特許第5946430号(P5946430)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5946430
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】販売データ処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20160623BHJP
   G07G 1/01 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   G07G1/12 331F
   G07G1/01 301D
   G07G1/01 301E
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-136533(P2013-136533)
(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2015-11533(P2015-11533A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2014年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊川 敬之
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−073030(JP,A)
【文献】 特開2013−054580(JP,A)
【文献】 特開平05−011893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部を含む自装置の各部に電力を供給する主電源部と、
前記主電源の電源断時に電力の供給を開始する補助電源部と、
前記主電源の電源断を検出して検出信号を出力する停電検出部としての、第1停電検出部及び第2停電検出部と、
自装置の動作をソフトウェアで制御し、前記第1停電検出部から出力された前記検出信号に基づいて自装置の終了処理を開始し、当該終了処理中であることを前記表示部に表示させる第1制御部と、
前記第2停電検出部から出力された前記検出信号に基づいて前記表示部の消費電力を低下させる制御をハードウェアで行い、前記終了処理後の、補助電源からの電力供給の停止により、前記表示部を停止する、第2制御部と、
を備える販売データ処理装置。
【請求項2】
前記第2制御部は、前記表示部の画面の一部又は全部の輝度を低下させて、当該表示部の消費電力を低下させる、請求項1に記載の販売データ処理装置。
【請求項3】
前記表示部は、オペレータ用の第1表示部と、客用の第2表示部とを有し、
前記第2制御部は、前記第2停電検出部から出力された前記検出信号に基づいて前記第1表示部のバックライトの輝度を低下させるとともに、前記第2表示部への表示出力を停止させる、請求項1または2に記載の販売データ処理装置。
【請求項4】
前記第2停電検出部は、前記主電源部による電力供給の復帰を検出し、
前記第2制御部は、前記第2停電検出部により前記電力供給の復帰が検出された場合に、前記表示部の消費電力を通常時の消費電力に復帰させる、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の販売データ処理装置。
【請求項5】
前記停電検出部としての第1停電検出部及び第2停電検出部が電源断を検出した場合に、
前記第2制御部は、前記表示部の表示エリアを画面の一部に限定し、
前記第1制御部は、当該表示エリアにおいて前記終了処理中であることを表示させる、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の販売データ処理装置。
【請求項6】
前記第2停電検出部が電源断を検出した場合に、前記終了処理が停電に起因することを報知する報知手段を更に備える、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の販売データ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、販売データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
専門店や量販店、レストラン等で用いられるPOS(Point Of Sales)装置は、停電時にアプリケーションを正常に終了するため、二次電池や無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)等の補助電源を備えている。一般に、停電補償時間が長いほど補助電源は高価格化するため、コスト低減のためには停電補償時間の短い補助電源を搭載することが望ましい。
