(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
挿入シャンクと孔との間の干渉が、挿入シャンクの直径の少なくとも0.002%となっており、かつ、挿入シャンクの直径の最大で0.3%となっている、請求項1または2に記載のピックツール。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示を示す非限定的な形態について、図を参照して説明する。全ての図において、同一の一般的な特徴を参照する上で同一の符号が用いられる。
【0009】
本明細書において、“超硬質”は、少なくとも25GPaのビッカース硬度を意味し、また超硬質ツール、超硬質挿入体または超硬質構成要素は、超硬質材料を備えるツール、挿入体または構成要素を意味する。
【0010】
合成および天然ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド(PCD)、立方晶窒化ホウ素(cBN)および多結晶cBN(PCBN)材料は、超硬質材料の例である。本明細書において、合成ダイヤモンドは、人工ダイヤモンドとも称されるものであるが、機械で製造されたダイヤモンド材料である。本明細書において、多結晶ダイヤモンド(PCD)材料は、ダイヤモンド粒の塊(複数の凝集体)を備えており、それらの本質的な部分は、直接的に互いに相互に結合されており、また、多結晶ダイヤモンドにおいて、ダイヤモンドの含有量は、少なくとも材料の約80体積%となっている。ダイヤモンド粒の間の隙間は、少なくとも部分的に、合成ダイヤモンドのための触媒材料を備えるバインダー材料によって充填されていてもよく、または、それらは実質的に空隙であってもよい。本明細書において、合成ダイヤモンドのための触媒材料とは、合成または天然ダイヤモンドが熱力学的に安定な温度および圧力において、合成ダイヤモンド粒の成長を促進することができる、および/または、合成または天然ダイヤモンド粒の直接的な相互成長を促進することができるものである。ダイヤモンドのための触媒材料の例は、鉄、ニッケル、コバルトおよびマンガン、およびそれらを含む合金である。PCD材料を備える塊は、少なくとも1つの領域であって、隙間から触媒材料が取り除かれ、ダイヤモンド粒の間に格子間欠陥を残したことよる領域を備えていてもよい。本明細書において、PCBN材料は、金属またはセラミックス材料を備える母材の中に分散された立方晶窒化ホウ素(cBN)の粒を備えている。
【0011】
超硬質材料のその他の例は、シリコン炭化物(SiC)などのセラミックス材料、または、(例えば、米国特許5,453,105号明細書または米国特許6,919,040号明細書に記載されている)Co結合炭化タングステン材料などの超硬合金材料を備える母材によってともに保持されたダイヤモンドまたはcBN粒を備える所定の複合材料を含んでいる。例えば、所定のSiCに結合されたダイヤモンド材料は、SiC母材(これは、SiC以外の形態で少量のSiを含んでいてもよい)に分散された、少なくとも約30体積%のダイヤモンド粒を備えていてもよい。SiCに結合されたダイヤモンド材料の例は、米国特許第7,008,672号明細書、米国特許第6,709,747号明細書、米国特許第6,179,886号明細書、米国特許第6,447,852号明細書および国際公開第2009/013713号パンフレットに記載されている。
【0012】
硬質の、またはあらい塊または構造体を分解するためのピックツールの例示的な構成が、
図1A乃至
図6を参照して説明される。
【0013】
ピックツール100の一例は、挿入体110と、挿入体110のための鉄鋼製保持具120と、を備えている。挿入体110は、超硬合金支持体114に接合された超硬質先端部112を備えている。超硬合金支持体114は、挿入シャンク118を備えている。これらの例において、挿入シャンク118は、概して円筒状の形状を有しており、また、平均直径Dを有している。超硬質先端部112はそれぞれ、超硬合金基材113に結合されたPCD構造部111を備えており、超硬合金基材113はそれぞれ、界面115において、蝋付け材料によって支持体114に接合されている。また、支持体114は、概して切頭円錐形の部分116を有しており、部分116には、超硬質先端部112が蝋付けされている。鉄鋼製保持具120は、ピックドラムデバイス(図示せず)への接続のためのシャフト122を備えており、孔126が、挿入シャンク118を焼きばめするために構成されている。
【0014】
鉄鋼製保持具120はそれぞれ、孔126が形成されている挿入体受け入れ部材124を有していてもよい。
【0015】
挿入シャンク118の少なくとも一部分は、焼きばめによって孔126に固定されていてもよい。本明細書において、焼きばめは、複数の構成要素の間において、少なくとも1つの構成要素の相対的な寸法変化(形状もまたいくらか変化するかもしれない)によって達成される締まりばめの一種である。これは、一般には、組み立ての前に1つの構成要素を加熱または冷却し、そして、組み立ての後にそれを周囲温度に戻すことによって実現される。焼きばめは、圧力ばめと対照されるが、圧力ばめにおいては、1つの構成要素が、その他の構成要素において孔または凹部に押し込まれる。このため圧力ばめは、構成要素間の実質的な摩擦応力を生じさせることを含み得る。
