特許第5946033号(P5946033)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5946033
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】双方向チョッパ回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
   H02M3/155 H
   H02M3/155 Q
   H02M3/155 R
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-288719(P2011-288719)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-138574(P2013-138574A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】504182255
【氏名又は名称】国立大学法人横浜国立大学
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】マーチン・パヴロフスキー
(72)【発明者】
【氏名】弦田 幸憲
(72)【発明者】
【氏名】河村 篤男
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−033013(JP,A)
【文献】 特開2011−010380(JP,A)
【文献】 特開2004−129393(JP,A)
【文献】 M. Pavlovsky, A. Kawamura, G. Guidi,Buck/Boost Dc-Dc Converter with Simple Auxiliary Snubber and Complete Soft Switching in Whole Operating Region,Energy Conversion Congress and Exposition (ECCE), 2012 IEEE ,2012年 9月20日,P.11 - P.18
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00− 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第2の入出力端の間に直列接続される第1、第2のスイッチと、
一対の第1の入出力端の間に直列接続される第3、第4のスイッチと、
一端が第1の補助リアクトルを介して第3、第4のスイッチの接続点に接続され他端が第2の補助リアクトルを介して第1、第2のスイッチの接続点に接続されている主リアクトルと
記第1のスイッチに並列接続される第1のコンデンサと、
前記第2のスイッチに並列接続されると共に前記第1のコンデンサに直列接続される第2のコンデンサと、
前記第3のスイッチに並列接続される第3のコンデンサと、
前記第4のスイッチに並列接続されると共に前記第3のコンデンサに直列接続される第4のコンデンサと、
前記第1のスイッチに逆並列接続される第1のダイオードと
前記第2のスイッチに逆並列接続される第2のダイオードと、
前記第3のスイッチに逆並列接続される第3のダイオードと、
前記第4のスイッチに逆並列接続される第4のダイオードと、
前記一対の第1の入出力端間に接続される第1の平滑コンデンサと、
前記一対の第2の入出力端間に接続される第2の平滑コンデンサと、
一端が前記第3のコンデンサと前記第4のコンデンサとの接続点と間に接続され、他端が前記主リアクトルの一端との間に接続される前記第1の補助リアクトルと、
前記主リアクトルの他端と、前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの接続点との間に接続される前記第2の補助リアクトルと、
前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの接続点と前記リアクトルと前記第1の補助リアクトルとの接続点との間に接続され、前記第1のスイッチに対応する第1の補助スイッチング手段を有する第1の補助回路と、
前記第3のコンデンサと前記第4のコンデンサとの接続点と、前記主リアクトルと前記第2の補助リアクトルとの接続点との間に接続され、前記第3のスイッチに対応する第3の補助スイッチング手段を有する第2の補助回路と、
前記第1のスイッチを駆動して昇圧または降圧する際に、前記第1の補助スイッチング手段をオンしてから前記第1のコンデンサの電圧が最小となる時点で前記第1のスイッチをオンするまでの間に、前記第1のコンデンサに蓄えられた電荷と同等またはより大きい逆極性の電荷を前記第2のコンデンサに供給するエネルギーを前記第1の補助リアクトルに蓄えるまで前記第2のスイッチをオンにするスイッチ制御部と
具備し、
前記第1の補助リアクトルは、前記主リアクトルの一端と、前記第3のコンデンサと前記第4のコンデンサとの接続点と間に接続され、
前記スイッチ制御部は、前記第3のスイッチを駆動して昇圧または降圧する際に、前記第3の補助スイッチング手段をオンしてから前記第3のコンデンサの電圧が最小となる時点で前記第3のスイッチをオンするまでの間に、前記第3のコンデンサに蓄えられた電荷と同等またはより大きい逆極性の電荷を前記第4のコンデンサに供給するエネルギーを前記第2の補助リアクトルに蓄えるまで前記第4のスイッチをオンにすることを特徴とする双方向チョッパ回路。
【請求項2】
前記第1の補助回路においては、前記第2のスイッチに対応した第2の補助スイッチング手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の双方向チョッパ回路。
【請求項3】
前記第2の補助回路においては、前記第4のスイッチに対応した第4の補助スイッチング手段が設けられ、前記スイッチ制御部は、前記第4のスイッチを駆動して昇圧または降圧する際に、前記第4の補助スイッチング手段をオンしてから前記第4のコンデンサの電圧が最小となる時点で前記第4のスイッチをオンするまでの間に、第4のコンデンサに蓄えられた電荷と同等またはより大きい逆極性の電荷を前記第3のコンデンサに供給するエネルギーを前記第2の補助リアクトルに蓄えるまで前記第3のスイッチをオンにすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の双方向チョッパ回路。
【請求項4】
一対の第2の入出力端の間に直列接続される第1、第2のスイッチと、
一対の第1の入出力端の間に直列接続される第3、第4のスイッチと、
一端が第3、第4のスイッチの接続点に接続され他端が第1、第2のスイッチの接続点に接続されている主リアクトルと
記第1のスイッチに並列接続される第1のコンデンサと、
前記第2のスイッチに並列接続されると共に前記第1のコンデンサに直列接続される第2のコンデンサと、
前記第3のスイッチに並列接続される第3のコンデンサと、
前記第4のスイッチに並列接続されると共に前記第3のコンデンサに直列接続される第4のコンデンサと、
前記第1のスイッチに逆並列接続される第1のダイオードと
前記第2のスイッチに逆並列接続される第2のダイオードと、
前記第3のスイッチに逆並列接続される第3のダイオードと、
前記第4のスイッチに逆並列接続される第4のダイオードと、
前記一対の第1の入出力端間に接続される第1の平滑コンデンサと、
前記一対の第2の入出力端間に接続される第2の平滑コンデンサと、
第1の補助スイッチング手段と第2の補助スイッチング手段との間に接続される補助リアクトルと、
前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの接続点と前記リアクトルと前記補助リアクトルとの接続点との間に接続され、前記第1のスイッチに対応する前記第1の補助スイッチング手段を有する補助回路と、
