(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945984
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】沈砂池の除砂方法及び除砂装置
(51)【国際特許分類】
B01D 21/18 20060101AFI20160621BHJP
B01D 21/30 20060101ALI20160621BHJP
B01D 21/24 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
B01D21/18 K
B01D21/30 J
B01D21/24 G
B01D21/24 M
B01D21/30 H
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-152065(P2014-152065)
(22)【出願日】2014年7月25日
(62)【分割の表示】特願2010-119367(P2010-119367)の分割
【原出願日】2010年5月25日
(65)【公開番号】特開2014-217843(P2014-217843A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2014年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】508165490
【氏名又は名称】アクアインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 賢二
(72)【発明者】
【氏名】川上 直哉
【審査官】
宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−216215(JP,A)
【文献】
特開2000−334217(JP,A)
【文献】
特開平07−100305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/18
B01D 21/24
B01D 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水状態で、給水ポンプからの加圧水を沈砂池の主トラフ及び集砂ピットに設置したノズルから噴射させ、かつ、沈砂池の底面を複数に区分してなるブロックに設けたノズルヘッダーのノズルから前記ブロックごとに噴射させ、前記ブロックに堆積した土砂を前記主トラフに流し、さらに前記集砂ピットに集めて、その集砂ピットに設置された、前記集砂ピット内の水面が所定の高水位以上にあるときに自動的に運転を開始し、その集砂ピット内の水面が所定の低水位になったときに自動的に運転を停止する揚砂ポンプにより土砂を汲み上げて取り除く除砂方法において、
前記給水ポンプと前記主トラフ及び前記集砂ピットに設置したノズル並びに前記ノズルヘッダーに供給し又は供給を止めるための切換弁群とを結合する管路に、前記給水ポンプから給水される加圧水を前記沈砂池に逃がすためのリリーフ回路を、その途中に切換弁を備えて設け、
除砂動作中に前記全てのノズルの切換弁が閉められているときに前記リリーフ回路の切換弁を開けることを特徴とする除砂方法。
【請求項2】
排水状態で、給水ポンプからの加圧水を沈砂池の主トラフ及び集砂ピットに設置したノズルから一定時間噴射させることと、前記沈砂池の底面を複数に区分してなるブロックに設けたノズルヘッダーのノズルから一定時間噴射させることとを、順序が指定された最初のブロックから最後のブロックまで交互に行い、各ブロックに堆積した土砂を前記主トラフに流し、さらに前記集砂ピットに集めて、その集砂ピットに設置された、前記集砂ピット内の水面が所定の高水位以上にあるときに自動的に運転を開始し、その集砂ピット内の水面が所定の低水位になったときに自動的に運転を停止する揚砂ポンプにより土砂を汲み上げて取り除く除砂方法において、
