(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
選択操作やフリック操作などの操作中における押圧力、タッチ後の移動距離や移動速度などは操作者により様々に異なるため、ユーザから受けた操作を、一律の判定基準で、ユーザの意図した種類の操作として誤判定なく識別することは難しい。
【0008】
たとえば、選択操作において指をタッチパネルから離す際に、上下左右のいずれかの方向に指が移動してしまうと、フリック操作と誤判定されることがある。また、抵抗膜式のタッチパネルでは適度な押圧が無ければ指がタッチパネルに触れていると認識されないので、軽い押圧力で行われたフリック操作を、選択操作として誤判定することがある。
【0009】
このようにユーザの操作を誤判定した場合、ユーザの意図しない操作に対応した処理が実行されるため、ユーザは、その処理をキャンセルした後、本来意図している操作を、今度は、誤判定されないように気をつけて行わなければならず不便であった。
【0010】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、ユーザから受けた操作の誤判定を少なく抑えることのできる操作表示装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0012】
[1]タッチの有無およびタッチされている位置を検出するタッチパネル部と、
表示部と、
前記タッチパネル部の検出情報から前記タッチパネル部が受けた操作の種類を判定するための所定の指標に係る値を求め、前記値が第1の領域にある場合は第1操作を受けたと判定し、前記値が第2の領域にある場合は第2操作を受けたと判定し、前記値が前記第1領域と前記第2領域との間の第3の領域にある場合は操作の種類を判定できなかったことを前記表示部に表示する判定部と、
を有
し、
前記判定部は、前記値が前記第3の領域にある場合は、操作の種類の選択をユーザから受け付け、前記値が、前記選択された種類の操作に対応する領域に入るように領域の範囲を変更する
ことを特徴とする操作表示装置。
【0013】
上記発明では、操作の種類を判定するための所定の指標(たとえば、移動距離やタッチ継続時間など)の値が第1の領域にある場合は第1操作と判定し、第2の領域にある場合は第2操作と判定し、第1の領域と第2の領域の間の第3の領域にある場合は、操作の種類の判定が困難であると判定し、その旨をユーザに報知する。これにより、第1操作か第2操作かが紛らわしい操作をユーザから受けた場合に、操作の種類を誤判定して、ユーザの意図しない操作に対応する処理が実行されることが防止される。また、操作の種類を判定できなかったことを表示することで、どのような操作が紛らわしい操作であるかをユーザに学習させ、的確な操作を行うようにユーザを促すことができる。
【0015】
また、上記発明では、ユーザの意図していた操作の種類をユーザに特定させ、判定困難とされた操作における指標の値が、その特定された種類の操作に判定されるように、領域の範囲を変更する。これにより、次回、同じような操作を受けた場合に、その操作をユーザの意図した種類の操作として判定することができる。
【0016】
[
2]
タッチの有無およびタッチされている位置を検出するタッチパネル部と、
表示部と、
前記タッチパネル部の検出情報から前記タッチパネル部が受けた操作の種類を判定するための所定の指標に係る値を求め、前記値が第1の領域にある場合は第1操作を受けたと判定し、前記値が第2の領域にある場合は第2操作を受けたと判定し、前記値が前記第1領域と前記第2領域との間の第3の領域にある場合は操作の種類を判定できなかったことを前記表示部に表示する判定部と、
を有し、
前記判定部は、前記値が前記第3の領域にある場合は、前記第1の操作および第2の操作の少なくとも一方の操作を、操作の種類を特定した上で受け付け、その操作における前記指標の値を求め、該値が前記特定した種類の操作に対応する領域に入るように領域の範囲を変更する
ことを特徴とす
る操作表示装置。
【0017】
上記発明では、ユーザの操作を学習して領域の範囲が変更される。
【0018】
[3]タッチの有無およびタッチされている位置を検出するタッチパネル部と、
表示部と、