前記第1のスイッチを駆動して昇圧または降圧する際に、前記第1の補助スイッチング手段をオンしてから前記第1のコンデンサの電圧が最小となる時点で前記第1のスイッチをオンするまでの間に、前記第1のコンデンサに蓄えられた電荷と同等またはより大きい逆極性の電荷を前記第2のコンデンサに供給するエネルギーを前記補助リアクトルに蓄えるまで前記第2のスイッチをオンにするスイッチ制御部と
を具備し、
前記補助回路においては、前記第1の補助スイッチング手段が前記第1、第4のスイッチに対応したものであると共に、前記第2、第3のスイッチに対応した前記第2の補助スイッチング手段が設けられ、
前記主リアクトルは、前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの接続点と、前記第3のコンデンサと前記第4のコンデンサとの接続点との間に接続され、
前記スイッチ制御部は、前記第3のスイッチを駆動して昇圧または降圧する際に、前記第2の補助スイッチング手段をオンしてから前記第3のコンデンサの電圧が最小となる時点で前記第3のスイッチをオンするまでの間に、前記第3のコンデンサに蓄えられた電荷と同等またはより大きい逆極性の電荷を前記第4のコンデンサに供給するエネルギーを前記補助リアクトルに蓄えるまで前記第4のスイッチをオンにすることを特徴とする双方向チョッパ回路。
【請求項5】
前記第3のコンデンサと前記第4のコンデンサとの静電容量は同等であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の双方向チョッパ回路。
【請求項6】
前記第3のスイッチ及び前記第3のダイオードと、前記第4のスイッチ及び前記第4のダイオードとは、それぞれ逆並列ダイオード付きスイッチとして一体化されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の双方向チョッパ回路。
【請求項7】
前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの静電容量は同等であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の双方向チョッパ回路。
【請求項8】
前記第1のスイッチ及び前記第1のダイオードと、前記第2のスイッチ及び前記第2のダイオードとは、それぞれ逆並列ダイオード付きスイッチとして一体化されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の双方向チョッパ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向チョッパ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ソフトスイッチング技術を用いた高効率なチョッパ回路として、SAZZ(Snubber Assisted Zero voltage and Zero current transition)チョッパ回路が提案されている。ここで、上記のソフトスイッチング技術とは、共振現象等を利用して電圧又は電流を零とした状態でスイッチング動作を行うことによって電力損失を低減させる技術であり、上記のSAZZチョッパ回路とは、スナバ回路を利用してソフトスイッチングを実現するチョッパ回路である。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、ソフトスイッチングを行う昇圧チョッパ回路が開示されている。つまり、この昇圧チョッパ回路は、1つのリアクトルを構成する直列接続された2つの主リアクトルと、直列接続された主リアクトルの一端に一方の極が接続され、直流電源の一方の出力端子に他方の極が接続されている主スイッチと、この主スイッチの両極間に接続されたスナバダイオードとスナバコンデンサとからなる直列接続体と、このスナバダイオードとスナバコンデンサとの接続点と2つの主リアクトルとの接続点との間に接続された補助スイッチとを備え、スナバコンデンサの電荷が零になった時点で主スイッチをオンさせてソフトスイッチングを行う。また、下記非特許文献1には、ソフトスイッチングを行う双方向チョッパ回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/098376号パンフレット
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】弦田幸憲・河村篤男:「SAZZコンバータにおけるソフトスイッチング領域外特性」, 平成20年電気学会全国大会 [4]-071, pp.117-118, March 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術においては、補助回路に電流が流れるため、モードによってはハードスイッチングよりソフトスイッチングの方の効率が低下する場合がある。そのため、スナバダイオードを削除してスナバコンデンサだけにすることで、ソフトスイッチングの効率を上げることができるが、その場合には、昇圧率2.0以上となる動作条件でなければ、スナバコンデンサに蓄えられた電荷を完全に放電して電圧を零にすることができない。そのため、昇圧率2.0以上となる限定的な動作条件でしかソフトスイッチングを実現できない。
【0007】
例えば,動作条件等によって下記3つのソフトスイッチングパターン(1)〜(3)に分類される。(上記非特許文献1における図6参照)
(1)昇圧率2.0以上の場合
[1]ターンオン:完全ソフトスイッチング(ZVZCT:Zero Voltage and Zero Current Transition)
[2]ターンオフ:完全ソフトスイッチング(ZVS:Zero Voltage Switching)
(2)昇圧率1.0以上〜2.0未満、かつある一定負荷以上〜定格負荷の場合
[1]ターンオン:部分ハードスイッチング(不完全ソフトスイッチング)
[2]ターンオフ:完全ソフトスイッチング(ZVS)
(3)昇圧率1.0以上〜2.0未満,かつある一定負荷以下の軽負荷の場合
[1]ターンオン:部分ハードスイッチング(不完全ソフトスイッチング)
[2]ターンオフ:部分ZVS (不完全ソフトスイッチング)
上述したように(2)の場合にはターンオフ、(3)の場合にはターンオン及びターンオフにおいて完全ソフトスイッチングを実現できない。常に,完全ソフトスイッチングが達成できなければ運用上、効率が向上しないというわけではないが,幅広い動作条件の運用に適用するには,完全ソフトスイッチング可能な領域が広いほうが運用上得策といえる。このように上記従来技術には、スナバダイオード備えない場合に、ある動作条件(例えば、昇圧率1.0以上〜2.0未満)においてソフトスイッチングを実現することできないという問題が存在する。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、スナバダイオードを備えることなしに、従来よりも幅広い動作条件でソフトスイッチングを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明第1の態様によれば、双方向チョッパ回路は一対の第2の入出力端の間に直列接続される第1、第2のスイッチと、一対の第1の入出力端の間に直列接続される第3、第4のスイッチと、一端が第1の補助リアクトルを介して第3、第4のスイッチの接続点に接続され他端が第2の補助リアクトルを介して第1、第2のスイッチの接続点に接続されている主リアクトルと、前記第1のスイッチに並列接続される第1のコンデンサと、前記第2のスイッチに並列接続されると共に前記第1のコンデンサに直列接続される第2のコンデンサと、前記第3のスイッチに並列接続される第3のコンデンサと、前記第4のスイッチに並列接続されると共に前記第3のコンデンサに直列接続される第4のコンデンサと、前記第1のスイッチに逆並列接続される第1のダイオードと前記第2のスイッチに逆並列接続される第2のダイオードと、前記第3のスイッチに