(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の表示機では、例えば前方からの吹雪などにより表示部上に雪が付着したときに、表示部の視認性を確保することが困難であった。
また前記従来の表示機では、特に豪雪地域などにおいては、庇への着雪を抑えきれず、庇上に雪塊が形成されることがある。この場合も、雪塊が成長して表示部を前方から覆い隠すことで、表示部の視認性を確保することが困難になった。庇への着雪を抑えるため、ヒータの発熱量を高めることも考えられるが、この場合、エネルギー消費が多大になる。
なお、表示部の視認性を確保できなくなったときには、人力による除雪が必要となり、膨大な労力を要する。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、エネルギー消費を抑えつつ表示部の視認性を確保し易くすることができる表示機用カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る表示機用カバーは、表示部が本体部の前面に配置された表示機に装着される表示機用カバーであって、前記本体部の前面に配置され、この表示機用カバーを前方から見た正面視において前記表示部を囲う筒状のカバー本体と、前記カバー本体の前端開口部を閉塞し、前記表示機と前記カバー本体との間にカバー内空間を形成する透明発熱体と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、表示機の表示部は、透明発熱体を通して前方から視認される。
ここで表示部が、カバー本体および透明発熱体により覆われていることから、表示部上への着雪を抑えることができる。また透明発熱体を発熱させることで、透明発熱体上への着雪も抑制することができる。しかもこのとき、透明発熱体によりカバー内空間内の空気も加熱されることから、透明発熱体が、カバー内空間内の空気を介してカバー本体を加熱することが可能になり、カバー本体への着雪も抑制することができる。なおこのとき、カバー内空間内で加熱された空気は、カバー内空間内を上昇することで、カバー本体のうち、天壁部分を加熱し易くなっており、天壁部分上への着雪が効果的に抑制される。
【0008】
このように、この表示機用カバーによれば、表示部および透明発熱体への着雪を抑えることができる。
また、カバー本体への着雪を抑えることができるので、カバー本体上の雪塊が成長して表示部を覆い隠すのを抑制することもできる。
以上より、表示部の視認性を確保し易くすることができる。さらに、透明発熱体を発熱させることにより、透明発熱体への着雪およびカバー本体のへの着雪の両方を抑えることができるので、エネルギー消費を抑えることもできる。
【0009】
また、本発明に係る表示機用カバーでは、前記透明発熱体は、前記カバー本体の前端開口部内に嵌合された基板部と、前記基板部に積層され、少なくとも一部が発熱領域とされた膜部と、を備えていてもよい。
【0010】
この場合、透明発熱体が、前記基板部および前記膜部を備えているので、膜部の発熱領域を基板部の広い範囲にわたって設けることで、透明発熱体を広い範囲でむら無く発熱させ易くすることが可能になり、透明発熱体への着雪を確実に抑えることができる。
またこのように、透明発熱体を広い範囲でむら無く発熱させ易くすることができるので、例えば基板部に、熱源となる電熱線が配置された構成などに比べて、基板部が局所的に高温になるのを抑えることができる。これにより、基板部を形成する材料についての耐熱性の条件を緩和することが可能になり、基板部を形成する材料を多様な材料から採用し易くすることができる。
【0011】
また、本発明に係る表示機用カバーでは、前記カバー本体の前端面を加熱する端部発熱体を備えていてもよい。
【0012】
この場合、カバー本体の前端面を加熱する端部発熱体を備えているので、仮にカバー本体上の雪塊が透明発熱体側に向けて成長しようとしても、端部発熱体により、カバー本体の前端面で雪塊の成長を塞き止め易くすることができる。これにより、カバー本体上の雪塊が成長して表示部を覆い隠すのを確実に抑制することが可能になり、表示部の視認性をより一層確保し易くすることができる。
