特許第5946470号(P5946470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5946470垂直ガラス分布順応制御システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5946470
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】垂直ガラス分布順応制御システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 9/40 20060101AFI20160623BHJP
   C03B 9/36 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   C03B9/40 Z
   C03B9/36
【請求項の数】19
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-549505(P2013-549505)
(86)(22)【出願日】2012年1月11日
(65)【公表番号】特表2014-505653(P2014-505653A)
(43)【公表日】2014年3月6日
(86)【国際出願番号】US2012020880
(87)【国際公開番号】WO2012097031
(87)【国際公開日】20120719
【審査請求日】2015年1月7日
(31)【優先権主張番号】13/347,194
(32)【優先日】2012年1月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/431,859
(32)【優先日】2011年1月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598152242
【氏名又は名称】エムハート・グラス・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100118083
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 孝美
(72)【発明者】
【氏名】サイモン,ジョナサン・セス
【審査官】 田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−047915(JP,A)
【文献】 特開昭54−003116(JP,A)
【文献】 特開2002−047015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B9/00−9/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直ガラス分布における欠陥を修正するシステムであって、
ブロー成型されたパリソン内の実際の垂直ガラス分布を示す測定ガラス分布を発生するように構成されるガラス分布測定システムを備え、
該システムは、所望の垂直ガラス分布を有するように構成されており、また、前記システムは、
前記測定ガラス分布を前記所望の垂直ガラス分布と比較し、前記測定ガラス分布を前記所望の垂直ガラス分布と比較した結果を示す垂直ガラス分布誤差信号を発生するように構成される加算器と、
パリソンがブロー成型される前のブロー型内における前記パリソンの延伸を、前記垂直ガラス分布誤差信号を減少させることになる仕方で変化させるように最終ブローの開始時刻のタイミングを変更するように構成される最終ブローの開始時刻の信号発生するために、前記垂直ガラス分布誤差信号を用いるように構成される最終ブロー制御器と、
パリソン型の冷却時間を選択的に変化させるように構成および設定されるパリソン型冷却制御器と
を備える、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記ガラス分布測定システムは、パリソンがブロー成型された後のブロー成型されたパリソン内の前記垂直ガラス分布を判別するように構成され、
前記システムは、パリソンがブロー成型される前のブロー型内における前記パリソンの前記延伸に影響を与えることになる陰圧を前記ブロー型に選択的に印加するように構成および設定され、前記最終ブロー制御器は、前記最終ブローの開始時刻の前記タイミングを変更する代わりに、またはそれに加えて、前記ブロー型に印加される陰圧の開始時刻のタイミングを変更するように構成および設定される、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、
前記最終ブロー制御器は、前記垂直ガラス分布誤差信号が、高温ガラス容器の下部において第1の所定の量より多いガラスを有し且つ前記高温ガラス容器の上部において第2の所定の量より少ないガラスを有する前記垂直ガラス分布を示す場合に、前記最終ブローの開始時刻を早めるように構成および設定され、また、前記最終ブロー制御器は、前記垂直ガラス分布誤差信号が、前記高温ガラス容器の下部において第3の所定の量より少ないガラスを有し且つ前記高温ガラス容器の上部において第4の所定の量より多いガラスを有する前記垂直ガラス分布を示す場合に、前記最終ブローの開始時刻を遅らせるように構成および設定される、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、
該システムは、所望の最終ブローの開始時刻の信号を受けるように構成されており、また、
前記最終ブローの開始時刻の信号を前記所望の最終ブローの開始時刻の信号と比較し、最終ブロー誤差信号を発生する加算器と、
