(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記記憶部は、ジョブ毎に、画像形成装置が該ジョブを省電力モードから通常モードに復帰して実行したか否かを示す情報と、該ジョブの実行時における他の画像形成装置の稼動状態とを関連つけて記憶する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の管理装置。
通常モードである他の画像形成装置が存在したか否か、通常モードの他の画像形成装置の中に予約ジョブ数が規定数未満の画像形成装置が存在するか否か、および、通常モードの画像形成装置がユーザから所定距離以内か否か、の少なくとも一を判定した結果に基づいて、適不適を判定する
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1つに記載の管理装置。
電源供給状態として、通常モードと、通常モードより消費電力の少ない省電力モードとを備えた複数の画像形成装置を管理対象とする管理装置で実行される管理プログラムであって、
画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰してジョブを実行したときの他の画像形成装置の稼動状態を取得するステップと、
前記取得した前記他の画像形成装置の稼働状態を、前記画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰して実行された前記ジョブ毎に記憶部に記憶するステップと、
前記他の画像形成装置のうちの通常モードである画像形成装置の稼働状態に基づいて、前記画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰して実行された前記ジョブ毎に、実行したことの適不適を判定するステップと、
前記適不適の判定結果を、前記画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰して実行された前記ジョブ毎に記憶部に記憶するステップと、
前記適不適の判定結果に基づいて、前記記憶部に記憶された情報を出力するステップとを、
前記管理装置に実行させることを特徴とする管理プログラム。
前記記憶するステップにおいて、ジョブ毎に、画像形成装置が該ジョブを省電力モードから通常モードに復帰して実行したか否かを示す情報と、該ジョブの実行時における他の画像形成装置の稼動状態とを関連つけて記憶する
ことを特徴とする請求項18乃至23のいずれか1つに記載の管理プログラム。
前記判定するステップにおいて、通常モードである他の画像形成装置が存在したか否か、通常モードの他の画像形成装置の中に予約ジョブ数が規定数未満の画像形成装置が存在するか否か、および、通常モードの画像形成装置がユーザから所定距離以内か否か、の少なくとも一を判定した結果に基づいて、適不適を判定する
ことを特徴とする請求項18乃至28のいずれか1つに記載の管理プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
同一環境下に2台以上のプリンタや複合機などの画像形成装置が存在し、ユーザはどちらの画像形成装置も同じように使用できる場合において、一方の画像形成装置がスリープ状態にあり、他方が稼動状態にある場合にはスリープ状態の画像形成装置を稼動状態に復帰させて使用せずに、なるべく稼動状態にある画像形成装置を使用した方が効率的であり、また消費電力も抑えて省エネルギーに貢献する。
【0007】
すなわち、一旦スリープ状態を解除すると、ジョブ終了後も所定時間電源ON状態が継続して電力を消費するので、複数の画像形成装置が存在する環境では、できる限りスリープ状態でない画像形成装置を使用することが望ましい。
【0008】
しかし、ユーザに、各画像形成装置の稼動状態を示す情報や、省エネルギーの観点から使用を推奨する画像形成装置などを提示して、スリープ状態でない画像形成装置を選択するように指導しても、スリープ解除を要する画像形成装置が使用される場合がある。このような状況を改善するには、ユーザがどのような理由でスリープ状態の画像形成装置を敢えて選択したのかを把握して分析・評価することが望まれる。
【0009】
たとえば、ユーザがスリープ状態の画像形成装置をジョブの実行先に選択する理由には、
(1)すべての画像形成装置がスリープ状態であった、
(2)稼動状態の画像形成装置に多数のジョブが予約されて待ち時間が長い、
(3)稼動状態の画像形成装置がユーザから遠い、
(4)稼動状態の画像形成装置がユーザの希望するジョブに対応する機能を備えていない、
といった正当な理由の場合もあれば、単に近くで便利だからという自分勝手な理由の場合もあるので、実態を把握して分析し、対策を講じることが望まれる。
【0010】
しかしながら、特許文献1、2に開示された方法は、画像形成装置が当該装置の利用履歴を記録するものであり、他の画像形成装置との関係を把握できず、上記の分析には役立たない。
【0011】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ユーザが如何なる理由でスリープ状態の画像形成装置をジョブの実行先に選択したかを分析可能な履歴情報を収集することのできる管理
装置、管理方法および管理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0013】
[1]電源供給状態として、通常モードと、通常モードより消費電力の少ない省電力モードとを備えた複数の画像形成装置を管理対象とする管理装置であって、
画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰してジョブを実行したときの他の画像形成装置の稼動状態を
取得する取得部と、
前記他の画像形成装置のうちの通常モードである画像形成装置の稼働状態に基づいて、
前記画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰して実行された前記ジョブ
毎に、実行したことの適不適を判定する判定部と、
前記取得部で取得された前記他の画像形成装置の稼働状態と前記判定部
による判定結果
を、前記画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰して実行された前記ジョブ毎に記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された情報を出力する出力部、
を有することを特徴とする管理装置。
【0014】