【0016】
焼きばめは、鉄鋼製保持具120の、孔126に隣接する(示されていない)一領域が、円周方向の引張応力の静的な状態にあるという結果を生じるであろう。ピックツールのいくつかの例において、孔に隣接する鉄鋼製保持具の内側の一領域は、少なくとも約300MPaまたは少なくとも約350MPaの、円周方向の(またはループ状の)静的な引張応力の状態に有り得る。また、いくつかのピックツールにおいて、円周方向の静的な引張応力は、最大で約450MPaまたは最大で約500MPaであってもよい。ここで使われるように、ツールまたは要素の静的な応力状態は、ツールまたは要素が使用中でないときに存在し得るような静的な状態の下でのツールまたは要素の応力状態に当てはまる。
【0017】
いくつかのピックツールの例において、切頭円錐形の部分116を含む支持体114の一部分119は、鉄鋼製保持具120から突出することができ、また、孔126の開口部128を超えて延びることができる。いくつかの例において、突出する部分119の直径は、突出する部分の全長に沿って、孔126の平均直径Dに比べて、最大で約5%大きくなっていてもよく、または、実質的に大きくなっていなくてもよい。
図1A乃至6に示されている例において、突出する部分119の直径は、実質的に、孔126の直径を超えない。
【0018】
一形態において、カラー部が、超硬合金支持体の突出する部分の少なくとも一部を囲んでおり、また一形態において、カラー部が、突出する部分に焼きばめされていてもよい。一形態において、カラー部は、超硬合金に比べて低い硬度および研磨の摩耗耐性を有しており、また一形態において、カラー部は、鉄鋼を備えている。一例において、カラー部は、蝋付けによって鉄鋼製保持具に接合されている。カラー部は、超硬合金支持体のための支持または保護をもたらすことができる。
【0019】
図2および
図4に示されている、ピックツールの変形例を参照すると、カラー部130は、支持体114の突出部分119の一部を囲んでいる。カラー部130は、突出部分119の少なくとも一部を囲むことができ、また一例において、カラー部130は、突出部分に焼きばめされていてもよい。カラー部130は、超硬合金に比べて低い硬度および研磨の摩耗耐性を有していてもよく、またカラー部130は、鉄鋼を備えていてもよい。一形態において、カラー部130は、蝋付けによって鉄鋼製保持具120に接合されている。カラー部130は、超硬合金支持体114のための支持または保護をもたらすことができる。カラー部130は、概して円錐形である、または概して丸くされているなどの様々な形状を有することができ、またカラー部130は、実質的に対称的なものとなっていてもよく、若しくは非対称的なものとなっていてもよい。カラー部130の外面の少なくとも一部は、摩耗への耐性を有する硬質表面(図示せず)、例えば炭化タングステンを備える層またはスリーブによって保護されていてもよい。特に、孔126の開口部128に隣接する鉄鋼製保持具120の外面の少なくとも一部127、例えば開口部127から上に20mm延びる挿入体受け入れ部材124の表面領域は、摩耗への耐性を有する手段(図示せず)によって保護されていてもよい。そのような手段の例は、炭化タングステンを備える層またはスリーブであってもよく、および/または、ダイヤモンドまたはcBNなどの超硬質材料の粒であってもよい。一形態例において、カラー部130は、使用中に多大な摩耗に晒される側に主にまたは専ら配置された、耐性を有する硬質な表面を有していてもよい。
【0020】
図3を参照すると、挿入シャンク118の多くの部分が、焼きばめによって鉄鋼製保持具120の孔126の中に固定されている。この例において、挿入体受け入れ部材124は底部129を有しており、この底部129に対して、支持体114の挿入シャンク118が位置付けられていてもよい。底部129は、挿入体112の抽出を容易化するための、または、挿入シャンク118の端部を底部129に蝋付けするための貫通孔1291を有していてもよい。例えば、底部129の貫通孔1291は、少なくとも約0.6cm、かつ最大で2cmの直径Sを有していてもよい。挿入体受け入れ部材124は、外側寸法Wを有していてもよく、外側寸法Wは約4.8cmとなっていてもよい。一般に、支持体114の挿入シャンク118の直径Dが大きくなるほど、孔126を画定する挿入体受け入れ部材124の壁が薄くなる必要があるかもしれない。なぜなら、鉄鋼製保持具120の外側の寸法は、ピック装置(図示せず)の設計によって、またはピック作業の必要性によって、規制され得るからである。例えば、挿入体受け入れ部材の壁が厚くなるほど、ピックツールが一般により強固になるが、トレードオフとして、作業におけるエネルギー要求および鉄鋼の摩耗が高くなるであろう。
【0021】
図1A、2および4に示されている例において、孔126は、鉄鋼製保持具120を超えて延び、一対の対向する開放端(または開口部)128を有する貫通孔を提供してもよい。これらの例において、挿入シャンク118の少なくとも一部分は、挿入体受け入れ部材124を実質的に通って延びていてもよい。
【0022】
