特許第5946303号(P5946303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社総合車両製作所の特許一覧

<>
  • 特許5946303-可動式ホームゲート装置とその制御方法 図000002
  • 特許5946303-可動式ホームゲート装置とその制御方法 図000003
  • 特許5946303-可動式ホームゲート装置とその制御方法 図000004
  • 特許5946303-可動式ホームゲート装置とその制御方法 図000005
  • 特許5946303-可動式ホームゲート装置とその制御方法 図000006
  • 特許5946303-可動式ホームゲート装置とその制御方法 図000007
  • 特許5946303-可動式ホームゲート装置とその制御方法 図000008
  • 特許5946303-可動式ホームゲート装置とその制御方法 図000009
  • 特許5946303-可動式ホームゲート装置とその制御方法 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5946303
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】可動式ホームゲート装置とその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B61B 1/02 20060101AFI20160623BHJP
【FI】
   B61B1/02
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-65423(P2012-65423)
(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-193662(P2013-193662A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】712004783
【氏名又は名称】株式会社総合車両製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 正明
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−093514(JP,A)
【文献】 特開平11−091567(JP,A)
【文献】 特開平07−112663(JP,A)
【文献】 特開2011−016421(JP,A)
【文献】 特開2012−121483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームの線路端に沿って柵を設け、なおかつ、列車の停止位置で側扉に面する部分を開閉可能な開口部とした可動式ホームゲート装置であって、
前記柵の外側とプラットホームに停車する列車との間の領域を検知エリアに含む、前記開口部毎に設けられている検知装置と、該検知装置の制御手段とを含み、
該制御手段は、前記検知装置の検知エリアを、プラットホームに停車する列車の、閉扉状態の側扉に沿って規定される、車両側面の凹部を含む位置まで拡張する、検知エリアの拡張機能を具備し、
前記制御手段が具備する検知エリアの拡張機能は、前記制御手段が前記検知装置を利用して特定する、列車の側扉の開扉開始位置を基準位置として、前記検知装置の検知エリアの拡張範囲を決定するものであることを特徴とする可動式ホームゲート装置。
【請求項2】
前記制御手段が具備する検知エリアの拡張機能は、列車の側扉の開扉開始位置を基準位置とする、列車の車両形式毎に異なる所定の範囲を含むように、前記検知装置の検知エリアを拡張するものであることを特徴とする請求項記載の可動式ホームゲート装置。
【請求項3】
前記制御手段は、列車の側扉の開扉開始位置を特定する際に、プラットホームに停車する列車の側扉の開扉動作に起因して、前記検知装置が検知する列車の車体までの距離が、所定の値以上に変化し始める車体の位置を、前記基準位置として特定することを特徴とする請求項1又は2記載の可動式ホームゲート装置。
【請求項4】
前記検知装置毎に前記制御手段を具備することを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の可動式ホームゲート装置。
【請求項5】
前記検知装置は、支障物センサと、信号処理装置とを含むことを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の可動式ホームゲート装置。
【請求項6】
プラットホームの線路端に沿って柵を設け、なおかつ、列車の停止位置で側扉に面する部分を開閉可能な開口部とした可動式ホームゲート装置の制御方法であって、
前記開口部毎に、検知装置によって前記柵の外側とプラットホームに停車する列車との間の領域の支障物を検知し、この際、プラットホームに停車する列車の、閉扉状態の側扉に沿って規定される車両側面の凹部を含む位置まで、前記検知装置の検知エリアを拡張して支障物を検知し、
前記検知装置によって支障物が検知されない場合にのみ、開放状態にある開口部を閉じ
前記検知装置の検知エリアを拡張する際、前記検知装置を利用して特定する、プラットホームに停車する列車の側扉の開扉開始位置を基準位置として、検知エリアの拡張範囲を決定することを特徴とする可動式ホームゲート装置の制御方法。
【請求項7】
プラットホームに停車する列車の側扉の開扉開始位置を基準位置として、列車の車両形式毎に定めた範囲を含むように、前記検知装置の検知エリアを拡張することを特徴とする請求項記載の可動式ホームゲート装置の制御方法。
【請求項8】
前記検知装置を利用して列車の車体までの距離を検出し、この距離がプラットホームに停車する列車の側扉の開扉動作に起因して、所定の値以上に変化し始める車体の位置を以って、列車の側扉の開扉開始位置を特定することを特徴とする請求項6又は7記載の可動式ホームゲート装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道等のプラットホームに設置される、可動式ホームゲート装置とその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道のプラットホームからの旅客転落事故を防ぐために、線路とホームとを隔てる可動式ホームゲート装置が普及してきている。可動式ホームゲート装置は、プラットホームの線路端に沿って柵を設け、なおかつ、列車の停止位置で、乗降用側扉に面する部分を開閉可能な開口部とすることで、列車に対する旅客の乗降を可能としている。
図8(a)(b)には、可動式ホームゲート装置12を備えるプラットホーム10に、列車14が停車した状態を示している。可動式ホームゲート装置12は、プラットホーム10の線路端10aに沿って柵12aが設けられ、開口部12bには、引戸式の扉体16が、この柵12aに設けられた戸袋に引き込まれるように、設置されている。又、開口部12bは、列車14がプラットホーム10の正規の停止位置に停止した時に、列車14の乗降用の側扉18と一致し、かつ、停止位置が正規の位置から若干ずれた場合でも乗降が可能となるように、側扉18よりも広い開口幅で設置されている。なお、図8の符号20は、列車の乗務員室に設けられた乗務員用側扉であり、符号12cは、可動式ホームゲート装置12に、必要に応じて設けられる乗務員用扉である。
【0003】
