特許第5946469号(P5946469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5946469全血および血液製剤からの不純物の除去のためのポリマー性収着剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5946469
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】全血および血液製剤からの不純物の除去のためのポリマー性収着剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 1/02 20060101AFI20160623BHJP
   A61K 35/14 20150101ALI20160623BHJP
   A61P 7/08 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   A01N1/02
   A61K35/14 A
   A61P7/08
【請求項の数】47
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-548563(P2013-548563)
(86)(22)【出願日】2012年1月6日
(65)【公表番号】特表2014-502971(P2014-502971A)
(43)【公表日】2014年2月6日
(86)【国際出願番号】US2012020429
(87)【国際公開番号】WO2012094565
(87)【国際公開日】20120712
【審査請求日】2014年12月25日
(31)【優先権主張番号】13/344,166
(32)【優先日】2012年1月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/430,374
(32)【優先日】2011年1月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512254586
【氏名又は名称】サイトソーベンツ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100162455
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 典子
(72)【発明者】
【氏名】チャン,フィリップ・ピー
(72)【発明者】
【氏名】カポニ,ヴィンセント・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ゴロビシュ,トーマス・ディー
(72)【発明者】
【氏名】アリ,フマイラ・ベガム
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−069346(JP,A)
【文献】 特開2009−125265(JP,A)
【文献】 特表2003−523777(JP,A)
【文献】 特表2003−506111(JP,A)
【文献】 特表2005−514127(JP,A)
【文献】 特表2010−512939(JP,A)
【文献】 特許第2726170(JP,B2)
【文献】 特開2009−178523(JP,A)
【文献】 特公平04−042407(JP,B2)
【文献】 特開2008−320729(JP,A)
【文献】 特開平01−189346(JP,A)
【文献】 特許第3313572(JP,B2)
【文献】 特開平11−290662(JP,A)
【文献】 特公平05−088844(JP,B2)
【文献】 特表2006−516999(JP,A)
【文献】 特開2010−057745(JP,A)
【文献】 特公平05−058707(JP,B2)
【文献】 特開平06−126167(JP,A)
【文献】 特表2011−503293(JP,A)
【文献】 特表2012−522055(JP,A)
【文献】 特開2009−000536(JP,A)
【文献】 特開2009−165667(JP,A)
【文献】 特表2002−541928(JP,A)
【文献】 特表2013−537923(JP,A)
【文献】 特開2009−078165(JP,A)
【文献】 特開2010−201345(JP,A)
【文献】 特表2012−513287(JP,A)
【文献】 特開2000−334034(JP,A)
【文献】 特公平04−002407(JP,B2)
【文献】 特開2007−252893(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0119576(US,A1)
【文献】 国際公開第1997/023266(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/075061(WO,A2)
【文献】 国際公開第2009/061759(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/117668(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 1/02
A61K 35/14
A61P 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
(a)血液、血液製剤または生理的流体の貯蔵に適するように対応した容器;
(b)血液、血液製剤または生理的流体を処理するのに適した血液適合性材料を含む収着剤;を含む、血液、血液製剤または生理的流体の浄化装置であって、前記の収着剤が(i)該血液、血液製剤または生理的流体の貯蔵寿命の増大、(ii)新しい血液、血液製剤または生理的流体の鮮度の維持、および(iii)該血液、血液製剤または生理的流体からの望ましくない分子の除去の少なくとも1つを行い;
前記の収着剤が前記の対応した容器内に収容されており;
前記の血液適合性材料がスラリー、または懸濁液、または乾燥粉末もしくは他の乾燥微粒子として供給され
前記の収着剤が該容器内で実質的に自由に流動し、
前記の血液適合性材料が、ポリマー性材料、熱分解されたポリマー性材料、セミラック材料、ゾル−ゲル材料、金属、ハイブリッド材料、生物学的材料、コートされた材料、血液適合性の活性化熱分解炭素ビーズ、活性炭、生体適合性収着剤炭素、活性炭フィルター装置、ヘパリンでコートされたポリウレタン、ヘキサメチレン−ジ−イソシアネートで架橋されたセルロース性ビーズ、セルロース性多孔性ビーズ、シリカに基づくメソ多孔性材料、熱分解されたポリマー樹脂、およびポリスチレンに基づく複合繊維、の1種類以上を含み、前記ポリマー性材料が、ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン、スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸セチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジビニルホルムアミドならびにそれらの混合物から選択される1種類以上の単量体からの残基を含む、前記血液浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の血液浄化装置であって、前記ポリマー性材料が、ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン、およびスチレンから選択される1種類以上の単量体からの残基を含む、前記血液浄化装置。
【請求項3】
前記の対応した容器がバッグである、請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項4】
前記の望ましくない分子が非溶血性輸血反応に関する、請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項5】