なお端部発熱体が、カバー本体の前端面を、この前端面の全周にわたって加熱する場合、例えば表示機用カバーに、カバー本体および透明発熱体の全体を前方から覆う雪膜が形成されたときに、端部発熱体がカバー本体の前端面を加熱することで、雪膜の外周縁部を全周にわたって溶融することができる。これにより、雪膜を表示機用カバーから除去することが可能になり、表示部の視認性を確保し易くすることができる。
【0013】
また、本発明に係る表示機用カバーでは、前記カバー本体の前端開口部は、前方斜め下方に向けて開口し、前記透明発熱体は、上方から下方に向かうに従い漸次、後方に向けて延在していてもよい。
【0014】
この場合、カバー本体の前端開口部が、前方斜め下方に向けて開口し、かつ透明発熱体が、上方から下方に向かうに従い漸次、後方に向けて延在しているので、透明発熱体上に着雪したとしても、この雪を例えば自重などにより、透明発熱体の前面を伝わせて下方に移動させたり、透明発熱体から落下させたりすることが可能になり、表示部の視認性をより一層確保し易くすることができる。
また透明発熱体が、上方から下方に向かうに従い漸次、後方に向けて延在しているので、例えば透明発熱体が、上方から下方に向けて真っ直ぐに延在している場合に比べて、透明発熱体により加熱されたカバー内空間内の空気により、カバー本体の天壁部分を確実に加熱することが可能になり、天壁部分上への着雪を一層効果的に抑制することができる。
【0015】
また、本発明に係る表示機用カバーでは、前記カバー本体の前端部には、このカバー本体の径方向の内側に向けて突出する前フランジ部が設けられ、前記透明発熱体は、外周縁部がシール材により前記前フランジ部に固着された板状に形成され、前記透明発熱体の外周縁部には、前方に向けて開口し前記前フランジ部が配置された切り欠き部が形成され、前記シール材は、前記切り欠き部に、この切り欠き部の切り欠き面と前記前フランジ部との間を埋め込むように配設されていてもよい。
【0016】
この場合、透明発熱体の外周縁部に、前フランジ部が配置された切り欠き部が形成されているので、前フランジ部により切り欠き面を前方から支持して透明発熱体を保持しつつ、カバー本体の前端面が透明発熱体の前面に対して前方に大きく張り出すのを抑えることができる。これにより、透明発熱体の前面とカバー本体の前端面との間に大きな段部が形成されるのを抑制することが可能になり、表示機用カバーへの着雪を効果的に抑制することができる。
またシール材が、切り欠き部に、この切り欠き部の切り欠き面と前フランジ部との間を埋め込むように配設されているので、シール材により切り欠き面と前フランジ部とを強固に固着しつつ、シール材がカバー本体の前端面に対して前方に膨出するのを抑制することができる。これにより、シール材とカバー本体の前端面との間に大きな段部が形成されるのを抑えることも可能になり、表示機用カバーへの着雪を一層効果的に抑制することができる。
【0017】
また、本発明に係る表示機用カバーでは、前記カバー本体の天壁部分に配置された天壁発熱体を備えていてもよい。
【0018】
この場合、カバー本体の天壁部分に配置された天壁発熱体を備えているので、天壁発熱体を発熱させることで、カバー本体の天壁部分上への着雪を確実に抑制することができる。
また前述のように、透明発熱体を発熱させることでも、天壁部分上への着雪を抑制することができるので、天壁発熱体のエネルギー消費を抑えつつ、天壁部分上への着雪を確実に抑制することができる。
また、カバー本体の天壁部分に配置された天壁発熱体を備えているので、カバー本体の天壁部分上の雪塊が下方に向けて成長したとしても、天壁部分上に位置する雪塊の本体部分を天壁発熱体により溶融することで、この本体部分から成長する雪塊の成長部分をカバー本体から落下させることも可能になり、表示部の視認性を一層確保し易くすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、エネルギー消費を抑えつつ表示部の視認性を確保し易くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る表示機用カバーを備える表示装置を説明する。
図1から
図3に示すように、表示装置10は、信号機(表示機)20と、信号機用カバー(表示機用カバー)30と、を備えている。
信号機20は、例えば鉄道用の交通信号機などとして用いられる。信号機20は、内容が変化する情報を表示する。信号機20は、本体部21と、本体部21の前面に配置された表示部22と、を備えている。