を追加的に備え、前記パリソン型冷却制御器は、前記パリソン型の前記冷却時間を、前記最終ブロー誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記最終ブロー誤差信号を用いるように構成および設定される、システム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムであって、
前記パリソン型冷却制御器は、前記最終ブロー誤差信号が、前記最終ブローの開始時刻は所望よりも遅く生じることを示す場合には、前記パリソン型の前記冷却時間を延長するように構成および設定され、前記パリソン型冷却制御器は、前記最終ブロー誤差信号が、前記最終ブローの開始時刻は所望よりも早く生じることを示す場合には、前記パリソン型の前記冷却時間を短縮するように構成および設定される、システム。
【請求項6】
請求項4に記載のシステムであって、
前記最終ブロー制御器は第1のフィードバックループ内に構成および設定され、前記パリソン型冷却制御器は第2のフィードバックループ内に構成および設定され、前記第2のフィードバックループは、前記第1のフィードバックループよりも比較的低速の応答を提供するように構成および設定される、システム。
【請求項7】
垂直ガラス分布における欠陥を修正するシステムであって、
ブロー成型されたパリソン内の実際の垂直ガラス分布を示す測定ガラス分布を発生するように構成されるガラス分布測定システムを備え、
該システムは、所望の垂直ガラス分布を有するように構成されており、また、前記システムは、
前記測定ガラス分布を前記所望の垂直ガラス分布と比較し、前記測定ガラス分布を前記所望の垂直ガラス分布と比較した結果を示す垂直ガラス分布誤差信号を発生するように構成される加算器と、
パリソンがブロー成型される前のブロー型内における前記パリソンの延伸を、前記垂直ガラス分布誤差信号を減少させることになる仕方で、変化させるように最終ブローの開始時刻のタイミングを変更するように構成される最終ブローの開始時刻の信号を発生するために、前記垂直ガラス分布誤差信号を用いるように構成される最終ブロー制御器と、
パリソン型のためのパリソン型温度設定値を提供するように構成および設定されるパリソン型冷却制御器と、
パリソンの温度を変更するように構成および設定されるパリソン型温度制御器と、
を追加的に備える、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、
前記パリソン型冷却制御器はパリソン型温度設定値信号を提供し、前記システムは所望の最終ブローの開始時刻の信号を受けるように構成されており、前記システムは、
前記最終ブローの開始時刻の信号を前記所望の最終ブローの開始時刻の信号と比較し、最終ブロー誤差信号を発生する加算器を備え
前記パリソン型冷却制御器は、前記パリソン型温度設定値信号を、前記最終ブロー誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記最終ブロー誤差信号を用いるように構成および設定され、前記システムは更に、
測定パリソン型温度信号を提供するパリソン型温度測定システムと、
前記測定パリソン型温度信号を前記パリソン型温度設定値信号と比較し、パリソン型温度誤差信号を発生する加算器
を追加的に備え
前記パリソン型温度制御器は、前記パリソン型の冷却時間を、前記パリソン型温度誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記パリソン型温度誤差信号を用いるように構成および設定される、システム。
【請求項9】
請求項7に記載のシステムであって、
前記パリソン型冷却制御器はパリソン型温度変化設定値信号を提供し、前記システムは所望の最終ブローの開始時刻の信号を受けるように構成されており、前記システムは、
前記最終ブローの開始時刻の信号を前記所望の最終ブローの開始時刻の信号と比較し、最終ブロー誤差信号を発生する加算器を追加的に備え
前記パリソン型冷却制御器は、前記パリソン型温度設定値信号を、前記最終ブロー誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記最終ブロー誤差信号を用いるように構成および設定されており、前記システムは、
パリソンが形成される前後における前記パリソン型内の温度変化の測定量を提供するパリソン型温度変化測定システムと、
前記測定パリソン型温度変化信号を前記パリソン型温度変化設定値信号と比較し、パリソン型温度変化誤差信号を発生する加算器と、
を追加的に備え、
前記パリソン型温度制御器は、前記パリソン型の冷却時間を、前記パリソン型温度誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記パリソン型温度変化誤差信号を用いるように構成および設定される、システム。
【請求項10】
請求項7に記載のシステムであって、
前記ガラス分布測定システムはパリソンがブロー成型された後にブロー成型されたパリソン内の前記垂直ガラス分布を決定するように構成されており、
前記システムは、パリソンがブロー成型される前のブロー型内における前記パリソンの前記延伸に影響を与えることになる陰圧を前記ブロー型に選択的に印加するように構成および設定され、前記最終ブロー制御器は、前記最終ブローの開始時刻の前記タイミングを変更する代わりに、またはそれに加えて、前記ブロー型に印加される陰圧の開始時刻のタイミングを変更するように構成および設定される、システム。
【請求項11】
請求項7に記載のシステムであって、