上記発明では、画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰してジョブを実行したときの他の画像形成装置の稼動状態が記憶される。省電力モードから通常モードに復帰してジョブを実行した画像形成装置が、複数の画像形成装置の中からジョブの実行先に何故選択されたかは、そのときの他の画像形成装置の状況から推定することができる。そこで、本発明では、画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰してジョブを実行したときの他の画像形成装置の稼動状態を記録する。なお、ジョブを実行した画像形成装置がその前に省電力モードであったことは明白なので、電源供給状態については、少なくとも他の画像形成装置の稼動状態を記憶すれば足りる。
[2]前記取得部は、前記画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰して前記ジョブを実行した旨の通知を受信したことに応じて、前記他の画像形成装置の稼動状態を取得する
ことを特徴とする[1]に記載の管理装置。
[
3]前記記憶部に記憶された情報を抽出する抽出条件の入力を受け付ける入力部をさらに有し、
前記出力部は、前記抽出条件に基づいて抽出された情報を出力する
ことを特徴とする[1]
または[2]に記載の管理装置。
[4]電源供給状態として、通常モードと、通常モードより消費電力の少ない省電力モードとを備えた複数の画像形成装置を管理対象とする管理装置であって、
画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰してジョブを実行したときの他の画像形成装置の稼動状態を記憶する記憶部と、
前記他の画像形成装置のうちの通常モードである画像形成装置の稼働状態に基づいて、前記ジョブを実行したことの適不適を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記記憶部に記憶された情報を出力する出力部と、
前記記憶部に記憶された情報を抽出する抽出条件の入力を受け付ける入力部とを有し、
前記出力部は、前記抽出条件に基づいて抽出された情報を出力する
ことを特徴とする管理装置。
[
5]前記記憶部は、他の画像形成装置の稼動状態を履歴情報として記憶する
ことを特徴とする[1]
乃至[4]のいずれか1つに記載の管理装置。
【0015】
[
6]前記記憶部は、画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰してジョブを実行した場合にのみ、他の画像形成装置の稼動状態を記憶する
ことを特徴とする[1]乃至[
5]のいずれか1つに記載の管理装置。
【0016】
上記発明では、画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰してジョブを実行した場合にのみ、他の画像形成装置の稼動状態を記憶するので、記憶するデータ量を少なく抑えることができる。
【0017】
[
7]前記記憶部は、ジョブ毎に、画像形成装置が該ジョブを省電力モードから通常モードに復帰して実行したか否かを示す情報と、該ジョブの実行時における他の画像形成装置の稼動状態とを関連つけて記憶する
ことを特徴とする[1]乃至[
5]のいずれか1つに記載の管理装置。
【0018】
上記発明では、すべてのジョブについて、そのジョブの実行時に画像形成装置が省電力モードから復帰したか否かを示す情報と、そのときの他の画像形成装置の稼動状態とを関連付けて記憶する。これにより、後に、省電力モードから復帰してジョブを実行した稼動情報だけを抽出することができる。
【0019】
[
8]前記稼動状態は、電源供給状態を含む
ことを特徴とする[1]乃至[
7]のいずれか1つに記載の管理装置。
【0020】
上記発明では、他の画像形成装置の電源供給状態、たとえば、通常モードであったか省電力モードであったか、が稼動情報として記憶される。
【0021】
[
9]前記稼動状態は、予約ジョブの数、または、投入したジョブの実行が開始されるまでの待ち時間を含む
ことを特徴とする[1]乃至[
8]のいずれか1つに記載の管理装置。
【0022】
上記発明では、他の各画像形成装置における予約ジョブ数、待ち時間が稼動情報として記憶される。いずれも、投入したジョブが実行されるまでの待ち時間が長いか否かの判定材料となる。
【0023】
[
10]前記記憶部は、前記稼動状態に関する情報に関連つけて、省電力モードから通常モードに復帰して実行されたジョブのジョブ情報をさらに記憶する
ことを特徴とする[1]乃至[
9]のいずれか1つに記載の管理装置。
【0024】
上記発明では、ジョブ情報を記憶することで、省電力モードから復帰してどのようなジョブが実行されたかを知ることができる。
【0025】
[
11]前記ジョブ情報は、そのジョブを投入したユーザに関する情報を含む
ことを特徴とする[
10]に記載の管理装置。
【0026】
上記発明では、ユーザを特定できれば、たとえば、そのユーザと画像形成装置との距離が遠いか否かなどの判定に資することができる。
【0027】
[
12]前記ジョブ情報は、ジョブの種類を示す情報を含む
ことを特徴とする[
11]に記載の管理装置。
【0030】
[
13]前記記憶部は、他の画像形成装置の稼動状態と共に前記ジョブを実行した画像形成装置の稼動状態を記憶する
ことを特徴とする[1]乃至[
12]のいずれか1つに記載の管理装置。
【0031】
上記発明では、ジョブを実行した画像形成装置の稼動状態をさらに記憶することで、他の画像形成装置との関係をより詳しく把握することが可能になる。
【0035】
[
14]通常モードである他の画像形成装置が存在したか否か、通常モードの他の画像形成装置の中に予約ジョブ数が規定数未満の画像形成装置が存在するか否か、および、通常モードの画像形成装置がユーザから所定距離以内か否か、の少なくとも一を判定した結果に基づいて、適不適を判定する
ことを特徴とする[1]乃至[
13]のいずれか1つに記載の管理装置。
[
15]電源供給状態として、通常モードと、通常モードより消費電力の少ない省電力モードとを備えた複数の画像形成装置の管理方法であって、
画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰してジョブを実行したときの他の画像形成装置の稼動状態を
取得し、
前記取得した前記他の画像形成装置の稼働状態を、前記画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰して実行された前記ジョブ毎に記憶部に記憶し、
前記他の画像形成装置のうちの通常モードである画像形成装置の稼働状態に基づいて、
前記画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰して実行された前記ジョブ
毎に、実行したことの適不適を判定し、
前記適不適の判定結果
を、前記画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰して実行された前記ジョブ毎に記憶部に記憶し、
前記記憶部に記憶された情報を出力する、
ことを特徴とする管理方法。
