(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5946022
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】波形表示装置
(51)【国際特許分類】
G01D 7/00 20060101AFI20160621BHJP
G01R 13/20 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
G01D7/00 Z
G01R13/20 T
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-236887(P2012-236887)
(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公開番号】特開2014-85312(P2014-85312A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】久保田 明
(72)【発明者】
【氏名】芳野 康裕
【審査官】
藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−257927(JP,A)
【文献】
特開平08−076926(JP,A)
【文献】
特開2012−184972(JP,A)
【文献】
特開2012−173242(JP,A)
【文献】
特開2008−298578(JP,A)
【文献】
特開2000−338138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 7/00,9/00
G01R 13/20
G06F 3/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを備えた波形表示装置であって、
測定値を記録する測定値格納部と、
前記測定値格納部に記録された測定値に基づく所定範囲の波形を前記タッチパネルに表示させる表示制御部と、
前記タッチパネルに対するタッチ操作を検出するタッチ入力制御部とを備え、
前記表示制御部は、
前記タッチパネルに対して1点スワイプ操作が行なわれると、前記波形の表示範囲を連続的に移動させ、2点スワイプ操作が行なわれると、前記波形の表示範囲を離散的に移動させることを特徴とする波形表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、2点スワイプ操作が行なわれると、表示範囲の日付の指定を受け付けるためのカレンダー画面を前記タッチパネルに表示させることを特徴とする請求項1に記載の波形表示装置。
【請求項3】
前記タッチパネルに表示させるカレンダーは、現在日付あるいは表示波形に係る日付が含まれる月を初期表示することを特徴とする請求項2に記載の波形表示装置。
【請求項4】
前記測定値格納部は、測定値を所定の記録単位でファイルに時系列で記録し、
前記波形の表示範囲の離散的移動は、ファイル先頭部分への移動であることを特徴とする請求項1に記載の波形表示装置。
【請求項5】
前記2点スワイプ操作は、時間軸方向の2点スワイプ操作であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の波形表示装置。
【請求項6】
前記測定値格納部は、複数チャンネルの測定値を記録し、
前記表示制御部は、ユーザにより任意のチャンネルが登録されたグループ単位で波形を表示し、
時間軸方向に直交する方向の2点スワイプ操作が行なわれると、表示するグループを変更することを特徴とする請求項5に記載の波形表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波形表示装置に関し、特に、表示範囲の移動の操作性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
波形測定器、ペーパーレスレコーダ、測定データ管理装置等の測定値を取り扱う装置は、一般に測定値の波形を画面に表示する波形表示装置としての機能を兼ね備えている。波形表示装置は、内蔵する表示装置あるいは外部に接続された表示装置に、測定値の波形を表示する装置である。波形表示装置を用いることで、ユーザは、測定値の時間的変化を視覚的に把握することができる。
【0003】
波形表示装置に表示される波形は、時系列で記録された測定値をある範囲で抽出したものである。このため、波形の表示範囲を移動させたい場合が生じる。例えば、表示されている波形の少し前の波形を確認したい場合や、1日前、1週間前の波形を確認したい場合等である。また、過去の波形を表示した後に、最新の波形表示に戻りたい場合もある。
【0004】
従来、波形の表示範囲の移動は、カーソルキー等を操作して、波形を時間軸方向にスクロールさせることで行なっていた。近年では、タッチパネル式の表示装置が普及してきており、タッチした指を滑らせるスワイプ動作により波形を時間軸方向にスクロールさせることで表示範囲を移動させることも行なわれるようになっている。
