特許第5946439号(P5946439)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5946439
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】空調制御システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/02 20060101AFI20160623BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   F24F11/02 P
   F24F11/02 K
   F24F11/02 102E
   F25B1/00 341J
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-259550(P2013-259550)
(22)【出願日】2013年12月16日
(65)【公開番号】特開2015-117841(P2015-117841A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2014年2月28日
【審判番号】不服2014-26424(P2014-26424/J1)
【審判請求日】2014年12月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512295475
【氏名又は名称】株式会社ジェルシステム
(74)【復代理人】
【識別番号】100091580
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 雅文
(74)【代理人】
【識別番号】100089026
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高明
(72)【発明者】
【氏名】三重野 景
【合議体】
【審判長】 鳥居 稔
【審判官】 佐々木 正章
【審判官】 山崎 勝司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−193968(JP,A)
【文献】 特開平2−161270(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3138275(JP,U)
【文献】 特開2006−202534(JP,A)
【文献】 特開2010−116867(JP,A)
【文献】 特開2007−40554(JP,A)
【文献】 特開2000−28180(JP,A)
【文献】 特開昭52−97246(JP,A)
【文献】 特開昭52−98348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/02 F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
稼働中の負荷に供給される電流値を計測する電流値計測部と、上記電流値計測部によって計測された電流値が流れた時間を計測する時間計測部と、予め定められた値よりも大きい電流が予め定められた時間以上流れた場合に稼働中の負荷に供給される電流を遮断する電流遮断部とを有する電流遮断機を備えるとともに、
冷媒の圧力を制御する圧縮機、及び上記冷媒を用いて温度変化させた空気を室内に送風する送風部を有し、所定の定格電流値を備える空調機と、
上記空調機に供給される電流値を計測する空調機電流値計測部と、
上記空調機の電流値から、上記空調機が上記定格電流値に合わせて予め設定されるとともに上記電流遮断機において予め定められた値より小さい判定電流値を超えて運転された時間、及び上記圧縮機が動作を停止したときからの時間、を計測する空調機時間計測部と、
上記空調機時間計測部によって計測された上記判定電流値を越えて上記空調機が運転された時間が予め定められた第1の時間に達すると、上記圧縮機を停止させるとともに上記送風部を送風状態に切り替える切替信号が含まれる停止信号を出力する一方、上記圧縮機が動作を停止してからの時間が予め定めた第2の時間に達すると上記圧縮機を稼働可能とするために上記停止信号の出力を停止する停止信号出力部とを有する空調機制御機とを備えたことを特徴とする空調制御システム。
【請求項2】
上記電流遮断機は、予め定められた値よりも大きい電流が予め定められた時間以上に流れた場合に電流を遮断する条件を複数有することを特徴とする請求項1記載の空調制御システム。
【請求項3】
上記電流遮断機が有する上記複数の条件のうちの1つの条件は、50アンペア以上の電流が30分流れた場合であって、