【0003】
そこで、POS装置のシャットダウン処理時には、無用な電力消費をカットして補助電源の接続負荷を軽減することが望まれる。この点に関して従来、停電発生時に実行されるソフトウェア処理により、動作電圧が大きい負荷部から優先的に終了処理を行うことで、電力消費量の軽減化を行う電子機器が提案されている。しかしながら、上記従来の技術では、比較的早い段階で表示部の終了処理が行われた場合、停電時にPOS装置がどのような動作をしているのか店員は把握できないという問題がある。また、上記ソフトウェア処理によりCPUに掛かる負荷が増大する可能性もあるため、省電力化と終了処理とは異なる機能部で制御することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、CPUに掛かる負荷を軽減しつつ、停電時にPOS装置の動作状況を分かり易くする販売データ処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の販売データ処理装置は、表示部と、主電源部と、補助電源部と、第1停電検出部及び第2停電検出部と、第1制御部と、第2制御部とを備える。主電源部は、前記表示部を含む自装置の各部に電力を供給する。補助電源部は、前記主電源の電源断時に電力の供給を開始する。第1停電検出部及び第2停電検出部は、前記主電源の電源断を検出して検出信号を出力する。第1制御部は、自装置の動作をソフトウェアで制御し、前記第1停電検出部から出力された前記検出信号に基づいて自装置の終了処理を開始し、当該終了処理中であることを前記表示部の少なくとも一部に表示させる。第2制御部は、前記第2停電検出部から出力された前記検出信号に基づいて前記表示部の消費電力を低下させる制御をハードウェアで行い、上記終了処理後の、補助電源からの電力供給の停止により、前記表示部を停止する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態にかかるPOS装置のブロック図を示す図である。
図2図2は、停電検出時にシャットダウン処理を行う場合の輝度制御動作を説明する図である。
図3図3は、停電検出後のシャットダウン処理中に復電した場合の輝度制御動作を説明する図である。
図4図4は、瞬停時の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本実施形態にかかるPOS装置1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、POS装置1は、CPU(Central Processing Unit)10と、ROM(Read Only Memory)11と、RAM(Random Access Memory)12と、記憶部13と、通信I/F14と、スピーカ15と、LED(Light Emitting Diode)16と、冷却ファン17と、表示ユニット23、26と、表示制御部27と、キーボード31と、キーボード制御部32と、プリンタ41と、プリンタ制御部42と、バーコードスキャナ51と、シリアルポート52と、AC−DC変換部61と、UPSバッテリ62と、DC−DC変換部63と、停電検出部71と、LIU(Line Indicator Unit)81と、LIU制御部82とを主に備えている。
【0008】
CPU10、ROM11、RAM12、記憶部13、通信I/F14、冷却ファン17、表示制御部27、キーボード制御部32、プリンタ制御部42、シリアルポート52およびDC−DC変換部63は、メイン基板上に配置され、互いにバスラインによって電気的に接続されている。
【0009】
表示ユニット23、26は、メインLCD(Liquid Crystal Display)21、サブLCD24にバックライト22、25、駆動用回路等がそれぞれ取り付けられた液晶モジュールである。バックライト22、25の光源としては、例えばLED(Light Emitting Diode)を用いることができるが、特に限定されるものではない。メインLCD21、サブLCD24およびバックライト22、25はメイン基板上の表示制御部27に電気的に接続され、表示制御部27の制御によって駆動される。
【0010】