可動式ホームゲート装置12の扉体16は、列車14の乗降用の側扉18に連動して、若しくは、乗務員の操作によって開閉するものである。そして、プラットホーム10の線路端10aに沿って複数存在する、各扉体16における閉扉時の乗降客や手荷物が挟み込まれることを防ぐために、各扉体16には、その近傍の支障物を検知するための検知装置22が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
図8に示される可動式ホームゲート装置12は、各扉体16に設けられた検知装置22によって支障物が検知されると、少なくともその支障物検知に係る扉体16の閉扉動作を、支障物が検知されなくなるまで中断させることも可能であり、乗客や手荷物が扉体16に挟まれてしまったり、扉体16と列車14との間に取り残されることを防ぎ、安全性が確保されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−294053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図8に示される可動式ホームゲート装置12の、各扉体16に設けられた検知装置22は、各扉体16近傍の支障物を検知するための検知エリアが、予め設定されているものである。例えば、検知装置22は、図9に示すように、列車14と可動式ホームゲート装置12の開口部12bとの間の、符号Ar1で示す範囲が、その検知エリアとして設定されている。図示のように、この検知エリアAr1は、図中で上方に位置する端辺が、列車14の長手方向に延びる、略直線状に設定されている。このため、列車14の閉扉状態の側扉18に沿って規定される、車両側面の凹部近傍の範囲は、図中の符号Nrで示す範囲のように、検知エリアAr1に含まれておらず、検知装置22の非検知エリアとなっている。従って、例えば、列車14の側扉18に手荷物が挟まれ、非検知エリアNrに手荷物が突出している場合であっても、検知装置22は手荷物を支障物として検知できないことになる。このように、検知装置22による支障物の検知がなされない、非検知エリアNrの存在を考慮して、列車14を運行する上で、安全性を確保するための、乗務員又はホーム係員による監視が必要不可欠となっていた。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、可動式ホームゲート装置の検知装置による、支障物検知の検知エリアを拡張し、列車の運行の安全性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0008】
(1)プラットホームの線路端に沿って柵を設け、なおかつ、列車の停止位置で側扉に面する部分を開閉可能な開口部とした可動式ホームゲート装置であって、前記柵の外側とプラットホームに停車する列車との間の領域を検知エリアに含む、前記開口部毎に設けられている検知装置と、該検知装置の制御手段とを含み、該制御手段は、前記検知装置の検知エリアを、プラットホームに停車する列車の、閉扉状態の側扉に沿って規定される、車両側面の凹部を含む位置まで拡張する、検知エリアの拡張機能を具備する可動式ホームゲート装置。
【0009】
本項に記載の可動式ホームゲート装置は、柵の外側とプラットホームに停車する列車との間の領域を検知エリアに含む検知装置と、この検知装置を制御する制御手段とを含むものである。そして、制御手段は、検知装置の検知エリアを、列車の閉扉状態の側扉に沿って規定される、車両側面の凹部を含む位置まで拡張する拡張機能を具備している。すなわち、制御手段は、検知エリアの拡張前は平面状である、検知エリアの列車の車両側面に対向する面が、車両側面の凹部を含むように車両側面側に突出した、凸部を有するように、検知エリアを拡張するものである。なお、検知エリアを拡張する際には、列車の側扉や車両側面等を支障物として誤検知することがないように、列車の車体から所定の距離だけ離れた位置まで、検知エリアを拡張する。これにより、検知装置で行う支障物の検知を、列車の車両側面の凹部を含むように拡張された検知エリアで行うことになるため、車両側面の凹部に支障物が存在する場合であっても、検知装置による検知からもれることなく、支障物が検知されるものである。
【0010】
なお、ここで用いられる検知装置には、例えば、距離画像センサや3Dセンサ等の画像処理センサが挙げられる。検知装置として距離画像センサを用いる場合には、検出データの取り込み処理動作として、まず距離画像センサから、夫々の検知エリア全域を走査するように光を投射し、この光が検知エリア内の検出対象物に反射され、再び距離画像センサに戻るまでの時間を計測する。そして、計測した時間から、距離画像センサから検知エリア内の検出対象物への距離を求め、検知エリア内の距離画像データを取得し、この距離画像データを検出データとして取り込むこととなる。又、検知装置は、画像処理センサに限定されるものではなく、色の反射で検知対象物を識別する平面センサ(極座標型)、光電管(透過型を除く)等を用いることも可能である。
【0011】
(2)上記(1)項において、前記制御手段が具備する検知エリアの拡張機能は、前記制御手段が前記検知装置を利用して特定する、列車の側扉の開扉開始位置を基準位置として、前記検知装置の検知エリアの拡張範囲を決定するものである可動式ホームゲート装置(請求項)。
本項に記載の可動式ホームゲート装置は、制御手段が具備する拡張機能を用いて、検知装置の検知エリアを拡張する際の拡張範囲を、制御手段が検知装置を利用して特定する、列車の側扉の開扉開始位置を基準位置として決定するものである。すなわち、制御手段は、通常は支障物を検知する際に用いる検知装置を、列車の側扉の開扉開始位置を特定するためにも利用する。そして、特定した列車の側扉の開扉開始位置に基づいて、車両側面の凹部の位置を算出し、この凹部を含むような範囲に、検知装置の検知エリアの拡張範囲を決定するものである。従って、本項に記載の可動式ホームゲート装置は、検知エリアの拡張範囲を、列車の車両側面の凹部を正確に含むように決定するものとなる。更に、検知エリアの拡張範囲を、実際にプラットホームに停車した列車の、側扉の開扉開始位置を基準位置として決定するため、列車の停止位置が正規の位置から若干ずれた場合であっても、適切な範囲に検知エリアを拡張するものとなる。
【0012】
(3)上記(2)項において、前記制御手段が具備する検知エリアの拡張機能は、列車の側扉の開扉開始位置を基準位置とする、列車の車両形式毎に異なる所定の範囲を含むように、前記検知装置の検知エリアを拡張するものである可動式ホームゲート装置(請求項)。
本項に記載の可動式ホームゲート装置は、制御手段の拡張機能によって、検知装置により特定した列車の側扉の開扉開始位置を基準位置とする、列車の車両形式毎に予め定められている範囲を含むように、検知装置の検知エリアを拡張するものである。これにより、本可動式ホームゲート装置が設置されるプラットホームに、複数種類の車両形式の列車が停車する場合であっても、プラットホームに停車した列車の車両形式に応じた、適切な範囲を含むように、検知エリアを拡張するものとなる。
【0013】
(4)上記(3)項において、前記制御手段が具備する検知エリアの拡張機能は、列車の長手方向に関しては、列車の側扉の開扉開始位置から、列車の車両形式毎に異なる所定の長さ分だけ、列車の長手方向の列車前方側及び列車後方側に離れた2つの位置間に、列車の幅方向に関しては、拡張前の検知エリアの、列車の車両側面に対向する面から、列車の車両形式毎に異なる別の所定の長さ分だけ、列車の幅方向に列車側に近づけた位置まで、前記検知装置の検知エリアを拡張するものである可動式ホームゲート装置。
