特許第5946441号(P5946441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5946441動作方法、モバイル装置及びPOSシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5946441
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】動作方法、モバイル装置及びPOSシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/40 20120101AFI20160623BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20160623BHJP
   G07G 1/12 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   G06Q20/40
   G07G1/00 301D
   G07G1/12 321P
【請求項の数】40
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2013-503978(P2013-503978)
(86)(22)【出願日】2011年4月8日
(65)【公表番号】特表2013-529326(P2013-529326A)
(43)【公表日】2013年7月18日
(86)【国際出願番号】US2011031696
(87)【国際公開番号】WO2011127354
(87)【国際公開日】20111013
【審査請求日】2012年12月4日
【審判番号】不服2014-26689(P2014-26689/J1)
【審判請求日】2014年12月26日
(31)【優先権主張番号】61/362,567
(32)【優先日】2010年7月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/322,477
(32)【優先日】2010年4月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/846,911
(32)【優先日】2010年7月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506291542
【氏名又は名称】ペイパル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ララシー,ケヴィン
【合議体】
【審判長】 金子 幸一
【審判官】 手島 聖治
【審判官】 小田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−217277(JP,A)
【文献】 特開2006−243842(JP,A)
【文献】 特開2003−141402(JP,A)
【文献】 特開2006−99713(JP,A)
【文献】 特開2008−242828(JP,A)
【文献】 国際公開第2001/063546(WO,A1)
【文献】 特開2005−276023(JP,A)
【文献】 特開2002−109421(JP,A)
【文献】 特開2007−299316(JP,A)
【文献】 特開2009−93380(JP,A)
【文献】 特開2010−39589(JP,A)
【文献】 特開2008−204151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客及び商人の間の支払取引を完了させるためのモバイル装置の動作方法であって
引プロセスを開始するため商人支払認証要求メッセージを前記商人から受信する取引管理システムにより生成されかつ販売場所で前記顧客に提示されたチェックアウトトークンを取得するステップと、
前記支払取引に関する前記モバイル装置からの情報と前記商人からの情報とが前記取引管理システムにより照合されるように、前記チェックアウトトークンから取得した情報を前記取引管理システムへ送信するステップと、
前記支払取引に関連する情報を前記取引管理システムから受信するステップであって、前記支払取引に関連する情報は、前記取引管理システムに前記顧客が予め登録している一群の支払アカウントのうち、前記商人との支払取引に利用可能な支払アカウントが、前記顧客により選択されるように、少なくとも第1の所定のルールに基づいて作成された少なくとも第1の支払アカウントを特定する情報を含む、ステップと、
前記支払取引を完了させるのに使用する選択された支払アカウントを示す情報が含まれている顧客支払認証要求メッセージを前記取引管理システムに送信するステップと
を有する動作方法。
【請求項2】
前記支払取引における未払総額を算出する前に、前記チェックアウトトークンが前記商人により取得される、請求項1に記載の動作方法。
【請求項3】
前記チェックアウトトークンが、前記商人に関する情報を探すのに利用可能な識別子を表す、請求項2に記載の動作方法。
【請求項4】
前記チェックアウトトークンが、(i)タイムスタンプ、(ii)商人識別子及び(iii)POS端末識別子の内の少なくとも1つを指定するのに利用可能な情報を有する、請求項3に記載の動作方法。
【請求項5】
前記取引管理システムから受信した前記支払取引に関する前記情報が、前記商人を識別する情報を更に含み、当該動作方法は、
前記モバイル装置の表示画面を用いて、前記支払取引に関する前記情報を前記顧客に表示するステップを更に有する、請求項4に記載の動作方法。
【請求項6】
前記モバイル装置の表示画面を用いて、前記支払取引に関する前記情報を前記顧客に表示するステップを更に有する、請求項に記載の動作方法。
【請求項7】
前記取引管理システムから受信した前記支払取引に関する前記情報が、前記商人支払認証要求メッセージからの情報に少なくとも部分的に基づいて選択された少なくとも第1の提案を更に含み、当該動作方法は、
前記モバイル装置の表示画面を用いて、前記支払取引に関する前記情報を前記顧客に表示するステップを更に有する、請求項5に記載の動作方法。
【請求項8】
前記支払取引に関連し、前記未払総額を含む更新情報を受信するステップと、
前記モバイル装置の表示画面を用いて前記未払総額を前記顧客に表示するステップと
を更に有する請求項2に記載の動作方法。
【請求項9】
前記チェックアウトトークンは、(i)前記商人及び前記販売場所に関連する不変のトークン、(ii)前記支払取引で使用するために前記商人により生成されたチェックアウトトークン、(iii)前記支払取引で使用するために前記取引管理システムにより生成されたチェックアウトトークン、(iv)前記支払取引の払総額を計算した後に前記商人により取得されたチェックアウトトークンの内の何れかである、請求項2に記載の動作方法。
【請求項10】
前記チェックアウトトークンは、前記商人に関連する情報を探すのに利用可能な識別子を表す、請求項9に記載の動作方法。
【請求項11】
前記チェックアウトトークンが、(i)タイムスタンプ、(ii)商人識別子及び(iii)POS端末識別子の内の少なくとも1つを指定するのに利用可能な情報を有する、請求項10に記載の動作方法。
【請求項12】
前記取引管理システムから受信した前記支払取引に関する前記情報が、前記商人を識別する情報を更に含み、当該動作方法は、
前記モバイル装置の表示画面に、前記商人を示す情報及び前記未払総額を表示するステップを更に有する、請求項9に記載の動作方法。
【請求項13】
前記表示するステップが、前記モバイル装置の表示画面に、利用可能な支払アカウントのリストと、該利用可能な支払アカウントの内の少なくとも1つを選択することを求める要求とを表示するステップを更に有する請求項12に記載の動作方法。
【請求項14】
前記表示するステップが、前記モバイル装置の表示画面に、前記商人支払認証要求メッセージからの情報に少なくとも部分的に基づいて選択された少なくとも第1の提案を表示するステップを更に有する請求項12に記載の動作方法。
【請求項15】
(i)顧客及び(ii)モバイル装置の認証データの内少なくとも1つを、前記チェックアウトトークンから取得した情報を送信する前に前記取引管理システムに送信するステップを更に有する請求項1に記載の動作方法。
【請求項16】
前記認証データを送信することが、前記モバイル装置及び取引管理システムの間のコネクションを設定することを含む、請求項15に記載の動作方法。
【請求項17】
(i)英数字コード、(ii)文字、数字又は記号の組み合わせから構成されるコード、(iii)(a)バーコード、(b)QRコード(登録商標)及び(c)画像パターンの内の少なくとも1つを含むエンコードされた画像、及び(iv)無線信号の内の少なくとも1つを用いて、前記チェックアウトトークンが提示される、請求項1に記載の動作方法。
【請求項18】
利用可能な支払アカウントのリストを前記モバイル装置の表示装置で表示するステップを更に有し、前記利用可能な支払アカウントの前記リストは、(i)顧客が指定したルール、(ii)支払先が指定したルール及び(iii)システムが指定したルールの内の少なくとも1つにより決定されている、請求項1に記載の動作方法。
【請求項19】
利用可能な支払アカウントの前記リストを前記モバイル装置の表示装置で表示するステップにおいて、
(i)利用可能な残高、(ii)前記表示装置の画像表現及び(iii)その他の情報の内の少なくとも1つを、前記利用可能な支払アカウントの各々について前記モバイル装置の表示装置に表示する、請求項18に記載の動作方法。
【請求項20】
利用可能な支払アカウントの前記リストを前記モバイル装置の表示装置で表示するステップにおいて、
(i)商人のルール、(ii)ユーザのルール、(iii)取引管理システムのルール及び(iv)金融機関のルールの内の少なくとも1つにより決定される前記支払取引の好みの順序で、前記モバイル装置の表示装置で表示を行う、請求項18に記載の動作方法。
【請求項21】
特定の顧客に特化した提案又は広告の少なくとも1つを含む販売促進メッセージを前記モバイル装置の表示装置に表示するステップであって、前記販売促進メッセージは、(i)前記顧客のプロフィール、(ii)前記商人のプロフィール、(iii)前記販売場所、(iv)日時、(v)購入される品目、及び(vi)前記顧客に利用可能な命令の内の少なくとも1つに基づく、ステップ
を更に有する請求項1に記載の動作方法。
【請求項22】
選択された支払アカウントを識別する前記情報は、前記モバイル装置のユーザに関する支払アカウントを表す識別子であり、前記識別子は、前記選択された支払アカウントに関する実際の支払アカウントの詳細情報を読み取るために、前記取引管理システムにより利用可能である、請求項1に記載の動作方法。
【請求項23】
前記支払アカウントを表す前記識別子が、前記取引管理システムにより指定された識別子である、請求項22に記載の動作方法。
【請求項24】
前記チェックアウトトークンは前記販売場所に関する印刷装置で印刷されたものであり、(i)前記モバイル装置のデータ取得装置を用いて前記チェックアウトトークンを取得すること、及び(ii)前記モバイル装置のデータ入力装置を用いて前記チェックアウトトークンを前記モバイル装置に入力することの内の少なくとも1つにより、前記チェックアウトトークンが取得される、請求項1に記載の動作方法。
【請求項25】
(i)英数字コード、(ii)文字、数字又は記号の組み合わせから構成されるコード、(iii)(a)バーコード、(b)QRコード(登録商標)及び(c)画像パターンの内の少なくとも1つを含むエンコードされた画像の内の少なくとも1つとして、印刷された前記チェックアウトトークンが取得される、請求項24に記載の動作方法。
【請求項26】
前記チェックアウトトークンは前記販売場所に関する表示装置で表示されたものであり、(i)前記モバイル装置のデータ取得装置を用いて前記チェックアウトトークンを取得すること、及び(ii)前記モバイル装置のデータ入力装置を用いて前記チェックアウトトークンを前記モバイル装置に入力することの内の少なくとも1つにより、前記チェックアウトトークンが取得される、請求項1に記載の動作方法。
【請求項27】
(i)バーコード画像、(ii)画像パターン及び(iii)英数字コードの内の少なくとも1つとして、表示された前記チェックアウトトークンが取得される、請求項26に記載の動作方法。
【請求項28】
前記チェックアウトトークンが、無線通信により前記販売場所に関連する端末から取得される、請求項1に記載の動作方法。
【請求項29】
前記チェックアウトトークンは前記販売場所の近くで表示され、(i)前記モバイル装置のデータ取得装置を用いて前記チェックアウトトークンを取得すること、及び(ii)前記モバイル装置のデータ入力装置を用いて前記チェックアウトトークンを前記モバイル装置に入力することの内の少なくとも1つにより、前記チェックアウトトークンが取得される、請求項1に記載の動作方法。
【請求項30】
(i)前記モバイル装置内にあるRFIDチップ、(ii)前記モバイル装置内にあるブルートゥース受信機及び(iii)前記モバイル装置内にある無線受信機の内の少なくとも1つを用いて、前記チェックアウトトークンが取得される、請求項1に記載の動作方法。
【請求項31】
前記モバイル装置の認証データは、(i)モバイル電話番号、(ii)前記モバイル装置にインストールされているアプリケーションに関する固有の識別子、及び(iii)前記モバイル装置に関連する固有の識別子の内の少なくとも1つを含む、請求項15記載の動作方法。
【請求項32】
前記モバイル装置に関する固有の識別子は、(i)ハードウェア識別子、(ii)シリアル番号、(iii)MACアドレス、(iv)ASIN及び(v)UUIDのうち少なくとも1つである、請求項31に記載の動作方法。
【請求項33】
前記モバイル装置が、該モバイル装置のメモリにインストールされた支払アプリケーションを有するスマートフォンであり、前記顧客の認証データを送信する際に、
前記支払アプリケーションに対してユーザを認証するためのパスコードを前記ユーザに求める、請求項15に記載の動作方法。
【請求項34】
前記顧客の認証データを送信する際に、
(i)ユーザ識別子及びパスワード、(ii)パーソナル識別番号、及び(iii)モバイル電話番号の内の少なくとも1つに基づいて、ユーザの身元を確認する、請求項15に記載の動作方法。
【請求項35】
前記モバイル装置がウェブを利用できる電話機であり、前記顧客の認証データを送信する際に、
前記取引管理システムに関連するウェブページに前記モバイル装置のブラウザを合わせ、
前記取引管理システムに対してユーザを認証するためのパスコードを前記ユーザに求める、請求項15に記載の動作方法。
【請求項36】
POS装置で支払取引を行うモバイル装置であって、
表示画面と、
通信ポートと、
プロセッサと、
メモリと、
プログラムと
を有し、前記プログラムは前記メモリに保存されておりかつ前記プロセッサに動作方法を実行させ、前記動作方法は、
取引管理システムにより生成されかつ販売場所で顧客に提示されたチェックアウトトークンを取得するステップと、
前記支払取引に関する前記モバイル装置からの情報と商人からの情報とが前記取引管理システムにより照合されるように、前記チェックアウトトークンから取得した情報を前記取引管理システムへ送信するステップと、
前記支払取引に関連する情報を前記取引管理システムから受信するステップであって、前記支払取引に関連する情報は、前記取引管理システムに前記顧客が予め登録している一群の支払アカウントのうち、商人との支払取引に利用可能な支払アカウントが、前記顧客により選択されるように、少なくとも第1の所定のルールに基づいて作成された少なくとも第1の支払アカウントを特定する情報を含む、ステップと、
前記支払取引を完了させるのに使用する選択された支払アカウントを示す情報が含まれている顧客支払認証要求メッセージを前記取引管理システムに送信するステップと
を有する、モバイル装置。
【請求項37】
商人とモバイル装置を操作する顧客との間の支払取引を完了させるための前記商人に関連するPOSシステムであって、前記モバイル装置は顧客及びモバイル装置の認証データの少なくとも1つを取引管理システムに送信し、当該POSシステムは、
通信ポートと、
プロセッサと、
メモリと、
プログラムと
を有し、前記プログラムは前記メモリに保存されておりかつ前記プロセッサに動作方法を実行させ、前記動作方法は、
(i)前記商人及び(ii)当該POSシステムのうちの少なくとも1つを特定する情報を含む商人支払認証要求を前記取引管理システムに送信し、前記商人支払認証要求に基づいて前記取引管理システムにより生成されたチェックアウトトークンを受信するステップと、
前記チェックアウトトークンを前記顧客に提示し、前記商人支払認証要求に関する情報を含む前記チェックアウトトークンを前記モバイル装置に取得させるステップと、
前記モバイル装置により読み取られたチェックアウトトークンを前記モバイル装置から受信した前記取引管理システムが、前記商人支払認証要求に関する情報と一群の利用可能な顧客支払アカウントを特定する情報とを前記モバイル装置に送信し、前記取引管理システムが、所定のルールに基づいて選択された前記一群の利用可能な支払アカウントの中から選択された少なくとも1つの顧客支払アカウントを特定する情報が含まれている顧客支払認証要求を前記モバイル装置から受信した場合に、前記取引管理システムから、支払認証メッセージを受信するステップと、
前記支払取引を完了するステップと
を有するPOSシステム。
【請求項38】
顧客及び商人に関わる支払取引を完了させるための装置の動作方法であって、
(i)前記商人及び(ii)POS装置のうち少なくとも1つを特定する情報が含まれている商人支払認証要求を前記商人のPOS装置から受信するステップと、
前記商人支払認証要求に基づいてチェックアウトトークンを生成し、前記チェックアウトトークンが前記顧客に提示されるように前記チェックアウトトークンを前記POS装置に送信するステップと、
モバイル装置から顧客認証要求を受信し、前記顧客及び前記モバイル装置の内少なくとも1つを認証するステップと、
前記モバイル装置により取得されたチェックアウトトークンから取得された情報を含む顧客取引ルックアップ要求を前記モバイル装置から受信するステップと、
該チェックアウトトークンから取得された情報と前記商人支払認証要求に関する情報とを照合するステップと、
前記支払取引で使用する一群の利用可能な顧客支払アカウントを特定するステップと、
前記商人支払認証要求に関する情報と前記一群の利用可能な顧客支払アカウントを特定する情報とを前記モバイル装置に送信するステップと、
所定のルールに基づいて選択された前記一群の利用可能な支払アカウントの中から選択された少なくとも1つの顧客支払アカウントを特定する情報が含まれている顧客支払認証要求を前記モバイル装置から受信するステップと、
前記顧客支払認証要求に基づいて、前記支払取引の認証を受けるステップと
を有する動作方法。
【請求項39】
前記認証を受けるステップにおいて、
少なくとも1つの支払アカウントを特定する情報に基づいて、実際の支払アカウントの認証情報を取得し、
前記実際の支払アカウントの認証情報を用いて支払ネットワークから支払認証を受ける、請求項38に記載の動作方法。
【請求項40】
第1の支払認証メッセージを前記商人に送信するステップと、
第2の支払認証メッセージを前記モバイル装置に送信するステップと
を更に有する請求項38に記載の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される発明は、モバイル装置の動作方法、モバイル装置、POSシステム及び装置の動作方法等に関連する。
【背景技術】
【0002】
近年、クレジットカード、デビットカード及びその他の支払カードが使用されている。これらの支払カードを使用する方法はそれらの導入以来実質的には変わっていない:カード所有者(又は保有者又は会員証)が商人又は店員(merchant)に自身の支払カードを提示し、商人は磁気ストライプリーダを用いてカード所有者の支払アカウント情報を読み取り、その後に商人は、認証、決済及び精算を行うために支払アカウント情報を取引の詳細情報と共に支払ネットワークに送信する。この方法は良く機能するが、それに付随する多くの問題がある。
