特許第5946129号(P5946129)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5946129
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】受皿付きポンプ
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20160621BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   B65D83/00 K
   B65D47/34 D
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-146617(P2012-146617)
(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公開番号】特開2014-8999(P2014-8999A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2014年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 博
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−120443(JP,A)
【文献】 特開2003−310413(JP,A)
【文献】 実開平01−152566(JP,U)
【文献】 特開2005−162225(JP,A)
【文献】 特開2001−048257(JP,A)
【文献】 特開2000−070774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体(100)に装着する固定吸引部(A)と、固定吸引部(A)に対して上方付勢状態で上下動可能に装着した可動吐出部(B)とを備え、可動吐出部(B)の上端部は、中央部に吐出口(50)を開口した受皿(45)を構成してなり、可動吐出部(B)の上下動により、装着した容器体(100)内の液固定吸引部(A)内に吸い上げられ、そのまま液状に、又は起泡機構を介して泡状に、吐出口(50)より受皿(45)上に吐出される受皿付きポンプであって、
内側面に誘導湾曲面部(f)を備えた、受皿(45)上の吐出物の掬いあげを補助する板状のガイド壁(53)、受皿(45)の縁部から起立されてなり
上記ガイド壁(53)は、上記誘導湾曲面部(f)を指で外方へ押し込むことで外方へ押圧変形し、かつ当該押圧変形後に弾性復元することが可能な薄肉の合成樹脂製ガイド壁に形成されたことを特徴とする受皿付きポンプ。
【請求項2】
容器体(100)に装着する固定吸引部(A)と、固定吸引部(A)に対して上方付勢状態で上下動可能に装着した可動吐出部(B)とを備え、可動吐出部(B)の上端部は、中央部に吐出口(50)を開口した受皿(45)を構成してなり、可動吐出部(B)の上下動により、装着した容器体(100)内の液固定吸引部(A)内に吸い上げられ、そのまま液状に、又は起泡機構を介して泡状に、吐出口(50)より受皿(45)上に吐出される受皿付きポンプであって、
内側面に誘導湾曲面部(f)を備えた、受皿(45)上の吐出物の掬いあげを補助する板状のガイド壁(53)、受皿(45)の縁部から起立されてなり
ガイド壁(53)の基端部にヒンジ(57)が設けられ、受皿(45)上への折り畳みを可能に形成された受皿付きポンプ。
【請求項3】
受皿(45)と一体にガイド壁(53)形成された請求項2に記載の受皿付きポンプ。
【請求項4】
容器体(100)に装着する固定吸引部(A)と、固定吸引部(A)に対して上方付勢状態で上下動可能に装着した可動吐出部(B)とを備え、可動吐出部(B)の上端部は、中央部に吐出口(50)を開口した受皿(45)を構成してなり、可動吐出部(B)の上下動により、装着した容器体(100)内の液固定吸引部(A)内に吸い上げられ、そのまま液状に、又は起泡機構を介して泡状に、吐出口(50)より受皿(45)上に吐出される受皿付きポンプであって、
内側面に誘導湾曲面部(f)を備えた、受皿(45)上の吐出物の掬いあげを補助する板状のガイド壁(53)、受皿(45)の縁部から起立されてなり