本実施形態では、メインLCD21をオペレータ用の第1表示部として用い、サブLCD24およびLIU81を客用の第2表示部として用いる場合について説明する。なお、POS装置1が備える表示装置の種類、数、詳細な構成はここで挙げる例に限定されない。一例として、LIU81に替わって液晶パネル等の他の表示装置を客用表示部として用いてもよい。
【0011】
CPU10は、ROM11に格納された各種プログラムをRAM12に展開して実行することにより、POS装置1の全体の動作を制御する第1制御部として機能する。例えばCPU10は、販売データ管理用のアプリケーションプログラムに基づいて、記憶部13に販売データを書き込む書込処理を行う。また、CPU10は、AC−DC変換部61から停電検出が通知された場合に、起動している各種アプリケーションを正常に終了させるアプリ終了処理を開始し、アプリ終了処理後にOSのシャットダウン処理を開始する。
【0012】
各終了処理時にCPU10は、当該終了処理中であることを表示部(例えば、メインLCD21)の少なくとも一部に表示させるための表示情報を表示制御部27に出力する。尚、終了処理中であることを示す表示については、オペレータが確認可能であるメインLCD21で行うのが好適であるが、サブLCD24等の他の表示部で表示してもよい。CPU10は、AC−DC変換部61から停電検出を通知された場合に、各負荷部への電源供給元をAC−DC変換部61からUPSバッテリ62に切り替える。
【0013】
ROM11は、POS装置1を動作させる基本プログラム等を格納する記憶媒体である。RAM12は、各種データ処理に使用するデータを一時的に格納する記憶媒体である。記憶部13は、OS、ドライバ、販売データ管理用のアプリケーションプログラム、電源管理用のアプリケーションおよび各種管理データ等を格納するHDD(ハードディスクドライブ)などの記憶媒体である。通信I/F14は、図示しない外部装置との間でLAN(Local Area Network)等のネットワークを介してデータを送受信するためのインタフェースである。
【0014】
スピーカ15は、エラー発生時の警告音などを出力可能な音声出力部である。LED16は、光を点滅させることなどによりエラー発生時の警告等を出力可能な照明部として機能する。なお、光によって情報を通知可能なものであればLED以外の照明装置を用いるように構成してもよい。また、POS装置1は、スピーカ15およびLED16の少なくとも一方を備えていれば良い。冷却ファン17は、POS装置1の内部を冷却するためのファンである。
【0015】
キーボード31は、ユーザが文字列等を入力するための操作部である。キーボード制御部32は、キーボード31を制御する。プリンタ41は、レシートの印字等を行う。プリンタ制御部42は、プリンタ41を制御する。バーコードスキャナ51は、商品に付されたバーコードを読み取る。シリアルポート52は、バーコードスキャナ51等の機器を接続するRS−232Cなどのシリアル通信方式のインタフェースである。
【0016】
AC−DC変換部61は、商用交流電源からの入力電圧を直流電圧に変換し、DC−DC変換部63に出力する。AC−DC変換部61は、POS装置1が有する各負荷部に電源電圧を供給する主電源部に相当する。また、AC−DC変換部61は、停電等により商用交流電源から交流電圧が入力されなくなった場合に、商用交流電源からの電力供給が遮断されたことをCPU10に通知する。AC−DC変換部61は一例として、従来一般的に用いられているACFAIL信号を出力することにより、CPU10に停電検出を通知することができる。
【0017】
UPSバッテリ62は、停電等により商用交流電源からの電力供給が停止した際に、各負荷部への電力供給をバックアップする補助電源部として機能する。尚、POS装置1は補助電源として二次電池を備えてもよい。
【0018】
DC−DC変換部63は、AC−DC変換部61の出力電圧を各負荷部の動作に必要な所定レベルの直流電圧(例えばDC24V)に変換する。また、DC−DC変換部63は、UPSバッテリ62の充電時にAC−DC変換部61の出力電圧をDC−DC変換してUPSバッテリ62に出力する。
【0019】
停電検出部71は、DC−DC変換部63の出力電圧を監視し、当該出力電圧が閾値以下となった場合に電源断(停電)があったことを検出する。また、停電検出部71は、停電検出後に、DC−DC変換部63の出力電圧が上記閾値より大きくなった場合、商用交流電源が復帰(復電)したことを検出する。なお、停電検出部71が監視する電圧値は、DC−DC変換部63の出力電圧値に限定されない。その他の例として、停電検出部71はAC−DC変換部61の入力電圧または出力電圧を監視してもよいし、DC−DC変換部63の入力電圧を監視してもよい。