前記給水ポンプと前記主トラフ及び前記集砂ピットに設置したノズル並びに前記ノズルヘッダーに供給し又は供給を止めるための切換弁群とを結合する管路に、前記給水ポンプから給水される加圧水を前記沈砂池に逃がすためのリリーフ回路を、その途中に切換弁を備えて設け、
除砂動作中に前記全てのノズルの切換弁が閉められているときに前記リリーフ回路の切換弁を開けることを特徴とする除砂方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の除砂方法において、前記リリーフ回路は、前記給水ポンプから給水される加圧水を前記沈砂池の主トラフの上端部に逃がすものであることを特徴とする除砂方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理設備の沈砂池に沈殿した土砂を水とともに集砂ピットに集め、その集めた砂と水をポンプにより汲み上げて取り除く除砂方法及び除砂装置に関する。
【背景技術】
【0002】
沈砂池内の水を排水ポンプで排出した状態(排水状態)で沈砂池の底面にノズルから低圧力水を噴射して沈砂池の底面に堆積した土砂を流し、沈砂池の底部に設けた集砂ピットに集め、その集めた土砂を集砂ピットに設置した揚砂ポンプにより水と共に汲み上げて汚水沈砂池に移送する低圧集砂方式の除砂装置は、特許文献1に開示されている。
【0003】
上記除砂装置による低圧集砂を行う沈砂池には、次のような構造が備えられる。すなわち、沈砂池の底面をその一部、例えば中央が最深となるように傾斜させるとともに、その底面の一部に集砂ピットを形成し、沈砂池の底部には沈砂池の両側の側壁の間において沈砂池内の水流方向と平行なトラフ(以下、主トラフという。)を集砂ピット側が深くなるように形成し、さらに、沈砂池の底面には沈砂池内の水流方向と直交する方向に平行に延びる多数のトラフ(以下、小トラフという。)を形成してある。
【0004】
また、低圧集砂を行うために、多数のノズルが次のように設置されている。すなわち、主トラフの上端部と、集砂ピットの傾斜面の上端部と、沈砂池の底面を沈砂池内の水流方向に複数に区分したブロック(領域)の上端部とにそれぞれノズルが設置されている。主トラフの上端部に設置されるノズルを、以下、トラフノズルという場合がある。ブロックのノズルは、各ブロックにおいて沈砂池の側壁に沿って設置されたノズルヘッダーに複数個が等間隔で設置されている。集砂ピット内に土砂撹拌用ノズルが設置される場合もある。
【0005】
また、低圧集砂を行うために、沈砂池の下流側に連設されているポンプ井に設置された給水ポンプからの水を前記ノズル及びノズルヘッダーに供給(通水)したり、その供給を止めたり(止水)するための切換弁群、すなわち、トラフノズル用切換弁と、各ノズルヘッダー用切換弁と、あるいは、さらに撹拌用ノズル用切換弁とが備えられている。例えば、沈砂池の底面が4ブロックに区分されている場合は、ノズルヘッダー用切換弁が4個になる。そして、除砂装置は、これらの各ノズルヘッダー用切換弁を所定の順序で切換動作させる切換弁制御手段を有している。
【0006】
除砂動作の準備として、沈砂池の上流側に設けられているダム装置を開放状態に維持して、沈砂池に雨水や汚水等の下水が沈砂池に流入している状態で、ポンプ井に設置されている排水ポンプを運転し、上澄み水を終末処理場等へ移送する。その後、ダム装置を閉じて、沈砂池への下水進入を阻止する。これによりポンプ井の水量が減少してその水面が沈砂池とポンプ井の間に設けてある堰の上面と同じ高さになった時、排水ポンプの運転を停止させる。これにより、除砂動作の準備が完了する。
【0007】
続いて、除砂装置に除砂動作開始指令を入力すると、揚砂ポンプの自動運転モードが開始される。自動運転モードにおいては、揚砂ポンプは集砂ピットに設置された水位センサが集砂ピット内の水面が所定の高水位以上になったことを検知したときは自動的に運転を開始し、水位センサが集砂ピット内の水面が所定の低水位になったことを検知したときは自動的に運転を停止する。すなわち、揚砂ポンプは、沈砂池内の水面が集砂ピット内に位置する排水状態を維持するように稼働する。