受皿(45)の縁部に穿設した嵌合孔(54)に嵌合させた固定基部(53a)がガイド壁(53)の下端部より垂設され、ガイド壁(53)の外面下端部より突設したフック(58)が受皿(45)の縁部に係脱可能に係合され、ガイド壁(53)の下部にヒンジ(57)を設けて受皿(45)上への折り畳みを可能に構成され、かつ受皿(45)と別体にガイド壁(53)を構成された受皿付きポンプ。
【請求項5】
ガイド壁(53)が、外方へ凸の縦断面円弧状をなす誘導湾曲面部(f)を備えている請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の受皿付きポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は受皿付きポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
容器体に装着固定するシリンダ等を備えた固定吸引部と、固定吸引部に対して上方付勢状態で上下動可能に装着した、ピストン等を備えた可動吐出部とを備え、可動吐出部の上下動により、容器体内の液を固定吸引部内に吸い上げて、可動吐出部の吐出口よりそのまま液状に吐出するポンプが知られており、或いは起泡機構内蔵し、可動吐出部の上下動により、容器体内の液を固定吸引部内に吸い上げて起泡させ、泡として可動吐出部の吐出口より吐出するポンプが知られている。また、上記起泡吐出機構を備え、可動吐出部の上端を、中央部に吐出口を開口した受皿として構成しているものが知られている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
上記受皿付きポンプは、例えばひげ剃り等に使用する泡を得るもので、口頸部を起立する容器体と、口頸部に嵌合させて容器体内へ垂下させたシリンダと、シリンダ内へ嵌合させた筒状ピストンを下部に有して、上方付勢されて起立するステムと、ステムの上端部へ嵌合させた脚筒上端から上方へフランジ状壁を突出する受皿と、フランジ状頂板の外周部から垂設した周壁を容器体口頸部外面へ嵌合させるとともに、該フランジ状頂板のフランジ孔内に上記ステム及び脚筒が上下動自在に挿通させた閉塞部材とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4175494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した受皿付きポンプに於ける受皿は中央部が窪んだ皿状で、受皿上に吐出した泡を掬って使用するものであるが、受皿が例えば円形の平皿形態であるため、泡を掬い取る際に、一部を受皿外部へ零してしまという虞があり、効率の良い泡の掬い取りが比較的難しい傾向がある。
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、受皿上に吐出された泡状の吐出物や或いは高粘度の液状の吐出物を受皿から零すことなく容易に掬い取ることができる受皿付きポンプを提案する。また、その掬い取り操作も無理なく円滑に行なえる受皿付きポンプを提案する。さらに、不使用時にはガイド壁を折り畳んでおくことができ、コンパクトな状態での保管が可能な受皿付きポンプを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、
容器体100に装着する固定吸引部Aと、固定吸引部Aに対して上方付勢状態で上下動可能に装着した可動吐出部Bとを備え、可動吐出部Bの上端部は、中央部に吐出口50を開口した受皿45を構成してなり、可動吐出部Bの上下動により、装着した容器体100内の液固定吸引部A内に吸い上げられ、そのまま液状に、又は起泡機構を介して泡状に、吐出口50より受皿45上に吐出される受皿付きポンプであって、
内側面に誘導湾曲面部fを備えた、受皿45上の吐出物の掬いあげを補助する板状のガイド壁53、受皿45の縁部から起立されてなり
上記ガイド壁53は、上記誘導湾曲面部fを指で外方へ押し込むことで外方へ押圧変形し、かつ当該押圧変形後に弾性復元することが可能な薄肉の合成樹脂製ガイド壁に形成された。
【0008】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、