【0003】
例えば、支払カードから読み取ったユーザ情報を全ての商人が適切に保証できるとは限らない。カード所有者データが商人システムから盗まれたという多数の事件が広く報道されている。別の事件では、従業者がカード所有者データを直接的に盗む又は複製し、それを不正な取引に使用している。商人が支払クレジット情報を読み取り、保存しかつ送信する必要が存在する限り、そのような盗用が絶えない。更に、カード所有者情報の保存、格納及び送信を適切に行うのに必要なシステム及び処理は、商人にとってかなり大きなコスト負担となってしまう。支払カード情報が商人によっては保存、取得又は送信されないシステム及び方法等を提供することが望まれている。
【0004】
別の欠点の具体例は、現在の支払カードが典型的には1つの支払アカウントに関連付けられていることである。カード所有者は多数の支払カードを持っているかもしれないが、それらの支払カードのうちの何れを所与の取引に使用するかを意識的に判断する必要がある。取引を進めるのに使用する1つ以上の支払アカウントを顧客が選択できるようにするシステム及び方法が望まれている。更に、(例えば、取引のコストを節約するため、報償を得るため、残高及び支払を管理する等のために)所与の取引に何れのアカウントが使用されるべきかについての情報を顧客に提供することも望まれている。
【0005】
既存の支払システムの別の問題は、現在の支払カードはスマートフォンのようなモバイル装置で容易には使用できないことである。幾つかの支払カード協会及び発行者は、支払カード情報を店頭で提示できるようにする方法として、移動電話機(モバイル電話又は携帯電話等)にインストール又は導入されたRFIDチップ又はタグを利用することを提案している。しかしながら、そのような解決手段は、インストール又は導入されたRFIDリーダが店頭装置に備わっていることを要する。そのような装置のインストール又は導入は高価で時間がかかる。従って、モバイル装置又は移動装置を用いて購入取引を(オンラインでも、電子取引が可能でない店舗でも)案内できる機能を提供することが望まれている。
【0006】
これら及び他の問題は本発明によるシステム及び方法等を利用することで解決又は軽減できる。実施の形態、他の利点及び特徴は以下の説明により更に明らかになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
開示される発明の課題は、(1)支払カード情報が商人によっては保存、取得又は送信されないようにすること、(2)取引を進めるのに使用する1つ以上の支払アカウントを顧客が選択できるようにすること、(3)所与の取引に何れのアカウントが使用されるべきかについての情報を顧客に提供すること、又は(4)モバイル装置又は移動装置を用いて購入取引を(オンラインでも、電子取引が可能でない店舗でも)案内できる機能を提供することが可能なシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示される発明による動作方法は、
顧客及び商人の間の支払取引を完了させるためのモバイル装置の動作方法であって、前記商人は取引プロセスを開始するために商人支払認証要求メッセージを取引管理システムに送信し、当該動作方法は、
販売場所で前記顧客に提示されているチェックアウトトークンを前記モバイル装置が取得するステップと、
前記チェックアウトトークンから取得した情報を前記取引管理システムへ送信するステップと、
前記支払取引に関連する情報を前記取引管理システムから受信するステップと、
前記支払取引を完了させるのに使用する選択された支払アカウントを示す情報が含まれている顧客支払認証要求メッセージを前記取引管理システムに送信するステップと
を有する動作方法である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態で使用される支払システムを示すブロック図。
図2】一実施形態で使用される支払システムを詳細に示すブロック図。
図3】一実施形態による顧客登録プロセスを示すフローチャート。
図4A】一実施形態による取引プロセスを示すフローチャート。
図4B】一実施形態による取引プロセスを示すフローチャート。
図4C】一実施形態による取引プロセスを示すフローチャート。
図5】一実施形態によるシステムのシステム構成要素を示すブロック図。
図6】一実施形態による取引の流れを示すブロック図。
図7】一実施形態によるモバイル装置の構成を詳細に示すブロック図。
図8A】本発明の実施の形態によるユーザインターフェースの具体例を示す図。
図8B】本発明の実施の形態によるユーザインターフェースの具体例を示す図。
図8C】本発明の実施の形態によるユーザインターフェースの具体例を示す図。
図8D】本発明の実施の形態によるユーザインターフェースの具体例を示す図。
図8E】本発明の実施の形態によるユーザインターフェースの具体例を示す図。
図9】一実施形態における顧客データベースの一部をテーブル形式で示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態は、モバイル装置を用いて、電子取引を行っていないロケーション(brick and mortar locations)及びリモートロケーション(例えば、インターネット又はメールオーダー及び電話等)を含む商人ロケーションの場所で支払取引だけでなく個人対個人の取引をも案内するシステム、方法、プロセス、コンピュータプログラムコード及び手段等に関連する。一実施形態において、モバイル装置は、多種多様な支払アカウント(例えば、クレジットアカウント、デビットアカウント、預金口座、保存値アカウント、決済アカウント及びその他のアカウント等)に関わる支払取引を開始及び案内又は誘導するために使用可能である。一実施形態において、本発明による特徴を使用するように構築されたモバイル装置は、多種多様なネットワーク(例えば、ビザインコーポレーテッド又はマスターカードインターナショナルインコーポレーテッドが運用しているクレジットカードネットワーク、自社ブランド処理ネットワーク、電子資金決済ネットワーク、自動決済機関ネットワーク等)を介して処理される支払取引を開始することができる。一実施形態において、本発明による特徴を使用するように構築されたモバイル装置は、所与の取引に使用するのに最も望ましい支払アカウントを決定又は示唆することが可能である(例えば、1つ以上のユーザが予め決めた特定の規則、アカウントの特徴、商人情報等に基づいて行われる)。これにより、任意の支払に何れの支払アカウントを使用すべきかについての優れた情報及び多くの支払の選択肢がユーザに与えられる。
【0011】
実施の形態に関し、取引方法、システム、装置、手段及びコンピュータプログラムコードは支払取引を案内し、店頭でモバイル支払オプションを選択すること、モバイル装置を用いて印刷された精算トークン又は店頭で表示された決済トークンを取得すること、モバイル装置を用いて支払アカウントを選択すること、継続している支払取引に関する支払取引の詳細を表示すること、モバイル装置を用いて支払取引を認証すること等が支払取引の案内に含まれる。実施の形態に関し、チェックアウトトークン又は精算トークンは、バーコード画像の取得又はチェックアウトトークンのキー入力により、或いは無線通信又はモバイル装置でチェックアウトトークンを受信することで、モバイル装置により取得されてもよい。
【0012】
不正の機会が少なくなり、以下の(i)及び(ii)のような様々な理由でPCIの遵守が商人にとって非常に容易になるので、本発明の実施の形態は不正抑制の観点から非常に有利である:(i)顧客の実際の支払認証情報又は支払信用情報(payment credentials)は決して商人に提供されない、及び(ii)顧客の支払認証情報へアクセスできるように顧客が指定している認められた装置の何れかからアクセス要求が到来しない限り、顧客の支払認証情報は支払取引で決してアクセスされない。
【0013】
説明の便宜を図るためのいくつもの用語が本願で使用されている。例えば、「取得(capture)」という用語は「チェックアウトトークン」(実施の形態において、取引を促すのに使用される識別子)をスキャン、走査、読取又はその他の取得する処理に関して使用される。「取得している(capturing)」又は「取得した(captured)」という用語は、限定するようには意図されておらず、キー入力を通じて、画像取得を通じて、RFIDの読み取りを通じて及びその他の走査、読取又は他の本願で使用されている方法を用いて、チェックアウトトークン(又はチェックアウトトークンに関連するデータ)を受信するようにモバイル装置が動作する状況を広く包含するように意図されている。実施の形態に関し、「取得(capture)」という用語は、チェックアウトトークンから情報を読取又は取得するのに必要なチェックアウトトークンをデコード又は画像処理する任意の処理を更に含んでいる。
【0014】
別の例として、「ワイヤレス又は無線(wireless)」という用語は、無線周波数又は他の電磁放射による通信技術(RFID、wifi、ブルートゥース、zigbeeその他の技術を含む)のようなワイヤによらない遠隔通信技術に関連して使用される。当業者は、本願の内容を理解すれば、これらの用語の用法は限定することを意図してはおらず説明を意図していることを理解するであろう。
【0015】
<序--具体例>
本発明による実施の形態は、顧客が自身のモバイル装置を用いて店頭で購買処理を実行できるようにする。以下、様々なプロセス及び取引の流れが説明される。これらのプロセス及び取引の流れの説明の便宜を図るため、2人の例示的なユーザが導入される。具体例は、幾つかの実施の形態の特徴を説明するため、及び本発明の所定の特徴の説明を促す。これらの具体例は限定を意図しているのではなく単に説明の便宜を図っているに過ぎない。
【0016】
第1の例示的なユーザは本願において「ジェーン(Jane)」と言及される。具体例において、ジェーンは彼女が通常使用する以下の(i)−(iv)の4つの支払アカウントを有する:(i)高利得の口座(高利回りアカウント)、(ii)チェックアカウント(決済口座)、(iii)彼女の決済口座にリンクしたデビットカード及び(iv)スターバックス(登録商標)ギフトカード。ジェーンは、彼女がそうしなければならない場合に限って彼女のクレジットカードを使用する傾向又は好みがあり、彼女のチェックアカウント(決済口座)に少なくとも1000ドルあることを常に確認したがっている。また、ジェーンは可能であれば何らかの取引に支払わなければならない手数料を減らすことを好む。
【0017】
第2の例示的なユーザは本願において「サム(Sam)」と言及される。具体例において、サムは彼が通常使用する以下の(i)−(v)の5つの支払アカウントを有する:(i)報償クレジットカード、(ii)自社ブランドシアーズ(Sears)(登録商標)のクレジットカード、(iii)チェックアカウント(決済口座)、(iv)サムが業務上の支払に使用するアメリカンエクスプレスクレジットカード。サムは、可能であれば、彼の報償クレジットカード及び彼のシアーズ自社ブランドカード(シアーズで買い物をした場合)で報酬を稼ぐことを好み、アメリカンエクスプレスクレジットカードに業務上の支払を付けることを好む。
【0018】
サムもジェーンも両方とも移動電話を持っている。サムはウェブブラウザの機能が備わっている移動電話を持っており、ジェーンはアップルアイフォン(iPhone)を持っている。サムは彼の電話のブラウザを用いて本発明による支払システムにアクセスしてそれを利用する一方、ジェーンは本発明に関する支払取引を促すように構築されたアイフォン(iPhone)のアプリケーション(又は「app」)をダウンロード及び設定すること、本発明による支払システムにアクセスしてそれを利用する。
【0019】
本発明の特徴を利用することで、ジェーン及びサムのような顧客は、彼らのモバイル装置を用いて店頭(Point of Sale:POS)の場所(販売時点情報管理のための場所)で製品又はサービスに対する支払を行う。商人(merchant)が店頭のハードウェアを修正する必要はなく(ただし、実施の形態は、商人が店頭表示端末でチェックアウトトークンを表示するようにすることを含む)、ユーザは彼らの既存の支払アカウントを用いて支払を行うことができる。実施の形態によれば、様々な支払アカウントの中から、所与の取引に最も相応しい又は最も望ましい支払アカウントをユーザが選択できるようにする。実施の形態は、商人、支払アカウント発行者及び/又は支払ネットワークオペレータにより、何れの支払い装置が電話での使用に利用可能であるかを規定するルールを設定できるようにする。これらの例示的な具体例は、以下の説明に関連して言及され、本発明の実施の形態による特徴の説明を促す。図1には本発明によるシステムの概要が描かれている。図2にはシステムの一部の構成要素のブロック図が詳細に描かれている。図3には顧客登録プロセスが描かれており、図4A-Cには取引プロセスが描かれている。
【0020】
<システム概要>
図1を参照しながら本発明の実施の形態の特徴を説明する。図1は実施の形態に関するシステム100のブロック図である。図示されているように、支払アカウント所有者、購入者又は他のユーザ又はオペレータ(以下、「顧客(customer)」と言及する)は、モバイル装置102(例えば、移動電話機等)を所有又は使用する。モバイル装置102は表示画面136及びデータ入力装置138(例えば、キーボード又は接触感知式の画面(タッチスクリーン)等)を有する。本発明の実施の形態において、顧客は、モバイル装置102を用いて商人108との購入取引を行う。商人108は物理的な店舗又は装置でもよいし、電子商取引の商人又は商人の機能を発揮する要素でもよいし、或いはメールオーダー及び電話(mail order and telephone:MOTO)の商人(又は他の人、エンティティ又は機能要素或いは装置等)でもよい。
【0021】
具体的な典型的な取引の場合、顧客は、(例えば、物理的なチェックアウトカウンタ、電子ショッピングカート等のような一般に販売時点情報管理の場所又はポイントオブセール(point of sage:POS)と言及されるような)販売場所で、最初に製品又はサービスを選ぶことでその商人108から製品又はサービスを購入する。商人108は、購入される品目又はアイテムの合計を計算することで(例えば、バーコードスキャナ、製品コードのキー入力等を用いることで)通常の精算取引を開始する。その後、(店員を通じた行為、表示画面、顧客に向かい合っているPOS端末等を用いて)商人は顧客が支払オプションを選択するように促す。従来のシステムの場合、商人は顧客が「クレジット」、「デビット」又は他の支払オプションを選択するように促す。本発明の場合、(店員を通じた行為、表示画面、顧客に向かい合っているPOS端末等を用いて)商人はそれらの支払オプションだけでなくモバイル支払オプションをも顧客に選択できるようにする。顧客がモバイル支払オプションを選択すると、その支払を処理するために本発明による特徴が使用される。
【0022】
実施の形態において、(POS端末上のボタンを押すことで、又は店員に選択肢を通知すること等のような)処理、行為又は操作により顧客がモバイル支払オプションを選択しなければならないわけではなく、その選択肢はチェックアウト識別子(後述)をスキャン、走査、取得又は入力する顧客の処理によって選択されてもよい。例えば、そのような実施の形態の場合、本発明で使用されるチェックアウト識別子を取得する行為又は処理により、本発明に関する取引の進行が引き起こされてもよい。
【0023】
モバイル支払オプションが選択されかつ合計購入額が計算された場合、商人108は商人支払認証要求メッセージを取引管理システム130に(経路116を通じて)送信する。商人支払認証要求メッセージは取引に関するデータ又は情報の1つ以上の部分を含む。例えば、メッセージは、商人の識別子、未払額、固有のチェックアウトトークン(チェックアウトトークン)の内の1つ以上を含んでもよく、チェックアウトトークンは後述するように更なる処理の際に商人及び取引を特定するのに使用される。
【0024】
チェックアウトトークンを生成又は提供する際に様々な技術が使用されてよい。例えば、一実施形態において、1つ以上のチェックアウトトークンは所与の商人108が使用するために予め決定又は設定されていてもよい(例えば、商人108は店頭で表示又は提示するのに利用可能な多数のチェックアウトトークンを持っていてもよい)。そのような実施の形態の場合、商人108は所定の取引と共に使用するチェックアウトトークンを選択しておくことが可能である。一実施形態において、そのようなチェックアウトトークンは標準化されたフォーマットを用いて生成又は提供されてもよい。具体的な例示として、チェックアウトトークン又は所定の文字列又は連続番号に関する或る範囲が、商人に発行又は提供されてもよい。特定の具体例として、或る数値範囲(例えば、「00000」から「99999」までの範囲)に加えて連続的な又は利用可能なパターンを使用するように、商人は指示されてもよい(例えば、特定のチェックアウトトークンが単独の実際の取引に使用されるだけであってもよい)。そのような実施の形態の場合、POSシステムは選択されたチェックアウトトークンを取引管理システム130に通知することになる。しかしながら他の実施の形態では、取引管理システム130によりチェックアウトトークンが発行又は選択されてもよく、商人認証要求メッセージに応答してチェックアウトトークンが提供されてもよい(この点については後述する)。当業者はチェックアウトトークンを発行、使用及び選択するために他の技法が使用されてもよいことを認めるであろう。
【0025】
一実施形態において、チェックアウトトークンは取引の各々について動的に生成される。一実施形態において、チェックアウトトークンは個々の精算場所(チェックアウトロケーション)に関連する静的な識別子である(例えば、特定の店頭端末又はロケーション、或いは特定の精算場所を持っていない配管工(plumber)又は電気工事士(electrician)のような小企業者、或いは個人に関連する固定的な識別子)。商人108はチェックアウトトークンが顧客に表示又は提示されるようにする。例えば、チェックアウトトークンは、商人に関連する表示装置に表示されてもよいし、或いはプラカード又は掲示板に事前に印刷されていてもよいし、或いは店頭に近い他のディスプレイに表示されてもよい。
【0026】
顧客の観点から見れば、本発明による支払プロセスは、本発明を用いて顧客の識別子及び権限を確認して取引を進めるための認証プロセスを顧客が実行することから始まる。認証プロセスは、店頭でモバイル支払オプションを顧客が選択した後で或いは場合によってはそれ以前に実行されてもよい。一実施形態では、認証プロセスは、取引管理システム130に対して顧客を認証する。認証プロセスは、モバイル装置102でモバイル支払アプリケーション又はウェブブラウザを顧客が起動すること、そして信用情報又は情報項目の1つ以上を通信経路114を通じて取引管理システム130に提供することを含んでもよい。認証プロセスは、モバイル装置102の表示装置136に表示されるログイン画面又はその他のユーザインターフェースに、ユーザ識別子、パスワード又は他の信用情報又は認証情報を入力することを含んでもよい。取引管理システム130は、受信した情報を保存している情報と比較し、顧客を認証する。
【0027】
認証プロセスは、一実施形態において、モバイル装置102の1つ以上の属性と、(例えば、図3に示すような)登録プロセスの間にモバイル装置102から収集して保存した一群の属性とを比較することも含む。例えば、その属性は、装置を一意に識別又は特定するようにモバイル装置102に関連付けられた識別子を含んでもよい。このように、顧客は彼らが知っているもの(ログイン認証情報)及び彼らが有するもの(モバイル装置)という2つの観点から認証される。顧客の認証が成功すると、システムは顧客に関する様々な属性情報にアクセスできるようになり、その属性情報は例えば登録プロセスの一部として顧客が取引管理システム130に事前に通知している支払アカウントのリストを含む。