この1つの条件において、上記停止信号出力部は上記判定電流値以上の電流が上記第1の時間としての27分以上流れた場合に上記停止信号を出力することを特徴とする請求項2記載の空調制御システム。
【請求項4】
上記停止信号出力部は、上記停止信号を出力してから上記予め定められた第2の時間が経過するまで上記停止信号を出力することを特徴とする請求項1記載の空調制御システム。
【請求項5】
上記予め定められた第2の時間は、3分であることを特徴とする請求項4記載の空調制御システム。
【請求項6】
上記予め定められた第2の時間は、上記空調機が外部からの信号を受け付けない時間であることを特徴とする請求項5記載の空調制御システム。
【請求項7】
上記電流遮断機には少なくとも1つ以上の上記空調機が接続され、上記空調機制御機は上記空調機ごとに接続されていることを特徴とする請求項1記載の空調制御システム。
【請求項8】
上記空調機は室内機と室外機とから構成され、
上記空調機制御機は上記室外機に取り付けられ、上記停止信号出力部が、上記室外機が有する制御盤のデマンド制御端子を介して上記停止信号を入力することを特徴とする請求項1記載の空調制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調制御システムに関するものである。詳しくは、空調機の稼働時間を制御して契約電力値を低減する空調制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空調機の稼働時間を制御して契約電力値を低減する空調制御システムとしては、例えば特許文献1に記載された空調機制御装置がある。特許文献1の空調機制御装置は、「複数の空調機の総使用電力量を制御する空調機制御装置であり、前記複数の空調機を含む事業所の総使用電力量を測定する測定部と、前記測定部の出力する測定値から所定時間内における予想総電力消費量を求め、予想総電力消費量の増減に応じて、該各空調機の圧縮器の稼働可能時間を求める稼働時間演算部と、各空調機の圧縮器を該稼働可能時間を超えることがないように制御する制御部とを備えたことを特徴とする」ものである。
【0003】
特許文献1の空調機制御装置は、「予想総電力消費量を求め、この予想総電力消費量の増減に応じて、各空調機の圧縮器の稼働可能時間を求め、各空調機の圧縮器をこの稼働可能時間を超えることがないように制御するので、工場やオフィス等に設備された複数の空調機に対して、圧縮器の稼働を適切に制御され、空調機の空調能力を落とさず且つ使用者に意識させることなく最大需要電力の増大を抑制することができる」という効果を奏する。
【0004】
しかしながら、特許文献1の空調機制御装置は、図7に示すように、電柱10に備え付けられている柱上トランス11を介すことなく、6600Vの電圧を受電し、キュービクルで電圧を6600Vから100Vまたは200Vに変換する大規模工場12およびオフィスビル13などの高圧電力契約需要家向けのものである。
すなわち、「高圧電力契約」における契約電力は「実量制」となっており、例えば、月間で最も大きい値(最大需要電力)を算出し、過去1年間の各月の最大需要電力のうち最も大きな値を契約電力とするものである。
一方、電柱10に備え付けられている柱上トランス11で6600Vの電圧を100Vまたは200Vに変換して受電する商店14、町工場15、および戸建住宅16などはいわゆる「低圧電力契約」となっており、上記「高圧電力契約」とは考え方が全く異なっている。
従って、低圧電力契約需要家においても、設置している空調機の需要電力を低減させたい、という要請があるが、上記の従来技術は「高圧電力契約」に基づくものであることから、商店、戸建住宅、オフィスビル、マンション等の、いわゆる低圧電力契約需要家が設置している空調機に対してそのまま適用することはできない、という問題があった。
また、空調機の稼働は外気温に左右されることから稼働予測ができず、常時稼働する機器として構成されており、高効率空調機器であった場合であっても、室内の設定温度を維持するために過剰な熱量供給が行われ、それに要する電力供給が行われていた。
従って、低圧電力需要家が、いわゆる電子ブレーカを採用して「負荷設備契約」から「主開閉器契約」に変更した場合であっても、空調機等の常時稼働する機器に対しては、電子ブレーカは有効に適用できず、効果的に契約電力を低減することはできない、という不具合があった。