前記の血液適合性材料が0.1マイクロメートル〜2センチメートルの範囲の直径を有する粒子を含む、請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項6】
前記の血液適合性材料が多孔性であり、50Å〜10,000Åまでの範囲の孔径の総細孔容積が0.5cc/g〜3.0cc/g乾燥ポリマーより大きい細孔構造を有する、請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項7】
請求項1に記載の血液浄化装置であって、ここで:前記の血液適合性材料が10Åから10,000Åまでの範囲の孔径が0.5cc/g〜3.0cc/g乾燥ポリマーより大きい総容積を有する細孔構造を有することを特徴とし;ここで前記の血液適合性ポリマーの、直径で10Å〜3,000Åの細孔容積の直径で500Å〜3,000Åの細孔容積に対する比率が7:1より小さく、前記の血液適合性ポリマーの、直径で10Å〜10,000Åの細孔容積の直径で10Å〜6,000Åの細孔容積に対する比率が2:1未満である、前記血液浄化装置。
【請求項8】
請求項1に記載の血液浄化装置であって、ここで:前記の血液適合性材料が20Åから10,000Åまでの範囲の孔径が有する総容積が0.5cc/g〜3.0cc/g乾燥ポリマーより大きい細孔構造を有することを特徴とし;ここで前記の血液適合性ポリマーの、直径で20Å〜3,000Åの細孔容積の直径で500Å〜3,000Åの細孔容積に対する比率が7:1より小さく、前記の血液適合性ポリマーの、直径で20Å〜10,000Åの細孔容積の直径で20Å〜6,000Åの細孔容積に対する比率が2:1未満である、前記血液浄化装置。
【請求項9】
請求項1に記載の血液浄化装置であって、ここで:前記の血液適合性材料が50Åから10,000Åまでの範囲の孔径が有する総容積が0.5cc/g〜3.0cc/g乾燥ポリマーより大きい細孔構造を有することを特徴とし;ここで前記の血液適合性ポリマーの、直径で50Å〜3,000Åの細孔容積の直径で500Å〜3,000Åの細孔容積に対する比率が7:1より小さく、前記の血液適合性ポリマーの、直径で50Å〜10,000Åの細孔容積の直径で50Å〜6,000Åの細孔容積に対する比率が2:1未満である、前記血液浄化装置。
【請求項10】
血液適合性材料が約100ダルトンからおおよそ1,000kDaまでの分子を収着することができる、請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項11】
前記の収着剤が架橋剤の以下の重合可能な単量体:スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸セチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メタクリル酸メチル、およびアクリル酸メチルの1種類以上との反応に由来する架橋されたポリマー性材料を含む、請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項12】
請求項1に記載の血液浄化装置であって、前記の収着剤がヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルアクリレート)、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ジメチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(ジエチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ジエチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ヘパリン、ポリエチレングリコール、ポリ(N−ビニルピロリジノン)、ポリ(メタクリル酸)の塩類、ポリ(アクリル酸)の塩類、またはそれらの混合物のコポリマーを含む血液適合性表面を含み、ここで前記の血液適合性表面が架橋されたポリマー性材料に化学結合している、前記血液浄化装置。
【請求項13】
前記の血液適合性材料が熱分解された組成物に由来する、請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項14】
前記の架橋されたポリマー性材料が熱分解されている、請求項11に記載の血液浄化装置。
【請求項15】
前記の収着剤が熱分解されている、請求項12に記載の血液浄化装置。
【請求項16】
前記のバッグが以下のタイプのポリマー:ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン(PO)、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)(EVA)、およびフッ化ポリエチレンプロピレン(FEP)の1種類以上を含むポリマー性材料を含む、請求項3に記載の血液浄化装置。
【請求項17】
ポリマー性材料がさらに生体適合性可塑剤を含む、請求項16に記載の血液浄化装置。
【請求項18】
前記の固体形態の収着剤がさらに分散剤を含む、請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項19】
血液、血液製剤または生理的流体の貯蔵に適するように対応した容器内で実質的に自由に流動する収着剤組成物の使用であって、該収着剤組成物が、約0.1マイクロメートルから約2センチメートルまでの範囲の直径を有することを特徴とする複数の粒子を含み、該粒子が10Åから10,000Åまでの範囲の孔径の総細孔容積を有する血液適合性多孔性ポリマーを含み、前記の総細孔容積が乾燥ポリマー重量に基づいて約0.5cc/gから約3.0cc/gまでの範囲であることを特徴とし、該ポリマーが、ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン、スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸セチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジビニルホルムアミドならびにそれらの混合物から選択される1種類以上の単量体からの残基を含む使用
【請求項20】
請求項19に記載の使用であって、ここで:
前記のポリマーがスチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸セチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メタクリル酸メチル、およびアクリル酸メチルの1種類以上と架橋剤との反応に由来する架橋されたポリマー性材料を含み;そして
前記の粒子がヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルアクリレート)、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ジメチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(ジエチルアミノエチルメタクリレート)、ヘパリン、ポリエチレングリコール、ポリ(ジエチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(N−ビニルピロリジノン)、ポリ(メタクリル酸)の塩類、ポリ(アクリル酸)の塩類、またはそれらのコポリマーもしくは混合物を含む血液適合性表面を含み、ここで前記の血液適合性表面が架橋されたポリマー性材料に化学結合している使用
【請求項21】
請求項19に記載の使用であって、ここで:前記の血液適合性ポリマーは、10Åから10,000Åまでの範囲の孔径が有する総容積が0.5cc/g〜3.0cc/g乾燥ポリマーより大きいことを特徴とする細孔構造を有することを特徴とし;ここで前記の血液適合性ポリマーの、直径で10Å〜3,000Åの細孔容積の直径で500Å〜3,000Åの細孔容積に対する比率が7:1より小さく、前記の血液適合性ポリマーの、直径で10Å〜10,000Åの細孔容積の直径で10Å〜6,000Åの細孔容積に対する比率が2:1未満である使用