[16]電源供給状態として、通常モードと、通常モードより消費電力の少ない省電力モードとを備えた複数の画像形成装置の管理方法であって、
画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰してジョブを実行したときの他の画像形成装置の稼動状態を記憶部に記憶し、
前記他の画像形成装置のうちの通常モードである画像形成装置の稼働状態に基づいて、前記ジョブを実行したことの適不適を判定し、
前記記憶部に記憶された情報を抽出する抽出条件の入力を受け付け、
前記適不適の判定結果と前記抽出条件に基づいて抽出された情報を出力する、
ことを特徴とする管理方法。
[17]前記画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰して前記ジョブを実行した旨の通知を受信したことに応じて、前記他の画像形成装置の稼動状態を取得する
ことを特徴とする[15]または[16]に記載の管理方法。
[
18]電源供給状態として、通常モードと、通常モードより消費電力の少ない省電力モードとを備えた複数の画像形成装置を管理対象とする管理装置で実行される管理プログラムであって、
画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰してジョブを実行したときの他の画像形成装置の稼動状態を
取得するステップと、
前記取得した前記他の画像形成装置の稼働状態を、前記画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰して実行された前記ジョブ毎に記憶部に記憶するステップと、
前記他の画像形成装置のうちの通常モードである画像形成装置の稼働状態に基づいて、
前記画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰して実行された前記ジョブ
毎に、実行したことの適不適を判定するステップと、
前記適不適の判定結果を、前記画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰して実行された前記ジョブ毎に記憶部に記憶するステップと、
前記適不適の判定結果に基づいて、前記記憶部に記憶された情報を出力するステップとを、
前記管理装置に実行させることを特徴とする管理プログラム。
[19]前記取得するステップにおいて、前記画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰して前記ジョブを実行した旨の通知を受信したことに応じて、前記他の画像形成装置の稼動状態を取得する
ことを特徴とする[18]に記載の管理プログラム。
[
20]前記記憶部に記憶された情報を抽出する抽出条件の入力を受け付けるステップをさらに前記管理装置に実行させ、
前記出力するステップにおいて、前記抽出条件に基づいて抽出された情報を出力する
ことを特徴とする[
18]または[19]に記載の管理プログラム。
[21]電源供給状態として、通常モードと、通常モードより消費電力の少ない省電力モードとを備えた複数の画像形成装置を管理対象とする管理装置で実行される管理プログラムであって、
画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰してジョブを実行したときの他の画像形成装置の稼動状態を記憶部に記憶するステップと、
前記他の画像形成装置のうちの通常モードである画像形成装置の稼働状態に基づいて、前記ジョブを実行したことの適不適を判定するステップと、
前記記憶部に記憶された情報を抽出する抽出条件の入力を受け付けるステップと、
前記適不適の判定結果および前記抽出条件に基づいて、抽出された情報を出力するステップとを、
前記管理装置に実行させることを特徴とする管理プログラム。
[
22]前記記憶するステップにおいて、他の画像形成装置の稼動状態を履歴情報として記憶する
ことを特徴とする[
18]乃至[21]のいずれか1つに記載の管理プログラム。
[
23]前記記憶するステップにおいて、画像形成装置が省電力モードから通常モードに復帰してジョブを実行した場合にのみ、他の画像形成装置の稼動状態を記憶する
ことを特徴とする[
18]乃至[
22]のいずれか1つに記載の管理プログラム。
[
24]前記記憶するステップにおいて、ジョブ毎に、画像形成装置が該ジョブを省電力モードから通常モードに復帰して実行したか否かを示す情報と、該ジョブの実行時における他の画像形成装置の稼動状態とを関連つけて記憶する
ことを特徴とする[
18]乃至[
23]のいずれか1つに記載の管理プログラム。
[
25]前記稼動状態は、電源供給状態を含む
ことを特徴とする[
18]乃至[
24]のいずれか1つに記載の管理プログラム。
[
26]前記稼動状態は、予約ジョブの数、または、投入したジョブの実行が開始されるまでの待ち時間を含む
ことを特徴とする[
18]乃至[
25]のいずれか1つに記載の管理プログラム。
[
27]前記記憶するステップにおいて、前記稼動状態に関する情報に関連つけて、省電力モードから通常モードに復帰して実行されたジョブのジョブ情報をさらに記憶する
ことを特徴とする[
18]乃至[
26]のいずれか1つに記載の管理プログラム。
[
28]前記記憶するステップにおいて、他の画像形成装置の稼動状態と共に前記ジョブを実行した画像形成装置の稼動状態を記憶する
ことを特徴とする[
18]乃至[
27]のいずれか1つに記載の管理プログラム。
[
29]前記判定するステップにおいて、通常モードである他の画像形成装置が存在したか否か、通常モードの他の画像形成装置の中に予約ジョブ数が規定数未満の画像形成装置が存在するか否か、および、通常モードの画像形成装置がユーザから所定距離以内か否か、の少なくとも一を判定した結果に基づいて、適不適を判定する
ことを特徴とする[
18]乃至[
28]のいずれか1つに記載の管理プログラム。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る管理
装置、管理方法、管理プログラムによれば、ユーザが如何なる理由で省電力モードの画像形成装置をジョブの実行先に選択したかを分析可能な情報を記憶することができる。この情報は、たとえば、機器のレイアウト変更や自分勝手なユーザへの警告に利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面に基づき本発明の各種実施の形態を説明する。
【0039】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る管理システム5の構成例を示している。管理システム5は、LAN(Local Area Network)などのネットワーク2に複数台の複合機10(MFPとも呼ぶ。)および管理サーバ20を接続して構成される。ネットワーク2には、複合機10に対してジョブを送信するパーソナルコンピュータなどの情報処理装置40(PCとも呼ぶ)が複数台接続されている。