【特許文献1】特開2005−333232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、低圧電力契約需要家が設置している空調機の稼働を制御することにより契約電力値を効果的に低減できる空調制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は、下記の手段によって達成される。請求項1の発明に係る空調制御システムにあっては、稼働中の負荷に供給される電流値を計測する電流値計測部と、上記電流値計測部によって計測された電流値が流れた時間を計測する時間計測部と、予め定められた値よりも大きい電流が予め定められた時間以上流れた場合に稼働中の負荷に供給される電流を遮断する電流遮断部とを有する電流遮断機を備えるとともに、冷媒の圧力を制御する圧縮機、及び上記冷媒を用いて温度変化させた空気を室内に送風する送風部を有し、所定の定格電流値を備える空調機と、上記空調機に供給される電流値を計測する空調機電流値計測部と、上記空調機の電流値から、上記空調機が上記定格電流値に合わせて予め設定されるとともに上記電流遮断機において予め定められた値より小さい判定電流値を超えて運転された時間、及び上記圧縮機が動作を停止したときからの時間、を計測する空調機時間計測部と、上記空調機時間計測部によって計測された上記判定電流値を越えて上記空調機が運転された時間が予め定められた第1の時間に達すると、上記圧縮機を停止させるとともに上記送風部を送風状態に切り替える切替信号が含まれる停止信号を出力する一方、上記圧縮機が動作を停止してからの時間が予め定めた第2の時間に達すると上記圧縮機を稼働可能とするために上記停止信号の出力を停止する停止信号出力部とを有する空調機制御機とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項1記載の発明に係る空調制御システムにあっては、空調機時間計測部は、上記電流値計測部が計測した空調機の電流から、上記空調機が定格電流値に合わせて予め設定されるとともに電流遮断機において予め定められた値より小さい判定電流値を超えて運転された時間、及び上記圧縮機が動作を停止したときからの時間、を計測する。また、停止信号出力部は、上記空調機時間計測部によって計測された上記判定電流値を越えて上記空調機が運転された時間が予め定められた第1の時間に達すると、上記圧縮機を停止させるとともに上記送風部を送風状態に切り替える切替信号が含まれる停止信号を出力する一方、上記圧縮機が動作を停止してからの時間が予め定めた第2の時間に達すると上記圧縮機を稼働可能とするために上記停止信号の出力を停止する。
【0008】
請求項2の発明に係る空調制御システムにあっては、上記電流遮断機は、予め定められた値よりも大きい電流が予め定められた時間以上に流れた場合に電流を遮断する条件を複数有することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明に係る空調制御システムにあっては、電流遮断機は、電流を遮断する条件を複数有する。
【0010】
請求項3の発明に係る空調制御システムにあっては、上記電流遮断機が有する上記複数の条件のうちの1つの条件は、50アンペア以上の電流が30分流れた場合であって、
この1つの条件において、上記停止信号出力部は上記判定電流値以上の電流が上記第1の時間としての27分以上流れた場合に上記停止信号を出力することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明に係る空調制御システムにあっては、上記停止信号出力部は、上記空調機電流計測部および上記空調機時間計測部により、判定電流値以上の電流が27分以上流れた場合には停止信号を出力して圧縮機を停止させる。
【0012】
請求項4の発明に係る空調制御システムにあっては、上記停止信号出力部は、上記停止信号を出力してから上記予め定められた第2の時間が経過するまで上記停止信号を出力することを特徴とする。
請求項4記載の発明に係る空調制御システムにあっては、上記停止信号出力部は、停止信号を出力してから予め定められた第2の時間が経過するまで上記停止信号を出力し続けるので、予め定められた時間が経過する前に圧縮機が再稼働してしまう事態を防止することができる。
【0013】
請求項5の発明に係る空調制御システムにあっては、上記予め定められた第2の時間は3分であることを特徴とする。請求項5記載の発明に係る空調制御システムにあっては、上記予め定められた第2の時間が3分であるので、圧縮機を停止させた後において室内の温度環境に大きな変化が生じる前に上記圧縮機を再稼働させることができる。
【0014】
請求項6の発明に係る空調制御システムにあっては、上記予め定められた第2の時間とは上記空調機が外部からの信号を受け付けない時間であることを特徴とする。請求項6記載の発明に係る空調制御システムにあっては、上記予め定められた第2の時間が、上記空調機が外部からの信号を受け付けない時間であるので、空調機が外部からの信号を受信する時間となった直後、すなわち再起動が可能となった直後に圧縮機を再稼働させることができる。