【請求項22】
前記の血液適合性ポリマーが熱分解された組成物に由来する、請求項19に記載の使用
【請求項23】
収着剤の使用により以下:(i)血液、血液製剤または生理的流体の貯蔵寿命の増大、(ii)新しい血液、血液製剤または生理的流体の鮮度の維持、および(iii)血液、血液製剤または生理的流体からの望ましくない分子の除去の少なくとも1つを提供するために血液、血液製剤または生理的流体を処理する方法であって、前記の収着剤が血液、血液製剤または生理的流体の貯蔵に適するように対応した容器内に収容されており、前記の収着剤が前記の対応した容器内で実質的に自由に流動する複数の固体の形態であり、前記の収着剤が血液適合性材料を含み、前記の血液適合性材料が、ポリマー性材料、熱分解されたポリマー性材料、セミラック材料、ゾル−ゲル材料、金属、ハイブリッド材料、生物学的材料、コートされた材料、血液適合性の活性化熱分解炭素ビーズ、活性炭、生体適合性収着剤炭素、活性炭フィルター装置、ヘパリンでコートされたポリウレタン、ヘキサメチレン−ジ−イソシアネートで架橋されたセルロース性ビーズ、セルロース性多孔性ビーズ、シリカに基づくメソ多孔性材料、熱分解されたポリマー樹脂、およびポリスチレンに基づく複合繊維、の1種類以上を含み、前記ポリマー性材料が、ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン、スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸セチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジビニルホルムアミドならびにそれらの混合物から選択される1種類以上の単量体からの残基を含む方法。
【請求項24】
前記の対応した容器がバッグである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記の望ましくない分子が貯蔵された血液および血液製剤中にある生物学的に活性な分子(BAM)、生物学的応答修飾因子(BRM)、溶血の産物、膜または細胞分解の産物、毒素、薬物、抗体、プリオン類および類似の分子である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
生物学的に活性な分子が炎症仲介物質および刺激物質を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記の炎症仲介物質および刺激物質がサイトカイン類、一酸化窒素、トロンボキサン類、ロイコトリエン類、血小板活性化因子、プロスタグランジン類、糖タンパク質、キニン類、キニノーゲン類、補体因子、細胞接着分子、超抗原、モノカイン類、ケモカイン類、インターフェロン類、フリーラジカル、プロテアーゼ、アラキドン酸代謝物、プロスタサイクリン類、ベータエンドルフィン類、心筋抑制因子、アナンダミド、2−アラキドノイルグリセロール、テトラヒドロビオプテリン、セロトニン、ヒスタミン、ブラジキニン、可溶性CD40リガンド、生理活性脂質、酸化脂質、ヘモグロビン、赤血球微粒子、膜または細胞構成要素、成長因子、糖タンパク質、プリオン類、毒素、内毒素、薬物、血管作用物質、外来抗原、および抗体を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
望ましくない分子が抗体である、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記の収着剤が血液適合性ポリマーである、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記の生体適合性ポリマーが0.1マイクロメートル〜2センチメートルの範囲の直径を有する粒子を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記の血液適合性ポリマーがスラリー、または懸濁液、または湿らせることができる、もしくは半透性容器内の乾燥粉末もしくは他の乾燥微粒子として供給される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記の血液適合性ポリマーが多孔性であり、50Å〜10,000Åの範囲の孔径の総細孔容積が0.5cc/g〜3.0cc/g乾燥ポリマーより大きい細孔構造を有する、請求項29記載の方法。
【請求項33】
請求項29に記載の方法であって、ここで:前記の血液適合性ポリマーが10Åから10,000Åまでの範囲の孔径が0.5cc/g〜3.0cc/g乾燥ポリマーより大きい総容積を有する細孔構造を有することを特徴とし;ここで前記の血液適合性ポリマーの、直径で10Å〜3,000Åの細孔容積の直径で500Å〜3,000Åの細孔容積に対する比率が7:1より小さく、そして前記の血液適合性ポリマーの、直径で10Å〜10,000Åの細孔容積の直径で10Å〜6,000Åの細孔容積に対する比率が2:1未満である、前記方法。
【請求項34】
前記の血液適合性ポリマーが約100ダルトンからおおよそ1,000kDaまでの分子を収着することができる、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記の収着剤が架橋剤の以下の重合可能な単量体:スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸セチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メタクリル酸メチル、およびアクリル酸メチルの1種類以上との反応に由来する架橋されたポリマー性材料を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項36】
請求項23に記載の方法であって、前記の収着剤がヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルアクリレート)、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ジメチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(ジエチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ジエチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ヘパリン、ポリエチレングリコール、ポリ(N−ビニルピロリジノン)、ポリ(メタクリル酸)の塩類、ポリ(アクリル酸)の塩類、またはそれらの混合物のコポリマーを含む血液適合性表面を含み、ここで前記の血液適合性表面が架橋されたポリマー性材料に化学結合している、前記方法。
【請求項37】
前記の血液適合性ポリマーが特異的または非特異的に反応性生体分子に結合するリガンドで修飾されている、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記のポリマーが多孔性または非多孔性である、請求項23に記載の方法。
【請求項39】
前記の収着剤が前記の血液または血液製剤と共に血液容器中に収容される、請求項23に記載の方法。
【請求項40】
前記の収着剤が血液を貯蔵のために対応した容器中に入れる際の採取の時点で、または輸血の間の使用の時点で用いることができるカートリッジ中に収容される、請求項23に記載の方法。
【請求項41】
前記の収着剤が血液を保持するための適切な容器中にあり、血液および血液製剤と直接接触しているが、該容器から漏れ出ることができない、請求項23に記載の方法。
【請求項42】
前記の収着剤が血液を保持するための適切な容器中にあり、流体がポリマーと接触することを可能にするが細胞がポリマーと接触することは可能にしない透過性の膜または障壁により血液から分離されている、請求項23に記載の方法。