容器体100に装着する固定吸引部Aと、固定吸引部Aに対して上方付勢状態で上下動可能に装着した可動吐出部Bとを備え、可動吐出部Bの上端部は、中央部に吐出口50を開口した受皿45を構成してなり、可動吐出部Bの上下動により、装着した容器体100内の液が固定吸引部A内に吸い上げられ、そのまま液状に、又は起泡機構を介して泡状に、吐出口50より受皿45上に吐出される受皿付きポンプであって、
内側面に誘導湾曲面部fを備えた、受皿45上の吐出物の掬いあげを補助する板状のガイド壁53が、受皿45の縁部から起立されてなり、
ガイド壁53の基端部にヒンジ57が設けられ、受皿45上への折り畳みを可能に形成された。
【0009】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、第2の手段に於いて、
受皿45と一体にガイド壁53が形成された。
【0010】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、
容器体100に装着する固定吸引部Aと、固定吸引部Aに対して上方付勢状態で上下動可能に装着した可動吐出部Bとを備え、可動吐出部Bの上端部は、中央部に吐出口50を開口した受皿45を構成してなり、可動吐出部Bの上下動により、装着した容器体100内の液が固定吸引部A内に吸い上げられ、そのまま液状に、又は起泡機構を介して泡状に、吐出口50より受皿45上に吐出される受皿付きポンプであって、
内側面に誘導湾曲面部fを備えた、受皿45上の吐出物の掬いあげを補助する板状のガイド壁53が、受皿45の縁部から起立されてなり、
受皿45の縁部に穿設した嵌合孔54に嵌合させた固定基部53aがガイド壁53の下端部より垂設され、ガイド壁53の外面下端部より突設したフック58が受皿45の縁部に係脱可能に係合され、ガイド壁53の下部にヒンジ57を設けて受皿45上への折り畳みを可能に構成され、かつ受皿45と別体にガイド壁53を構成された。
【0011】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、第1の手段乃至第4の手段のいずれかに於いて、
ガイド壁53が、外方へ凸の縦断面円弧状をなす誘導湾曲面部fを備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の受皿付きポンプは、内側面に誘導湾曲面部fを備えた、受皿45上の吐出物の掬いあげを補助する板状のガイド壁53を、受皿45の縁部に起立しているため、受皿45に吐出した泡状や高粘度の液状の吐出物を、ガイド壁53上を介して、零すことなく確実に掬い取ることができるという特徴がある。また、ガイド壁53の構造も簡単でその製造も容易に行える。
【0014】
ガイド壁53が、外方へ凸の縦断面円弧状をなす誘導湾曲面部fを備えている場合には、受皿45上に吐出された吐出物の掬い取りの際に、誘導湾曲面部fに沿っての指の円滑な移動が可能であり、その掬い取り操作をより円滑とする特徴がある。
【0015】
ガイド壁53を薄肉の合成樹脂製とすることで、押圧変形後の弾性復元が可能に形成した場合には、受皿45上に吐出された吐出物の掬い取りの際に、ガイド壁53が適度に弾性変形して、その掬い取り操作をより円滑とする特徴がある。
【0016】
ガイド壁53の基端部にヒンジ57を設けて、受皿45上への折り畳みを可能に形成した場合には、不使用時にはコンパクトな状態での保管が可能であり、上方に突出したガイド壁53を引っ掛けて容器体100を倒す等の不都合を極力防止できる。
【0017】
受皿45と一体にガイド壁53を構成した場合には、構成上新たなガイド壁53が加わったにも拘わらず特別な組み付け操作の増加もなく、従来品と同様の工程での製造が可能であり、容易な製造が可能であるという特徴がある。
【0018】
受皿45の縁部に穿設した嵌合孔54に嵌合させた固定基部53aをガイド壁53の下端部より垂設し、ガイド壁53の外面下端部より突設したフック58を受皿45の縁部に係脱可能に係合し、ガイド壁53の下部にヒンジ57を設けて受皿45上への折り畳みを可能に構成し、受皿45と別体にガイド壁53を構成した場合には、フック58により確実な起立状態を維持することができ、また、不使用時には簡単な操作で折り畳むことによりコンパクトな状態での保管が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】受皿付きポンプ容器の縦断面図である。(第1実施例)