【0005】
波形を時間軸方向にスクロールさせる表示範囲の移動操作は、直感的でわかりやすく、また簡易に操作を行なうことができる。しかしながら、波形の表示範囲が連続的に移動するため、直近の波形を確認するのに都合よいが、例えば、1日前や1週間前の波形を確認するためには、波形のスクロールのための操作を連続して行なわなくてはならず、操作の負担が大きかった。
【0006】
この操作の負担を軽減するため、特許文献1には、
図8に示すように、波形表示画面500表示中にメニューキー520を操作してメニュー画面を呼び出し、さらにカーソルキー540を操作することで、カレンダー画面600を呼び出すことが記載されている。
【0007】
カレンダー画面600では、カーソルキー540を操作することで、表示させたい波形の日付を指定することができるようになっており、ユーザは、波形をスクロールさせるよりも迅速に、目的とする波形の表示範囲に移動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−298578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
カレンダー画面600を用いることで、日を跨いだ表示範囲の移動を迅速に行なうことができるため、1日前や1週間前の波形を操作の負担なく確認することができる。
【0010】
しかしながら、カレンダー画面600を呼び出すために、メニューキー520の操作や、カーソルキー540の操作を行なわなくてはならず、波形移動操作の直感性が失われ、操作感が十分とはいえない。
【0011】
そこで、本発明は、波形表示装置において、波形表示範囲の移動操作の直感性を高め、操作感を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の波形表示装置は、タッチパネルを備えた波形表示装置であって、測定値を記録する測定値格納部と、前記測定値格納部に記録された測定値に基づく所定範囲の波形を前記タッチパネルに表示させる表示制御部と、前記タッチパネルに対するタッチ操作を検出するタッチ入力制御部とを備え、前記表示制御部は、前記タッチパネルに対して1点スワイプ操作が行なわれると、前記波形の表示範囲を連続的に移動させ、2点スワイプ操作が行なわれると、前記波形の表示範囲を離散的に移動させることを特徴とする。
ここで、前記表示制御部は、2点スワイプ操作が行なわれると、表示範囲の日付の指定を受け付けるためのカレンダー画面を前記タッチパネルに表示させることができる。
このとき、前記タッチパネルに表示させるカレンダーは、現在日付あるいは表示波形に係る日付が含まれる月を初期表示することができる。
あるいは、前記測定値格納部は、測定値を所定の記録単位でファイルに時系列で記録し、前記波形の表示範囲の離散的移動は、ファイル先頭部分への移動であってもよい。
また、前記2点スワイプ操作は、時間軸方向の2点スワイプ操作とすることができる。
このとき、前記測定値格納部は、複数チャンネルの測定値を記録し、前記表示制御部は、ユーザにより任意のチャンネルが登録されたグループ単位で波形を表示し、時間軸方向に直交する方向の2点スワイプ操作が行なわれると、表示するグループを変更するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、波形表示装置において、波形表示範囲の移動操作の直感性が高まり、操作感が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る波形表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】波形表示装置における波形表示範囲の移動処理について説明するためのフローチャートである。
【
図3】波形表示画面を表示中に、右方向の1点スワイプ操作を検出した場合の動作を説明するための図である。
【
図4】波形表示画面を表示中に、右方向の2点スワイプ操作を検出した場合の動作を説明するための図である。
【
図5】波形表示画面を表示中に、下方向の2点スワイプ操作を検出した場合の動作を説明するための図である。
【
図6】波形表示装置における波形表示範囲の移動処理の変形例について説明するためのフローチャートである。
【
図7】ファイルの先頭を基準に表示範囲を移動させる処理を説明するための図である。
【
図8】カレンダーを用いた従来の表示範囲移動を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る波形表示装置の構成を示すブロック図である。なお、本発明の波形表示装置は、波形測定器、ペーパーレスレコーダ、測定データ管理装置等の種々の電子機器に適用することができる。
【0016】
本図に示すように、波形表示装置10は、タッチパネル100、測定値格納部130、測定値取得部140、タッチ入力制御部150、表示制御部160を備えている。