前記最終ブロー制御器は、前記垂直ガラス分布誤差信号が、高温ガラス容器の下部において第1の所定の量より多いガラスを有し且つ前記高温ガラス容器の上部において第2の所定の量より少ないガラスを有する前記垂直ガラス分布を示す場合に、前記最終ブローの開始時刻を早めるように構成および設定され、また、前記最終ブロー制御器は、前記垂直ガラス分布誤差信号が、前記高温ガラス容器の下部において第3の所定の量より少ないガラスを有し且つ前記高温ガラス容器の上部において第4の所定の量より多いガラスを有する前記垂直ガラス分布を示す場合に、前記最終ブローの開始時刻を遅らせるように構成および設定される、システム。
【請求項12】
垂直ガラス分布における欠陥を修正するシステムであって、
ブロー成型されたパリソン内の実際の垂直ガラス分布を示す測定ガラス分布を発生するように構成されるガラス分布測定システムを備え、
該システムは、所望の垂直ガラス分布を有するように構成されており、また、前記システムは、
前記測定ガラス分布を前記所望の垂直ガラス分布と比較し、前記測定ガラス分布を前記所望の垂直ガラス分布と比較した結果を示す垂直ガラス分布誤差信号を発生するように構成される加算器と、
パリソンがブロー成型される前のブロー型内における前記パリソンの延伸を、前記垂直ガラス分布誤差信号を減少させることになる仕方で、変化させるように最終ブローの開始時刻のタイミングを変更するように構成される最終ブローの開始時刻の信号を発生するために、前記垂直ガラス分布誤差信号を用いるように構成される最終ブロー制御器と、
パリソン温度設定値を提供するように構成および設定されるパリソン型冷却制御器と、
前記パリソン型内で形成された後の前記パリソン型内におけるパリソンの接触時間を変更するように構成および設定されるパリソン型接触時間制御器と、
を追加的に備える、システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、
前記パリソン型冷却制御器はパリソン温度設定値信号を提供し、前記システムは所望の最終ブローの開始時刻の信号を受けるように構成されており、また、前記システムは、
前記最終ブローの開始時刻の信号を前記所望の最終ブローの開始時刻の信号と比較し、最終ブロー誤差信号を発生する加算器を備え
前記パリソン型冷却制御器は、前記パリソン温度設定値信号を、前記最終ブロー誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記最終ブロー誤差信号を用いるように構成および設定され、また、前記システムは、
れが形成された後のパリソンの温度の測定値を提供するパリソン温度測定システムと、
前記パリソンの前記測定パリソン温度を前記パリソン温度設定値信号と比較し、パリソン温度誤差信号を発生する加算器
を追加的に備え
前記パリソン型温度制御器は、前記パリソン型内で形成された後の前記パリソン型内におけるパリソンの接触時間を、前記パリソン温度誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記パリソン温度誤差信号を用いるように構成および設定される、システム。
【請求項14】
垂直ガラス分布における欠陥を修正するシステムであって、
ブロー成型されたパリソン内の実際の垂直ガラス分布を示す測定ガラス分布を発生するように構成されるガラス分布測定システムを備え、
該システムは、所望の垂直ガラス分布を有するように構成されており、また、前記システムは、
前記測定ガラス分布を前記所望の垂直ガラス分布と比較し、前記測定ガラス分布を前記所望の垂直ガラス分布と比較した結果を示す垂直ガラス分布誤差信号を発生するように構成される加算器と、
パリソンがブロー成型される前のブロー型内における前記パリソンの延伸を、前記垂直ガラス分布誤差信号を減少させることになる仕方で、変化させるように最終ブローの開始時刻のタイミングを変更するように構成される最終ブローの開始時刻の信号を発生するために、前記垂直ガラス分布誤差信号を用いるように構成される最終ブロー制御器と、
パリソン温度設定値を提供するように構成および設定されるパリソン型冷却制御器と、
前記パリソン型内で形成されたパリソンの温度を変更するように構成および設定されるパリソン温度制御器と、
を追加的に備える、システム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムであって、
前記パリソン型冷却制御器はパリソン温度設定値信号を提供し、前記システムは所望の最終ブローの開始時刻の信号を受けるように構成され、前記システムは、
前記最終ブローの開始時刻の信号を前記所望の最終ブローの開始時刻の信号と比較し、最終ブロー誤差信号を発生する加算器を備え
前記パリソン型冷却制御器は、前記パリソン温度設定値信号を、前記最終ブロー誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記最終ブロー誤差信号を用いるように構成および設定され、前記システムは、
前記パリソン型内で形成された後のパリソンの温度の測定値を提供するパリソン温度測定システムと、
前記測定パリソン温度を前記パリソン温度設定値信号と比較し、パリソン温度誤差信号を発生する加算器
を追加的に備え、
前記パリソン温度制御器は、前記パリソン型の冷却時間を、前記パリソン温度誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記パリソン温度信号を用いるように構成および設定される、システム。
【請求項16】
請求項14に記載のシステムであって、
前記ガラス分布測定システムはパリソンがブロー成型された後にブロー成型されたパリソン内の前記垂直ガラス分布を決定するように構成されており、
