特許第5946181号(P5946181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5946181
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20160621BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   A61G12/00 E
   H04M9/00 B
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-207684(P2012-207684)
(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公開番号】特開2014-61109(P2014-61109A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】591253593
【氏名又は名称】株式会社ケアコム
(72)【発明者】
【氏名】坂本 祐二
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−178403(JP,A)
【文献】 特開2006−238902(JP,A)
【文献】 特開2008−29699(JP,A)
【文献】 特開2003−296430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
H04M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が医療従事者を呼び出す際に操作される呼出ボタンと、患者が医療従事者の介助を必要とする呼び出しを行う際に操作される介助呼出ボタンと、前記呼出ボタンが操作された場合に他のナースコール子機と識別するための子機識別情報を含む呼出信号を生成し、前記介助呼出ボタンが操作された場合に前記子機識別情報を含む介助呼出信号を生成する子機制御部と、前記子機制御部にて生成された呼出信号および介助呼出信号を出力する子機インターフェースとを有するナースコール子機と、
各医療従事者によって携行されており、他の携帯端末と識別するための携帯端末識別情報を記憶する携帯端末記憶部と、前記呼び出しと前記介助呼び出しとを区別して報知を行う報知部と、前記報知に対する応答を行うために操作される応答操作部と、前記呼出信号および前記介助呼出信号を受信するとともに、前記応答操作部が操作された際に生成される応答信号を送信する無線送受信部と、前記無線送受信部が前記携帯端末記憶部に記憶されている携帯端末識別情報と一致する携帯端末識別情報を含む呼出信号または介助呼出信号を受信した場合に前記報知部を動作させるとともに、前記報知部が動作している状態で前記応答操作部が操作されると、前記携帯端末記憶部から取得した携帯端末識別情報を含む応答信号を生成する携帯端末制御部とを有する携帯端末と、
前記ナースコール子機および前記携帯端末を接続するインターフェースと、前記子機識別情報と前記子機識別情報によって特定されるナースコール子機を使用する患者の身体的特徴を示す身体情報の値によって決まり前記患者を介助する際に必要となる医療従事者の人数を示す人数情報とを関連付けて記憶する記憶部と、前記インターフェースが前記ナースコール子機から介助呼出信号を入力した場合に、前記記憶部を参照し、前記介助呼出信号に含まれる子機識別情報に関連付けて記憶されている人数情報を抽出して、抽出した人数情報に該当する回数の応答信号を前記インターフェースが入力するまで、複数の携帯端末のうち、既に応答が行われた携帯端末を除いた携帯端末に対して、介助呼出信号の出力を繰り返すとともに、前記インターフェースが前記ナースコール子機から呼出信号を入力した場合に、応答信号を前記インターフェースが入力するまで、複数の携帯端末に対して呼出信号の出力を行う制御部とを有する制御装置と、
を備えたことを特徴とするナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者がナースコール子機に設けた呼出ボタンを操作することによって医療従事者の介助を必要とする呼び出しを行うことができるナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院や介護施設などでは、ナースコールシステムが用いられている。ナースコールシステムは、病院内の病室に居る患者が看護師などのサポートを必要とする際、または介護施設の被介護者が介護師などのサポートを必要とする際に、患者や被介護者(以下、これらをまとめて患者と記載する)が呼出ボタンを操作することによって看護師や介護師(以下、これらをまとめて医療従事者と記載する)を呼び出すことができるように成されたシステムである。