前記タッチパネル部の検出情報から前記タッチパネル部が受けた操作の種類を判定するための所定の指標に係る値を求め、前記値が第1の領域にある場合は第1操作を受けたと判定し、前記値が第2の領域にある場合は第2操作を受けたと判定し、前記値が前記第1領域と前記第2領域との間の第3の領域にある場合は操作の種類を判定できなかったことを前記表示部に表示する判定部と、
を有し、
第1の操作はフリック操作であり、第2の操作はタッチ操作である
ことを特徴とする操作表示装置。
[4]タッチの有無およびタッチされている位置を検出するタッチパネル部と、
表示部と、
前記タッチパネル部の検出情報から前記タッチパネル部が受けた操作の種類を判定するための所定の指標に係る値を求め、前記値が第1の領域にある場合は第1操作を受けたと判定し、前記値が第2の領域にある場合は第2操作を受けたと判定し、前記値が前記第1領域と前記第2領域との間の第3の領域にある場合は操作の種類を判定できなかったことを前記表示部に表示する判定部と、
を有し、
第1の操作はフリック操作であり、第2の操作はドラッグ操作である
ことを特徴とする操作表示装置。
[5]タッチの有無およびタッチされている位置を検出するタッチパネル部と、
表示部と、
前記タッチパネル部の検出情報から前記タッチパネル部が受けた操作の種類を判定するための所定の指標に係る値を求め、前記値が第1の領域にある場合は第1操作を受けたと判定し、前記値が第2の領域にある場合は第2操作を受けたと判定し、前記値が前記第1領域と前記第2領域との間の第3の領域にある場合は操作の種類を判定できなかったことを前記表示部に表示する判定部と、
を有し、
第1の操作はドラッグ操作であり、第2の操作はタッチ操作である
ことを特徴とする操作表示装置。
[6]前記指標は、タッチからリリースまでの移動距離、もしくは、タッチからリリースまでの移動距離と時間の長さとの組み合わせである
ことを特徴とする[3]乃至[5]のいずれか1つに記載の操作表示装置。
[
7]前記判定部は、前記値が前記第3の領域にある場合は、再操作の要求を前記表示部に表示する
ことを特徴とする[1]
乃至[6]のいずれか1つに記載の操作表示装置。
【0019】
上記発明では、判定困難の場合にその旨を通知すると共に、ユーザに再操作を求める。
【0020】
[
8]操作するユーザを認証するユーザ認証部と、
前記第1から第3の領域を示す領域情報をユーザ別に記憶する記憶部と、
をさらに備え、
前記判定部は、前記ユーザ認証部で認証されたユーザに対応付けて前記記憶部に記憶されている前記領域情報を用いて、前記認証されたユーザから受ける操作の種類を判定する
ことを特徴とする[1]乃至[
7]のいずれか1項に記載の操作表示装置。
【0021】
上記発明では、判定の領域はユーザ別に記憶され、ユーザ認証されたユーザに対応する領域の情報が、該ユーザから受けた操作の種類の判定に使用される。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る操作表示装置によれば、タッチパネルにてユーザから受けた操作の種類の誤判定を少なく抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態に係る操作表示装置を含む複合機10の概略構成を示すブロック図である。複合機10は、原稿を光学的に読み取ってその複製画像を印刷出力するコピー機能、外部端末などから受信される印刷データに基づいて印刷するプリント機能、原稿を光学的に読み取って得た画像を保存等するスキャン機能、ファクシミリ機能などを備えた装置である。
【0028】
複合機10は、当該複合機10の動作を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)11を有している。CPU11にはバスを通じてROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、画像読取部14と、プリンタ部15と、画像処理部16と、不揮発メモリ17と、ファクシミリ通信部18と、ネットワーク通信部19と、認証部21と、操作表示部30とが接続されている。
【0029】
CPU11は、OS(Operating System)プログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどを実行する。また、CPU11は、本発明に係る操作表示装置としての操作表示部30の動作を制御する機能も果たす。