【0022】
本体部21は鉛直方向に細長く、本体部21の鉛直方向の大きさは、本体部21の前後方向の大きさ、および、本体部21の左右方向の大きさのいずれよりも大きい。本体部21の前端部には、本体部21の全周にわたって延在する鍔部21aが突設されている。表示部22は、点滅可能な信号灯22aを備えている。信号灯22aは、鉛直方向に複数配置されている。信号灯22aの発光色は、信号灯22aごとに異なっている。表示部22は、信号機用カバー30の後述する透明発熱体32を通して前方から視認される。
【0023】
信号機用カバー30は、信号機20に装着される。
図1から
図7に示すように、信号機用カバー30は、カバー本体31と、透明発熱体32と、端部発熱体33と、天壁発熱体34と、を備えている。
図1に示すように、カバー本体31は、信号機20の本体部21の前面に配置され、この信号機用カバー30を前方から見た正面視において表示部22を囲う筒状に形成されている。カバー本体31は、前記正面視において複数の信号灯22aの全てを囲っている。
図2に示すように、カバー本体31は、信号機20の本体部21から前方に向けて突出している。カバー本体31の後端開口部は、本体部21により閉塞されている。
【0024】
図1に示すように、カバー本体31の内周面には、固定片35が突設されている。固定片35は、前記正面視において信号灯22aを回避する位置に配置されている。固定片35には、後方に向けて開口するねじ孔が形成されている。前記ねじ孔には、鍔部21aに後方から差し込まれた図示しないボルトがねじ込まれている。これにより、信号機用カバー30が信号機20に着脱可能に装着されている。
【0025】
カバー本体31の天壁部分36は、左右方向の中央部から外側に向かうに従い漸次、下方に向けて延在している。天壁部分36は、前記正面視において上方に向けて凸となるように湾曲している。
図2に示すように、天壁部分36の後端部は、天壁部分36において後端部よりも前方に位置する部分に比べて下方に窪んでおり、天壁部分36の後端部上には、上方に向けて開口する窪み部36aが設けられている。窪み部36aは、この信号機用カバー30を側方(左右方向)から見た側面視において矩形状をなしている。
【0026】
図1に示すように、カバー本体31の底壁部分37における左右方向の大きさは、天壁部分36における左右方向の大きさと同等となっている。底壁部分37は、前記正面視において左右方向に真っ直ぐに延在している。
図2および
図5に示すように、底壁部分37の前端部は、底壁部分37において前端部よりも後方に位置する基壁部37aに比べて下方に突出している。底壁部分37の前端部は、基壁部37aよりも下方に位置する端壁部37bと、端壁部37bと基壁部37aとを連結する連結壁部37cと、を備えている。基壁部37aと端壁部37bとは互いに平行である。
【0027】
図4から
図6に示すように、カバー本体31の前端部には、このカバー本体31の径方向の内側に向けて突出する前フランジ部38および後フランジ部39が設けられている。
前フランジ部38は、カバー本体31の前端縁に環状に形成されている。前フランジ部38において前方を向く表面は、カバー本体31の前端面31aを構成している。
【0028】
後フランジ部39は、前フランジ部38よりも後方に位置している。後フランジ部39の突出量は、前フランジ部38の突出量よりも大きい。後フランジ部39は、前フランジ部38と平行である。後フランジ部39は、前記正面視において逆U字状とされている。後フランジ部39は、カバー本体31の天壁部分36および一対の側壁部分40に配置されている。後フランジ部39の下端は、カバー本体31の底壁部分37の前記連結壁部37cに連結されている。
【0029】
カバー本体31の前端部には、環状溝41が設けられている。環状溝41は、カバー本体31の前端部の内周面に形成されている。環状溝41は、カバー本体31の全周にわたって形成されている。環状溝41は、前フランジ部38と、後フランジ部39または連結壁部37cと、の間に形成されている。
図2に示すように、カバー本体31の前端開口部31bは、前方斜め下方に向けて開口している。カバー本体31の前端面31aは、前記側面視において、上方から下方に向かうに従い漸次、後方に向けて延在している。
