特許第5946069号(P5946069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5946069分注システムのためのタガント・キーシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5946069
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】分注システムのためのタガント・キーシステム
(51)【国際特許分類】
   A47K 5/12 20060101AFI20160621BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   A47K5/12 Z
   B65D83/00 K
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-504978(P2013-504978)
(86)(22)【出願日】2011年4月11日
(65)【公表番号】特表2013-524886(P2013-524886A)
(43)【公表日】2013年6月20日
(86)【国際出願番号】US2011031919
(87)【国際公開番号】WO2011130158
(87)【国際公開日】20111020
【審査請求日】2014年4月3日
(31)【優先権主張番号】61/324,975
(32)【優先日】2010年4月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506190555
【氏名又は名称】ゴジョ・インダストリーズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】キース・ペルフレイ
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−308232(JP,A)
【文献】 特表2009−519459(JP,A)
【文献】 特開2009−285661(JP,A)
【文献】 特表2007−501896(JP,A)
【文献】 特表2008−546715(JP,A)
【文献】 特表2007−511257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 5/12
B65D 83/00
G07F 13/00
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品のリザーバを有する補給装置を受領するための製品ディスペンサ装置であって、前記製品ディスペンサ装置は、
前記補給装置を受容するように構成された筐体と;、
前記筐体に備える赤外線センサと;、
前記補給装置内の前記製品の少なくとも一部を分注するために、ポンプを駆動するように構成されたアクチュエータを含み、ここで前記補給装置は高分子材料から成って前記補給装置の前記材料全体に亘って均一にタガントが分散されて前記赤外線センサから発される赤外線によって前記タガントが予測可能で再現可能な放射特性を生み出し前記補給装置を適切でかつ承認された補給装置であるものとして識別可能なものであって、前記タガントからの赤外線放射エネルギ強度が変化するように異なる補給装置には異なる密度のタガントが備えられ;及び、
異なる補給装置から放射された赤外線放射を識別するように及びそれに応じて前記ポンプの駆動を制御するように構成された前記赤外線センサと、を含む、製品ディスペンサ装置。
【請求項2】
前記アクチュエータは自動化されたセンサを含み、前記赤外線センサおよび前記自動化されたセンサは共通の電源およびコントローラに接続されている、請求項1に記載の製品ディスペンサ。
【請求項3】
アクチュエータおよび赤外線センサを含む筐体であって、前記赤外線センサは、赤外線放射源および検出器を含む、筐体と、
製品を含有する製品リザーバを含む補給装置には前記補給装置の少なくとも一部の中にタガントが分散され、及び、前記タガントからの赤外線放射エネルギ強度が変化するように異なる補給装置には異なる密度のタガントが備えられ、前記タガントは、承認された補給装置を識別するために、前記赤外線センサによって検出可能とし、承認されない補給装置が導入される場合には前記アクチュエータを駆動させない補給装置と、
を備える分注システム。
【請求項4】
前記アクチュエータおよび前記赤外線センサと連通したコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記赤外線センサによって検出されたタガントがない状態において、前記アクチュエータの駆動を防止するように適合された、請求項3に記載の分注システム。
【請求項5】