【0030】
ROM12には、各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU11が各種処理を実行することで複合機10の各機能が実現される。
【0031】
RAM13は、CPU11がプログラムに基づいて処理を実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを格納する画像メモリなどとして使用される。
【0032】
画像読取部14は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する機能を果たす。画像読取部14は、例えば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動ユニットと、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学経路と、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0033】
プリンタ部15は、画像データに応じた画像を記録紙上に画像形成する機能を果たす。ここでは、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザーユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有し、電子写真プロセスによって画像形成を行う、所謂、レーザープリンタのエンジン部として構成されている。画像形成は他の方式でもかまわない。
【0034】
画像処理部16は、画像の拡大縮小、回転などの処理のほか、印刷データをイメージデータに変換するラスタライズ処理、画像データの圧縮、伸張処理などを行う。
【0035】
不揮発メモリ17は、電源をオフにしても記憶内容が破壊されないメモリ(フラッシュメモリ)であり、各種設定情報の保存などに使用される。不揮発メモリ17には、ユーザ認証するための認証情報や操作の種類の判定に使用される後述する判定領域の情報がユーザ毎に記憶される。
【0036】
ファクシミリ通信部18は、ファクシミリ機能を備えた外部装置と公衆回線を通じて画像データを送受信する機能を果たす。
【0037】
ネットワーク通信部19は、LAN(Local Area Network)などのネットワークを通じて端末装置やその他の外部装置との間でデータを通信する機能を果たす。
【0038】
認証部21は、複合機10を操作するユーザを特定するユーザ認証機能を果たす。認証方法は、ICカードなどのトークンデバイスを利用したユーザ認証、指紋などの生体情報を利用したユーザ認証など任意の個人認証方法でよい。
【0039】
操作表示部30は、表示部31と、操作部32とを備えている。このうち操作部32は、スタートボタンなどのスイッチ部33とタッチパネル部34とを備えている。表示部31は、液晶ディスプレイ(LCD…Liquid Crystal Display)などで構成され、各種の操作画面、設定画面などを表示する機能を果たす。
【0040】
タッチパネル部34は、表示部31の表示面上に設けられている。ここでは抵抗膜式のタッチパネルを使用する。なお、静電容量式やその他の方式でもかまわない。タッチパネル部34は、タッチペンや指先などで表示面(実際には表示面上のタッチパネルであるが、表示面と表記する)が押下されたこと、および押下された位置を検出して、その検出結果を出力する。位置は表示部31の表示面上の所定の位置を原点とした座標情報で示される。
【0041】
指先などで表示面に触れる行為をタッチ、指先などを表示面から離す行為をリリースと呼ぶことにする。また、以後、指先で表示面に触れるものとして説明する。
【0042】
複合機10の操作表示部30は、タッチパネル部34への操作として、選択操作、フリック操作、ドラッグ操作など複数種類の操作を受け付ける。
【0043】
選択(セレクト)操作は、指先で表示面にタッチした後、そのタッチした箇所から指先を移動させずに、もしくはほとんど移動させずに表示面からリリースする動作である。フリック操作は、指先などで表示面をタッチした後、その指を払うように移動させて表示面からリリースする操作である。ドラッグ操作は、指先などで表示面をタッチした後、タッチした状態のまま指先を目的の場所まで移動させ、移動をほぼ停止させた状態で表示面から指先をリリースする動作である。