【0014】
本項に記載の可動式ホームゲート装置は、制御手段の拡張機能により、検知装置の検知エリアを拡張する際に、制御手段が算出する3つの位置を用いることで、検知エリアの拡張範囲を決定するものである。まず、制御手段は、検知装置により特定した列車の側扉の開扉開始位置を基準位置として、2つの位置を算出する。すなわち、列車の側扉の開扉開始位置から、列車の長手方向の列車前方側と列車後方側とに、列車の車両形式毎に予め定められている長さ(両開き扉の片側の扉1枚分の、開閉方向の長さ)分だけ夫々離れた、2つの位置を算出する。そして、この算出した2つの位置間を、列車の長手方向に係る検知エリアの拡張範囲に決定する。更に、制御手段は、拡張前の検知エリアの、列車の車両側面に対向する面から、列車の車両形式毎に予め定められている、上述した長さとは別の長さ(拡張前の検知エリアから、側扉手前までの距離)分だけ、列車の幅方向に列車側に近づけた位置を算出する。そして、拡張前の検知エリアから、この算出した位置までを、列車の幅方向に係る検知エリアの拡張範囲に決定する。このようにして、検知エリアの拡張範囲を決定することにより、プラットホームに停車する列車の側扉が、両開き扉である場合でも、列車の車両形式毎に予め定められている長さを利用して、迅速に、かつ、的確な範囲に、検知エリアを拡張するものとなる。
【0015】
(5)上記(3)項において、前記制御手段が具備する検知エリアの拡張機能は、列車の長手方向に関しては、列車の側扉の開扉開始位置から、列車の車両形式毎に異なる所定の長さ分だけ、列車の長手方向の列車前方側或いは列車後方側に離れた位置と、列車の側扉の開扉開始位置との2つの位置間に、列車の幅方向に関しては、拡張前の検知エリアの、列車の車両側面に対向する面から、列車の車両形式毎に異なる別の所定の長さ分だけ、列車の幅方向に列車側に近づけた位置まで、前記検知装置の検知エリアを拡張するものである可動式ホームゲート装置。
【0016】
本項に記載の可動式ホームゲート装置は、制御手段の拡張機能により、検知装置の検知エリアを拡張する際に、制御手段が検知装置を利用して特定する、列車の側扉の開扉開始位置と、制御手段が算出する2つの位置とを用いることで、検知エリアの拡張範囲を決定するものである。まず、制御手段は、列車の側扉の開扉開始位置から、列車の長手方向の列車前方側、或いは、列車後方側に、列車の車両形式毎に予め定められている長さ(片開き扉1枚分の、開閉方向の長さ)分だけ離れた位置を算出する。この際に、列車前方側に離れた位置か、或いは、列車後方側に離れた位置かの決定は、プラットホームに停車した列車の車両の向きや形式に基づいて行われる。そして、この算出した位置と、列車の側扉の開扉開始位置との間を、列車の長手方向に係る検知エリアの拡張範囲に決定する。更に、制御手段は、拡張前の検知エリアの、列車の車両側面に対向する面から、列車の車両形式毎に予め定められている、上述した長さとは別の長さ(拡張前の検知エリアから、側扉手前までの距離)分だけ、列車の幅方向に列車側に近づけた位置を算出する。そして、拡張前の検知エリアから、この算出した位置までを、列車の幅方向に係る検知エリアの拡張範囲に決定する。このようにして、検知エリアの拡張範囲を決定することにより、プラットホームに停車する列車の側扉が、片開き扉である場合でも、列車の車両形式毎に予め定められている長さを利用して、迅速に、かつ、的確な範囲に、検知エリアを拡張するものとなる。
【0017】
(6)上記(2)から(5)項において、前記制御手段は、列車の側扉の開扉開始位置を特定する際に、プラットホームに停車する列車の側扉の開扉動作に起因して、前記検知装置が検知する列車の車体までの距離が、所定の値以上に変化し始める車体の位置を、前記基準位置として特定する可動式ホームゲート装置(請求項)。
本項に記載の可動式ホームゲート装置は、制御手段が検知装置を利用して、列車の側扉の開扉開始位置を特定する際に、検知装置により検知する、プラットホームに停車した列車の車体までの距離が、開扉動作を行う側扉の位置では、所定の値以上に変化することを利用するものである。すなわち、検知装置が検知する列車の車体までの距離は、列車の側扉までの距離を検知している位置において、側扉が開扉状態の際には、列車内部までの距離を検知することになる。このため、側扉の開扉前と開扉後とでは、列車の長手方向の同じ位置を検知しているにも関わらず、検知する距離が所定の値以上に変化する。そして、側扉の開扉開始位置は、一番初めに、この距離が所定の値以上に変化する位置であることから、制御手段は、検知距離が所定の値以上に変化し始める位置を以って、側扉の開扉開始位置を特定する。これにより、側扉の開扉開始位置が、正確に特定されることになるため、この開扉開始位置を基準位置として決定される、検知エリアの拡張範囲も、正確な範囲に決定されるものとなる。
【0018】
(7)上記(1)から(6)項において、前記検知装置毎に前記制御手段を具備する可動式ホームゲート装置(請求項)。
本項に記載の可動式ホームゲート装置は、検知装置毎に制御手段を具備することで、検知装置毎に異なる範囲に、検知装置の検知エリアを拡張するものとなる。このため、列車の夫々の側扉に対応する位置に設けられている検知装置毎に、列車の側扉毎に形成されている車両側面の凹部を含むように、正確に検知エリアを拡張するものとなる。
【0019】
(8)上記(1)から(7)項において、前記検知装置は、支障物センサと、信号処理装置とを含む可動式ホームゲート装置(請求項)。
本項に記載の可動式ホームゲート装置は、検知装置が、支障物センサと信号処理装置とを含むことで、検知装置が行う複数の処理動作を、夫々の装置の特徴を生かして、効率良く分担して行うものである。具体的には、検出データの取り込みは、支障物センサが行い、検出データに基づく検出対象物の有無の判定、検知エリアの変更、といった処理動作は、信号処理装置で行うものである。
【0020】
(9)プラットホームの線路端に沿って柵を設け、なおかつ、列車の停止位置で側扉に面する部分を開閉可能な開口部とした可動式ホームゲート装置の制御方法であって、前記開口部毎に、検知装置によって前記柵の外側とプラットホームに停車する列車との間の領域の支障物を検知し、この際、プラットホームに停車する列車の、閉扉状態の側扉に沿って規定される車両側面の凹部を含む位置まで、前記検知装置の検知エリアを拡張して支障物を検知し、前記検知装置によって支障物が検知されない場合にのみ、開放状態にある開口部を閉じる可動式ホームゲート装置の制御方法。
【0021】
本項に記載の可動式ホームゲート装置の制御方法は、開口部毎に、検知装置によって柵の外側とプラットホームに停車する列車との間の領域の支障物を検知し、この際、プラットホームに停車する列車の、閉扉状態の側扉に沿って規定される、車両側面の凹部を含む位置まで、検知装置の検知エリアを拡張して支障物を検知する。なお、検知エリアを拡張する際には、列車の側扉等を支障物として誤検知することがないように、列車の車体から所定の距離だけ離れた位置まで、検知エリアを拡張する。従って、車両側面の凹部に支障物が存在する場合であっても、検知装置による検知からもれることなく、正確に支障物を検知するものとなる。