【請求項43】
請求項23に記載の方法であって、前記の収着剤が構造的に容器の壁全体にわたって均一に分散した容器材料の一体部分である、または容器の多数の領域において分離して密封されて(sealed)血液もしくは血液製剤と直接接触する領域を提供している、または血液もしくは血液製剤と直接接触する容器の内壁にコートされている、沈着している、もしくは付着している、前記方法。
【請求項44】
以下の工程:
血液適合性材料を含む収着剤を血液または血液製剤の貯蔵に適するように対応した容器中に入れる;
を含む血液浄化装置を作製する方法であって、前記の血液適合性材料が保管された血液および血液製剤を処理するのに適しており、前記の収着剤が、以下:(i)該血液、血液製剤または生理的流体の貯蔵寿命を増大させ、(ii)新しい血液、血液製剤または生理的流体の鮮度を維持し、そして(iii)該血液、血液製剤または生理的流体から望ましくない分子を除去する;の少なくとも1つを実施し;そして
前記の収着剤が前記の対応した容器内に収容されており、前記の収着剤が前記の対応した容器内で実質的に自由に流動する複数の固体の形態であり、前記の血液適合性材料が、ポリマー性材料、熱分解されたポリマー性材料、セミラック材料、ゾル−ゲル材料、金属、ハイブリッド材料、生物学的材料、コートされた材料、血液適合性の活性化熱分解炭素ビーズ、活性炭、生体適合性収着剤炭素、活性炭フィルター装置、ヘパリンでコートされたポリウレタン、ヘキサメチレン−ジ−イソシアネートで架橋されたセルロース性ビーズ、セルロース性多孔性ビーズ、シリカに基づくメソ多孔性材料、熱分解されたポリマー樹脂、およびポリスチレンに基づく複合繊維、の1種類以上を含み、前記ポリマー性材料が、ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン、スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸セチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジビニルホルムアミドならびにそれらの混合物から選択される1種類以上の単量体からの残基を含む方法。
【請求項45】
前記の対応した容器がバッグである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
血液、血液製剤または生理的流体を処理する方法であって、以下の工程:
(a)前記の血液、血液製剤または生理的流体を収着剤と接触させ、前記の収着剤は(i)貯蔵寿命の増大、(ii)新しい血液の鮮度の維持、および/または望ましくない分子の除去の少なくとも1つを行い;そして
(b)工程(b)からの血液、血液製剤または生理的流体を貯蔵のための容器中に、または動物中に入れる;
を含み;
前記の収着剤が前記の容器内で実質的に自由に流動する複数の固体の形態であり、前記の収着剤が血液適合性材料を含み、前記の血液適合性材料が、ポリマー性材料、熱分解されたポリマー性材料、セミラック材料、ゾル−ゲル材料、金属、ハイブリッド材料、生物学的材料、コートされた材料、血液適合性の活性化熱分解炭素ビーズ、活性炭、生体適合性収着剤炭素、活性炭フィルター装置、ヘパリンでコートされたポリウレタン、ヘキサメチレン−ジ−イソシアネートで架橋されたセルロース性ビーズ、セルロース性多孔性ビーズ、シリカに基づくメソ多孔性材料、熱分解されたポリマー樹脂、およびポリスチレンに基づく複合繊維、の1種類以上を含み、前記ポリマー性材料が、ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン、スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸セチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジビニルホルムアミドならびにそれらの混合物から選択される1種類以上の単量体からの残基を含む方法。
【請求項47】
工程(a)がフィルター装置中で実施される、請求項46に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001] この出願は2012年1月5日に出願された米国特許出願第13/344,166号に対する優先権を主張し、2011年1月6日に出願された米国仮出願一連番号61/430,374に対する利益も主張し、その開示を本明細書にそのまま援用する。
【0002】
[0002] 本発明は、血液および血液製剤からのサイトカイン類、生理活性脂質、遊離ヘモグロビン、膜または細胞分解産物、炎症仲介物質、血管作用物質、外来抗原、薬物、抗体、および望まれない輸血反応を引き起こし得る他の物質の除去において有用な組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 全血または全血の派生物(“血液製剤”)の輸血は、文字通り重度の外傷から癌に対する手術までのある範囲の病気を有する患者の生血(lifeblood)である。アメリカ赤十字によれば、米国において1年につき1400万より多くの赤血球濃厚液(pRBC)の輸血があり、米国の病院への入院の平均して10件中1件は輸血を必要とする。類似の数の全血の他の画分、または血液製剤、例えば血小板、白血球、血漿、アルブミン、免疫グロブリン、凝固因子および寒冷沈降物の輸血が毎年施されている。血液に関する重大な必要性は軍にまで及び、ここで血液の輸送および貯蔵の兵站は複雑であり、イラクの自由作戦の間の全ての入院の8%が最初の24時間において10単位より多くの血液として定義される大量輸血を必要とした。全血および血液製剤を、本明細書においてまとめて“血液”と呼ぶことにする。
【0004】
[0004] 血液は限られた寿命を有する。典型的なpRBC単位は42日間の有効寿命しか有しない一方で、血小板は献血の5日以内に使用されなければならない。これは、血液に関する高い需要と相まって周期的な血液の不足につながってきた。しかし、多くの医学の専門家は、新鮮な血液はさらに早く、2〜4週間以内に使用されるべきであると信じている。遡及研究は、“より古い”血液の輸血を、非溶血性輸血反応、例えば発熱、輸血関連急性肺傷害(TRALI)、輸血関連呼吸困難(TAD)、アレルギー反応、感染、死および他の合併症の増大した危険性と関係付けてきた。これらの研究の1つにおいて、院内死亡の危険性は赤血球濃厚液単位が1日古くなるごとに2%増大した。このため、血液製剤の有効寿命を延長することおよび血液の質を向上させることは有益であろう。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 一部の観点において、本発明は、(a)血液、血液製剤または生理的流体の貯蔵に適するように対応した(compliant)容器;(b)血液、血液製剤または生理的流体を処理するのに適した血液適合性材料を含む収着剤を含む血液浄化装置に関し、その収着剤は(i)その血液、血液製剤または生理的流体の貯蔵寿命の増大、(ii)新しい血液、血液製剤または生理的流体の鮮度の維持、および(iii)その血液、血液製剤または生理的流体からの望ましくない分子の除去の少なくとも1つを行い;ここでその収着剤はその対応した容器内に収容されている。
【0006】
[0006] 特定の観点において、本発明は約0.1マイクロメートルから約2センチメートルまでの範囲の直径を有することを特徴とする複数の粒子を含む収着剤組成物に関し、その粒子は10Åから10,000Åまでの範囲の孔径の総細孔容積を有することを特徴とする血液適合性多孔性ポリマーを含み、その総細孔容積は乾燥ポリマー重量に基づいて約0.5cc/gから約3.0cc/gまでの範囲である。
【0007】
