特許第5946411号(P5946411)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5946411自動旋盤の消費電力出力装置および加工システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5946411
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】自動旋盤の消費電力出力装置および加工システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 22/06 20060101AFI20160623BHJP
   G01R 11/00 20060101ALI20160623BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   G01R22/06 110Z
   G01R11/00 G
   B23Q17/00 E
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-539745(P2012-539745)
(86)(22)【出願日】2011年10月19日
(86)【国際出願番号】JP2011074037
(87)【国際公開番号】WO2012053544
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2014年5月7日
(31)【優先権主張番号】特願2010-237665(P2010-237665)
(32)【優先日】2010年10月22日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズンホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000137856
【氏名又は名称】シチズンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111372
【弁理士】
【氏名又は名称】津野 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100186495
【弁理士】
【氏名又は名称】平林 岳治
(72)【発明者】
【氏名】松丸 肇
(72)【発明者】
【氏名】松本 仁
(72)【発明者】
【氏名】渋井 友隆
【審査官】 濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−050993(JP,A)
【文献】 特開2008−238374(JP,A)
【文献】 特開平04−237301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 11/00,22/06
B23B 25/06
B23Q 15/00,17/00
G05B 19/4063
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の製造に関連する電力作動機器を備えて、供給された長尺材から多数の製品を製造する自動旋盤の消費電力出力装置であって、
順次所定の突出量で繰り出されて切削加工され、切削加工された製品が突っ切られて多数の製品が製造されることによって製品1個分ずつ順次短くなり、前記製品1個ごとに消費電力が変化する1本の長尺材に対する所定の加工作業時の加工作業の開始から完了までの前記電力作動機器または前記自動旋盤全体の消費電力を検出する電力検出手段と、
前記電力検出手段で検出した消費電力と前記加工作業によって前記1本の長尺材から製造される製品の個数とに基づいて前記1本の長尺材より製造される製品1個当たりの平均的な消費電力量を演算して出力する出力手段と
有していることを特徴とする消費電力出力装置。
【請求項2】
前記電力作動機器が、前記自動旋盤長尺材を供給する供給手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の消費電力出力装置。
【請求項3】
前記1本の長尺材から製造される製品の個数をカウントするカウント手段を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の消費電力出力装置。
【請求項4】
前記製品1個当りの消費電力の表示手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の消費電力出力装置。
【請求項5】
長尺材から製品を切削加工で製造する加工システムであって、
前記長尺材を順次繰り出して多数の製品を製造可能な自動旋盤と、前記自動旋盤に前記長尺材を順次供給する材料供給装置と、これらを統括制御する制御手段と、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の消費電力出力装置とを有していることを特徴とする加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動旋盤の消費電力出力装置および加工システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電力の有効利用の観点等から、製品1個当たりの電力コストを正確に把握することが求められている。