【0003】
多くのナースコールシステムは、病室内のベッドの近傍やトイレ、浴室などに設置され、呼出ボタンを備えるナースコール子機と、医療従事者が常駐するナースステーションに設置され、患者からの呼び出しを報知するナースコール親機と、病室の出入口付近の廊下側に設置され、病室内の患者の氏名を表示したり、病室内の患者が呼び出しを行っていることを表示したりする廊下灯と、通話やデータの送受信に関する制御を行う制御機とを備えて構成されている。また、上述した構成に加えて、医療従事者が携行するPHS(Personal Handy phone System)端末などの携帯端末とPBX(Private Branch Exchange:電話交換機)とを備えたナースコールシステムも提供されている。
【0004】
このようなナースコールシステムでは、ナースコール子機の呼出ボタンが操作されると、ナースコール子機にて生成された呼出信号が廊下灯を介してナースコール親機へ出力される。ナースコール親機や携帯端末では、患者から呼び出しが行われたことを音声などにより報知する。この報知を把握した医療従事者は、ナースコール親機に設置されているハンドセットをオフフックしたり、自身が携行している携帯端末をオフフックしたりすることで、呼び出しに対して応答することができる。ここで、呼び出しに対して応答が行われると、ナースコール親機や携帯端末で行われていた報知は停止する。そして、応答を行った医療従事者は、ナースコール子機の呼出ボタンを操作した患者(換言すると、呼び出しを行った患者)の居る病室へ赴き、患者の状況を確認する。
【0005】
ところで、上述した呼び出しの中には、患者がトイレなどの設備を使用する際に行われる呼び出しも含まれる。通常の呼び出しが行われた場合に、医療従事者は、患者の様子を確認したり、所定の看護行為を行ったりする必要がある。一方、トイレ介助などの介助呼び出しが行われた場合には、医療従事者は、患者を介助して所望の設備のある場所に移動する必要がある。
【0006】
そのため、上述した通常の呼び出しと介助呼び出しとを区別して報知する技術が知られている(特許文献1、2など)。特許文献1に記載の従来技術では、通常の呼び出しを行うための呼出ボタンとは別に、トイレ介助要求ボタンを設けることが記載されている。また、特許文献1に記載の技術では、通常の呼び出しを行うための呼出ボタンを2回押すことで、トイレ介助などの介助呼び出しを行うことが記載されている。また、特許文献2に記載の技術では、通常の呼び出しを行うための呼出ボタンを連続して所定時間以上押し続けることによりトイレ介助などの介助呼び出しを行うことが記載されている。
【0007】
しかしながら、上述したように介助呼び出しが行われた場合に、患者の居る病室に赴いた医療従事者が患者の介助を行う際に、患者の体重が重すぎたり、患者の身長が高すぎたりして、医療従事者が一人で患者を介助することができないケースが生じてしまうという問題があった。
【0008】
このような場合、医療従事者は、ナースコール子機の近傍に設けられたスタッフ呼出ボタンを操作して他の医療従事者の応援を要請する必要がある。この場合、ナースコール子機の呼出ボタンが操作された場合と同様に、ナースコール親機や携帯端末で報知が行われる。そして、この報知を把握した他の医療従事者は、ナースコール親機に設置されているハンドセットをオフフックしたり、自身が携行している携帯端末をオフフックしたりすることで、呼び出しに応答することができる。ここでも、呼び出しに対して応答が行われると、ナースコール親機や携帯端末で行われていた報知は停止する。そして、応答を行った他の医療従事者は、スタッフ呼出ボタンが操作された病室へ赴き、スタッフ呼出ボタンを操作した医療従事者とともに患者の介助を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−47198号公報