そして、検知装置によって支障物が検知されない場合にのみ、開放状態にある開口部を閉じることで、乗客の乗降時における乗降客や手荷物が、扉体に挟みこまれてしまう、扉体と列車との間に取り残されてしまう、列車の側扉に挟みこまれた状態で列車が発車してしまうといった、列車の安全な運行を妨げる要因となるものを回避する。
【0022】
(10)上記(9)項において、前記検知装置の検知エリアを拡張する際、前記検知装置を利用して特定する、プラットホームに停車する列車の側扉の開扉開始位置を基準位置として、検知エリアの拡張範囲を決定する可動式ホームゲート装置の制御方法(請求項)。
本項に記載の可動式ホームゲート装置の制御方法は、支障物を検知するための検知装置を利用して、プラットホームに停車する列車の側扉の開扉開始位置を特定し、この側扉の開扉開始位置を基準位置として、検知装置の検知エリアの拡張範囲を決定するものである。これにより、実際にプラットホームに停車した列車の、側扉の開扉開始位置を基準位置として、検知エリアを拡張することになるため、列車の停止位置が正規の位置から若干ずれた場合であっても、車両側面の凹部を正確に含むように、検知エリアを拡張するものとなる。
【0023】
(11)上記(10)項において、プラットホームに停車する列車の側扉の開扉開始位置を基準位置として、列車の車両形式毎に定めた範囲を含むように、前記検知装置の検知エリアを拡張する可動式ホームゲート装置の制御方法(請求項)。
本項に記載の可動式ホームゲート装置の制御方法は、検知装置の検知エリアを拡張する際に、プラットホームに停車する列車の側扉の開扉開始位置を基準位置とする、列車の車両形式毎に予め定めた範囲を含むように、検知エリアを拡張するものである。従って、プラットホームに停車した列車の車両形式に応じて、適切な範囲に検知エリアを拡張することとなる。
【0024】
(12)上記(11)項において、前記検知装置の検知エリアを、列車の長手方向に関しては、列車の側扉の開扉開始位置から、列車の車両形式毎に定めた長さ分だけ、列車の長手方向の列車前方側及び列車後方側に離れた2つの位置間に、列車の幅方向に関しては、拡張前の検知エリアの、列車の車両側面に対向する面から、列車の車両形式毎に定めた別の長さ分だけ、列車の幅方向に列車側に近づけた位置まで、拡張する可動式ホームゲート装置の制御方法。
【0025】
本項に記載の可動式ホームゲート装置の制御方法は、プラットホームに停車した列車の側扉が、両開き扉である場合に用いる制御方法である。まず、車両側面の凹部の位置を特定するために、検知装置を利用して特定した、列車の側扉の開扉開始位置に基づいて、凹部の列車長手方向の両端の位置を算出する。この際に、列車の側扉は両開き扉であることから、側扉の開扉開始位置は、側扉の列車長手方向の中心位置、すなわち、車両側面の凹部の列車長手方向の中心位置となる。このため、列車の側扉の開扉開始位置から、列車の長手方向の列車前方側と列車後方側とに、列車の車両形式毎に予め定められている長さ(両開き扉の片側の扉1枚分の、開閉方向の長さ)分だけ夫々離れた、2つの位置を算出することで、凹部の列車長手方向の両端の位置を算出する。次に、車両側面の凹部の、列車幅方向の側扉側の位置を算出する。この際には、拡張前の検知エリアから、列車の車両形式毎に予め定められている、上述した長さとは別の長さ(拡張前の検知エリアから、側扉手前までの距離)分だけ、列車幅方向に離れた位置を算出することで、凹部の列車幅方向の側扉側の位置を算出する。そして、算出した凹部の列車長手方向の両端の位置と、凹部の列車幅方向の側扉側の位置とに対応するように、検知エリアの拡張範囲を決定する。こうすることで、列車の側扉が両開き扉である場合でも、列車の車両形式毎に予め定められている長さを利用して、迅速に、かつ、的確な範囲に、検知エリアを拡張するものとなる。
【0026】
(13)上記(11)項において、前記検知装置の検知エリアを、列車の長手方向に関しては、列車の側扉の開扉開始位置から、列車の車両形式毎に定めた長さ分だけ、列車の長手方向の列車前方側或いは列車後方側に離れた位置と、列車の側扉の開扉開始位置との2つの位置間に、列車の幅方向に関しては、拡張前の検知エリアの、列車の車両側面に対向する面から、列車の車両形式毎に定めた別の長さ分だけ、列車の幅方向に列車側に近づけた位置まで、拡張する可動式ホームゲート装置の制御方法。
【0027】
本項に記載の可動式ホームゲート装置の制御方法は、プラットホームに停車した列車の側扉が、片開き扉である場合に用いる制御方法である。まず、車両側面の凹部の位置を特定するために、検知装置を利用して特定した、列車の側扉の開扉開始位置に基づいて、凹部の列車長手方向の両端の位置を算出する。この際に、列車の側扉は片開き扉であるため、側扉の開扉開始位置が、凹部の列車長手方向の列車前方側端部、或いは、列車後方側端部の位置となる。この列車長手方向の端部の決定は、プラットホームに停車した列車の車両の向きや形式に基づいて行われる。そして、側扉の開扉開始位置が、凹部の列車長手方向の列車後方側端部に該当する場合には、凹部の列車長手方向の列車前方側端部を算出する際に、列車の側扉の開扉開始位置から、列車の長手方向の列車前方側に、列車の車両形式毎に予め定められている長さ(片開き扉1枚分の、開閉方向の長さ)分だけ離れた位置を算出することで、凹部の列車長手方向の列車前方側端部の位置を算出する。又、側扉の開扉開始位置が、凹部の列車長手方向の列車前方側端部に該当する場合には、その位置から列車の長手方向の列車後方側に、列車の車両形式毎に予め定められている長さ分だけ離れた位置を算出すればよい。次に、車両側面の凹部の、列車幅方向の側扉側の位置を算出する。この際には、拡張前の検知エリアから、列車の車両形式毎に予め定められている、上述した長さとは別の長さ(拡張前の検知エリアから、側扉手前までの距離)分だけ、列車幅方向に離れた位置を算出することで、凹部の列車幅方向の側扉側の位置を算出する。そして、算出した凹部の列車長手方向の両端の位置と、凹部の列車幅方向の側扉側の位置とに対応するように、検知エリアの拡張範囲を決定する。こうすることで、列車の側扉が片開き扉である場合でも、列車の車両形式毎に予め定められている長さを利用して、迅速に、かつ、的確な範囲に、検知エリアを拡張するものとなる。
【0028】
(14)上記(10)から(13)項において、前記検知装置を利用して列車の車体までの距離を検出し、この距離がプラットホームに停車する列車の側扉の開扉動作に起因して、所定の値以上に変化し始める車体の位置を以って、列車の側扉の開扉開始位置を特定する可動式ホームゲート装置の制御方法(請求項)。
本項に記載の可動式ホームゲート装置の制御方法は、検知装置を利用して、プラットホームに停車した列車の車体までの距離を検出する。この車体までの距離は、列車の側扉の位置においては、側扉が閉扉状態から開扉状態になる際に、検出する距離に所定の値以上の変化が生じる。これを利用し、車体までの距離が、所定の値以上に最初に変化した位置を以って、列車の側扉の開扉開始位置を特定する。この方法によれば、列車の側扉の開扉開始位置を、正確に特定することになるため、この開扉開始位置を基準位置として決定される、検知エリアの拡張範囲も、車両側面の凹部を含むように正確に決定されることになる。
【発明の効果】
【0029】