【0008】
また、除砂動作開始指令入力に基づき、切換弁制御手段による切換弁の制御が行なわれる。しかし、従来は、揚砂ポンプの制御と切換弁の制御は、それぞれ独立して行われていた。
【0009】
これをさらに詳述すると、揚砂ポンプの自動運転モードが開始されたときは、集砂ピット内の水面が高水位以上にあるため揚砂ポンプが運転を開始する。これにより集砂ピット内の水面が所定の低水位まで低下するため揚砂ポンプが運転を停止する。これに続いて、切換弁制御手段が次のように切換弁の制御を行う。以下に、沈砂池の底面が4ブロックに区分されている場合を例に説明する。
【0010】
a)切換弁制御手段は、先ず、トラフノズル用切換弁を開け、給水ポンプからの水を主トラフノズル及び集砂ピットの傾斜面のノズルに供給するので、それらのノズルから水が噴射される。b)主トラフ内の土砂が集砂ピットに流れ切るのに必要な時間Txの経過後に、沈砂池の底面の第1ブロックのノズルヘッダー用切換弁を一定時間T1開ける。c)その一定時間T1経過後に第1ブロックのノズルヘッダー用切換弁を閉めるとともに、第2ブロックのノズルヘッダー用切換弁を一定時間T2開ける。d)その一定時間T2経過後に第2ブロックのノズルヘッダー用切換弁を閉めるとともに、第3ブロックのノズルヘッダー用切換弁を一定時間T3開ける。e)その一定時間T3経過後に第3ブロックのノズルヘッダー用切換弁を閉めるとともに、第4ブロックのノズルヘッダー用切換弁を一定時間T4開ける。f)その一定時間T4経過後に第4ブロックのノズルヘッダー用切換弁を閉めるとともに、トラフノズル用切換弁を閉める。
上記一定時間T1〜T4は、当該ブロックの土砂堆積量を流すのに必要な時間である。
【0011】
第4ブロックのノズルヘッダー用切換弁を閉じた後は、沈砂池内の水が集砂ピットに流下し、沈砂池が排水状態になったとき、すなわち、水位センサが低水位を検知したときに揚砂ポンプが運転を停止する。これにより、一連の除砂動作が終了する。この一連の除砂動作が終了したとき、揚砂ポンプの自動運転モードが解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3315489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記一定時間T1〜T4のそれぞれの経過後に行われる後順のブロックのノズルヘッダー用切換弁の開放動作には、切換弁の種類により多少の違いはあるが、30秒間ないし1分間と比較的長時間かかる。このため、切換弁の切換えの度に集砂ピット内の水面が所定の低水位まで低下することがある。従って、その都度、揚砂ポンプが自動的に運転と停止を繰り返していた。すなわち、集砂ピット内の水面が所定の高水位にある時に揚砂ポンプの運転を自動的に開始し、所定の低水位になった時に揚砂ポンプの運転を自動的に停止する従来の除砂方法は、揚砂ポンプの運転の開始と停止の頻度が高いため、通常のポンプでは負荷が大きく、耐用期間が短いという問題があった。運転の開始と停止の頻度が高いことを考慮したポンプを使用することも考えられるが、そのようなポンプは高価であるという問題がある。
【0014】
また、各ノズル及びノズルヘッダーに加圧水を供給する給水ポンプも、揚砂ポンプの水位の変化に伴う運転と停止の繰り返しに応じて、運転と停止が繰り返えされることがあるため、通常の給水ポンプでは負荷が大きく、耐用期間が短いという問題があった。
【0015】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、給水ポンプの運転の開始と停止の頻度を可及的に少なくし、通常の安価なポンプの使用が可能で、なおかつ、除砂を促進できる除砂方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記第1の目的を達成するため、排水状態で、給水ポンプからの加圧水を沈砂池の主トラフ及び集砂ピットに設置したノズルから噴射させ、かつ、沈砂池の底面を複数に区分してなるブロックに設けたノズルヘッダーのノズルからブロックごと