ピックツールのいくつかの例において、超硬質構造部の体積に対する超硬合金支持体の体積の比は、少なくとも約30、少なくとも約40、または少なくとも約50となっている。いくつかの形態において、超硬質構造部の体積に対する超硬合金支持体の体積の比は、最大で約300、最大で約200、または最大で約150となっている。いくつかの形態において、超硬質構造部の体積は、少なくとも200mm
3、または少なくとも300mm
3となっている。いくつかの形態において、超硬質構造部の体積は、最大で500mm
3、または最大で400mm
3となっている。
【0023】
ピック保持具のいくつかの変形例において、孔の長さは、少なくともその直径に等しくなっている。一例において、挿入シャンクおよび孔の直径は、約2.5cmになっていてもよく、また孔および挿入シャンクの挿入部分の長さは、約6cmになっていてもよい。従って、孔および挿入シャンクの挿入部分の体積は、約29cm
3になっていてもよく、また孔および挿入シャンクの内側の周囲面の間の接触面積は約47cm
2になっていてもよい。その他の例において、挿入シャンクおよび孔の直径は、約2cmになっていてもよく、また孔および挿入シャンクの挿入部分の長さは、約8.3cmになっていてもよい。従って、孔および挿入シャンクの挿入部分の体積は、約26cm
3になっていてもよく、また孔および挿入シャンクの内側の周囲面の間の接触面積は約52cm
2になっていてもよい。さらなる例において、挿入シャンクおよび孔の直径は、約3.5cmになっていてもよく、また孔および挿入シャンクの挿入部分の長さは、約6.9cmになっていてもよい。従って、孔および挿入シャンクの挿入部分の体積は、約66cm
3になっていてもよく、また孔および挿入シャンクの内側の周囲面の間の接触面積は約76cm
2になっていてもよい。
【0024】
ピックツールのいくつかの例において、挿入シャンクは、実質的に円筒形にはなっておらず、挿入シャンクは、横断面図で見た場合に様々な形状を見せてもよい。例えば、挿入シャンクは、概して、楕円形、卵形、楔形、正方形、長方形、多角形または半円形の形状になっていてもよい。または、挿入シャンクの断面形状は、その長さに沿って変化してもよい。
【0025】
いくつかの例において、シャンクは、実質的に円筒形の形状を有していてもよく、またシャンクは、少なくとも約15mm、少なくとも約20mm、少なくとも約25mmまたは少なくとも30mmの直径を有していてもよい。いくつかの形態において、シャンクは、最大で約20mm、最大で約25mm、最大で約30mm、最大で約35mm、または最大で約40mmの直径を有していてもよい。いくつかの形態において、シャンクの直径は、その全長に沿って約5mmよりも小さい範囲で変化してもよく、また直径は、その全長に沿って実質的に不変であってもよい。
【0026】
テーブルは、ここに開示されるピックツールの変形例に関して用いられ得るおおよその寸法における、所定の例の組み合わせを要約している。寸法は、孔の長さおよび挿入シャンクの挿入部分の長さ、孔および挿入シャンクの挿入部分の平均直径、孔の最小体積および挿入シャンクの挿入部分の体積、および、孔の内側の壁部の周囲と、挿入シャンクの挿入部分の対応する表面と、の間の接触面積に関するものである。
【表1】
【0027】
いくつかの形態において、支持体は、最大で約17MPa・m
1/2、最大で約13MPa・m
1/2、最大で約11MPa・m
1/2、または最大で約10MPa・m
1/2の破壊靱性を有する超硬合金材料を備えている。いくつかの形態において、支持体は、少なくとも約8MPa・m
1/2または少なくとも約9MPa・m
1/2の破壊靱性を有する超硬合金材料を備えている。いくつかの形態において、支持体は、少なくとも約2100MPa、少なくとも約2300MPa、少なくとも約2700MPaまたは少なくとも約3000MPaの破断強度を有する超硬合金材料を備えている。
【0028】
いくつかの形態において、支持体は、最大で約8μmまたは最大で約3μmの平均寸法を有する金属炭化物の粒を備える超硬合金材料を備えている。一形態において、支持体は、少なくとも約0.1μmの平均寸法を有する金属炭化物の粒を備える超硬合金材料を備えている。
【0029】
いくつかの形態において、支持体は、最大で約13重量%、最大で約10重量%、最大で約7重量%、最大で約6重量%または最大で約3重量%の、コバルト(Co)などの金属バインダー材料を備える超硬合金材料を備えている。いくつかの形態において、支持体は、少なくとも約1重量%、少なくとも約3重量%または少なくとも約6重量%の金属バインダー材料を備える超硬合金材料を備えている。
【0030】
いくつかの例において、支持体は、本質的に超硬合金材料から構成されていてもよい。若しくは、支持体は、超硬合金材料から構成されていてもよい。
【0031】
ピックツールのいくつかの形態において、構成要素における焼きばめは、可逆的なものであってもよく、また、鉄鋼製保持具および/または挿入シャンクは、取り外しされ、および再利用されてもよい。このことは、事実上、ピックツールのコストを低減し、また、鉄鋼製保持具の延長された利用を可能にする。このことは、孔の近傍で鉄鋼製保持具を加熱し、超硬合金挿入シャンクに対して鉄鋼製保持具を拡大させ、挿入シャンクが孔から取り除かれることを可能にすることによって、実現され得る。