例えば、同一サイクルを繰り返して多数の製品の製造を行う自動旋盤において、この自動旋盤の動作1サイクルごとの消費電力を表示する技術が知られている。
【0003】
このような技術として、繰り返し動作1サイクルにおける消費電力を検出し、あるいは、所定の時間周期ごとに自動旋盤または電力作動機器の消費電力とその間の繰り返し動作サイクル回数を検出して、繰り返し動作1サイクル当たりの消費電力を表示等によって出力するものが公知である(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3088403号公報(全頁、全図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、1本の長尺材を順次繰り出して多数の製品を切削加工で製造する自動旋盤の場合、材料である長尺材の長さが徐々に短くなるため、それを繰り出すための消費電力、あるいは、長尺材を把持する主軸が回転駆動する際の消費電力等が徐々に変化し、製品の製造の動作1サイクル当たりの消費電力は、製品1個ごとに変化する。
【0006】
また、材料の供給時や残材の排出時に電力を消費しても、個々の製品の加工時には検出できず、材料である長尺材の自動旋盤への供給を自動化した場合や、切削加工する工具の調整・交換等の作業を自動化した場合、それらの作業時の電力の消費も個々の製品の加工時には検出できない。
【0007】
従来公知の技術では、このような動作1サイクルごとの消費電力が変化する電力作動機器を含む自動旋盤や、残材の排出動作、材料の供給、工具の調整・交換作業時等、個々の製品の製造の動作サイクルと異なるサイクルで消費電力が発生、変化する装置、あるいは、ランダムに電力を消費する自動旋盤の場合、製品1個当たりの電力コストを正確に把握できないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本請求項1に係る発明は、製品の製造に関連する電力作動機器を備えて、供給された長尺材から多数の製品を製造する自動旋盤の消費電力出力装置であって、順次所定の突出量で繰り出されて切削加工され、切削加工された製品が突っ切られて多数の製品が製造されることによって製品1個分ずつ順次短くなり、前記製品1個ごとに消費電力が変化する1本の長尺材に対する所定の加工作業時の加工作業の開始から完了までの前記電力作動機器または前記自動旋盤全体の消費電力を検出する電力検出手段と、前記電力検出手段で検出した消費電力と前記加工作業によって前記1本の長尺材から製造される製品の個数とに基づいて前記1本の長尺材より製造される製品1個当たりの平均的な消費電力量を演算して出力する出力手段とを有していることにより、前記課題を解決するものである。
【0009】
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載された消費電力出力装置の構成に加えて、前記電力作動機器が、前記自動旋盤長尺材を供給する供給手段を含むことにより、前記課題を解決するものである。
【0010】
本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載された消費電力出力装置の構成に加えて、前記1本の長尺材から製造される製品の個数をカウントするカウント手段を有していることにより、前記課題を解決するものである。
【0011】
本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された消費電力出力装置の構成に加えて、前記製品1個当りの消費電力の表示手段を備えていることにより、前記課題を解決するものである。
【0012】
本請求項5に係る発明は、長尺材から製品を切削加工で製造する加工システムであって、前記長尺材を順次繰り出して多数の製品を製造可能な自動旋盤と、前記自動旋盤に前記長尺材を順次供給する材料供給装置と、これらを統括制御する制御手段と、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の消費電力出力装置とを有していることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0013】
本請求項1に係る発明の消費電力出力装置によれば、電力作動機器または自動旋盤全体の消費電力量に基づいて、製品1個当たりの電力コストを正確に把握することが可能となる。
【0014】
さらに、自動旋盤において、順次所定の突出量で繰り出されて切削加工され、切削加工された製品が突っ切られて多数の製品が製造されることによって製品1個分ずつ順次短くなり、製品ごとに動作1サイクル当たりの消費電力が変化する場合であっても、1本の長尺材による加工作業の開始から完了までの消費電力量と、1本の長尺材から製造される製品の個数とに基づいて、製品1個当たりの消費電力量を出力することができ、1本の長尺材から製造される製品1個当たりの電力コストを正確に把握することが可能となる。
なお、前記加工作業の開始から完了までの期間は、製品1個当たりの電力コストを算出するために適時設定される。
【0015】
本請求項2に係る構成によれば、製造サイクルと異なるサイクルで動作する供給手段を有する装置において、製品1個当たりの電力コストを正確に把握することが可能となる。