に噴射させ、ブロックに堆積した土砂を主トラフに流し、さらに集砂ピットに集めて、その集砂ピットに設置された、集砂ピット内の水面が所定の高水位以上にあるときに自動的に運転を開始し、その集砂ピット内の水面が所定の低水位になったときに自動的に運転を停止する揚砂ポンプにより土砂を汲み上げて取り除く除砂方法において、前記給水ポンプと前記主トラフ及び集砂ピットに設置したノズル並びに前記ノズルヘッダーに供給し又は供給を止めるための切換弁群とを結合する管路に、前記給水ポンプから給水される加圧水を前記沈砂池に逃がすためのリリーフ回路を、その途中に切換弁を備えて設け、除砂動作中に全ての
ノズルの切換弁が閉められ
ているときに前記リリーフ回路の切換弁を開けることを特徴とする。
また、本発明は、上記第1の目的を達成するため、排水状態で、給水ポンプからの加圧水を沈砂池の主トラフ及び集砂ピットに設置したノズルから一定時間噴射させることと、沈砂池の底面を複数に区分してなるブロックに設けたノズルヘッダーのノズルから一定時間噴射させることとを、順序が指定された最初のブロックから最後のブロックまで交互に行い、各ブロックに堆積した土砂を前記主トラフに流し、さらに集砂ピットに集めて、その集砂ピットに設置された、集砂ピット内の水面が所定の高水位以上にあるときに自動的に運転を開始し、その集砂ピット内の水面が所定の低水位になったときに自動的に運転を停止する揚砂ポンプにより土砂を汲み上げて取り除く除砂方法において、給水ポンプと主トラフ及び集砂ピットに設置したノズル並びに前記ノズルヘッダーに供給し又は供給を止めるための切換弁群とを結合する管路に、前記給水ポンプから給水される加圧水を前記沈砂池に逃がすためのリリーフ回路を、その途中に切換弁を備えて設け、除砂動作中に全てのノズルの切換弁が閉められているときにリリーフ回路の切換弁を開けることを特徴とする。
【0017】
前記リリーフ回路は給水ポンプから給水される加圧水を沈砂池の主トラフの上端部に逃がすものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、給水ポンプと主トラフ及び集砂ピットに設置したノズル並びにノズルヘッダーに供給し又は供給を止めるための切換弁群とを結合する管路に、給水ポンプから給水される加圧水を沈砂池に逃がすためのリリーフ回路を、その途中に切換弁を備えて設け、除砂動作中に
全てのノズルの切換弁が閉められているときに前記リリーフ回路の切換弁を開けるようにしたので、給水ポンプの運転と停止の頻度を少なくすることができる。したがって、給水ポンプには通常の安価なポンプの使用が可能である。また、除砂が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】沈砂池を含む雨水処理設備の縦断面図である。
【
図2】
図1のX−Xの範囲の一部省略平面図である。
【
図7】1実施の形態における制御装置を例示する制御系統図である。
【
図8】集砂ピットの水位センサによる検知水位を示す断面図である。
【
図9】揚砂ポンプ制御手段のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
続いて、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1において、1は雨水処理設備であり、側壁Wa,Wb(
図2参照)の間に形成された沈砂池2とポンプ井3とを有する。沈砂池2は図外の下水管から雨水や汚水等の下水が集められる流入渠4に接続されている。流入渠4の下流側端部には、流入渠4から沈砂池2への下水の流入の許容又は阻止を行なうためのダム装置5が設置され、そのダム装置5の下流側で、沈砂池2の上流側端部の直前に夾雑物捕捉用スクリーン6が設置されている。