【0017】
タッチパネル100は、タッチセンサ110と表示装置120とを備えており、表示装置120に波形表示画面、設定受付画面等を表示し、画面に対するタッチ操作をタッチセンサ110で感知することでユーザからの操作を受け付ける。なお、タッチパネル100は、波形表示装置10の外部に接続するようにしてもよい。
【0018】
測定値格納部130は、測定値取得部140が取得した測定値を格納する。測定値は、所定のファイル形式で時系列に格納する。大量の測定値を1つのファイルで管理することは、大容量のファイル管理が困難であるのに加え、ファイル破損時の損害が大きい。このため、測定値格納部130は、所定の記録単位でファイルを区切って測定値を格納する。所定の記録単位は、例えば、1時間ごと、1日ごとの所定期間としたり、1000点、10000点等の測定値個数等とすることができる。記録単位は、ユーザが任意に設定できるようになっている。
【0019】
測定値取得部140は、外部の測定装置から測定結果である測定値を連続的に取得する。測定値取得部140が測定機能を備えるようにしてもよい。測定値取得部140は、あらかじめ設定されている周期で測定値を取得し、測定値格納部130に格納する。また、測定値取得部140は、複数チャンネルの測定値を取得し、それぞれのチャンネルの測定値を測定値格納部130に格納することができる。
【0020】
タッチ入力制御部150は、ユーザのタッチパネル100へのタッチ操作による入力を制御するブロックであり、タッチ検出部151とタッチ操作判定部152とを備えている。
【0021】
タッチ検出部151は、タッチパネル100に対するユーザのタッチを検出する。タッチ操作判定部152は、タッチ検出部151が検出したユーザのタッチ状態の時間的変化に基づいて、タップ、スワイプ等のタッチ操作を判定する。本実施形態において、タッチ入力制御部150は、マルチタッチに対応しており、1本の指のタッチ操作に加え、2本の指のタッチ操作を検出することが可能である。
【0022】
表示制御部160は、タッチパネル100の表示装置120に表示する画面を制御するブロックであり、波形表示部161、表示範囲設定部162、カレンダー表示部163を備えている。
【0023】
波形表示部161は、測定値格納部130に格納されている測定値に基づく波形を表示する画面を生成する。波形表示部161は、あらかじめ設定された更新周期で波形表示画面を更新することができる。波形表示部161は、複数チャンネルの波形データを重ねて表示することができる。また、任意の複数のチャンネルをグループに登録して、グループごとに波形を表示することもできる。
【0024】
表示範囲設定部162は、波形表示部161が生成する波形表示画面の波形表示範囲を設定する。設定された表示範囲に対応する測定値が測定値格納部130から読み出されて、波形として表示される。カレンダー表示部163は、表示範囲の設定を日付で受け付ける場合に、カレンダー表示画面を生成する。
【0025】
次に、上記構成の波形表示装置10における波形表示範囲の移動処理について
図2のフローチャートを参照して説明する。
【0026】
波形表示部161がタッチパネル100に波形を表示中に、タッチ検出部151が、ユーザのタッチ操作を検出すると(S101:Yes)、タッチ操作判定部152は、それが1点スワイプ操作であるかどうか判定する(S102)。ここで、1点スワイプ操作は、1本の指でタッチパネル100にタッチし、ある方向に指を滑らせる動作である。
【0027】
ユーザのタッチ操作が1点スワイプ操作であれば(S102:Yes)、表示範囲設定部162が波形の表示範囲をスワイプ方向に連続的に移動させる(S103)。これにより、波形がスクロールすることになる。
【0028】
例えば、
図3(a)に示すように、波形表示画面300を表示中に、時間を戻す方向の1点スワイプ操作W1を検出した場合には、
図3(b)の波形表示画面302に示すように、波形を右方向にスクロールさせる。この結果、少し前の波形が表示される。波形のスクロール量は、1点スワイプ操作の移動距離に応じるようにしてもよいし、一律に所定量としてもよい。
【0029】
図2のフローチャートの説明に戻って、1点スワイプ操作でなければ(S101:No)、タッチ操作判定部152は、2点スワイプ操作であるかどうかを判定する(S104)。ここで、2点スワイプ操作は、2本の指でタッチパネル100にタッチし、間隔を保ったまま、2本の指をある方向に滑らせる動作である。
【0030】
ユーザのタッチ操作が2点スワイプ操作でなければ(S104:No)、受け付けたタッチ操作に対応した動作を行なう(S109)。例えば、2本の指を狭めるピンチイン操作であれば、波形の縮小動作を行ない、2本の指を拡げるピンチアウト操作であれば、波形の拡大動作を行なう。
【0031】