【0028】
認証プロセスが成功すると、顧客は、商人108に関連する装置からチェックアウトトークンをスキャン又は取得(或いは入力)するように促される(モバイル装置102及び商人108の間のやりとり112として示されている)。チェックアウトトークンは、上述するように、モバイル装置102及び商人108からのメッセージを取引管理システム130に結びつけ、本発明による取引を完了できるように使用される。チェックアウトトークンが取得された後、モバイル装置102は顧客取引ルックアップ要求メッセージにより(通信経路114を通じて)トークンを取引管理システム130に送信する。顧客取引ルックアップ要求メッセージはモバイル装置102により取得されたチェックアウトトークンを含む。
【0029】
実施の形態においては、「静的な(static)」チェックアウトトークン又は「可変又は動的な(dynamic)」チェックアウトトークンの何れかが使用されてよい。「静的な」チェックアウトトークンが使用される実施の形態の場合(例えば、特定の精算場所(チェックアウトロケーション)で使用されるように指定され、取引各々に対する如何なる可変情報も含んでいないチェックアウトトークンが使用される場合)、取引管理システム130は、(モバイル装置102から受信した)顧客取引ルックアップ要求メッセージ中の情報と、(商人108から受信した)商人支払認証要求メッセージ中の情報とを、各メッセージで受信したチェックアウトトークン情報を照合することで照合する。一致が確認された場合、取引管理システム130は取引詳細メッセージを(経路114を通じて)顧客のモバイル装置102に送信する。取引詳細メッセージからの情報は取引に関する詳細情報を顧客に与え、詳細情報は例えば未払額、商人の名称、商人の場所(商人支払認証要求メッセージに包含されている又はそれから導出された情報)及びおそらくは1つ以上のマーケティングメッセージ等を含むがこれらに限定されない。更に、取引管理システムは、顧客がシステムに登録している支払アカウントのリストを電話機に送信してもよい(リストは、クレジットアカウント、デビットアカウント、決済アカウント、プリペイドアカウント及び他のタイプのアカウントを含んでもよい)。移動支払ネットワークオペレータ、商人、支払アカウント各々の発行者、顧客又は他のエンティティ(機能要素)により設定された規則又はルールに基づいて、アカウントのリストは顧客がシステムに登録したアカウント全てを含んでもよいし、或るいは一部のアカウントを含んでもよい(例えば、モバイル装置に送信されるアカウントのリストは、現在の取引に使用されてもよいアカウントのみを含んでいてもよい)。こうして、顧客が支払を行いつつある商人の名称、支払われる金額、及び顧客が商人108に支払を行うのに使用可能な支払アカウントのリストを、顧客は彼らのモバイル装置102のディスプレイで眺めることができる。
【0030】
一実施形態において、商人のチェックアウトトークンは、商人支払認証要求メッセージ内の固有の識別子から導出されてもよい。例えば、商人のシステムが静的なチェックアウトトークンを取引管理システム130に通知するように商人のシステムを容易には修正できない場合、そのような導出は(本発明を使用しなかったならば、新たな支払方法を採用する商人に必要となる)装置の更新及びソフトウェアの変更の必要性を軽減又は排除することさえある。チェックアウトトークンはマッピングテーブルを用いて導出されてもよく、マッピングテーブルは、商人の識別子、端末識別子又はその他の情報(商人システムから取引管理システム130に通知される情報)をチェックアウトトークンに対応付ける。選択されたチェックアウトトークンは、商人取引キューの中の取引に関連付けられ、顧客メッセージキューの中の取引に合致するように形成される。当業者は他の照合及び対応づけの方法が使用されてよいことを認めるであろう。何れにせよ、チェックアウトトークンは、本発明に関し、モバイル装置を動作させている顧客から受信した支払認証要求メッセージを商人支払認証要求メッセージに結びつけるのに使用される識別子(その識別子は文字列、番号及び/又は記号から構成される)である。
【0031】
「動的な」チェックアウトトークンを利用する実施の形態の場合(例えば、チェックアウト取引の最中に、チェックアウトトークンが商人の表示装置で表示される前に、チェックアウトトークンが商人108又は取引管理システム130の何れかにより生成される場合であって、チェックアウトトークンが取引に関する追加的な情報を含んでいる場合)、チェックアウトの処理は、顧客取引ルックアップ要求メッセージを取引管理システム130に送信する必要なしに進行してよい。例えば、一実施形態において、取引の詳細情報の全部又は一部が動的なチェックアウトトークンにエンコードされ、モバイル装置102により取得され処理される場合に取引の詳細情報がモバイル装置102に与えられてもよい。「静的」及び「動的」双方のチェックアウトトークンの具体例に関する詳細については後述する。しかしながら、何れの場合においても、チェックアウトトークンは、モバイル装置102からのメッセージと商人108からのメッセージとを取引管理システム130で照合するのに使用される。
【0032】
支払取引を完了させるため、顧客はモバイル装置とやり取りを行い、現在の取引で使用する所望の支払アカウントを選択し、顧客支払認証要求メッセージが取引管理システム130に(経路114を通じて)送信されることを引き起こす。一実施形態において、取引管理システム130は、支払認証要求メッセージを顧客のモバイル装置に送信し、支払取引を確認する又は取り消す最終的な機会を顧客に与えるが、この処理は選択的であり必須ではない。顧客が確認したこと又は取り消したことは、モバイル装置102から経路114を経て取引管理システム130へ、顧客支払認証メッセージとして送信される。
【0033】
顧客のモバイル装置から支払認証メッセージが受信されると、取引管理システム130は認証承認要求メッセージを生成し、1つ以上の支払処理ネットワーク(図1では図示せず)を通じて取引に関する資金の認証、精算及び決済を引き起こす。この要求メッセージは、取引額又は関連する承認支払認証要求を指す(商人108から受信した)少なくともポインタ又はリファレンス、及び支払アカウント識別子のような、商人支払認証要求メッセージ中の情報を含み、支払アカウント識別子は取引管理システム130に予め保存されかつ顧客によって選択された支払アカウントを特定する。認証の承認プロセスは1つ以上の認証ネットワークを介して標準的な金融認証処理を用いて実行され、1つ以上の認証ネットワークは、例えば、ビザインコーポレーテッドにより運用されているVISANET(登録商標)ネットワーク、NACHAのような自動決済機関システム(Automated Clearing House System)等である。資金を利用できることが確認された場合、支払管理システムはその後に承認支払認証応答メッセージを(経路116を通じて)承認へ送信し、取引が販売場所又は店頭で完了できるようにする。顧客支払認証応答メッセージは、店頭で顧客に表示されてもよいし、及び/又は顧客のモバイル装置に送信されてもよい。
【0034】
実施の形態においては、以下に詳細に説明されるように、チェックアウトプロセス又は精算処理の最中に、顧客に関する実際の如何なる支払認証情報も商人108には提供されない。更に、モバイル装置102は実際の支払認証情報を決して保存も送信も受信もしない。むしろ、モバイル装置102は実際の支払認証情報に関連する代用物(proxy)を保存する又はそれにアクセスし、代用物は所与の取引で使用する所望の支払アカウントを識別するために使用される。代用物は顧客支払認証要求メッセージで取引管理システム130に送信され、取引管理システム130はその代用物を用いて、選択されたアカウントに関連付けられている実際の支払認証情報を探す又は特定する。そして、実際の支払認証情報は、取引管理システム130からアカウント発行者又はエージェントへ認証のために送信される。実際の支払認証情報が露わにされないこと又は商人108にも移送装置102にも保存されないことを保証することで、実施の形態はアカウントの安全性を高め、不正利用又は悪用の危険性を減らすことができる。
【0035】
実施の形態において、モバイル装置102はスマートフォン又はウェブと共に動作する装置でもよく、例えば、アイフォン(iPhone)(登録商標)、アンドロイド(登録商標)に基づく電話或いはウェブコンテンツにアクセスして表示することが可能でありインターネットにアクセスできる任意の電話であってもよい。実施の形態において、移動電話102はセルラ又は無線ネットワークを用いて取引管理システム130と通信する。一実施形態において、取引管理システム130はセキュアサーバ(又はネットワークサーバ)である。実施の形態において、取引管理システム130は、ビザインコーポレーテッドにより運用されているVISANET(登録商標)やマスターカードインターナショナルにより運用されているBANKNET(登録商標)等のような1つ以上の支払処理ネットワーク(図1には図示せず)と通信を行う。取引管理システム130は、他の金融取引ネットワーク(例えば、ACH及びEFTネットワーク、自社ブランドネットワーク、ペイパル(PayPal)のような代替的な支払システム等のような)と通信を行い、多種多様な形式の支払システム及びアカウントを用いて、モバイル装置102を動作させる顧客が取引を実行できるようにする。取引管理システム130は、グーグル(Google)(登録商標)、アップル(Apple)(登録商標)、ヤフー(Yahoo)(登録商標)、マイクロソフト(Microsoft)(登録商標)のような1つ以上の広告又は提示管理ネットワークと通信してもよい。後述するように、広告及び提示を含むデータはこれらのネットワークから受信され、モバイル装置102を通じて顧客に提供される。
【0036】
図1(及び本明細書中)に示されているシステムはモバイル装置102、商人108及び取引管理システム130をそれぞれ1つずつしか示していないが、当業者は実際には多数の装置、本システムを用いる多数の商人、及び取引管理システムに関する複数のインスタンスが動作中におそらくは存在していることを認めるであろう。
【0037】
以下において更に説明するように、本発明の実施の形態を使用する取引は、既存の支払方法を上回る望ましい多くの利点を有する。例えば、顧客は自身のモバイル装置を用いて多種多様な商人の場所で支払取引を実行できる。更に、モバイル装置は、顧客が保有する多種多様な支払アカウントへアクセスするのに使用され、取引の各々について最も相応しい又は最も望ましい支払アカウントを顧客が選択できるようにする。本発明による特徴を用いると、実施の形態は既存の販売場所及びハードウェアを使用してよいので、費用がかかるハードウェアの変更や配置し直しを必要としない。更に、本発明の実施の形態による支払は従来の支払い方法よりも安全である。なぜなら、顧客が知っているユーザ情報(例えば、ユーザ識別子及び/又はパスワード、又はPIN)だけでなく、顧客が取引を始めるのに使用するモバイル装置に関連する固有の属性という2つの情報項目を利用して、取引の各々が認証されることを必要とするからである。他の利点及び恩恵は本明細書を理解した当業者にとって更に明らかになるであろう。
【0038】
<システムの更なる詳細>
図2を参照しながら、本発明の実施の形態によるシステム例の更なる詳細を説明する。図2は、モバイル装置202、商人208、取引管理システム230及び支払処理システム232の間の通信経路を示した例示的な支払システムネットワークのブロック図を示す。モバイル装置202は例えば移動電話、PDA、パーソナルコンピュータ等であってもよい。例えば、モバイル装置202はアップル社のアイフォン(iPhone)(登録商標)、RIM社のブラックベリー(BlackBerry)、グーグルアンドロイドオペレーティングシステムを用いる移動電話等である。実施の形態に関し、モバイル装置202は支払アプリケーションを動作させ、モバイル装置202が本願で説明される支払装置として動作できるようにする。実施の形態において、モバイル装置202はウェブコンテンツにアクセスして表示することが可能であり或いはインターネットにアクセスすることができ、モバイル装置202を動作させる顧客が、取引を開始するようにウェブインターフェースを通じて取引管理システム230とやり取りできるようにする。
【0039】
図2に示すモバイル装置202は、例えば、1つ以上の有線及び無線ネットワーク201を介して通信できる。具体例として、無線ネットワークはセルラネットワーク(セル送信機215
として表現されている)とすることが可能である。モバイル装置202はセルラ又はその他の無線ネットワークを通じて、ゲートウェイ216を通じて、そしてネットワーク214(例えば、インターネット又は他の公の若しくは私的なネットワーク等)を通じて通信を行う。アクセスポイント218のようなアクセスポイントが、ネットワーク214に対するデータ及びその他の通信アクセスを促すように設けられてもよい。アクセスポイント218は、例えば、802.11g(又はその他の)通信標準規格に準拠していてもよい。例えば、モバイル装置202が本発明による支払装置として機能できるようにする支払アプリケーションをモバイル装置202が動作させている実施の形態では、支払アプリケーションはネットワーク201から取引管理システム230へのデータの通信を引き起こす又は制御する。
【0040】
実施の形態において、モバイル装置202はアクセスポイント218を通じて無線ネットワーク214を介する音声通信及びデータ通信の双方に従事している又は関わっているかもしれない。例えば、モバイル装置202は、アクセスポイント218を通じて無線ネットワークを介して、電話の発呼又は着信を行うことができ、電子メールメッセージを送信及び受信することができ、電子文書にアクセスすることができ、ストリーミングメディアを送信及び受信すること等を行うことができる。同様な通信がネットワーク215を介して行われてもよい。
【0041】
実施の形態において、モバイル装置202は、例えばネットワークとの有線接続、他の装置とのピアトゥピア通信等のような他の手段による通信リンクを(例えば、ブルートゥースネットワークを利用して)設定してもよい。モバイル装置202は、例えば、(支払取引を行うため、支払アカウントの設定や好みを作成、編集、提示又は修正する等のために)取引管理システム230、ウェブ240及び他のサービス242等のようなネットワーク201を介した1つ以上のサービスと通信を行ってもよい。モバイル装置202は1つ以上の有線及び/又は無線ネットワーク201を介して他のデータにアクセスすることもできる。例えば、新たなサイト、RSSフィード、ウェブサイト、ブログ、ソーシャルネットワーキングサイト、開発者(developer)のネットワーク等のようなコンテンツプロバイダは、モバイル装置202によりアクセス可能である。そのようなアクセスは、モバイル装置202にインストールされているウェブブラウザアプリケーションをクライアントが起動したことに応じて、ウェブブラウジング機能又はアプリケーション(例えば、ブラウザ)の起動により実行可能である。実施の形態において、ユーザはウェブブラウザアプリケーションを用いて取引管理システム230とやり取りを行い、支払アカウントを登録し、アカウントの好みを設定し、支払取引等を実行する。
【0042】
モバイル装置202は表示画面236及びデータ入力装置238(例えば、キーパッド、タッチスクリーン又は音声インターフェース等)を有する。本発明の実施の形態においては、顧客はモバイル装置202を用いて商人208と購入取引を行う。商人208は物理的な店舗でもよいし、電子商取引の商人でもよいし、或いはMOTO商人(又は他の人又はエンティティ)でもよい。モバイル装置202は、一実施形態においては、カメラ(図示せず)又は他の画像取得装置も有し、モバイル装置202がチェックアウトトークン210の表現又は画像を取得できるようにする。モバイル装置202は、一実施形態においては、無線受信機(図示せず)又は他の無線信号受信装置も有し、モバイル装置202がチェックアウトトークン210の無線信号表現を取得できるようにする。例えば、顧客は、モバイル装置202を操作してディジタル画像を撮影し或いは商人の販売場所で表示されているチェックアウトトークン210の画像を取得し、本発明による支払取引を開始してもよい。取得された画像は表示画面236におけるアイテム237として示されている。後述するように、チェックアウトトークン210を用いて商人との取引を開始及び実行してもよい。
【0043】
商人208は1つ以上の商人システム209が支払及び取引を処理するように動作を制御し、上述したように、支払及び取引は(現金、標準的な支払カード等を含む「従来の」又は標準的な支払取引に加えて)本発明に関する支払取引を含む。商人システム209は(例えば、物理的な小売店の場所のような)POSシステムのネットワークポイントでもよいし、或いは(例えば、電子商取引又はインターネット上の小売店の場所等に関する)ショッピングカートシステムであってもよい。商人システム209は、商人が商品又はサービスの支払を受け付けられるように設計されたシステムの組み合わせであってもよい。一実施形態において、商人システム209は、顧客からの情報を提示及び受信する表示装置213を有する1つ以上のPOS装置212と通信を行ってもよい。例えば、商人208が物理的な小売店の場所又はロケーションであった場合、商人システム209は多数の異なるPOS装置212と通信を行い、POS装置の各々は店舗内の異なるチェックアウトレーン又はロケーションに設けられている。POS装置212の各々は、取引の場所(point of sale:POS)で取引情報を提示し、表示し又は顧客と通信し、購入及び購入に関する支払を顧客が承認する又は認めることができるようにする。
【0044】
別の具体例として、商人208がインターネット又はその他の電子商取引の商人であった場合、商人システム209は商人208に関連する購入取引を処理するように構築されたウェブサーバ(又はサーバのネットワーク、インターネットでアクセスできるいくつかのサーバ)であってもよい。POS装置212は、そのような具体例の場合、例えばパーソナルコンピュータ、モバイル装置等のような商人システム209とやり取りする多数の遠隔端末(インターネットのようなネットワークを介して商人システム209とやり取りすることが可能な端末)であってもよい。本発明による実施の形態は物理的なタイプの商人にも遠隔的なタイプの商人にも双方に対する取引を開始及び実行することが可能であるので、販売の場所(point of sale)、購入の場所(pint of purchase)又は購入者及び商人の間のやり取りは、本願においてはPOS(point of sale)と言及される。
【0045】
本発明の実施の形態に関し、チェックアウトトークン210は販売場所にて又はその近辺で表示される。チェックアウトトークン210は、「静的な」チェックアウトトークンでもよいし、或いは「動的な」チェックアウトトークンであってもよい。静的なチェックアウトトークンが使用される状況の場合、トークンは販売場所の近くで印刷、表示又は提供されてもよい(例えば、顧客がトークンを容易に見る又は取得できるようにステッカ(sticker)又はプラカード(placard)に表示される)。静的なチェックアウトトークン210は、バーコード画像として、英数字識別子として又は他の形式で印刷されてもよい。一般に、チェックアウトトークンは人間が容易に認識できる形式で表示され、チェックアウトトークンがモバイル装置202を用いて取得される或いはキー入力されるようにする。静的なチェックアウトトークンが使用される場合、追加的な処理ステップが実行され(後述)、モバイル装置202に取引に関する詳細な情報が与えられる。
