前記複数の切刃を順次前記コンクリート構造物の所定の深部位置まで切り込ませ、多段状の切削溝及び円柱状のコンクリートコアを形成する切削工程と、前記多段状の切削溝内で前記コアビットを引き上げるとともに傾斜させて前記コアビットの先端の切刃を前記コンクリートコアの側面に当接させるとともに、前記コアビットを軸線周りに回転させ、前記コンクリートコアの側面に前記切刃で切削してなる切り欠き部を形成する切り欠き部形成工程と、前記コアビットを傾斜させて前記コアビットの内面を前記コンクリートコアの先端側に当接させて前記コアビットから前記コンクリートコアに外力を加え、前記コンクリートコアを前記切り欠き部で折って分離するコンクリートコア分離工程とを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の
コンクリートコアの採取方法においては、コアビットが多段状に配設された複数の切刃を備えて形成されているため、このコアビットでコンクリート構造物を切り込むことで、円柱状のコンクリートコアが形成されるとともに多段状の切削溝を形成することができる。
【0012】
そして、このように多段状の切削溝が形成されることで、コアビットを切削溝内で斜めにすることが可能になり、コアビットの内面にコンクリートコアの先端側を当接させ、コアビットからコンクリートコアに外力を加えることができる。これにより、コンクリートコアのコンクリート構造物に繋がっている基端側部分に曲げモーメントを作用させ、コンクリートコアを基端側で折って分離することができる。
なお、一般に、コアビットでコンクリート構造物を切削する際に粉塵を回収するためにコアビットの内部を吸引するようにしており、この吸引力を利用して、分離したコンクリートコアをコアビットの内部で保持することで、コアビットとともにコンクリートコアを回収することが可能になる。
【0013】
よって、本発明の
コンクリートコアの採取方法によれば、従来のようにたがねなどを切削溝に挿入してコンクリートコアを折る作業を不要にすることができ、コンクリートコア採取装置だけでコンクリートコアを採取することが可能になる。また、このようにコンクリートコア採取装置だけでコンクリートコアの採取が可能になることで、遠隔操作でコンクリートコアを採取することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコンクリートコア採取装置及びコンクリートコアの採取方法を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るコンクリートコアの採取方法の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、
図1を参照し、本発明の一実施形態に係る
コンクリートコアの採取方法について説明する。
【0016】
本実施形態のコンクリートコア採取装置Aは、従来のコアドリルと同様に、コンクリート構造物に固定するための板状のベースと、ベースに一端を接続して延設された支柱と、支柱に着脱可能に、且つ支柱に沿って進退可能に支持された回転駆動モータと、回転駆動モータの回転軸に後端側を接続し、軸線が支柱に沿うように、すなわち、軸線が回転駆動の進退方向に沿うように配設された略円筒状のコアビット1(
図1(a)参照)とを備えて構成されている。
【0017】
一方、本実施形態のコンクリートコア採取装置Aにおいては、まず、支柱の一端が、支柱の延設方向に直交する回動軸を介してベースに接続されている。このとき、通常時は、ベースに直交するように支柱が固定して配設され、適宜選択的に支柱を回動軸周りに回動させることができるように構成されている。これにより、支柱に支持された回転駆動モータに接続したコアビット1は、適宜支柱を回動させるとともに、支柱に沿う軸線が斜めに傾くように回動することになる。
【0018】
なお、支柱の一端が回動軸を介してベースに接続されているのではなく、回転駆動モータが、支柱の延設方向に直交する回動軸を介して支柱に支持されて、この回動軸周りに回動可能に設けられていてもよい。この場合には、回転駆動モータを支柱に直交する回動軸周りに回動させることで、回転駆動モータに接続したコアビット1を、その軸線が支柱に対して斜めに傾くように回動させることができる。
【0019】
さらに、本実施形態のコアビット1は、
図1(a)に示すように、先端に切刃2を備え、互いに径が異なる複数の略円筒状のビット部3、4、5を一体にして形成されている。このとき、複数のビット部3、4、5は、互いの軸線O1を同軸上に配しつつ、順次径が大きなビット部4、5の内部に小径のビット部3、4を挿入するようにして重ね合わされ、径方向に隣り合うビット部同士(3と4、4と5)を溶接するなどして一体形成されている。さらに、このコアビット1は、順次径方向外側に配されるビット部4、5の切刃2が径方向内側に配されるビット部3、4の切刃2よりも軸線O1方向後端側に配されている。すなわち、径方向に隣り合うビット部同士(3と4、4と5)は、径方向内側に配設されるビット部3、4に対し、径方向外側に配設されるビット部4、5が、先端の切刃2の位置を軸線O1方向後方側にずらして配設されている。
【0020】
これにより、本実施形態のコアビット1は、複数の切刃2を、径方向外側に配されるほどに軸線O1方向後方側にずらし、多段状に配設して形成されている。
【0021】
次に、上記構成からなる本実施形態のコンクリートコア採取装置Aを用いて、コンクリート構造物からコンクリートコアを採取する方法について説明するとともに、本実施形態のコンクリートコア採取装置及びコンクリートコアの採取方法の作用効果について説明する。
【0022】
本実施形態のコンクリートコア採取装置Aを用いてコンクリートコアを採取する際には、はじめに、コアビット1がコンクリート構造物Tに対して所定位置に配されるようにベース及び支柱をコンクリート構造物Tに固定する。そして、