前記システムは、パリソンがブロー成型される前のブロー型内における前記パリソンの前記延伸に影響を与えることになる陰圧を前記ブロー型に選択的に印加するように構成および設定され、前記最終ブロー制御器は、前記最終ブローの開始時刻の前記タイミングを変更する代わりに、またはそれに加えて、前記ブロー型に印加される陰圧の開始時刻のタイミングを変更するように構成および設定される、システム。
【請求項17】
請求項14に記載のシステムであって、
前記最終ブロー制御器は、前記垂直ガラス分布誤差信号が、高温ガラス容器の下部において第1の所定の量より多いガラスを有し且つ前記高温ガラス容器の上部において第2の所定の量より少ないガラスを有する前記垂直ガラス分布を示す場合に、前記最終ブローの開始時刻を早めるように構成および設定され、また、前記最終ブロー制御器は、前記垂直ガラス分布誤差信号が、前記高温ガラス容器の下部において第3の所定の量より少ないガラスを有し且つ前記高温ガラス容器の上部において第4の所定の量より多いガラスを有する前記垂直ガラス分布を示す場合に、前記最終ブローの開始時刻を遅らせるように構成および設定される、システム。
【請求項18】
請求項12に記載のシステムであって、
前記ガラス分布測定システムは、パリソンがブロー成型された後のブロー成型されたパリソン内の前記垂直ガラス分布を判別するように構成され、
前記システムは、パリソンがブロー成型される前のブロー型内における前記パリソンの前記延伸に影響を与えることになる陰圧を前記ブロー型に選択的に印加するように構成および設定され、前記最終ブロー制御器は、前記最終ブローの開始時刻の前記タイミングを変更する代わりに、またはそれに加えて、前記ブロー型に印加される陰圧の開始時刻のタイミングを変更するように構成および設定される、システム。
【請求項19】
請求項12に記載のシステムであって、
前記最終ブロー制御器は、前記垂直ガラス分布誤差信号が、高温ガラス容器の下部において第1の所定の量より多いガラスを有し且つ前記高温ガラス容器の上部において第2の所定の量より少ないガラスを有する前記垂直ガラス分布を示す場合に、前記最終ブローの開始時刻を早めるように構成および設定され、また、前記最終ブロー制御器は、前記垂直ガラス分布誤差信号が、前記高温ガラス容器の下部において第3の所定の量より少ないガラスを有し且つ前記高温ガラス容器の上部において第4の所定の量より多いガラスを有する前記垂直ガラス分布を示す場合に、前記最終ブローの開始時刻を遅らせるように構成および設定される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の特定
[0001]本特許出願は、「Vertical Glass Distribution Habituating Control System and Method」と題し、2011年1月12日に出願された米国仮特許出願第61/431,859号の優先権を主張し、同特許出願はその全体が本願明細書において参照により援用されている。
【背景技術】
【0002】
[0002]本発明の技術分野−本発明は概してIS機の動作に関し、より詳細には、IS機のタイミングを自動調整して所望の垂直ガラス分布を維持することによって、操作者の技能に対する依存性を低減しつつプロセス歩留まりおよび品質を向上させることに関する。
【0003】
[0003]高温ガラス容器を製造するIS機から高温ガラス容器が流れ出る最中に高温ガラス容器をホットエンドにおいて監視するシステムおよび方法が、2009年12月10日に出願され、「Method and System for Monitoring and Controlling a Glass Container Forming Process」と題する欧州特許出願公開第09075545.5号、2010年12月8日に出願され、「Method and System for Monitoring and Controlling a Glass Container Forming Process」と題する米国特許出願第12/963,370号、および2010年12月8日に出願され、「System and Method for Monitoring Hot Glass Containers to Enhance Their Quality and Control the Forming Process」と題する米国特許出願第12/963,405号に開示されている。これら3つの文献はすべて本特許出願の譲受人に譲渡されており、これら3つの文献はすべてその全体が本願明細書において参照により援用されている。
【0004】
[0004]これらのシステムおよび方法は、IS機によって製造される高温ガラス容器の品質の監視を可能とするが、これらのシステムおよび方法によって提供される高温ガラス容器の特性に関する利用可能な大量の情報を、IS機によって製造中の高温ガラス容器の品質をさらに高めるために用いれば、有益となろう。この点において、これらのシステムおよび方法によって提供される高温ガラス容器の特性に関する情報の一部を、製作中の高温ガラス容器の品質をさらに高めるようにIS機の動作を自動制御するために用いれば、有益となろう。
【0005】
[0005]一般に、ガラス分布の維持のために、高温ガラス容器の特性に関する利用可能な情報に基づき機械を自動調整することは過去に達成されていないため、それは新たな進展を示すことになろう。基本的に、最良のガラス分布は、IS機の動作条件が、パリソン/ブランク型が設計されている条件に最も近いときに得られることになる。条件が変化すれば、ガラス分布も影響を被る可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]上述した背景技術の不利点および限界は本発明によって克服される。本発明によれば、第1の実施形態では、垂直ガラス分布不良の問題は、ガラス分布測定システム(すべてその全体が本願明細書において参照により援用された欧州特許出願公開第09075545.5号、米国特許出願第12/963,370号、および米国特許出願第12/963,405号に記載されているもの等)によって特定され、次に、パリソンの最終ブローの開始時刻のタイミングを変化させ、かくして、パリソンが延伸するまたは「流れる」ために与えられる時間を変更することによって対処される。