前記タガントは、前記補給装置のプラスチック構成部品内に分散される、請求項3に記載の分注システム。
【請求項6】
前記補給装置は、襟部を含み、前記タガントは、前記襟部内に分散される、請求項3に記載の分注システム。
【請求項7】
前記タガントは、希土類金属ドーパントの複数の粒子であって20〜600ミクロンの間の最大直径を有する、請求項3に記載の分注システム。
【請求項8】
前記補給装置は機械的キーを含み、前記筐体はキー溝を含み、前記機械的キーは、前記補給装置が前記筐体内に受領されると、前記キー溝内に受領される、請求項3に記載の分注システム。
【請求項9】
分注システム内の承認されない補給装置の使用を防止する方法であって、
アクチュエータを含むディスペンサ筐体、ならびに赤外線放射源および検出器を有する赤外線センサを提供することと、
製品のリザーバを有する補給装置であって前記補給装置の少なくとも一部が熱可塑性高分子材料から成形される補給装置が提供され;、
前記補給装置の中に前記熱可塑性高分子材料に混合され分散したタガントが製品バリエーション及びカスタマーの前記補給装置内の製品が識別できるように既定の量に変えられて提供され;、
前記タガントによって検出可能な波長のエネルギ放射が生成され;、
前記タガントから赤外線放射検知器によって前記タガントが検出可能な波長のエネルギを放出すること及び
前記検出可能な波長が放射エネルギ強度内に存するかどうかを決定し、前記タガントがないと前記製品の前記アクチュエータによる分注を防止する、ことと、
を含む方法。
【請求項10】
前記タガントの検出時に一定量の前記製品を分注する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
分注は、前記リザーバから一定量の流体をポンプで注入することを含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年4月16日に出願された米国仮特許出願第61/324975号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に分注システムに関する。特に、本発明は、指定された補給装置のみをその中に挿入可能にする、キーのあるディスペンサに関する。より詳細には、本発明は、補給装置の少なくとも一部内に分散された赤外線放射の読取可能なタガントを含む、電子的にキーのある流体分注システムに関する。
【背景技術】
【0003】
飲食店、工場、病院、トイレおよび家庭で使用するために、流体ディスペンサを提供することは周知である。これらのディスペンサは、たとえば、石鹸、抗菌性洗剤、殺菌剤、ローションなどの多くの製品の1つを含有することができる。ディスペンサは、当技術分野に公知のように、使用者がレバーを押すか、または引いて、一定量の流体を分注する、一部のタイプのポンプ作動機構を含んでもよい。あるいは、「ハンズフリー」自動ディスペンサはまた、使用者が単に片手または両手をセンサの下部に位置させ、一定量の流体が分注されるところにも、利用される。同様のタイプのディスペンサを使用して、粉末またはエアロゾル物質を分注してもよい。
【0004】
製品ディスペンサは、一般的に壁または他の垂直表面上に装着されるように構成され、ディスペンサの底部付近の排出口から製品が分注される。ディスペンサは、流し付近のカウンタートップの中に一体化され、分注システムのある特定の構成部品がカウンタートップの下部に配置され、排出口を含む他の構成部品がカウンタートップの上側に配置されることも公知である。これらのタイプのディスペンサは、カウンターに装着される分注システムと呼ばれることが多い。カウンターもしくはテーブル面などの水平表面上に置く卓上型ディスペンサ、または装着棒に取り付けるスタンド装着型分注システムを含む、様々な他の構成のディスペンサも、公知である。
【0005】
ディスペンサは、一定量の製品を直接保持することがあるが、このようなディスペンサは、汚れており、かつ提供が困難であることが見出された。また、これらの大量の充填システムは、汚染および健康問題を引き起こすこともある。結果として、一定量の流体を保持し、ポンプおよびノズル機構を提供する補給装置または容器の人気が、益々高まってきた。衛生補給装置または容器は、それらが容易に挿入され、置き換えられ、事実上汚れを生成しないことが有利である。
【0006】
様々な理由で、流体物質の製造業者は、一般にディスペンサ内に置く補給タイプを制御することを望む。適正な補給装置(製品のタイプ、濃度、製品の形など)を、適正なディスペンサの筐体内に置くことが懸念されることが多い。多くの場合、適正な補給装置を挿入することは、顧客に極めて重要である。たとえば、病院職員には、手術前の洗浄領域に分注された抗菌石鹸を有することは、たとえば保湿ローションなどの別の流体より不可欠である。したがって、製造業者は、適切な補給装置のみが、対応する流体ディスペンサ内に挿入できるように、それぞれのタイプの流体補給装置に対するキーのあるノズルおよびポンプ機構を提供することが多い。製造業者および関連した販売業者はまた、ディスペンサが、劣等品質であるか、または質の悪い可能性のある製品ではなく、業者の独自の製品のみを補給できることを確保するための、キーシステムに依存する。