本発明はこのように構成したので、可動式ホームゲート装置の検知装置による、支障物検知の検知エリアを拡張し、列車の運行の安全性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置の制御手順を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置の制御手順を説明するための図であり、(a)は列車が停車する前の平面図、(b)は列車が停車した直後の平面図である。
図4図3に続き、本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置の制御手順を説明するための図であり、(c)は扉体と列車の側扉とが開扉動作中の開口部周辺を示す平面図、(d)は扉体と列車の側扉とが開扉状態の開口部周辺を示す平面図である。
図5図4に続き、本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置の制御手順を説明するための図であり、(e)は扉体と列車の側扉とが開扉状態の平面図、(f)は扉体と列車の側扉とが閉扉動作中の平面図とその一部の拡大図である。
図6図5に続き、本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置の制御手順を説明するための図であり、(g)は列車が発車した直後の平面図である。
図7】列車の側扉が片開き扉である場合の、本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置の制御手順の一部を説明するための図であり、(c)は扉体と列車の側扉とが開扉動作中の開口部周辺を示す平面図、(d)は扉体と列車の側扉とが開扉状態の開口部周辺を示す平面図である。
図8】従来の可動式ホームゲート装置を備えるプラットホームに、列車が停車した状態を示しており、(a)は側面図、(b)は平面図である。
図9】従来の可動式ホームゲート装置を備えるプラットホームにおける課題を説明するための、開口部周辺を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置の全体構成は、従来の可動式ホームゲート装置と同様であり、適宜、図8を参照すると共に、詳しい説明を省略する。
図1には、本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置24の制御系の構成がブロック図で示されている。可動式ホームゲート装置24は、柵12a(図8参照)の外側(線路端10a側)とプラットホーム10に停車する列車14(図8参照)との間の領域を検知エリアに含む検知装置22と、検知装置22の制御手段26とを、開口部12b(扉体16)毎に具備するものである。
【0032】
図1の例では、検知装置22は、支障物センサ28と信号処理装置30とで構成されている。支障物センサ28の例として、距離画像センサや3Dセンサ等の、画像処理センサが挙げられる。又、制御手段26は、検知装置22毎に設けられた個別制御盤であり、夫々が対応する検知装置22の検知エリアを、拡張する機能を具備している。又、制御手段26は、各開口部12bの扉体16の開閉制御を行うものである。なお、信号処理装置30及び制御手段26には、例えばコンピュータ等の電子演算器が用いられ、この場合、制御手段26による検知装置22の検知エリアの拡張機能は、電子演算器の制御ロジックとして構築されている。
【0033】
又、図1に記載されているLは、列車14の1両分の長さを示している。そして、図1の例は、Lで示す範囲に3つの検知装置22が記載されていることから、車両1両につき、3つの側扉18(図8参照)が設けられている列車14に対応するものである。更に、図1の例では、列車14の車両1両分に相当する3つの検知装置22が示されているが、列車14が複数の車両で構成されている場合には、その編成に係る車両の数だけ、Lで示す範囲内にある列車14の、車両1両分の装置の構成を、図1で示すブロック図に連続させるようにして、接続する態様となる。
【0034】
更に、可動式ホームゲート装置24の各開口部12bの一部又は全部には、各扉体16の開閉操作を行うための操作盤32が(柵12aの外側に)設けられており、車掌が操作盤32の開操作スイッチ34又は閉操作スイッチ36(押しボタン式等)を操作して、扉体16を開閉操作することが可能となっている。なお、図中の符号38は、可動式ホームゲート装置24の総合制御手段であり、例えばコンピュータ等の電子演算器により構成されている。そして、操作盤32の開操作スイッチ34又は閉操作スイッチ36への入力信号は、総合制御手段38を介して各個別の制御手段26へと送信される。又、各個別の制御手段26の機能を総合制御手段38に与えることも可能であり、更には、個別の制御手段26の1つが、総合制御手段38の機能を具備するものであっても良い。
【0035】
次に、本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置24の制御手順を、図2に示すフローチャートの流れに沿って、図3から図7に示す模式図を参照しながら概略的に説明する。なお、図2では、プラットホーム10に停車する列車14の側扉18が、両開き扉である場合の制御手順を示しているが、本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置24は、列車14の側扉18が片開き扉である場合にも対応が可能である。又、図3から図7では、6両編成の列車14が、プラットホーム10の正規の停止位置から、若干ずれて停車した場合を想定して図示している。
【0036】
まず、プラットホーム10に停車する列車14の側扉18が、両開き扉である場合の制御手順を説明する。
S100:図3(a)に示すように、列車14が図中右側から左側に向かって進行し、プラットホーム10に停車する直前の状態であり、この際に、可動式ホームゲート装置24の扉体16は閉扉状態である。この状態において、検知装置22からは検知信号が出力されているが、制御手段26や総合制御手段38(図1参照)は、この信号を無視(無効化)する。
S110:図3(b)に示すように、列車14がプラットホーム10に停車した後に、列車14の乗務員Pが、安全確認を実施し、列車14の側扉18及び扉体16(ホーム柵扉)の開扉操作を行う。
【0037】
S120:上記S110での開扉操作を受け、側扉18及び扉体16が開扉動作を開始すると同時に、制御手段26は、検知装置22を利用して側扉18の中心位置を検出するための信号を有効化する。なお、列車14の停車後に、上記S110のような乗務員Pの開扉操作を必要とせずに、側扉18及び扉体16の開扉動作が自動で開始される場合にも、その開扉動作が開始されると同時に、側扉18の中心位置を検出するための信号を有効化する。
S130:上記S120で側扉18の中心位置を検出するための信号を有効化した後、制御手段26は、検知装置22を利用して、側扉18の中心位置検出範囲Ar3(図4(c)参照)において、側扉18の開閉方向中心位置の検出を開始する。この側扉18の中心位置の検出は、検知装置22毎に、すなわち、列車14の側扉18毎に、個別に実施される。なお、この状態において、検知装置22による支障物の検知は行っていない。
【0038】
S140:図4(c)に拡大して示すように、制御手段26は、検知装置22を利用して、側扉18の中心位置検出範囲Ar3において、列車14の側扉18が開扉動作を開始した位置を検出する。ここで、列車14の側扉18は、両開き扉であることから、検出した側扉18の開扉開始位置と略等しい位置が、側扉18の開閉方向(図中左右方向)の中心位置Cとなる。