[0007] 本発明はまた、(i)貯蔵寿命を増大させ、(ii)新しい血液の鮮度を維持し、および/または(iii)収着剤の使用により望ましくない分子を除去する、血液、血液製剤または生理的流体を処理する方法に関し、その収着剤は血液、血液製剤または生理的流体の貯蔵に適するように対応した容器内に収容されており、その収着剤はその対応した容器内で実質的に自由に流動する複数の固体の形態である。一部の態様において、その血液、血液製剤または生理的流体は保管された血液、血液製剤または生理的流体である。一部の態様において、その血液、血液製剤または生理的流体は保管の前に処理される。
【0008】
[0008] 本発明の特定の観点は、血液適合性材料を含む収着剤を血液、血液製剤または生理的流体の貯蔵に適するように対応した容器中に入れることを含む、血液、血液製剤または生理的流体精製装置を作製する方法に関し;ここでその血液適合性材料は血液、血液製剤または生理的流体を処理するのに適しており、その収着剤は(i)その血液、血液製剤または生理的流体の貯蔵寿命の増大、(ii)新しい血液、血液製剤または生理的流体の鮮度の維持、および(iii)その血液、血液製剤または生理的流体からの望ましくない分子の除去の少なくとも1つを行い;そしてその収着剤は前記の対応した容器内に収容されており、前記の収着剤は前記の対応した容器内で実質的に自由に流動する複数の固体の形態である。
【0009】
[0009] 本発明はまた、血液、血液製剤または生理的流体を処理する方法に関し、前記の方法は以下の工程を含む:(a)その血液、血液製剤または生理的流体を収着剤と接触させ、その収着剤は(i)貯蔵寿命の増大、(ii)新しい血液の鮮度の維持、および/または(iii)望ましくない分子の除去の少なくとも1つを行い;そして(b)工程(b)からの血液、血液製剤または生理的流体を貯蔵のための容器中に、または動物中に入れる。一部の態様において、その動物はヒトである。一部の態様において、その接触はフィルター装置中で起こる。そのフィルターは、血液を患者に投与する際に血液バッグおよびその患者の間で用いられてよい(またはその血液バッグ中に統合される可能性もある)。そのフィルターは、供血者および全血収集バッグの間で用いられてもよい。別の態様において、そのフィルターは全血収集バッグおよび血液貯蔵バッグの間で用いられてよい。
【0010】
[0010] 保管された血液および血液製剤を処理するのに適した血液適合性材料には、ポリマー性材料、熱分解されたポリマー性材料、セミラック材料、ゾル−ゲル材料、金属、ハイブリッド材料、生物学的材料、コートされた材料、Y−Carbon製品(血液適合性の活性化熱分解炭素(activated pyrolyzed carbon)ビーズ)、CarboRx(活性炭)、血液収着剤(hemosorbent)、腸収着剤(enterosorbent)、NanoTune X(生体適合性収着剤炭素材料)、Gambro(活性炭フィルター装置)、Adsorba 150&300、Jafron Biomedical Co.(中性多孔性ポリマー樹脂−熱分解されている)、HA330血液潅流カートリッジ、HA130(尿毒症性毒素)、HA230(薬物、親油性、疎水性またはタンパク質結合薬)、HA280(免疫吸着)、HA330(サイトカイン類、敗血症およびSIRSに関する内毒素)、HA330−II(肝不全に関する毒素)、Kaneka(修飾されたセルロース性多孔性ビーズ)、Lixelle CTR、Ube Industries(ヘキサメチレン−ジ−イソシアネートで架橋されたセルロース性ビーズ)、CF−X、ExThera Medical(ヘパリンでコートされたポリウレタン固体ビーズ)Seraph,Toray industries,Inc. CYT−860(ポリプロピレンで補強されたポリスチレンに基づく複合繊維)およびシリカに基づくメソ多孔性材料が含まれる。
【0011】
[0011] 本発明の1態様において、輸血と関連する合併症、例えば非溶血性輸血反応、例えば発熱、輸血関連急性肺傷害(TRALI)、輸血関連呼吸困難(TAD)、アレルギー反応は、望ましくない分子を収着剤の使用により血液から除去することにより軽減される。望ましくない生成物を輸血可能な血液から除去するための収着剤の使用は、この血液の有効貯蔵寿命を、例えば貯蔵の間に蓄積する望ましくない生成物を除去することにより延長することもできる。血液中に見られるこれらの望ましくない生成物を、本明細書においてまとめて生物学的に活性な分子(BAM)と呼ぶ。BAMは、それ自体で、または他のBAMとの組み合わせで生物学的、細胞性または生理的プロセスを引き起こし得るあらゆる物質または分子として定義される。輸血の間、BAMはその輸血される血液の受容者において望ましくない生理的応答、例えばTRALI、TAD等を誘発し得る。例えば、抗ヒト白血球抗原抗体はTRALIの重篤な症例と関連するBAMである。BAMの別の例であるプリオンは、クロイツフェルト−ヤコブ病または亜急性海綿状脳症を引き起こし得る。BAMの1つの亜集団は生物学的応答修飾因子(BRM)であり、それは免疫系への作用を有する物質である。これらには、例えばサイトカイン類、ケモカイン類、抗体、糖タンパク質、および成長因子が含まれる。輸血可能な血液中にあるサイトカイン類は、受容者において発熱を引き起こし得る。
【0012】
[0012] 別の態様において、血液および血液製剤中に存在するBAM、例えば薬物、炎症仲介物質および刺激物質、例えばサイトカイン類、ケモカイン類、インターフェロン類、一酸化窒素、トロンボキサン類、ロイコトリエン類、血小板活性化因子、プロスタグランジン類、糖タンパク質、キニン類、キニノーゲン類、補体因子、細胞接着分子、超抗原、モノカイン類、フリーラジカル、プロテアーゼ、アラキドン酸代謝物、プロスタサイクリン類、ベータエンドルフィン類、心筋抑制因子、アナンダミド、2−アラキドノイルグリセロール、テトラヒドロビオプテリン、ヒスタミン、ブラジキニン、可溶性CD40リガンド、セロトニン、ヘモグロビン、生理活性脂質、抗体、抗原、プリオン類、毒素、内毒素、膜または細胞構成要素、ならびに他のBRMが収着剤により除去される。これらのBAMは、供血者の血液中に供血がなされた時点で存在していた可能性があり、またはその血液が処理される、もしくは貯蔵されている際に、もしくは経時(aging)プロセスの一部として、時間経過と共に発現する可能性がある
【0013】
[0013] 別の態様において、その供与された血液を、供与の時点で、貯蔵の間に、または使用の時点で収着剤で処理して望ましくない抗体、例えば抗白血球抗体、および抗ヒト白血球抗原抗体を除去する。
【0014】
[0014] 別の態様において、ポリマーは0.1マイクロメートル〜2センチメートルの範囲の直径を有する粒子を含む。特定のポリマーは、粉末、ビーズ、または他の規則的な、もしくは不規則な形状の微粒子の形態である。一部のポリマーの細孔構造は、10Å〜10,000Åの範囲の孔径の総細孔容積が0.5cc/g〜3.0cc/g乾燥ポリマーより大きく、好ましい態様では50%より大きい細孔容積が10Å〜6,000Åであるような細孔構造である。一部の態様において、そのポリマーは、10Å〜10,000Åの範囲の孔径の総細孔容積が0.5cc/g〜3.0cc/g乾燥ポリマーより大きく;そのポリマーの10Å〜10,000Å(細孔直径)の細孔容積の500Å〜3,000Å(細孔直径)の細孔容積に対する比率が7:1より小さく;そのポリマーの10Å〜10,000Å(細孔直径)の細孔容積の10Å〜6,000Å(細孔直径)の細孔容積に対する比率が2:1以下であるような細孔構造を有する。
【0015】
[0015] 特定のポリマーは、20Å〜10,000Åの範囲の孔径の総細孔容積が0.5cc/g〜3.0cc/g乾燥ポリマーより大きく、好ましい態様では50%より大きい細孔容積が20Å〜6,000Åであるような細孔構造を有する。一部の態様において、そのポリマーは、20Å〜10,000Åの範囲の孔径の総細孔容積が0.5cc/g〜3.0cc/g乾燥ポリマーより大きく;そのポリマーの20Å〜10,000Å(細孔直径)の細孔容積の500Å〜3,000Å(細孔直径)の細孔容積に対する比率が7:1より小さく;そのポリマーの20Å〜10,000Å(細孔直径)の細孔容積の20Å〜6,000Å(細孔直径)の細孔容積に対する比率が2:1以下であるような細孔構造を有する。