ユーザのタッチ操作が2点スワイプ操作であれば(S104:Yes)、カレンダー表示部163が日付の指定を受け付けるためのカレンダーをタッチパネル100に表示する(S105)。
【0032】
例えば、
図4(a)に示すように、波形表示画面310を表示中に、2点スワイプ操作W2を検出した場合には、
図4(b)に示すように、カレンダー表示画面312を表示する。本図では、カレンダー表示画面312を波形表示画面310に重畳させているが、カレンダー表示画面312を単独表示してもよい。
【0033】
カレンダーの初期表示月は、例えば、現在の日付が含まれる月とすることができる。あるいは、現在表示中の測定値の日付が含まれる月としてもよい。
【0034】
そして、カレンダー表示画面312上で、ユーザから日付の指定を受け付ける(
図2:S106)。日付の指定は、対応するカレンダーの日付をタッチすることで行なうことができる。日付の指定に引き続いて、さらに時間の指定を受け付けるようにしてもよい。また、カレンダーの日付エリアに、測定データがあること、測定データの標題を示すマークや文字列を表示してもよい。
【0035】
そして、表示範囲設定部162が、指定された日付で表示範囲を設定し(S107)、波形表示部161が波形の表示を行なう(S108)。この場合、波形の表示範囲は、連続的なスクロールではなく、離散的に移動することになる。
【0036】
このように、本実施形態の波形表示装置10は、波形表示中に1点スワイプ操作を受け付けると、波形の表示範囲を連続的に移動させ、2点スワイプ操作を受け付けると、カレンダー表示画面312で日付の指定を受け付けて、波形の表示範囲を離散的に移動させるようにしている。これにより、少し前の波形は1点スワイプ操作で簡易に表示させ、日を跨ぐような過去の波形は2点スワイプ操作で簡易に表示させることができるようになるため、直感的で簡易な表示範囲の移動操作を行なうことができ、操作性が向上する。
【0037】
なお、上記の例では、2点スワイプ操作の方向は考慮していなかったが、カレンダー表示画面312は、時間軸に沿った方向の2点スワイプ操作を検出した場合に表示するようにしてもよい。
【0038】
この場合、
図5(a)に示すように、時間軸に直交する方向の2点スワイプ操作を検出すると、
図5(b)に示すように表示するグループを切り替えるようにしてもよい。ここで、グループは、複数のチャンネルの測定値を扱っている場合に、ユーザが任意にチャンネルを組み合わせて登録したものである。グループは複数個登録することができる。本図の例では、「Group1」が表示されている状態で、下方向の2点スワイプ操作W2を検出すると、表示グループを切り替えて、「Group2」を表示するようにしている。
【0039】
また、2点スワイプ操作による離散的な表示範囲の移動は、カレンダー表示画面312による日付指定を介さなくてもよい。例えば、
図6のフローチャートに示すように、2点スワイプ操作を受け付けると(S104:Yes)、表示範囲をファイル先頭に設定し(S110)、設定された表示範囲の波形を表示するようにしてもよい(S111)。なお、
図6のフローチャートに示した他の処理は、
図2に示したフローチャートと同様であり、同じ符号を付している。
【0040】
図7に示すように、測定データは、測定値格納部130において、所定の記録単位でファイルに記録されている。ここで、所定の記録単位は、上述のように、1時間ごと、1日ごとの所定期間としたり、1000点、10000点等の測定値個数等とすることができる。
【0041】
例えば、ファイル5に記録された測定値のある範囲を表示中に、時間を戻す方向の2点スワイプ操作を受け付けると、ファイル5の先頭部分である表示範囲Eに、表示範囲を離散的に移動させる。さらに、もう一度、時間を戻す方向の2点スワイプ操作を受け付けると、ファイル4の先頭部分である表示範囲Dに、表示範囲を離散的に移動させる。
【0042】
また、ファイル4の表示範囲Dを表示中に、時間を進める方向の2点スワイプ操作を受け付けると、ファイル5の先頭部分である表示範囲Eに、表示範囲を離散的に移動させる。
【0043】
このように、2点スワイプ操作を受け付けると、表示範囲をファイルの先頭部分に移動させることによっても、直感的で簡易な表示範囲の移動操作を行なうことができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の波形表示装置10によれば、1点スワイプ操作で波形の表示範囲を連続的に移動させ、2点スワイプ操作で波形の表示範囲を離散的に移動させることで、直感的でわかりやすい表示範囲の移動を実現しているため、波形の表示範囲移動の操作性が向上することになる。
【符号の説明】
【0045】
10…波形表示装置、100…タッチパネル、110…タッチセンサ、120…表示装置、130…測定値格納部、140…測定値取得部、150…タッチ入力制御部、151…タッチ検出部、152…タッチ操作判定部、160…表示制御部、161…波形表示部、162…表示範囲設定部、163…カレンダー表示部