【0021】
沈砂池2の底面2aは、低圧集砂を行うために、上述したように、その一部、例えば中央が最深となるように傾斜されているとともに、沈砂池2の底部中央に集砂ピット7が形成され、沈砂池の底部の幅方向中央には主トラフ8aが、集砂ピット側が深くなるように形成され、さらに、沈砂池の底面に側壁Wa,Wbの近傍から主トラフ8aまで平行に延びる多数の小トラフ8cが形成されている。沈砂池の底部の幅が小さい場合は、主トラフ8aは幅方向中央ではなく、側壁Wa,Wbのいずれか一方側に寄った位置に形成される場合もある。8bは側壁Wa,Wbから集砂ピット7の底面まで下り傾斜する傾斜面(本明細書では、集砂ピット傾斜面とも言う。)である。
【0022】
ポンプ井3には、後述される排水ポンプP1と、滞留水ポンプを兼ねる給水ポンプP2とが設置され、集砂ピット7内に後述される揚砂ポンプP3が設置されている。
図1のFは、沈砂池2の下流側端部に設置されているろ過機である。
【0023】
また、主トラフ8aの上端部と集砂ピット傾斜面8bの上端部にノズル9aが設置され、沈砂池の底面を主トラフ8aの両側において複数に区分(
図2及び
図6では、8区分)したブロック(領域)Bの上端部にノズル9bが設置されている。ブロックBに設置されるノズル9bは、それぞれのブロックに側壁Wa,Wbの近傍において設置されたノズルヘッダーNHに複数個が等間隔に設置されている。
図5には、複数個の給水ノズル9bを所定の間隔で母管10に取り付けてなるノズルヘッダーNH1,NH2・・・を用いている例が示されている。好ましくは、集砂ピット7内に土砂撹拌用ノズル9cが設置されている。
【0024】
そして、
図6に例示するように、ポンプ井3の給水ポンプP2からの水を前記各ノズル9a,9b,9cに供給(通水)したり、その供給を止めたり(止水)するための自動弁により構成されている切換弁群VG1,VG2、すなわち、トラフノズル用切換弁Vaと、各ノズルヘッダー用切換弁Vbと、土砂撹拌用ノズル用切換弁Vcとが備えられている。
図6に例示するように、沈砂池の底面が8ブロックに区分されている場合は、ノズルヘッダー用切換弁Vbが8個(Vb1〜Vb8)用いられる。
【0025】
給水ポンプP2と切換弁群VG1,VG2とを結合する管路には、切換弁Vdを介してリリーフ回路11が設けられ、全ての切換弁Va,Vb,Vcが閉められている場合の給水ポンプP2からの水を沈砂池2に逃すように構成されている。このように、全ての切換弁Va,Vb,Vcが閉められているときに、給水ポンプP2からの水を沈砂池13に供給することにより、沈砂池内の水位を維持することができる。
【0026】
なお、揚砂ポンプP3により集砂ピット7から汲み上げられる土砂混じりの水は、既知の沈砂分離機12において土砂を分離された後、汚水沈砂池13に移送される。
【0027】
本発明方法を実施する除砂装置に備えられる制御装置100には、
図7に例示するように、除砂始動ボタン(図示せず)を有する操作盤101が付加され、排水ポンプ制御回路PCON1、給水ポンプ制御回路PCON2及び揚砂ポンプ制御回路PCON3が内蔵され、さらに、切換弁制御回路VCONが内蔵されている。
【0028】
切換弁制御回路VCONは、
図7に例示するように、また、後述されるように、ノズルヘッダーから水を噴射すべきブロックの順位を順次指定するブロック順位指定部102と、後記水位センサ14からの中間水位検知信号を入力するたびに、そのときにブロック順位指定部102により指定されているブロックの順位が最後順か否かを判定する順位判定部103と、リリーフ回路の切換弁Vdの開閉を制御する第1切換弁制御部104と、除砂動作開始指令入力後又は水位センサ14からの中間水位検知信号を入力したときの順位判定部103の判定結果が最後順でないときに、主トラフ及び集砂ピット傾斜面のノズル用切換弁Va,Vcを所定時間開ける第2切換弁制御部105と、順位を指定されたブロックのノズルヘッダー用切換弁Vb1〜Vb8をそれぞれ所定時間開ける第3切換弁制御部106とを含み、前記一群の切換弁Va,Vb,Vc,Vdに所定の順序で開動作又は閉動作を駆動させるための制御信号を与えるものである。