【0032】
ピックツールを作製する以下の方法が提供される。当該方法は、超硬合金支持体に支持体の端部において接合された超硬質先端部を備えるピック挿入体を提供する工程であって、支持体が、シャンク(挿入シャンク)を備える、工程と、シャンクに適合するよう構成された孔を有する鉄鋼製保持具を提供する工程であって、鉄鋼製保持具が、保持具をツールキャリアに取り付けるのに適したシャフトを備える、工程と、シャンクを鉄鋼製保持具の孔に焼きばめする工程と、を含んでいる。挿入シャンクは、孔を含む鉄鋼製保持具の少なくとも一部を約摂氏350度まで加熱し、加熱された保持具の孔にシャンクを挿入し、鉄鋼製保持具の孔が冷えて縮むことを可能にし、これによって、挿入シャンクを圧縮状態で保持することによって、鉄鋼製保持具の孔に焼きばめされていてもよい。鉄鋼製保持具が底部を備えている場合の例において、挿入シャンクは、挿入された端部が底部に隣接するよう、完全に孔に挿入されていてもよい。
【0033】
挿入シャンクと保持具の孔との間の干渉とは、両者の間での寸法の差のことであり、寸法の比率として表現され得る。例えば、挿入シャンク(および孔)が、概して円形の断面を有する場合、干渉は、直径の比率として、直径に応じた差で表現され得る。挿入シャンクと孔との間の寸法は、少なくとも挿入シャンクの直径に依存して選択されることが予想されており、当該寸法は、挿入シャンクの直径の少なくとも約0.002%となっていてもよい。一例において、挿入シャンクの直径は、約2.5cmとなっており、挿入シャンクと孔との間の干渉は、挿入シャンクの直径の約0.08%となっている。挿入シャンクと孔との間の干渉は、最大で、挿入シャンクの直径に関して、直径の約0.3%となっていてもよい。干渉が大きすぎると、保持具の鉄鋼材料の弾性的な限界が、鉄鋼製保持具が挿入シャンクに焼きばめされるときに超えることがあり、このことは、孔に隣接する鉄鋼のいくらかの塑性変形を生じさせる。干渉が十分に大きくない場合、焼きばめは、使用中に挿入体が保持具によって強固に保持され得る程度には十分でないかもしれない。
【0034】
前記方法のいくつかの変形例において、挿入シャンクおよび孔の正確な寸法は、挿入シャンクを孔に焼きばめした後に、孔に隣接する鉄鋼製保持具の内側の領域が、少なくとも約300MPaまたは少なくとも約350MPaの円周方向の(またはループ状の)静的な引張応力の状態にあるよう、選択され得る。いくつかの形態において、孔に隣接する鉄鋼製保持具の内側の領域は、最大で約450MPaまたは最大で約500MPaの円周方向の(またはループ状の)静的な引張応力の状態にある。
【0035】
非限定的な例として、開示されるピックツールは、米国特許出願公開第2009/0051211号明細書、米国特許出願公開第2010/0065338号明細書、米国特許出願公開第2010/0065339号明細書または米国特許出願公開第2010/0071964号明細書に記載されている超硬合金先端部を備えていてもよい。
図7を参照すると、ここで開示されているピックツールの一形態のための挿入体の一例が、超硬合金基材113に結合され、概してキャップの形状にある超硬質構造部111を備える超硬質先端部112を備えている。超硬質先端部112は、支持体114の切頭円錐形の部分116に接合されている。超硬質構造部111の主要部分は、球状に鈍くされた円錐形の外形を有しており、長手方向平面における曲率半径に関して丸められた先端部1111と、長手方向軸ALに対して平行な軸と超硬質構造部111の外面の円錐形の部分1112との間の円錐角kと、を有している。超硬質構造部111は、ノーズ領域1113およびすそ領域1114を備えており、すそ領域1114は、長手方向および横方向においてノーズ領域1113から離れるように垂れている。この例のいくつかの変形例において、すそ領域1114の最小長手方向厚みは、少なくとも約1.3mmまたは少なくとも約1.5mmとなっていてもよい。この例のいくつかの変形例において、先端部1111における超硬質キャップ部111の最小長手方向厚みは、少なくとも約4mmまたは少なくとも約5mmとなっており、かつ、最大で約7mmまたは最大で約6mmとなっていてもよい。この例のいくつかの変形例において、丸められた先端部1111における超硬質構造部111の長手方向厚みは、約5.5〜6mmの範囲内となっている。この例のいくつかの変形例において、先端部1111の曲率半径は、少なくとも約2mmかつ最大で約3mmとなっている。いくつかの形態において、円錐角kは、最大で80度または最大で70度となっている。この例のいくつかの変形例において、円錐角kは、少なくとも45度または少なくとも50度となっている。
【0036】
図8を参照すると、開示されているピックツールの一形態のための挿入体の一例は、超硬合金基材113に結合された超硬質構造部111を備える超硬質先端部112を備えている。超硬質先端部112は、支持体114の切頭円錐形の部分116に接合されている。球状に鈍くされた円錐の先端部1111における曲率半径Rは、約2.25mmとなっており、かつ、円錐角kは約42度となっている。
【0037】