【0007】
[0007]高温ガラス容器の下部においてガラスが多すぎる垂直ガラス分布は、最終ブローの開始時刻を早め、パリソンがブロー成型される前にパリソンが延伸するために与える時間を減らすことによって対処されてよい。高温ガラス容器の下部においてガラスが少なすぎる垂直ガラス分布は、最終ブローの開始時刻を遅らせ、それにより、パリソンがブロー成型される前にパリソンが延伸するために与える時間を増やすことによって対処されてよい。本発明の垂直ガラス分布順応制御システムへの入力を提供するために用いられるガラス分布測定システムはガラス容器製造ラインの「ホットエンド」に位置付けられるため、これは比較的迅速な制御プロセスであると理解されるであろう。
【0008】
[0008]第1の実施形態の好ましい実装では、垂直ガラス分布欠陥の根本原因に対処することによって、垂直ガラス分布の改善に関してより良好な結果が得られてよい。一般的な原因はブランクサイドにおける熱バランスの問題であり、それがより高温またはより低温のパリソンを生じさせ、それがブロー型内におけるパリソンの延伸をそれぞれ速くするかまたは遅くする。本発明の垂直ガラス分布順応制御システムは、好ましくは、症状の部分的軽減と見なされてよい、上述された通り最終ブローのタイミングを調整することによって提供される素早い応答が、垂直ガラス分布問題の根本原因に対処する、ブランクサイドの熱バランスに対するより長期的な調整によって補われる、重層的なアプローチを用いる。
【0009】
[0009]第1の実施形態の好ましい実装では、パリソン型に冷却空気が当てられる時間を変化させ、パリソン型から除去する熱を増やしたりまたは減らしたりする。このパリソン熱除去プロセスの変更は、ブロー型内におけるパリソンの延伸プロセスに影響を与えることになり、それ故、ブロー成型されたパリソンの垂直ガラス分布に直接的な影響を及ぼすことになる。
【0010】
[0010]第2の実施形態では、パリソン型内におけるパリソンの冷却にさらに影響を与えるために、パリソン型の温度が監視され、用いられる。パリソン型温度設定値が用いられ、測定パリソン型温度における偏差を用いてパリソン型の冷却時間を制御する。
【0011】
[0011]本発明のこれらおよびその他の利点は、図面を参照することによって最も良く理解される。なお、本発明は、以下の態様に関し得る。
(態様1)垂直ガラス分布における欠陥を修正するシステムであって、ブロー成型されたパリソン内の実際の垂直ガラス分布を示す測定ガラス分布信号を提供するガラス分布測定システムと、所望の垂直ガラス分布信号と、前記測定ガラス分布信号を前記所望の垂直ガラス分布信号と比較し、垂直ガラス分布誤差信号を発生する加算器と、パリソンがブロー成型される前のブロー型内における前記パリソンの延伸を、前記垂直ガラス分布誤差信号を減少させることになる仕方で変化させるように最終ブローの開始時刻のタイミングを変更するべく最終ブロー信号の開始時刻を提供するために、前記垂直ガラス分布誤差信号を用いるように構成および設定される最終ブロー制御器と、を備える、システム。
(態様2)前記システムは、パリソンがブロー成型される前のブロー型内における前記パリソンの前記延伸に影響を与えることになる陰圧を前記ブロー型に選択的に印加するように構成および設定され、前記最終ブロー制御器は、前記最終ブローの開始時刻の前記タイミングを変更する代わりに、またはそれに加えて、前記ブロー型に印加される陰圧の開始時刻のタイミングを変更するように構成および設定される、態様1に記載のシステム。
(態様3)前記最終ブロー制御器は、前記垂直ガラス分布誤差信号が、前記垂直ガラス分布は前記高温ガラス容器の下部においてはガラスが多すぎ、前記高温ガラス容器の上部においてはガラスが少なすぎることを示す場合には、前記最終ブローの開始時刻を早めるように構成および設定され、前記最終ブロー制御器は、前記垂直ガラス分布誤差信号が、前記垂直ガラス分布は前記高温ガラス容器の下部においてはガラスが少なすぎ、前記高温ガラス容器の上部においてはガラスが多すぎることを示す場合には、前記最終ブローの開始時刻を遅らせるように構成および設定される、態様1に記載のシステム。
(態様4)パリソン型の冷却時間を選択的に変化させるように構成および設定されるパリソン型冷却制御器を追加的に備える、態様1に記載のシステム。
(態様5)所望の最終ブロー信号の開始時刻と、前記最終ブロー信号の開始時刻を前記所望の最終ブロー信号の開始時刻と比較し、最終ブロー誤差信号を発生する加算器と、を追加的に備え、前記パリソン型冷却制御器は、前記パリソン型の前記冷却時間を、前記最終ブロー誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記最終ブロー誤差信号を用いるように構成および設定される、態様4に記載のシステム。
(態様6)前記パリソン型冷却制御器は、前記最終ブロー誤差信号が、前記最終ブローの開始時刻は所望よりも遅く生じることを示す場合には、前記パリソン型の前記冷却時間を延長するように構成および設定され、前記パリソン型冷却制御器は、前記最終ブロー誤差信号が、前記最終ブローの開始時刻は所望よりも早く生じることを示す場合には、前記パリソン型の前記冷却時間を短縮するように構成および設定される、態様5に記載のシステム。