【0040】
図2は、複合機10の概略構成を示している。複合機10は、原稿を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷するコピー機能、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり外部端末へネットワークを通じて送信したりするスキャン機能、情報処理装置40等からネットワーク2を通じて受信した印刷データに係る画像を記録紙に形成して印刷出力するプリント機能、ファクシミリによって画像データを送受信するFAX機能など複数の機能を備えた画像形成装置である。
【0041】
図2に示すように、複合機10は、当該複合機10の動作を統括制御する制御部11と、該制御部11によって制御される各種の機能ユニットA〜Dと、不揮発メモリ14と、制御部11および各部へ電力供給する電源部16とを備えている。
【0042】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを主要部として構成され、ROMに格納されている各種のプログラムに従ってCPUが処理を実行することにより複合機10としての各機能が実現される。
【0043】
記録紙に画像を形成して出力する画像形成部12は、機能ユニットAおよび機能ユニットBを含んで構成される。機能ユニットAは、給紙カセットに収容されている用紙のサイズや種類を検知したり、給紙カセットに収容されている用紙を繰り出して搬送したりする機能を果たす。機能ユニットBは、機能ユニットAが搬送する用紙上に画像を形成して定着する機能を果たす。機能ユニットBは、感光体ドラム、帯電装置、レーザーユニット、現像装置、転写分離装置、クリーニング装置、定着器などを備えており、電子写真プロセスによって画像形成を行う。
【0044】
機能ユニットCは、画像形成部12から排出される用紙に対して、穴あけ、綴じ、折りなどの後処理を施すフィニッシャ部としての機能を果たす。
【0045】
機能ユニットD(スキャン機能部)は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する機能を果たす。機能ユニットEは、自動原稿搬送装置(ADF)であり、原稿台にセットされた原稿を1枚ずつ順次繰り出し、機能ユニットDによる原稿の読み取り位置を経て排紙トレイまで搬送する機能を果たす。
【0046】
機能ユニットDは、機能ユニットEによって搬送される原稿を順次読み取るほか、プラテンガラス上にセットされた原稿を読み取る機能を備えている。機能ユニットDは、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、プラテンガラス上の原稿を読み取る場合にライン単位の読取位置をプラテンガラスの裏面に沿って原稿の長さ方向に順次移動させる移動手段と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学経路、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0047】
機能ユニットF(FAX基盤部)は、ファクシミリによる送受信を行うための各種回路で構成される。機能ユニットF(FAX基盤部)は、画像データの符号化・復号化、発呼、着呼、ファクシミリ通信のプロトコル制御などを行う。
【0048】
機能ユニットG(ネットワーク部)は、ネットワーク2を通じて他の複合機10や管理サーバ20、情報処理装置40などと各種のデータを送受信する機能を果たす。
【0049】
機能ユニットH(記憶部)は、たとえば、印刷データやスキャン機能で読み取った画像データなどの保存に使用される大容量不揮発の記憶装置である。また実行したジョブの履歴が記憶される。
【0050】
機能ユニットI(操作パネル部)は、各種の操作画面や設定画面などを表示したり、ユーザからジョブの投入や設定など各種の操作を受け付けたりする操作パネルである。機能ユニットIは、液晶ディスプレイ(LCD…Liquid Crystal Display)などの表示部と、その画面上に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルのほかテンキーや文字入力キー、スタートキーなどを備えた操作部から構成される。
【0051】
不揮発メモリ14には、システム情報、ユーザ情報などが記憶される。システム情報には、当該複合機10のIPアドレス、装置の識別情報(名称や番号、IDなど)も含まれる。
【0052】
電源部16は、商用電源からの電力を適宜の電圧に変換して複合機10の各部へ電力を供給する。また、制御部11からの指示に従って、電力を各部へ供給するか供給停止するかを切り替える機能を備えている。複合機10は、電源供給状態(電力供給状態)として、動作可能に各部へ通電する通常モードと、通常モードよりも消費電力の少ない省電力モードを備えており、その遷移は制御部11が管理し制御する。
【0053】
通常モードでは、複合機10は各種のジョブを実行可能である。省電力モードではジョブは実行できず、通常モードへ復帰する要因(たとえば、PCからのジョブ受信やユーザ操作の入力など)の発生を監視する部分だけを動作させている。また、一旦、通常モードになると、ジョブの実行が完了した後も、予め設定された時間(たとえば、10分〜30分ほど)は電力の供給を継続し、その間に新たなジョブの実行やユーザ操作などがなければ、省電力モードへ自動的に移行するようになっている。なお、通常モードをON状態、省電力モードをスリープ状態とも呼ぶ。また、スリープ状態から電力供給を再開すること(あるいは通常モードへ復帰すること)をスリープ解除と呼ぶものとする。
【0054】
図3は、管理サーバ20の概略構成を示している。管理サーバ20は、各複合機10の稼動状態(電源供給状態や、予約ジョブ数、待ち時間などの情報を含む)を監視する機能、各複合機10がスリープ状態から通常モードへ復帰してジョブを実行したときの各複合機10の稼動状態を履歴情報として記憶する機能などを果たす。
【0055】
管理サーバ20は、CPU21を備え、該CPU21にはバス22を通じてROM23と、RAM24と、不揮発メモリ25と、ネットワークI/F部26と、ハードディスク装置27と、入出力I/F28などが接続されている。さらに入出力I/F28を介して、液晶ディスプレイなどの表示装置31と、キーボードやマウスなどの操作入力デバイス32が接続されている。
【0056】
ROM23には起動用のプログラムや固定データが記憶される。RAM24は、ハードディスク装置27からロードしたプログラムが記憶される。またRAM24は、CPU21がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリなどとして使用される。
【0057】
