【実施例1】
【0014】
以下、本発明の実施例1を
図1〜
図10に基づいて説明する。
図1は、「乗り物」としてのワンボックスタイプの自動車に搭載されてなるシート1を示す斜視図である。即ち、シート1は、図示しない運転席の後ろ側に配される所謂セカンド席(前から2番目の座席)以降の座席であって、図示しない床に固定され且つ「スライド操作手段」であるスライド操作レバー3
のロックにより適宜の位置で固定される場合及び
ロック解除により前後動を可能にしたスライド装置2と、該スライド装置2に脚部5を介して支持されてなるシートクッション4と、該シートクッション4に対してアーム4c、4c及びリクライニング装置20、20を介して前後に傾動可能に支持されてなるシートバック6と、該シートバック6に支持されてなるヘッドレストホルダー19、19により上下移動自在なるヘッドレストスティ8、8を介して保持されてなるヘッドレスト7とより少なくとも構成されてなる。
【0015】
前記シートクッション4は、前記スライド装置2、2に前記脚部5、5を介して支持されてなるシートクッションフレーム21
(図5参照)と、該シートクッションフレーム21を覆うパッド(図示省略)及び表皮(符号割愛)とよりなり、シートバック6の凹部6d、6dまで延在して凹部6d、6dにクリップ4e
、4e(図2参照)により支持されることで凹部6d、6dを覆う覆い表皮4d、4d
(図2参照)とよりなる。符号14、15は、前記スライド装置2を左側LH及び右側RHから覆うように左右対称に形成されてなる化粧部材である。該化粧部材14、15は、前記脚部5、5が折り畳まれたり、伸びたりする為の通過孔14a、15a
(図1、2参照)と、前記アーム4c
、4cが通過するスライド開口14b、15b
(図2参照)と、「チルドダウン操作手段」であるチルトダウン操作レバー10が配され且つ操作可能なる開口14c、15c
(図2参照)とを有する。前記シートクッション4には、シートベルトアンカー18が支持されてなる。
【0016】
前記シートバック6は、前記シートクッション4に対して前記アーム4c
、4c及び前記リクライニング装置20
、20を介して支持されてなるシートバックフレーム22と、該シートバックフレーム22を覆うパッド(図示省略)及び表皮(符号割愛)と、側部に配されてなるウォークイン操作レバー11と、ヒンジピン16a、17aにより、
図1乃至
図4に示すように、前記シートバック6に沿った格納位置及び図示しない使用位置の間で回転自在に軸支されてなるアームレスト16、17と
が構成されてなる。前記ウォークイン操作レバー11は、カバー11aを介して
シートバック6に支持されてなり且つ
一方のアームレスト16が、前記シートバック6に沿った格納位置にある
時、前記アームレスト16に覆われて見えず、商品性が良い。尚、
図1の符号W1は、シートバック6の凹部6d、6d間の幅寸法を示し、前記シートバックフレーム22の左右幅寸法と同じであり、符号W2は、シートバック6の左右幅寸法を示し、W2>W1である。
【0017】
図3に示す符号12は、シートバック6が中立の傾きにある時に、シート1に着座した乗員(図示省略)の背骨が図示しないヒップポイントから通るトルソーラインであって、垂直ライン13に対して後側RRに所定の角度θ1は、この実施例では25度としている。
【0018】
図1乃至
図4に示す符号9は、前記リクライニング装置20を操作可能な「リクライニング操作手段」であるリクライニング操作レバーであって、該レバー9を持ち上げると、リクライニング装置20のロックが解除し、図示しないリターンスプリングにより、シートバック6が前側FRに倒れ込む付勢力が与えられる。前記シートクッション4に
図示しない乗員が着座していて、リクライニング操作レバー9を持ち上げると、
前記したように、リクライニング装置20のロックが解除し、図示しないリターンスプリングにより、乗員の背中に