【0030】
図1に示すように、天壁発熱体34は、カバー本体31の天壁部分36に配置されている。天壁発熱体34は、カバー本体31の天壁部分36の内周面に沿って配置された板状に形成されている。天壁発熱体34は、前記正面視において上方に向けて凸となるように湾曲している。
図2に示すように、天壁発熱体34は、天壁部分36において前記窪み部36aよりも前方に位置する部分に配置されている。天壁発熱体34は、カバー本体31の内周面に突設された支持部材により、下方から支持されている。なお天壁発熱体34としては、例えば伝熱基板に発熱線材を埋設した構成などを採用してもよい。前記発熱線材としては、例えばニクロム線などを採用してもよい。
【0031】
図4から
図6に示すように、端部発熱体33は、カバー本体31の前端面31aを加熱する。端部発熱体33は、カバー本体31の前端面31aを、この前端面31aの全周にわたって加熱する。端部発熱体33は、カバー本体31の全周にわたって形成されている。端部発熱体33は、カバー本体31の前端面31aの後方に配置されており、前記環状溝41内に嵌合されている。なお端部発熱体33としては、例えば管状の絶縁体部材により被覆された発熱線材などを採用してもよい。
【0032】
図2、
図4から
図6に示すように、透明発熱体32は、カバー本体31の前端開口部31bを閉塞している。透明発熱体32は、上方から下方に向かうに従い漸次、後方に向けて延在している。透明発熱体32は、前記側面視において、直線状に延在し、信号機20の前記鍔部21aに対して傾斜している。透明発熱体32は、カバー本体31の前端開口部31b内に配置されている。透明発熱体32の下端部は、カバー本体31の底壁部分37の前記基壁部37aよりも下方に位置している。
【0033】
図4から
図6に示すように、透明発熱体32は、外周縁部がシール材sにより前フランジ部38、後フランジ部39および連結壁部37cに固着された板状に形成されている。透明発熱体32の外周縁部は、カバー本体31の前フランジ部38により前方から支持され、後フランジ部39および連結壁部37cにより後方から支持されている。透明発熱体32の外周縁部は、シール材sにより、カバー本体31に、このカバー本体31の全周にわたって連結されている。透明発熱体32は、信号機20とカバー本体31との間にカバー内空間42を形成している。
【0034】
透明発熱体32の外周縁部には、前方に向けて開口し前フランジ部38が配置された切り欠き部32bが形成されている。切り欠き部32bは、この外周縁部の全周にわたって延在している。切り欠き部32bの切り欠き面32cは、前方を向く第1面と前記径方向の外側を向く第2面とが角部を介して連結されてなる。切り欠き部32bには、前フランジ部38の内周縁部が配置されている。
【0035】
シール材sは、切り欠き部32bに、切り欠き面32cと前フランジ部38との間を埋め込むように配設されている。シール材sは、カバー本体31の前端面31aに対して前方に膨出していない。またシール材sは、透明発熱体32の後面の外周縁部と後フランジ部39との間を埋め込むように配設されている。
【0036】
そして、透明発熱体32の前面32aおよびカバー本体31の前端面31aのそれぞれにおいて、カバー本体31の前端開口部31bの開口方向に沿った位置が互いに同等となっている。なお図示の例では、透明発熱体32の前面32aは、カバー本体31の前端面31aに対して、前記開口方向に沿って僅かに後側に位置している。
【0037】
透明発熱体32は、カバー本体31の前端開口部31b内に嵌合された基板部43と、基板部43に積層された膜部44と、を備えている。基板部43は、例えば樹脂材料などにより形成してもよい。前記樹脂材料としては、例えばポリカーボネート樹脂などが挙げられる。なお基板部43の表面には、基板部43を保護する図示しないコート層や、このコート層と基板部43との接着性を高める図示しないプライマー層が形成されていてもよい。
【0038】
膜部44は、基板部43の後面に、この後面の全面にわたって形成されている。膜部44は、積層構造とされている。膜部44は、後方から前方に向けて順に、図示しない緩衝層、導電膜および保護層を備えている。