【特許文献2】特開平11−47199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来技術では、最初に患者の居る病室に赴いた医療従事者が一人で介助が可能であるか否かを判断し、その医療従事者が一人で介助を行うことが困難であると考えた場合にスタッフ呼出ボタンを改めて操作する必要があるため、医療従事者が他の医療従事者を呼び出すために余計な判断や余計な操作が必要になってしまうという問題があった。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、医療従事者が介助に必要な人数を判断したり、スタッフ呼出ボタンを操作したりすることなく、患者の介助に必要な人数の医療従事者を呼び出すことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明では、通常の呼び出しを行うために操作される呼出ボタンと、医療従事者の介助を要請するために操作される介助呼出ボタンとをナースコール子機に設け、ナースコール子機を他のナースコール子機と識別するための子機識別情報と患者の身体的特徴を示す身体情報の値によって決まる介助に必要な医療従事者の人数を示す人数情報とを関連付けて記憶しておき、介助呼出ボタンが操作された場合に、介助呼出ボタンが操作されたナースコール子機の子機識別情報に関連付けて記憶されている人数情報に該当する数の携帯端末が応答するまで、複数の携帯端末のうち、既に応答が行われた携帯端末を除いた携帯端末に対して、呼出信号の出力を繰り返すようにしている。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した本発明によれば、医療従事者の介助を必要とする呼び出しを行うための介助呼出ボタンを患者が操作するだけで、患者の身体的特徴を示す身体情報の値に応じてその患者の介助に必要な医療従事者の人数が決まり、応答した医療従事者の人数が必要な人数になるまで医療従事者が携行する携帯端末を呼び出す動作が繰り返されるので、医療従事者が介助に必要な人数を判断したり、スタッフ呼出ボタンを操作したりすることなく、患者の介助に必要な人数の医療従事者を呼び出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態によるナースコールシステムの構成例を示すブロック図である。
図2】本実施形態によるナースコールシステムの記憶部の記憶内容の例を示す図である。
図3】本実施形態によるナースコールシステムの介助呼び出しの動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、ここでは病院に設置される看護支援用のナースコールシステムを例にとって説明するが、本実施形態のナースコールシステムは、病院に設置されるものに限定されない。例えば、介護施設等に設置される場合にも適用可能である。図1は、本実施形態によるナースコールシステムの構成例を示すブロック図である。図1において、1はナースコール子機であり、患者のベッドの近傍などに設置され、患者によって使用される。ここで、ナースコール子機1は、各ベッドに対して設置されている。また、ナースコール子機1は、子機制御部2、呼出ボタン3、介助呼出ボタン4、子機インターフェース5を備えて構成されている。
【0016】
10は制御装置であり、医療従事者が常駐するナースステーションなどに設置される。また、制御装置10は、後述する複数の携帯端末40のうち、どの携帯端末40に対してナースコール子機1からの呼び出しを報知させるかを決定するためのものである。ここで、制御装置10は、制御部11、インターフェース12、記憶部13を備えて構成されている。
【0017】
20は主装置であり、病院内の通信センターなどに設置されていて、例えば、後述する携帯端末40のPBXなどにより構成されている。30は無線装置であり、主装置20と携帯端末40とが無線通信するための無線基地局である。40は、各医療従事者により携行される携帯端末であり、無線装置30との間で無線通信が可能である。ここで、主装置20は、制御装置10に接続されている。また、無線装置30は、病院内の各所に設置されていることが好ましく、携帯端末40が病院内のどの場所にあっても無線装置30と通信可能となることが好ましい。
【0018】
携帯端末40は、医療従事者によって携行され、患者からの呼び出しに対して応答するために使用される。ここで、携帯端末40は、携帯端末制御部41、無線送受信部42、携帯端末記憶部43、報知部44、応答操作部45を備えて構成されている。
【0019】