【0020】
また、停電検出部71は、停電検出時において、停電検出を通知するための停電信号を表示制御部27およびLIU制御部82に対して出力する。加えて、停電検出部71は、復電検出時において、復電検出を通知するための復電信号を表示制御部27およびLIU制御部82に対して出力する。
【0021】
一例として、停電検出部71は、FAIL信号(図2参照)の出力状態を変化させて停電信号または復電信号を出力する。即ち、停電検出部71は、FAIL信号の出力状態をLOからHIとすることで停電を通知するための停電信号を出力する。また、停電検出部71は、FAIL信号の出力状態をHIからLOとすることで復電を通知するための復電信号を出力する。
【0022】
表示制御部27は、CPU10が出力した表示情報に基づいて、表示ユニット23、26の表示処理を制御する。即ち、表示制御部27は、CPU10から入力された各LCDのドットマトリクスに対応する色情報と輝度情報とに基づいて、メインLCD21、サブLCD24の表示動作を制御し、これらLCDのバックライト22、25の照明動作を制御する。一例として、表示制御部27は光源に印加する駆動電圧のパルス幅変調(PWM)を行ってバックライト22、25の輝度を制御する。即ち表示制御部27は、PWM制御におけるデューティー比を小さくすることによりバックライト22、25の輝度を低下させる。
【0023】
LIU81は、LEDを用いて文字やシンボルを複数行に亘りライン表示する表示部である。LIU81は、商品名や価格、値引き額、合計金額等の情報を客に対して表示する客用表示部として用いられる。
【0024】
LIU制御部82は、CPU10が出力した表示情報に基づいてLEDの点灯パターンを制御することで、LIU81における表示処理を制御する。
【0025】
表示制御部27およびLIU制御部82は、停電検出部71が停電を検出した場合に、表示部の消費電力を低下させる制御をハードウェア構成にて行う第2制御部として機能する。また、表示制御部27およびLIU制御部82は、停電検出部71が商用交流電源の復帰を検出した場合に、表示部の消費電力を停電検出前の通常動作時の消費電力に復帰させる。
【0026】
より詳細には、表示制御部27は、停電検出部71から停電信号が出力された場合に、メインLCD21のバックライト22の輝度を低下させてメインLCD21表示を継続させる。一方で、表示制御部27は、サブLCD24のバックライト25を消灯し、サブLCD24における表示出力を停止させる。LIU制御部82は、停電検出部71から停電信号が出力された場合にLIU81における表示出力を終了させる。
【0027】
また、表示制御部27は、停電検出部71から復電信号が出力された場合に、メインLCD21のバックライト22の輝度を停電検出前の通常動作時(即ち、停電信号が出力される前)の輝度まで増加させる。加えて、表示制御部27は、サブLCD24のバックライト25を点灯させて、サブLCD24における表示出力を再開させる。また、LIU制御部82はLIU81における表示出力を再開させる。
【0028】
次に、POS装置1が行うメインLCD21、サブLCD24、LIU81の輝度制御の動作例について、図2ないし図4を用いて説明する。
【0029】
図2は、停電検出時にシャットダウン処理を行う場合の輝度制御動作を説明する図である。「AC100V」は商用交流電源の入力電圧を示す。「V63」は、DC−DC変換部63の出力電圧を示す。「システム」はPOS装置1のシステムの起動状態を示す。「メインLCD」はメインLCD21のバックライト22の輝度、「サブLCD」はサブLCD24のバックライト25の輝度をそれぞれ示す。「LIU」は、LIU81の点灯/消灯状態を示す。「FAIL」は停電検出部71が出力するFAIL信号の出力状態を示す。
【0030】
時間t0で商用交流電源が入力されると、AC−DC変換部61の直交変換を経てDC−DC変換部63に直流電圧が入力される。DC−DC変換部63は入力された直流電圧を負荷部の作動電圧である24Vまで低下させ、これにより出力電圧V63は24Vとなる。なお、POS装置1の負荷部の作動電圧は上述した24Vに限定されずその他の電圧値であってもよい。
【0031】
そして、時間t1でPOS装置1のスイッチが投入されると、CPU10はROM11が記憶するプログラムをRAM12に展開して読み込み、システムの起動を開始する。表示制御部27はCPU10からの表示情報に基づいてメインLCD21の表示制御を開始する。表示制御部27は所定の輝度でメインLCD21のバックライト22を点灯させ、バックライト22の輝度が通常動作時の輝度Br1となるよう制御する。