図1(a)に示すように、回転駆動モータを駆動してコアビット1を支柱に沿う軸線O1周りに回転させるとともに、回転駆動モータを支柱に沿って進出させ、先端の切刃2でコアビット1をコンクリート構造物Tの表面T1から切り込ませる。
【0023】
ここで、本実施形態では、コアビット1が軸線O1方向に位置をずらして多段状に配設された複数の切刃2を備えている。このため、最小径のビット部3の切刃2が最初にコンクリート構造物Tに切り込まれ、さらにコアビット1を進出させてゆくと、順次径方向の外側に配されたビット部4、5の切刃2がコンクリート構造物Tに切り込まれてゆく。
【0024】
これにより、コアビット1をコンクリート構造物Tの所定の深度まで切り込ませると、最小径のビット部3の内部に基端をコンクリート構造物Tの深部に繋げた状態の円柱状のコンクリートコア6が形成され、このコンクリートコア6の周囲に、コンクリート構造物Tの表面T1側に配されるほど、その幅が大となる多段状の切削溝7が形成される(切削工程)。
【0025】
このようにコアビット1をコンクリート構造物Tの所定の深部位置まで切り込ませ、多段状の切削溝7が形成された段階で、
図1(b)に示すように、例えば切削溝7の1段分、コアビット1を切削溝7内で引き上げる。また、支柱を回動軸周りに回動させ、コアビット1を傾斜させ、最小径のビット部3の内面3aをコンクリートコア6の先端6a側に、最小径のビット部3の先端の切刃2をコンクリートコア6の基端側の側面6bにそれぞれ当接させる(コアビット傾斜工程)。
【0026】
そして、最小径のビット部3の内面3a及び先端の切刃2をコンクリートコア6に当接させた状態で、例えば回転駆動モータを駆動してコアビット1を回転させる。これにより、
図1(c)に示すように、最小径のビット部3の内面3aが当接するコンクリートコアの6先端部分を力点S1、最小径のビット部3の先端の切刃2が当接するコンクリートコア6の側面部分を支点S2として、コアビット1からコンクリートコア6に外力Mが加わる。このように外力Mを加えると、コンクリートコア1の基端側の作用点S3に曲げモーメントが作用し、コンクリートコア6がこの基端側部分で折れて分離する(コンクリートコア分離工程)。
【0027】
なお、
図1(d)に示すように、コアビット1でコンクリート構造物Tを切削する際に粉塵を回収するための吸引手段を駆動し、コアビット1の内部を吸引する吸引力を利用して、分離したコンクリートコア6をコアビット1の内部で保持する。これにより、コアビット1を引き上げて回収するとともに、コンクリートコア6がコアビット1に吸引保持されて回収される。
【0028】
したがって、本実施形態のコンクリートコア採取装置A及びコンクリートコアの採取方法においては、コアビット1が多段状に配設された複数の切刃2を備えて形成されているため、このコアビット1でコンクリート構造物Tを切り込むことで、円柱状のコンクリートコア6が形成されるとともに多段状の切削溝7を形成することができる。
【0029】
そして、このように多段状の切削溝7が形成されることで、コアビット1を切削溝7内で斜めにすることが可能になり、コアビット1の内面3aにコンクリートコア6の先端側を当接させ、コアビット1からコンクリートコア6に外力を加えることができる。これにより、コンクリートコア6のコンクリート構造物Tに繋がっている基端側部分S3に曲げモーメントを作用させ、コンクリートコア6を基端側で折って分離することができる。
【0030】
よって、本実施形態のコンクリートコア採取装置A及びコンクリートコアの採取方法によれば、従来のようにたがねなどを切削溝に挿入してコンクリートコア6を折る作業を不要にすることができ、コンクリートコア採取装置Aだけでコンクリートコア6を採取することが可能になる。また、このようにコンクリートコア採取装置Aだけでコンクリートコア6の採取が可能になることで、遠隔操作でコンクリートコア6を採取することも可能になる。
【0031】
以上、本発明に係る
コンクリートコアの採取方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0032】
例えば、本実施形態では、ビット部3の内面3a及び先端の切刃2をコンクリートコア6に当接させた状態で、回転駆動モータを駆動してコアビット1を回転させることにより、コアビット1からコンクリートコア6に外力Mを加え、コンクリートコア6を折って分離するものとしたが、コアビット1を斜めにしてビット部3の内面3a及び先端の切刃2をコンクリートコア6に当接させるとともに、コアビット1を斜めにしてコンクリートコア6への押圧力を強くすることで、コアビット1からコンクリートコア6に外力Mを加えて、コンクリートコア6を折るようにしてもよい。
【0033】
また、本実施形態と同様、
図2(a)に示すように多段状の切削溝7及び円柱状のコンクリートコア6を形成(切削工程)した後、
図2(b)に示すように多段状の切削溝7内でコアビット1を引き上げるとともに傾斜させてコアビット1の先端の切刃2をコンクリートコア6の側面6bに当接させ、コアビット1を軸線O1周りに回転させてコンクリートコア6の側面6bに切刃2で切削してなる切り欠き部8を形成するようにしてもよい(切り欠き部形成工程)。そして、
図2(c)に示すようにコアビット1を傾斜させてコアビット1の内面3aをコンクリートコア6の先端6a側に当接させ、コアビット1からコンクリートコア6に外力Mを加えると、コンクリートコア6を切り欠き部8で折って分離することができる(コンクリートコア分離工程)。
【0034】
この場合においても、本実施形態と同様の作用効果を得ることが可能になる。また、この場合には、切り欠き部8の形成位置でコンクリートコア6を折ることができるため、所望の長さのコンクリートコア6を容易に且つ確実に採取することが可能になる。
【符号の説明】
【0035】
1 コアビット
2 切刃
3 ビット部
4 ビット部
5 ビット部
6 コンクリートコア
6a 先端
6b 側面
7 切削溝
8 切り欠き部
A コンクリートコア採取装置
O1 軸線
S1 力点
S2 支点
S3 作用点
T コンクリート構造物
T1 表面