なお、側扉18の開扉開始位置の検出を行う際には、検知装置22により、側扉18の中心位置検出範囲Ar3に含まれる列車14の車体までの距離を検知し、この検知した距離が、所定の値以上に変化し始めた位置を以って、側扉18の開扉開始位置を特定する。つまり、側扉18までの距離を検知している位置では、側扉18が開扉状態になった際に、側扉18の図中上方に位置する、列車14の内部までの距離を検知することになるため、側扉18の開扉前と開扉後とでは、検知距離が所定の値以上に変化する。これを利用すると、側扉18の開扉開始位置は、一番初めに、検知距離が所定の値以上に変化する位置であるため、この位置を検出することで、側扉18の開扉開始位置を特定する。
【0039】
そして、側扉18の開閉方向の中心位置Cを検出した後に、制御手段26は、図4(d)に示すように、検知装置22による支障物検知のための検知エリアを、列車14の閉扉状態の側扉18に沿って規定される、車両側面の凹部を含むように拡張するための、拡張範囲Ar5を算出する。この際に、制御手段26は、まず、側扉18の中心位置Cを基準位置として、側扉18の開閉方向両側(図中左方向と右方向)に、夫々長さw1だけ離れた2つの位置を算出し、この2つの位置の間を、拡張範囲Ar5の列車14長手方向(図中左右方向)の範囲とする。更に、制御手段26は、検知装置22の支障物検知のための、拡張前の検知エリアAr1から、列車14幅方向の列車14側(図中上側)に、長さh1だけ離れた位置を算出し、この位置から拡張前の検知エリアAr1までの間を、拡張範囲Ar5の列車14幅方向(図中上下方向)の範囲として、拡張範囲Ar5を決定する。そして、制御手段26は、検知装置22の支障物検知のための検知エリアを、拡張前の検知エリアAr1に、拡張範囲Ar5を加えた、拡張後の検知エリアAr7に設定する。
なお、w1及びh1の値は、列車14の車両形式毎に、夫々、予め設定されているものである。w1の値は、列車14の両開き扉である側扉18の、片側の扉1枚分の開閉方向(図中左右方向)の長さを目安に設定し、例えば、500〜1000mmに設定する。又、h1の値は、列車14の車両側面の凹部の、列車14幅方向の長さを目安に設定し、例えば、50〜100mmに設定する。
【0040】
S150:図5(e)に示すように、列車14の側扉18及び扉体16(ホーム柵扉)の開扉動作が完了し、側扉18及び扉体16が全て開扉した状態となる。
S160:上記S150で側扉18及び扉体16が開扉状態になった際には、列車14の乗降客を支障物として誤検知すること等を防止するため、検知センサ22の検知信号を一旦無効化する。
S170:図5(f)に示すように、列車14の乗務員Pが、安全確認を実施し、列車14の側扉18及び扉体16(ホーム柵扉)の閉扉操作を行う。なお、図5(f)の右下の図は、符号Aで示す範囲周辺の拡大図である。
S180:上記S170で閉扉操作がなされるのと同時に、制御手段26は、検知装置22により支障物を検知するための信号を有効化する。
【0041】
S190:上記S180で支障物を検知するための信号を有効化した後、制御手段26は、検知装置22を利用して支障物の検知を開始する。この際に、制御手段26は、検知装置22によって、列車14の側扉18と扉体16(ホーム柵扉)間に設定されている、上記S140で設定された拡張後の検知エリアAr7において、支障物の検知を行う。なお、この支障物の検知は、検知装置22毎に、すなわち、列車14の側扉18毎に、個別に実施される。
S200:拡張後の検知エリアAr7において、検知装置22により支障物が検知された場合(Yes)には、S210へ移行し、支障物が検知されない場合(No)には、S220へ移行する。
【0042】
S210:上記S200で支障物が検知された場合に、乗務員Pやホーム係員等は、支障物を検知している検知装置22が対応する側扉18及び扉体16周辺にて、支障物の確認を行った後、支障物として検知されている乗客の手荷物等が、拡張後の検知エリアAr7外の安全な場所に移動されるように、乗客に対する注意喚起や、自ら手荷物等の移動を行うことで、検知装置22により支障物として検知される要因を除去する。この間、制御手段26は、扉体16の閉扉動作の中断等を行い、安全性の確保に努める。そして、制御手段26が、支障物の検知を続けるため、上記S190に復帰する。
S220:上記S200で支障物が検知されない場合には、列車14の側扉18及び扉体16(ホーム柵扉)の閉扉動作が完了する。そして、全ての検知装置22において、支障物が検知されない場合には、全ての側扉18及び扉体16が閉扉した状態となる。
S230:上記S220で、側扉18及び扉体16が閉扉状態となった後に、制御手段26は、検知装置22により支障物が検知されなければ、検知センサ22の検知信号を無効化する。そして、全ての検知装置22において、支障物が検知されず、検知信号が無効化された際には、図6(g)に示すように、列車14の発車が許可され、列車14が発車する。
【0043】
続いて、図7を参照しながら、プラットホーム10に停車する列車14’の側扉18’が、片開き扉である場合の制御手順を説明する。なお、列車14’の側扉18’が片開き扉である場合の制御手順と、図2に示す列車14の側扉18が両開き扉である場合の制御手順とは、その差分が、図2におけるS120〜S140の制御手順のみである。このため、図2のS120〜S140の制御手順を、夫々S120’〜S140’として、列車14’の側扉18’が片開き扉である場合に置き換え、この置き換え後のS120’〜S140’の制御手順についてのみ、説明をすることとする。
【0044】
S120’:図2のS110での開扉操作を受け、側扉18’及び扉体16が開扉動作を開始すると同時に、制御手段26は、側扉18’の列車14’進行方向前方側端部、或いは、後方側端部の位置を検出するための、検知装置22の信号を有効化する。なお、列車14’の停車後に、図2のS110のような乗務員Pの開扉操作を必要とせずに、側扉18’及び扉体16の開扉動作が自動で開始される場合にも、その開扉動作が開始されると同時に、側扉18’の列車14’進行方向前方側端部、或いは、後方側端部の位置を検出するための信号を有効化する。
S130’:上記S120’で検知装置22の信号を有効化した後、制御手段26は、図7(c)に示すように、検知装置22を利用して、側扉18’の端部位置検出範囲Ar3’において、側扉18’の列車14’進行方向前方側端部、或いは、後方側端部の位置の検出を開始する。ここで、図7の例では、列車14’の側扉18’が、列車14’進行方向前方側(図中左側)に向かって開く片開き扉であるため、制御手段26は、側扉18’の列車14’進行方向後方側端部の位置の検出を開始する。この側扉18’の列車14’進行方向後方側端部の位置の検出は、検知装置22毎に、すなわち、列車14’の側扉18’毎に、個別に実施される。なお、この状態において、検知装置22による支障物の検知は行っていない。
【0045】
S140’:制御手段26は、検知装置22を利用して、側扉18’の端部位置検出範囲Ar3’において、列車14’の側扉18’が開扉動作を開始した位置を検出する。ここで、列車14’の側扉18’は、列車14’進行方向前方側(図中左側)に向かって開く片開き扉であることから、検出した側扉18’の開扉開始位置と略等しい位置が、側扉18’の列車14’進行方向後方側端部の位置Eとなる。