【0029】
また、制御装置100には、集砂ピット7の設置位置における水面が
図8に概念的に示す所定の高水位HWL以上、中間水位MWL及び低水位LWLのいずれにあるかを検知して出力する水位センサ14(
図7、8参照)が電気的に接続されている。
【0030】
揚砂ポンプP3は、運転されると、沈砂池内の水を汲み上げてその沈砂池内の水面の高さを下げ、沈砂池の底面を水面から露出させた状態で、各ノズル9a,9b,9cから水を噴射させて、底面上の土砂を集砂ピットに流し集めるために用いられるものであり、水位センサ14が高水位HWLを検知したときに出力する信号に基づいて、揚砂ポンプ制御回路PCON3が揚砂ポンプP3の運転を開始させる。
【0031】
集砂ピット7の設置位置における水面の高さがどこに存在するときを高水位HWLと設定するかは、揚砂ポンプP3の吸水能力と沈砂池の規模、すなわち、沈砂池の容積の大小により異なる。揚砂ポンプP3の吸水能力に比較して沈砂池の容積が小さいときは、揚砂ポンプP3の運転開始から短時間のうちに水位が低水位LWLに達することが無いようにするため、主トラフ8aの最高地点H1(
図2及び
図8参照)を高水位HWLに設定することが望ましい。また、揚砂ポンプP3の吸水能力に比較して沈砂池の容積が大きい場合は、揚砂ポンプP3の運転開始から水位が低水位LWLに達するまでの時間は長いので、主トラフ8aの最低地点H3(
図2及び
図8参照)を高水位HWLに設定することができ、揚砂ポンプP3の吸水能力と沈砂池の容積の関係が上記の例の中間にある場合は、最高地点H1と最低地点H3の間、例えば、沈砂池の底面の最低地点H2(
図2及び
図8参照)を高水位HWLに設定することができる。
図8は、主トラフ8aの最低地点H3に高水位HWLを設定した例を示している。
【0032】
続いて、上記構成による作用を説明する。ダム装置5が開放されたときは、下水は沈砂池2に流入し、さらにポンプ井3まで流入して、その水位が所定の高さになると、除砂装置の制御装置100の排水ポンプ制御回路PCON1によりポンプ井3に設けてある排水ポンプP1が運転されて、ポンプ井3内の水が汲み上げられ、図外の終末処理場等に移送される。
【0033】
その移送の間に、沈砂池2に流入した土砂混じりの下水から土砂が沈殿し、沈砂池の底面2aに堆積する。その堆積量が所定値に達すると、ダム装置5が閉鎖されて沈砂池2への下水流入が阻止される。そして、排水ポンプP1による排水により沈砂池2とポンプ井3の水面が下がり、所定の水位(
図1のWL)になると、排水ポンプ制御回路PCON1により排水ポンプP1の運転が止められる。
【0034】
ポンプ井3の水面が所定の水位(
図1のWL)になったことを検知すると、制御装置100は給水ポンプ制御回路PCON2、揚砂ポンプ制御回路PCON3及び切換弁制御回路VCONを起動する。
【0035】
揚砂ポンプ制御回路PCON3は、
図9に示すように、揚砂ポンプP3の自動運転モードを開始させ(S11)、水位センサ14からの検知信号により集砂ピット7内の水面が所定の高水位HWL以上か否かを調べ(S12)、高水位HWL以上であるときは、揚砂ポンプP3の運転を開始する(S13)。
【0036】
また、切換弁制御回路VCONは、
図10に示すように、操作盤101からの除砂動作開始指令入力に基づいて制御プログラムを起動し、最初に第1切換弁制御部104がリリーフ回路の切換弁Vdを開けて給水ポンプP2の駆動の準備をする(