まず、ナースコール子機1の各構成要素について説明する。子機制御部2は、ナースコール子機1の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPU(Central Processing Unit)などにより構成されている。呼出ボタン3は、患者が医療従事者に対して通常の呼び出しを行う際に操作するためのものである。介助呼出ボタン4は、患者が医療従事者の介助を必要とするような呼び出しを行う際に操作するためのものである。ここで、患者が医療従事者の介助を必要とするような呼び出しとは、医療従事者が患者を介助して所望の設備のある場所に移動するような呼び出しに該当する。また、通常の呼び出しとは、介助呼び出し以外の呼び出しに該当する。
【0020】
子機インターフェース5は、ナースコール子機1と制御装置10および携帯端末40とを接続して通信を行うためのものである。通常の呼び出しを行う場合、患者は呼出ボタン3を操作する。すると、子機制御部2は呼出信号を生成する。ここで、呼出信号には、このナースコール子機1を他のナースコール子機1と識別するための子機識別情報が含まれる。また、子機識別情報としては、ベッド番号などの情報が用いられる。子機制御部2は、生成した呼出信号を子機インターフェース5により制御装置10へ出力する。
【0021】
一方、医療従事者の介助を必要とする場合、患者は介助呼出ボタン4を操作する。すると、子機制御部2は介助呼出信号を生成する。ここで、介助呼出信号にも、このナースコール子機1を他のナースコール子機1と識別するための子機識別情報が含まれる。子機制御部2は、生成した介助呼出信号を子機インターフェース5により制御装置10へ出力する。
【0022】
次に、制御装置10の各構成要素について説明する。制御部11は、制御装置10の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPUなどにより構成されている。インターフェース12は、制御装置10とナースコール子機1とを接続して通信を行うためのものである。ここで、インターフェース12は、ナースコール子機1から出力された呼出信号および介助呼出信号を入力する。また、インターフェース12は、制御装置10と主装置20とを接続して通信を行うためのものである。ここで、インターフェース12は、呼び出す携帯端末40の携帯端末識別情報を含む呼出信号および呼び出す携帯端末40の携帯端末識別情報を含む介助呼出信号を主装置20へ出力するとともに、主装置20から応答信号を入力する。
【0023】
記憶部13は、図2に示すように、子機識別情報と、子機識別情報によって特定されるナースコール子機1を使用している患者の体重を示す体重情報(特許請求の範囲の身体情報に該当する)と、体重情報によって決まり、医療従事者が患者の介助を行う際に必要な人数を示す人数情報とを関連付けて記憶している。本実施形態では、患者の体重が60kg以下の場合には、人数情報が1人であり、患者の体重が60kgを超える場合には、人数情報が2人である。
【0024】
なお、人数情報は医療従事者の人数や介助の度合い(患者が動ける度合いや移動すべき距離など)によって異なる数値としても良い。また、本実施形態では、身体情報として体重情報を用いているが、これに限定されない。例えば、患者の身長の高さを示す身長情報を用いるようにしても良いし、両者を掛け合わせて用いるようにしても良い。
【0025】
インターフェース12が呼出信号を入力すると、制御部11は、全ての携帯端末40に対して、インターフェース12により呼出信号を出力させる。また、インターフェース12が介助呼出信号を入力すると、制御部11は、全ての携帯端末40に対して、インターフェース12により介助呼出信号を出力させる。具体的には、全ての携帯端末40の携帯端末識別情報を呼出信号や介助呼出信号に付加して出力させる。
【0026】
なお、本実施形態では、全ての携帯端末40に対して呼出信号および介助呼出信号を出力するようにしているが、これに限定されない。例えば、子機識別情報によって特定されるナースコール子機1を使用する患者を担当する全ての携帯端末40に対して呼出信号および介助呼出信号を出力するようにしても良い。
【0027】
インターフェース12が呼出信号を入力し、制御部11が全ての携帯端末40に対して呼出信号を出力した場合、インターフェース12が何れかの携帯端末40から応答信号を入力すると、制御部11は呼出信号の出力を終了するとともに携帯端末40の報知を停止するための復旧信号を各携帯端末40へ送信する。