【0016】
本請求項3に係る構成によれば、1本の長尺材から製造される製品の個数が予め決められていなくても、製品1個当たりの消費電力量を簡単に算出することが可能となる。
【0017】
本請求項4に係る構成によれば、表示手段によって、製品1個当り(材料交換含む)の消費電力を表示し、作業者等が容易に確認することが可能になる。
【0018】
本請求項5に係る発明の加工システムによれば、多数の製品を自動的に製造可能となるとともに、製造される製品1個当たりの電力コストを正確に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施例である消費電力出力装置の説明図。
図2】本発明の一実施例である消費電力出力装置の作動フロー図。
図3】本発明の他の実施例である消費電力出力装置の作動フロー図。
図4】本発明の一実施例である消費電力出力装置の作動フローの変形例を示す図。
図5】本発明の一実施例である消費電力出力装置の作動フローの他の変形例を示す図。
図6】本発明の一実施例である消費電力出力装置の表示画面の一例を示した概念図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0020】
図1は、本発明の一実施例である消費電力出力装置を、1本の長尺材Wを順次繰り出して多数の製品を切削加工で製造する自動旋盤110に適用した概略説明図である。
自動旋盤110は、長尺材Wをチャッキングし回転駆動する主軸111、主軸に対向して設けられて回転駆動する背面主軸112、背面主軸112にチャッキングされた材料を加工する背面工具113、主軸111にチャッキングされた長尺材Wを加工する主工具114等を備え、長尺材Wを主軸111に供給する材料供給装置120が併設されている。
【0021】
主軸111は、回転駆動、長尺材Wのチャッキング動作、軸方向に移動可能に構成されている場合はそのための駆動等が行われ、自動旋盤110は、それらの動作の駆動源であるモータやアクチュエータ等、および、それらを駆動制御する駆動制御手段等(モータアンプ等)の電力作動機器を有している。
【0022】
また、背面主軸112は、回転駆動、長尺材Wから分離された材料のチャッキング動作、軸方向の移動、軸に直交する方向(図示の矢印方向)の移動等が行われ、自動旋盤110は、それらの動作の駆動源であるモータやアクチュエータ等、および、それらを駆動制御する駆動制御手段等(モータアンプ等)の電力作動機器を有している。
【0023】
主工具114および背面工具113は、工具台に複数の工具が取り付けられるとともに加工工具を選択可能に構成されており、それぞれ工具台の長尺材Wの軸方向、軸に直交する方向への移動、加工すべき工具の変更、回転工具を含む場合はその回転駆動等が行われ、自動旋盤110は、それらの動作の駆動源であるモータやアクチュエータ等、および、それらを駆動制御する駆動制御手段等(モータアンプ等)の電力作動機器を有している。
【0024】
材料供給装置120は、電力作動機器として、主軸111に1本の長尺材Wを送り込む材料送り機構121、材料送り機構121に長尺材Wを1本ずつ供給する材料供給機構122等を備えている。
また、上記各電力作動機器の駆動を総合的に制御する制御装置101が設けられており、この制御装置101も電力作動機器である。
【0025】
また、図示はしていないが、上述した電力作動機器以外にも、切削液の供給のためのポンプ、切粉排出手段や製品搬出手段のモータやアクチュエータ、安全扉開閉手段、照明手段等の自動旋盤110、材料供給装置120に内蔵され、あるいは、付設され製品の製造に関連する手段の電力作動機器も、自動旋盤の電力作動機器に含まれる。
【0026】
制御装置101は、主軸111、背面主軸112、背面工具113、主工具114、材料送り機構121および材料供給機構122を作動させる前記電力作動機器側とそれぞれ信号伝達可能に接続され、製品を製造するために必要な各種動作を指令するとともに、各電力作動機器から消費電力情報が伝達される。
【0027】
例えば、負荷の変動が多い主軸モータやアクチュエータの場合、リアルタイムに検出される電流値を、制御装置101に消費電力情報として伝達するように構成することができる。
また、電圧、電流ともに変動する電力作動機器の場合、リアルタイムに検出される電圧値、電流値や、その電圧値と電流値の積を消費電力情報としても良い。
【0028】
また、切削油ポンプや、冷却ファン等の時間当たりの消費電力がほぼ一定の機器の場合は、その定格消費電力の情報のみを制御装置101に消費電力情報として伝達しても良く、さらに、時間当たりの消費電力がほぼ一定で予めその値が既知の電力作動機器の消費電力情報は、予め制御装置101内にデータベースとして記憶しておいても良い。
【0029】
消費電力出力装置100は、電力検出手段102、カウント手段103および出力手段104を備えており、制御装置101から各電力作動機器(制御装置101自体を含む)の消費電力情報および製品の製造情報を受け取り、当該情報を加工して表示手段105に出力する。
【0030】