前記導電膜は、電力の供給を受けて発熱する。前記導電膜は、例えばスズ含有酸化インジウム(ITO)などにより形成されていてもよい。前記緩衝層は、基板部43と前記導電膜との間に配置されている。前記緩衝層は、基板部43と前記導電膜との熱伸縮差を吸収する。前記緩衝層は、例えば酸化チタン(TiO
2)および/または五酸化ニオブ(Nb
2O
5)などにより形成されていてもよい。前記保護層は、前記導電膜の後面に形成され、前記導電膜を保護する。前記保護膜は、例えばアクリルシリコーン系樹脂および/またはアクリルウレタン系樹脂などにより形成されていてもよい。
【0039】
ここで
図7に示すように、前記導電膜と前記保護膜との間には、前記導電膜に電力を供給する一対の電極45が設けられている。これらの両電極45は、前記導電膜の後面に配置され、前記保護膜により後方から保護されている。両電極45は、左右方向に間隔をあけて配置されている。そして膜部44のうち、両電極45の間に位置する部分が、発熱領域44aとなっている。
【0040】
発熱領域44aは、この膜部44のうち、前記正面視において信号機20の表示部22と重なる位置に配置されている。発熱領域44aは、表示部22の全体(図示の例では、全ての信号灯22a)を一体に覆うように配設されている。発熱領域44aの下端は、表示部22よりも下方に位置し、カバー本体31の底壁部分37の基壁部37aよりも下方に位置している。発熱領域44aの上端は、表示部22よりも上方に位置し、天壁発熱体34の下端よりも上側に位置している。発熱領域44aは、透明発熱体32の外周縁部よりも内側に位置する部分に位置している。
【0041】
なお透明発熱体32は、視界を確保するために十分な高い光線透過率を有している。透明発熱体32は、信号機用カバー30を前方から見たときに、この透明発熱体32を通して表示部22を視認可能な程度、透明となっている。この種の透明発熱体32としては、例えば特開2008−41343号公報に示された発熱性樹脂基板などが挙げられる。
【0042】
透明発熱体32、端部発熱体33および天壁発熱体34は、発熱温度が調整可能である。透明発熱体32、端部発熱体33および天壁発熱体34は、図示しない電源から電力が供給されることで発熱する。前記電源は、図示しない電源制御部により制御される。前記電源制御部は、例えばサーモスタットを備えていてもよく、外気温や前記カバー内空間42の温度などに応じて電力の供給を制御してもよい。
なお信号機20には、前記電源から電力が供給されていてもよく、前記電源とは異なる他の電源から電力が供給されていてもよい。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係る信号機用カバー30によれば、表示部22が、カバー本体31および透明発熱体32により覆われていることから、表示部22上への着雪を抑えることができる。また透明発熱体32を発熱させることで、透明発熱体32上への着雪も抑制することができる。しかもこのとき、透明発熱体32によりカバー内空間42内の空気も加熱されることから、透明発熱体32が、カバー内空間42内の空気を介してカバー本体31を加熱することが可能になり、カバー本体31への着雪も抑制することができる。なおこのとき、カバー内空間42内で加熱された空気は、カバー内空間42内を上昇することで、カバー本体31のうち、天壁部分36を加熱し易くなっており、天壁部分36上への着雪が効果的に抑制される。
【0044】
このように、この信号機用カバー30によれば、表示部22および透明発熱体32への着雪を抑えることができる。
また、カバー本体31への着雪を抑えることができるので、カバー本体31上の雪塊が成長して表示部22を覆い隠すのを抑制することもできる。
以上より、表示部22の視認性を一層確保し易くすることができる。さらに、透明発熱体32を発熱させることにより、透明発熱体32への着雪およびカバー本体31のへの着雪の両方を抑えることができるので、エネルギー消費を抑えることもできる。
【0045】
また、透明発熱体32が、前記基板部43および前記膜部44を備えているので、膜部44の発熱領域44aを基板部43の広い範囲にわたって設けることで、透明発熱体32を広い範囲でむら無く発熱させ易くすることが可能になり、透明発熱体32への着雪を確実に抑えることができる。