【0016】
[0016] さらに他の態様において、一部のポリマーの細孔構造は、50Å〜10,000Åの範囲の孔径の総細孔容積が0.5cc/g〜3.0cc/g乾燥ポリマーより大きく、好ましい態様では50%より大きい細孔容積が50Å〜6,000Åであるような細孔構造である。一部の態様において、そのポリマーは、50Å〜10,000Åの範囲の孔径の総細孔容積が0.5cc/g〜3.0cc/g乾燥ポリマーより大きく;そのポリマーの50Å〜10,000Å(細孔直径)の細孔容積の500Å〜3,000Å(細孔直径)の細孔容積に対する比率が7:1より小さく;そのポリマーの50Å〜10,000Å(細孔直径)の細孔容積の50Å〜6,000Å(細孔直径)の細孔容積に対する比率が2:1以下であるような細孔構造を有する。
【0017】
[0017] 一部の好ましいポリマーは、ジビニルベンゼン(divnylbenzene)およびエチルビニルベンゼン、スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸セチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジビニルホルムアミドならびにそれらの混合物から選択される1種類以上の単量体からの残基を含む。
【0018】
[0018] 本発明において有用な特定のポリマーは、以下の重合可能な単量体から調製されるマクロ多孔性ポリマーである:スチレン、ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン、ならびにアクリレートおよびメタクリレート単量体、例えば下記で製造業者により列挙される単量体。Rohm and Haas Company(現在Dow Chemical Companyの一部):(i)マクロ多孔性ポリマー性吸着剤、例えばAmber lite(商標)XAD−1、Amberlite(商標)XAD−2、Amberlite(商標)XAD−4、Amberlite(商標)XAD−7、Amberlite(商標)XAD−7HP、Amberlite(商標)XAD−8、Amberlite(商標)XAD−16、Amberlite(商標)XAD−16 HP、Amberlite(商標)XAD−18、Amberlite(商標)XAD−200、Amberlite(商標)XAD−1180、Amberlite(商標)XAD−2000、Amberlite(商標)XAD−2005、Amberlite(商標)XAD−2010、Amberlite(商標)XAD−761、およびAmberlite(商標)XE−305、ならびにクロマトグラフィーグレードの吸着剤、例えばAmberchrom(商標)CG 71,s,m,c、Amberchrom(商標)CG 161,s,m,c、Amberchrom(商標)CG 300,s,m,c、およびAmberchrom(商標)CG 1000,s,m,c。Dow Chemical Company:Dowex(登録商標)Optipore(商標)L−493、Dowex(登録商標)Optipore(商標)V−493、Dowex(登録商標)Optipore(商標)V−502、Dowex(登録商標)Optipore(商標)L−285、Dowex(登録商標)Optipore(商標)L−323、およびDowex(登録商標)Optipore(商標)V−503。Lanxess(以前はBayer and Sybron):Lewatit(登録商標)VPOC 1064 MD PH、Lewatit(登録商標)VPOC 1163、Lewatit(登録商標)OC EP 63、Lewatit(登録商標)S 6328A、Lewatit(登録商標)OC 1066、およびLewatit(登録商標)60/150 MIBK。三菱化学株式会社:Diaion(登録商標)HP 10、Diaion(登録商標)HP 20、Diaion(登録商標)HP 21、Diaion(登録商標)HP 30、Diaion(登録商標)HP 40、Diaion(登録商標)HP 50、Diaion(登録商標)SP70、Diaion(登録商標)SP 205、Diaion(登録商標)SP 206、Diaion(登録商標)SP 207、Diaion(登録商標)SP 700、Diaion(登録商標)SP 800、Diaion(登録商標)SP 825、Diaion(登録商標)SP 850、Diaion(登録商標)SP 875、Diaion(登録商標)HP 1MG、Diaion(登録商標)HP 2MG、Diaion(登録商標)CHP 55A、Diaion(登録商標)CHP 55Y、Diaion(登録商標)CHP 20A、Diaion(登録商標)CHP 20Y、Diaion(登録商標)CHP 2MGY、Diaion(登録商標)CHP 20P、Diaion(登録商標)HP 20SS、Diaion(登録商標)SP 20SS、およびDiaion(登録商標)SP 207SS。Purolite Company:Purosorb(商標)AP 250およびPurosorb(商標)AP 400。
【0019】
[0019] 一部の態様において、そのポリマーは多孔性または非多孔性であってよい。特定の好ましい態様において、そのポリマーは多孔性である。一部の態様において、そのポリマーは熱分解されていてよい。その熱分解は、当業者に既知の方法により実施されてよい。
【0020】
[0020] 一部の態様において、そのポリマーは少なくとも1種類の架橋剤および少なくとも1種類の分散剤を含むコートされたポリマーである。その分散剤は、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルアクリレート)、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ジメチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(ジエチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ジエチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(N−ビニルピロリジノン)、ポリ(メタクリル酸)の塩類、およびポリ(アクリル酸)の塩類、ならびにそれらの混合物のような化学物質、化合物または物質から選択することができ;その架橋剤は、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリタール(pentaerythrital)ジメタクリレート類、ペンタエリスリタールトリメタクリレート類、ペンタエリスリタールテトラメタクリレート類、ペンタエリスリトールジアクリレート類、ペンタエリスリトールトリアクリレート類、ペンタエリスリトールテトラアクリレート類、ジペンタエリスリトールジメタクリレート類、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート類、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート類、ジペンタエリスリトールジアクリレート類、ジペンタエリスリトールトリアクリレート類、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート類、ジビニルホルムアミド、ヘパリン、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群から選択することができ;そしてそのポリマーはそのコーティングの形成と同時に展開され(developed)、ここでその分散剤はそのポリマーの表面に化学的に結合している。
【0021】