(態様7)前記最終ブロー制御器は第1のフィードバックループ内に構成および設定され、前記パリソン型冷却制御器は第2のフィードバックループ内に構成および設定され、前記第2のフィードバックループは、前記第1のフィードバックループよりも比較的低速の応答を提供するように構成および設定される、態様5に記載のシステム。
(態様8)パリソン型のためのパリソン型温度設定値を提供するように構成および設定されるパリソン型冷却制御器と、パリソンの温度を変更するように構成および設定されるパリソン型温度制御器と、を追加的に備える、態様1に記載のシステム。
(態様9)前記パリソン型冷却制御器はパリソン型温度設定値信号を提供し、前記システムは、所望の最終ブロー信号の開始時刻と、前記最終ブロー信号の開始時刻を前記所望の最終ブロー信号の開始時刻と比較し、最終ブロー誤差信号を発生する加算器であって、前記パリソン型冷却制御器は、前記パリソン型温度設定値信号を、前記最終ブロー誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記最終ブロー誤差信号を用いるように構成および設定される加算器と、測定パリソン型温度信号を提供するパリソン型温度測定システムと、前記測定パリソン型温度信号を前記パリソン型温度設定値信号と比較し、パリソン型温度誤差信号を発生する加算器であって、前記パリソン型温度制御器は、前記パリソン型の冷却時間を、前記パリソン型温度誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記パリソン型温度誤差信号を用いるように構成および設定される加算器と、
を追加的に備える、態様8に記載のシステム。
(態様10)前記パリソン型冷却制御器はパリソン型温度変化設定値信号を提供し、前記システムは、所望の最終ブロー信号の開始時刻と、前記最終ブロー信号の開始時刻を前記所望の最終ブロー信号の開始時刻と比較し、最終ブロー誤差信号を発生する加算器であって、前記パリソン型冷却制御器は、前記パリソン型温度設定値信号を、前記最終ブロー誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記最終ブロー誤差信号を用いるように構成および設定される加算器と、パリソンが形成される前後における前記パリソン型内の温度変化の測定量を提供するパリソン型温度変化測定システムと、前記測定パリソン型温度変化信号を前記パリソン型温度変化設定値信号と比較し、パリソン型温度変化誤差信号を発生する加算器であって、前記パリソン型温度制御器は、前記パリソン型の冷却時間を、前記パリソン型温度誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記パリソン型温度変化誤差信号を用いるように構成および設定される加算器と、を追加的に備える、態様8に記載のシステム。
(態様11)パリソン温度設定値を提供するように構成および設定されるパリソン型冷却制御器と、前記パリソン型内で形成された後の前記パリソン型内におけるパリソンの接触時間を変更するように構成および設定されるパリソン型接触時間制御器と、を追加的に備える、態様1に記載のシステム。
(態様12)前記パリソン型冷却制御器はパリソン温度設定値信号を提供し、前記システムは、所望の最終ブロー信号の開始時刻と、前記最終ブロー信号の開始時刻を前記所望の最終ブロー信号の開始時刻と比較し、最終ブロー誤差信号を発生する加算器であって、前記パリソン型冷却制御器は、前記パリソン温度設定値信号を、前記最終ブロー誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記最終ブロー誤差信号を用いるように構成および設定される加算器と、それパリソンが形成された後のパリソンの温度の測定値を提供するパリソン温度測定システムと、前記パリソンの前記測定パリソン温度を前記パリソン温度設定値信号と比較し、パリソン温度誤差信号を発生する加算器であって、前記パリソン型温度制御器は、前記パリソン型内で形成された後の前記パリソン型内におけるパリソンの接触時間を、前記パリソン温度誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記パリソン温度誤差信号を用いるように構成および設定される加算器と、を追加的に備える、態様11に記載のシステム。
(態様13)パリソン温度設定値を提供するように構成および設定されるパリソン型冷却制御器と、
前記パリソン型内で形成されたパリソンの温度を変更するように構成および設定されるパリソン温度制御器と、を追加的に備える、態様1に記載のシステム。
(態様14)前記パリソン型冷却制御器はパリソン温度設定値信号を提供し、前記システムは、所望の最終ブロー信号の開始時刻と、前記最終ブロー信号の開始時刻を前記所望の最終ブロー信号の開始時刻と比較し、最終ブロー誤差信号を発生する加算器であって、
前記パリソン型冷却制御器は、前記パリソン温度設定値信号を、前記最終ブロー誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記最終ブロー誤差信号を用いるように構成および設定される加算器と、前記パリソン型内で形成された後のパリソンの温度の測定値を提供するパリソン温度測定システムと、前記測定パリソン温度を前記パリソン温度設定値信号と比較し、パリソン温度誤差信号を発生する加算器であって、前記パリソン温度制御器は、前記パリソン型の冷却時間を、前記パリソン温度誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記パリソン温度信号を用いるように構成および設定される加算器と、を追加的に備える、態様13に記載のシステム。