電力検出手段102は、制御装置101から、各電力作動機器の消費電力情報と、長尺材Wによる加工の開始情報および完了情報を受け、各電力作動機器の消費電力量や各電力作動機器を合わせた全体の消費電力量をそれぞれ算出して出力手段104に出力する。
【0031】
本発明の一実施例である消費電力出力装置100が、長尺材Wによって複数の製品を製造する場合に、製造される製品1個当たりの平均的な消費電力量を出力する際のフローの一例について図1図2に基づいて説明する。
まず、自動旋盤110の制御装置101に加工開始指令が与えられると、材料供給装置120から主軸111への長尺材Wの供給が開始される。
電力検出手段102は、材料供給装置120からの材料の供給開始のタイミングで各電力作動機器の消費電力の計測を開始する(S201、S202)。
【0032】
供給された長尺材Wは、制御装置101の指令に基づいて、製品に加工される(S203)。
製品加工動作は、例えば、長尺材Wが主軸111に所定の突出量でチャックされ、主軸111が回転駆動され、主工具114が主軸111から突出した長尺材Wに対して進退あるいは軸方向に移動することで切削加工され、主工具114のみによる加工の場合は、最後に主工具114の突っ切りバイトによって長尺材Wから切り離されることで、製品1個に対する1サイクルを構成する(S204)。
【0033】
また、背面工具113による加工を伴う場合は、前述の主工具114による切削加工の後、背面主軸112により長尺材Wがチャックされ、主工具114の突っ切りバイトによって長尺材Wから切り離され、背面主軸112が背面工具113に対向する位置まで移動し、背面主軸112が回転駆動され、背面工具113が進退あるいは軸方向に移動することで切削加工され、最後に背面主軸112が加工完了した製品のチャックを解除して排出することで、製品1個に対する1サイクルを構成する(S204)。
【0034】
製品加工の1サイクルが完了すると、カウント手段103によって製品個数がカウントされる(S205)。
そして、残った長尺材W(残材)から次の製品を加工可能か否かが判断され、加工可能であれば、残った長尺材W(残材)は主軸111から所定の突出量となるように軸方向に送られて、再び前記の製品加工動作が開始される(S206)。
【0035】
残った長尺材W(残材)が、次の製品の加工が不可能であれば、残材として主軸111から排出され(S207)、電力検出手段102による各電力作動機器の消費電力の計測が停止する(S208)。
そして、出力手段104は、電力検出手段102で計測された消費電力に基づき前記加工作業中の自動旋盤全体の消費電力量を算出し、カウント手段103でカウントされた製品個数の情報から、前記消費電力量を製造された製品数で除算し、製品1個当たりの平均的な消費電力量を演算して、表示手段105に出力する(S209)。
なお、予め1本の長尺材Wでの製造個数が既知の場合は、予めその個数を出力手段104に設定記憶しておくこと等で、カウント手段103を設けず製品個数のカウントを省略しても良い。
【0036】
次に、本発明の一実施例である消費電力出力装置100が、長尺材Wの材料からなる1回の製造ロットで製造される製品1個当たりの平均的な消費電力量を出力する際のフローの一例について図1図3に基づいて説明する。
自動旋盤110の制御装置101に加工開始指令が与えられ、製品加工の1サイクルが完了してカウント手段103によって製品個数がカウントされるまでのフローは、前述したフローと同じである(S301−S305)。
【0037】
カウント手段103によって製品個数がカウントされると、1回の製造ロット分の製造個数に達したか否か判断され(S306)、1回の製造ロット分の製造個数に達していない場合、続いて、残った長尺材W(残材)から次の製品を加工可能か否かが判断される(S310)。
残った長尺材W(残材)から加工可能であれば、残った長尺材W(残材)は、主軸111から所定の突出量となるように軸方向に送られて、再び、前記の製品加工動作が開始される。
残った長尺材W(残材)から加工不可能であれば、残った長尺材W(残材)は、主軸111から排出され(S311)、材料供給装置120から主軸111に新たな長尺材Wが供給されて、次の製品加工が行われる(S312)。
【0038】
カウント手段103によってカウントされた製造個数が1回の製造ロット分の製造個数に達した場合、残った長尺材W(残材)が主軸111から排出され(S307)、電力検出手段102による各電力作動機器の消費電力の計測が停止する(S308)。
そして、出力手段104は、電力検出手段102で計測された消費電力に基づき前記加工作業中の装置全体の消費電力量と、カウント手段103でカウントされた製品個数の情報から、前記消費電力量を製造された製品数で除算し、製品1個当たりの平均的な消費電力量を演算して、表示手段105に出力する(S309)。
ただし、前記残材は、次製品への転用が可能な場合、また、次に加工する製品が全く異なる材料の場合などは、他のストック材料と共に交換が必要となるため、この場合、残材排出工程を省いて消費電力の積算を行うこともできる。
【0039】
なお、前述のいずれのフローにおいても、出力手段104が各電力作動機器のそれぞれ、あるいは、適宜にグループ分けした機能部分ごとに製品1個当たりの平均的な消費電力量を演算し、表示手段105に出力して表示しても良い。
【0040】