【0046】
動的なチェックアウトトークンが使用される実施の形態の場合、トークンはPOS装置212に関連する表示装置213に表示されてもよい。動的なチェックアウトトークンは取引情報(例えば、購入額等)を含むように生成され、一実施形態においては、支払取引の最中におけるモバイル装置202及び取引管理システム230間の少数のメッセージを含んでもよい。チェックアウトトークン210は、バーコード画像として、英数字識別子として、無線信号としてエンコード又は表示されてもよいし、或いは(例えば、モバイル装置202に関連するカメラ又はスキャナを利用して)チェックアウトトークン210を画像として取得させる他の形式でエンコード又は表示されてもよい。チェックアウトトークン210は、モバイル装置202の顧客によりキー入力されてもよいし、或いはモバイル装置202に関する無線受信機により取得されてもよい。一実施形態において、モバイル装置は複数の形式のトークン210を利用するように動作してもよい(例えば、モバイルアプリケーションは、チェックアウトトークン210が販売場所でどのように提示されているかに依存して、画像取得、無線受信又はキー入力によりチェックアウトトークン210を取得できてもよい)。
【0047】
表示装置213はLCD(又は他の表示方法による)ディスプレイとすることが可能である(例えば、ハイパーコム(Hypercom)4150端末、ベリフォン(Verifone)MX870端末等のようなシステムにおける多くの商人(装置)で現在利用可能なものでもよい)。本発明に関するチェックアウトトークン210の使用法を、以下に説明する。一般に、モバイル装置202からの支払要求と商人208からの支払認証要求とを照合し、保存されている情報又は取引管理システム230がアクセス可能な情報を用いて支払取引を完了させる取引管理システム230により、チェックアウトトークン210は使用される。チェックアウトトークン210が動的なチェックアウトトークンである実施の形態の場合、トークンは商人208からモバイル装置202へ取引の詳細情報を通知するためにも使用される。
【0048】
典型的な取引の例の場合、先ず支払オプションとしてモバイル支払を選択し、モバイル装置202において支払アプリケーションと共に認証プロセスを実行し(或いは取引管理システム230とやり取りするウェブブラウザを介して行ってもよい)、商人208に関連する装置から(例えば、POS装置212のディスプレイ213から)チェックアウトトークン210を取得し、取引の詳細情報、支払アカウントリスト又は好みの或いは適切なアカウントのリストを取引管理システム230から受信し、モバイル装置202において支払オプションを選択し、ネットワーク201を介して顧客支払認証要求メッセージを取引管理システム230に送信することで、顧客は商人208から商品又はサービスを購入する。
【0049】
支払オプションの選択には、顧客に利用可能な1つ以上の支払アカウントを特定する情報を受信することが含まれる。利用可能な支払アカウントは、図3に関して後述されるプロセスのような登録プロセスにより顧客が指定したものでもよい。利用可能な支払アカウントのリストに1つ以上のルール又は好みを適用し、現在の取引に最も相応しい又は利用可能なアカウントが顧客に提示されるようにする処理が、様々な支払アカウントオプションを提示する処理に含まれていてもよい。顧客は使用する支払アカウント(又は、分割テンダー取引(split tender transaction)の場合は複数のアカウント)を選択し、その情報が取引管理システム230に送信される。実施の形態において、顧客に利用可能な支払アカウントの全てが、顧客が認証された後に顧客に表示されてもよい。
【0050】
実施の形態において、(顧客取引ルックアップ要求を処理した後に)取引管理システムから後に受信したアカウントのリストは、支払アカウント各々に関する付加的なメタデータ又は情報 (例えば、現在利用可能な口座残高、アカウントが現在の取引で使用される場合に利用可能な何らかの特定の提示又はオファー等)を含んでもよい。実施の形態において、取引管理システムから後に受信されるアカウントのリストは、取引管理システムにおけるルールの適用(例えば、1つ以上の顧客、商人又はシステムルールの適用)に基づく少ない数に絞り込まれたアカウントを含んでもよい。例えば、ルールは特定の支払アカウントが安価な取引(low dollar transaction)には使用されないことを指定していてもよい。そのような場合、顧客取引ルックアップ要求に応答して取引管理システムから送信されたアカウントのリストには特定の支払アカウントが含まれていないことになる。言い換えれば、顧客取引ルックアップ要求を処理した後に取引管理システムから受信される支払アカウントのリストは、顧客が登録している全てのアカウントの内の一部分である。
【0051】
実質的に同時に、商人208はネットワーク220を介して商人支払認証用級メッセージを取引管理システム230に送信する。取引管理システム230は、チェックアウトトークン210を使用することで、(モバイル装置202からネットワーク201を介して受信した)顧客支払認証要求メッセージと(商人208からネットワーク220を介して受信した)商人支払認証要求メッセージとを照合する。
【0052】
動的なチェックアウトトークン210が使用される実施の形態の場合、モバイル装置202は如何なる取引詳細情報も取引管理システム230から受信する必要はなく、むしろ取引詳細情報はエンコードされたデータにより又は動的チェックアウトトークン210に含まれているデータによりモバイル装置202に提供される。一実施形態では、動的なチェックアウトトークンが使用される場合でさえ、モバイル装置202は取引詳細情報の全部又は一部を取引管理システムに要求する又は取引管理システムから受信する。
【0053】
実施の形態において、取引管理システム230はその後に顧客支払確認要求メッセージを顧客のモバイル装置202に送信し、支払取引を確認又はキャンセルする最終的な機会を顧客が有するようにする。例えば、顧客は支払取引を「確認」又は「キャンセル」するように催促される。この催促は、取引及び選択された支払額に関する付加的な情報を提供し、「確認」又は「キャンセル」を選択する前に、顧客が取引に関する詳細な情報を取得できるようにしてもよい。一実施形態において、所定のメッセージ又は取引ステップをイネールブ又はディセーブルできるように好みを設定する或いは移動支払アプリケーションを設定する機会が顧客に与えられてもよい。特定の具体例として、顧客支払確認要求メッセージを受信する機会が顧客に与えられてもよい(又は受信しないように設定されてもよい)。
【0054】
支払処理を進める最終的な確認が顧客のモバイル装置202から受信されると、取引管理システム230は、取引の認証、金額の精算及び決済を引き起こすために1つ以上の支払処理ネットワーク232を通じて送信する認証承認要求メッセージを作成する。要求メッセージは、(商人208から受信した)商人支払認証要求メッセージ内にある取引詳細情報(例えば、取引額又はその他の情報等)と、顧客が選択した支払アカウントに関連する実際の支払認証情報とを含む。支払アカウント選択情報を利用して、データベース又は取引管理システム230がアクセスできるロケーションに予め保存されている実際の支払アカウントの認証情報を探す(ルックアップする)ことで、実際の支払認証情報は取得されてもよい。認証承認の処理は、(例えば、ビザインコーポレーテッドにより運用されているVISANETネットワーク、HACHA等のような自動決済機関システム等のような)1つ以上の支払処理ネットワーク232を介して標準的な金融認証処理を利用することで実行されてもよい。資金の利用可能性が確認されると、取引管理システムは、取引が店頭212で完了できるように商人支払認証応答メッセージを商人208に送信し、顧客支払認証応答メッセージを顧客のモバイル装置202に送信する。
【0055】
<顧客登録プロセス>
実施の形態に関し、顧客が本発明によりモバイル装置(例えば、図2のモバイル装置202)を用いて購入取引を実行できるようになる前に、顧客は図3に関して説明されるプロセス又は処理のような登録プロセスを実行する必要がある。プロセス300により収集又は提供されるデータは、取引管理システム230に関連する1つ以上のデータベースに保存される又はそれにアクセス可能である。データベースの具体例が図9に示されている(図9はプロセス300に関する以下の説明で参照される)。
【0056】
先ず顧客が(302において)登録プロセスを開始するために登録サーバにアクセスすることで、図3の登録プロセス300が開始される(登録サーバは図2の取引管理システム230の構成要素でもよいし、或いは取引管理システム230に関連付けられているだけでもよい)。例えば、顧客は(モバイル装置又は他のコンピュータ装置上で)インターネットブラウザを操作し、登録サーバに関連する登録ウェブページにアクセスする。登録ウェブページは、アカウント作成プロセスを開始するために、顧客が何らかの識別情報を提供することを要求する。例えば、顧客は名前、アドレス、住所及びその他の連絡先情報に加えて連絡先の好み(1つ以上の電子メールアドレス及び電話番号を含む)を提供してもよい。顧客の識別子又はその他の固有のレコード(又はレコード群)が図9のテーブルに示されているようにデータベース内に設定される。顧客識別子U1002は顧客を一意に識別するために使用されてもよい。顧客識別子U1002は、取引管理システム230により指定された英数字識別子でもよいし、或いは顧客が提供した又はそれに基づく情報 (例えば、モバイル装置202に関連する識別子又は移動電話番号等)であってもよい。
【0057】
プロセスは304に続き、顧客がアカウントを作成又は設定する。連絡先を提示することや、顧客に関連する情報を特定することに加えて、顧客が取引を行うことを希望している1つ以上のモバイル装置を識別する情報を特定することが、アカウント作成処理に含まれていてもよい。モバイル装置202の各々は、例えば、電話番号及び/又はその他の固有の識別子により識別されてもよい(固有の識別子は、例えば、ハードウェアシリアル番号、ASIN、アイフォンの場合のUUID、CPUシリアル番号のような素子のシリアル番号等である)。実施の形態において、顧客が自身のモバイル装置でブラウザから登録する場合、或いは登録モジュールを有する支払アプリケーションを顧客のモバイル装置に最初にダウンロードする場合、システムはモバイル装置に関連する固有の識別情報 (例えば、ハードウェアシリアル番号、ASIN、UUDI又はその他の装置識別子)を取得してもよい。
【0058】
プロセスは306に続き、顧客が本発明による支払システムに関連付けることを希望する1つ以上の支払装置又は支払アカウントに関する情報を、顧客が提供する。例えば、顧客は、1つ以上のクレジットカード、デビットカード、ギフトカード、銀行口座(銀行アカウント)、決済口座(チェックアカウント)等に関する情報を入力してもよい。アカウント各々についての情報は、実際の支払認証情報又はアカウントを用いて取引を進めるのに十分な情報を含む。例えば、クレジットカード又はデビットカードの場合、その情報はプライマリかカウント番号(primary account number:PAN)、有効期限及び確認コード(verification code)を含む。銀行口座(銀行アカウント)の場合、その情報は支店番号(routing number)及び口座番号を含む。銀行又は発行者情報のような他の情報がステップ306において入力されてもよい。情報の全部又は一部は、図9に示すデータベーステーブルの1つ以上のフィールドに保存される。図9に示されるように、顧客は複数の支払アカウントを登録してもよく、その詳細情報は「アカウント(Account(s))」というラベルが付されたフィールド1010に保存されるように図示されている。
【0059】
上記の具体例を再考するに、「ジェーン(Jane)」という名前の顧客は、彼女が本発明に関連して使用する彼女の以下の4つの支払アカウントの詳細情報を入力している:####というプライマリアカウント番号(PAN)を有し、05/12がカードの有効期限日であるチェイスクレジットカード(Chase Credit Card)、####というABA番号及び####という口座番号を有するウェブスタ銀行照会口座、####というPANを有しカードの有効期限日が06/11であるウェブスタ銀行ビザデビットカード、及び####というPANを有し有効期限日が8/10であるスターバックスギフトカード。追加的なアカウント特定情報が必要に応じて提供されてもよい(例えば、場合によっては、支払カードについてカードの照会番号が提供されてもよい)。図9のテーブルに示されているデータは、PCIに基づくデータベースに安全に保存されている。一実施形態では、(有効期限日及び照会番号を含む)支払カードデータを安全に保存することで、本発明により行われる支払は、「カードを提示する」取引のようなやり取りを減らすのに相応しい。実施の形態に関し、顧客は必要に応じてアカウント情報を追加、削除又は更新してもよい。
【0060】
プロセスはステップ308に進み、顧客は、ステップ306で入力した1つ以上のアカウントを利用することに関する1つ以上の好み又はルール(規則)を選択的に設定してもよい。例えば、顧客はアカウントの内の何れかを「プライマリ」又はデフォルトのアカウントとして指定してもよい。効率的な論理的な方法でアカウントを選択及び使用できるようにその他のルール及び好みが設定されてもよい。例えば、どのようにして特定のアカウントが他の支払アカウントと共に取り扱われるべきかを示すために、顧客は優先度又は他のアカウントに基づくルールを指定してもよい。顧客は、支払アカウントがいつどのようにオプションとして提示されるかを決定する使用制限又は残高条件を指定してもよい。顧客が何れの商人から購入しているか、アカウントの各々で利用可能な資金、各々のアカウントを使用した場合に受け取る報償等に基づいて、顧客は、移動電話上で表示されるアカウントの順序を指定してもよい。
【0061】
実施の形態において、(顧客が指定したルールのような)ルール又は規則は、支払処理が速やかに又は僅かな顧客の手間により進行することを可能にする。例えば、特定の商人からいつ購入を行うか(又は所定の購入形式、例えば所定の金額未満の購入等)、デフォルトの支払アカウントが使用されること等を、顧客は指定してもよい。そのような状況では、本発明を利用する購入取引は、顧客が支払アカウントを選択したり選択内容を確認する必要なしに進行し、顧客が指定したルールを適用することで取引が自動的に行われる。
【0062】
本開示内容を理解することで、どのようにして(又は何時)支払アカウントが支払オプションとして顧客に提示するかを顧客が管理するために、多種多様のアカウントに対するルールが指定されてよいことを、当業者は認めるであろう。
【0063】
上記の(及び図9に示すテーブルに関する)実施の形態では、「ジェーン」という名前の顧客は以下のアカウントの好みを指定している:(i)彼女はクレジットの利用回数を減らしたいこと及び(ii)彼女は取引の手数料を減らしたいこと。ジェーンは、所与の取引で使用するために特定の支払アカウントが調べられる場合に適用されるルールを指定している:(i)可能であれば、彼女のスターバックスギフトカード残高が使用されるべきである(最高の優先度が指定されている)、(ii)彼女の決済アカウント又は彼女の決済アカウントに関連するデビットカードは2番目に高い優先度として使用されるべきである(ただし、取引により彼女の残高が1000ドル未満に減ってしまうならば、彼女はその決済アカウントを使用したくない)、及び(iii)彼女のクレジットカードは最終的な支払の選択肢であり、最低の優先度を有する。
【0064】
ジェーンが彼女のモバイル装置を用いて本発明による取引を行う場合、取引管理システムは、彼女が取引の詳細に対して指定しているルール及び好みを比較し、その取引に利用可能な支払アカウントを推薦又はレコメンドする。例えば、ジェーンがスターバックスで彼女のモバイル装置を用いてコーヒーカップを購入する場合、取引管理システムは、彼女がその購入に彼女のスターバックスギフトカードを利用できることを彼女に知らせる。このように、顧客の総合的な好み及び使用目的に基づく支払オプションの選択肢が、様々な支払アカウントを有する顧客に提示される。更に、特定の取引に利用できない又は適切でない支払アカウントは、取引管理システムによりそのように特定され、その支払アカウントが顧客に選択肢として提示するひつようがないようにする(例えば、ジェーンがガソリンスタンドでガソリンを購入する場合、その購入についてスターバックスギフトカードは彼女に支払オプションとしては提示されないことになる)。取引の最中に支払アカウントが顧客にどのように提示されるかについての詳細は、図4B及び図8に関連して後述される。
【0065】
実施の形態において、本発明に関するアプリケーションを実行できるモバイル装置(例えば、アイフォン又はアンドロイド電話機等)を顧客が操作又は使用すると、プロセスはステップ310に進む。ステップ310において、顧客は、自身のモバイル装置にアプリケーションをダウンロードしてインストールするように促される。アプリケーションは、本発明に関する支払取引を簡易かつ容易に進めるために顧客がモバイル装置を操作できるようにする。そのようなアプリケーションを動作させることができない電話機又は装置の場合、移動電話ブラウザによりアクセスされるリンク又はウェブページが顧客のために作成又は提示され、これにより顧客は本発明による支払取引を実行できる。
【0066】
いったん顧客がアカウントを設定し、1つ以上の支払アカウントを取引管理システムに登録すると、顧客は本発明によるシステムを用いて本発明による取引を実行できる商人との購入取引を行うことができる。
【0067】
<取引プロセス>
図4A-Cに関連する例示的な取引プロセス400を説明する(図2のシステム200における構成要素も参照される)。図4Aは商人(例えば、商人208)の観点から見た取引プロセスを示し、図4Bはモバイル装置(例えば、モバイル装置202)の観点から見た取引プロセスを示し、図4Cは取引管理システム(例えば、図2のシステム230)の観点から見た取引プロセスを示す。一般に、3つの取引プロセスが並列的に又は互いに関連して実行され、本発明の実施の形態による支払取引が行われる。顧客がショッピングを行っている場合又は顧客が販売場所で購入する準備が整った場合に、図4に示す取引プロセスの各々が始まる。例えば、それらのプロセスは、顧客が商品又はサービスを購入するために選択し、それらを購入するために販売場所に持って行った場合に始まる。販売場所又はPOSは、小売店の精算レーン、電子商取引店舗での電子ショッピングカート、レストランにおける店員又はウェイター、ガソリンスタンドのガソリンポンプ等でもよいし、或いは本発明を使用して他の人に支払を行う人でもよい。
【0068】
先ず、図4Aを参照するに、取引プロセス400が示されている。図4Aに示すプロセスは概して商人の観点から示されている。例えば、取引プロセス400は、商人208により又は商人208の場所で実行されてもよく、例えば商人システム209及び店頭販売時点情報管理装置(POS装置)212のような商人208に関連するソフトウェア又はシステムを用いて実行されてもよい。プロセスはステップ402から始まり、商品又はサービスがレジに記録され購入金額が合計される。プロセスはステップ404に進み、POS装置212(又は店員)は支払オプションを選択するように顧客を促し、モバイル支払オプションが選択されたか否かが判定される。モバイル支払オプションが選択されていなかった場合、プロセスはステップ406に進み、通常の支払処理又は別の支払オプションを使用して購入を完了させる処理が行われる。
【0069】