【0028】
一方、インターフェース12が介助呼出信号を入力し、制御部11が全ての携帯端末40に対して介助呼出信号を出力した場合、制御部11は、記憶部13を参照し、介助呼出信号に含まれる子機識別情報に関連付けて記憶されている人数情報を抽出する。そして、インターフェース12が何れかの携帯端末40から応答信号を入力すると、制御部11は呼出信号の出力を終了するとともに携帯端末40の報知を停止するための復旧信号を各携帯端末40へ送信する。
【0029】
この状態で、制御部11は、抽出した人数情報を「1」だけ減らし、応答信号に含まれる携帯端末識別情報によって特定される携帯端末40以外の携帯端末40に対して介助呼出信号を再度出力する。この動作は、人数情報が「0」になるまで繰り返される。
【0030】
次に、携帯端末40の各構成要素について説明する。携帯端末制御部41は、携帯端末40の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPUなどにより構成されている。無線送受信部42は、携帯端末40が無線装置30との間で無線通信を行うためのものである。携帯端末記憶部43は、メモリなどの記憶装置により構成されており、この携帯端末40を他の携帯端末40と識別するための携帯端末識別情報を記憶している。
【0031】
報知部44は、スピーカーや表示ディスプレイなどにより構成されており、通常の呼び出しと介助呼び出しとを区別して報知するためのものである。応答操作部45は、報知部44が報知を行っている際に、携帯端末40を携行している医療従事者により操作される。この操作により、携帯端末制御部41は報知部44の動作を停止させる。また、応答操作部45が操作されると、携帯端末制御部41は、応答信号を生成して、無線送受信部42により送信させる。ここで、応答信号には、この携帯端末40を他の携帯端末40と識別するための携帯端末識別情報が含まれる。
【0032】
このように構成された携帯端末40では、無線送受信部42が無線装置30から呼出信号を受信すると、携帯端末制御部41は、呼出信号に含まれる携帯端末識別情報と記憶部43に記憶されている自装置の携帯端末識別情報とを比較して、両者が一致するか否かを判定する。そして、両者が一致した場合に、携帯端末制御部41は報知部44を動作させる。
【0033】
複数の携帯端末40にて報知が行われている状態で、何れかの携帯端末40で応答操作部45が操作されると、その携帯端末40の携帯端末識別情報を含む応答信号が送信される。この応答信号を入力した制御装置10では、報知を停止するための復旧信号を各携帯端末40へ送信して、報知を行っていた各携帯端末40での報知を停止させる。
【0034】
一方、無線送受信部42が無線装置30から介助呼出信号を受信すると、携帯端末制御部41は、介助呼出信号に含まれる携帯端末識別情報と記憶部43に記憶されている自装置の携帯端末識別情報とを比較して、両者が一致するか否かを判定する。そして、両者が一致した場合に、携帯端末制御部41は報知部44を動作させる。
【0035】
複数の携帯端末40にて報知が行われている状態で、何れかの携帯端末40で応答操作部45が操作されると、その携帯端末40の携帯端末識別情報を含む応答信号が送信される。この応答信号を入力した制御装置10では、報知を停止するための復旧信号を各携帯端末40へ送信して、報知を行なっていた各携帯端末40での報知を停止させる。
【0036】
そして、制御部11は、抽出していた人数情報を1だけ減らして、その数値が0ではない場合には、インターフェース12により入力した応答信号に含まれている携帯端末識別情報により特定される携帯端末40を除いた他の携帯端末40に対して、インターフェース12により介助呼出信号を再度出力させる。そして、制御部11は、上述した処理を人数情報が0になるまで繰り返す。
【0037】
次に、本実施形態によるナースコールシステムの動作を具体的に説明する。図3は、本実施形態によるナースコールシステムの介助呼び出しの動作例を示す図である。まず、ナースコール子機1の介助呼出ボタンが操作されると、制御装置10は全ての携帯端末40へ介助呼出信号を出力する。すると、全ての携帯端末40にて報知が行われる(図3(a)参照)。ここで、使用される携帯端末40は5台であり、各携帯端末40の携帯端末識別情報は、「01」、「02」、「03」、「04」、「05」である。