また、表示手段105は、自動旋盤110に設けられた制御手段101のディスプレー等の視覚的に確認できるものであるが、出力手段104から、表示手段105に代えて、印字手段、記録媒体への記録手段、通信手段等に情報を出力しても良く、また、表示手段105や他の手段の複数に同時に、あるいは、選択的に情報を出力しても良い。
【0041】
以上の構成により、個々の製品の製造の動作1サイクルごとの消費電力が変化する電力作動機器、製造の動作サイクルと異なるサイクルで消費電力が変化する電力作動機器、あるいは、ランダムに消費電力が変化する電力作動機器が混在しても、長尺材Wの材料からなる1回の製造ロットで製造される製品1個当たりの平均的な消費電力量を出力することができ、長尺材Wの材料からなる1回の製造ロットで製造される製品1個当たりの電力コストを正確に把握することが可能となる。
【0042】
なお、電力検出手段102が制御装置101から各電力作動機器の消費電力情報を受けて、各電力作動機器、適宜にグループ分けした機能部分、あるいは自動旋盤の全体の消費電力を直接表示手段105に出力してリアルタイムで表示させる機能や、カウント手段103が制御装置101から製品の製造情報を受けて直接表示手段105に出力して、リアルタイムで製造された製品の個数を表示させる機能を付与しても良い。
【0043】
また、図1の説明図では、制御装置101、消費電力出力装置100、出力手段104、表示手段105をそれぞれ機能ブロックで独立して図示しているが、これらの物理的な装置形態は適宜設計すれば良く、全ての装置、手段を制御装置として物理的に一つの筐体に収めたものであっても良く、また、自動旋盤110自体に内蔵させても良い。
【0044】
また、表示手段105は、図6に示すように、全体の消費電力と製品1個当たりの消費電力量とを表示することができるディスプレイ装置によって構成することができる。
この表示手段105の表示画面には、自動旋盤全体の消費電力を例えばリアルタイムに表示する消費電力表示部105Aと、製品1個当りの消費電力量を表示する消費電力量表示部105Bとが設けられる。
例えば、1本の長尺材を加工して製造される複数の製品の製品1個分の消費電力量を算出する場合は、前記消費電力量表示部105Aに、1本目は表示なしで、その後は1つ前のロットで算出した消費電力を表示することが可能になる。
また、所定個数全体から製品1個分の消費電力を算出する場合も1ロット目終了時点(2ロット目)から表示することが可能になる。
表示手段105は、制御装置101をコントロールし、自動旋盤の全体の各種の情報を表示する入出力コンソールを兼ねても良く、制御装置101に組み込まれたディスプレーであっても良い。
【0045】
(作動フローの変形例)
次に、図4及び図5を参照しながら、上述の図2及び図3を参照して説明した消費電力出力装置100による作動フローの変形例を説明する。
なお、以下では、上述の図2及び図3と共通する工程について参照符号を200番台及び300番台から400番台及び500番台に読み替え、その詳細な説明を省略する。
また、図4に示す作動フローは、図2に示す作動フローの変形例であり、図5に示す作動フローは、図3に示す作動フローの変形例である。
図4に示すように、本変形例に係る作動フローは、残材排出工程(S407)の後で且つ電力計測工程(S408)の前に実行される材料供給工程(S407A)を有している。
加工開始時点で一本の長尺材が旋盤に既に挿入されている(1本目の場合は手動等で、2本目以降は自動供給等)場合等は、長尺材による加工作業の開始から完了までの期間を、加工開始から次の長尺材の供給までとし、本変形例に係る作動フローのように、スタート時点で電力の測定を開始し、残材排出して新規の長尺材を供給したときに測定を停止することができる。
【0046】
図5に示すように、本変形例に係る作動フローでは、1ロット分を製造したか否かを判断する工程(S506)の後で且つ残材排出工程(S507)の前に、残材排出の有無を判断する工程(S506A)が実行される。
また、本変形例に係る作動フローでは、残材排出工程(S507)の後で且つ電力計測工程(S508)の前に、材料供給工程(S507A)が実行される。
前述したのと同様に、加工開始時点で1本の長尺材が旋盤に既に挿入されている(1本目の場合は手動等で、2本目以降は自動供給等)場合等は、本変形例に係る作動フローのように、スタート時点で電力の測定を開始することができる。ただし所定個数終了時に、残材を排出する場合(残材が短くなっていたり、次の加工は異なる長尺材で行う場合等)と、長尺材を排出しない場合(次のロットをここから行う場合等)があるため、残材を排出しない場合は、その時点で測定を終了し、長尺材の材料交換がある場合は、新規の長尺材を供給して測定を終了することができる。
【符号の説明】
【0047】
100 ・・・消費電力出力装置
101 ・・・制御装置
102 ・・・電力検出手段
103 ・・・カウント手段
104 ・・・出力手段
105 ・・・表示手段
110 ・・・自動旋盤
111 ・・・主軸
112 ・・・背面主軸
113 ・・・背面工具
114 ・・・主工具
120 ・・・材料供給装置
121 ・・・材料送り機構
122 ・・・材料供給機構
W ・・・長尺材
図1
図2
図3
図4
図5
図6