不揮発メモリ25は、電源をオフにしても記憶内容が破壊されないメモリであり、各種の設定情報が保存される。また、不揮発メモリ25には、各複合機10の電源供給状態が登録される電力状態テーブル60、および、各複合機10の予約ジョブ数などが登録されるジョブ状態テーブル65が作成されて記憶される。
【0058】
ネットワークI/F部26は、ネットワーク2を介して複合機10や情報処理装置40などの外部装置と各種のデータを送受信する機能を果たす。
【0059】
ハードディスク装置27は、大容量不揮発の記憶装置であり、OSプログラムや動作プログラムなどが保存される。また、ハードディスク装置27には、スリープ解除の履歴情報が累積登録される履歴DB50(データベース)が保存される。さらに、各複合機10および各情報処理装置40の配置位置を示すレイアウト情報を保持する。配置位置は、たとえば、オフィスなどの間取りを示すマップ上での位置座標で表される。また、ハードディスク装置27には、各複合機10が有する機能(実行可能なジョブの種類)や処理能力(プリントスピードなど)に関する情報などが保存されている。
【0060】
情報処理装置40は、複合機10に対して、スキャンジョブやプリントジョブなどのジョブを投入してその実行を依頼する機能を備えている。情報処理装置40は、OSプログラムや複合機10のドライバプログラム、文書や画像を作成・編集するアプリケーションプログラムなどがインストールされたパーソナルコンピュータなどで構成される。
【0061】
次に、管理システム5の動作について説明する。
【0062】
図4は、管理サーバ20が行うMFP監視処理の流れを示している。管理サーバ20は、各複合機(MFP)10と通信して、それぞれの複合機10からその電源供給状態を示す情報を受信し(ステップS101)、その受信内容で電力状態テーブル60を更新する(ステップS102)。
図5は電力状態テーブル60の一例を示している。電力状態テーブル60には、複合機10毎に、その複合機10の名称(MFP1、2など)とその複合機10の電源供給状態とが対応つけて登録される。図中の「ON」は通常モードを、「スリープ」はスリープ状態をそれぞれ示している。
【0063】
さらに管理サーバ20は、各複合機(MFP)10と通信して、それぞれの複合機10から予約ジョブ数および待ち時間の情報を受信し(
図4:ステップS103)、受信した内容でジョブ状態テーブル65を更新する(ステップS104)。予約ジョブとは、投入されたが実行待ちになっているジョブである。待ち時間は、次のジョブを投入した場合にそのジョブの実行が開始されるまでの待ち時間である。
【0064】
図6は、ジョブ状態テーブル65の一例を示している。ジョブ状態テーブル65には、複合機10毎に、その複合機10の名称(MFP1、2など)とその複合機10に投入済みの予約ジョブの数と、待ち時間とが対応付けて登録される。
【0065】
図4のMFP監視処理では、管理サーバ20は、以上の処理を所定の監視周期(たとえば、10秒)毎に繰り返し行う(ステップS105)。これにより、管理サーバ20は各複合機10の最新の稼動状態を常に把握している。
【0066】
情報処理装置40は、複合機10に対してプリントジョブなどのジョブを送信する際に、管理サーバ20から各複合機10の稼動状態(具体的には電力状態テーブル60およびジョブ状態テーブル65)を入手して、該情報や、該情報からジョブの送信先に推奨する複合機を決定してユーザに提示する。この推奨では、通常モードとスリープ状態の複合機10が混在する場合、通常モードの複合機10を優先的に推奨するようになっている。ユーザは、提示された情報を参考にジョブの実行先(送信先)の複合機10を選択し、情報処理装置40は選択された複合機10に対してジョブを送信する。
【0067】
ユーザは、各複合機10の稼動状態を示す情報や推奨内容を参考にして、通常モードの複合機10をジョブ実行先に選択する場合もあれば、スリープ状態の複合機10を選択する場合もある。そこで、管理システム5は、スリープ解除してジョブが実行された場合に、その理由を分析・評価するための履歴情報を収集して記憶するようになっている。以下、その詳細を説明する。
【0068】
図7は、ジョブ受信時の複合機10の動作を示している。複合機10は、ジョブを受信したとき、自装置が該受信によってスリープ解除したか否かを判定し(ステップS201)、スリープ解除でなければ(ステップS201;No)、そのジョブを実行して(ステップS204)、本処理を終了する。
【0069】
一方、ジョブ受信によってスリープ解除したときは(ステップS201;Yes)、管理サーバ20へスリープ解除を通知する(ステップS202)。さらに、このジョブを投入したユーザ(ジョブ送信元の情報処理装置40を特定する情報でもよい)や実行したジョブの種類を示すジョブ情報を管理サーバ20へ送信して通知する(ステップS203)。そして、受信したジョブを実行して(ステップS204)本処理を終了する。
【0070】
図8は、スリープ解除の通知を受けた管理サーバ20の動作を示している。スリープ解除の通知を複合機10から受信すると、これに続けてその複合機10から送られてくるジョブ情報(ユーザやジョブ種などを含む)を受信する(ステップS121)。管理サーバ20は、自装置が保持している電力状態テーブル60およびジョブ状態テーブル65を参照して、スリープ解除の通知の送信元以外の複合機10(これを他のMFPとする)の稼動状態(電源供給状態およびジョブ状態(予約ジョブ数、待ち時間))を取得する(ステップS122、S123)。そして、これらをスリープ解除の履歴情報として履歴DB50に記憶する(ステップS124)。なお、本例では、スリープ解除の通知の送信元の複合機10(ジョブ実行MFPとする)の稼動状態(電源供給状態およびジョブ状態)も履歴情報に含めて記憶するようになっている。
【0071】
図9は、履歴DB50の記憶内容の一例を示している。履歴DB50には、スリープ解除したジョブ毎に1つのレコードが作成されて履歴情報が記録される。レコードには、通し番号、判断結果(スリープ解除の適不適)、ジョブ実行MFP、スリープ解除時刻、ユーザ(該ジョブを送信した情報処理装置40の使用者)、ジョブ種(実行したジョブの種類)のフィールドが基本項目として設けられる。さらに管理対象の複合機10の台数分だけ稼動情報を登録するフィールドが設けられている。複合機10毎の稼動情報は、電源供給状態、予約ジョブ数、待ち時間のフィールドで構成される。なお、
図9の履歴DB50では、電源供給状態のフィールドにおいて「ON」は通常モードを示し、「SL」はスリープ状態を示している。
【0072】
図9の例では管理対象の複合機10はMFP1〜MFP6であり、No1〜No8までのレコードが、すなわち、スリープ解除して実行された8個のジョブについて履歴情報が登録されている。
【0073】
図8に戻って説明を続ける。管理サーバ20は履歴DB50に今回のスリープ解除に関する履歴情報を記録した後、今回のスリープ解除の適不適を判定する(ステップS125)。