逆並列接続される第3のダイオードと、前記第4のスイッチに逆並列接続される第4のダイオードと、前記一対の第1の入出力端間に接続される第1の平滑コンデンサと、前記一対の第2の入出力端間に接続される第2の平滑コンデンサと、一端が前記第3のコンデンサと前記第4のコンデンサとの接続点と間に接続され、他端が前記主リアクトルの一端との間に接続される前記第1の補助リアクトルと、前記主リアクトルの他端と、前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの接続点との間に接続される前記第2の補助リアクトルと、前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの接続点と前記リアクトルと前記第1の補助リアクトルとの接続点との間に接続され、前記第1のスイッチに対応する第1の補助スイッチング手段を有する第1の補助回路と、前記第3のコンデンサと前記第4のコンデンサとの接続点と、前記主リアクトルと前記第2の補助リアクトルとの接続点との間に接続され、前記第3のスイッチに対応する第3の補助スイッチング手段を有する第2の補助回路と、前記第1のスイッチを駆動して昇圧または降圧する際に、前記第1の補助スイッチング手段をオンしてから前記第1のコンデンサの電圧が最小となる時点で前記第1のスイッチをオンするまでの間に、前記第1のコンデンサに蓄えられた電荷と同等またはより大きい逆極性の電荷を前記第2のコンデンサに供給するエネルギーを前記第1の補助リアクトルに蓄えるまで前記第2のスイッチをオンにするスイッチ制御部と、を具備し、前記スイッチ制御部は、前記第3のスイッチを駆動して昇圧または降圧する際に、前記第3の補助スイッチング手段をオンしてから前記第3のコンデンサの電圧が最小となる時点で前記第3のスイッチをオンするまでの間に、前記第3のコンデンサに蓄えられた電荷と同等またはより大きい逆極性の電荷を前記第4のコンデンサに供給するエネルギーを前記第2の補助リアクトルに蓄えるまで前記第4のスイッチをオンにする。
【0010】
本発明第2の態様によれば、第1の態様における双方向チョッパ回路が具備する前記第1の補助回路において、前記第2のスイッチに対応した第2の補助スイッチング手段が設けられていてもよい
【0011】
本発明第3の態様によれば、第1また第2の態様における双方向チョッパ回路が具備する前記第2の補助回路において、前記第のスイッチに対応した第4の補助スイッチング手段が設けられ、前記スイッチ制御部は、前記第4のスイッチを駆動して昇圧または降圧する際に、前記第4の補助スイッチング手段をオンしてから前記第4のコンデンサの電圧が最小となる時点で前記第4のスイッチをオンするまでの間に、第4のコンデンサに蓄えられた電荷と同等またはより大きい逆極性の電荷を前記第3のコンデンサに供給するエネルギーを前記第2の補助リアクトルに蓄えるまで前記第3のスイッチをオンにする。
【0012】
本発明第4の態様によれば、双方向チョッパ回路は、一対の第2の入出力端の間に直列接続される第1、第2のスイッチと、一対の第1の入出力端の間に直列接続される第3、第4のスイッチと、一端が第3、第4のスイッチの接続点に接続され他端が第1、第2のスイッチの接続点に接続されている主リアクトルと、前記第1のスイッチに並列接続される第1のコンデンサと、前記第2のスイッチに並列接続されると共に前記第1のコンデンサに直列接続される第2のコンデンサと、前記第3のスイッチに並列接続される第3のコンデンサと、前記第4のスイッチに並列接続されると共に前記第3のコンデンサに直列接続される第4のコンデンサと、前記第1のスイッチに逆並列接続される第1のダイオードと前記第2のスイッチに逆並列接続される第2のダイオードと、前記第3のスイッチに逆並列接続される第3のダイオードと、前記第4のスイッチに逆並列接続される第4のダイオードと、前記一対の第1の入出力端間に接続される第1の平滑コンデンサと、前記一対の第2の入出力端間に接続される第2の平滑コンデンサと、第1の補助スイッチング手段と第2の補助スイッチング手段との間に接続される補助リアクトルと、前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの接続点と前記リアクトルと前記補助リアクトルとの接続点との間に接続され、前記第1のスイッチに対応する前記第1の補助スイッチング手段を有する補助回路と、前記第1のスイッチを駆動して昇圧または降圧する際に、前記第1の補助スイッチング手段をオンしてから前記第1のコンデンサの電圧が最小となる時点で前記第1のスイッチをオンするまでの間に、前記第1のコンデンサに蓄えられた電荷と同等またはより大きい逆極性の電荷を前記第2のコンデンサに供給するエネルギーを前記補助リアクトルに蓄えるまで前記第2のスイッチをオンにするスイッチ制御部とを具備し、前記補助回路においては、前記第1の補助スイッチング手段が前記第1、第4のスイッチに対応したものであると共に、前記第2、第3のスイッチに対応した前記第2の補助スイッチング手段が設けられ、前記主リアクトルは、前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの接続点と、前記第3のコンデンサと前記第4のコンデンサとの接続点との間に接続され、前記スイッチ制御部は、前記第3のスイッチを駆動して昇圧または降圧する際に、前記第2の補助スイッチング手段をオンしてから前記第3のコンデンサの電圧が最小となる時点で前記第3のスイッチをオンするまでの間に、前記第3のコンデンサに蓄えられた電荷と同等またはより大きい逆極性の電荷を前記第4のコンデンサに供給するエネルギーを前記補助リアクトルに蓄えるまで前記第4のスイッチをオンにする。
【0013】
本発明第5の態様によれば、第1から第4のいずれかの態様における双方向チョッパ回路においては、前記第3のコンデンサと前記第4のコンデンサとの静電容量は同等であってもよい
【0014】
本発明第6の態様によれば、第1からのいずれかの態様における双方向チョッパ回路においては、前記第3のスイッチ及び前記第3のダイオードと、前記第4のスイッチ及び前記第4のダイオードとは、それぞれ逆並列ダイオード付きとして一体化されていてもよい
【0015】
本発明第7の態様によれば、1から第6のいずれかの態様における双方向チョッパ回路においては、前記第のコンデンサと前記第のコンデンサとの静電容量は同等であってもよい
【0016】
本発明第8の態様によれば、1から第7のいずれかの態様における双方向チョッパ回路においては、前記第のスイッチ及び前記第のダイオードと、前記第のスイッチ及び前記第のダイオードとは、それぞれ逆並列ダイオード付きスイッチとして一体化されていてもよい
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、補助スイッチング手段をオンしてから第1のスイッチをオンするまでの間に、第1のコンデンサに蓄えられた電荷と同等またはより大きい逆極性の電荷を第2のコンデンサに供給するエネルギーを補助リアクトルに蓄えるまで第2のスイッチをオンにする。つまり、本発明によれば、第2のスイッチをオフにすることにより第1のコンデンサに蓄えられた電荷が残留することなく第2のコンデンサに全て移動する。したがって、本発明によれば、スナバダイオードを備えない場合において理想的な動作条件(例えば、昇圧率2.0以上)でなくても、第1のコンデンサに蓄えられた電荷を完全に放電できるので、スナバダイオードを備えることなしに、幅広い動作条件において第1のスイッチのソフトスイッチングを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る双方向チョッパ回路Aを示す回路図である。
図2】本発明の一実施形態に係る双方向チョッパ回路Aの昇圧動作を示す回路図である。