【0007】
機械的キーは、適切な補給装置が適切なディスペンサの中に挿入され、高品質の製品をディスペンサ内に維持することを確保するのに有効であるが、これらのキーシステムも、多くの不利益を有する。たとえば、機械的キーは、容易に取り外される、または取り換えられることが多い。したがって、劣等の流体が、特定のディスペンサの中に挿入されることがあり、製造業者および販売業者は、ディスペンサ内の製品の品質を制御する能力を失うことがある。また、機械的キーは、互いに互換性のある特別なノズルおよびディスペンサを設計するために、製造業者によって負担される、著しい工具費用を必要とする。換言すると、各ディスペンサは、特定の製品、特定の販売業者および恐らく特定のローションでさえもキーがなければならない。したがって、特定のキーを備える補給装置を維持するための在庫費用は、著しくかかる。加えて、こうした補給装置を製造するための所要時間は、非常に長いことがある。さらに、ディスペンサ内の特定のキーデバイスの識別は、失われる、または損傷することがあり、その結果、どのタイプのキー構造が、補給装置に必要かを決定することが困難である。
【0008】
ディスペンサに関連した製品のタイプを制御する1つの非機械的試みは、米国特許第6,431,400B1号に開示されている。この特許は、磁気が検出され、電源スイッチを有効に閉じるために、筐体の中に適切に配向されなければならない、組み込まれた磁気を備えたウエハを利用する補給装置を開示している。磁気が検出されない場合は、ディスペンサは無効である。その述べられた目的に有効であるが、該特許に開示されたデバイスは、特定の配向が、補給装置の挿入に必要であるという不利益を被る。また、該特許は、袋上のプリント回路ウエハ上の螺旋コイルの使用も開示しており、袋は筐体の基部を担持する表面上の、類似の螺旋コイルに誘導的に結合される。袋上の螺旋コイルに結合されたコンデンサは、識別を提供するために、従来の周波数測定回路に対する共振周波数を確立する。この設計は、複数のディスペンサとともに使用するための適応性に対する教示を提供していないので、この設計は不足していると考えられる。開示された構成は、袋の識別の誤りを引き起こし得る、コイルの整合の誤りを受けるとも考えられる。加えて、放射し受け取るコイルとしての単一コイルの使用は、袋の識別の誤りを引き起こすことがある。
【0009】
ディスペンサに関連した製品のタイプを制御する別の非機械的試みは、米国特許第7,621,426号に開示されている。この特許は、補給装置が分注システムと互換性があるかどうかの判定に応答して、近距離周波数を利用する分注システムを開示している。特に、補給装置は、多くのコンデンサの1つによって終了されるコイルとともに提供される。補給装置は、挿入された補給装置のコイルと空間関係にある、1対のコイルを提供する筐体内で受領される。筐体のコイルの1つを活性化することにより、他方のコイルは、補給装置のコイルによって発生された独自の電子署名を検出する。署名が許容される場合、分注システムにより一定量の物質が分注可能になる。しかし、この分注システムは、容易に再利用されないという不利益を被る。金属コイルは、それらが配置された、すなわち補給装置の襟部の構成部品の再利用を妨げる。環境に優しい製品を提供し、天然資源の消費を低減する要望が増加することを考えれば、この分注システム内に提供される銅コイルは、不利益を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、流体ディスペンサおよび補給装置のための、持続可能な電子キーシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述に照らして、本発明の第1の態様は、電子的にキーのある分注システムを提供することである。
【0012】
本発明の別の態様は、環境に優しく再利用可能な、上述のような、分注システムを提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、筐体内の赤外線放射(IR)センサおよび補給装置の少なくとも一部の中に分散したIR可読タガントを含む、上述のような、分注システムを提供することである。
【0014】
本発明のまたさらなる別の態様は、所定の署名のある補給装置が挿入されるまで、システムの駆動を防止する、上述のような、分注システムを提供することである。