【0074】
図10は、適不適判定処理(
図8のステップS125)の詳細を示している。他のMFPの中にON状態(電源供給状態が通常モード)のMFPが存在したか否かを判定し(ステップS141)、存在しない場合は(ステップS141;No)、「適切な使用」と判定する(ステップS146)。
【0075】
他のMFPの中にON状態のMFPが存在する場合は(ステップS141;Yes)、ON状態の他のMFPの中に、予約ジョブ数が規定数(ここでは「3」)未満のMFPが存在するか否かを判定する(ステップS142)。存在しない場合は(ステップS142;No)、「適切な使用」と判定する(ステップS146)。
【0076】
予約ジョブ数が規定数未満のMFPが存在する場合は(ステップS142;Yes)、ON状態の他のMFPの中に、待ち時間が規定時間(ここでは「5分」とする)未満のMFPが存在するか否かを判定する(ステップS143)。存在しない場合は(ステップS143;No)、「適切な使用」と判定する(ステップS146)。
【0077】
待ち時間が規定時間未満のMFPが存在する場合は(ステップS143;Yes)、ON状態のMFPがユーザ(ジョブ送信元の情報処理装置40)から所定距離(たとえば、10m)以内か否かを判定する(ステップS144)。この判定は、管理サーバ20が記憶しているレイアウト情報に基づいて行う。すなわち、レイアウト情報から各MFPおよび各情報処理装置40の位置を認識できるので、これらから、ON状態のMFPとジョブ送信元の情報処理装置40との距離を求めて判定する。
【0078】
ON状態のMFPが所定距離より遠い場合は(ステップS144;No)、「適切な使用」と判定し(ステップS146)、所定距離以内の場合は(ステップS144;Yes)「不適切な使用」と判定する(ステップS145)。
【0079】
管理サーバ20は上記の適不適判定処理の判定結果を履歴DB50の該当するレコードの判断結果の欄に記録して(
図8:ステップS126)処理を終了する。
【0080】
たとえば、
図9の履歴DB50の例では、No.1の場合、MFP2がON状態であるが、予約ジョブ数、待ち時間ともに設定値を越えているため、このスリープ解除によるジョブの実行は「適切な使用」と判断される。No.2はNo.1と同じである。
【0081】
No.3の場合、MFP2がON状態であり、予約ジョブ数も設定値以下であるが、待ち時間が設定値を越えているため、「適切な使用」と判断される。
【0082】
No.4の場合、MFP2とMFP4がON状態であり、MFP2は予約ジョブ数、待ち時間ともに設定値を越えている。MFP4は予約ジョブ数、待ち時間ともに設定値以下であるが、「A」のユーザからは遠いため「適切な使用」と判断される。
【0083】
No.5はすべてのMFPがスリープのため「適切な使用」と判断される。
【0084】
No.6はMFP1とMFP2がON状態であるが、MFP1は予約ジョブ数、待ち時間ともに設定値以下であるため、「不適切な使用」と判断される。
【0085】
No.7はMFP2のみON状態であるが、予約ジョブ数、待ち時間ともに設定値以下であるため、「不適切な使用」と判断される。No.8はNo.5と同じである。
【0086】
図11は、管理サーバ20が行う抽出処理を示している。抽出処理を実行することで、「適切な使用」と判断されたレコードのみ、あるいは「不適切な使用」と判断されたレコードのみを抽出して表示することができる。管理サーバ20は、まず、抽出条件の入力を受ける(ステップS161)。たとえば、[適切な使用]のみを抽出する指定、あるいは「不適切な使用」のみ抽出する指定などの入力を受ける。
【0087】
管理サーバ20は、入力された抽出条件に一致するレコードのみを履歴DB50から抽出し(ステップS162)、その抽出したレコードの内容をリスト化して表示装置31に表示する(ステップS163)。
【0088】
なお、
図10の適不適判定処理の判断結果のみならず、「適切な使用」と判断した理由をスリープ解除の履歴情報の一部として記憶しておき、その理由を上記リストに表示するようにしてもよい。また、抽出条件の1つに「適切な使用」と判断した理由を加えることができるように構成し、特定の理由で適切と判断されたレコードだけを抽出可能にしてもよい。
【0089】
たとえば、
図10のステップS141;Noで「適切な使用」と判断した場合は、その判断理由として「ON状態のMFPなし」を、またステップS142;Noで「適切な使用」と判断した場合は、その判断理由として「予約ジョブ数<3のMFPなし」を履歴情報の一部として記憶するようにすればよい。
【0090】
履歴DB50には、スリープ解除してジョブが実行されたときの他のMFPの稼動状態を記憶するので、スリープ解除された理由を他のMFPの稼動状態から推定することができる。すなわち、履歴DB50に記憶されたスリープ解除の履歴情報を分析・評価すれば、スリープ解除の原因を究明することができ、原因が究明されると、その原因に応じた対策が可能になる。
【0091】
たとえば、スリープ解除によるジョブ実行が「適切な使用」と判断された理由が「ON状態のMFPがユーザから遠い」の場合は、MFPまたはユーザの使用する情報処理装置40の配置を変更する、といった対策が採れる。スリープ解除によるジョブ実行が「適切な使用」と判断された理由が「ON状態のMFPに多数のジョブが予約されて待ち時間が長い」の場合には、同一環境内に複数のMFPが複数あるにも係らず、ある限定されたMFPにジョブが集中している状態と考えられる。そこで、このような場合には、ジョブを分散し、常にON状態にあるMFPを増やすことでスリープ状態に入ることなく効率的な使用が可能なように、推奨MFPの決定アルゴリズムを変更する、といった対応を採ることができる。
【0092】
また、特段の事情なくスリープ解除された場合(「不適切な使用」と判断された場合)は、そのジョブの実行に対する課金を増額したり、使用者に警告するなどして、不適切な使用を抑制する対策をとることができる。
【0093】
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0094】
第1の実施の形態では、スリープ解除してジョブを実行した複合機10がその通知を管理サーバ20へ送信する構成であったが、第2の実施の形態では、情報処理装置40が、スリープ状態の複合機10へジョブを送信する際に、スリープ解除の通知を管理サーバ20へ送信するようになっている。
【0095】
また、第1の実施の形態では、複合機10を単位に電源供給状態を通常モードとスリープ状態に切り替える場合を説明したが、第2の実施の形態では、各複合機10は、機能ユニット単位にON状態とスリープ状態とを制御でき、ジョブの種類に応じて、そのジョブの実行に必要な機能ユニットだけをスリープ解除するようになっている。
【0096】