モバイル支払オプションが選択された場合、プロセスはステップ408に進み、(チェックアウトトークンが商人から送信される実施の形態の場合)商人のチェックアウトトークン、取引額及びその他の取引データ(例えば、端末識別子、日付、時間、改善された取引データ等)を含む商人支払認証要求メッセージを作成し、(例えば、ネットワーク220等を通じて)取引管理システム230に送信する。商人支払認証要求メッセージは、取引管理システム230が商人取引キューの中に処理待ちの取引を設定するために使用される(詳細については図4Cに関連して後述される)。実施の形態においては、上述したように、チェックアウトトークンは商人システム209から送信されていない。そうではなく、チェックアウトトークンは、ステップ408において商人システム209から受信したメッセージに応答して、取引管理システム230により読取、抽出、生成又は「ルックアップ」される。例えば、チェックアウトトークンは、静的なチェックアウトトークンと共に(ステップ408で受信した)商人IDに関連するテーブルから見出される。実施の形態において、取引管理システムがステップ408において商人支払認証要求メッセージを受信すると、チェックアウトトークンは取引管理システム230により生成可能になり、チェックアウトトークンは、商人支払認証要求メッセージに対するアクノリッジの一部として商人システム209に返される。ステップ408における処理は、商人から取引管理システム230へ送信されるチェックアウトトークンを含むように示されているが、一実施形態においてはトークンはステップ408において送信されず、その代わりにチェックアウトトークンが取引管理システム230により提供されてもよい。
【0070】
プロセスはステップ410に続き、チェックアウトトークンが表示される又はその他の方法で顧客に提供される。ステップ410における処理は、実施の形態に依存して、或いは静的なチェックアウトトークン又は動的なチェックアウトトークンが使用されるかに依存して様々な方法で実行されてよい。静的なチェックアウトトークンが使用される状況では、静的なチェックアウトトークンをPOS装置212に関連する領域に表示することで、チェックアウトトークンの表示が取引に先行して実行されてもよい。例えば一実施形態において、動的なチェックアウトトークンを表示するために販売場所に表示装置を購入して配備する費用を商人が負担したくない場合であって、各々のチェックアウトロケーションにおいて唯1つのチェックアウトイベントが生じる場合に、静的なチェックアウトトークンがアプリケーションで使用されてもよい。例えば、ステッカ又はプラカードが、ステッカ又はプラカード上にあるチェックアウトトークンと共に生成され、POS装置212に近くで表示され、顧客及び店員が静的なチェックアウトトークンを容易に眺められるようにしてもよい。静的なチェックアウトトークンは、複数の取引に使用されてもよく、(例えば、数日、数週間、数ヶ月或いはそれ以上でさえよい)比較的長期間にわたって不変のままでもよい。静的なチェックアウトトークンが商人についての詳細情報を一意に特定できるように静的なチェックアウトトークンが生成され、そのチェックアウトトークンは、店舗の場所、商人のアカウント番号及び店舗内の特定のPOS装置(静的なチェックアウトトークンが関連付けられているもの)等を含んでよいがこれらに限定されず、チェックアウトトークンはモバイル装置202に容易にキー入力又は入力できる英数字識別子(例えば、4-7文字の識別子)であってもよいし、或いはエンコードされたバーコード画像であってもよいし、或いはRFID装置で生成されるような無線信号であってもよい。
【0071】
動的なチェックアウトトークンが使用される実施の形態において、ステップ410における処理は、動的なチェックアウトトークンの生成及びその後の表示を含んでもよい。例えば、動的なチェックアウトトークンがエンコードされたバーコード画像として形成され、エンコードされたバーコード画像は、デコードされると、POS装置212及び特定のチェックアウト取引に関連する多数の項目を一意に特定する識別子を明らかにする。バーコード画像をデコードする処理は、実施の形態においては、POS装置212に関する情報を特定するために(例えば、取引管理システム230により)使用されるチェックアウト識別子を明らかにし、その情報は例えば商人、特定のPOS装置212、レーン又は精算場所、商人の場所又は特定の取引等を示す。例えば、動的なチェックアウトトークンの各々は、特定の商人、特定の商人の場所における特定の精算レーン、特定のチェックアウト取引及び特定のPOS装置等に関連付けられてもよい。POS装置212の各々はPOS識別子を有し、POS識別子は或る取引について生成された特定の動的なチェックアウトトークンに関連付けられてもよい。特定の具体例として、食料雑貨店に関して生成された動的なチェックアウトトークンは、その食料雑貨店の名称(例えば、チェーン(chain))、食料雑貨店の場所(例えば、店舗の具体的な地理的な場所)、特定の店舗内の精算レーン及び精算レーンにおけるPOS装置等を指定してもよい。実施の形態において、動的なトークンの各々について、トークンにエンコードされた情報を取引管理システム230が使用して商人又は実際の取引に関する情報を明らかにする複数の方法が存在する。先ず、その情報はチェックアウトトークンの中に保存できる(その場合、トークンは、人間がキー入力する場合には適切ではなく、むしろモバイル装置により取得又はスキャンされるべきである)。次に、チェックアウトトークン自体は、データベーステーブルに保存されている取引の詳細情報を「探す又はルックアップする」又は参照するために使用可能な識別子であってもよい。その場合、チェックアウトトークンは例えば英数字又は記号による4-7文字の組み合わせであってもよい。そのようなトークンは人間がキー入力してもよいし、或いはモバイル装置により取得されてもよい。
【0072】
実施の形態において、動的なチェックアウトトークンが生成されることになった取引に関連する総取引額及びその他の取引の詳細情報を明らかにするために、動的なチェックアウトトークンが更に生成されてもよい。しかしながら、目下の好ましい実施の形態では、動的なチェックアウトトークンは総取引額もその他の取引の詳細情報も含んでおらず、その代わりに、後の照合及びモバイル装置への送信に備えて、商人から取引管理システムへ追加的な支払関連データが送信される。チェックアウトトークンに含まれる情報が多くなればなるほど、バードコード画像として又は無線信号としてエンコードされている場合、モバイル装置にとって情報をデコードすることは益々複雑化し、これはチェックアウトプロセス又は精算処理の処理速度に影響を及ぼす。更に、チェックアウトトークンを(例えば、4-7個の文字、数字又はシンボルのように)短く維持することは、ブラウザを有する任意の電話機と共に顧客が本発明を利用できるようにし、電話機の台数を大幅に拡張し(電話機に如何なる画像センサも無線受信機も必要としない)、従って本発明を利用する顧客数を大幅に増やす。認証されると、顧客は証人が提示したチェックアウトトークンをキー入力し、支払取引を行う。このため、チェックアウトトークン210を通じてではなく、ネットワーク201を通じてモバイル装置に与えられる取引詳細情報を頻繁に取得することが望ましい。実施の形態において、POS装置212に関連する表示装置213に(静的なチェックアウトトークンだけでなく)動的なチェックアウトトークンが表示されてもよい。
【0073】
何れの実施の形態でも、顧客のモバイル装置202を用いて顧客がスキャン、走査、取得又はその他の入力を行うためにチェックアウトトークン210が表示される(この点については図4Bを参照しながら後述する)。
【0074】
商人208におけるプロセスはステップ412に続き、商人システム209は取引管理システム230から商人支払認証応答メッセージを受信する。所定の顧客関連処理ステップ(図4Bに示されている)及び所定の取引管理システム関連処理ステップ(図4Cに示されている)が完了した後であって、(顧客のモバイル装置202を用いて)顧客により選択された支払アカウントが購入取引に関して認証された後に、商人支払認証応答メッセージが取引管理システム230により生成される。プロセスはステップ414に続き、取引レシートを生成し、取引を完了するように商人システム209が動作する。
【0075】
上記の商人の処理で留意すべきことは、実施の形態において、どの地点であっても顧客は実際の支払アカウントデータを商人208に提供しないことである。当業者は本明細書を読むことでそのようなプロセスは不正防止その他の恩恵を享受するのに望ましいことを認めるであろう。
【0076】
一実施形態において、図4A(及び同様に図4B及び図4C)のプロセスは、取引の合計が算出される前に、商人が商人支払認証要求メッセージを送信するように修正されてもよい。更に、一実施形態において、顧客は、取引の合計が算出される前にチェックアウトトークンを取得してもよい。そのような実施の形態の場合、概して次のように処理が進行する。先ず、全ての新規チェックイベントの開始時点において、商人は、商人支払認証リクエストメッセージを取引管理システム230に送信する。商人支払認証要求メッセージは、商人を特定する情報を含み、一実施形態においてはPOS端末の識別子及び/又は固有の取引識別子を含むが、店員は商品を未だレジに記録していないので又は商品をレジに記録している途中なので、未払情報は一切含まれていない。この商人支払認証要求メッセージに応答して、取引管理システム230はチェックアウトトークンを生成し、商人はチェックアウトトークンを顧客に(例えば、POS端末の表示装置で)表示する。
【0077】
そのような実施の形態は、チェックアウトプロセスの内の顧客の部分が可能な限り速やかに進行することを商人が希望するような場合に適している。チェックアウトプロセスの始めにチェックアウトトークンを表示してもらうことで、顧客はそれを始めに又は(アイテム又は商品がスキャンされ勘定される一方で)途中で取得でき、最終的な取引合計が計算されるまで待つ必要がない。早期に取得することは、何らかの利用可能なルールに基づいて商人及び顧客に適切な利用可能な顧客の支払アカウントを、取引管理システム230が読み取れるようにする。
【0078】
更に、一実施形態において、商人支払認証要求メッセージを取引の初期に(取引合計額の計算の前に)送信することで、取引管理システム230は、顧客を駆り立てる何らかの関連する提案、オファー、クーポン、ポイント又はロイヤリティ(loyalty)を提供する機会を得る。例えば、顧客が特定の商人に彼女のポイント又はロイヤリティの情報(loyalty credentials)を登録していた場合(例えば、上記の例において、ジェーンがスターバックスでしばしば買い物をしている場合)、未払合計額が表示される前に、商人は、特定の顧客に相応しい又は特化した提案、広告又は販売促進活動をモバイル装置上で行うことを希望するかもしれない。これは、チェックアウトプロセスが終了する前に、広告及び販売促進の提案内容を顧客に表示できるようにする。
【0079】
概して、未払合計額を計算する前に商人支払認証要求メッセージが生成される場合の取引プロセスは次のように進行する。先ず、商人支払認証要求メッセージが生成され取引管理システム230に送信される。その要求メッセージは未払合計額を含んでいない(しかし、商人及び/又はPOS端末又は精算レーン等を識別する情報は含まれている)。取引管理システム230は、ペンディング取引レコードを生成し、チェックアウトトークンを商人に送信する。商人はその後にチェックアウトトークンが顧客に表示又は提示されるようにする。例えば、合計の計算が行われている取引を彼女が待っている間に、POS端末の表示画面上で顧客に対する表示が行われてもよい。顧客はその後にモバイル装置202を用いてチェックアウトトークンを取得する。
【0080】
モバイル装置202はその情報を(例えば、顧客認証プロセスの後に)取引管理システム230に送信し、取引管理システム230はその情報と処理途中の取引メッセージとを照合する。システム230は、商人及びおそらくは利用可能な支払アカウントのリストを示す情報をモバイル装置202に返す(ただし、金額はシステム230に未だ通知されていないので未払額は含まれない)。この時点で、目標として狙っている何らかの提案又は広告がモバイル装置に配信されてもよい。顧客が取引合計額の計算を待っている間に、装置は「未払額の計算を待っていること」を彼女に通知するメッセージ(又は同様なメッセージ)がモバイル装置202で表示されてもよい。商人が取引合計額を計算した後に、商人は、更新された商人支払認証要求メッセージでその合計額を取引管理システム230に送信する。システム230はこの情報を用いてペンディング取引レコードを更新し、メッセージがモバイル装置に送信されるようにし、未払合計額によりモバイル装置202を更新する(及び情報は取引で使用されてもよい利用可能な支払アカウントのリストに関する情報を含んでもよい)。モバイル装置202は、合計額と、(取引により報償がある場合)何らかのポイント又はロイヤリティと、利用可能な支払アカウントのリストとを表示するように更新される。顧客は彼女が望む支払アカウントを選択し、通常の取引を完了する。様々な取引の流れを達成するように示されているプロセスの全部又は一部に修正を加えてよいことを、当業者は認めるであろう。
【0081】
図4Bを参照するに、別の取引プロセス420が示されている。プロセス420はモバイル装置を操作する顧客の観点から描かれている。例えば、取引プロセス420は、本発明に関する取引を完了させるように、モバイル装置(例えば、図2の装置202)を走査する顧客により実行される様々な処理を含む。上述したように、プロセス420は商人208により実行されるプロセス400に関連して実行される。プロセスはステップ422から始まり、本発明によるモバイル支払プログラムの参加者である顧客は、自身のモバイル装置202でモバイル支払アプリケーションを起動する。モバイル支払アプリケーションは、モバイル装置202に保存されている「app」又はコンピュータプログラムコードであってもよく、一実施形態では、モバイル支払アプリケーションは、モバイル装置202に関連するウェブブラウザによりインターネットを介してモバイル支払アプリケーションに関連するウェブページに至ることでアクセスされてもよい。プロセス420に関する以後の説明に関し、モバイル支払アプリケーションはモバイル装置202に保存されているアプリケーションであると仮定する(これは、本発明の適用範囲をその実施形態に限定するように意図したものではない)。
【0082】
プロセスはステップ424に進み、顧客は認証情報を入力するように促される。例えば、ユーザ識別子、パスワード又はその他の認証情報をモバイル装置202に表示されているログイン画面に入力するように、顧客は促される。ステップ424における処理は、顧客を認証するのに使用する装置関連情報を収集又は生成することを含む。顧客認証情報だけでなく何らかの装置関連情報は、取引管理システム230による認証のために(ネットワーク201を介して)取引管理システム230に送信される(この点については図4Cに関連して後述される)。ステップ426において、認証に成功したか又は失敗したかの判定がなされる(例えば、この判定は取引管理システム230から受信した応答に基づいてもよい)。認証に失敗した場合、プロセスはステップ428に進み、失敗したことを顧客に通知し、支払に関する異なる形式を使用すること又は認証プロセスをやり直すことの何れかが促される。
【0083】
認証処理に成功した場合(すなわち、顧客及び装置が取引管理システム230により適切に確認された場合)、プロセスはステップ430に進み、モバイル支払アプリケーションが、POSに関連するチェックアウトトークンを取得するための処理を、顧客が実行できるようにする。ステップ430における処理は支払オプションのリストを顧客に提示することを含んでもよい。例えば、モバイル装置は、システムに登録されている顧客の支払アカウントの全てを表示してもよい。これは、取引が終了する前に、顧客が彼らに利用可能なアカウントを(一実施形態では、各々のアカウントで利用可能な残高だけでなく他の情報をも)表示できるようにする。
【0084】
例えば、一実施形態において、モバイル装置202のカメラをチェックアウトトークンのバーコード画像の場所に合わせること、及びその画像を取得するようにモバイル装置202を走査することを顧客に促してもよい。別の例として、チェックアウトトークンをキー入力すること又はそれをモバイル装置202に入力することを顧客に促してもよい。一実施形態において、チェックアウトトークンは、モバイル装置202のカメラ又はその他の画像取得装置により(例えば、図8Aの画面例に示されているように)取得されてもよい。例えば、一実施形態において、(図3のステップ310においてダウンロード及びインストールされた)モバイル支払アプリケーションは、モバイル装置202又は無線受信機に関連するカメラを用いてチェックアウトトークン210を自動的に検出及び取得するように形成されている。
【0085】
一実施形態において、カメラは連続スキャンモードで動作し、(例えば「Pay(支払)」ボタンを1回押すような操作を除いてユーザから如何なる入力も必要とすることなく)カメラはチェックアウトトークンの画像を速やかに(毎秒何度も)取得し、チェックアウトトークンの各々は、チェックアウトトークンの画像のデコードに成功するまでモバイルアプリケーションにより処理される。この連続スキャンモードは有用である。なぜなら、例えばチェックアウトトークンの画像を完全に取得していないカメラのファインダ又はその他の原因に起因して、画像が十分鮮明でないことにより、最初に取得した画像がアプリケーションによりデコードできなかった場合に、画像を取得するようにカメラのボタンを繰り返し押さなければならないことからユーザを解放できるからである。このプロセスを最適化及び加速するため、取得した画像の解像度、カメラの焦点距離及びその他の属性を含む電話機及びそのカメラのハードウェアに関する特定の属性を、アプリケーションは考慮してもよい。取得又は捕捉の処理を更に最適化するため、トークンのサイズ、トークンが表示される表面の角度及びその他の情報が、チェックアウトトークン捕捉プロセスの処理速度及び精度を最適化するために使用されてもよい。
【0086】
モバイル装置202にインストールされているモバイル支払アプリケーションは、取得プロセス又は捕捉プロセスの間に1つ以上の他のセンサ(例えば、図7に関して後述するように、磁気探知器、ジャイロスコープ及び/又は加速度計等)とやり取りを行う。一実施形態において、支払アプリケーションは捕捉の精度を向上させるようにそのようなセンサとやり取りする。例えば、モバイルアプリケーションは、モバイル装置のカメラハードウェアの特性を調整又は制御し(例えば、画像解像度及び/又はカメラの焦点距離を調整又は制御し)、或いは磁気探知器、ジャイロスコープ又は加速度計のようなセンサから受信したデータに基づいて、チェックアウトトークンの画像データを探すのに使用されるアルゴリズム及びプロセスを調整する。例えば、モバイル装置に関連するデータ、モバイル装置のセンサ及びハードウェア特性(例えば、装置のカメラの焦点距離、電話機のモデル等)は、カメラマトリクス(camera matrix)又はプロジェクションマトリクス(projection matrix)を計算する際の入力として使用され、スキュー(skew)等を含む画像歪みの補償を促進するのに使用される。こうして、モバイル装置202の位置によるデータ又はその他の特性は、チェックアウトトークンを取得しようとする際に考慮され、これにより正確で一貫したデータ取得を保証できる。更に、このデータ及びこれらの補償技術は画像処理又は捕捉処理の間にチェックアウトトークンをいっそう速やかに見出すために使用される。
【0087】