【0038】
一方、制御装置10では、記憶部13が参照され、子機識別情報に関連付けて記憶されている人数情報「2」が抽出される。この状態で、携帯端末識別情報が「03」である携帯端末40にて応答が行われると、携帯端末識別情報「03」を含む応答信号が携帯端末40から制御装置10へ送信される。制御装置10では、介助呼出信号の出力を停止するとともに復旧信号を全ての携帯端末40へ送信して、全ての携帯端末40の報知を停止させる。携帯端末識別情報が「03」である携帯端末40にて応答した医療従事者は、患者の介助を行うために、介助呼び出しが行われたナースコール子機1が設置されている病室へ赴く。
【0039】
また、制御装置10は、抽出した人数情報「2」を1だけ減らして「1」とし、上述した携帯端末識別情報が「03」以外の携帯端末識別情報「01」、「02」、「04」、「05」の携帯端末40に対して介助呼出信号を出力する。すると、携帯端末識別情報が「03」以外の携帯端末40にて報知が行われる(図3(b)参照)。
【0040】
この状態で、携帯端末識別情報が「05」である携帯端末40にて応答が行われると、携帯端末識別情報「05」を含む応答信号が携帯端末40から制御装置10へ送信される。制御装置10では、介助呼出信号の出力を停止するとともに復旧信号を全ての携帯端末40(携帯端末識別情報が「03」の携帯端末40を含んでも良いし含まなくても良い)へ送信して、全ての携帯端末40の報知を停止させる。携帯端末識別情報が「05」である携帯端末40にて応答した医療従事者は、患者の介助を行うために、介助呼び出しが行われたナースコール子機1が設置されている病室へ赴く。また、制御装置10は、抽出した人数情報「1」を1だけ減らして「0」とし、人数情報が「0」となるため、介助呼出信号の出力を終了する(図3(c)参照)。
【0041】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、通常の呼び出しを行うために操作される呼出ボタン3と、医療従事者の介助を要請するために操作される介助呼出ボタン4とをナースコール子機1に設け、ナースコール子機1を他のナースコール子機1と識別するための子機識別情報と、患者の体重に応じて決まる介助に必要な医療従事者の人数を示す人数情報とを関連付けて記憶部13に記憶しておく。そして、介助呼出ボタン4が操作された場合に、制御装置10の制御部10は、介助呼出ボタン4が操作されたナースコール子機1の子機識別情報に関連付けて記憶されている人数情報に該当する数の携帯端末40が応答するまで、複数の携帯端末40のうち、既に応答が行われた携帯端末40を除いた携帯端末40に対して、介助呼出信号の出力を繰り返すようにしている。
【0042】
これにより、医療従事者の介助を必要とする呼び出しを行うための介助呼出ボタン4を患者が操作するだけで、患者の体重に応じてその患者の介助に必要な医療従事者の人数が決まり、応答した医療従事者の人数が必要な人数になるまで医療従事者が携行する携帯端末40を呼び出す動作が繰り返されるので、医療従事者が介助に必要な人数を判断したり、スタッフ呼出ボタンを操作したりすることなく、患者の介助に必要な人数の医療従事者を呼び出すことができる。
【0043】
また、前述した実施形態では、医療従事者からの呼び出しに対して、携帯端末40のみを報知の対象としているが、これに限定されない。例えば、ナースステーションに設置されているナースコール親機を報知の対象とするようにしても良い。この場合、ナースコール親機は不特定多数の医療従事者によって使用されるため、応答を行っても、次の報知の対象から外されることはない。
【0044】
また、前述した実施形態では、介助呼出ボタン4と呼出ボタン3とを別々に設けているが、これに限定されない。例えば、呼出ボタン3の操作方法(操作回数や操作時間など)を異ならせることにより、通常の呼び出しと介助呼び出しとを区別するようにしても良い。
【0045】
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 ナースコール子機
2 子機制御部
3 呼出ボタン
4 介助呼出ボタン
5 子機インターフェース
10 制御装置
11 制御部
12 インターフェース
13 記憶部
20 主装置
30 無線装置
40 携帯端末
41 携帯端末制御部
42 無線送受信部
43 携帯端末記憶部
44 報知部
45 応答操作部
図1
図2
図3