【0015】
一般に、本発明による製品のリザーバを有する補給装置を受領するための製品ディスペンサ装置は、補給装置を受容するように構成された筐体と、補給装置内の製品の少なくとも一部を分注するために、ポンプを駆動するように構成されたアクチュエータと、該補給装置から放射された赤外線放射を検出するように構成された赤外線センサと、を含む。
【0016】
本発明の少なくとも一態様によると、分注システムは、アクチュエータおよび赤外線センサを含む筐体であって、該赤外線センサは、赤外線放射源および検出器を含む、筐体と、製品を含有する製品リザーバを含む補給装置、および該補給装置の少なくとも一部の中に分散したタガントであって、該タガントは、承認された補給装置を識別するために、赤外線センサによって検出可能である、補給装置と、を含む。
【0017】
本発明の少なくとも一態様によると、分注システム内の承認されない補給装置の使用を防止する方法は、アクチュエータを含むディスペンサ筐体、ならびに赤外線放射源および検出器を有する赤外線センサを提供することと、製品のリザーバを有する補給装置および該補給装置の少なくとも一部の中に分散したタガントを提供することと、を含み、該タガントは、該赤外線放射源によって検出可能であり、該タガントがないと該製品の分注を防止する。
【0018】
本発明を完全に理解するために、以下の詳しい説明および添付図面を参照されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の概念により作成された、キーのある流体ディスペンサの正面斜視図である。
図2】キーのある流体ディスペンサの一部の分解斜視図である。
図3図2に示されたキーのある流体ディスペンサの一部の側部断面図である。
図4】ディスペンサ内に受領された際の、キーのある流体ディスペンサの補給装置の正面立面図である。
図5】本発明の概念による、キーのある流体ディスペンサの代替的実施形態の斜視図である。
図6図5のキーのある流体ディスペンサの代替的実施形態の分解図である。
図7】本発明の概念による、キーのある流体ディスペンサの別の代替的実施形態の背面立面図であり、ディスペンサは、装着基板の底面に装着されるように構成されている。
図8図7のキーのある流体ディスペンサの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
流体分注システムの分野における主な懸念は、承認されない補給装置が、製造業者のディスペンサ内、または製造業者によって承認された販売業者によって提供されたディスペンサ内に挿入されるのを防止する能力であることが、本発明の背景を読んで理解されよう。本明細書に開示された分注システムは、独自の識別子を備える補給装置を提供すること、および独自の該識別子のみの存在を検知するように適合されたセンサを備えるディスペンサ筐体を提供することにより、この必要性を満たす。
【0021】
マイクロプロセッサ・ベースのコントローラは、補給装置またはディスペンサ筐体のいずれかに関連する。コントローラを使用して、分注システムの使用が可能なあらゆる数の作動機構を制御してもよい。本明細書に開示されたディスペンサは、一定量の製品を分注するために、プッシュバー機構または「ハンズフリー」自動センサ機構などの、作動機構を利用してもよい。プッシュバー機構は、測定された量の流体を分注するために、補給装置によって運ばれたポンプ機構を駆動する、バーを押すことによって駆動されてもよい。「ハンズフリー」デバイスは、その一例が米国特許第6,390,329号に開示され、参照により本明細書に組み込まれており、個々の手の存在を検出し、次いで測定された量の流体を分注するセンサを利用する。また、コントローラは、補給装置に関連したポンプを制御する機構で作動してもよく、補給装置のディスペンサ筐体との非互換性は、ポンプの駆動を妨げる。
【0022】
ハンズフリーディスペンサおよび他のディスペンサを作動するために、低電圧電池などの電源を流体分注筐体内に提供することが公知である。流体ディスペンサ内に含有された電池を利用して、コントローラおよび/またはディスペンサ筐体に関連した通信デバイスを作動してもよい。別法として、電力は、ディスペンサの中に挿入された電子キーを介して外部から提供されてもよい。
【0023】
以下の説明から理解されるように、本発明の異なる実施形態の様々な特徴は、あらゆる数の組合せで、また1つまたは複数のディスペンサとともに利用されてもよい。したがって、以下の詳述および図は本発明の好ましい実施形態を示すが、本発明の範囲は、本明細書に論じられた具体的な構成部品または配置に限定されるべきではない。図は、垂直表面上に装着されるように構成された、壁掛け式石鹸ディスペンサを使用する例示的実施形態を示すことが記載されているが、本発明は、カウンターに装着する型、卓上型、スタンド設置型および他の流体分注システムを含むがこれに限定されない、他の構成の分注システムを明らかに含み、これらに適用することができる。また、本発明は、補給装置が分注装置の中に受容され、分注装置の構成または分注された製品によって限定されない、あらゆる分注システムに適用され得ることを企図する。