図9を参照すると、開示されているピックツールのための鉄鋼製保持具120の一例の一部が、ベースブロック200(キャリア体)に、連動ファスナー機構210によって取り付けられている。連動ファスナー機構210においては、鉄鋼製保持具120のシャフト122が、キャリア体200の内側に形成された孔に固定されている。一例のピックツールの挿入シャンク118の一部も示されている。シャフト122は、溶接またはその他のやり方でドラムに接合されたベースブロック200に、解放可能に接続され得るようになっている。ベースブロック200、および、保持具120、より具体的に言えばシャフト122は、鉄鋼製保持具120およびベースブロックにおける、解放可能な相互係合を可能にするよう構成されていてもよい。シャフト122は、ベースブロックに対して回転しないように相互係合するよう構成されていてもよく、また、例えばDE10161713B4およびDE102004057302A1に開示されているツールキャリアに関する使用のために適切なものとなっていてもよい。ベースブロックなどのツールキャリアは、超硬質ピックツールを駆動するためのドラムなどの駆動装置の構成要素に溶接されていてもよい。
図10は、
図9に示されている例以外の、異なるツールキャリアのためのピックツール100の側面図を示しており、鉄鋼製保持具120のシャフト122が、異なる態様で構成されている。ピックツール100は、支持体の一部116に接合された超硬質先端部112を有する挿入体110を備えている。
【0038】
駆動装置のための構成要素に接合されたツールキャリアに超硬質ピックツールを取り付けるための以下の方法が提供される。当該方法は、ピックツールを形成するよう鉄鋼製保持具にピック挿入体を接合する工程であって、鉄鋼製保持具が、鉄鋼製保持具をツールキャリアに取り付けるよう動作可能に構成されたシャフトを備え、ツールキャリアが、鉄鋼製保持具のシャフトを受け入れるよう構成された係合手段を備える、工程と、次に、超硬質ピックツールをツールキャリアに取り付ける工程と、を含んでいる。当該方法の一形態において、ツールキャリアは、超硬質ピックツールを駆動するためのドラムなどの駆動装置の一構成要素に溶接されている。
【0039】
動作中、ピックツールは、駆動装置によって、分解されるべき構造部に対して、先頭部での超硬質先端部とともに前方へ駆動されてもよい。ここで、ピックツールは駆動装置に取り付けられている。例えば、複数のピックツールが、再舗装のために道路を破壊するよう用いられ得るような、アスファルトの分解のためのドラムに取り付けられていてもよい。ドラムは、自動車に接続され、そして回転させられる。ドラムが道路の表面の近傍に持ってこられるとき、ピックツールは、ドラムが回転するときに繰り返し道路に衝突し、そして、先頭の超硬質先端部がアスファルトを破壊する。同様の手法が、採炭において石炭層を破壊するために用いられ得る。
【0040】
図11を参照すると、
図5に示される一例のピックツールが、摩耗した状態で示されている。ここでは、鉄鋼製保持具120の一部1201が、使用中にすり減り、一部1201が隣接していた挿入シャフト118の表面の一部が露出している。
【0041】
図11に描かれるピックツールの例は、摩耗した状態で示されているが、いくつかの例のピックツールは、使用に先立って破断部分1201を有していてもよい。この例において、挿入シャンク118は、挿入シャンク118の長さLに沿って、軸位置の所定の範囲Rで、孔126によって部分的にのみ囲まれている(すなわち、軸位置の範囲Rの内側で、挿入シャンク118は、鉄鋼製保持具120によっては、全体的には囲まれていない若しくは囲われていない)。
【0042】
アスファルト、石炭または炭酸カリウムの分解などの高度に摩耗する作業のためにピックツールを設計する場合、ツールのコストと、使用中の摩耗および破断に対するツールの耐性との間のバランスを実現することが望ましい。合成ダイヤモンドなどの超硬質材料は、大きな摩耗抵抗を有する傾向にあるが、しかしまた、超硬合金材料よりもコストが大きくなる傾向がある。また超硬合金材料は、鉄鋼材料に比べて、大きな摩耗抵抗を有する傾向にあるが、しかしまた、コストが大きくなる傾向がある。1つの手法として、ツール中のダイヤモンド含有量および超硬合金材料の量を、それらの相対的なコストに応じて最小化し、そして、これらの材料を備える構成要素を、許容可能なツール寿命を実現するよう構成することがあり得る。
【0043】
使用中の移動方向において、PCD先端部の背後に配置され、少なくとも約10cm
3または少なくとも約15cm
3という比較的に大きな体積を有し、鉄鋼製保持具の中へ比較的に深く延びる超硬合金支持体は、ツールの動作寿命を、超硬合金の追加コストを正当化するであろう驚くべき程度で改善するように見える。
【0044】
特定の理論には制限されないが、炭化物の挿入体シャンクの高い密度および比較的に高い質量、並びに、高い剛性は、破壊されるべき構造体に先端部が突っ込まれるときに先端部の変形または曲がりに抵抗する傾向があることによって、PCD先端部のための実質的に改善された支持体を提供することができる。炭化物の挿入体シャンクは、鉄鋼製保持具の中に比較的に深く延びるとげ状の構造部を形成しているように視認され得る。細長い炭化物の挿入体シャンクは、鉄鋼製保持具の中に延び、鉄鋼製保持具をより頑丈に作製する硬化用の柱として作用することができる。