【0032】
また、表示制御部27は、CPU10からの表示情報に基づいてサブLCD24の表示制御を開始する。表示制御部27は所定の輝度でサブLCD24のバックライト25を点灯させる。LIU制御部82は、CPU10からの表示情報に基づいてLIU81の表示処理を開始する。なお、電源投入時(時間t1)のFAIL信号の状態はLOである。
【0033】
時間t2で停電が発生し、商用交流電源からの入力電圧が遮断されると、DC−DC変換部63の出力電圧V63も低下する。時間t3でDC−DC変換部63の出力電圧V63が閾値の16V以下となると、停電検出部71はFAIL信号の状態をLOからHIに切り替える。
【0034】
一方、時間t2でAC100Vの入力電圧が遮断されると、AC−DC変換部61は停電検出をCPU10に通知する。CPU10は、実行されているアプリケーションを正常に終了させる処理を行う。アプリケーションの終了処理中、CPU10はアプリケーションのプログラムに従って、当該アプリケーションが終了処理中であることを示す文字や画像を表示させるための表示情報を表示制御部27に出力する。
【0035】
時間t3でFAIL信号の状態がLOからHIになると、表示制御部27はメインLCD21のバックライト22の輝度を通常動作時の輝度Br1から停電時の輝度Br2まで下げる。従って、アプリケーション終了処理中であることを示す文字や画像が表示中であれば、輝度が低下した状態のメインLCD21において当該文字や画像を含む画面が表示されることとなる。また、表示制御部27はサブLCD24での表示出力を終了する。LIU制御部82は、LIU81への電力供給を停止し、LIU81での表示出力を終了する。
【0036】
そして、時間t4でアプリケーション終了処理を終えると、CPU10は時間t4からt5にかけてPOS装置1のシャットダウン処理を行う。シャットダウン処理中、CPU10はOSのプログラムに従って、OSのシャットダウン中であることを示す画面の表示情報を表示制御部27に出力する。メインLCD21の輝度は上述のように下げられているので、当該シャットダウン画面は通常動作時より暗く表示される。
【0037】
時間t5でシャットダウン処理が終了し、UPSバッテリ62からの電源供給が終了すると、メインLCD21での表示出力は終了する。なお、停電検出部71は、シャットダウン処理の終了時にFAIL信号の状態をLOにリセットする。
【0038】
図3は、停電検出後のシャットダウン処理中に復電した場合の輝度制御動作を説明する図である。時間t3までの動作については図2と同様であるので説明を省略する。
【0039】
時間t6で商用交流電源(AC100V)が復帰し、時間t7でDC−DC変換部63の出力電圧V63が16Vより大きくなると、停電検出部71はFAIL信号をHIからLOに戻す。表示制御部27は、FAIL信号がHIからLOに戻ると、メインLCD21のバックライト22の輝度を停電時の輝度Br2から通常動作時の輝度Br1に戻す。また、表示制御部27は、サブLCD24のバックライト25を点灯させて、サブLCD24での表示出力を再開する。
【0040】
また、LIU制御部82は、FAIL信号がHIからLOに戻ってから所定のディレイ時間Dtが経過するのを待ってから、時間t8にてLIU81での表示を再開する。一般的に、LIU81は電力供給開始時に突入電流が生じやすいため、上述のようにディレイ時間を設けることにより、突入電力を回避し易くすることができる。
【0041】
なお、AC−DC変換部61は復電検出をCPU10に通知する。CPU10は当該通知を受けると、表示制御部27、LIU制御部82を介してサブLCD24、LIU81に対する表示情報出力を再開する。CPU10は、アプリケーション終了処理中である場合には当該アプリケーション終了処理を完了させる。そしてシャットダウン処理前であれば、CPU10はシャットダウン処理を行わず、図3に示すようにシステムを起動させた状態で保持する。シャットダウン処理中であれば、CPU10は当該シャットダウン処理を完了させる。
【0042】
このように本実施形態のPOS装置1では、停電から復電にかけて、メインLCD21の輝度は変化するが表示出力は途切れることなく継続保持される。停電と復電とが短時間に発生するような状況では、アプリケーション終了処理やシャットダウン処理等の経過状況がより把握しづらくなる。これに対し本実施形態のPOS装置1は、オペレータ用の表示部が表示出力を保持するので、このような状況においてもオペレータがPOS装置1の処理状況を把握し易くすることができる。