図2】吐出ヘッドの平面図である。(第1実施例)
図3】受皿付きポンプ容器の縦断面図である。(第2実施例)
図4】吐出ヘッドの平面図である。(第2実施例)
図5】ガイド壁を折り畳んだ状態の受皿付きポンプ容器の縦断面図である。(第2実施例)
図6】ガイド壁を折り畳んだ状態の吐出ヘッドの平面図である。(第2実施例)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1及び図2は本発明の第1実施例を示し、図中1は受皿付きポンプを示す。尚、説明の便宜上、図1の左方を前部、右方を後部、手前を右側部、奥方を左側部として説明する。以下、も同様である。
【0022】
受皿付きポンプ1は、容器体100に装着する固定吸引部Aと、固定吸引部Aに対して上方付勢状態で上下動可能に装着した可動吐出部Bとを備えている。可動吐出部Bの上端部は、後述する如く、中央部に吐出口50を開口した受皿45を構成しており、可動吐出部Bの上下動により、装着した容器体100内の液を固定吸引部A内に吸い上げて、吐出口50より受皿45上に吐出する。吐出口50より吐出する吐出物の形態は、固定吸引部A、可動吐出部Bの形態により、液状或いは泡状に吐出することができ、これらの固定吸引部A、可動吐出部Bの形態は後述する公知形態のものを採用でき、要は可動吐出部Bの上下動により、装着した容器体100内の液を固定吸引部A内に吸い上げ、そのまま液状に、或いは泡状に吐出口50より受皿上に吐出することが可能なポンプ機能或いはポンプ機能と起泡機能を備えたものであれば良い。尚、吐出物が液状の場合には、比較的高粘度のものが好適である。
【0023】
装着する容器体100は、例えば図1に示す如く、筒状の胴部101より肩部102を介して口頸部103を起立したボトル形態のものが好適である。
【0024】
第1実施例は、吐出物を泡状に吐出する場合であり、その固定吸引部Aは、装着キャップA1と、シリンダ部材A2と、ポペット弁体A3とを備えている。
【0025】
装着キャップA1は、受皿付きポンプ1を容器体100に固定するためのもので、容器体100の口頸部103外周に嵌合させる周壁10の上端縁よりフランジ状の頂壁11を延設し、頂壁11中央部にガイド筒12を起立している。
【0026】
シリンダ部材A2は、上端部を装着キャップA1裏面外周部に装着固定させた大径の空気用シリンダ20の下部に、小径の液用シリンダ21を同心円状に延設している。液用シリンダ21は、空気用シリンダ20の底壁部内周縁に周壁部の上端縁を連結して下方へ垂設し、周壁部の下端縁より中央を開口したテーパ状の底壁部を延設し、底壁部の上面を吸込み弁用の弁座22として構成している。また、底壁部の中央開口縁より垂下筒部23を一体に垂設している。更に、液用シリンダ21内面の底壁部外縁部から周壁部下端部に至る部分に、周方向複数の係止リブ24を突設している。各係止リブ24の上下中間部には上向き段部を設けている。
【0027】
ポペット弁体A3は、下端部外面に、それぞれ液用シリンダ21の係止リブ24間に位置させる、周方向複数の係止突部25を突設しており、液用シリンダ21内から、後述する可動吐出部BのステムB2内下部に至る長さを有しており、吸込み弁用の弁座22と下面が当接する位置から、各係止突部25が、可動吐出部Bを上方付勢させる後述コイルスプリングs下面に当接する位置までの上下動が可能に装着している。各係止突部25の上方は、下部を大径部に上部を小径部に形成しており、小径部の上端にはテーパ筒状に拡開する逆止弁体26を形成し、この逆止弁体26と、後述する逆止弁用の弁座32とで逆止弁V1を形成している。また、ポペット弁体A3の下端部と吸込み弁用の弁座22とで吸込み弁V2を構成している。
【0028】
可動吐出部Bは、固定吸引部Aに対して上方付勢状態で上下動可能に組み付けしたもので、液用ピストンB1と、ステムB2と、空気用ピストンB3と、吐出ヘッドB4と、装着筒部材B5と、起泡部材B6とを備えている。
【0029】