なお、側扉18’の開扉開始位置の検出を行う際には、検知装置22により、側扉18’の端部位置検出範囲Ar3’に含まれる列車14’の車体までの距離を検知し、この検知した距離が、所定の値以上に変化し始めた位置を以って、側扉18’の開扉開始位置を特定する。つまり、側扉18’までの距離を検知している位置では、側扉18’が開扉状態になった際に、側扉18’の図中上方に位置する、列車14’の内部までの距離を検知することになるため、側扉18’の開扉前と開扉後とでは、検知距離が所定の値以上に変化する。これを利用すると、側扉18’の開扉開始位置は、一番初めに、検知距離が所定の値以上に変化する位置であるため、この位置を検出することで、側扉18’の開扉開始位置を特定する。
【0046】
そして、側扉18’の列車14’進行方向後方側端部の位置Eを検出した後に、制御手段26は、図7(d)に示すように、検知装置22による支障物検知のための検知エリアを、列車14’の閉扉状態の側扉18’に沿って規定される、車両側面の凹部を含むように拡張するための、拡張範囲Ar5’を算出する。この際に、制御手段26は、まず、側扉18’の列車14’進行方向後方側端部の位置Eを基準位置として、側扉18’の開扉方向(図中左方向)に、長さw2だけ離れた位置を算出し、この算出した位置と、側扉18’の列車14’進行方向後方側端部の位置Eとの間を、拡張範囲Ar5’の列車14’長手方向(図中左右方向)の範囲とする。更に、制御手段26は、検知装置22の支障物検知のための、拡張前の検知エリアAr1から、列車14’幅方向の列車14’側(図中上側)に、長さh2だけ離れた位置を算出し、この位置から拡張前の検知エリアAr1までの間を、拡張範囲Ar5’の列車14’幅方向(図中上下方向)の範囲として、拡張範囲Ar5’を決定する。そして、制御手段26は、検知装置22の支障物検知のための検知エリアを、拡張前の検知エリアAr1に、拡張範囲Ar5’を加えた、拡張後の検知エリアAr7’に設定する。
【0047】
なお、w2及びh2の値は、列車14’の車両形式毎に、夫々、予め設定されているものである。w2の値は、列車14’の片開き扉である側扉18’の、扉1枚分の開閉方向(図中左右方向)の長さを目安に設定し、例えば、500〜1000mmに設定する。又、h2の値は、列車14’の車両側面の凹部の、列車14’幅方向の長さを目安に設定し、例えば、50〜100mmに設定する。
このS140’の制御手順の後は、図2のS150へ移行し、以降は、列車の側扉が両開き扉である場合の制御手順と同様になる。
【0048】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置24は、図1に示すように、柵の外側とプラットホーム10に停車する列車14(図8参照)との間の領域を検知エリアに含む検知装置22と、この検知装置22を制御する制御手段26とを含むものである。そして、制御手段26は、検知装置22の検知エリアを、列車14の閉扉状態の側扉18(図9参照)に沿って規定される、車両側面の凹部を含む位置まで拡張する拡張機能を具備している。すなわち、制御手段26は、図4(d)に示すように、拡張前の検知エリアAr1の、平面状である、列車14の車両側面に対向する面(図中上側の面)が、車両側面の凹部を含むように車両側面側に突出した、凸部(Ar5)を有するように、検知エリアAr1から検知エリアAr7へ拡張するものである。なお、検知エリアを拡張する際には、列車14の側扉18や車両側面等を支障物として誤検知することがないように、列車14の車体から所定の距離だけ離れた位置まで、検知エリアを拡張する。これにより、検知装置22で行う支障物の検知を、列車14の車両側面の凹部を含むように拡張された検知エリアAr7で行うことになるため、車両側面の凹部に支障物が存在する場合であっても、検知装置22による検知からもれることなく、正確に支障物を検知することが可能となる。
【0049】
そして、図5(f)に示すように、可動式ホームゲート装置24が設置されるプラットホーム10において、検知装置22によって支障物が検知されない場合にのみ、開放状態にある開口部12bを閉じることとすれば、乗客の乗降時における乗降客や手荷物が、扉体16に挟みこまれ、扉体16と列車14との間に取り残されて、或いは、列車14の側扉18に挟みこまれた状態で列車14が発車してしまうといった、列車14の安全な運行を妨げる要因となるものを、事前に回避することが可能となり、列車14の運行の安全性をより一層向上することができる。
【0050】
又、本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置24は、制御手段26が具備する拡張機能を用いて、検知装置22の検知エリアを拡張する際の拡張範囲を、図4(c)に示すように、制御手段26が検知装置22を利用して、列車14の側扉18の開扉開始位置(開閉方向中心位置)Cを、側扉18の中心位置検出範囲Ar3における基準位置として決定するものである。すなわち、制御手段26は、通常は支障物を検知する際に用いる検知装置22を、列車14の側扉18の開扉開始位置Cを特定するためにも利用する。そして、図4(d)に示すように、特定した列車14の側扉18の開扉開始位置Cに基づいて、車両側面の凹部の位置を算出し、この凹部を含むような範囲に、検知装置22の検知エリアの拡張範囲Ar5を決定するものである。従って、本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置24は、検知エリアの拡張範囲Ar5を、列車14の車両側面の凹部を正確に含むように決定することができる。更に、検知エリアの拡張範囲Ar5を、実際にプラットホーム10に停車した列車14の、側扉18の開扉開始位置Cを基準位置として決定するため、列車14の停止位置が正規の位置から若干ずれた場合であっても、適切な範囲に検知エリアを拡張することが可能となる。
【0051】
更に、本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置24は、制御手段26の拡張機能によって、検知装置22により特定した列車14の側扉18の開扉開始位置Cを基準位置とする、列車14の車両形式毎に予め定められている範囲を含むように、検知装置22の検知エリアを拡張するものである。これにより、本可動式ホームゲート装置24が設置されるプラットホーム10に、複数種類の車両形式の列車14が停車する場合であっても、プラットホーム10に停車した列車14の車両形式に応じた、適切な範囲を含むように、検知エリアを拡張することができる。
【0052】
又、本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置24は、図4(d)に示すように、プラットホーム10に停車した列車14の側扉18が両開き扉である場合には、制御手段26の拡張機能により、検知装置22の検知エリアを拡張する際に、制御手段26が算出する3つの位置を用いることで、検知エリアの拡張範囲Ar5を決定するものである。まず、制御手段26は、車両側面の凹部の位置を特定するために、検知装置22を利用して特定した、列車14の側扉18の開扉開始位置Cに基づいて、凹部の列車14進行方向前方側端部と後方側端部の位置を算出する。この際に、列車14の側扉18は両開き扉であることから、側扉18の開扉開始位置Cは、側扉18の列車14長手方向(進行方向)の中心位置、すなわち、車両側面の凹部の列車14長手方向(進行方向)の中心位置となる。このため、列車14の側扉18の開扉開始位置Cから、列車14進行方向前方側(図中左側)と後方側(図中右側)とに、列車14の車両形式毎に予め定められている長さw1(両開き扉の片側の扉1枚分の、開閉方向の長さ)分だけ夫々離れた、2つの位置を算出することで、凹部の列車14進行方向の両端の位置を算出する。