図3】本発明の一実施形態に係る双方向チョッパ回路Aの昇圧動作に関するタイミングチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係る双方向チョッパ回路Aの昇圧動作に関するタイミングチャートである。
図5】本発明の一実施形態に係る双方向チョッパ回路Aの降圧動作を示す回路図である。
図6】本発明の一実施形態に係る双方向チョッパ回路Aの降圧動作に関するタイミングチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係る双方向チョッパ回路B(双方向チョッパ回路Aの第1の変形例)を示す回路図である。
図8】本発明の一実施形態に係る双方向チョッパ回路C(双方向チョッパ回路Aの第2の変形例)を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る双方向チョッパ回路Aは、図1に示すように、端子T11,T12(第1の入出力端子)及び端子T21,T22(第2の入出力端子)を備えており、電圧を変換しつつ端子T11,T12側から端子T21,T22側へ、あるいは端子T21,T22側から端子T11,T12側へ直流電力の供給を行う。
【0021】
具体的に、双方向チョッパ回路Aは、端子T21,T22が端子T11,T12よりも高電圧側に配置され、端子T11,T12間に供給される直流電力の電圧を昇圧して端子T21,T22から出力し、あるいは端子T21,T22間に供給される直流電力の電圧を降圧して端子T11,T12から出力する。
【0022】
双方向チョッパ回路Aは、第1の平滑コンデンサ11、主リアクトル12(リアクトル)、昇圧用スイッチ13、降圧用スイッチ14、第2の平滑コンデンサ15、補助リアクトル16、補助回路17、第1のスナバコンデンサ18、第2のスナバコンデンサ19及びスイッチ制御部20を備える。
第1の平滑コンデンサ11は、端子T11,T12間に接続されており、端子T21,T22側から供給されて端子T11,T12から出力すべき電力を平滑化して直流電力にする。また、第1の平滑コンデンサ11は、端子T11,T12側から供給される直流電力に重畳されているノイズの除去も行う。
【0023】
主リアクトル12は、端子T11に補助リアクトル16を介して一端が接続されると共に他端が昇圧用、降圧用スイッチ13,14の接続点P1に接続されており、昇圧用、降圧用スイッチ13,14等のスイッチング動作に応じて電力の蓄積や放出を行う。
昇圧用スイッチ13は、端子T11,T12間に供給される直流電力の電圧を昇圧して端子T21,T22から出力する際に駆動されるスイッチであり、ダイオードd1が逆並列接続されて一体化されている。
これに対し、降圧用スイッチ14は、端子T21,T22間に供給される直流電力の電圧を降圧して端子T11,T12から出力する際に駆動されるスイッチであり、ダイオードd2が逆並列接続されて一体化されている。
【0024】
これら昇圧用、降圧用スイッチ13,14は、端子T21,T22の間に直列接続されており、例えば逆並列ダイオード付きIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)によって実現される。なお、昇圧用、降圧用スイッチ13,14としては、IGBT以外にも、通常のバイポーラトランジスタを用いることも、FETトランジスタ(FieldEffect Transistor:電界効果トランジスタ)を用いることも可能である。これら昇圧用、降圧用スイッチ13,14は、スイッチ制御部20によって制御され、例えば100kHz程度のスイッチング周波数で駆動される。
【0025】
第2の平滑コンデンサ15は、端子T21,T22間に接続されており、端子T11,T12側から供給されて端子T21,T22から出力すべき電力を平滑化して直流電力にする。また、第2の平滑コンデンサ15は、端子T21,T22側から供給される直流電力に重畳されているノイズの除去も行う。
補助リアクトル16は、端子T11と主リアクトル12の一端との間に接続されており、昇圧用、降圧用スイッチ13,14や補助回路17に設けられる第1、第2の補助スイッチ17a,17b(詳細は後述する)のスイッチング動作に応じて電力の蓄積や放出を行う。
【0026】
補助回路17は、昇圧用、降圧用スイッチ13,14に対応して設けられており、主リアクトル12及び補助リアクトル16と共に昇圧用、降圧用スイッチ13,14のソフトスイッチングを実現する回路である。これら補助回路17、主リアクトル12及び補助リアクトル16と昇圧用、降圧用スイッチ13,14とによってSAZZチョッパ回路が形成されている。上述の通り、補助回路17は、昇圧用、降圧用スイッチ13,14に対応させて設けているので、端子T11,T12側から端子T21,T22側への電力供給と端子T21,T22側から端子T11,T12側への電力供給との双方を効率良く行うことが可能である。
【0027】
このような補助回路17は、第1の補助スイッチ17a及び第2の補助スイッチ17bを備える。
第1の補助スイッチ17aは、昇圧用スイッチ13に対応させて、つまり昇圧用スイッチ13のソフトスイッチングを実現するために設けられた補助スイッチであり、一端が第2の補助スイッチ17bに接続され、他端が後述する第1のスナバコンデンサ18と第2のスナバコンデンサ19との接続点P2に接続されている。また、第1の補助スイッチ17aには、ダイオードd3がカソード電極を接続点P2に接続されるように逆並列接続されている。
【0028】
一方、第2の補助スイッチ17bは、降圧用スイッチ14に対応させて、つまり降圧用スイッチ14のソフトスイッチングを実現するために設けられた補助スイッチであり、一端が第1の補助スイッチ17aに接続され、他端が主リアクトル12と補助リアクトル16との接続点P3に接続されている。また、第2の補助スイッチ17bには、ダイオードd4がカソード電極を接続点P3に接続されるように逆並列接続されている。
【0029】
第1のスナバコンデンサ18は、昇圧用スイッチ13に対して並列接続されると共に第2のスナバコンデンサ19に直列接続されている。このような第1のスナバコンデンサ18は、昇圧用スイッチ13のスイッチング動作によって生じる過度的な高電圧を吸収するために設けられる保護回路である。
第2のスナバコンデンサ19は、降圧用スイッチ14に対して並列接続されると共に第1のスナバコンデンサ18に直列接続されている。このような第2のスナバコンデンサ19は、降圧用スイッチ14のスイッチング動作によって生じる過度的な高電圧を吸収するために設けられる保護回路である。このような第1のスナバコンデンサ18と第2のスナバコンデンサ19との静電容量は同等である。
【0030】
スイッチ制御部20は、昇圧用スイッチ13、降圧用スイッチ14、第1の補助スイッチ17a及び第2の補助スイッチ17bのスイッチング制御を行うマイクロコントローラであり、具体的には各スイッチのゲート端子それぞれに、立ち上がり及び立ち下りのタイミング及びデューティ比の異なるゲート信号を出力する。
【0031】
次に、上記構成における双方向チョッパ回路Aの動作について説明する。以下、昇圧動作(図2〜4参照)及び降圧動作(図5、6参照)について順に説明する。
【0032】
〈昇圧動作〉
昇圧動作においては、スイッチ制御部20が、昇圧のために昇圧用スイッチ13を駆動すると共に、第1のスナバコンデンサ18に蓄積された電荷を完全に放電してソフトスイッチングを実現するために第1の補助スイッチ17a及び降圧用スイッチ14を駆動する。すなわち、双方向チョッパ回路Aの昇圧動作は、以下に説明する第1〜第7動作モードの7つの動作モードからなり、これら第1〜第7動作モードを繰り返すことにより昇圧用スイッチ13のソフトスイッチングを実現する。例えば、昇圧動作では、端子T11,T12間にバッテリが接続され、端子T21,T22間に負荷が接続されている。
【0033】