【0045】
比較的に大きな挿入体シャンクと、鉄鋼製保持具の内側での挿入体シャンクの焼きばめ接続との組み合わせを有する超硬質先端部のピックツールが、アスファルトの分解作業における拡大された動作寿命を示すことが見出された。挿入シャンクの挿入部分の体積が、約6cm
3よりも小さく、約15cm
3よりも小さく、または約15cm
3さえよりも小さい場合、超硬質先端部のための支持体が動作中に不十分なものとなるかもしれない。また、挿入シャンクと孔との間の界面の面積が、約20cm
2よりも小さい場合、炭化物の支持体は、支持体の中に焼きばめされる鉄鋼製保持具によっては十分に頑丈に把持されることができないかもしれない。挿入シャンクの直径が、約2cmよりも小さい場合、ツールのための十分な支持と頑丈さを提供できないかもしれず、ツールは、特に厳しい作業において壊れるかもしれず、および/または、鉄鋼製保持具は、余分に摩耗するかもしれない。支持体の長さが約4cmよりも小さい場合、鉄鋼製保持具およびPCD先端部のための十分な支持体を提供することができず、鉄鋼製保持具および/またはPCD先端部が早くに壊れるかもしれない。
【0046】
ここで開示されるピックツールにおいて、挿入シャンクおよび孔の体積、並びに、それらの間の接触面積は比較的に高くなっており、鉄鋼製保持具に挿入シャンクを焼きばめすることは、圧力ばめを超える利点を有することができる。圧力ばめで必要とされる力に比べて、著しく低い力が、比較的に大きい挿入シャンクを孔に焼きばめするために必要とされる。このことは、鉄鋼材料の弾性限界を実質的に超過することなく鉄鋼製保持具の孔の内側にしっかりと十分に挿入体が保持され得るという状況を有することができる。特定の理論には制限されないが、このことは、孔に隣接する鉄鋼製保持具の領域が、より小さな変形と、押圧力から生じるより小さな軸方向応力と、挿入シャンクと孔の表面との間のより小さな摩擦と、を受けることができるという状況を有することができる。挿入シャンクはまた、低減された残留応力要素を有することができ、このことは、使用中の破砕に対するより大きな耐性を生じさせ得る。トレードオフとして、焼きばめは、いくらかのより高度な設備および手順を必要とするかもしれない。
【0047】
焼きばめは、挿入体を鉄鋼製保持具に接合するための蝋付けへの依存を軽減することを可能にする。このことは、蝋付けの結果としての先端部の熱的な劣化を低減することができるので、超硬質先端部が合成または天然ダイヤモンド、例えば多結晶ダイヤモンドを備える場合に特に有用で有り得る。ここで、蝋付けは、高い温度の使用を要求する(ダイヤモンド、特にPCD形態にあるものは、比較的に低い熱的な安定性を有し、かつ、高い温度でグラファイトに転移する傾向にある)。さらに、蝋付けは、特別な炉および特別な雰囲気の中で実行される必要があり、それらのことは、焼きばめにおいては必要とされない。
【0048】
例示的なピックツールが提供される。以下の節は、開示されるピックツールのさらなる説明として示される。
【0049】
(節1)
挿入体および挿入体のための鉄鋼製保持具を備えた超硬質ピックツール(簡潔にはピックツールとも称される)であって、挿入体は、超硬合金支持体に接合された超硬質先端部を備えており、超硬合金支持体は、挿入シャンクを有しており、鉄鋼製保持具は、ツールキャリアおよび鉄鋼製保持具の接続のためのシャフトを備えており、鉄鋼製保持具には、挿入シャンクを受け入れるよう構成された孔が設けられており、超硬合金支持体の体積は、少なくとも6cm
3、少なくとも10cm
3、または少なくとも15cm
3となっている、ピックツール。
【0050】
(節2)
挿入体および挿入体のための鉄鋼製保持具を備えたピックツールであって、挿入体は、超硬合金支持体に接合された超硬質先端部を備えており、超硬合金支持体は、挿入シャンクを有しており、鉄鋼製保持具は、ツールキャリアおよび鉄鋼製保持具の接続のためのシャフトを備えており、鉄鋼製保持具には、挿入シャンクを受け入れるよう構成された孔が設けられており、挿入シャンクの挿入部分が、孔に固定されており、挿入部分は、所定の軸方向長さおよび平均直径を有しており、前記軸方向長さは、平均直径以上となっている、ピックツール。
【0051】
(節3)
前記挿入部分の軸方向長さが、少なくとも約4cmとなっており、かつ、最大でも約8.5cmとなっている、節2のピックツール。
【0052】
(節4)
前記挿入部分の平均直径が、少なくとも約2cmとなっており、かつ、最大でも約3.5cmとなっている、節2または3のピックツール。
【0053】
(節5)
挿入体および挿入体のための鉄鋼製保持具を備えたピックツールであって、挿入体は、超硬合金支持体に接合された超硬質先端部を備えており、超硬合金支持体は、挿入シャンクを有しており、鉄鋼製保持具は、ツールキャリアおよび鉄鋼製保持具の接続のためのシャフトを備えており、鉄鋼製保持具は、挿入シャンクを受け入れるよう構成された孔が設けられた挿入体受け入れ部材を備えており、挿入シャンクの挿入部分が、孔に固定されており、かつ、孔の表面領域に隣接しており、隣接した表面領域の大きさが、前記挿入部分の体積の大きさよりも大きくなっている、ピックツール。