【0024】
ここで図1〜4を参照すると、分注システムは、概して番号10で表示されて、示されている。分注システム10は、分注システム10の内部構成部品を閉囲し保護する筐体12を含む。筐体12は、垂直表面に固定されるように適合された裏板14、および裏板14に対して枢動可能なカバー16を含む。カバー16は、補給装置の交換を容易にするために、分注システム10の内部構成部品に接近することが可能である。掛け金機構(図示せず)は、分注システム10が正常に作動中、カバー16を裏板14に固定し、カバー16を裏板14に対して枢動することが可能になるように解放可能である。カバー16は、必要に応じて、ディスペンサ10の内部が見られるように、覗き窓18を含んでもよい。LEDインジケータ20も提供されてもよく、インジケータ20の照明は、ディスペンサが装着されていることを示し、LEDの無照明は、装置が動作不能であることを示す。
【0025】
補給装置22(図4)は、筐体12内に受領され、交換可能であるように適合されている。補給装置22は、製品リザーバ24および製品リザーバと流体連通するポンプ機構26を含む。製品リザーバ24は、システムによって分注される物質を保持する。物質は、あらゆる流体、またはたとえば、液体石鹸、手指消毒剤、ジェル、フォームもしくはローションを含む、当業者には公知の他の形の製品であってもよい。
【0026】
ポンプ機構26は、当業者には公知のあらゆるポンプであってもよく、計られた量の流体を製品リザーバ24から分注することができる。たとえば、ポンプ機構26は、プランジャもしくはピストン・ポンプ、ダイヤフラム・ポンプ、ベローズ・ポンプ、蠕動ポンプ、またはあらゆる他の公知の容積式ポンプであってもよい。ポンプ機構26は、補給装置22が挿入されると、ディスペンサの駆動機構と作動可能に係合する。したがって、駆動機構の作動により、ポンプが計られた量の流体を分注する。ディスペンサとともに使用するのに適した駆動機構、および駆動機構をポンプに駆動可能に接合する方法は、当技術分野には周知である。
【0027】
補給装置22は、ポンプ機構26の周囲に配置され得る襟部28をさらに含む。襟部28は、筐体12内に受領されるように適合されて、その中で補給装置を固定する。図に示された実施形態では、襟部28は、概ね円筒形状である。しかし、襟部28は、筐体12内に受領されるように適合されたあらゆる形で提供されてもよい。襟部28は、そこから突出する機械的キー30を恣意的に含んでもよい(図2)。キー30は、キー溝32がキー30に対応する形状を有して、筐体12においてキー溝32内に受領されるように適合される。キー30およびキー溝32は、不適正な補給装置が筐体12の中に挿入されることを防止するのにさらに役立つ。キー30およびキー溝32は、キー溝32がその中にキー30を受領するように適合されている限り、あらゆる所望の形状または配置を有してもよい。
【0028】
ある特定の実施形態では、襟部28は、あらゆる公知の熱可塑性高分子樹脂から形成されてもよい。たとえば、襟部28は、ポリエステル樹脂から形成されてもよい。より具体的には、襟部28は、テレフタル酸ポリエチレン(PET)から形成されてもよく、PETはポリエステル・ファミリーの熱可塑性高分子樹脂である。熱可塑性樹脂は、また得られる襟部28の特性を改善または高めるために、あらゆる公知の充填剤を含んでもよい。本発明の概念により、襟部28は、識別剤を含む熱可塑性樹脂から形成され、以下により詳細に論じられるように、本明細書ではタガントとも呼ばれる。
【0029】
タガントは、襟部28の製造工程中に熱可塑性樹脂と混合されてもよく、それにより、その中に分注されたタガントを有する襟部を生成する。タガントは、襟部、およびそれと関連した補給装置22を、ディスペンサに対して適切な、承認された補給装置として識別する。襟部28内に分散されたタガントは、筐体12内に提供された赤外線(IR)センサ34によって検出されるように適合される。したがって、襟部28内に分散されたタガントが赤外線放射に曝されると、タガントは、エネルギーの検出可能な波長を放射する。
【0030】