図10のステップS21)。続いて、第2切換弁制御部105がトラフノズル用切換弁Va及び土砂撹拌用ノズル用切換弁Vcを開けた(S22)後、第1タイマー(図示せず)を始動させる(S23)とともに、第1切換弁制御部104がリリーフ回路11の切換弁Vdを閉める(S23’)。第1タイマーがタイムアップしたとき、すなわち、給水ポンプP2からの水がノズル9aから主トラフ8a及び集砂ピット傾斜面8bに所定時間噴射されたとき(S24でY)、トラフノズル用切換弁Va及び土砂撹拌用ノズル用切換弁Vcが閉められる(S25)。続いて、切換弁制御回路VCONのブロック順位指定部102が順位(i)をインクリメント(i+1)する(S26)ので、第3切換弁制御部106がそのブロック順位指定部102により指定された順位のブロック、すなわち、この場合は、第1ブロックB1のノズルヘッダー用切換弁Vb1を開ける(S27)ため、そのノズルヘッダーNH1の各ノズルから水が噴射され、第1ブロックB1に堆積していた土砂が主トラフ8aに向けて流され、さらに集砂ピット7に流入する。こうして、集砂ピット7に集められ、撹拌された土砂混じりの下水は、揚砂ポンプP3により汲み上げられ、沈砂分離機11を経て汚水沈砂池13に移送される。
【0037】
第1ブロックB1のノズルヘッダー用切換弁Vb1が開けられると、第2タイマー(図示せず)が始動され、予め設定されている所定時間の経過によりタイムアップする(S29でY)と、第1ブロックB1のノズルヘッダー用切換弁Vb1が閉められる(S210)。つまり、第2タイマーに設定されている時間の間、第1ブロックB1のノズルヘッダーのノズルから水が噴射される。
【0038】
揚砂ポンプP3の吐出量は給水ポンプP2の吐出量よりも大に設計されているので、集砂ピット7内の水面は水と土砂の流入により当初一時的に上昇するが、やがて低下する。そして、その後、集砂ピット内の水面が所定の中間水位になったことが水位センサ14により検知されると(S211においてYのとき)、切換弁制御回路VCONの順位判定部103がそのときブロック順位指定部102に指定されている順位が最後順か否かを判定する(S212)。
【0039】
最後順でない場合は、S22に戻り、第2切換弁制御部105による主トラフ8a及び集砂ピット傾斜面8bへの所定時間の吐水(S22−S25)が行われた後、ブロック順位指定部102により次順のブロックが指定され(S26)、切換弁制御回路VCONは第2ブロックB2のノズルヘッダー用切換弁Vb2を所定時間開けた後、閉める。再び、水位センサ14により集砂ピット内の水面が所定の中間水位になったことが検知されると、そのときブロック順位が最後順か否かが判定される(S212)。すなわち、水噴射対象ブロックが最後順になるまで、当該ブロックに対するノズル9aからの主トラフ8a及び集砂ピット傾斜面8bへの所定時間の吐水(S22−S25)及びノズルヘッダーからの所定時間の吐水(S27−S210)が繰り返される。これにより、沈砂池の底面の全ブロックの土砂が水とともに主トラフ8aに流され、集砂ピット7に向けて流される。
【0040】
この間、揚砂ポンプ制御回路PCON3は、揚砂ポンプP3の運転開始時(S13)から水位センサ14の検知状態を常に監視している。そして、上述のように、主トラフ8a及び集砂ピット傾斜面8bへの所定時間の吐水およびノズルヘッダーからの所定時間の吐水が行われる。また、各除砂動作の当初の一定の時間は、主トラフ8a及び集砂ピット傾斜面8bから集砂ピット7に流入する水及び土砂等の量が多いため、揚砂ポンプP3の汲み上げ能力が抑えられるので、揚砂ポンプP3の吐出量が給水ポンプの吐出量よりも少ないか、等しくなる場合がある。これが、上述した、除砂動作中に集砂ピット7内の水面が水と土砂の流入により当初一時的に上昇するが、やがて低下し、所定の中間水位になる理由である。
【0041】
順位判定部103が最後順、すなわち、第4ブロックB4と判定したとき(S212でYのとき)は、水位センサ14が集砂ピット内の水面が所定の低水位になったことを検知したとき(S213でYのとき)に、切換弁制御回路VCONの第1切換弁制御部104がリリーフ回路の切換弁Vdを開ける制御を行なって、一連の切換弁制御を完了する。また、給水ポンプ制御回路PCON2も給水ポンプP2の運転を停止する。