【0054】
(節6)
前記隣接した表面領域の大きさが、少なくとも約20cm
2であり、かつ、挿入部分の体積が、少なくとも約15cm
3である、節5のピックツール。
【0055】
(節7)
挿入シャンクが、孔に焼きばめされている、節1乃至6のいずれか一節のピックツール。
【0056】
(節8)
鉄鋼製保持具に取り付けられたピック挿入体を備えた超硬質ピックツール(ここでは、簡潔に単にピックツールとも称される)であって、ピック挿入体(ここでは、簡潔に単に挿入体とも称される)は、超硬合金支持体に当該支持体の端部で接合された超硬質先端部を備えており、支持体は、シャンク(ここでは、挿入シャンクとも称される)を備えており、鉄鋼製保持具は、挿入シャンクに適合するよう構成された孔を有しており、かつ、保持具をツールキャリアに取り付けるために構成されたシャフトを備えており、シャンクは、鉄鋼製保持具の孔に焼きばめされている、ピックツール。
【0057】
(節9)
挿入シャンク(シャンク)が、少なくとも15cm
3の体積を有する、節1乃至8のいずれか一節のピックツール。
【0058】
(節10)
挿入シャンクの表面領域が、孔の対応する内側周囲(側方)表面領域に隣接し、当該表面領域が少なくとも20cm
2となっている、節1乃至9のいずれか一節のピックツール。
【0059】
(節11)
挿入シャンクが、少なくとも1.5cmまたは少なくとも2cmであって、かつ最大で4.0cmまたは最大で3.5cmの直径(または平均直径)を有する、節1乃至10のいずれか一節のピックツール。
【0060】
(節12)
挿入シャンクおよび穴の長さが、各々少なくとも約4cmとなっている、節1乃至11のいずれか一節のピックツール。
【0061】
(節13)
超硬質先端部の体積に対する超硬合金支持体の体積の比が、少なくとも30かつ最大で300となっており、超硬質先端部の体積が、少なくとも200mm
3かつ最大で500mm
3となっている、節1乃至12のいずれか一節のピックツール。
【0062】
(節14)
超硬質構造部の体積が、少なくとも0.2cm
3となっている、節1乃至13のいずれか一節のピックツール。
【0063】
(節15)
挿入シャンクの少なくとも一部分が、実質的に円筒状の形状となっている、節1乃至14のいずれか一節のピックツール。
【0064】
(節16)
前記孔が、その直径に少なくとも等しい長さを有している、節1乃至15のいずれか一節のピックツール。
【0065】
(節17)
挿入シャンクと孔との間の干渉が、挿入シャンクの直径の少なくとも約0.002%となっており、かつ、挿入シャンクの直径の最大で0.3%となっている、節1乃至16のいずれか一節のピックツール。
【0066】
(節18)
孔に隣接する鉄鋼製保持具の領域が、少なくとも約300MPaかつ最大で約500MPaの円周方向の(またはループ状の)静的な引張応力の状態にある、節1乃至17のいずれか一節のピックツール。
【0067】
(節19)
挿入シャンクの直径が、その全長に沿って約5mmよりも小さい範囲で変化する、または、直径は、その全長に沿って実質的に不変である、節1乃至18のいずれか一節のピックツール。
【0068】
(節20)
挿入シャンクの一部分が、鉄鋼製保持具の孔によって、(挿入シャフトの長さに沿った軸方向位置の所定の範囲で)部分的にのみ囲まれている、節1乃至19のいずれか一節のピックツール。
【0069】
(節21)
鉄鋼製保持具は、超硬合金支持体の端部を支持するための底部を有し、孔が、底部を貫通してまたは底部に隣接して設けられた通路または穴を介して鉄鋼製保持具の外側に連通することができる、節1乃至20のいずれか一節のピックツール。
【0070】
(節22)
孔が、保持具を通って延び、一対の開放端を有する貫通孔を提供している、節1乃至21のいずれか一節のピックツール。
【0071】
(節23)
孔が、実質的に一端で閉じている、節1乃至21のいずれか一節のピックツール。
【0072】
(節24)
超硬合金支持体の一部分が、鉄鋼製保持具から突出し、かつ、孔の開口部を越えて延びている、節1乃至23のいずれか一節のピックツール。
【0073】
(節25)
超硬合金支持体の突出する部分の直径が、突出する部分の全長に沿って、当該突出する部分が突出している孔の開口部の直径よりも最大で5%大きくなっている、節24のピックツール。
【0074】
(節26)
突出する部分の少なくとも一部を覆うまたは囲うカラー部を備える、節24のピックツール。
【0075】
(節27)
挿入シャンクは、少なくとも約15mm、少なくとも約20mm、少なくとも約25mm、または少なくとも約30mmの直径を有する、節1乃至26のいずれか一節のピックツール(いくつかの形態において、挿入シャンクは、最大で約20mm、最大で約25mm、最大で約30mm、最大で約35mm、または最大で約40mmの直径を有していてもよい)。
【0076】
(節28)
超硬質先端部が、天然または合成ダイヤモンド、またはcBN材料を備える、節1乃至27のいずれか一節のピックツール。
【0077】
(節29)
超硬質先端部が、超硬合金基材に結合された多結晶ダイヤモンド構造部を備える、節1乃至28のいずれか一節のピックツール。