シートバック6による付勢力が加わるが、
図示しない乗員が該付勢力に抗してシートバック6を後側RRに押せば、前記シートバック6の中立位置N(
図3の実線位置)から
図3の二点鎖線及び符号6a、7aで示す位置までシートバック6及びヘッドレスト7は移動可能である。該符号6a、7aで示す位置を「フルリクライニング位置」という。
【0019】
前記チルトダウン操作レバー10は、
図5に示すように、前記シートクッションフレーム21
にヒンジピン10bで
回転自在に軸支されてなり、該チルトダウン操作レバー10には、連結具30の下端が連結されて成り、前記連結具30の上端はストップレバー31の「一方側」である後端部31aに連結してなる。
【0020】
前記ストップレバー31は、
図6乃至
図10に示すように、ロアヒンジプレート21aに支持された第1回転中心ピン31cにより
上下回転自在に軸支され、「他方側」である前端部31b側に係合ピン32が突設されてなる。前記係合ピン32は、前記ロアヒンジプレート21aに形成された開口部21bを介して、前記ロアヒンジプレート21aの裏面側に20ミリメートル突出している。前記ストップレバー31は、
図5に示すように、コイル状のばね33により常時
図5の反時計方向に付勢されてなる。
【0021】
図5に破線で示す符号34は、カムで、該カム34は、前記ロアヒンジプレート21aの裏面側に配され且つ
第3回転中心ピン39により回転自在に軸支されてなる。該カム34は、
コイル状スプリング38により図
7の時計方向
に付勢されてなる。尚、
図7以下において、前記カム3
4は、実線で示されているが、分かりやすさを求めて実線で示したものであって、
図5に破線で示したように、実際は、前記ロアヒンジプレート21aの裏面側に配されてなる。符号35は
、第2回転中心ピンである。
【0022】
図7以下に示す符号36は、前記ロアヒンジプレート21aの裏面側に配され且つ第4回転中心ピン36bによ
り回転自在に軸支されてなるスライドレバーリンクであって、自由端部に配した蹴飛ばされピン36aは、前記ストップレバー31の後端部31a
に連結されてなる。同じく
図7以下に示す符号37は、前記ロアヒンジプレート21aの裏側に突設されてなるストッパピンである。尚、
図7以下において、前記スライドレバーリンク36及びストッパピン37は、実線で示されているが、分かりやすさを求めて実線で示したものであって、
図5に示すとしたら破線である。
【0023】
次に、本実施例の作用を説明する。
【0024】
前記リクライニング操作レバー9を持ち上げることで、リクライニング装置20の図示しない周知のリクライニングロックが解除され、該リクライニングロックの解除により前記シートバック6が図示しないスプリングにより前傾を開始し、該前傾途中の所定ウォークイン位置6c(
図4参照)に達すると、スライド操作レバー3の係合部3aを作動することで、図示しないスライドロックが外れ
、シートクッション4は前側にスライドすると共に前傾動停止手段により前記シートバック6の前傾動が停止する。
【0025】
また、前記チルトダウン操作レバー10を持ち上げることで、リクライニング装置20の図示しないリクライニングロックが解除すると共に前記前傾動停止装置の働きを停止させて、前記シートバック6がシートクッション4上に前倒
可能なるようにしたため、前記リクライニング操作レバー9及び前記チルトダウン操作レバー10は、双方とも持ち上げるだけで
良いので、各種操作手段の誤操作が生じにくく、操作方向の誤りによる破壊のおそれがない、という実益的効果を有することになる。
【0026】
また、前記前傾動停止手段は、前記シートバッ
6のフレーム22
に同動可能なるカム34と、該カム34
によって、
図10に示すように、押圧
可能なる蹴飛ばされピン36aと、該蹴飛ばされピン36aを突設してなると共に前記シートバック6のフレーム22に回転自在に軸支されてなるスライドレバーリンク36と、前記シートバック