具体例として、アイフォン装置のカメラの場合、カメラの焦点距離(或るバージョンの電話機の場合、3.85mm)、画像処理平面(同じバーションの電話機の場合、1/4”)、カメラのポジションマーク(position marks)の物理的なサイズ及びポジションマーク間の物理的な距離等を含む少数の物理特性にプロジェクションマトリクスは依存する。個の情報に基づいて、実施の形態は、カメラに対するポジションマークの空間的な位置を特定し、そのデータからカメラに対するチェックアウトトークンの傾きが計算される。一実施形態に関し、プロジェクションマトリクス(又はカメラマトリクス)は、カメラセンサに対する傾斜を記述するのに使用され、それを用いて捕捉プロセスを調整し、カメラセンサが取得トークンに直接的に垂直であった場合において顧客がモバイル装置202を持っていない場合でさえ、チェックアウトトークンを効率的かつ正確に取得できる。これらの技術を用いて捕捉プロセスを改善することで、チェックアウトトークンを捕捉することに関する顧客の体感、速度及び精度が改善される。
【0088】
チェックアウトトークン210がエンコードされたバーコード画像の形式で表示される実施形態の場合、モバイル装置202にインストールされている支払アプリケーションは、自動的にバーコード画像をデコードし、チェックアウトトークン210を取得する。エンコードされたバーコード画像は、1次元又は2次元のバーコード画像等のような様々なフォーマットで提示されてもよい。一実施形態において、チェックアウトトークン210はエンコードされていない文字列として表示され、その文字列はモバイル装置の支払アプリケーション二期―入力されてもよい。一実施形態において、例えば無線通信のような他の手段を用いて(例えば、ブルートゥース通信により、RFID検出により、光文字認識等により)、チェックアウトトークン210が読み取られてもよいし或いはモバイル装置の支払アプリケーションに入力されてもよい。一実施形態において、プロセスはステップ432に進み、モバイル装置202は、支払アカウント情報及び取引詳細情報に関する顧客取引ルックアップ要求メッセージとして、顧客チェックアウトトークンを取引管理システム230に送信する。一実施形態において、取引ルックアップ要求メッセージは、顧客の識別子に関連する情報(認証プロセスの間に決定される)を含んでいてもよい。モバイル装置202に関する情報と結合されるこの情報は、取引管理システム230が、認証されたユーザとやり取りしていることを確認できるようにし、システムがそのユーザの支払アカウントの適切なリストを見出せるようにする。図4Cに関連して後述するように、取引管理システム230は、モバイル装置202から受信したチェックアウトトークン及び追加情報を利用して、(図4Aのステップ408で商人から送信された)商人から受信した取引の詳細情報を読み取り、取引に相応しい顧客の支払アカウントのリストを読み取る。
【0089】
プロセスはステップ434に続き、モバイル装置202は、取引詳細情報及び支払アカウント情報を取引管理システム230から受信する。例えば、ステップ434において、装置は多数のデータ要素を含むメッセージを装置は受信し、データ要素は、現在の取引に関連するデータ(例えば、取引合計額、商人の名称及び情報、その他の取引の詳細情報)、現在の取引に使用されてもよい顧客の支払アカウントのデータ、顧客に支払アカウントを提示すべき準序を示す情報、支払カウント情報の近くに表示されるマーケティングメッセージ又は広告等を含む。顧客の支払アカウントを特定するデータは、アカウント各々を特定するために取引管理システム230により使用される(実際の支払認証情報ではない)代用物又はプロキシ又はセンシティブでない(秘密でない)識別子(non-sensitive identifiers)を含んでもよい。更に、データは、現在のアカウントの残高、ポイントプログラム、値下げ、マーケティングメッセージ等に関する情報(利用可能な支払アカウントの1つ以上に関連する情報)を含んでもよい。
【0090】
プロセスはステップ436に続き、モバイル装置202は、モバイルアプリケーションによる制御の下で、取引の詳細情報及び改善された支払アカウント選択肢をモバイル装置202の表示画面で顧客に提示する。例えば、(登録プロセス300において)顧客が1つ以上の支払アカウントに関する情報を提供していた場合、それらのアカウントの内の何れが現在の取引に使用されるべきかを選択する機会が顧客に与えられる。例えば、図8Bに示されているような選択肢の表示が顧客に提示される。一実施形態において、選択肢の表示は、利用可能なアカウント各々のステータスに関する情報(例えば、残高、現在の利回り、何らかの現在の報償、ポイント又はロイヤリティ等)を含み、現在の取引で使用するのに最も相応しいアカウントを顧客が選択できるようにしてもよい。実施の形態において、実際の支払アカウント情報はモバイル装置には保存されず、そうではなく秘密でない又はセンシティブでない識別子がアカウントを特定するのに使用される(実際のアカウント番号は離れた場所にある取引管理システム230に保存されている)。一実施形態において、取引を2つ以上の支払アカウントに分割することを選択してもよい。
【0091】
実施の形態に関し、支払取引に使用可能な支払アカウントは、以下の(i)-(iv)の内の任意の組み合わせに基づく優先度又は好みの順序で表示されてもよい:(i)顧客が設定したルール又は好み(例えば、登録プロセスの最中に図3のステップ308で顧客が規定したルール又は好み)、(ii)商人が設定したルール又は好み、(iii)支払アカウントの発行者が設定したルール又は好み、及び(iv)取引管理システムのオペレータが設定したルール又は好み。ルール又は好みの階層又は順序は、ルール又は好みの間で如何なる競合もないことを保証するように指定されてもよい。
【0092】
一実施形態において、取引に使用可能な支払アカウントは、商人が設定した1つ以上のルールに基づく順序で又は商人の識別子に基づく順序で表示される。例えば、取引管理システムは、チェックアウトトークン210に基づいて商人の身元を確認し、商人が指定した何らかのルールが設定されているか否かを判定してもよい。例えば、商人が指定するルールの具体例は、やり取りに関するルール(例えば、デビットカードに関するPIN入力を要求することで商人がやり取りする手間を減らす等)又は上位から下位までの順序で支払アカウントを表示することであってもよく、上位のアカウントは顧客が使用した場合に最も安いやり取りの手数料を商人が支払うことになり、下位のアカウントは顧客が使用した場合に最も高いやり取りの手数料を商人が支払うことになるものである。商人特有のルールは、商人が指定した支払タイプ(例えば、自社ブランドクレジットカード、ギフトカード等)が利用可能な他の支払タイプよりも高い優先度で表示されるようにするルールを含む。
【0093】
一実施形態において、利用可能な支払アカウントの表示は、取引管理システム230のオペレータが設定した1つ以上のルールを適用することを含む。例えば、一実施形態において、取引管理システムのオペレータは、所定の支払アカウントタイプを高優先度で表示するように(例えば、発行者又はスポンサにより)修正されるかもしれない。当業者は、本明細書を読むことで、ルール及び好みの他の形式及び組み合わせが、本発明の取引の最中に顧客に利用可能な支払アカウントのリストを表示する際に適用されてもよいことを認めるであろう。
【0094】
プロセスはステップ438に進み、顧客は(例えば、タッチスクリーンディスプレイ等を通じて)モバイル装置202を操作して、現在の取引に使用する所望の支払アカウント(又は分割緩和取引の場合の複数の支払アカウント)を選択する。一実施形態において、ステップ438において顧客に確認画面が表示され、(商人、取引アカウント及び選択された支払アカウントを含む)取引詳細情報を確認するように顧客は促される。そのような確認画面の具体例は図8Cに示されている。1つ以上の支払アカウントが使用に選択されると、プロセスはステップ440に続き、顧客支払認証要求メッセージが処理を行う取引管理システム230に送信される。一実施形態において、メッセージは、選択された支払アカウントだけでなく取引アカウントも特定する情報のようなデータを含む。高級料理のような場合(又は当初の取引合計額が算出された後に、チップ又は他の金額の追加を含む取引の場合)、本発明は、サービスのチップ料金を含めるように取引金額を顧客が変更できるようにし、この場合、取引合計額は顧客により更新される。取引管理システム230はそのメッセージを受信し、図4Cに関連して説明されるようにしてそれを処理する。取引が成功した場合(例えば、取引管理システム230が、選択された支払アカウントを利用して、そのアカウントに関連する金融機関から支払の認証を取得できた場合)、プロセスはステップ442に続き、モバイル装置202は取引完了メッセージを受信する。そのようなメッセージの具体例は図8D及び8Eに示されている。
【0095】
図4Cを参照するに、別の取引プロセス450が示されている。概してプロセス450は取引管理システムが実行する処理の観点からステップを示している(例えば、取引プロセス450は、本発明による取引を完了させるために、図2のシステム230のような取引管理システムにより或いは取引管理システムに関連するシステム又は要素により実行される複数のステップを有する)。上述したように、プロセス450は商人208により実行されるプロセス400及びモバイル装置202により実行されるプロセス420と関連して実行される。プロセスはステップ452から始まり、取引管理システム230が、取引データ(例えば、タイムスタンプ、端末識別子、購入の詳細情報等)、選択的な未払額(「取引額」)を含む商人支払認証要求メッセージを受信する。商人支払認証要求メッセージは、チェックアウトトークンを取引に割り当てるのに使用される情報又はチェックアウトトークンを含んでもよい。商人が一群の有効なチェックアウトトークンを割り当て、自身のシステムを用いてそれらのチェックアウトトークンを取引に割り当てている場合において、取引管理システムから取引毎に空を要求しない場合に、商人支払認証要求メッセージはチェックアウトトークンを選択的に含んでいてもよい。本発明によるモバイル支払オプションの使用を選択した顧客が実行する取引に基づいて、商人支払認証要求メッセージは商人208から受信される。
【0096】
一実施形態において、取引管理システム230は、先ず商人支払認証要求メッセージを受信し(ステップ452)、その後に顧客支払認証要求メッセージを受信する(ステップ470)。しかしながら、一実施形態において、最初に商人が(顧客に関する取引の合計を算出する前でさえ)商人支払認証要求メッセージを送信し、合計額が算出された場合に、商人支払認証要求メッセージを「更新」するように、2つのステップの処理が実行されてもよい。そのような実施の形態の場合、チェックアウトプロセスの開始時に顧客がチェックアウトトークンを取得することが可能になり、商人(又は取引管理システム230)は、顧客が取引の合計額を待っている間に表示される1つ以上のターゲット提案を顧客に提示することができる。ターゲット提案と共にモバイル装置においてシステムは「合計額を待機していること」を通知するメッセージが顧客に提示される。合計額が算出されると、商人システムは、取引合計額を含む商人支払認証要求メッセージの更新内容を取引管理システムに送信し、その後に顧客のモバイル装置の表示は、適用される全てのルールと共に支払アカウントのリスト及び取引の詳細情報を表示するように更新される。
【0097】
プロセスはステップ454に続き、システム230は商人支払認証要求データを商人取引キューに挿入する。一実施形態において、商人取引キューは、商人の場所で開始された「未処理の又はペンディングの」又は照合されていない(unmatched)一群の取引を含むキューである。一実施形態において、商人支払認証要求データは、モバイル装置を操作する顧客から受信した顧客支払認証要求メッセージと照合されるまでキューの中に留まる。一実施形態において、合致した顧客支払認証要求メッセージが所定の時間フレームの間に受信されなかった場合、商人支払認証要求は「タイムアウト又は時間切れ」又は期限切れとなってもよい。別の実施形態では、商人取引キューの中にある商人支払認証要求は取引管理システムに送信されず、その代わりにそれらは商人の場所又は他の場所にあるサーバの中に留まり、取引管理システムがそれらの商人支払認証要求メッセージにアクセスし、モバイル装置から受信した顧客支払認証要求メッセージと商人の場所のサーバにある商人支払認証要求メッセージとを照合できるようにする。
【0098】
プロセスはステップ456に続き、顧客認証要求メッセージがモバイル装置202を操作する顧客により受信される(例えば、顧客認証要求メッセージは図4Bのステップ424における処理の結果として受信されてもよい)。顧客認証要求メッセージは、顧客認証データに加えて、一実施形態では、装置認証データをも含んでいる。取引管理システム230は判定するために受信した情報を使用して、顧客(及び/又は装置)が取引管理システム230に事前に保存されている又はアクセスできる情報に基づいて認証に成功したか否かを判定する。例えば、パスワードの認証が必要な状況の場合、ステップ458における処理は、ステップ456で受信したパスワードが顧客について保存されているパスワードに合致しているか否かの判定を含んでもよい。顧客(及び/又は装置)が認証に成功した場合、プロセスはステップ462に続き、そうでなかった場合、プロセスはステップ460に続き、認証は否定されたことがモバイル装置202に通知される。
【0099】
プロセスがステップ462に続く場合、システム230は認証応答メッセージをモバイル装置202に送信し、移動支払取引を処理できるようにする。プロセスはステップ464に続き、システム230は、モバイル装置からのチェックアウトトークン(顧客チェックアウトトークン)を含む顧客取引ルックアップ要求メッセージをモバイル装置202から受信する。目下の好適な実施の形態の場合、ステップ464におけるメッセージは取引の詳細情報を求めるリクエストを含んでいてもよい。プロセスはステップ466に続き、システム230はステップ464で受信した顧客のチェックアウトトークンとステップ453で受信した又は探し出した商人のチェックアウトトークンとを照合する。それらが一致していた場合、商人のチェックアウトトークン及び対応する商人支払認証要求メッセージに関連する取引の詳細情報は、ステップ482において要求に対する応答を作成するのに使用される。更に、ステップ466における処理は、現在の取引で使用可能な顧客に関連する何らかの支払アカウントを特定することを含んでもよい。
【0100】
ステップ468において、取引情報(例えば、商人の名称及び場所並びに取引額等を含む)及び利用可能な支払アカウントの情報は、顧客のモバイル装置202に送信される。プロセスはステップ470に続き、取引を完了させる際に使用する顧客が選択した支払アカウントを含む顧客支払認証要求メッセージを、システム230が受信する。ステップ472において、システム230はステップ470で受信した支払アカウント情報を利用して、顧客が特定したアカウントに関連する実際の支払認証情報を探す。実際の支払認証情報はPCIに準拠した取引管理システム230にアクセス可能なシステムに保存されていてもよい(例えば、取引管理システムは実際の支払認証情報を安全に保存し保護する)。ステップ474において、実際の支払認証情報を用いて、適切な支払ネットワーク及び/又は金融機関から支払取引認証結果を取得する。そして、ステップ476において支払認証応答が商人だけでなく顧客にも送信され、取引が完了する。
【0101】
このように実施の形態によれば、顧客が支払アカウント情報を商人に開示する必要のない支払処理を実行することができる。更に顧客はモバイル装置を用いて取引を完了させることができる。カードを提示する必要は一切無く、安全でないネットワークを介して如何なる顧客情報も送信しなくてよい。更に、顧客は様々な支払アカウントタイプの中から選択を行うことができ、(異なるアカウントタイプが同じ取引に使用される取引である)分割取引さえも行うことができる。
【0102】
上記の取引の流れの一例を説明するため、(上記の事例を利用して)具体例を説明する。ジェーンという名前の顧客が、アップルアイフォン端末を所有し、本発明による支払アプリケーションをダウンロード及びインストールし、本発明によるシステムで使用するために4つの支払アカウントを登録していたとする。ジェーンがスターバックスでコーヒーを注文し、本発明による支払システムを用いて支払うことを選択した場合、スターバックスの店員は商人端末でジェーンのコーヒーの注文の勘定をレジに記録し、未払合計額をジェーンに通知する。ジェーンが彼女のアップルアイフォン端末の支払アプリケーションを起動すると、認証プロセスを実行し、支払アプリケーションを使用する彼女の権限を確認するように、彼女は要求される。認証されると、利用可能な支払アカウントのリストが送信され、彼女のアイフォン端末の表示画面に表示される。
【0103】
チェックアウトトークンが、スターバックスの商人システムにより生成され、店頭のディスプレイに表示され、ジェーンが彼女の携帯電話でチェックアウトトークンの画像を取得できるようにする。ジェーンの電話機の支払アプリケーションはそのチェックアウトトークンを取得し、顧客取引ルックアップメッセージを遠隔システムに送信する。システムはそのトークンを利用して、スターバックスから送信された情報によるジェーンの要求を照合し、それを利用して、ジェーンの利用可能な支払アカウントの内この特定の購入に使用するのに相応しい一部分を読み取る又は抽出する。遠隔取引管理システムと通信しているジェーンのモバイル装置の支払アプリケーションにより、利用可能な支払アカウントのリストが読み取られる(例えば、ジェーンが登録している支払アカウントのリストを探索すること及び適切な任意のルール又は好みを探して適用することを取引管理システムに実行させることでリストが取得される)。この例の場合、ジェーンは可能であればいつでもスターバックスギフトカードを使用したいという好みを提示している。その結果、この取引に関する最上位の支払選択肢として彼女のスターバックスギフトカードが表示される。一実施形態において、カードの画像だけでなく現在の残高情報もジェーンに表示され、彼女がカードを使用するのに十分な資金を有していることが彼女に分かるようにしてもよい。
【0104】
カードの画像をクリックし、彼女の選択を確認することで、ジェーンはこの取引について彼女のスターバックスギフトカードを使用することを選択する。ジェーンが彼女のスターバックスギフトカードを使用して或る金額の特定のチェックアウトトークンに関連する購入を完了させようとしていることを示す支払要求メッセージを、モバイル装置は取引サーバに送信する。取引管理サーバはその取引を認証し、確認メッセージをジェーン及びスターバックスのPOSシステムに送信する。こうして、たとえジェーンが彼女の財布又はスターバックスカードを忘れていた場合でさえ、ジェーンは取引を完了させる機能を使用できる。
【0105】
<システムモジュール>
図5を参照するに、一実施形態によるシステム500のブロック図が示されている。システム500及びその内のモジュール群は単なる例示として示されているに過ぎず、本発明に関するシステムの可能な1つの形態を表す。当業者は本明細書を理解することで他の形態も使用されてよいことを認めるであろう。システム500は多数のモジュール及び構成要素を含み、それらは実施の形態による支払取引処理をサポートするように(例えば、上記の胃システム230のような)取引管理システムの機能を互いに発揮する。システム500は例えば1つ以上のサーバシステムに配備されてもよい。当業者は、図示のアーキテクチャが実施の一形態にすぎないこと、及び多数の設計例及び代替構成により本発明による機能を発揮できることを認めるであろう。
【0106】
図示されているように、システム500は取引管理システムコア530を有し、取引管理システムコア530は、取引管理システムコア530と通信するモバイルゲートウェイ506を含む多数の他のコンポーネントとやり取りを行う。モバイルゲートウェイ506は、アイフォン及びアンドロイド等のような複数のモバイル装置を使用可能にする又はサポートするモバイルアプリケーション通信イネーブルプラットフォームとして機能するサーバ又はシステムであってもよい。取引管理システムコア530及び顧客管理システム532との通信のような機能はこのコンポーネントで行われる。モバイルゲートウェイ506は、モバイル支払アプリケーション及び取引管理システム間の通信及びやり取りを処理するためにも使用される。アイフォンモバイルアプリケーション508は、アイフォン固有のソフトウェア開発キットを用いて画面表示の流れ及び画像取得等を実行し最適化する。