なお、昇圧動作時において、昇圧用スイッチ13は本実施形態における第1のスイッチであり、また降圧用スイッチ14は本実施形態における第2のスイッチである。また、第1のスナバコンデンサ18は本実施形態における第1のコンデンサであり、また第2のスナバコンデンサ19は、本実施形態における第2のコンデンサである。また、第1の補助スイッチ17aは、本実施形態における補助スイッチング手段であり、第2の補助スイッチ17bは、本実施形態における第2の補助スイッチング手段である。
【0034】
第1動作モードでは、スイッチ制御部20が昇圧用スイッチ13をオフ状態にしている際に、第1の補助スイッチ17aをオン状態にして、ダイオードd2(降圧用スイッチ14)のキャリアを消滅させる動作モードである。なお、スイッチ制御部20は、第1動作モード前から降圧用スイッチ14をオン状態にしている。
【0035】
第1の補助スイッチ17aがオン状態になる前は、第2の平滑コンデンサ15に向って、第1の平滑コンデンサ11、補助リアクトル16、主リアクトル12及びダイオードd2(降圧用スイッチ14)を順に介する経路でダイオードd2(降圧用スイッチ14)に対して順バイアスとなる電流が流れる(図2矢印線1a)。
【0036】
第1の補助スイッチ17aがオン状態になると、第2の平滑コンデンサ15から、ダイオードd2(降圧用スイッチ14)、第1の補助スイッチ17a、ダイオードd4(第2の補助スイッチ17b)、補助リアクトル16、第1の平滑コンデンサ11及び第2の平滑コンデンサ15を順に介して第2の平滑コンデンサ15に至る経路でダイオードd2(降圧用スイッチ14)に対して逆バイアスとなる電流が流れる(図2矢印線1b)。これにより、ダイオードd2(降圧用スイッチ14)のキャリアが消滅してダイオードd2(降圧用スイッチ14)がオフ状態になる。この際、補助リアクトル16には、後述する第2の動作モードにおいて、第1のスナバコンデンサ18に蓄えられた電荷と同等またはより大きい逆極性の電荷を第2のスナバコンデンサ19に供給するエネルギーが蓄えられる。なお、第1動作モードの最中は、第1のスナバコンデンサ18の放電が行われず、第1のスナバコンデンサ18の電圧はほぼ一定に維持される。
【0037】
第2動作モードは、第1動作モードの終了後に、第1のスナバコンデンサ18からの放電を行わせる動作モードである。第1動作モードが終了すると、ダイオードd2(降圧用スイッチ14)がオフ状態になる。すると、第1のスナバコンデンサ18、第1の補助スイッチ17a、ダイオードd4(第2の補助スイッチ17b)、補助リアクトル16、第1の平滑コンデンサ11を順に介して第1のスナバコンデンサ18に至る経路で電流が流れる(図2矢印線2a)。これにより、第1のスナバコンデンサ18からの放電が行われる。しかし、これだけでは、第1のスナバコンデンサ18の電圧が零にはならない。
【0038】
さらに、第2動作モードにおいて、スイッチ制御部20は、降圧用スイッチ14をオフ状態にする。つまり、スイッチ制御部20は、第1の補助スイッチ17aをオン(第1の動作モード)してから第1のスナバコンデンサ18の電圧が零(最小)となる時点で昇圧用スイッチ13をオン(後述する第3の動作モード)するまでの間に、第1のスナバコンデンサ18に蓄えられた電荷と同等またはより大きい逆極性の電荷を第2のスナバコンデンサ19に供給するエネルギーを補助リアクトル16に蓄えるまで降圧用スイッチ14をオンし、その後降圧用スイッチ14をオフ状態にする(図3、4参照)。
【0039】
この結果、補助リアクトル16、第1の平滑コンデンサ11、第2の平滑コンデンサ15、第2のスナバコンデンサ19及び第1の補助スイッチ17aを介して補助リアクトル16に至る経路で電流が流れる(図2点線矢印2b)。これにより、第2のスナバコンデンサ19には、第1のスナバコンデンサ18に蓄えられた電荷と同等またはより大きい逆極性の電荷が蓄えられる。これによって、図3,4に示すように、第1のスナバコンデンサ18では、電荷が完全に第2のスナバコンデンサ19に移動して電圧が零になる。これは、「第1動作モードにおいて補助リアクトル16に流れた電流×電流の流れた時間」が「第2のスナバコンデンサ19の電圧×第1の平滑コンデンサ11の電圧(つまり端子T11,12間の電圧)」より大きいという条件が成り立つ場合に可能になる。なお、第2動作モードにおいては、主リアクトル12に流れる電流が、第1の補助スイッチ17a及びダイオードd4(第2の補助スイッチ17b)を介して環流されることになる(図2点線矢印2c)。
【0040】
第3動作モードは、第2動作モードの終了後に、スイッチ制御部20が昇圧用スイッチ13をソフトスイッチングによりオン状態にする動作モードである。第2動作モードが終了すると、第1のスナバコンデンサ18の電圧が零になる。このタイミングで昇圧用スイッチ13をオン状態にする。これにより、昇圧用スイッチ13では、電圧が零の状態でスイッチング動作(ターンオン)がなされるZVS(Zero Voltage Switching)が実現されることとなる。
【0041】
ここで、第3動作モードでは、昇圧用スイッチ13及び第1の補助スイッチ17aがオン状態でダイオードd2(降圧用スイッチ14)がオフ状態であることから、第1の平滑コンデンサ11、昇圧用スイッチ13、第1の補助スイッチ17a、ダイオードd4(第2の補助スイッチ17b)及び補助リアクトル16を順に介して第1の平滑コンデンサ11に至る経路で電流が流れる(図2矢印線3a)。この電流は、昇圧用スイッチ13に本来流れる電流を打ち消す方向に流れる。なお、第3動作モードにおいても、第2動作モードと同様に、主リアクトル12に流れる電流が、第1の補助スイッチ17a及びダイオードd4(第2の補助スイッチ17b)を介して環流されることになる(図2矢印線3b)。
【0042】
第4動作モードは、第3動作モードの終了後に、昇圧用スイッチ13、主リアクトル12及び補助リアクトル16を流れる電流を増大させる動作モードである。上述した第3動作モードで流れる電流(昇圧用スイッチ13に本来流れる電流を打ち消す方向に流れる電流(図2矢印線4a))が徐々に減少する。すると、第1の平滑コンデンサ11から補助リアクトル16、主リアクトル12及び昇圧用スイッチ13を順に介して第1の平滑コンデンサ11に至る経路で電流が流れ初める(図2矢印線4b)。
【0043】
第5動作モードは、第4動作モードの終了後に、上述した昇圧用スイッチ13に本来流れる電流を打ち消す方向に流れる電流が零になり、第1の平滑コンデンサ11から補助リアクトル16、主リアクトル12及び昇圧用スイッチ13を順に介して第1の平滑コンデンサ11に至る経路で電流(図2矢印線5a)が増大する。
【0044】
第6動作モードは、第5動作モードの終了後に、スイッチ制御部20が昇圧用スイッチ13及び第1の補助スイッチ17aをソフトスイッチングによりオフ状態にする動作モードである。昇圧用スイッチ13では、第1のスナバコンデンサ18の電圧が零の状態でスイッチング動作(ターンオフ)がなされるZVS(Zero Voltage Switching)が実現され、第1の補助スイッチ17aでは、電流が零の状態でスイッチング動作(ターンオフ)がなされるZCS(Zero Current Switching)が実現される。なお、昇圧用スイッチ13及び第1の補助スイッチ17aがオフ状態になると、第1の平滑コンデンサ11、補助リアクトル16、主リアクトル12及び第1のスナバコンデンサ18を順に介して第1の平滑コンデンサ11に至る経路で電流が流れる(図2矢印線6a)。また、第2の平滑コンデンサ15、第1の平滑コンデンサ11、補助リアクトル16、主リアクトル12及び第2のスナバコンデンサ19を順に介して第2の平滑コンデンサ15に至る経路で電流が流れる(図2矢印線6b)。
【0045】
第7動作モードは、第6動作モードの終了後に、ダイオードd2(降圧用スイッチ14)がオン状態になって主リアクトル12及び補助リアクトル16に蓄積された電力を端子T21,T22から出力する動作モードである。ダイオードd2(降圧用スイッチ14)がオン状態になると、第1の平滑コンデンサ11、補助リアクトル16、主リアクトル12及びダイオードd2(降圧用スイッチ14)を順に介する経路で電流が端子T21,T22から出力される(図2矢印線7a)。そして、スイッチ制御部20は、降圧用スイッチ14をオン状態にする。