【0042】
第4ブロックB4のノズルヘッダー用切換弁Vb4を閉じたことにより、集砂ピット7内の水面が低水位LWLまで低下するので(S14においてYのとき)、揚砂ポンプP3の運転を停止する(S15)。その後、揚砂ポンプ制御回路PCON3は切換弁の制御を完了したか否かを調べ(S16)、完了していない場合はステップS12に戻り、高水位になった場合(S12においてYのとき)は再び揚砂ポンプP3の運転を開始するが、切換弁制御の完了を確認した(S16においてYのとき)後は、揚砂ポンプの自動運転モードを解除する(S17)。
【0043】
以上を要約すると、除砂動作が開始されると、その時の集砂ピット7内の水面が所定の高水位HWL以上であるときは、揚砂ポンプP3の運転が開始されるとともに、主トラフ及び集砂ピットの傾斜面に設置したノズルから水が所定時間噴射され、これに続いて指定された順位のブロックのノズルヘッダー用切換弁から水が所定時間開けられる。そして、揚砂ポンプによる汲み上げにより集砂ピット内の水面が所定の高水位と所定の低水位の間の所定の中間水位まで低下したとき、指定されているブロックの順位が最後順でないときは、主トラフ及び集砂ピットの傾斜面に設置したノズルからの所定時間の水噴射と次順のブロックのノズルヘッダー用切換弁からの所定時間の水噴射が最後順のブロックに対する水噴射が終了するまで繰り返される。そして、最後順のブロックに対する水噴射が終了したときはすべての切換弁を閉めた状態で切換弁の制御が終了する。全ての切換弁を閉めた状態で切換弁の制御を終了するので、集砂ピット内の水面が所定の低水位に低下するため、揚砂ポンプは停止する。
【0044】
上述のように、揚砂ポンプP3は自動運転モードを開始すると集砂ピット7内を排水状態に維持するために、集砂ピット設置位置における水面が所定の高水位HWL以上にあるときは自動的に運転を開始し、その水面が所定の低水位LWLまで低下したときは自動的に運転を停止する。しかし、本発明方法においては、トラフノズル及び土砂撹拌用ノズルから所定時間吐水し、かつ、一つのブロックのノズルヘッダーから所定時間吐水した後、揚砂ポンプによる汲み上げにより集砂ピットの水面が所定の中間水位まで低下する度に、最後順のブロックまで、上記トラフノズル及び土砂撹拌用ノズルからの所定時間吐水と当該ブロックのノズルヘッダーからの所定時間吐水とを繰り返す。従って、先順のブロックに対する切換弁の切換動作と後順のブロックに対する切換弁の切換動作の間に、集砂ピット設置位置における水面は、先順のブロックに対する切換弁の閉動作による水噴射の停止、揚砂ポンプの汲み上げ及び後順のブロックに対する切換弁の開動作による水噴射の開始により変動する。しかし、先順のブロックに対する切換弁の閉動作時点から後順のブロックに対する切換弁の開動作時点までの間に、水位センサが中間水位を検知することがあっても、低水位を検知することがないように、第2切換弁制御部105及び第3切換弁制御部106による切換弁Va,Vc,Vbの開放時間を設定してある。また、中間水位の高さ位置は、各ノズル及び各ノズルヘッダーの噴射量、沈砂池の容積、揚砂ポンプの吐出量などに基づいて設定される。
【0045】
そして、ノズルヘッダー用切換弁に切換動作の速い自動電磁弁を使用すれば、先順のブロックに対する水噴射の終了から次順のブロックに対する水噴射の開始までの間の集砂ピット内の水面の低下量を少なくすることができるので、中間水位の位置設定の精度が緩和される。また、揚砂ポンプの負荷が安定するので、寿命が伸長する。
【符号の説明】
【0046】
1 雨水処理設備
2 沈砂池
2a 沈砂池の底面
3 ポンプ井
7 集砂ピット
P1 排水ポンプ
P2 給水ポンプ
P3 揚砂ポンプ
8a 主トラフ
8b 集砂ピットの傾斜面
8c 小トラフ
9a,9b,9c ノズル
NH1〜NH8 ノズルヘッダー
14 水位センサ
HWL 高水位
MWL 中間水位
LWL 低水位
Va,Vb,Vc,Vd 切換弁