【0107】
アプリケーションプログラミングインターフェースを実現するコンポーネントである電子商取引プラットフォーム統合部522が設けられ、アプリケーションプログラミングインターフェースは、カスタムアプリケーションや商用ショッピングカートアプリケーション等を含む様々な電子商取引アプリケーションと取引管理システムとの統合を可能にする。電子商取引プラットフォーム統合部522は、電子商取引システム及び取引管理システムコア530の間の通信を可能にし、様々な電子商取引システムで実装及び実行されることになる本発明の特徴を利用して支払取引を可能にする。
【0108】
商人POS統合システム520が設けられ、ベンダ固有の技術で実装されている様々なPOSシステムが、取引管理システムと統合されることを可能にする。例えば、クライアントAPIは、NCR、IBM、マイクロス(Micros)、ベリフォン(Verifone)、インジェニコ(Ingenico)等により提供されているPOS端末及びPOSシステムにより及びそれら間で通信を可能にし、様々な異なるPOSシステム及びPOS端末を用いて本発明に関する支払取引が実現及び実行されるようにする。
【0109】
顧客管理システム532は、本発明による支払システムを用いて末端の顧客の管理を可能にするために設けられている。顧客管理システム532は、顧客の管理、顧客の登録、顧客の対処及び顧客のプロフィール管理を可能にし、システムへのログイン、支払履歴及び好みデータへのアクセス等のような機能を提供する。
【0110】
支払アカウント管理モジュール514は顧客の支払アカウントを管理するために設けられている。モジュール514はアカウントの作成、好みの設定等を行う。モジュール514は、一実施形態においては、支払アカウントの詳細情報、支払カード番号等のようなアカウント情報を保持又は維持する。モジュール514は、一実施形態においては、PIC対応装置又は支払アカウント情報を安全に処理するように構築された装置である。一実施形態において、このモジュールは支払アカウントデータに関する重要な詳細情報を保持する。モジュール514は、支払処理システム512が重要な如何なるアカウントデータも保存しなくてよいように、支払処理システム512の近くに設けられる。
【0111】
支払アカウント第三者サービス統合モジュール516は、顧客の支払アカウントに関する口座残高又はマーケティングメッセージのような情報を取得するだけでなく他の支払アカウント関連情報をも取得するために、パートナーシステムとの統合を可能にする。
【0112】
商人管理システムモジュール518は、小売業者又は商人のプロフィール、彼らの識別コード等の管理を可能にするために設けられている。例えば、モジュール518は商人の場所各々についてのチェックアウトトークンの配布、指定及び利用を管理し、顧客のモバイル装置から受信した支払取引要求が真の商人の未処理取引と適切に照合されるようにする。如何なる装置が商人によって受け付けられるか、或いは本発明により商人がユーザに提示することを希望している現在の提案又は販売促進情報のリスト等のような他のプロフィール情報が、このシステムにより管理されてもよい。
【0113】
取引管理システムコア530は、システム全体の内の重要なコンポーネント間の全てのメッセージ及び取引を管理及び監視するために設けられている。モジュール530により行われる機能は、概して図1-4に関して説明されており、概してモバイルアプリケーション及びPOSシステム、電子商取引ショッピングカート、及び図5に示されているシステムコンポーネントの間におけるキューの処理、取引の照合及び管理を行う。
【0114】
1つ以上のゲートウェイ統合モジュール504は、支払処理システムモジュール512と(例えば、チェースペイメンテック(Chase Paymentech)、オーソライズドットネット(Authorize.net)等により提供されている) 1つ以上の支払ゲートウェイとの間のインターフェース又はブリッジとして機能するように設けられている。
【0115】
多くのサポート及び管理モジュールが設けられてよい。例えば、一実施形態において、セキュリティ管理システムモジュール524は、セキュリティキーの管理、役割及び特権を管理することを含むシステム500用のセキュリティ機能を管理及び発揮するために設けられてもよい。一実施形態において、会計モジュール536は管理者によって指定された会計処理を実行するように設けられている。CSRシステムモジュール524は、商人、エンドユーザ、末端の顧客及び他のエンティティに関する顧客サービスのための入口又はポータルとして機能する。管理ポータルモジュール528は、商人、末端の顧客及び他のエンティティに関する設定、構成、更新及びアカウントメンテナンス等のような全ての管理機能を実行するように設けられている。報告モジュール526は、管理者、商人及び末端の顧客による情報及びデータに対するアクセス機能を提供するために設けられている。
【0116】
システム500に対するサービス、管理、処理及び他のサービスを提供するために他の多くのモジュールが使用されてよいことを、当業者は認めるであろう。
【0117】
<システムモジュール_取引フローの概略>
図6を参照するに、実施の形態によるシステム600のブロック図は、本発明の実施の形態による支払システム600内の選択されたモジュール又はコンポーネント間の取引の流れの一例を示す。システム600内のコンポーネントは、概して、図5で図示及び説明されたコンポーネントに対応する(なお、POS装置、モバイル装置等のような図2に関して説明したような要素のような多数の外部コンポーネントも含まれている)。当業者は、本明細書を理解することで、支払システム600は単なる一例にすぎないこと、及び例示のシステムアーキテクチャ及びフローに対する多くの変形例が本発明の実施の形態を更に展開するようになされてよいことを認めるであろう。
【0118】
図6に示すブロック図は、本発明の実施の形態によるシステム例のコンポーネント間でやり取りされる多くのメッセージの一例を示す。図6において、取引例をなすメッセージ(又はステップ)の各々にはラベルが付されている。以下、「ステップ」の各々に関する簡単な説明を行う。当業者は、これが本発明に関する単なる一例にすぎないことを認めるであろう。
【0119】
ステップ(1)において、メッセージが、モバイル装置602のモバイルアプリケーションから顧客管理システムモジュール612へ送信される。顧客が商人の場所での支払取引を希望する場合、顧客は、顧客のモバイル装置602のモバイルアプリケーションを動作させ、顧客識別情報と共にログインリクエスト処理を開始する。ログインリクエストは、ユーザID及びパスワード、パーソナル識別番号又は顧客を認証するための他の認証事項を含んでもよい。このステップにおける処理は、登録された顧客のモバイル装置に関する記憶済みの情報とモバイル装置602から受信した情報とを比較することで、モバイル装置602を認証する処理を含む。例えば、このハードウェア又は装置の認証は、装置について保存されている詳細情報とモバイル装置602からのメッセージで送信された識別詳細情報(例えば、上述したような装置の識別子、シリアル番号等)とを比較することを含む。
【0120】
顧客の認証に成功した場合、顧客が認証されたことを示すログイン応答メッセージを受信した顧客に表示されるべき任意の広告又は提案を読み取る、取得する又は抽出するために、広告及び提案管理システム638がアクセスされる。広告及び提案管理システム638は或るゲートウェイとして機能し、広告及び提案管理システム及びネットワークを含む様々なソースから利用可能な広告及び提案取引管理システム638がアクセスできるようにし、様々なソースは例えばグーグル(登録商標)、マイクロソフト(登録商標)、アップル(登録商標)、ヤフー(登録商標)、カタリナマーケティング(登録商標)その他により運営されている。取引管理システム630は、顧客に関連するが個人を特定することはできない情報、商人に関する情報(商人の場所を含む)及び購入された品物又は支払装置に関する情報を、広告及び提案取引管理システムに通知し、顧客が本発明を利用している間に様々な時点で、最も適切な広告及び提案を顧客に提示する。顧客がモバイル装置602を使用している時(顧客が認証された直後を含む)、顧客が支払を行うのに使用する支払装置を決定している時、支払が完了して電子レシート又はeレシートがモバイル装置602において顧客に提示された後等のような任意の時点において、広告及び提案が顧客に提示されよい。
【0121】
ステップ(2)において、顧客管理システムモジュール612は、顧客からログインリクエストを受信すると、ログインリクエストメッセージをセキュリティ管理システムモジュール624に送信する。セキュリティ管理システムモジュール624は、受信した認証情報(及び何らかの認証データ)と保存されているデータとを比較し、ログインリクエストを許可又は拒否することでログインリクエストを処理する。ステップ(3)において、セキュリティ管理システムモジュール624はログインレスポンスメッセージを顧客管理システムモジュール612に送信する。このように顧客だけでなく装置も認証するために複数の認証モードが用意されている。有効性確認プロセスの多数の変形例が次のように行われてもよい。例えば、一実施形態において、認証は以下の(1)-(3)のように進行してもよい:(1)顧客が自身のモバイル装置でモバイル支払アプリケーションを起動する、(2)モバイル装置関連情報が有効にされる、そして(3)顧客認証情報が有効にされる(例えば、ユーザ名、パスワード又はPINを入力するように顧客を促すことで行われてもよい)。当業者は他の認証プロセス及びフローが使用されてもよいことを認めるであろう。
【0122】
ステップ(4)において、顧客管理システムモジュール612は支払アカウントサマリーメッセージを支払アカウント管理システムモジュール614に送信する。支払アカウント管理システムは顧客がシステムに登録している支払アカウント全部のリストを含み、残高情報及びシステムに保存されている他の情報も含まれている。多くの場合、支払アカウント管理システムはステップ(8)に示すようにアカウントのリスト及び関連情報をモバイル装置に返す。支払アカウント管理システムが1つ以上の支払アカウントに関する残高情報をリフレッシュ又は更新する必要がある場合、支払アカウント管理システムモジュール614は(ステップ(5)において)支払アカウントサマリーメッセージ要求メッセージを、アカウントを発行した金融機関又はアカウントにアクセス可能な中間的な金融機関により処理される1つ以上のリクエストに変換することになる。これらのリクエストは支払アカウント第三者サービス統合モジュール616により処理される。その応答は(アカウント残高情報及び詳細情報と共に)ステップ(6)でメッセージにより受信され、ステップ(7)において顧客管理システムモジュール612に返され、ステップ(8)においてモバイル装置602に送信される。ステップ(8)におけるメッセージは顧客管理システムモジュール612からの他の何らかの添付メッセージを伴うログイン応答メッセージを含む(例えば、顧客に提示する必要のある何らかのアカウント更新情報及び通知が含まれる)。この時点において、顧客は彼又は彼女のモバイル装置602で支払アプリケーションに対してログインし、現在の取引に使用されてもよい任意の支払アカウントの口座残高を知る。
【0123】
更に、ステップ(8)において、取引管理システム630は、広告及び提案取引管理システム638にアクセスし、利用可能な支払アカウントに関して(モバイル装置602の表示画面上で)顧客に提示するのに適切な広告及び提案を特定する。いくつかの提案又は広告は表示画面上の支払アカウントの視覚表現の上に重ねて現れるかもしれない。そのような提案表現の具体例は図8Bの支払アカウント844aにおいて「本日使用すると更に5%off!(Additional 5% off if used today!)」のような提案が表示される。一実施形態において、メッセージ(1)及び(8)のような幾つかのメッセージがモバイルゲートウェイを通じて処理される。
【0124】
(例えば、電子商取引店舗の精算のように)顧客がオンラインショッピングカートを利用する本発明により購入を行う状況の場合、処理は(9)というラベルが付されたステップ(ショッピングカード640と通信を行っている)に続く。顧客が物理的な商人POSロケーションで本発明を用いて購入を行う場合、処理は(9)というラベルが付されたステップ(POS装置609と通信を行っている)に続く。概して、メッセージのやり取りは同様であり、簡単に説明する。ステップ(9)における処理は、ショッピングカート640又はPOS609から取引管理システム630へのメッセージの生成及び送信を含み、特定の取引に対する顧客の支払選択内容として、本発明による顧客の選択内容を取引管理システム630に通知する。ステップ(9)におけるメッセージは、ショッピングカート640又はPOS609に関する商人の場所で取引の開始を取引管理システム630に通知するための情報を含む。この通知は、購入額、時間及びその他の情報の詳細を含み、商人の識別子も含む。ステップ(9)で受信された情報は、取引を完了させるために顧客及びモバイルアプリケーションから後続の情報を待機している取引管理システム630の未処理取引キュー内に設定される。
【0125】
取引プロセスはステップ(10)に続き、商人を認証し、POS609又はショッピングカート640の取引が行われている場所の商人に関連する商人情報を取得するためのリクエストを、取引管理システム630が商人管理システムモジュール618に送信する。ステップ(11)において、商人管理システムモジュール618は、認証要求が成功した場合には商人情報と共に、認証成否メッセージを取引管理システム630に返す。商人情報は商人に関する詳細情報を含む(例えば、商人の名称、住所、アドレス、一実施形態においては、何らかの関連するポイント、ロイヤリティ、リベート又は他の情報(現在の取引に関して照合される)を特定するのに使用される固有の商人識別子等が含まれる)。
【0126】
ステップ(12)において、取引管理システム630はチェックアウトトークンをショッピングカート640又はPOS609に送信する。チェックアウトトークンは、取引について生成されてもよいし、或いは1つ以上の利用可能な一群のチェックアウトトークンから読み取られてもよい。実施の形態では、ステップ(9)ないし(12)のメッセージはショッピングカード又はPOSセッションを送信することなく同じ「セッション」で行われてもよい。
【0127】
ステップ(13)において、モバイル装置602にインストールされているモバイルアプリケーションは、本発明による支払システムを取引に使用する際の顧客の意向を取引管理システム630に通知するために、メッセージを取引管理システム630に送信するように機能する。ステップ(13)におけるメッセージは、デコードされたバーコード、顧客がキー入力したコード、顧客に関する無線信号から導出されたコード及び装置の詳細情報等であるチェックアウトトークンを含んでもよい。ステップ(14)のメッセージでは、取引管理システム630は、モバイル装置602から提供された装置情報及び顧客について何らかの必要なセキュリティ検査を実行することを求めるリクエストをセキュリティ管理システムモジュール624に送信する。
【0128】
ステップ(15)において、セキュリティ管理システムモジュール624は、モバイル装置602のセキュリティステータス(及び例えば顧客のアカウントのステータス)に関する情報と共に応答メッセージを取引管理システム630に送信する。処理はステップ(16)に続き、取引管理システム630は、商人情報及び取引詳細情報を含む情報と共に応答をモバイル装置602のモバイルアプリケーションに送信する。モバイルアプリケーションへの応答(16)は、広告及び提案取引管理システム638からの広告や提案を含んでいてもよい。この段階において、広告及び提案の狙い又は目的は、一実施形態では、豊富なデータ群に基づいており、そのようなデータ群は、例えば、顧客のプロフィール、商人のプロフィール、チェックアウトイベント又は精算が行われた店舗の場所、日時、購入された品物、顧客に利用可能な支払装置及び多数の他の事項を含んでいてもよい。取引管理システム630はこの情報の全部又は一部を広告及び提案管理システム638に通知し、広告及び提案管理システム638は、1つ以上の広告及び提案ネットワークと通信を行い、モバイル装置602で顧客に提示する提案(提案又は広告の内の何れかについて顧客が行動を起こす動機となる確率が最も高い提案)を選択する。
【0129】
この段階において、モバイルアプリケーション及び顧客は認証されており、モバイルアプリケーションは商人及び未処理の取引について詳細な情報(例えば、商人が要求している支払総額を含む)を有している。
【0130】
取引プロセスはステップ(17)に続き、モバイル装置602のモバイルアプリケーションは顧客支払認証要求メッセージを取引管理システム630に送信する。特に、ステップ(17)のメッセージを生成及び送信する前に、顧客は、彼又は彼女が取引に使用することを希望する支払アカウントを選択する。顧客は、モバイル装置602の表示画面上でモバイルアプリケーションにより表示されている様々な利用可能な支払アカウントの中から選択を行う。ステップ(17)で送信されるメッセージは、顧客に使用される特定の支払アカウントを表すコードを含んでいてもよい(すなわち、実際の支払アカウント情報はステップ(17)では送信されず、むしろ支払アカウントの代用物又はプロキシ又はそれを表現するものが送信される)。
【0131】
ステップ(18)において、取引管理システム630は、ステップ(17)で受信した情報を用いて支払要求メッセージを作成し、その要求メッセージを支払処理システムモジュール622に送信する。(例えば、PCI対応サーバシステムである)支払処理システムモジュール622は、選択されたアカウントに対する実際の支払アカウント認証情報の探索を要求するメッセージをステップ(19)において支払アカウント管理システムモジュール614に送信する。支払アカウント管理システムモジュール614に保存されている実際の支払アカウント認証情報がその後に返される。プロキシコード及び実際の識別子間の対応関係は支払アカウント管理システムモジュール614に保存されている。実際の支払アカウント番号及びその他の関連する支払アカウント情報(例えば、クレジットカード又はデビットカードの場合、有効期限日)がステップ(20)において支払処理システムモジュール622に送信され、モジュール622がステップ(21)において支払認証リクエストメッセージを作成し、ステップ(22)において支払ゲートウェイコネクタ604を介して支払ゲートウェイモジュール636へ送信できるようにする。支払の認証又は拒否及びその他のステータス及び関連情報は支払ゲートウェイコネクタ604を通じてゲートウェイ636から支払処理システムモジュール622に返され、支払ゲートウェイコネクタ604はステップ(23)において認証メッセージを受信し、その情報をステップ(24)において支払処理システムモジュール622に通知し、ステップ(25)において取引管理システム630に届く。
【0132】
取引が認証されると、取引確認メッセージ(取引認証又は拒否メッセージ)がショッピングカート640又はPOS609に送信され、取引が終了する。取引完了(取引認証又は拒否)メッセージはステップ(27)においてモバイル装置602のモバイルアプリケーションにも送信される。
【0133】
他の取引メッセージが使用されてもよいこと、及び他のモジュール構成を用いて本発明に関する支払取引を完了させてもよいことを当業者は認めるであろう。図6に示す構成は本発明の実施の形態の1つを例示している。