【0046】
〈降圧動作〉
降圧動作においては、スイッチ制御部20が、降圧のために降圧用スイッチ14を駆動すると共に、第2のスナバコンデンサ19に蓄積された電荷を完全に放電してソフトスイッチングを実現するために第2の補助スイッチ17b及び昇圧用スイッチ13を駆動する。すなわち、双方向チョッパ回路Aの降圧動作は、以下に説明する第1〜第7動作モードの7つの動作モードからなり、これら第1〜第7動作モードを繰り返すことにより降圧用スイッチ14のソフトスイッチングを実現する。例えば、降圧動作では、端子T11,T12間に負荷が接続され、端子T21,T22間にバッテリが接続されている。
【0047】
なお、降圧動作時において、昇圧用スイッチ13は本実施形態における第2のスイッチであり、また降圧用スイッチ14は本実施形態における第1のスイッチである。また、第1のスナバコンデンサ18は本実施形態における第2のコンデンサであり、また第2のスナバコンデンサ19は、本実施形態における第1のコンデンサである。また、第1の補助スイッチ17aは、本実施形態における第2の補助スイッチング手段であり、また第2の補助スイッチ17bは、本実施形態における補助スイッチング手段である。
【0048】
第1動作モードでは、スイッチ制御部20が降圧用スイッチ14をオフ状態にしている際に、第2の補助スイッチ17bをオン状態にして、ダイオードd1(昇圧用スイッチ13)のキャリアを消滅させる動作モードである。なお、スイッチ制御部20は、第1動作モード前から昇圧用スイッチ13をオン状態にしている。
【0049】
第2の補助スイッチ17bがオン状態になる前は、第1の平滑コンデンサ11、ダイオードd1(昇圧用スイッチ13)、主リアクトル12及び補助リアクトル16を順に介する経路でダイオードd1(昇圧用スイッチ13)に対して順バイアスとなる電流が流れる(図6矢印線1A)。
【0050】
第2の補助スイッチ17bがオン状態になると、第1の平滑コンデンサ11から、補助リアクトル16、第2の補助スイッチ17b、ダイオードd3(第1の補助スイッチ17a)、ダイオードd1(昇圧用スイッチ13)を順に介して第1の平滑コンデンサ11に至る経路でダイオードd1(昇圧用スイッチ13)に対して逆バイアスとなる電流が流れる(図6矢印線1B)。これにより、ダイオードd1(昇圧用スイッチ13)のキャリアが消滅してダイオードd1(昇圧用スイッチ13)がオフ状態になる。この際、補助リアクトル16には、後述する第2の動作モードにおいて、第2のスナバコンデンサ19に蓄えられた電荷と同等またはより大きい逆極性の電荷を第1のスナバコンデンサ18に供給するエネルギーが蓄えられる。なお、第1動作モードの最中は、第2のスナバコンデンサ19の放電が行われず、第2のスナバコンデンサ19の電圧はほぼ一定に維持される。
【0051】
第2動作モードは、第1動作モードの終了後に、第2のスナバコンデンサ19からの放電を行わせる動作モードである。第1動作モードが終了すると、ダイオードd1(昇圧用スイッチ13)がオフ状態になる。すると、第2のスナバコンデンサ19、第2の平滑コンデンサ15、第1の平滑コンデンサ11、補助リアクトル16、第2の補助スイッチ17bを順に介して第2のスナバコンデンサ19に至る経路で電流が流れる(図6矢印線2A)。これにより、第2のスナバコンデンサ19からの放電が行われる。しかし、これだけでは、第2のスナバコンデンサ19の電圧が零にはならない。
【0052】
さらに、第2動作モードにおいて、スイッチ制御部20は、昇圧用スイッチ13をオフ状態にする。つまり、スイッチ制御部20は、第2の補助スイッチ17bをオン(第1の動作モード)してから第2のスナバコンデンサ19の電圧が零(最小)となる時点で降圧用スイッチ14をオン(後述する第3の動作モード)するまでの間に、第2のスナバコンデンサ19に蓄えられた電荷と同等またはより大きい逆極性の電荷を第1のスナバコンデンサ18に供給するエネルギーを補助リアクトル16に蓄えるまで昇圧用スイッチ13をオンし、その後昇圧用スイッチ13をオフ状態にする(図6参照)。
【0053】
この結果、補助リアクトル16、第2の補助スイッチ17b、ダイオードd3(第1の補助スイッチ17a)、第1のスナバコンデンサ18及び第1の平滑コンデンサ11を介して補助リアクトル16に至る経路で電流が流れる(図6点線矢印2B)。これにより、第1のスナバコンデンサ18には、第2のスナバコンデンサ19に蓄えられた電荷と同等またはより大きい逆極性の電荷が蓄えられる。これによって、図5に示すように、第2のスナバコンデンサ19では、電荷が完全に第1のスナバコンデンサ18に移動して電圧が零になる。なお、第2動作モードにおいては、主リアクトル12に流れる電流が、第2の補助スイッチ17b及びダイオードd3(第1の補助スイッチ17a)を介して環流されることになる(図6点線矢印2C)。
【0054】
第3動作モードは、第2動作モードの終了後に、スイッチ制御部20が降圧用スイッチ14をソフトスイッチングによりオン状態にする動作モードである。第2動作モードが終了すると、第2のスナバコンデンサ19の電圧が零になる。このタイミングで降圧用スイッチ14をオン状態にする。これにより、降圧用スイッチ14では、電圧が零の状態でスイッチング動作(ターンオン)がなされるZVS(Zero Voltage Switching)が実現されることとなる。
【0055】
ここで、第3動作モードでは、降圧用スイッチ14及び第2の補助スイッチ17bがオン状態でダイオードd1(昇圧用スイッチ13)がオフ状態であることから、第2の平滑コンデンサ15、第1の平滑コンデンサ11、補助リアクトル16、第2の補助スイッチ17b、ダイオードd3(第1の補助スイッチ17a)及び降圧用スイッチ14を順に介して第2の平滑コンデンサ15に至る経路で電流が流れる(図6矢印線3A)。この電流は、降圧用スイッチ14に本来流れる電流を打ち消す方向に流れる。なお、第3動作モードにおいても、第2動作モードと同様に、主リアクトル12に流れる電流が、第2の補助スイッチ17b及びダイオードd3(第1の補助スイッチ17a)を介して環流されることになる(図6点線矢印3B)。
【0056】
第4動作モードは、第3動作モードの終了後に、降圧用スイッチ14、主リアクトル12及び補助リアクトル16を流れる電流を増大させる動作モードである。上述した第3動作モードで流れる電流(降圧用スイッチ14に本来流れる電流を打ち消す方向に流れる電流(図6矢印線4A))が徐々に減少する。すると、第2の平滑コンデンサ15から降圧用スイッチ14、主リアクトル12、補助リアクトル16及び第1の平滑コンデンサ11を順に介して第2の平滑コンデンサ15に至る経路で電流が流れ初める(図6矢印線4B)。
【0057】
第5動作モードは、第4動作モードの終了後に、上述した降圧用スイッチ14に本来流れる電流を打ち消す方向に流れる電流が零になり、第2の平滑コンデンサ15から降圧用スイッチ14、主リアクトル12、補助リアクトル16及び第1の平滑コンデンサ11を順に介して第2の平滑コンデンサ15に至る経路で電流(図6矢印線5A)が増大する。
【0058】
第6動作モードは、第5動作モードの終了後に、スイッチ制御部20が降圧用スイッチ14及び第2の補助スイッチ17bをソフトスイッチングによりオフ状態にする動作モードである。降圧用スイッチ14では、第2のスナバコンデンサ19の電圧が零の状態でスイッチング動作(ターンオフ)がなされるZVS(Zero Voltage Switching)が実現され、第2の補助スイッチ17bでは、電流が零の状態でスイッチング動作(ターンオフ)がなされるZCS(Zero Current Switching)が実現される。なお、降圧用スイッチ14及び第2の補助スイッチ17bがオフ状態になると、第1の平滑コンデンサ11、第1のスナバコンデンサ18、主リアクトル12及び補助リアクトル16を順に介して第1の平滑コンデンサ11に至る経路で電流が流れる(図6矢印線6A)。また、第1の平滑コンデンサ11、第2の平滑コンデンサ15、第2のスナバコンデンサ19、主リアクトル12及び補助リアクトル16を順に介して第1の平滑コンデンサ11に至る経路で電流が流れる(図6矢印線6B)