【0015】
請求項7の発明に係る空調制御システムにあっては、上記電流遮断機には少なくとも1つ以上の上記空調機が接続され、上記空調機制御機は上記空調機ごとに接続されていることを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明に係る空調制御システムにあっては、空調機制御機が空調機ごとに接続されているので、各空調機の仕様に合わせて圧縮機の稼働時間を制御することができる。
【0017】
請求項8の発明に係る空調制御システムにあっては、上記空調機は室内機と室外機とから構成され、上記空調機制御機は上記室外機に取り付けられ、上記停止信号出力部が、上記室外機が有する制御盤のデマンド制御端子を介して上記停止信号を入力することを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の発明に係る空調制御システムにあっては、上記停止信号出力部が、上記室外機が有する制御盤のデマンド制御端子を介して上記停止信号を入力する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明に係る空調制御システムにあっては、空調機時間計測部は、上記電流値から、上記空調機が上記定格電流値に合わせて予め設定されるとともに上記電流遮断機において予め定められた値より小さい判定電流値を超えて運転された時間、及び上記圧縮機が動作を停止したときからの時間、を計測し、停止信号出力部は、空調機時間計測部によって計測された上記判定電流値を越えて上記空調機が運転された時間が予め定められた第1の時間に達すると、上記圧縮機を停止させるとともに上記送風部を送風状態に切り替える切替信号が含まれる停止信号を出力する一方、上記圧縮機が動作を停止してからの時間が予め定めた第2の時間に達すると上記圧縮機を稼働可能とするために上記停止信号の出力を停止する
その結果、常時稼働機器として使用されている空調機を、予め定められた時間ごとに稼働する機器として扱うことができる。
従って、空調機の稼働時間を上記電流遮断機の動作特性領域に合わせた制御、すなわち予め定められた判定電流値よりも大きい電流が予め定められた時間以上流れた場合には圧縮機を停止させる制御を繰り返し、結果的に空調機の間歇運転制御を行うことによって、低圧電力需要家において主開閉器契約に基づく契約電力値を有効に低減することができる。
【0020】
また、請求項1に記載に係る空調制御システムにあっては、上記停止信号には上記圧縮機を停止させた後に空調機の稼働状態を送風状態に切り替える切替信号が含まれているので、圧縮機を停止させた状態でも室内には送風が供給される。冷媒は圧縮機を停止させても冷媒の温度が直ちに変動しないので、送風状態であっても引き続き室内に冷風または暖風が供給される。
従って、27分間継続して空調風を室内に供給させた後、空調機における空調風の供給を停止させた場合であっても、空調機は送風モードとなり、空調風の供給そのものは完全には停止せずに事実上継続して室内に供給され続けることから、圧縮機が停止した場合であっても室内における使用者の体感温度に事実上の変化はない。
その結果、電子遮断機の動作特定を基礎に、空調機の間歇運転制御を行うことにより快適な室内の温度環境を保ちながら契約電力値を低減することができる。
【0021】
請求項2記載の発明に係る空調制御システムにあっては、停止信号出力部が上記複数の条件のうち1つの条件に合わせて上記停止信号を出力するので、空調機の稼働時間を上記電流遮断機の動作特性領域に合わせることができる。
【0022】
請求項3の発明に係る空調制御システムにあっては、上記1つの条件は、50アンペア以上の電流が30分流れた場合であって、上記停止信号出力部は上記判定電流値以上の電流が27分以上流れた場合に上記停止信号を出力するように構成されていることから27分間に亙って室内を十分に空調した後に圧縮機が停止する。
【0023】
請求項4記載の発明に係る空調制御システムにあっては、上記停止信号出力部は、停止信号を出力してから予め定められた第2の時間が経過するまで上記停止信号を出力し続けるので、予め定められた時間が経過する前に圧縮機が再稼働してしまうことを防止することができる。
【0024】
その結果、例えば空調機が有する温度センサによって室内の温度変化が検出された場合であっても、予め定められた第2の時間が経過するまでは上記停止信号が出力され続けているので、予め定められた時間が経過する前に圧縮機が再稼働してしまう事態を有効に防止することができる。