【0043】
図4は、瞬停時の動作を説明する図である。時間t1までの動作については図2と同様であるので説明を省略する。商用交流電源(AC100V)が瞬停(瞬断あるいは瞬時電圧低下ともいう。)した場合、AC−DC変換部61の出力電圧が16V程度まで下がりきることは通常ない。従って、時間t9でAC100Vが瞬停した場合、FAIL信号はLOのままに保たれ、各表示部の輝度および表示もそのままの状態で保たれる。
【0044】
以上説明したとおり、本実施形態のPOS装置1は、停電検出時にソフトウェアが行う終了処理動作とは別に、ハードウェア構成によって少なくとも一部の表示部の表示を保持しながら消費電力を低下させる動作が行われる。従って、CPU10に係る負荷を増加させずに、停電時にPOS装置1がどのような動作をしているのかを分かり易くすることができる。
【0045】
(その他の実施形態)
なお、輝度制御方法は上述した例に限定されない。例えば表示制御部27は、停電時にメインLCD21の画面全体の輝度を一様に低下させてもよいし、メインLCD21のバックライト22が部分制御可能なバックライトである場合には、メインLCD21の画面の一部に限定して輝度を低下させてもよい。
【0046】
また、表示制御部27は、メインLCD21の表示エリアを画面の一部に限定することにより消費電力を制御してもよい。また、表示エリアの限定と、上述したバックライト22の輝度低下とを組み合わせて消費電力の低下を図ってもよい。さらに、CPU10が当該限定された表示エリアに対して、終了処理中の画面を表示させてもよい。これにより、終了処理状況を把握し易くさせつつも更に消費電力の低下を図ることができる。
【0047】
また、本実施形態のハードウェア構成の輝度制御にくわえ、ソフトウェア構成による輝度制御を併用してもよい。即ち、上述のようにハードウェア構成によりメインLCD21、サブLCD24、LIU81の輝度制御、点灯制御を行って消費電力を低減させた上で、さらに、CPU10が電源管理アプリケーションにより輝度制御および表示制御を行ってもよい。より具体的には、上述のようにハードウェア構成によって本実施形態の輝度制御を行った上で、CPU10が、アプリ終了処理状況や機器終了状況、シャットダウン処理状況を監視する。そして、CPU10が、上記処理に要する残り時間や、UPSバッテリ62の出力電圧等の情報とに基づいて、メインLCD21の輝度をさらに低下させてもよい。なお、CPU10は上記残り時間が長い場合に、表示制御部27が停電時に低下させたメインLCD21の輝度(図1では輝度Br2)を、通常動作時の輝度(図1では輝度Br1)に近くなるよう輝度を調整してもよい。
【0048】
また、POS装置1は停電検出時に、実行されているシャットダウン処理が停電に起因することをオペレータに報知してもよい。例えば、停電検出部71はスピーカ15にFAIL信号を出力し、スピーカ15にエラー音を出力させる。スピーカ15は上記報知内容を音声出力させてもよい。また、停電検出部71はLED16にFAIL信号を出力し、LED16を点灯または点滅させてもよい。LED16の近傍に「停電」或いは「停電による終了処理」等の文字や当該意味を示すシンボル等を表示しておいてもよい。また、これら報知方法を適宜組み合わせてもよい。
【0049】
また、FAIL信号、ACFAIL信号の発信元は特に限定されず、例えば停電検出部71がACFAIL信号を出力してもよい。また、FAIL信号およびACFAIL信号を共用する形態としてもよい。
【0050】
また、シャットダウン処理においてCPU10は、メインLCD21および表示制御部27を終了させる順番を他の機器よりも後回しにしてもよい。これにより、オペレータはシャットダウン処理中の画面をより長く確認することができる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1…POS装置、10…CPU、13…記憶部、21…メインLCD、24…サブLCD、22、25…バックライト、23、26…表示ユニット、27…表示制御部、61…AC−DC変換部、62…UPSバッテリ、63…DC−DC変換部、71…停電検出部、82…LIU制御部、Br1、Br2…輝度、Dt…ディレイ時間、V63…出力電圧。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】
【特許文献1】特開2010−073030号公報
図1
図2
図3
図4