(態様15)垂直ガラス分布における欠陥を修正する方法であって、ブロー成型されたパリソン内の実際の垂直ガラス分布を示す測定ガラス分布信号を提供するステップと、所望の垂直ガラス分布信号を提供するステップと、前記測定ガラス分布信号を前記所望の垂直ガラス分布信号と比較し、垂直ガラス分布誤差信号を発生するステップと、パリソンがブロー成型される前のブロー型内における前記パリソンの延伸を、前記垂直ガラス分布誤差信号を減少させることになる仕方で変化させるように最終ブローの開始時刻のタイミングを変更するべく最終ブロー信号の開始時刻を提供するために、前記垂直ガラス分布誤差信号を用いるステップと、を備える、方法。
(態様16)パリソンがブロー成型される前のブロー型内における前記パリソンの前記延伸に影響を与えることになる陰圧が前記ブロー型に選択的に印加され、前記最終ブローの開始時刻の前記タイミングを変更する代わりに、またはそれに加えて、前記ブロー型に印加される前記陰圧の開始時刻のタイミングが用いられる、態様15に記載の方法。
(態様17)所望の最終ブロー信号の開始時刻を提供するステップと、前記最終ブロー信号の開始時刻を前記所望の最終ブロー信号の開始時刻と比較し、最終ブロー誤差信号を発生するステップと、前記パリソン型の冷却時間を、前記垂直ガラス分布誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記最終ブロー誤差信号を用いるステップと、を追加的に備える、態様15に記載の方法。
(態様18)パリソン型温度設定値信号を提供するステップと、測定パリソン型温度信号を提供するステップと、前記測定パリソン型温度信号を前記パリソン型温度設定値信号と比較し、パリソン型温度誤差信号を発生するステップと、前記パリソン型の冷却時間を、前記垂直ガラス分布誤差信号を減少させることになる仕方で変更するために、前記パリソン型温度誤差信号を用いるステップと、を追加的に備える、態様16に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】[0012]本発明の垂直ガラス分布順応制御システムの機能模式図である。
図2】[0013]ブランク温度フィードバックを追加した本発明の垂直ガラス分布順応制御システムの機能模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0014]本発明の垂直ガラス分布順応制御システムの第1の好ましい実施形態が図1に示されており、2つのフィードバック制御ループを含む。その一方は高速の応答を提供し、他方はより低速の応答を提供する。IS機によって製造された高温ガラス容器の垂直ガラス分布20がガラス分布測定システム22によって特定される。ガラス分布測定システム22は測定ガラス分布信号24を出力として提供する。ガラス分布測定システム22は、温度または厚みのいずれかであってよい信号を提供する。底部が低温であることと底部が薄いことをより良く識別するために何らかのデータ処理が必要とされてよい。ガラス分布測定システム22は、欧州特許出願公開第09075545.5号、米国特許出願第12/963,370号、および米国特許出願第12/963,405号に記載されており、それらの文献はすべてその全体が本願明細書において参照により援用されている。
【0014】
[0015]測定ガラス分布信号24は加算器28において所望のガラス分布信号26と比較され、垂直ガラス分布誤差信号30をフィードバックとして生成する。垂直ガラス分布誤差信号30は最終ブロー制御器32に提供される。非ゼロの垂直ガラス分布誤差信号30に応答して、最終ブロー制御器32は最終ブローの開始時刻34のタイミングを変更する。タイミングは、最終ブローの開始時刻を調整することによって、非ゼロの垂直ガラス分布誤差信号30をゼロへ向かわせようと試みるように設定される。最終ブローの開始時刻34のタイミングの変化はブロー型内のパリソンの物理的延伸プロセス36に影響を与えることになり、それは、最終ブロー作業38の後の、ブロー成型されたパリソンの垂直ガラス分布20に直接的な影響を及ぼすことになる。一変形例では、最終ブローの開始時刻34の代わりに、またはそれに加えて、ブロー型に印加される陰圧の開始時刻に対する調整が用いられてよい。
【0015】
[0016]ガラス分布測定システム22によって特定された垂直ガラス分布が、高温ガラス容器の下部ではガラスが多すぎ、高温ガラス容器の上部ではガラスが少なすぎる場合には、最終ブローの開始時刻34は早められることになる。それにより、パリソンがブロー成型される前に、パリソンが延伸プロセス36においてブロー型内で延伸するために与える時間を減らす。逆に、ガラス分布測定システム22によって特定された垂直ガラス分布が、高温ガラス容器の下部ではガラスが少なすぎ、高温ガラス容器の上部ではガラスが多すぎる場合には、最終ブローの開始時刻34はさらに遅らせられることになる。それにより、パリソンがブロー成型される前に、パリソンが延伸プロセス36においてブロー型内で延伸するために与える時間を増やす。
【0016】
[0017]ここまで記載した通りの本発明の垂直ガラス分布順応制御システムは第1のフィードバック制御ループを構成し、このフィードバックループは比較的迅速な応答を提供することになる。図1に示されるように、第2のフィードバック制御ループが設けられてもよい。第2のフィードバック制御ループは、パリソンがパリソン型から抜ける際のパリソンの熱状態を制御するために用いられる。
【0017】