液用ピストンB1は、ステムB2内下部に嵌着した嵌合筒部30の下端外周より外方へ上下スカート状の摺動部31を突設し、摺動部31を液用シリンダ21内周に液密摺動可能に嵌合させている。また、嵌合筒部30の上端部はステムB2内の上下方向中間部に於いて突条形態の逆止弁用の弁座32を形成している。そして、液用ピストンB1の嵌合筒部30下面と各係止リブ24の上向き段部との間にコイルスプリングsを介在させて可動吐出部Bを常時上方へ付勢させている。
【0030】
ステムB2は、上下端を開口した筒状をなし、液用シリンダ21に摺動する液用ピストンB1を下部外周に突設するとともに、空気用シリンダ20内を摺動する空気用ピストンB3を外周上部に連携させて、液用シリンダ21内及び空気用シリンダ20内を上下動可能に装着されている。ステムB2内上部には吐出弁用の弁座35を形成し、該吐出弁用の弁座35上に載置された玉状の吐出弁体36とで吐出弁V3を形成している。また、吐出弁用の弁座35の下面から逆止弁用の弁座32の直上までの間に周方向複数の縦突条37を突設している。更に、外面上下方向中間部にはフランジ状に突設した空気吐出弁用の弁座38を突設しており、その上方の筒壁外周には周方向複数の縦突条39を突設している。
【0031】
空気用ピストンB3は、内周縁の筒状弁部40をステムB2外周に小幅の上下動が可能に嵌合させ、筒状弁部40外周より延設した階段状の隔壁41を介して、空気用シリンダ20内周に液密摺動可能に嵌合した上下スカート状の摺動部42延設している。筒状弁部40はステムB2外周の縦突条39外面に上下動可能に嵌合させている。また、空気用シリンダ20の階段状の隔壁41には外気を導入するための外気導入弁V4を設けている。外気導入弁V4は、下降した可動吐出部Bが上昇する際に空気用シリンダ20内が負圧となることで開弁し、外気を導入する。
【0032】
また、ステムB2の外周上端部には、後述する如く、内周下端部に環状凹部47を凹設した吐出ヘッドB4の縦筒46を嵌合しており、筒状弁部40はその環状凹部47内外周面に摺動可能に嵌合させている。また、筒状弁部40は環状凹部47の頂面と、空気吐出弁用の弁座38との間を上下動可能に装着しており、筒状弁部40の下端部と空気吐出弁用の弁座38とで空気吐出弁V5を構成している。そして、ステムB2と筒状弁部40との間に、空気吐出弁V5から環状凹部47内に連通し、空気用シリンダ20内からステムB2内へ連通する空気通路pを構成する通気路を備えている。この空気吐出弁V5は、図1に示す可動吐出部Bが最上方へ押し上げられている場合には閉塞しており、可動吐出部Bを押し下げた際には開弁し、更に押し下げ状態から上方付勢力により上昇する際には閉塞する如く構成している。
【0033】
吐出ヘッドB4は、上面が球面状に窪んだ平皿状の受皿45を上端に備え、受皿45裏面中央部より垂設した縦筒46の内周下端部をステムB2外周上端部に嵌着してステムB2に装着している。また、縦筒46の下端部内面には上記した環状凹部47を凹設しており、環状凹部47直上の縦筒46内面には、下端を環状凹部47の上端に開口し、上端をステムB2直上に開口した縦凹溝48を縦設している。そして、この縦凹溝48内、環状凹部47内、ステムB2と筒状弁部40との間とで、空気用シリンダ20内からステムB2内に連通する空気通路pを構成している。また、縦筒46外方の受皿45裏面から外周壁49を垂設し、外周壁49の下端部をガイド筒12の外周部に垂下している。
【0034】
また、縦筒46上端の受皿45中央部に吐出口50を開口している。該吐出口50は、縦筒46内の上端部に、周方向等間隔に複数縦設した支持用リブ51により支持された邪魔板52より中央部を遮蔽され、邪魔板52周囲に開口する複数の円弧状孔として構成されている。邪魔板52の下面は中央より外方へ上昇する逆円錐形状に形成されており、吐出口50への泡の円滑な導入を行なえるように構成している。
【0035】
本発明では、受皿45の縁部に、受皿45上の吐出物の掬いあげを補助する板状のガイド壁53を起立している。第1実施例では、受皿45と一体にガイド壁53を構成した例を示す。このガイド壁53は、受皿45前縁部上面に基端部を一体に連結して上方に起立した外方へ凸の円弧板状をなし、内側面に、外方へ凸の縦断面円弧状をなす誘導湾曲面部fを備えており、正面視が略四角形状をしている。また、ガイド壁53は全体的に薄肉の合成樹脂製とすることで、弾性変形が可能に構成している。尚、図示例では、ガイド壁53が起立状態で維持される如く構成しているが、基端部に直線状のヒンジを設けて受皿45上への折り畳みを可能に構成することも可能である。