【0025】
請求項5記載の発明に係る空調制御システムにあっては、上記予め定められた第2の時間が3分であるので、上記圧縮機を停止させた後における室内温度に大きな変化が生じる前に圧縮機を再稼働させることができる。
その結果、空調機を間歇運転させたとしても室内の温度に大きな変化が生じ難いので、空調機の使用者が室内の温度環境に対して不快に感じることなく契約電力値を低減することができる。
【0026】
請求項6記載の発明に係る空調制御システムにあっては、上記予め定められた第2の時間が、上記空調機が外部からの信号を受け付けない時間であるので、空調機が外部からの信号を受信する時間となった直後、すなわち再起動が可能となった直後に圧縮機を再稼働させることができる。
【0027】
請求項7記載の発明に係る空調制御システムにあっては、空調機制御機が空調機ごとに接続されているので、各空調機の仕様に合わせて圧縮機の稼働時間を制御することができる。この結果、主開閉器契約における低圧電力契約需要家において複数の空調機を有する場合であっても契約電力値を低減することができる。
【0028】
請求項8記載の発明に係る空調制御システムにあっては、上記停止信号出力部が、上記室外機が有する制御盤のデマンド制御端子を介して上記停止信号を入力するので、主開閉器契約における低圧電力契約需要家において、既存の空調機に上記空調機制御機を接続することによって上記空調制御システムを容易に導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る空調制御システムの一実施の形態を示し、戸建住宅に備え付けられている負荷の一例を示した模式図である。
図2】本発明に係る空調制御システムの一実施の形態を示し、電流遮断機におけるハードウェア構成の一例を示したブロック図である。
図3】本発明に係る空調制御システムの一実施の形態を示し、電流遮断機が電流を遮断する条件を示した電流遮断条件パターンテーブルの一例である。
図4】本発明に係る空調制御システムの一実施の形態を示し、空調機制御機および空調機におけるハードウェア構成の一例を示したブロック図である。
図5】本発明に係る空調制御システムの一実施の形態を示し、空調機制御機における動作の一実施の形態を示したフローチャートである。
図6】圧縮機の稼働タイミングを示したタイミング図である。
図7】高圧電力契約需要家向けの受電と低圧電力契約需要家向けの受電との違いを示した模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明の空調制御システムは、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得る。
【0031】
図1は、図7の戸建住宅16に備え付けられている負荷の一例を示した模式図である。戸建住宅16に備え付けられている負荷としては、洗濯機17、テレビ18、レコーダー19、空調機20,21、ソーラーパネルからなる蓄電池22などがある。なお、戸建住宅16に備え付けられる負荷はこれらに限られることはなく、例えばエレベータ、ヒータ、あるいはモータを有する機器も含まれる。
【0032】
これら各々の負荷は、電子ブレーカとしての電流遮断機23に接続され、柱上トランス11から供給される電力を、電流遮断機23を介して受電する。なお、各々の空調機20,21は、室内機24,25と室外機26,27とから構成され、各々の室外機26,27には空調機制御機28,29が取り付けられている。すなわち、各々の空調機20,21は、空調機制御機28,29を介して電流遮断機23に接続されている。
また、本実施の形態にあっては、2台の空調機20,21が電流遮断機23に接続されているが、電流遮断機23に接続される空調機の台数は1台であっても3台以上であってもよく、電流遮断機23に接続される空調機の台数は2台に限られることはない。
【0033】
図2は、電流遮断機23におけるハードウェア構成の一例を示したブロック図である。電流遮断機23は、制御部30、ROM31、RAM32、電流値計測部33、時間計測部34、および電流遮断部35を備えている。
【0034】
制御部30は電流遮断機23全体を制御する。具体的には、制御部30は、一例としてCPU(Central Processing Unit)であり、電流遮断機23内部のハードウェア構成要素に接続され、不揮発性メモリからなるROM31に格納されている制御プログラムに従い、揮発性メモリからなるRAM32を一時記憶作業領域として、電流遮断機23内部のハードウェア構成要素を制御することによって電流遮断機23全体を制御する。
【0035】