図12は、機能とその機能の実行で使用される機能ユニットとの対応関係を示す機能別使用ユニットテーブル70の一例を示している。機能別使用ユニットテーブル70は、たとえば、複合機10、管理サーバ20、情報処理装置40のそれぞれに記憶されて参照される。
【0097】
図12の機能別使用ユニットテーブル70に登録されている機能は、情報処理装置40から複合機10に対して投入可能なジョブに係るものであり、プリント(出力のみ)、プリント(フィニッシャ)、スキャン(ガラス面)、スキャン(ADF)、FAX(送信のみ)、FAX(同時出力)がある。
図12に示す機能別使用ユニットテーブル70では、機能の実行に必要な機能ユニットの欄に○印を付してある。
【0098】
プリント(出力のみ)の機能では、機能ユニットAと機能ユニットBと機能ユニットGが使用され、情報処理装置40から受信した印刷データに基づく印刷を画像形成部12で行う。プリント(フィニッシャ)の機能では、機能ユニットAと機能ユニットBと機能ユニットCと機能ユニットGが使用され、情報処理装置40から受信した印刷データに基づく印刷を画像形成部12で行い、さらにその印刷物に穴あけ、綴じ、折などの後処理を行う。
【0099】
スキャン(ガラス面)の機能では、機能ユニットDと機能ユニットGが使用され、プラテンガラスに載置された原稿を読み取り、その画像データを情報処理装置40などの外部装置へネットワーク2を通じて送信する。スキャン(ADF)の機能では、機能ユニットDと機能ユニットEと機能ユニットGが使用され、1または複数枚の原稿を自動原稿搬送装置で搬送して順次読み取り、その画像データを情報処理装置40などの外部装置へネットワーク2を通じて送信する。
【0100】
FAX(送信のみ)の機能では、機能ユニットFと機能ユニットGが使用され、情報処理装置40から受信した画像データを指定された宛先へファクシミリ送信する。FAX(同時出力)の機能では、機能ユニットAと機能ユニットBと機能ユニットFと機能ユニットGが使用され、情報処理装置40から受信した画像データを、指定された宛先へファクシミリ送信すると共に画像形成部12で印刷出力する。
【0101】
図13は、第2の実施の形態の管理サーバ20が保持し更新する電力状態テーブル60Bの一例を示している。電力状態テーブル60Bには、複合機10毎に、各機能ユニットの電力供給状態が登録される。図中の○印は電力供給されていることを示し、無印はスリープ状態を示す。
【0102】
第2の実施の形態では、管理サーバ20は、
図4のMFP監視処理のステップS101において、各MFPから機能ユニット別の電源供給状態を受信する。また、ステップS102では
図5の電力状態テーブル60に代えて
図13の電力状態テーブル60Bを更新する。
【0103】
図14は、情報処理装置40にインストールされている複合機10用のドライバプログラムが行う処理の流れを示している。起動されたドライバプログラムは、まず、所定のドライバ画面を情報処理装置40のディスプレイに表示し、該画面を通じてユーザからジョブの設定操作を受ける(ステップS301)。次に、設定されたジョブの機能(種類)を判別し(ステップS302)、そのジョブの実行に必要な機能ユニットを機能別使用ユニットテーブル70を参照して判別する(ステップS303)。ここでは、機能別使用ユニットテーブル70はドライバプログラムが予め保持しているものとする。
【0104】
次に、このジョブの実行先として推奨するMFP(推奨MFP)を判別して表示する(ステップS304)。たとえば、情報処理装置40は、各MFPからそれぞれの電力供給状態を取得する、あるいは管理サーバ20から電力状態テーブル60Bを入手する。そして、ステップS303で判別した必要な機能ユニットがすべてON状態のMFP(すなわち、スリープ解除不要なMFP)を優先的に推奨する。
【0105】
なお、推奨MFPを判別する処理では、スリープ解除の不要なMFPが複数台あるときは、その複数のMFPの現在の電源供給状態で他に使用可能な機能の少ないものの推奨順位を高くする。これは、他に使用可能な機能のある複合機10は、該他の機能の使用を希望する他のユーザのために開放しておくことが好ましいことによる。
【0106】
また、スリープ解除を要するMFPについては、スリープ解除する機能ユニットが1つであれば、その機能ユニットをスリープ解除した場合に使用可能な機能が多いものの推奨順位を高くし、スリープ解除する機能ユニットが複数の場合は、その数の少ないものの推奨順位を高くするようになっている。
【0107】
図15は、ドライバ画面に表示された推奨MFPリストの一例を示している。推奨MFPリスト73には、推奨するMFPが推奨順に表示される。ここでは、推奨順に、各MFPの名称(MFP1、2など)と省電力効果の大小と、スリープ解除を要する機能ユニット数とを対応付けて示してある。
【0108】
情報処理装置40は、ドライバ画面に
図15に示すような推奨MFPリストを表示した後、ユーザからジョブ実行先のMFPの選択を受ける(ステップS305)。該選択を受けると、その選択されたMFPでジョブを実行した場合に、機能ユニットのスリープ解除が必要か否かを判別する(ステップS306)。たとえば、プリントジョブの場合は、機能ユニットA、B、Gについてスリープ解除を要するか否かを判別する。必要な機能ユニットの中に1つでもスリープ解除を要するものがあれば、スリープ解除必要と判定する。
【0109】
スリープ解除が必要なMFPの場合は(ステップS306;Yes)、管理サーバ20へスリープ解除を通知する(ステップS307)。さらに、このジョブを投入したユーザ(当該情報処理装置40の特定情報でもよい)や実行したジョブの種類(機能)などを示すジョブ情報を管理サーバ20へ送信して通知する(ステップS308)。そして、ステップS305で選択されたMFPへジョブを送信して(ステップS309)、本処理を終了する。
【0110】
スリープ解除不要な場合は(ステップS306;No)、ステップS309へ移行し、選択されたMFPへジョブを送信して(ステップS309)、本処理を終了する。
【0111】
なお、第2の実施の形態のように、機能ユニット別に電源供給状態を制御する場合には、管理サーバ20は
図8の処理で履歴DB50にスリープ解除の履歴情報を登録するに際して、ジョブ種が示すジョブを実行するために必要な機能ユニットのすべてがON状態であれば、そのMFPの電源供給状態として通常モード(「ON」)を登録し、ジョブ種が示すジョブを実行するために必要な機能ユニットがいずれか1つでもスリープ状態であれば、そのMFPの電源供給状態としてスリープ状態(「SL」)を登録する。なお、スリープ解除通知を受けた時点の電力状態テーブル60Bの内容すべてをその時点での各MFPの電源供給状態として履歴DB50に登録するようにしてもよい。
【0112】
なお、第1の実施の形態のように、複合機10が管理サーバ20へスリープ解除通知を送信する構成においても、機能ユニット別に電源供給状態を制御・管理するようにしてもよい。