【0036】
ガイド壁53の具体的形態は、基本的に受皿45の縁部より起立し、受皿45上の吐出物を、内側面に沿って誘導できる形態であれば良く、受皿45上の吐出物の掬いあげを補助する誘導湾曲面部fを内側面に備えた板状をなしていれば良い。その際受皿45の縁部上面形態を誘導湾曲面部fと連続性を持たせる如く調整すると好ましい。誘導湾曲面部fは本例の如くガイド壁53全体に渡って設ける場合に限らず、少なくとも基端部のみに設けても良く、例えば、下部が縦断面円弧状をなし、上部が直線状をなすものであっても良い。その正面視形状は特に限定されないが、その機能上正面視矩形状が好ましく採用される。また、ガイド壁53の横幅及び高さとして特に限定されないが、例えば、横幅は、その機能上、ガイド壁53が起立する位置の受皿の縁部と比較的類似する長さの横幅が好ましく、また、高さは、特に、受皿45に折り畳み可能に構成した場合には受皿45と同様か或いはそれより短い縦幅が好ましい。また、第1実施例の如く弾力性を備えているものに限らず、剛性のあるものであっても良い。また、第1実施例の如く受皿45と一体にガイド壁53を設ける場合に限らず、後述する如く、ガイド壁53を受皿45と別体に設けて組み付け装着しても良い。
【0037】
装着筒部材B5は、内部に起泡部材B6を嵌合して、吐出ヘッドB4の縦筒46内に嵌着している。図示例では、縦筒46内周に嵌着した装着筒部60の下端より、フランジを介してステムB2内上端部に嵌合する垂下筒62を垂設し、垂下筒62の下端より中央に連通窓を開口して延設したフランジ状の底板部63を備え、また、フランジ状の底板部63下面よりステムB2内周に係止筒64を垂設している。また、フランジの周縁部下面から垂下筒62の外面を縦断する隙間用リブ65を周方向複数突設しており、隙間用リブ65を対応するステムB2の上面及び内面に当接して、フランジ及び垂下筒62とステムB2との間に、ステムB2上方の縦筒46内面に開口した空気通路pからステムB2内に連通する通気路を設けて装着している。そして、この通気路と連通し、ステムB2内の液流路と連通する気液混合室Rを装着筒部材B5下方のステムB2内に画成している。
【0038】
起泡部材B6は、メッシュ70を張設した筒体71を一対用意して、メッシュ70が上端及び下端になる如く装着筒部材B5の装着筒部60内に嵌着している。そしてこの起泡部材B6と、空気用シリンダ20からの空気と液用シリンダ21からの液の合流機構により、起泡機構を構成している。尚、要すれば、図1の二点鎖線で示すストッパーCを着脱可能に装着して、不使用時の可動吐出部Bの不用意な押し下げを防止することも可能である。
【0039】
上記泡吐出器1は、図1の状態から可動吐出部Bを押し下げると、空気用ピストンB3がステムB2に対して相対的に上昇して空気吐出弁V5が開き、下降する空気用ピストンB3により空気用シリンダ20内の空気が加圧されて空気通路pを介して気液混合室R内に導入される。一方、液用シリンダ21が下降してポペット弁体A3を吸込み弁用の弁座22に当接させるまで下降させるとともに、ポペット弁体A3がステムB2に対して相対的に上昇して逆止弁V1が開き、液用シリンダ21内の加圧液を吐出弁V3を介して気液混合室Rに導入させ、ここで気液を混合する。気液混合室Rで混合された気液は起泡部材B6を通過して発泡し、吐出ヘッドB4の吐出口50から受皿45上へ吐出される。
【0040】
吐出ヘッドB4の押圧を解除すると、コイルスプリングsの付勢力により可動吐出部Bが上昇し、その際空気用ピストンB3がステムB2に対して相対的に下降して空気吐出弁V5が閉じ、空気用シリンダ20内の負圧化によって外気導入弁V4が開いて外気が空気用シリンダ20内に導入される。一方、ステムB2の上昇によりポペット弁体A3は、逆止弁V1と各縦突条37との摩擦力で上昇し、吸込み弁V2が開いて負圧化した液用シリンダ21内に容器体100内の液が導入され、その際吐出弁V3は閉じる。ポペット弁体A3はその係止突部25がコイルスプリングsの下面に当接するまで上昇するが、その後はステムB2に対して、逆止弁体26が逆止弁用の弁座32に当接するまで、相対的に下降する。