タガントは、赤外線放射に曝されると、検出可能な信号を放射できる、あらゆる公知の化学物質、化合物または物質でもよい。襟部28内に分散され得るタガント物質の一例は、1つまたは複数の希土類金属ドーパントを含む、格子構造の基材である。ドーパントのレベル、または格子内のドーパント分子の位置を変化させることにより、異なるが、放射線源によって励起された際に、予想可能で反復可能な放射特性を示す、様々なタガント物質を生成することが可能である。他の適切なタガント物質は、当業者には周知であり、あらゆる市販のタガントが、本発明とともに使用されてもよい。熱可塑性樹脂全体を通してタガントの分散を促進するために、タガントは、微粒子であるとみなされてもよく、サイズは20〜600ミクロンの範囲であってよい。
【0031】
赤外線センサ34は、赤外線放射信号発生器、ならびに襟部28内のタガントによって放射される、エネルギーを検出するための信号検出器を含む。これらのIRセンサは、当技術分野では周知であり、公知の信号発生器と検出器とのあらゆる組合せが利用されてもよい。IR信号発生器、およびタガントによって放射されるエネルギーを検出するための検出器は、別個に提供されてもよいことも企図される。いずれの場合も、赤外線センサ34は、エネルギー源が必要になる。エネルギー源は、筐体12内に提供される電池、または外部電源でもよい。分注システム10が、電池電源に依存するハンズフリーシステムである場合、赤外線センサ34は、システムの分注機構と同じ電池または電源に依存してもよい。1つまたは複数の実施形態では、赤外線センサ34は、当業者には理解される、「飛沫帯」と呼ばれることがあるもの、すなわち分注される流体またはフォームによって噴霧されやすい領域の上に配置されるように、筐体12の上の場所または筐体12内に装着される。
【0032】
筐体12内のコントローラ(図示せず)は、赤外線センサ34によって識別されて、信号に基づいて流体を補給装置22から分注する分注システム10の能力、またはその不足を制御する。補給装置22が筐体12内に挿入され、赤外線センサ34によって検出可能な襟部28内のタガントを含む場合は、コントローラにより分注機構が機能できるようになる。逆に、補給装置が、赤外線センサ34により検出可能な襟部内に、タガントを含まない筐体12内に挿入されている場合は、コントローラはディスペンサの駆動を妨げる。このようにして、分注システム10の製造業者は、そこから分注された製品の量およびタイプの制御を維持する。また、タガントの異なる密度は、様々な製品と顧客を区別するために、異なる補給装置に提供されてもよいことも企図される。タガントの密度の変化は、IR放射に曝された際に、タガントから放射される信号およびエネルギーの強度に変化をもたらすと考えられる。別法として、UV吸収体は、補給装置内にタガントを伴って含まれて、タガントによって放射される信号の波長を変化させ、それにより独自の電子キーを補給装置に提供してもよいことが企図される。
【0033】
本発明のある特定の実施形態では、襟部28は、そこから延在するフラグまたは他の突出部を含んでもよい。襟部28全体を通してタガントを提供するより、むしろタガントは、フラグ内のみに提供されてもよい。したがって、フラグは、センサが赤外線放射に曝された際に、タガントによって放射されるエネルギーを容易に検出できるように、筐体12内の赤外線センサ34に隣接して配置されるはずである。センサの検出および信頼性を向上させるために、フラグと赤外線センサとの間に、空間または隙間が提供されてもよい。ある特定の実施形態では、タガントは、キー30とセンサ34が近接している状態で、該キー内に提供されてもよい。
【0034】
ある特定の実施形態では、機械的キーシステムはまた、分注システムの安全性を高めるために提供されてもよい。機械的キーシステムは、当業者には周知であり、通常、補給装置上に配置された物理キー、および筐体上に配置された受領キー溝を含む。不適正な機械的キーが存在すると、補給装置が筐体の中に挿入するのを防止し、それにより詰め込みを防止してもよい。1つまたは複数の実施形態では、電子キーシステムは、補給装置の製造業者を識別するために提供されてもよく、機械的キーは、同一製造業者によって製造された、いくつかの補給装置を区別するために使用されてもよい。したがって、タガントおよび適正な機械的キーを含む補給装置のみによって、補給装置が筐体の中に挿入でき、ディスペンサが製品を分注可能になる。例示的な機械的キーシステムは、米国特許第7,798,370号に開示されており、適切な機械的キーシステムを教示する目的で本明細書に組み込まれている。
【0035】