【0134】
<モバイル装置>
図7を参照するに、実施の形態に関するモバイル装置700のコンポーネントを示すブロック図が示されている。図示されているように、モバイル装置700は多数のコンポーネントを含み、コンポーネントは実施の形態による特徴を実行するように1つ以上のアプリケーションプログラム710-712により機能を実行する又は制御される。
【0135】
モバイル装置700は、メモリインターフェース702、1つ以上のデータプロセッサ、画像プロセッサ及び/又は中央処理ユニット704、及び周辺インターフェース706を有する。メモリインターフェース702、1つ以上のデータプロセッサ704及び/又は周辺インターフェース706は別々のコンポーネントでもよいし、或いは1つ以上の集積回路に統合されていてもよい。モバイル装置700における様々なコンポーネントは1つ以上の通信バス又は信号線により結合可能である。
【0136】
センサ、装置及びサブシステムは複数の機能を促すように周辺インターフェース706に結合可能である。例えば、生体認証センサ714、加速度計716、光電子装置718、近辺センサ720、カメラ722、無線通信部724、オーディオユニット726及び磁気探知器728を含んでもよい1つ以上のセンサは、データ及び情報の収集、利用及び処理を促し、本願で説明される支払アプリケーションの機能を実現するように設けられている。例えば、磁気探知器728が設けられている場合、それはモバイル装置700の空間内での位置を測定するのに使用され、チェックアウトトークンの捕捉を改善する。
【0137】
モバイル装置700は1つ以上の入力/出力(I/O)装置730及び/又はセンサ装置を含んでもよい。例えば、電話及びボイスメール機能のような音声で動作する機能を促進するために、入力制御部734がスピーカ及びマイクロフォン(図示せず)に設けられてもよい。一実施形態において、スピーカフォン機能のようなハンズフリー音声機能を促進するために、覚醒スピーカが含まれていてもよい。ヘッドフォン及び/又はマイクロフォンを使用するためのオーディオジャックが用意されていてもよい。
【0138】
I/Oサブシステム730はタッチスクリーン制御部732及び/又は他の入力制御部734を含んでもよい。タッチスクリーン制御部732はタッチスクリーン736に結合される。タッチスクリーン736及びタッチスクリーン制御部732は、例えば、複数の接触感知技術及びその他の技術の内の何れかを用いて接触及び動き又はそれらの中断を検出することができ、接触感知技術は例えば容量、抵抗、赤外線及び表面音響波による技術等であるがこれらに限定されず、上記のその他の技術はタッチスクリーン736に対する1つ以上の接触点を判定するための近接センサ配列又はその他の素子を利用するものである。
【0139】
その他の入力制御部734はその他の入力/出力装置738に結合され、例えば、1つ以上のボタン、ロッカースイッチ(rocker switch)、サムホール(thumb wheel)、赤外線ポート、USBポート及び/又はスタイラスのようなポインタ装置等である。1つ以上のボタン(図示せず)はスピーカ及び/又はマイクロフォンの音量制御用の上/下ボタンを含んでもよい。
【0140】
一実施形態において、POS端末又はディスプレイの近くにモバイル装置700を持ってきた顧客を検出し、これに応じてカメラ又は他のリーダを起動してチェックアウトトークンの画像を検出又は取得することを促すように、近接センサ720が含められてもよい。
【0141】
他のセンサが使用されてもよい。例えば、一実施形態において、タッチスクリーンディスプレイ738の輝度の調整を促すために、光電子装置718が設けられてもよい。一実施形態において、モバイル装置700の動きを検出するために加速度計716が使用されてもよく、モバイル装置700の位置検出を支援するために磁気探知器728が使用されてもよい。一実施形態において、モバイル装置700は測位機能を有する回路及びセンサを有し、例えば、グローバルポジショニングシステム(GPS)又はその他の測位システム(例えば、Wi-Fiアクセスポイント、テレビジョン信号、セルラグリッド、セルラ塔又はURL(ユニフォームリソースロケータ)等を使用するシステム等により測位が行われる。一実施形態において、測位システム(例えば、GPS受信機)は、モバイル装置700に組み込まれてもよいし、或いは位置に基づくサービスを利用可能にするために周辺インターフェース706を通じてモバイル装置700に結合可能な別個の装置として設けられていてもよい。測位及び位置に基づくサービスは、例えば、モバイル装置700から取引管理システムへ送信されたデータを分類する又はタグ付けするのに使用されてもよい。例えば、そのような位置データは、顧客が支払取引の間にやり取りを行っている商人の身元を更に特定又は分類するのに使用されてもよく、かつ商人支払認証要求メッセージにより受信した又はそれから導出された情報で指定されている販売場所にモバイル装置が接近していることを保証することで、不正使用の検出を促すことに使用されてもよい。
【0142】
モバイル装置700はカメラレンズ及びセンサ722を含んでもよい。一実施形態において、カメラレンズ及びセンサ722はモバイル装置700の背面又は正面に設けられてもよい。カメラは静止画及び/又は動画(ビデオ)を取得してもよい。カメラは、例えば、商人の販売場所に関するチェックアウトトークンの画像を取得するのに使用されてもよい。一実施形態において、カメラ722の動作又は操作は、モバイル装置700にインストールされている支払アプリケーションにより制御されてもよい。具体例として、購入取引を行うために支払アプリケーションが起動されると、カメラ722は準備動作モードで動作し、カメラレンズ及びセンサ722がチェックアウトトークンの近くに置かれると速やかに、カメラレンズ及びセンサ722は支払アプリケーションで使用するチェックアウトトークンの画像を取得するように動作する。
【0143】
モバイル装置700は、例えば、802.11b/g通信装置、RFID、NFC及び/又はブルートゥース通信装置等のような1つ以上の無線通信サブシステム724を含んでもよい。他の802.x通信プロトコル(例えば、WiMax、Wi-Fi)、符号分割多重接続(CDMA)、移動通信用グローバルシステム(GSM)、エンハンストデータGSM環境(EDGE)、3G(例えば、EV-DO、UMTS、HSDPA等)、4G、LGE等のような他の通信プロトコルが使用可能であってもよい。
【0144】
一実施形態において、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート又はドッキングポート、或いは何らかの他の有線ポート接続のような接続を通じて、付加的なセンサ又はサブシステムが周辺インターフェース706に結合されてもよい。
【0145】
メモリインターフェース702がメモリ708に結合可能である。メモリ708は、1つ以上の磁気ディスクストレージ装置、1つ以上の光ストレージ装置及び/又はフラッシュメモリ(例えば、NAND、NOR)等のような高速ランダムアクセスメモリ及び/又は不揮発性メモリを含んでもよい。メモリ708は、アップル、ダーウィン、RTXC、LINUX、UNIX、OSX、WINDOWS等のようなオペレーティングシステム及びVxWorksのような内蔵オペレーティングシステムを格納することができる。オペレーティングシステムは、基礎的なシステムサービスを処理するため及びハードウェアに依存するタスクを実行するための命令を含む。一実施形態において、オペレーティングシステムはカーネル(例えば、UNIXカーネル)とすることができる。
【0146】
メモリ708はアプリケーションプログラム710-712を保存し、アプリケーションプログラムは、プロセッサ704により、所定の機能(例えば、上記の支払アプリケーションに関連する機能を含む)をモバイル装置が実行することを引き起こす。
【0147】
メモリ708は、限定ではないが、文書、画像(例えば、支払アカウントカードの画像及び広告や提案を含む画像等を含む)、ビデオファイル、オーディオファイル及びその他のデータを含むデータを保存することができる。モバイル装置700は、多数の異なるオペレーティングシステムを用いて動作し、かつ多数の異なる通信ネットワークを用いて通信する用に形成されていてもよい。当業者は、モバイル装置700が携帯用移動電話機又はタブレットコンピュータ等のような他の携帯装置と同程度のサイズであってもよいことを認めるであろう。
【0148】
<ユーザインターフェースの具体例>
図8A-8Eを参照するに、モバイル装置の表示画面(例えば、図2のディスプレイ236)において、モバイル装置(例えば、図2のモバイル装置202)を操作するユーザに提示される多数のユーザインターフェース例が示されており、これにより顧客は本発明の実施の形態による特徴を利用して支払取引を実行できるようになる。顧客のインターフェースの各々はアップルアイフォンモバイル装置で表示されるように図示されているが、当業者は同様なユーザインターフェースが他のモバイル装置で表示されてもよいことを認めるであろう。
【0149】
図8Aを参照するに、(動的な2次元バーコード画像又は「QRコード」837として表現されている)チェックアウトトークンの画像を示すディスプレイ836を有するモバイル装置802が示されており、このチェックアウトトークンはモバイル装置802のカメラで取得され画像処理される。チェックアウトトークンは、本発明の実施の形態を利用して支払取引を行う際に、モバイル装置802を操作する顧客によって取得される(例えば、図8Aに示されている表示内容が、図4Bのステップ430又は図6のステップ(13)等で説明した取引処理の際に取得される)。一実施形態において、モバイル装置802で動作しているモバイル支払アプリケーションは、取引の際にコードを自動的に取得、デコード及び送信するように形成されている。コードはエンコードされた2次元バーコード画像であるとして示されているが、当業者は、様々な他のフォーマットの内の任意のもので表示されてよいことを認めるであろう。他のフォーマットは、例えば、UPC、コード39、EAN8又はEAN13のような1次元バーコード、PDF417又はデータマトリックス(Datamatrix)のような他の2次元フォーマット、その他のn次元バーコードフォーマット、或いは英数字文字列、記号等である。
【0150】
モバイル装置802のディスプレイは、本発明による支払システムに関する機能を顧客が実行できるようにする複数のボタン又はアイコン840、842を含む。例えば、図示されているように、顧客はチェックアウトコードの取得をリセットすること(Reset 840)を選択してもよいし(例えば、コードが適切に取得されていない又は読み取られていないような場合に行われる)、或いは顧客は特に他の選択肢(842)を選択し、顧客が現在買い物をしている商人の場所に特化した提案を抜き出す(クリップする)又は表示し、異なる支払アカウント及び関連情報を表示し、(現在選択されているオプションとして表示されている)支払を行い、或いは更なる選択肢を表示させてもよい。
【0151】
図8Bを参照するに、モバイル装置802の表示装置836に別のユーザインターフェースが示されている。図8Bのユーザインターフェースの場合、ユーザはチェックアウトトークン又はQRコードを(例えば、図8Aの画面を利用して)取得しており、顧客が終了しつつある支払取引の詳細情報と共に取引管理システム(例えば、図2のシステム230等)から応答メッセージを受信している。特に、取引管理システムは、(842の項目で示されている)商人の情報及び購入額を含む購入取引に関する詳細な取引情報を返す。ユーザインターフェースは顧客に多くの利用可能な支払オプション844a-nを提示する。 (図3に関して上述したプロセス等のように)顧客により、商人により又は支払システムオペレータにより設定された顧客の好み又はルールに基づいて、好み又は望ましさの順に利用可能な支払オプション844a-nが表示される。例えば、図示されているように、自社ブランドクレジットカードが最初の(又は最上位の)支払アカウント844aとして表示されている。支払アカウント844各々に関する情報が表示されており、その情報は、現在利用可能な残高に加えて、現在の取引でその特定の支払アカウントを使用した場合の報酬、ポイント、ロイヤリティ又はその他の便宜を図るものを含む。
【0152】
図8Bのユーザインターフェースの場合、顧客は、利用可能な望ましい支払アカウント844a-nに関する画像部分を単にクリックすることで、利用可能な支払アカウント844a-nのうち使用するものを選択する。一実施形態において、利用可能な支払アカウント各々に関する更なる情報が、表示画面の一部をクリックすることで表示されてもよい。例えば、アカウント各々の残高、期間及び条件及びその他の情報に関する詳細が表示される。図8Bのユーザインターフェースは、図4Bのステップ436、図8のステップ(17)のような取りひいき処理に関連して顧客に提示される。
【0153】
図8Cを参照するに、(選択的な)別のユーザインターフェースがモバイル装置802の表示装置836に示されている。図8Cのユーザインターフェースは選択的なインターフェースである(一実施形態において、例えばユーザが全ての取引に1つの「デフォルト」支払アカウントを使用することを指定したような場合、ユーザは図8A又は図8Bのインターフェースから認証を得る処理に直接進んでもよい。この場合、ユーザは図8Bのインターフェースを提示しないことを選択してもよく、むしろ図8Aのインターフェースから認証を得る処理に直接進むことになる)。図8Cのユーザインターフェースの場合、顧客は、使用する支払アカウントを選択しており、選択された支払アカウントを用いた支払の詳細を確認する画面が提示されている。ユーザインターフェースは、例えば、取引詳細情報846及び確認ボタン848を表示してもよい。取引詳細情報はモバイル装置802が取引管理システムから受信した詳細な取引情報を示す。例えば、顧客が所望の支払アカウントを選択した後であって、取引管理システムにメッセージを送信する前に、図8Cのユーザインターフェースが表示されてもよい(例えば、図4Bのステップ438、図6のステップ(17)等)。
【0154】
図8Dを参照するに、別のユーザインターフェースがモバイル装置802の表示装置836に示されている。図8Dのユーザインターフェースの場合、顧客は購入内容を確認し(例えば、図8Cにおける「確認(Confirm)」848を選択することで、図8Bの支払アカウント844a-nの何れかを軽くたたくことで(タップすることで)、図8Aに示されるチェックアウトトークンを取得した後に全ての取引にデフォルトの支払装置をしようすることを指定することで確認されてもよい)、支払メッセージが取引管理システムに送信されている。図8Dのユーザインターフェースは、(得した額として854に示されているような)その取引で獲得した何らかのポイント又はロイヤリティの報酬、リベート量等を含む完了したばかりの取引の詳細850を顧客に示す。ユーザインターフェースは、クーポン、広告又はその他の提案(広告及び提案管理システム(例えば、図6のシステム638)により広告及び提案管理ネットワークに由来するもの)が顧客に提示される領域856も示している。顧客が取引の詳細の閲覧を行うと、顧客はボタン852をクリックし、その画面から移動し、支払アプリケーションのホームページに戻る又は図8Eのユーザインターフェースに示されているページ858のような感謝のページに移行する。
【0155】
当業者は、他のユーザインターフェース、他のメッセージ及び他の画面を用いて、支払オプション、取引情報及びその他の詳細を本発明に関するモバイル支払アプリケーションのユーザに提示してもよいことを認めるであろう。
【0156】
以上、本発明が特定の実施の形態に関連して説明されてきたが、添付の特許請求の範囲に規定されている本発明の範囲及び精神から逸脱することなしに、様々な変更、置換及び代替が開示された実施の形態に適用されてよいことを当業者は認めるであろうことを、理解すべきである。例えば、本発明を利用する取引は、例えばレストランで料金を支払う場合或いはタクシーの支払を行う場合に、元々の取引総額が勘定された後にチップやその他のサービス手数料を顧客が加算しなければならないような状況に拡張されてもよい。その場合、取引が開始された後に購入者はチップを加算することを希望しているので、未払額は任意的である。タクシーのような別の状況の場合において、(バーコードが静的なチェックアウトクーポンである場合)タクシーはバーコードと共にステッカ(sticker)を表示し、そのステッカを取得することは、支払が認証された場合に購入者(乗客)の支払額をタクシーのレシート印刷機に結びつける。
【0157】
一実施形態において、本発明によるシステムは、「分離デビット(decoupled debit)」形式の取引を開始及び実行するために使用されてもよく、その場合(i)販売場所で精算額に対しデビット(debit)を処理するために磁気ストライプが付いた物理的なプラスチックカードを必要とせず、(ii)販売場所で精算額に対してデビットを処理するために磁気ストライプリーダを必要とせず、(iii)連邦準備金ACH(Federal Reserve’s ACH)ネットワークに取引をルーティングするためにVISA、MC、Discover等のようなPOS取引ルーティングネットワークを利用することを要しない。多くの利点があり、例えば、(i)POSのけるカード掃引端末及び関連する支払転送ネットワーク(例えば、VISA/MC/Discover等)を回避することで、商人にとって安価な取引コストとなる。実施の形態はかなりのコストをシステムから削減できる。(ii)顧客にとって改善された利便性。モバイル形式なので、支払装置は常に手の近くにある。
【0158】
実施の形態では、商人に請求書を物理的に提示することを顧客に要求することなしに、物理的な販売場所で決済口座支払を受け付ける新規な方法が商人に提供される。今日、NACHルールは、決済支払がどのようにして販売場所で行われるかを指定し、ACH取引形式を指定する「起動コード(origination code)」を指定することを含む。今日、商人が店舗内の販売場所で物理的に顧客による電子決済を行う数少ない方法は、(i)チェック21スキャナで決済のスキャン画像を取得する、或いは(ii)NACHAで規定されたプロセスに従ってPOPの起動コードと共にACH取引を行うこと(店頭決済方式(Point of Purchase Check Convention))の何れかである。実施の形態は、NACHAウェブ取引形式で店頭で取引が実行されることを可能にする。
【0159】
実施の形態において、トークン配信の仕組みが第三者に分からない支払認証装置トークン取得システムに対するPOSが提供される。例えば、モバイル装置は、近接電界通信又はバーコード又は多次元バーコード認識方式を用いて動作し、POSで始まった取引とモバイル装置から顧客により送信された対応する認証メッセージとを結びつけ、取引を認証する。実施の形態において、本発明によるシステムは、モバイル装置を利用してオンライン及び/又は物理的なPOSに対する支払及びロイヤリティ認証情報双方の顧客主導配信をもたらす。例えば取引の処理の際に、顧客に関するロイヤリティ及び支払アカウント情報が読み取られ、取引の最中に顧客に提示され(一実施形態においては、ロイヤリティアカウントが取引に関わっている商人の場所で全ての取引に自動的に適用され)、単独の取引においてロイヤリティ及び支払情報の準備及び効率的な提示を可能にする。
【0160】
<関連出願>
本特許出願は米国仮特許出願第61/322,477号(西暦2010年4月9日付出願)及び61/362,567号(西暦2010年7月8日付出願)の優先的利益を享受しており、それらの出願の内容は全て本願のリファレンスに組み入れられる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9