【0053】
次に、制御手段26は、車両側面の凹部の、列車14幅方向(図中上下方向)の側扉18側(図中上側)の位置を算出する。この際には、拡張前の検知エリアAr1から、列車14の車両形式毎に予め定められている、上述した長さw1とは別の長さh1(拡張前の検知エリアAr1から、側扉18手前までの距離)分だけ、列車14幅方向に離れた位置を算出することで、凹部の列車14幅方向の側扉18側の位置を算出する。そして、制御手段26は、算出した凹部の列車14進行方向両端の位置と、凹部の列車14幅方向の側扉18側の位置とに対応するように、検知エリアの拡張範囲Ar5を決定する。このようにして、検知エリアの拡張範囲Ar5を決定することにより、プラットホーム10に停車する列車14の側扉18が、両開き扉である場合でも、列車14の車両形式毎に予め定められている長さw1、h1を利用して、迅速に、かつ、的確な範囲に、検知エリアを拡張することができる。
【0054】
又、本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置24は、図7(d)に示すように、プラットホーム10に停車した列車14’の側扉18’が片開き扉である場合には、制御手段26の拡張機能により、検知装置22の検知エリアを拡張する際に、制御手段26が検知装置22を利用して特定する、列車14’の側扉18’の開扉開始位置Eと、制御手段26が算出する2つの位置とを用いることで、検知エリアの拡張範囲Ar5’を決定するものである。まず、制御手段26は、車両側面の凹部の位置を特定するために、検知装置22を利用して特定した、列車14’の側扉18’の開扉開始位置Eに基づいて、凹部の列車14’進行方向前方側端部と後方側端部の位置を算出する。この際に、図7(d)に示す列車14’の側扉18’は、列車14’進行方向前方側(図中左側)に向かって開く片開き扉であるため、側扉18’の開扉開始位置Eが、凹部の列車14’進行方向後方側端部の位置となる。そして、凹部の列車14’進行方向前方側端部を算出する際に、列車14’の側扉18’の開扉開始位置Eから、列車14’進行方向前方側に、列車14’の車両形式毎に予め定められている長さw2(片開き扉1枚分の、開閉方向の長さ)分だけ離れた位置を算出することで、凹部の列車14進行方向前方側端部の位置を算出する。ここで、列車14’の側扉18’が、列車14’進行方向後方側(図中左側)に向かって開く片開き扉である場合について言及すると、この場合には、側扉18’の開扉開始位置Eが、凹部の列車14’進行方向前方側端部の位置となる。そして、側扉18’の開扉開始位置Eから、列車14’進行方向後方側に、列車14’の車両形式毎に予め定められている長さw2分だけ離れた位置を算出することで、凹部の列車14進行方向後方側端部の位置を算出すればよい。
【0055】
次に、制御手段26は、車両側面の凹部の、列車14’幅方向(図中上下方向)の側扉18’側(図中上側)の位置を算出する。この際には、拡張前の検知エリアAr1から、列車14’の車両形式毎に予め定められている、上述した長さw2とは別の長さh2(拡張前の検知エリアAr1から、側扉18’手前までの距離)分だけ、列車14’幅方向に離れた位置を算出することで、凹部の列車14’幅方向の側扉18’側の位置を算出する。そして、制御手段26は、算出した凹部の列車14’進行方向両端の位置と、凹部の列車14’幅方向の側扉18’側の位置とに対応するように、検知エリアの拡張範囲Ar5’を決定する。このようにして、検知エリアの拡張範囲Ar5’を決定することにより、プラットホーム10に停車する列車14’の側扉18’が、片開き扉である場合でも、列車14’の車両形式毎に予め定められている長さw2、h2を利用して、迅速に、かつ、的確な範囲に、検知エリアを拡張することができる。
【0056】
更に、本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置24は、図4(c)及び図7(c)に示すように、制御手段26が検知装置22を利用して、列車14(14’)の側扉18(18’)の開扉開始位置C(E)を特定する際に、検知装置22により検知する、プラットホーム10に停車した列車14(14’)の車体までの距離が、開扉動作を行う側扉18(18’)の位置では、所定の値以上に変化することを利用するものである。すなわち、検知装置22が検知する列車14(14’)の車体までの距離は、列車14(14’)の側扉18(18’)までの距離を検知している位置において、側扉18(18’)が開扉状態の際には、列車14(14’)内部までの距離を検知することになる。このため、側扉18(18’)の開扉前と開扉後とでは、列車14(14’)の長手方向の同じ位置を検知しているにも関わらず、検知する距離が所定の値以上に変化する。そして、側扉18(18’)の開扉開始位置C(E)は、一番初めに、この距離が所定の値以上に変化する位置であることから、制御手段26は、検知距離が所定の値以上に変化し始める位置を以って、側扉18(18’)の開扉開始位置C(E)を特定する。これにより、側扉18(18’)の開扉開始位置C(E)を、正確に特定することができるため、この開扉開始位置C(E)を基準位置として決定する、検知エリアの拡張範囲Ar5(Ar5’)も、正確な範囲に決定することが可能となる。
【0057】
又、本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置24は、図1に示すように、検知装置22毎に制御手段26を具備することとすれば、検知装置22毎に異なる範囲に、検知装置22の検知エリアを拡張するものとなる。これにより、列車14の夫々の側扉18に対応する位置に設けられている検知装置22毎に、列車14の側扉18毎に形成されている車両側面の凹部を含むように、正確に検知エリアを拡張することができる。
更に、本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置24は、検知装置22が、支障物センサ28と信号処理装置30とを含むことで、検知装置22が行う複数の処理動作を、夫々の装置28、30の特徴を生かして、効率良く分担して行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0058】
10:プラットホーム、10a:線路端、12a:柵、12b:開口部、14、14’:列車、18、18’:側扉、22:検知装置、24:可動式ホームゲート装置、26:制御手段、28:支障物センサ、30:信号処理装置、38:総合制御手段、Ar5、Ar5’:検知エリアの拡張範囲、Ar7、Ar7’:拡張後の検知エリア、C、E:開扉開始位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9