【0059】
第7動作モードは、第6動作モードの終了後に、ダイオードd1(昇圧用スイッチ13)がオン状態になって主リアクトル12及び補助リアクトル16に蓄積された電力を端子T11,T12から出力する動作モードである。ダイオードd1(昇圧用スイッチ13)がオン状態になると、主リアクトル12、補助リアクトル16、端子T11,T12間及びダイオードd1(昇圧用スイッチ13)を順に介する経路で電流が流れる(図6矢印線7A)。そして、スイッチ制御部20は、昇圧用スイッチ13をオン状態にする。
【0060】
本実施形態によれば、補助スイッチ(昇圧時:第1の補助スイッチ17a、降圧時:第2の補助スイッチ17b)をオンしてから第1のスイッチ(昇圧時:昇圧用スイッチ13、降圧時:降圧用スイッチ14)をオンするまでの間に、第1のコンデンサ(昇圧時:第1のスナバコンデンサ18、降圧時:第2のスナバコンデンサ19)に蓄えられた電荷と同等またはより大きい逆極性の電荷を第2のコンデンサ(昇圧時:第2のスナバコンデンサ19、降圧時:第1のスナバコンデンサ18)に供給するエネルギーを補助リアクトル16に蓄えるまで第2のスイッチ(昇圧時:昇圧用スイッチ13、降圧時:降圧用スイッチ14)をオンにする。つまり、第2のスイッチをオフにすることにより第1のコンデンサに蓄えられた電荷が残留することなく第2のコンデンサに全て移動する。したがって、本実施形態によれば、スナバダイオードを備えない場合において理想的な動作条件(例えば、昇圧率2.0以上)でなくても、第1のコンデンサに蓄えられた電荷を完全に放電できるので、スナバダイオードを備えることなしに、幅広い動作条件において第1のスイッチのソフトスイッチングを実現できる。
【0061】
以上、本発明の実施形態sについて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態においては、昇圧用、降圧用スイッチ13,14の各々に対応させて第1、第2の補助スイッチ17a,17bを設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、上述した降圧動作を行わず、昇圧動作のみを行う場合には、昇圧用、降圧用スイッチ13,14のうちの昇圧用スイッチ13に対応した第1の補助スイッチ17aのみを設けるようにしてもよい。このような場合には、第1のスナバコンデンサ18と第2のスナバコンデンサ19との静電容量が等しくなくてもよく、第2のスナバコンデンサ19の静電容量が、第1のスナバコンデンサ18よりも大きければよい。
【0062】
また、逆に、上述した昇圧動作を行わず、降圧動作のみを行う場合には、昇圧用、降圧用スイッチ13,14のうちの降圧用スイッチ14に対応した第2の補助スイッチ17bのみを設けるようにしてもよい。このような場合には、第1のスナバコンデンサ18と第2のスナバコンデンサ19との静電容量が等しくなくてもよく、第1のスナバコンデンサ18の静電容量が、第2のスナバコンデンサ19よりも大きければよい。これにより、安価且つ簡素な構成にすることが可能である。
【0063】
(2)上記実施形態において、昇圧用スイッチ13、降圧用スイッチ14、第1の補助スイッチ17a及び第2の補助スイッチ17bには、ダイオードd1,d2,d3,d4が一体化されているが、各スイッチにダイオードd1,d2,d3,d4が逆並列接続されていれば、一体化されていなくてもよい。
【0064】
(3)上記実施形態では、図1に示す双方向チョッパ回路Aに上述した昇圧動作及び降圧動作を実行させたが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図7に示す双方向チョッパ回路B及び図8に示す双方向チョッパ回路Cに双方向チョッパ回路Aに実行させた昇圧動作及び降圧動作を実行させるようにしてもよい。
【0065】
例えば、双方向チョッパ回路Bは、図7に示すように、第2の昇圧用スイッチ21、第2の降圧用スイッチ22、第3のスナバコンデンサ23、第4のスナバコンデンサ24、第2の補助リアクトル25及び第2の補助回路26を備えた点において上記双方向チョッパ回路Aと相違する。したがって、双方向チョッパ回路Bは、端子T11,T12側から端子T21,T22側へ供給される直流電力の昇圧及び降圧と、端子T21,T22側から端子T11,T12側へ供給される直流電力の昇圧及び降圧とを行う、すなわち双方向における昇圧及び降圧を行うことができる。このような双方向チョッパ回路Bにおいて双方向チョッパ回路Aと同一の機能構成要素には同一符号を付し、説明を省略する。
【0066】
第2の昇圧用スイッチ21は、端子T21,T22間に供給される直流電力の電圧を昇圧して端子T11,T12から出力する際に駆動されるスイッチであり、ダイオードd11が逆並列接続されて一体化されている。
これに対し、第2の降圧用スイッチ22は、端子T11,T12間に供給される直流電力の電圧を降圧して端子T21,T22から出力する際に駆動されるスイッチであり、ダイオードd12が逆並列接続されて一体化されている。
【0067】
第3のスナバコンデンサ23は、第2の昇圧用スイッチ21に対して並列接続されると共に第4のスナバコンデンサ24に直列接続され、第2の昇圧用スイッチ21のスイッチング動作によって生じる過度的な高電圧を吸収するために設けられる保護回路である。
第4のスナバコンデンサ24は、第2の降圧用スイッチ22に対して並列接続されると共に第3のスナバコンデンサ23に直列接続され、第2の降圧用スイッチ22のスイッチング動作によって生じる過度的な高電圧を吸収するために設けられる保護回路である。
【0068】
第2の補助リアクトル25は、接続点P2と主リアクトル12の一端との間に接続されており、第2の昇圧用、降圧用スイッチ21,22や第2の補助回路26に設けられている第3、第4の補助スイッチ26a,26b(詳細は後述する)のスイッチング動作に応じて電力の蓄積や放出を行う。
【0069】
第2の補助回路26は、第2の昇圧用、降圧用スイッチ21,22に対応して設けられており、主リアクトル12、補助リアクトル16及び第2の補助リアクトル25と共に第2の昇圧用、降圧用スイッチ21,22のソフトスイッチングを実現する回路である。これら第2の補助回路26、主リアクトル12、補助リアクトル16及び第2の補助リアクトル25と第2の昇圧用、降圧用スイッチ21,22とによってSAZZチョッパ回路が形成されている。
【0070】
上述の通り、第2の補助回路26は、第2の昇圧用、降圧用スイッチ21,22に対応させて設けているので、端子T11,T12側から端子T21,T22側へ供給する直流電力の降圧と、端子T21,T22側から端子T11,T12側へ供給する直流電力の昇圧との双方を効率良く行うことが可能である。
【0071】
このような第2の補助回路26は、第3の補助スイッチ26a及び第4の補助スイッチ26bを備える。
第3の補助スイッチ26aは、第2の昇圧用スイッチ21に対応させて、つまり第2の昇圧用スイッチ21のソフトスイッチングを実現するために設けられた補助スイッチであり、一端が第4の補助スイッチ26bに接続され、他端が第3のスナバコンデンサ23と第4のスナバコンデンサ24との接続点P11に接続されている。また、第3の補助スイッチ26aには、ダイオードd13がカソード電極を接続点P11に接続されるように逆並列接続されている。
【0072】