またこのように、透明発熱体32を広い範囲でむら無く発熱させ易くすることができるので、例えば基板部に、熱源となる電熱線が配置された構成などに比べて、基板部43が局所的に高温になるのを抑えることができる。これにより、基板部43を形成する材料についての耐熱性の条件を緩和することが可能になり、基板部43を形成する材料を多様な材料から採用し易くすることができる。
【0046】
さらに、カバー本体31の天壁部分36に配置された天壁発熱体34を備えているので、天壁発熱体34を発熱させることで、カバー本体31の天壁部分36上への着雪を確実に抑制することができる。
また前述のように、透明発熱体32を発熱させることでも、天壁部分36上への着雪を抑制することができるので、天壁発熱体34のエネルギー消費を抑えつつ、天壁部分36上への着雪を確実に抑制することができる。
【0047】
また、カバー本体31の天壁部分36に配置された天壁発熱体34を備えているので、カバー本体31の天壁部分36上の雪塊が下方に向けて成長したとしても、天壁部分36上に位置する雪塊の本体部分を天壁発熱体34により溶融することで、この本体部分から成長する雪塊の成長部分をカバー本体31から落下させることも可能になり、表示部22の視認性を一層確保し易くすることができる。
【0048】
また、カバー本体31の前端面31aを加熱する端部発熱体33を備えているので、仮にカバー本体31上の雪塊が透明発熱体32側に向けて成長しようとしても、端部発熱体33により、カバー本体31の前端面31aで雪塊の成長を塞き止め易くすることができる。これにより、カバー本体31上の雪塊が成長して表示部22を覆い隠すのを確実に抑制することが可能になり、表示部22の視認性をより一層確保し易くすることができる。
なお本実施形態のように、端部発熱体33が、カバー本体31の前端面31aを、この前端面31aの全周にわたって加熱する場合、例えば信号機用カバー30に、カバー本体31および透明発熱体32の全体を前方から覆う雪膜が形成されたときに、端部発熱体33がカバー本体31の前端面31aを加熱することで、雪膜の外周縁部を全周にわたって溶融することができる。これにより、雪膜を信号機用カバー30から除去することが可能になり、表示部22の視認性を確保し易くすることができる。
【0049】
さらに、カバー本体31の前端開口部31bが、前方斜め下方に向けて開口し、かつ透明発熱体32が、上方から下方に向かうに従い漸次、後方に向けて延在しているので、透明発熱体32上に着雪したとしても、この雪を例えば自重などにより、透明発熱体32の前面32aを伝わせて下方に移動させたり、透明発熱体32から落下させたりすることが可能になり、表示部22の視認性をより一層確保し易くすることができる。
しかも本実施形態では、透明発熱体32の下端部が、基壁部37aよりも下方に位置しているので、透明発熱体32の前面32aを伝って下方に移動した雪が、仮に透明発熱体32の下端部から落下しなかったとしても、この下端部上に留まった雪により表示部22の視認性に影響が生じるのを抑え易くすることが可能になり、視認性をさらに確保し易くすることができる。
【0050】
また透明発熱体32が、上方から下方に向かうに従い漸次、後方に向けて延在しているので、例えば透明発熱体32が、上方から下方に向けて真っ直ぐに延在している場合に比べて、透明発熱体32により加熱されたカバー内空間42内の空気により、カバー本体31の天壁部分36を確実に加熱することが可能に成り、天壁部分36上への着雪を一層効果的に抑制することができる。
【0051】
また、透明発熱体32の外周縁部に、前フランジ部38が配置された切り欠き部32bが形成されているので、前フランジ部38により切り欠き面32cを前方から支持して透明発熱体32を保持しつつ、カバー本体31の前端面31aが透明発熱体32の前面32aに対して前方に大きく張り出すのを抑制することができる。これにより、透明発熱体32の前面32aとカバー本体31の前端面31aとの間に大きな段部が形成されるのを抑えることが可能になり、信号機用カバー30への着雪を効果的に抑制することができる。
またシール材sが、切り欠き部32bに、この切り欠き部32bの切り欠き面32cと前フランジ部38との間を埋め込むように配設されているので、シール材sにより切り欠き面32cと前フランジ部38とを強固に固着しつつ、シール材sが、カバー本体31の前端面31aに対して前方に膨出するのを抑制することができる。これにより、シール材sとカバー本体31の前端面31aとの間に大きな段部が形成されるのを抑えることも可能になり、信号機用カバー30への着雪を一層効果的に抑制することができる。