【0044】
複合機10の操作表示部30は、ユーザから何らかの操作を受けたとき、その操作の種類を判定する。判定対象とする操作の種類には、前述した、セレクト操作、フリック操作、ドラッグ操作などがある。また、装置の判定した操作の種類とユーザの意図した操作の種類との食い違いが生じやすい操作、たとえば、セレクト操作であるかフリック操作であるかが紛らわしい操作を受けたとき、判定の難しい操作を受けたことを表示し、装置側で一方的に操作の種類を決定しないようになっている。
【0045】
操作の種類の判定方法について説明する。
【0046】
(第1方法)
第1方法は、タッチからリリースまでの指の移動距離を指標として操作の種類を判定する。
図2は、第1方法により選択(セレクト)操作とフリック操作とを判定する場合の各判定領域を例示している。
図2のチャートの横軸はタッチからリリースまでの移動距離を示す。
【0047】
移動距離が第1閾値L1未満の領域はセレクト操作と判定するセレクト判定領域41、移動距離が第2閾値L2以上の領域はフリック操作と判定するフリック判定領域42、移動距離が第1閾値L1以上かつ第2閾値L2未満の領域(図中、斜線を施した領域)はセレクト操作とフリック操作との判定が難しい判定困難領域43に設定されている。すなわち、セレクト判定領域41とフリック判定領域42との間の領域が判定困難領域43となっている。
【0048】
移動距離は、タッチが検出された位置の座標と、リリースが検出された位置の座標とからそれらを結ぶ直線距離として求める。なお、タッチからリリースまでの間の指の位置を追跡しその軌跡の長さを移動距離として求めてもよい。また、移動距離は、スクロール表示する方向における距離として求めてもよい。たとえば、上下方向にスクロール表示可能な表示エリアで受けた操作については、上下方向の成分における移動距離を求める。
【0049】
(第2方法)
第2方法は、タッチからリリースまでの指の移動距離とタッチからリリースまでの時間(ON時間とする)の2要素の組み合わせを指標として操作の種類を判定する。移動距離は第1の方法と同じ方法で求める。
図3は、第2方法によりセレクト操作と長押しのセレクト操作とフリック操作とドラッグ操作とを判定対象とする場合の各判定領域を例示している。
図3のチャートの横軸は移動距離を、縦軸はON時間を示す。
【0050】
移動距離が第1閾値L1未満かつON時間がT1以上でT2未満の領域はセレクト判定領域41、移動距離が第1閾値L1未満かつON時間がT2以上の領域は長押しのセレクト操作と判定する長押しセレクト判定領域44になっている。
【0051】
移動距離が第2閾値L2以上かつON時間がT1以上T3未満の領域はフリック判定領域42、移動距離が第2閾値L2以上かつON時間がT4以上の領域はドラッグ操作と判定するドラッグ判定領域45になっている。
【0052】
上記4つの判定領域(セレクト判定領域41、長押しセレクト判定領域44、フリック判定領域42、ドラッグ判定領域45)以外の領域(図中、斜線を施した領域)は操作の種類を明確に特定できない判定困難領域43に設定されている。
【0053】
なお、
図3の例では、セレクト判定領域41と長押しセレクト判定領域44との間に判定困難領域43を設定していないが、ユーザによって長押しに対する時間の感覚が異なることが想定される場合は、セレクト判定領域41と長押しセレクト判定領域44との間に判定困難領域43を設定してもよい。各領域の範囲は、たとえば、管理者等により任意に設定変更可能になっている。
【0054】
図4は、複合機10が操作表示部30の表示部31に表示する操作画面の一例を示している。この画面は、処理対象のファイルを選択するためのファイル選択画面50である。ファイル選択画面50には、リスト表示領域51が設けてある。リスト表示領域51には選択候補のファイル名の一覧(リスト)が表示される。
【0055】
リスト表示領域51に表示可能なファイル名の数は限られており、この数より選択候補のファイル数が多い場合は、リスト表示領域51に表示されるリストをスクロールさせて表示することが可能になる。
【0056】