一方、第4の補助スイッチ26bは、第2の降圧用スイッチ22に対応させて、つまり第2の降圧用スイッチ22のソフトスイッチングを実現するために設けられた補助スイッチであり、一端が第3の補助スイッチ26aに接続され、他端が主リアクトル12と第2の補助リアクトル25との接続点P12に接続されている。また、第4の補助スイッチ26bには、ダイオードd14がカソード電極を接続点P12に接続されるように逆並列接続されている。
【0073】
このような双方向チョッパ回路Bにおいて、端子T11,T12間に供給される直流電力の電圧を昇圧して端子T21,T22から出力する、または端子T21,T22間に供給される直流電力の電圧を昇圧して端子T11,T12から出力する双方の昇圧動作に、双方向チョッパ回路Aにおける昇圧動作を適用するようにしてもよい。なお、端子T21,T22間に供給される直流電力の電圧を昇圧して端子T11,T12から出力する場合において、第2の昇圧用スイッチ21は本実施形態における第3のスイッチであり、また第2の降圧用スイッチ22は本実施形態における第4のスイッチである。また、第3のスナバコンデンサ23は本実施形態における第3のコンデンサであり、また第4のスナバコンデンサ24は、本実施形態における第4のコンデンサである。また、第3の補助スイッチ26aは、本実施形態における第3の補助スイッチング手段であり、また第4の補助スイッチ26bは、本実施形態における第4の補助スイッチング手段である。
【0074】
また、双方向チョッパ回路Bにおいて、端子T11,T12間に供給される直流電力の電圧を降圧して端子T21,T22から出力する、または端子T21,T22間に供給される直流電力の電圧を降圧して端子T11,T12から出力する双方の降圧動作に、双方向チョッパ回路Aにおける降圧動作を適用するようにしてもよい。なお、端子T11,T12間に供給される直流電力の電圧を降圧して端子T21,T22から出力する場合において、第2の昇圧用スイッチ21は本実施形態における第4のスイッチであり、また第2の降圧用スイッチ22は本実施形態における第3のスイッチである。また、第3のスナバコンデンサ23は本実施形態における第4のコンデンサであり、また第4のスナバコンデンサ24は、本実施形態における第3のコンデンサである。また、第3の補助スイッチ26aは、本実施形態における第4の補助スイッチング手段であり、また第4の補助スイッチ26bは、本実施形態における第3の補助スイッチング手段である。
【0075】
次に、双方向チョッパ回路Cは、図8に示すように、第2の昇圧用スイッチ31、第2の降圧用スイッチ32、第3のスナバコンデンサ33及び第4のスナバコンデンサ34を備える点や、補助回路17における第1の補助スイッチ17aと第2の補助スイッチ17bとの位置が逆になった点や、第1の補助スイッチ17aと第2の補助スイッチ17bとの間に補助リアクトル16を配置した点において上記双方向チョッパ回路Aと相違する。したがって、双方向チョッパ回路Cは、端子T11,T12側から端子T21,T22側へ供給される直流電力の昇圧及び降圧と、端子T21,T22側から端子T11,T12側へ供給される直流電力の昇圧及び降圧とを行う、すなわち双方向における昇圧及び降圧を行うことができる。このような双方向チョッパ回路Cにおいて双方向チョッパ回路Aと同一の機能構成要素には同一符号を付し、説明を省略する。また、第2の昇圧用スイッチ31、第2の降圧用スイッチ32、第3のスナバコンデンサ33及び第4のスナバコンデンサ34については、上記双方向チョッパ回路Bにおける同一の機能構成要素(符号は異なる)であるので、説明を省略する。
【0076】
このような双方向チョッパ回路Cにおいて、補助回路17における第1の補助スイッチ17aと第2の補助スイッチ17bとの位置が逆になっている。つまり、第1の補助スイッチ17aは、一端が補助リアクトル16の一端に接続され、他端が第3のスナバコンデンサ33と第4のスナバコンデンサ24との接続点P21に接続されている。また、第2の補助スイッチ17bは、一端が補助リアクトル16の他端に接続され、他端が第1のスナバコンデンサ18と第2のスナバコンデンサ19との接続点P2に接続されている。
【0077】
このような第1、第2の補助スイッチ17a、17bは、昇圧用、降圧用スイッチ13,14に対応した補助スイッチであると共に、第2の昇圧用、降圧用スイッチ31,32に対応した補助スイッチである。つまり、第1の補助スイッチ17aは、昇圧用スイッチ13及び第2の降圧用スイッチ32に対応した補助スイッチである。また、第2の補助スイッチ17bは、降圧用スイッチ14及び第2の昇圧用スイッチ31に対応した補助スイッチである。
【0078】
また、補助リアクトル16は、双方向チョッパ回路Aと異なり、第1の補助スイッチ17aと第2の補助スイッチ17bとの間に接続されているが、双方向チョッパ回路Aと同じく、第1、第2の補助スイッチ17a,17bのスイッチング動作に応じて電力の蓄積や放出を行う。
【0079】
このような双方向チョッパ回路Cにおいて、端子T11,T12間に供給される直流電力の電圧を昇圧して端子T21,T22から出力する、または端子T21,T22間に供給される直流電力の電圧を昇圧して端子T11,T12から出力する双方の昇圧動作に、双方向チョッパ回路Aにおける昇圧動作を適用するようにしてもよい。なお、端子T21,T22間に供給される直流電力の電圧を昇圧して端子T11,T12から出力する場合において、第2の昇圧用スイッチ31は本実施形態における第3のスイッチであり、また第2の降圧用スイッチ32は本実施形態における第4のスイッチである。また、第3のスナバコンデンサ33は本実施形態における第3のコンデンサであり、また第4のスナバコンデンサ34は、本実施形態における第4のコンデンサである。また、第1の補助スイッチ17aは、本実施形態における補助スイッチング手段であり、また第2の補助スイッチ17bは、本実施形態における第2の補助スイッチング手段である。
【0080】
また、双方向チョッパ回路Cにおいて、端子T11,T12間に供給される直流電力の電圧を降圧して端子T21,T22から出力する、または端子T21,T22間に供給される直流電力の電圧を降圧して端子T11,T12から出力する双方の降圧動作に、双方向チョッパ回路Aにおける降圧動作を適用するようにしてもよい。なお、端子T11,T12間に供給される直流電力の電圧を降圧して端子T21,T22から出力する場合において、第2の昇圧用スイッチ31は本実施形態における第4のスイッチであり、また第2の降圧用スイッチ32は本実施形態における第3のスイッチである。また、第3のスナバコンデンサ33は本実施形態における第4のコンデンサであり、また第4のスナバコンデンサ34は、本実施形態における第3のコンデンサである。また、第1の補助スイッチ17aは、本実施形態における第2の補助スイッチング手段であり、また第2の補助スイッチ17bは、本実施形態における補助スイッチング手段である。
【符号の説明】
【0081】
A、B、C…双方向チョッパ回路、11…第1の平滑コンデンサ、12…主リアクトル、13…昇圧用スイッチ、14…降圧用スイッチ、15…第2の平滑コンデンサ、16…補助リアクトル、17…補助回路、18…第1のスナバコンデンサ、19…第2のスナバコンデンサ、20…スイッチ制御部、P1、P2、P3、P11、P12、P21…接続点、d1、d2、d3、d4、d11、d12、d13、d14、d21、d22…ダイオード、17a…第1の補助スイッチ、17b…第2の補助スイッチ、21…第2の昇圧用スイッチ、22…第2の降圧用スイッチ、23…第3のスナバコンデンサ、24…第4のスナバコンデンサ、25…第2の補助リアクトル、26…第2の補助回路、26a…第3の補助スイッチ、26b…第4の補助スイッチ、31…第2の昇圧用スイッチ、32…第2の降圧用スイッチ、33…第3のスナバコンデンサ、34…第4のスナバコンデンサ


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8