[0021] さらに別の態様において、そのポリマーはおおよそ100ダルトン〜約1,000キロダルトンのタンパク質分子を収着することができる。
[0022] 一部の態様において、そのポリマーは誘導体化されていてよい。一部のポリマーは抗体またはリガンドで修飾されていてよい。そのようなポリマーは多孔性または固体であってよい。
【0022】
[0023] この発明の目的に関して、用語“総細孔容積”は、単位質量あたりのポリマー中の全ての細孔の容積として定義され、用語“有効細孔容積”は選択的に分子を収着するあらゆる細孔を意味する。用語“容量細孔容積(capacity pore volume)”はポリマーの単位質量あたりの全ての細孔の“容量”の容積として定義され、用語“有効細孔”は特定の分子を収着するように設計された機能性の細孔を意味する。用語“容量細孔”は、有効細孔および輸送細孔(transport pores)の総計である。用語“輸送細孔”は、分子の有効細孔への速い“輸送”を可能にする細孔として定義され、用語“輸送細孔容積”は、そのポリマーの単位質量あたりの“輸送”細孔の容積を意味する。
【0023】
[0024] 一部の態様において、その組成物は適切な血液容器中に血液または血液製剤と共に収容される。特定の態様において、本発明は、本明細書で論じられる組成物のいずれかを含む血液貯蔵バッグに関する。一部の態様において、その組成物はその容器を形成する貯蔵容器材料の一部である。一部の態様において、その組成物はその貯蔵容器の内部表面上にコートされており、または沈着しており、血液または血液製剤と直接接触している。一部の態様において、その材料は膜により血液から分離されているが、流体はその膜を通過することができ、BRMがその組成物と連絡する(communicate)ことを可能にするが、細胞、例えば白血球、赤血球および血小板は排除される。一部の方法はさらにその組成物を血液から濾過により分離することを含む。特定の態様において、濾過は患者への輸血の間に血液が貯蔵バッグから取り出される間に行われる。一部の態様において、血液容器中の収着剤は血液と直接接触している。一部の態様において、その容器は異なるビーズタイプの混合物を収容する。
【0024】
[0025] 特定の態様は、本明細書で論じられる組成物のいずれかを含むフィルターに関する。一部の態様は、本明細書で論じられる組成物のいずれかを含むフィルターカートリッジに関する。本発明の一部の装置は、本明細書で論じられる組成物のいずれかを含むフィルターまたはフィルターカートリッジを含む血液濾過装置である。
【0025】
[0026] 一部の態様において、その組成物はフィルター中に収容され、供与の時点での供血者からの血液を適切な血液容器中に入れる前にそのフィルターを通過させるか、またはその血液容器中の血液もしくは血液製剤が患者中への輸血の間にそのフィルターを通過するかのどちらかである。この発明の目的に関して、用語“収着”は、“吸収および吸着による取り込みおよび結合”として定義される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】[0027] 図1は細孔直径の関数としての細孔容積のプロットを示す。
図2】[0028] 図2は血液実験のためのポリマー移動アダプターを示す。
図3】[0029] 図3は試料収集のための血液移動アダプターを示す。
図4】[0030] 図4は時間に対するリン酸緩衝生理食塩水からのヘモグロビンの吸着のプロットを示す。
図5】[0031] 図5は時間に対する新しいヒトの血液からのヘモグロビンの吸着のプロットを示す。
図6】[0032] 図6は時間に対するヒトの血液からのヒトIgGの吸着のプロットを示す。
図7】[0033] 図7は時間に対するヒトの血液からのリゾPCの吸着のプロットを示す。
図8】[0034] 図8は時間に対するヒトの血液からのIL−7の吸着のプロットを示す。
図9】[0035] 図9は時間に対するヒトの血液からのIL−8の吸着のプロットを示す。
図10】[0036] 図10は時間に対するヒトの血液からのTNFαの吸着のプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[0037] 必要に応じて、本発明の詳細な態様が本明細書において開示され;開示される態様は単に本発明の典型的なものであり、それは様々な形態で具体化されてよいことは理解されるべきである。従って、本明細書で開示される特定の構造的および機能的詳細は限定として解釈されるべきではなく、単に当業者に本発明の使用を教示するための基礎として解釈されるべきである。下記の具体的な実施例は本発明がよりよく理解されることを可能にするであろう。しかし、それらは単に手引きとして与えられており、制限を含意することは決してない。
【0028】
[0038] 3種類のポリマー性収着剤はそれらの細孔構造に関して特性付けられ、それらの合成を実施例1、2および3において記述する。その細孔構造の特性付けを実施例3において示す。
【0029】
[0039] 合成プロセスは以下の工程からなる:1)水相を調製し、(2)有機相を調製し、(3)その懸濁液の重合を実施し、そして(4)結果として生じた多孔性ポリマー性収着剤製品を精製する(仕上げ)。
【0030】
[0040] 残りの実施例は血液からの望まれない物質の除去を実証する。
【実施例】
【0031】
実施例1 収着剤1〜11の合成
[0041] 反応器の組み立て:ケトル(0.5L)にオーバーヘッド撹拌器、多層式(Multi−level)撹拌ブレード、水冷式凝縮器、熱電対、および気泡管を取り付ける。ガスケットを上部の蓋および下部のケトルの間に取り付ける。全ての使用しない出入口(ports)に適切な栓で蓋をする。温度を上記の熱電対を取り付けた温度調節器により制御される加熱マントルにより調節する。
【0032】
[0042] 重合:ポリビニルアルコールを室温(RT)で水装填物(water charge)中で分散させ、次いで70℃に加熱する。次いで残りの塩類(表1参照、MSP、DSP、TSP、および硝酸ナトリウム)をその水装填物中で溶解させる。そのPVAおよび塩類の溶液を撹拌しながら80℃に加熱する。開始剤を含む表2において列挙した予め混合した有機相を、その反応器中に、その水相の上に、適切な液滴直径の形成のためのrpmで設定された速度で撹拌しながら注ぐ。一度温度が所定の値に達したら反応タイマーを開始する(16時間)。
【0033】
【表1】
【0034】
[0043] 仕上げ、溶媒レベルに印を付ける。冷却した後、溶媒をビーズのレベルまで吸引管で吸い出す。反応器に印まで(室温の)水を充填し、50℃〜70℃まで加熱し、30分間撹拌し、3〜5分間沈降させ、次いでビーズのレベルまで吸引管で吸い出す。ビーズをこの方法で5回洗浄する。シクロヘキサノールをポロゲン(porogen)として用いるポリマーに関して、3回のポット中での(in pot)追加のメタノールによる洗浄を追加する。ポリマー1は3回のポット中でのIPAによる洗浄を用いる。示されている場合、そのポリマーを表2で示したようにソックスレー装置により一夜抽出する。そのポリマーを6時間水蒸気蒸留し、次いでオーブン中で一夜乾燥させる(約100℃)。このプロセスは結果として球状の多孔性ポリマービーズの形態の純粋な乾燥多孔性収着剤である収着剤ポリマー1〜11をもたらす。
【0035】
【表2-1】
【0036】
【表2-2】
【0037】
実施例2 細孔構造の特性付け
[0044] 収着剤ポリマーの細孔構造を、Micromeritics AutoPore IV 9500 V1.09水銀ペネトロメーター(Hg圧入機器)で分析した。その結果を図1において示し、ここで細孔容積を細孔直径の関数としてプロットする。
【0038】
実施例3 生体分子吸着に対する細孔構造の比較
[0045] その収着剤ポリマーの細孔構造を、シトクロムC、ヒト血清アルブミン、および免疫グロブリンG(IgG)に対して比較した。シトクロムC(約12kDa)を中程度の分子量のタンパク質、例えばサイトカイン類に関する代用物として、ヒト血清アルブミン(67kDa)をヘモグロビン(64kDa)に関する代用物として用いて、IgGは抗体を代表する。その比較を表3において示す。