電流値計測部33は稼働中の負荷に供給される電流値を計測する。本実施の形態においては、電流値計測部33は柱上トランス11から各負荷に接続される電流供給線36に流れる電流値を計測する。例えば、居住者が洗濯機17に洗濯をさせながらテレビ18を見ている場合には、電流値計測部33は電流供給線36を介して洗濯機17およびテレビ18に供給される電流値を計測する。電流値計測部33は、計測した電流値を時間計測部34へ出力する。
【0036】
時間計測部34は、電流値計測部33によって計測された電流値が流れた時間を計測する。例えば、時間計測部34は、電流値計測部33によって計測された電流値が62Aであった場合、62Aの電流値が何分間流れているかを計測する。時間計測部34は、計測した時間を制御部30に出力する。
【0037】
制御部30は、時間計測部34から時間計測部34が計測した時間が入力されると、図3に示すROM31に格納されている電流遮断条件パターンテーブルを参照して電流値計測部33で計測された電流値の流れた時間が予め定められた時間以内であるか否かを判定する。
【0038】
電流遮断部35は、予め定められた値よりも大きい電流が予め定められた時間以上に流れた場合には稼働中の負荷に供給される電流を遮断するように構成されている。本実施の形態にあっては、電流遮断部35は、制御部30から遮断信号が入力されると柱上トランス11から各負荷へ接続されている電流供給線36を断ち、各負荷へ供給される電流を遮断する。
【0039】
図3は、ROM31に格納されている電流遮断条件パターンテーブルの一例を示したものである。電流遮断条件パターンテーブルは、電流遮断機23の動作特性領域を示すものである。
例えば、定格電流である33Aよりも大きい50Aの電流値が計測され、当該電流値の流れた時間が55分間以内である場合には電流遮断機23は電流を遮断せず、当該電流値の電流が流れた時間が55分間よりも長い場合には電流遮断機23が電流を遮断することを意味する。本実施の形態にあっては、図3に示すように、電流遮断部35はROM31においてこのような複数の電流遮断条件を格納している。
【0040】
図4は、空調機制御機28,29におけるハードウェア構成の一例を示したブロック図である。空調機制御機28,29は、制御部37、ROM38、RAM39、空調機電流値計測部40、空調機時間計測部41、および停止信号出力部42を備えている。空調機制御機28,29は空調機20,21ごとに接続されている。
【0041】
制御部37は空調機制御機28,29全体を制御する。具体的には、制御部37は、一例としてCPUであり、空調機制御機28,29内部のハードウェア構成要素に接続され、不揮発性メモリからなるROM38に格納されている制御プログラムに従い、揮発性メモリからなるRAM39を一時記憶作業領域として、空調機制御機28,29内部のハードウェア構成要素を制御することによって空調機制御機28,29全体を制御する。
【0042】
空調機電流値計測部40は、空調機20,21に供給される電流値を計測する。本実施の形態においては、空調機電流値計測部40は空調機電流供給線43に流れる電流値を計測する。すなわち、空調機電流値計測部40は稼働中の空調機20,21の電流値を計測する。空調機電流値計測部40は計測した電流値を空調機時間計測部41へ出力する。
【0043】
空調機時間計測部41は、空調機20,21を稼働させている電流値の経過時間を計測する。例えば、空調機時間計測部41は、空調機電流値計測部40によって計測された電流値が12Aであった場合、12Aの電流値が何分間流れているかを計測する。空調機時間計測部41は、計測した時間を制御部37に出力する。
【0044】
制御部37は、空調機時間計測部41から空調機時間計測部41が計測した時間が入力されると、ROM38に格納されている空調機制御条件を参照して空調機時間計測部41で計測された電流値の流れた時間が予め定められた時間内であるか否かを判定する。
空調機電制御条件は、空調器の作動を停止させる判定の基礎となる、判定電流値と、当該判定電流値を超えた計測電流値が流れることを許容する時間とからなる。
本実施の形態にあっては、判定電流値は各空調機20,21の定格電流値に合わせて、5A、8A、11A、14A、17A、および21Aのいずれか1つからなり、当該判定電流値を超えた電流が流れることを許容する許容時間は27分である。
【0045】
また、空調機制御条件は、電流遮断機23が電流を遮断する複数の条件のうち1つの条件に対応付けられている。本実施の形態にあっては、所定電流値である判定電流値以上の電流が27分以上流れた場合に停止信号出力部42は停止信号を出力するように構成されている。