次に図5および6を参照すると、キーのある流体ディスペンサの代替的実施形態が示されており、概ね番号50で示されている。泡ディスペンサ10は、それに作動可能に結合されたモータ駆動によって駆動される、回転駆動板56によって運ばれる、複数の回転係合部材54を含む蠕動ポンプ52を備える。補給装置57は、取付アダプタ62を介して補給容器60に一端で流体結合される、可撓性である排出管58を含む。ある特定の実施形態では、排出管58の他方の端部は、泡チップノズル64に結合されてもよい。排出管58は、ディスペンサ10に枢動可能に、また可動に取り付けられた誘導部66により、回転係合部材54に対して圧縮して保持される。したがって、係合部材54が回転し、排出管58を誘導部66に対して圧縮すると、補給容器60によって運ばれる石鹸などの流体物質が排出管58の中に引き込まれ、あるいはポンプで注入され、圧力により泡チップノズル64の中に押し込まれ、空気が、加圧された流体物質の中に導入され、流体物質は空気に触れて泡になり、そこから分注される。
【0036】
ディスペンサ10は、筐体70およびそれに取り付けられ、開位置と閉位置との間で移動できるピボットドア72を含む。枠部74は、筐体70内に配置され、筐体70は、その中に配置された補給容器60を収容し担持するために保持容器76を提供する。ある特定の実施形態では、筐体70は、補給装置57の成形部分内に分散された、タガントによって放射される、エネルギーの存在を検出するように適合された、上述のような、赤外線センサ78を含んでもよい。1つまたは複数の実施形態では、タガントは、取付アダプタ62内に分散されてもよい。しかし、タガントは、熱可塑性高分子樹脂で作成された補給装置のあらゆる部分に提供されてもよいことが企図され、赤外線センサ78は、補給装置のタガントを含む部分の場所に隣接した、筐体70上の場所に配置されてもよい。
【0037】
次に図7および8を参照すると、キーのある流体ディスペンサの別の代替的実施形態が示され、概ね番号100で示されている。ディスペンサ100は、図9に示されたように、装着基部102に装着されるように構成されている。たとえば、装着基部102は、トイレで手を洗うために使用される、洗面器を担持するために使用されるなどの、カウンタートップを含んでもよい。装着基部102は、上部表面104および反対側の下部表面106を含み、たとえば木、プラスチック、または陶磁器などの、あらゆる適切な材料から形成されたディスペンサ100を装着するために適切な、あらゆる構造を備えてもよい。
【0038】
ディスペンサ100は、補給容器112と排出管114を介して流体連通する、ノズル110を含む。補給容器112によって運ばれる、液体石鹸、手指消毒剤、保湿剤などの流体物質は、そこから排出管114を介して、排出管114と作動可能に連通するポンプ116によってポンプで注入される。示された実施形態では、ポンプ116は、蠕動ポンプであるが、ディスペンサ100は、あらゆる公知のポンプ設計を利用するように適合されてもよい。流体物質が排出管114を通過すると、流体物質は、ノズル110内に保持された泡チップによって流体から泡に変質されてもよく、ノズル110は排出管114と流体連通している。加えて、蠕動ポンプ116、補給容器112およびディスペンサ100の様々な他の構成部品は、サポートハンガ120により装着基部102の底面の床部から離れてぶら下がる。したがって、ディスペンサ100の構成部品は、装着基部102の下部の床部空間に持ち上げられることなく、該装着基部の下部に隠され、使用者の視界から隠すことができる。
【0039】
ある特定の実施形態では、ディスペンサ100は、補給容器112の成形部分内に分散されたタガントによって放射される、エネルギーの存在を検出するように適合された、他の実施形態について上述のように、赤外線センサ122を含んでもよい。1つまたは複数の実施形態では、タガントは、補給容器112の襟部124内に分散されてもよい。しかし、タガントは、熱可塑性高分子樹脂で作成された、補給容器のあらゆる部分に提供されてもよいことが企図され、赤外線センサ122は、補給装置のタガントを含む部分の場所に隣接した場所に配置されてもよい。ある特定の実施形態では、赤外線センサ122は、ディスペンサ100のサポートハンガ120に固定されてもよい。赤外線センサ122およびポンプ116は、一般的な電源および制御回路に接続されてもよく、または恣意的に個別の電源供給装置および制御回路に接続されてもよい。ポンプ116の作動は、補給容器112内のタガントの存在が、赤外線センサ122によって検出されない限り、防止される。
【0040】
したがって、本明細書に記載されたように構成された分注システムは、本発明の目的を実現し、あるいは当技術分野を実質的に改善することは明らかである。特許法に従って、最良の形態および好ましい実施形態のみが示され、詳しく説明されており、本発明はこの記載によって限定されるべきではない。本発明の真の範囲および広がりを理解するために、以下の特許請求の範囲を参照されるべきである。
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