6のフレーム22に突設されてなり且つ前記スライドレバーリンク36を所定位置以上の回転を止めるストッパピン37とより構成されてなる。
【0027】
このため、ウォークインの操作をするには、リクライニング操作レバー9を持ち上げることで、図示しないロックが外れ、図示しないリターンスプリングにより、シートバック6が前側FRに回転を始める。シートバック6の前側FRへの回転に伴い、シートバックフレーム22に回動自在に軸支されたカム34も反時計方向に回転する。前記カム34によって、前記スライドレバーリンク36のピン36aが蹴飛ばされて、前記の移動によって、前記スライドレバーリンクのピンが蹴飛ばされて、前記スライドレバーリンク36は、時計方向に第4回転中心ピン36bを中心に回転する。前記スライドレバーリンク36は、ストッパピン37にぶつかって、回転が停止される。すると、シートバック6は、前傾動停止装置により、所定の前傾角度で確実に停止される。
【0028】
従って、前記スライドレバーリンク36は、カム34によって、蹴飛ばされピン36aが時計方向に押されつつ、ストッパピン37によって、時計方向への回転が停止されてなる。この停止位置が、シートバック6のウォークイ
ン停止位置6c(停止角度)であり、車体とシートバック6の背面との角度が確保されてなり、シート1の後側の荷室などの空間に乗降しやすい。また、該ウォークイ
ン停止位置6c(停止角度)で、スライド操作レバー3を動かして、図示しないスライドロックを解除させると共に、大人の平均的身長の乗員等
の目の前にシートバック6の背面が来るので、シートバック6を前側FRに押し易く、該シートバック6を前側FRに押せば、シート1自体が前側FRにスライドできる。前記シートバック6のウォークイ
ン停止位置6c(停止角度)は、前記シートバック6と前記シートクッション4との間に、空間が残るので、乗員の意図しない何らかのもの、例えば、小児、犬、猫、玩具等を挟み込んでしまうことがない。また、シートバック6は、前記ウォークイ
ン停止位置6c(停止角度)より中立位置Nへ戻すことは、自由にできるので、シートクッション4への着座が容易に出来る。
【0029】
更に、前記前傾動停止手段の働きを停止させる手段は、前記シートバッ
ク6のフレーム22に第1回転中心ピン31cにより回転自在に軸支されてなるストップレバー31と、該ストップレバー31の「一方側」である後端部31a
に連結されてなる前記チルトダウン操作レバー10と、前記ストップレバー31の「他方側」である前端部31bに突設されてなり且つ前記カム34を前記スライドレバーリンク36の蹴飛ばされピン36aに干渉しない位置に押圧可能なる係合ピン32とより構成されてなる。
故に、前記シートバック6が中立位置Nにある状態で、チルトダウン操作レバー10を持ち上げ操作すれば、連結具30が下がる。連結具30に連結したストップレバー31の後端部31aは、第1回転中心ピン31cを中心に時計方向に回転すると共にストップレバー31の前端部31b側に支持されてなる係合ピン32は、時計方向に回転して、カム34を第2回転中心ピン35側に押圧する。シートバック6の前傾により、カム34は、第3回転中心ピン39を中心に反時計方向に回転して、第2回転中心ピン35にぶつかると共にストップレバー31の後端部31aが第1回転中心ピン31cを中心に時計方向に回転するに伴い、スライドレバーリンク36は、ストップレバー31に連結した蹴飛ばされピン36aが、反時計方向に第4回転中心ピン36bを中心に回転することで、カム34は、スライドレバーリンク36の蹴飛ばされピン36aに干渉しない上下関係になるので、シートバック6は、ウォークイン位置6cで停止せず、そのまま、チルトダウン位置6bまで前記シートバック6は、確実に前倒しができる。この時、カム34は、図8に示すように、スライドレバーリンク36の蹴飛ばされピン36aのそばをすり抜けることになる。