従って、例えば、判定電流が11Aである場合、制御部37は、12Aの測定電流値が27分以上流れた場合には、停止信号出力部42に対して停止命令信号を出力し、停止信号出力部42は停止信号を出力するように構成されている。
【0046】
この場合、停止信号出力部42は、停止信号を出力してから予め定められた時間が経過するまで上記停止信号を出力し続ける。本実施の形態にあっては上記予め定められた時間は3分である。
【0047】
また、図4は、空調機20,21におけるハードウェア構成の一例を示したブロック図である。室内機24,25は、受信部44、送信部45、送風部46、および温度センサ52を備えている。室外機26,27は、制御部47、ROM48、RAM49、端子部50、および圧縮機51を備えている。
【0048】
制御部47は空調機20,21全体を制御する。具体的には、制御部47は、一例としてCPUであり、空調機20,21内部のハードウェア構成要素に接続され、不揮発性メモリからなるROM48に格納されている制御プログラムに従い、揮発性メモリからなるRAM49を一時記憶作業領域として、空調機20,21内部のハードウェア構成要素を制御することによって空調機20,21全体を制御する。
【0049】
受信部44は、使用者によるリモコンなどから操作信号を受信し、受信した操作信号を制御部47へ出力する。制御部47は受信部44から入力された操作信号に応じて圧縮機51と送風部46を作動させる。圧縮機51は、熱の受け渡しに用いられる冷媒を圧縮することによって冷媒の温度を制御する。圧縮機51によって圧縮された冷媒は送風部46へ供給される。送風部46は室内機24,25に取り込まれた室内の空気の温度を、圧縮機51から供給された冷媒を用いて変化させ、再び室内へと送風する。また送風部46は供給された冷媒を圧縮機51に戻す。
【0050】
端子部50は、室外機26,27が有する制御盤のデマンド制御端子を有する。デマンド制御端子は停止信号出力部42から入力された停止信号を制御部47に出力する。制御部47は、デマンド制御端子から停止信号が入力されると、圧縮機51を停止させる。なお、この場合において、送風部46は停止せずに空気を送風し続ける。空調機20,21は圧縮機51が停止させられると外部からの信号を受け付けない時間(例えば再起動防止時間)が開始され、当該時間が経過するまで操作不能となる。このため、停止信号には圧縮機51を停止させた後に空調機20,21の稼働状態を送風状態に切り替える切替信号が含まれている。
【0051】
温度センサ52は室内の温度変化を検出する。温度センサ52は、圧縮機51が停止した後に室内の温度変化を検出すると制御部47に圧縮機51を再稼働させる再稼働信号を出力する。このため、予め定められた時間が経過して停止信号出力部42から停止信号の出力が止まると、再稼働信号によって圧縮機51が再稼働する。
【0052】
また、制御部47は、圧縮機51を停止させると同時に送信部45に節電中であることを空調機20,21の使用者に知らせるための節電信号を出力する。送信部45は制御部47から節電信号が入力されると、例えばリモコンなどの操作部に設けられた表示部に節電中であることを表示させる。
【0053】
次に、本実施の形態による空調制御システムの空調制御処理について説明する。図5は、図4に示した空調機制御機28,29における動作処理の一例を示したフローチャートである。また、図6は圧縮機51の稼働時間と消費電流の関係を示した図である。
【0054】
制御部37は、使用者のリモコン操作によって空調機がONにされて空調機電流供給線43に電流が流れているか否かを判定する(図5,ステップ(以下Sと記す)1参照)。空調機電流供給線43に電流が流れておらず空調機電流値計測部40によって電流が検知されなかった場合、すなわち空調機20,21がONになっておらずS1の判定が"No"であった場合、制御部37はS1の判定処理を繰り返す。
【0055】
一方、使用者のリモコン操作によって空調機がONにされて空調機電流供給線43に電流が流れ、空調機電流値計測部40によって電流が検知された場合(図6のa)、すなわち空調機20,21がONとなってS1の判定が"Yes"であった場合、制御部37は処理をS2に進める。制御部37は、S2において、空調機20,21を稼働させる電流値、すなわち検知電流値を空調機電流値計測部40に計測させる。
【0056】
制御部37は、S3において、空調機電流値計測部40により計測された検知電流値が予め定められた判定電流値よりも大きく、かつ検知電流値が予め定められた時間を過ぎて流れているか否かを判定する。一例として、検知電流値が11Aよりも大きく、かつ検知電流値が27分を過ぎて流れているか否かを判定する。検知電流値が11Aよりも大きく、かつ検知電流値が27分を過ぎて流れていない場合(図6のaからbの間)、制御部37は処理をS2に戻す。