【0052】
また、透明発熱体32が、カバー本体31の前端開口部31b内に配置されているので、例えば透明発熱体が、カバー本体よりも前方に配置され、透明発熱体の外周縁部が、カバー本体よりも、カバー本体の径方向の外側に突出している場合に比べて、信号機用カバー30への着雪を効果的に抑制することができる。すなわち、透明発熱体の外周縁部が、カバー本体よりも前記径方向の外側に突出している場合、透明発熱体の外周縁部により、カバー本体から前記径方向の外側に突出する突出部が形成され、この突出部とカバー本体との間に雪塊が形成され易くなる。
【0053】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、天壁発熱体34はなくてもよい。
また膜部44の発熱領域44aは、前記実施形態に示したものに限られず、膜部の少なくとも一部が発熱領域とされていればよい。例えば、膜部の全面にわたって発熱領域が設けられていてもよい。
【0054】
また前記実施形態では、膜部44は、基板部43の後面に形成されているものとしたが、これに限られず、例えば基板部の前面に形成されていてもよい。さらに透明発熱体として、互いに積層された一対の基板部と、これらの基板部に挟み込まれた膜部と、を備える構成を採用してもよい。
【0055】
また前記実施形態では、透明発熱体32が、基板部43と、基板部43上に形成された膜部44と、を備えているものとしたが、これに限られない。例えば透明発熱体が、一対の透明基板の間に、格子状の電熱線が挟み込まれた構成であってもよい。
さらに前記実施形態では、透明発熱体32の外周縁部に、切り欠き部32bが形成されているものとしたが、切り欠き部32bはなくてもよい。
【0056】
また前記実施形態では、カバー本体31の前端開口部31bが、前方斜め下方に向けて開口しているものとしたが、これに限られない。例えば、カバー本体の前端開口部が、前後方向に平行に開口していてもよい。
【0057】
また前記実施形態では、前記環状溝41が、前フランジ部38と、後フランジ部39または連結壁部37cと、の間に形成されているものとしたが、これに限られない。例えば環状溝が、カバー本体の内周面が窪むことで形成されていてもよい。
さらに前記実施形態では、端部発熱体33が、カバー本体31の前端面31aを、この前端面31aの全周にわたって加熱するものとしたが、これに限られない。例えば端部発熱体が、カバー本体の前端面のうち、左右方向の両側に位置する各部分を限定的に加熱してもよい。
さらにまた、端部発熱体33はなくてもよい。
【0058】
また前記実施形態では、透明発熱体32が、カバー本体31の前端開口部31b内に配置されているものとしたが、これに限られない。例えば透明発熱体が、カバー本体よりも前方に位置し、透明発熱体が、カバー本体の前端面に固着されていてもよい。
【0059】
また前記実施形態では、カバー本体31が、前記正面視において複数の信号灯22aの全てを囲っているものとしたが、これに限られない。例えば、カバー本体が、前記正面視において複数の信号灯を各別に囲っていてもよい。
さらに前記実施形態では、信号灯22aが、鉛直方向に複数配置されているものとしたが、これに限られず、左右方向に複数配置されていてもよい。
【0060】
また前記実施形態では、固定片35の前記ねじ孔にボルトがねじ込まれることで、信号機用カバー30が信号機20に装着されているものとしたが、これに限られない。例えば、固定片から後方に向けてボルトが突設され、このボルトが、表示機に形成された挿通孔に挿通されてこのボルトの突端部にナットが締め付けられることで、信号機用カバーが信号機に装着されてもよく、その他の方法により装着されていてもよい。
【0061】
また、前記実施形態では、本発明に係る表示機として信号機20を採用したが、これに限られない。例えば表示機として、自動車用道路において渋滞情報や事故情報を表示する交通情報表示板を採用してもよい。さらに例えば、表示機として、自動車用道路における標識など、内容が変化しない情報を表示する構成を採用してもよい。
【0062】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。