【0039】
【表3-1】
【0040】
【表3-2】
【0041】
実施例4 吸着実験
準備および最初の試料採取
血液およびポリマーの調製
[0046] 試験したそれぞれのポリマーは最初に0.9%生理食塩水中で50%スラリーとして調製された。血液は、8バッグの白血球除去していない赤血球濃厚液約400mL(ヒト、4日未満経過、AB+型)それぞれを空の3L生理食塩水バッグ(PVC,NDC 0409−7983−03)にプールし、10回穏やかに揺り動かすことにより穏やかに混合することにより調製した。そのプールした血液を8個の空の500mL生理食塩水バッグ(製品番号ND0409−7972−08)に分割し(aliquot)、重量を量り、将来の参照のために記録した。その試験は3種類のポリマーおよびビーズなしの対照を利用した:
収着剤1(ポリマー1)
収着剤2(ポリマー2)
収着剤3(ポリマー3)
対照(ビーズなし)
【0042】
血液/ポリマーの装填
[0047] 80mLのポリマースラリー(50%)を、空の500mL生理食塩水バッグに、改変したポリスチレン25mLピペット(図2)を用いて装填し、重量を記録した。次いでプールした赤血球濃厚液を、試験する予定のビーズスラリー(RBCの体積の10%のビーズ)を装填しておいた、または対照のためにビーズを装填しなかった空にした500mL生理食塩水バッグの中に移し、バッグの重量を記録した。それぞれのバッグを穏やかに前後に10回揺り動かして完全に混合した。全ての血液は実験の期間の間5℃で保管された。
【0043】
試料採取1日目
[0048] 1日目に、それぞれの試料バッグ中に装填されたポリマースラリーによる希釈を説明するために、それぞれの試料バッグに関するヘマトクリット値を得た。おおよそ5mlの血液をサイトカイン/IgG分析のためにレッド・トップ・バキュテイナ(red top vacutainer)(BD 366430)中に試料採取し、リゾホスファチジルコリン分析(LPC)のために5mlの血液を用いて第2のポリスチレンチューブ(BD 352099)に試料採取した。レッド・トップおよびポリスチレン採取チューブの両方を20分間遠心分離し、上清をそれぞれポリプロピレンおよびポリスチレンクライオチューブ中に分離し、−25℃で凍結させた。
【0044】
試料採取、7、14、21、および41日目
[0049] 試料バッグを冷凍機から取り出し、10回反転させることにより穏やかに混合し、ヘマトクリット値のために試料採取した。サイトカイン/IgGおよびLPCのための試料採取を1日目の試料採取と同じように実施した。採取した全ての試料を分析するまで−25℃で保管した。
【0045】
リン酸緩衝生理食塩水からのヘモグロビンの吸収
[0050] ヘモグロビンのリン酸緩衝生理食塩水中における溶液を、おおよそ11.00mg/mLの濃度で調製した。個々の50mLポリプロピレン遠心チューブを、t=0の時点を除いて(t=0の試料はヘモグロビンストック溶液から直接得た)、試料採取したそれぞれの時点に関して用いた。2.5gの介在する生理食塩水を含む湿ったポリマーを取り出し、22.5mLのヘモグロビン溶液をそれぞれの遠心チューブに添加した。次いでそのチューブを4〜8℃の冷凍機中でプラットフォームロッカー上に置いた。適切な時点で、適用可能な遠心チューブを冷凍機から取り出した。4つの試料をそれぞれの遠心チューブから取り出し、ラベルを貼り、分析を実施するまで−20℃で凍結させた。
【0046】
“新しい”ヒト血液からのヘモグロビンの吸収−14日間の経時試験
[0051] 3バッグの新しく引き出した(drawn)血液を購入した。受け取った際にそのバッグの内容物をプールし、おおよそ350〜400mLの血液を2個の別々の血液バッグ中に分配した。30mLのポリマービーズを含有する0.9%生理食塩水(50%固体)をそのバッグの一方に添加し(実験)、30mLの0.9%生理食塩水を他方に添加した(対照)。1つの血液試料を対照バッグから得て、その結果をt=0(開始時)の試料の値として用いた。それぞれの時点において、1つのヘマトクリット試料および1つの血液試料を得た。ヘマトクリット値を測定および記録し、血液試料を適切に遠心分離して血漿試料を取り出し、ポリプロピレン試料バイアル中で分析を実施するまで−20℃で保管した。その血液バッグを4〜8℃の冷凍機中でプラットフォームロッカー上に置いた。適切な時点で、その血液バッグを冷凍機から取り出し、前に記述したように試料採取した。一度試料採取したらそのバッグを冷凍機に戻した。
【0047】
リン酸緩衝生理食塩水中のヘモグロビン、“新しい”ヒト血液中のヘモグロビン(14日間の経時試験)、およびヒト血液のリアルタイム経時(41日間)試験(IgGおよびLPC)からの試料の分析
[0052] ヒトヘモグロビン分析;ヒトヘモグロビンの分析を、収集した血液試料に対して、Bethyl Laboratories IncorporatedのヒトヘモグロビンELISAキット(カタログ番号E88−135)を用いて実施した。分析手順はそのキットと共に提供された説明書に従って実施された。結果として得られたデータに関して表4および5を、グラフ表現に関して図4および5を参照。
【0048】
[0053] この実験は、既知のヘモグロビンの出発濃度を有する制御された条件下でのヘモグロビン吸着実験であった。
【0049】
【表4】
【0050】
[0054] この試験は、ヘモグロビンが赤血球の溶解およびヘモグロビンの放出を引き起こす血液のバッグ中での穏やかな揺り動かしにより絶えず生成されるモデル系における試験ポリマーによるヘモグロビンの動的除去を示すために設計された。
【0051】
【表5】
【0052】
[0055] ヒト免疫グロブリンG分析;ヒト免疫グロブリンGの分析を、収集した血液試料に対してZeptoMetrix CorporationのImmunotek定量的ヒトIgG ELISAキット(カタログ番号0801182)を用いて実施した。分析手順はそのキットと共に提供された説明書に従って実施された。結果として得られたデータに関して表6を、グラフ表現に関して図6を参照。
【0053】
【表6】
【0054】
[0056] ヒトリゾホスファチジルコリン分析;ヒトリゾホスファチジルコリンの分析を、収集した血液試料に対してCosmo Bio CompanyのAZWELL LPCアッセイキット(カタログ番号ALF−274729843)を用いて実施した。分析手順はそのキットと共に提供された(英語に翻訳された)説明書に従って実施されたが、1つの例外があった:700nmフィルターは我々の施設のマイクロプレートリーダー(BioTek EL800)に関して現在入手可能ではない。従って、我々はそのキットの製造業者により推奨されるように干渉の回避のためにこの波長において吸光度を測定することができなかった。結果として得られたデータに関して表7を、グラフ表現に関して図7を参照。
【0055】
【表7】
【0056】
[0057] ヒトサイトカイン分析;13種類のヒトサイトカイン類(IL−1β、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−10、IL−12(p70)、IL−13、IFNγ、GM−CSF、およびTNFα)の分析を、MilliporeのMilliplex MAP高感度ヒトサイトカイン磁気ビーズキット(カタログ番号HSCYTMAG−60SK)を用いて実施した。分析手順はそのキットと共に提供された説明書に従って実施された。いくつかの分析物はそのアッセイに関する定量化の下限より下の値を返し、従って報告していない。結果として得られたデータに関して表8を、それぞれの報告されたサイトカインのグラフ表現に関して図8、9および10を参照。
【0057】
【表8】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10