スクロール可能な状態では、リスト表示領域51の右端にスクロールバー52が表示される。スクロールバー52の途中にはノブ53が、両端には矢印54が表示される。ノブ53は、リスト表示領域51に表示されている部分の、リスト全体に占める割合や位置を表す。矢印54は、ここをクリックするとその矢印の示す方向へリストが一定量スクロールするように制御される操作ボタンである。
【0057】
リスト表示領域51に表示されたリストをスクロールさせる方法は、スクロールバー52のノブ53や矢印54を操作する方法のほか、リスト表示領域51内でフリック操作を行う方法がある。
【0058】
図4のファイル選択画面50のリスト表示領域51では表示されるリストを上下にスクロール表示させることが可能になっている。ユーザは上下いずれかの方向へフリック操作することでリスト表示領域51内のリストをスクロールさせることができる。
【0059】
また、リスト表示領域51に表示されているリスト内のいずれかのファイル名の表示箇所に対してセレクト操作を行うことで、そのファイル名のファイルが処理対象に選択される。
【0060】
図5は、
図4に示すファイル選択画面50のリスト表示領域51においてフリック操作を行う様子を示している。
図5では、下から上に向かってフリック操作を行った例を示している。
【0061】
次に、
図4、
図5に示すファイル選択画面50のリスト表示領域51において操作の種類の判定が困難な操作を受けた場合の動作例1〜3を説明する。操作の種類の判定が困難な操作とは、操作の種類を判定するための所定の指標の値が判定困難領域43に入る操作である。
【0062】
なお、ここでは、リスト表示領域51にて受け得る操作の種類は、フリック操作とセレクト操作のみとする。また、複合機10の使用開始時点で認証部21にてユーザ認証が行われ、操作するユーザが特定されるものとする。複合機10の操作表示部30は、
図2や
図3に示す領域の情報をユーザ毎に不揮発メモリ17に保持しており、認証部21にてユーザ認証されたユーザに対応付けて記憶されている領域の情報に基づいて、操作の種類を判定する。
【0063】
<動作例1>
操作の種類を判定できなかった旨を表示すると共に、操作の種類の選択をユーザから受け付ける。
【0064】
図6は動作例1の場合の表示例を示している。複合機10の操作表示部30は、ファイル選択画面50のリスト表示領域51においてフリック操作であるかセレクト操作であるかの判定の難しい操作を受けると、ファイル選択画面50内に操作選択ウィンドウ61をポップアップ表示する。
【0065】
操作選択ウィンドウ61には、操作の種類を判定できなかった旨、およびユーザの意図した操作の種類に対応する選択釦の押下を求める旨のメッセージ62が表示される。また、操作選択ウィンドウ61には、ユーザから操作の種類の選択を受けるための選択釦が表示される。ここでは、セレクト操作に対応したセレクト釦63と、フリック操作に対応したフリック釦64が表示される。
【0066】
ユーザから自分の行った操作に対応する選択釦63、64の押下操作を受けると、操作の種類を判定できなかった先ほどの操作は、押下された選択釦63、64に対応する操作であったとしてその操作に対応する処理を行う。たとえば、セレクト釦63が選択された場合、操作位置にあったファイル名のファイルを処理対象に設定する。フリック釦64が選択された場合はリストをスクロール表示する。
【0067】
また、認証されたユーザに対応付けて不揮発メモリ17に記憶されている領域の情報を変更する。すなわち、先ほど操作の種類を判定できなかった操作が、選択釦63、64によって指定された種類の操作に判定されるように、各領域の設定を変更する。
【0068】
たとえば、
図7(a)に示すような領域の設定状態で、操作の種類を判定できなかった操作における指標値(この例では移動距離)がMであって、操作選択ウィンドウ61においてフリック釦64が選択された場合、同図(b)に示すように、指標値Mがフリック判定領域に含まれるように各領域の範囲を変更する。このとき、指標値Mからフリック判定領域42と判定困難領域43との境界までの間に、ある程度の余裕が生じるように各領域の範囲を変更することが望ましい。この例では、セレクト判定領域41と判定困難領域43との境界についても移動させたが、この境界は移動させなくてもかまわない。