【0078】
(節30)
超硬質先端部は、SiC材料を備える母材の中に分散されたダイヤモンド粒を備える、または、超硬合金材料を備える母材の中に分散されたダイヤモンド粒を備える、節1乃至29のいずれか一節のピックツール。
【0079】
(節31)
超硬合金支持体は、少なくとも8MPa・m
1/2かつ最大で17MPa・m
1/2の破壊靱性を有する超硬合金材料を備える、節1乃至30のいずれか一節のピックツール。
【0080】
(節32)
超硬合金支持体は、最大で約13重量%かつ少なくとも約1重量%の金属バインダー材料を備える超硬合金材料を備える、節1乃至31のいずれか一節のピックツール。
【0081】
(節33)
支持体は、超硬質材料を備える(例えば、支持体は、超硬合金母材の中に分散されたダイヤモンドまたはcBNの粒を備えていてもよい)、節1乃至32のいずれか一節のピックツール。
【0082】
(節34)
舗装道路または道路の分解のため、または、石炭または炭酸カリウムの採掘のための、節1乃至33のいずれか一節のピックツール。
【0083】
(節35)
ツールキャリアが、超硬質ピックツールを駆動するためのドラムなどの駆動装置の構成要素に溶接されている、または溶接可能となっている、節1乃至34のいずれか一節のピックツール。
【0084】
(節36)
ツールキャリアが、駆動装置または駆動可能な装置を備えている、または、駆動装置または駆動可能な装置に接続可能となっている、節1乃至35のいずれか一節のピックツール。
【0085】
(節37)
節1乃至36のいずれか一節のピックツールを作製する方法であって、
当該方法は、
挿入体および挿入体のための鉄鋼製保持具を提供する工程であって、挿入体が、挿入シャンクを有する超硬合金支持体に接合された超硬質先端部を備え、鉄鋼製保持具が、ツールキャリアおよび鉄鋼製保持具の接続のためのシャフトを備え、鉄鋼製保持具には、挿入シャンクを受け入れるための孔が設けられており、挿入シャンクが、少なくとも6cm
3、少なくとも約10cm
3または少なくとも約15cm
3の体積を有する、工程と、
挿入シャンクを鉄鋼製保持具の孔に焼きばめする工程と、を含む、方法。
【0086】
(節38)
挿入シャフトを孔に焼きばめした後、孔に隣接する鉄鋼製保持具の内側の一領域が、少なくとも約300MPaかつ最大で約500MPaの円周方向の(またはループ状の)静的な引張応力の状態にあるよう、または、鉄鋼製保持具を構成する鉄鋼材料の弾性限界よりも実質的に下であるよう、挿入シャフトと孔との間での干渉を選択する工程を含む、節37の方法。
【0087】
以下に、ピックツールの非限定的な例が、さらに詳細に説明される。
【0088】
コバルト系炭化タングステン超硬合金(Co−WC)基材に一体的に取り付けられたPCDを備える、
図8に示されるような超硬質先端部が、支持体に蝋付けされた。PCD構造部は、約382mm
3の体積を有していた。支持体は、約13重量%のコバルトを備えるCo−WCから形成されており、かつ、約16.3MPa・m
1/2の破壊靱性および約2,200MPaの横方向破砕強度(TRS)を有している。その他の例において、支持体は、約8重量%のコバルトを備えるCo−WCから形成されており、かつ、約14.6MPa・m
1/2の破壊靱性および約2,800MPaの横方向破砕強度(TRS)を有している。実質的に円筒形の挿入シャンクおよび切頭円錐形の端部分を備えており、切頭円錐形の端部分には、PCD先端部が蝋付けされていた。挿入シャンクは、約0.04μRaから約0.5μRaの範囲内の表面仕上がりを有していた。挿入シャンクの直径は、2.5cmであり、またその長さは6.7cmであった。
【0089】
鉄鋼の42Cr−Mo4グレードから形成され、孔を有する挿入受け入れ部材を備える鉄鋼製保持具が提供された。孔の直径は約2.5cmであり、その長さは約6.7cmであった。環状の底部が、孔の底側端部に設けられていた。鉄鋼製保持具の挿入受け入れ部材を空気中で約摂氏350度まで加熱し、加熱された保持具の孔にシャンクを挿入し、挿入受け入れ部材が挿入シャンク上で縮むことを可能にし、これによって、挿入シャンクを圧縮状態で保持することによって、挿入シャンクが鉄鋼製保持具の孔に焼きばめされた。挿入シャンクは、挿入された端部が底部に隣接するよう完全に孔に挿入された。挿入シャンクの挿入部分の体積は、約33cm
2であり、挿入シャンクと孔の周囲内部壁との間の界面の面積は約53cm
2であった。挿入シャンクと孔との間の干渉は、約0.02mmであり、孔に隣接する鉄鋼製保持具の領域におけるループ状静的な引張応力は、約300MPaから約500MPaの範囲内になることが推定されていた。
【0090】
本例によるピックツールは、道路補修作業においてテストされてきた。この場合、ピックツールは、ドラムに取り付けられ、そして、道路のアスファルトを分解するよう用いられた。少なくとも20kmの道路を分解した後、ピックツールは、まだ動作可能な状態にあった。
【0091】
ピックツール、並びに、組み立ておよびピックツールを接続するための方法の、様々な形態例が説明されてきた。当業者は、本発明の思想および範囲から逸脱することなく、それらの例に対する変形および修正がなされ得ることを理解するであろう。