【0113】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0114】
第3の実施の形態では、各複合機10にて、自装置がスリープ解除してジョブを実行したときの履歴情報を記憶しておき、管理サーバ20は、必要時に各複合機10から履歴情報を収集して履歴DB50を作成するようになっている。
【0115】
図16は、第3の実施の形態における、ジョブ受信時の複合機10の動作を示している。複合機10は、ジョブを受信したとき、自装置が該受信によってスリープ解除したか否かを判定し(ステップS221)、スリープ解除でなければ(ステップS221;No)、そのジョブを実行して(ステップS224)、本処理を終了する。
【0116】
一方、ジョブ受信によってスリープ解除したときは(ステップS221;Yes)、他のMFPの稼動状態(電源供給状態および予約ジョブ数、待ち時間)を取得する(ステップS222)。当該複合機10が各複合機10に問い合わせて取得してもよいし、管理サーバ20がMFP監視処理を実行して電力状態テーブル60(もしくは60B)やジョブ状態テーブル65を保持しているならば、管理サーバ20から取得してもよい。
【0117】
複合機10は、こうして取得した他のMFPの稼動状態を自装置内のハードディスク装置(機能ユニットH)などに記憶する。記憶する項目は、
図9に示す履歴DB50のうち、「判断結果」と「ジョブ実行MFP」のフィールドを除く部分である。複合機10毎に自装置がジョブを実行したとき履歴情報を記憶するので、「ジョブ実行MFP」=自装置であり、この項目の記憶は必要ない。また、適不適の判断は管理サーバ20で行うため複合機10では記憶しない。
【0118】
図17は、第3の実施の形態に係る管理サーバ20が行う履歴情報収集処理を示している。履歴情報収集処理は、一定周期(たとえば、1日に1回の所定時刻)、あるいは、管理者などから指示を受けた場合に実行される。
【0119】
まず、各複合機10に対して履歴情報の送信要求を送信する(ステップS181)。これを受信した複合機10は自装置で記憶している履歴情報を管理サーバ20に送信する。管理サーバ20は各複合機10から送信されてきた履歴情報を受信し(ステップS182)、その受信した履歴情報を履歴DB50に登録する(ステップS183)。この際、受信した履歴情報の送信元の複合機10をジョブ実行MFPとして登録する。
【0120】
その後、適不適判定処理(ステップS185)を行い、その判定結果を履歴DB50に登録して(ステップS186)処理を終了する。なお、ステップS185は
図8のステップS125と、ステップS186は
図8のステップS126と同一である。
【0121】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0122】
第4の実施の形態では、各情報処理装置40にて、スリープ状態の複合機10へジョブを送信したとき(当該ジョブにより送信先の複合機10がスリープ解除する場合)の履歴情報を記憶しておき、管理サーバ20は、必要時に各情報処理装置40から履歴情報を収集して履歴DB50を作成するようになっている。
【0123】
図18は、第4の実施の形態の情報処理装置40にインストールされている複合機10用のドライバプログラムが行う処理の流れを示している。なお、
図14と同一処理の部分には同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
図14との相違は、ステップS306で「Yes」となった場合に実行する、ステップS311、S312である。
【0124】
すなわち、ユーザの選択したMFPがスリープ解除を要する複合機10の場合は(ステップS306;Yes)、各複合機10の稼動状態(電源供給状態、予約ジョブ数、待ち時間など)を取得する(ステップS311)。稼動情報は、当該情報処理装置40が各複合機10に問い合わせて取得してもよいし、管理サーバ20がMFP監視処理を実行して電力状態テーブル60、60Bやジョブ状態テーブル65を保持しているならば、管理サーバ20から取得してもよい。
【0125】
情報処理装置40は、こうして取得した各複合機10の稼動状態を自装置内のハードディスク装置などの不揮発記憶部に記憶する(ステップS312)。記憶する項目は、
図9に示す履歴DB50のうち、「判断結果」と「ユーザ」のフィールドを除く部分である。情報処理装置40毎に記憶するので、「ユーザ」=自情報処理装置であり、この項目(ユーザ)の記憶は必要ない。また、判断は管理サーバ20で行うため、情報処理装置40では記憶しない。
【0126】
図19は、第4の実施の形態に係る管理サーバ20が行う履歴情報収集処理を示している。履歴情報収集処理は、一定周期(たとえば、1日に1回の所定時刻)、あるいは、管理者などから指示を受けた場合に実行される。
【0127】
まず、各情報処理装置40に対して履歴情報の送信要求を送信する(ステップS191)。これを受信した情報処理装置40は自装置で記憶している履歴情報を管理サーバ20に送信する。管理サーバ20は各情報処理装置40から送信されてきた履歴情報を受信し(ステップS192)、その受信した履歴情報を履歴DB50に登録する(ステップS193)。この際、受信した履歴情報の送信元の情報処理装置40を「ユーザ」として登録する。
【0128】
その後、適不適判定処理(ステップS195)を行い、その判定結果を履歴DB50に登録して(ステップS196)処理を終了する。なお、ステップS195は
図8のステップS125と、ステップS196は
図8のステップS126と同一である。
【0129】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0130】
実施の形態では管理サーバ20を設ける例を示したが、たとえば、いずれか1台の複合機10に管理サーバ20の機能を具備させてもかまわない。また、すべての複合機10が管理サーバ20の機能を備え、どの複合機10でも
図11の抽出処理を実行可能に構成されてもよい。
【0131】
また、各実施の形態では、スリープ解除時の履歴情報のみを記憶するようにしたが、すべてのジョブについて履歴情報を記憶しておき、後に、その中からスリープ解除時の履歴情報だけを抽出して履歴DB50を形成するような構成でもかまわない。この場合、すべてのジョブの履歴情報に、スリープ解除してジョブを実行したか否かを示す解除情報を含めておき、この解除情報に基づいてスリープ解除の履歴情報だけを抽出すればよい。たとえば、第3の実施の形態において、各複合機10は自装置で実行したすべてのジョブについて履歴情報を記憶し、管理サーバ20から履歴情報の送信要求を受けた場合に、スリープ解除の履歴情報だけを抽出して管理サーバ20に送信するように構成すれば、無駄なデータの送信がなく、効率的である。