【0069】
<動作例2>
操作の種類を判定できなかった旨を表示すると共に、操作の学習モードに入る。
【0070】
図8は動作例2の場合の表示例を示している。複合機10はファイル選択画面50のリスト表示領域51においてフリック操作であるかセレクト操作であるかの判定の難しい操作を受けると、その操作に係る指標値を一時記憶すると共に、ファイル選択画面50内に操作学習ウィンドウ71をポップアップ表示する。
【0071】
操作学習ウィンドウ71には、操作の種類を判定できなかった旨、および操作の学習モードに入る旨を示すメッセージ72が表示される。また、操作学習ウィンドウ71には、学習対象の操作を受け付けるための操作入力欄73および、指定した種類の操作を操作入力欄73にて行うようにユーザに要求するメッセージ74が表示される。
【0072】
ユーザは、指定された種類の操作を操作入力欄73にて行い、OK釦75を押下する。複合機10のCPU11は、操作入力欄73にて受け付けた操作から該操作の指標値を求める。そして、この指標値が、指定した種類の操作の判定領域に入るように、認証されたユーザに対応付けて不揮発メモリ17に記憶されている領域の情報を変更する。
【0073】
さらに、先ほど一時記憶しておいた、操作の種類を判定できなかったときの操作に対応する指標値を読み出し、この指標値がどの領域に属するかを、変更後の領域に基づいて判定し直し、その判定結果の示す操作に対応する処理を行う。
【0074】
図8の例では、学習対象の操作としてフリック操作が指定(特定)されており、操作入力欄73にてユーザからフリック操作を受け付け、このフリック操作に対応する指標値(たとえば、移動距離)を求め、この指標値がフリック判定領域42に入るように当該ユーザに対応する領域を変更する。
【0075】
なお、学習する操作は、フリック操作のみでなく、セレクト操作とフリック操作の双方でもよく、それぞれ、操作の種類を特定した上でその操作をユーザから受け付ければよい。たとえば、1回目にフリック操作を行い、2回目にセレクト操作を行うように指示したメッセージを表示し、それぞれの操作を受け付けるようにしてもよい。
【0076】
<動作例3>
操作の種類を判定できなかった旨およびもう一度操作を行う旨を報知して、再操作を受ける。
【0077】
図9は動作例3の場合の表示例を示している。複合機10はファイル選択画面50のリスト表示領域51においてフリック操作であるかセレクト操作であるかの判定の難しい操作を受けると、ファイル選択画面50内に再操作依頼ウィンドウ81をポップアップ表示する。
【0078】
再操作依頼ウィンドウ81には、操作の種類を判定できなかった旨、およびもう一度操作を行うように要求するメッセージ82およびOK釦83が表示される。
【0079】
OK釦83が押下されると、複合機10は、判定の難しい操作を受ける前の状態に戻って、改めて操作を受け付ける。
【0080】
図10は、操作の判定に係る複合機10の動作であって、動作例1または動作例2に対応する処理の流れを示している。複合機10は、ユーザによる使用の開始時にまずユーザ認証を行ってそのユーザを特定する(ステップS101)。ユーザ認証によって特定されたユーザに対応付けて不揮発メモリ17に記憶されている領域の情報を読み出し、これを、所定のメモリ領域にロードする(ステップS102)。操作中はこのメモリ領域に格納された領域の情報が参照される。
【0081】
その後、操作表示部30のタッチパネル部34にてユーザの指などによるタッチが検出されると(ステップS103;Yes)、タッチパネル部34から検出結果として出力されるそのタッチされた位置の座標を一時記憶する(ステップS104)。その後、リリースが検出されると(ステップS105;Yes)、タッチパネル部34から検出結果として出力されるそのリリースされた位置の座標を検出する(ステップS106)。
【0082】
タッチされた位置の座標とリリースされた位置の座標とからタッチからリリースまでの指の移動距離を、操作の種類を判別するための指標値として求める(ステップS107)。そして、ステップS102でロードした領域の情報を参照して、この移動距離の含まれる領域を判定する(ステップS108)。ステップS106で求めた移動距離がフリック判定領域42に含まれる場合は(ステップS108;フリック領域)、フリック操作に対応する処理を行って(ステップS109)本処理を終了する。