[0018]第2のフィードバック制御ループでは、最終ブロー制御器32によって算出された実際の最終ブローの開始時刻34が加算器42において所望の最終ブローの開始時刻40から減じられ、最終ブロー誤差信号44をフィードバックとして生成する。最終ブロー誤差信号44はパリソン型冷却制御器46に提供される。最終ブロー誤差信号44に応答して、パリソン型冷却制御器46はパリソン型の冷却時間48を変更する。冷却時間48は、最終ブロー誤差信号44をゼロへ向かわせようと試み、それにより、パリソンの冷却を調整するように設定される。パリソン型の冷却時間48の変化はパリソン型温度50に影響を与えることになり、それはパリソン熱除去プロセス52を変更することになる。このパリソン熱除去プロセス52の変化はパリソン熱状態54に影響を与え、その結果、延伸プロセス36に影響を及ぼすことになり、それは、上述されたように、最終ブロー作業38の後の、ブロー成型されたパリソンの垂直ガラス分布20に直接的な影響を及ぼすことになる。
【0018】
[0019]これで第2のフィードバック制御ループは完成であり、このフィードバック制御ループは比較的より低速の応答を提供することになる。パリソン型の冷却を調整する結果、第2のフィードバック制御ループによってもたらされる延伸プロセス36の変化が、測定ガラス分布信号24に変化を生じさせることになり、それが、最終ブロー制御器32に対して最終ブローの開始時刻34を変化させるように作用することになるので、第1および第2のフィードバックループは関連している。時間とともに、2つのフィードバック制御ループはプロセスをその公称動作条件に戻すように作用することになる。第1のフィードバック制御ループは、ガラス分布測定システム22によって特定された垂直ガラス分布誤差に対する、より高速の応答を提供する。第2のフィードバック制御ループは、より低速であるが、プロセスをその公称動作条件に最終的に戻すことになる応答を提供する。
【0019】
[0020]本発明の垂直ガラス分布順応制御システムの第2の好ましい実施形態が図3に示されており、第2のフィードバック制御ループ内に設けられる第3のフィードバック制御ループを含む。この第3のフィードバック制御ループでは、パリソン型温度測定システム60を用いてブランク温度の追加測定が行われる。パリソン型温度測定システム60は測定パリソン型温度62を特定し、それを出力として提供する。
【0020】
[0021]パリソン型冷却制御器46は、図1のシステムにおけるようにパリソン型48の冷却時間を提供する代わりに、パリソン型温度設定値64を計算する。パリソン型温度測定システム60によって提供された測定パリソン型温度62は加算器66においてパリソン型温度設定値64から減じられ、パリソン型温度誤差信号68をフィードバックとして生成する。パリソン型温度誤差信号68はパリソン型温度制御器70に提供される。パリソン型温度誤差信号68に応答して、パリソン型温度制御器70はパリソン型の冷却時間72を変更する。冷却時間72は、パリソン型の冷却72を調整することによってパリソン型温度誤差信号68をゼロへ向かわせようと試みるように設定される。パリソン型の冷却時間72の変化は、パリソン型温度50、およびそれ故、パリソン型温度測定システム60によって特定される測定パリソン型温度62に影響を与えることになる。
【0021】
[0022]これで第3のフィードバック制御ループは完成であり、このフィードバック制御ループはパリソン型温度誤差信号68をゼロへ向かわせようと試みることになる。3つのフィードバックループはすべて関連していることを理解されたい。
【0022】
[0023]代替として、第3のフィードバック制御ループは、パリソンが形成される前後の型内の温度変化を制御するために用いられることもできよう。パリソン型によってパリソンに与えられる冷却の程度は、パリソンがブロー成型された後のパリソン型内におけるパリソン接触時間を変化させることによって変化させてもよい。もう一つのアプローチは、パリソン型の温度を用いる代わりに、パリソンの温度を測定してそれを用いることであろう。
【0023】
[0024]図1の構成または図2の構成のいずれかにおいて、本発明の垂直ガラス分布順応制御システムは、垂直ガラス分布が測定強度と相関性がある赤外線カメラシステムを用いることができよう。垂直ガラス分布順応制御システムは、最終ブローに加えて、またはその代わりとして、陰圧のタイミングを含むように拡張または変更されることもできよう。本願明細書に記載されているフィードバック制御ループのいずれかを単独で用いることも、または任意の対を一緒に用いることも、あるいはこの第2の実施形態に記載されている3つをすべて一緒に用いることも可能であろう。
【0024】
[0025]上述した本発明の垂直ガラス分布順応制御システムの説明は、特定の実施形態およびそれらの適用物を参照して示され、記載されているが、それは例示および説明の目的で提示されているのであって、網羅的になるように、または開示されている特定の実施形態および適用物に本発明を限定するように意図されているものではない。本願明細書に記載されている通りの本発明に対する数多くの変更、修正、変形、または改変がなされてよく、それらはいずれも本発明の趣旨または範囲から逸脱しないことは当業者には明らかであろう。特定の実施形態および適用物は、本発明の原理およびその実際の適用の最良の例示を提供し、それにより、当業者が本発明を種々の実施形態で、および企図される特定の用途に適するように種々の修正を行って利用できるように、選ばれ記載された。従って、こうした変更、修正、変形、改変はすべて、公正に、法律的に、且つ衡平的に認められる範囲に従って添付の特許請求の範囲を解釈したときにそれらの特許請求の範囲によって定められる通りの本発明の範囲に入ると見なされるべきである。
図1
図2