【0041】
受皿45上に吐出された泡状の吐出物は、例えば、指で後方より前方に押し込むようにすくい上げると、ガイド壁53に沿って上昇し、うまく指上に掬い上げることができる。第1実施例では、ガイド壁53が弾力性を備えているため、指の押し上げによりガイド壁53が適度に弾性変形し、指の押し上げもより円滑にできるという特徴がある。
【0042】
図3乃至図6は、第2実施例を示し、本例ではガイド壁53を別体に設けた例を示す。本例では第1実施例と同様の起泡機構を備えた泡吐出型のポンプであり、ガイド壁53を含めた受皿45の構成のみが相違するため、その他の構成は同符号を付して説明を省略する。
【0043】
本例では受皿45の前部に嵌合孔54を設けている。嵌合孔54の下端には前縁よりフランジ状の底板55を突設している。また、ガイド壁53は、嵌合孔54に嵌合させた固定基部53aを下端部より垂設して上方へ起立した外方へ凸の縦断面円弧板状で、正面視略四角形状をなしており、内側面に、外方へ凸の縦断面円弧状をなし、正面視略四角形状の誘導湾曲面部fを備えている。固定基部53aの内側面下部には係合突条56を突設しており、嵌合孔54の後縁に係合させて抜け出しの防止を図っている。また、ガイド壁53下端部の固定基部53a上方位置にはヒンジ57を横設しており、図5及び図6に示す如く、受皿45上への折り畳みが可能に構成している。更に、ガイド壁53のヒンジ57直上位置の外面下端部よりフック58を突設しており、該フック58を受皿45の前縁部の係止突条59に係脱可能に係合している。
【0044】
本例に於けるガイド壁53は薄肉ではなく、比較的剛性を備えたものであるが、薄肉に形成して弾性変形が可能に構成しても良い。本例の場合のポンプ操作は第1実施例と同様である。また、受皿45上に吐出された泡状の吐出物は、例えば、指で後方より前方に押し込むようにすくい上げると、ガイド壁53に沿って上昇し、うまく指上に掬い上げることができる。また、不使用時にはフック58の係合を外し、図5、6に示す如く受皿45上にガイド壁53を折り畳むことで、コンパクトな保管が可能となる。
【0045】
尚、上記した各例では、ポンプが起泡機構を備えて泡を吐出する形態のものを示したが、これに限らず、装着した容器体100内の液を固定吸引部Aに吸い上げた後、可動吐出部Bの吐出口50からそのままの状態で液状に吐出するポンプ機構を備えたものであっても良い。これらのポンプ機構は従来公知の機構を採用できる。また、上記した受皿付きポンプ1の各部材は基本的に合成樹脂製であり、その他必要に応じて、エラストマー、金属等を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0046】
1:受皿付きポンプ
A:固定吸引部
A1:装着キャップ
10…周壁、11…頂壁、12…ガイド筒
A2:シリンダ部材
20…空気用シリンダ、21…液用シリンダ、22…吸込み弁用の弁座、
23…垂下筒部、24…係止リブ
A3:ポペット弁体
25…係止突部、26…逆止弁体
B:可動吐出部
B1:液用ピストン
30…嵌合筒部、31…摺動部、32…逆止弁用の弁座
B2:ステム
35…吐出弁用の弁座、36…吐出弁体、37…縦突条、38…空気吐出弁用の弁座
39…縦突条
B3:空気用ピストン
40…筒状弁部、41…隔壁、42…摺動部
B4:吐出ヘッド
45…受皿、46…縦筒、47…環状凹部、48…縦凹溝、49…外周壁、
50…吐出孔、51…支持用リブ、52…邪魔板、53…ガイド壁、53a…固定基部、54…嵌合孔、55…底板、56…係合突条、57…ヒンジ、58…フック、
59…係止突条
B5:装着筒部材
60…装着筒部、62…垂下筒、63…フランジ状の底板部、64…係止筒、
65…隙間用リブ
B6:起泡部材
70…メッシュ、71…筒体
C:ストッパー
V1:逆止弁
V2:吸込み弁
V3:吐出弁
V4:外気導入弁
V5:空気吐出弁
s:コイルスプリング
p:空気通路
f:誘導湾曲面部
R:気液混合室
100:容器体
101…胴部、102…肩部、103…口頸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6