【0057】
一方、検知電流値が11Aよりも大きく、かつ検知電流値が27分を過ぎて流れている場合、制御部37は処理をS4に進める。制御部37は、S4において停止信号出力部42に停止命令信号を入力し、停止信号出力部42に圧縮機51を停止させる停止信号を出力させて圧縮機51を停止させ(図6のb)、処理をS5に進める。
【0058】
制御部37は、S5において、圧縮機51を停止させてから予め定められた時間、例えば3分が経過したか否かを判定する。圧縮機51を停止させてから3分が経過しておらず、S5の判定が"No"であった場合、制御部37は処理をS4に戻す。従って、停止信号出力部42は停止信号を出力してから予め定められた時間(3分)が経過するまで停止信号を出力し続ける(図6のbからcの間)。
【0059】
一方、圧縮機51を停止させてから3分が経過し、S5の判定が"Yes"であった場合、制御部37は処理をS6に進め、その結果、空調機20,21はON状態となる。
すなわち、空調機側において、停止信号出力部42からの停止信号の出力を停止して空調機20,21の温度センサ52により、室内が設定温度以上の温度に到っている場合には、空調機の作動停止解除の信号が発振されることにより、空調機20,21はON状態となる(図6のc)。
続いて、制御部37は、S7において、空調機20,21を稼働させる電流値、すなわち検知電流値を空調機電流値計測部40に計測させる。
【0060】
制御部37は、S8において、空調機電流値計測部40により計測された検知電流値が11Aよりも大きく、かつ検知電流値が27分を過ぎて流れているか否かを判定する。検知電流値が11Aよりも大きく、かつ検知電流値が27分を過ぎて流れていない場合(図6のcからdの間)、制御部37は処理をS7に戻す。
【0061】
一方、検知電流値が11Aよりも大きく、かつ検知電流値が27分を過ぎて流れている場合、制御部37は処理をS4に戻す。制御部37は、S4において停止信号出力部42に停止命令信号を入力し、停止信号出力部42に圧縮機51を停止させる停止信号を出力させて圧縮機51を停止させる(図6のd)。このS4からS8の処理は、使用者のリモコン操作によって空調機20,21がOFFにされるまで(図6のf)繰り返される。
【0062】
なお、S5において、停止信号出力部42が停止信号を出力し続ける時間は3分としたが、3分に限られることはない。例えば、予め定められた時間として空調機が外部からの信号を受け付けない時間(再起動防止時間)として構成してもよく、上記実施の形態に限定されない。
【0063】
従って、本実施の形態に係る空調制御システムにあっては、空調機電流値計測部40が計測した所定の電流値の電流が、空調機時間計測部41によりが予め定められた時間以上に流れたものと計測された場合には、停止信号出力部42が空調機に内蔵されている圧縮機51を停止させる停止信号を出力することから圧縮機51は作動を停止する。
その結果、常時稼働機器として使用されている空調機を構成する室外機26、27を、予め定められた時間ごとに稼働する機器として扱うことができ、空調機の稼働時間を上記電流遮断機23の動作特性領域に合わせた制御、すなわち予め定められた値よりも大きい電流が予め定められた時間内に流れた場合には圧縮機51を停止させる制御を繰り返し、結果的に室外機26、27の間歇運転制御を行うことによって、低圧電力需要家において主開閉器契約に基づく契約電力値を有効に低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、戸建住宅16に限られず、空調機を備えた商店14、町工場15、およびコンビニなどの主開閉器契約における低電圧需要家において有用である。
【符号の説明】
【0065】
10 電柱
11 柱状トランス
12 大規模工場
13 オフィスビル
14 商店
15 町工場
16 戸建住宅
17 洗濯機
18 テレビ
19 レコーダー
20,21 空調機
22 蓄電池
23 電流遮断機
24,25 室内機
26,27 室外機
28,29 空調機制御機
30,37,47 制御部
31,38,48 ROM
32,39,49 RAM
33 電流値計測部
34 時間計測部
35 電流遮断部
36 電流供給線
40 空調機電流値計測部
41 空調機時間計測部
42 停止信号出力部
43 空調機電流供給線
44 受信部
45 送信部
46 送風部
50 端子部
51 圧縮機
52 温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7