【0083】
ステップS106で求めた移動距離がセレクト判定領域41に含まれる場合は(ステップS108;セレクト領域)、セレクト操作に対応する処理を行って(ステップS110)本処理を終了する。
【0084】
ステップS106で求めた移動距離が判定困難領域43に含まれる場合は(ステップS108;判定困難領域)、動作例1、または動作例2で示した操作選択ウィンドウ61もしくは操作学習ウィンドウ71を表示し、今回受けた操作が判定困難であった旨を報知する(ステップS111)。そして、動作例1で示したように操作の種類の指定をセレクト釦63またはフリック釦64で受け、もしくは動作例2で示したように学習モードに入って操作を受けて、当該ユーザの領域の情報を更新する。ここでは、操作中に参照される領域の情報および不揮発メモリ17に格納されている当該ユーザに対応する領域の情報の双方を更新する。そして、判定困難であった操作の種類を決定し、その操作に対応した処理を行って(ステップS112)、本処理を終了する。
【0085】
なお、次の操作をさらに受ける場合は、ステップS109、S110、S112の後、ステップS103に戻って処理を継続する。
【0086】
図11は、操作の判定に係る複合機10の動作であって動作例3に対応する処理の流れを示している。
図10の処理と同一部分には同一のステップ番号を付してあり、それらの説明は適宜省略する。
【0087】
ステップS101からステップS110までの処理は
図10と同一である。ステップS106で求めた移動距離が判定困難領域43に含まれる場合は(ステップS108;判定困難領域)、動作例3で示した再操作依頼ウィンドウ81を表示し、今回受けた操作が判定困難であった旨を報知する(ステップS121)。そして、ステップS103に戻って処理を継続する。これにより、ユーザは再操作を行う。
【0088】
以上のように、タッチパネル部34の検出情報から該タッチパネル部34で受けた操作の種類を判定するための所定の指標値を求め、該指標値がセレクト判定領域41にある場合はセレクト操作を受けたと判定し、指標値がフリック判定領域42にある場合はフリック操作を受けたと判定し、指標値がセレクト判定領域41とフリック判定領域42との間の判定困難領域43にある場合は操作の種類を判定できなかったことを表示部31に表示してユーザに報知するので、どのような操作が紛らわしい操作であるかをユーザに学習させ、的確な操作を行うようにユーザを促すことができる。
【0089】
また、判定が困難な場合に、その操作の種類をユーザに指定させたり、ユーザの操作の特徴を学習したりするので、ユーザの操作の特徴を反映した判定が行える領域に修正することができ、その後は、ユーザの意図したように操作の種類を判定することができる。
【0090】
また、ユーザ毎にそのユーザに対応した領域を使用して判定し、またその領域を更新するので、ユーザ毎に操作の癖が様々であっても、それぞれのユーザから受ける操作の種類を的確に判定することができる。
【0091】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0092】
実施の形態では、複合機10に設けられた操作表示部30を例に説明したが、本発明に係る操作表示装置は、他の装置に設けられてもよく、また、装置本体と別体の操作表示装置として構成されてもよい。
【0093】
実施の形態では、操作の種類を判定するための指標として、移動距離、もしくは移動距離とON時間との組み合わせを用いる場合を示したが、指標はこれに限定されるものではない。たとえば、移動距離に、移動の加速度、ON時圧力などを組み合わせたものを指標として操作の種類を判定してもよい。
【0094】
実施の形態では、セレクト操作、フリック操作等を判定対象の操作としたが、タッチパネル部に対してユーザが行う操作であれば、これらに限定されるものではない。たとえば、第1操作は円を描く操作とし、第2操作は四角形を描く操作としてもよい。この場合、これらを識別するための所定の指標(角らしき部分の有無や規制の直線性などを数値化した指標)を設定し、この指標の値に対して円であると判定する領域、四角であると判定する領域、これらの間の判定困難領域とを設定する、といった態様でもかまわない。