特許第5946483号(P5946483)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5946483
(24)【登録日】2016年6月10日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】カレントセンシング
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/06 20060101AFI20160623BHJP
   G11C 13/00 20060101ALI20160623BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   G11C17/00 634C
   G11C13/00 215
   G11C13/00 400B
   G11C13/00 400E
   G11C13/00 400Z
   G11C17/00 622E
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-24479(P2014-24479)
(22)【出願日】2014年2月12日
(65)【公開番号】特開2015-153434(P2015-153434A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2014年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】511062254
【氏名又は名称】ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】荒川 賢一
【審査官】 滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−500727(JP,A)
【文献】 特開平10−228792(JP,A)
【文献】 特開平10−031897(JP,A)
【文献】 特開平06−176585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/06
G11C 13/00
G11C 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と第1のノードとの間に第1のMOSトランジスタを含み、ビット線のプリチャージ期間中、第1のMOSトランジスタは、ゲートに第1の電圧を印加されることで第1のノードをプリチャージし、プリチャージ期間後の放電期間中、第1のMOSトランジスタは、ゲートに第2の電圧を印加されることでプリチャージのときよりも小さくかつ設定された検出すべき電流値に対応する定電流を第1のノードに供給可能な第1の供給回路と、
第1のノードとビット線との間に接続された第2のMOSトランジスタを含み、第2のMOSトランジスタは、プリチャージ期間中、第1のノードにプリチャージされた電圧により前記ビット線をプリチャージし、かつ前記ビット線がプリチャージ電圧にプリチャージされた後に非導通状態となることで前記ビット線をフローティング状態にし、放電期間中、前記ビット線の電流が放電されたとき、第1のノードに供給された定電流を前記ビット線に供給可能な第2の供給回路と、
第1のノードに接続され、第1の供給回路から供給された定電流よりも大きな電流が前記ビット線から放電されたか否かを判定する判定回路と、
前記ビット線の電圧を監視する監視回路とを含み、
前記監視回路は、第2のMOSトランジスタのゲートに接続された第2のノードを含み、かつ前記ビット線が前記プリチャージ電圧にプリチャージされたことに応答して第2のMOSトランジスタが非導通状態となる電圧を第2のノードに生成し、放電期間中、前記ビット線がプリチャージ電圧よりも降下されたことに応答して第2のMOSトランジスタが導通状態となる電圧を第2のノードに生成する、電流検出回路。
【請求項2】
前記監視回路は、プリチャージ期間中、第2のMOSトランジスタのしきい値Vthよりも大きな電圧を第2のノードに生成させ、これにより前記しきい値Vthだけ小さいプリチャージ電圧を前記ビット線に設定し、前記監視回路は、前記ビット線が前記プリチャージ電圧に到達したとき第2のノードに前記プリチャージ電圧と等しい電圧を生成する、請求項1に記載の電流検出回路。
【請求項3】
前記監視回路は、電源と基準電位との間に直列に接続された第3のMOSトランジスタと第4のMOSトランジスタとを含み、第2のノードは、第3のMOSトランジスタと第4のMOSトランジスタとの間に形成され、第4のMOSトランジスタのゲートに前記ビット線の電圧がフィードバック接続され、第2のMOSトランジスタの前記しきい値Vthは、第4のMOSトランジスタのしきい値と等しく、放電期間中、前記ビット線の電圧が第4のMOSトランジスタのしきい値よりも低下したとき第4のMOSトランジスタが非導通にされ、第2のノードの電圧が上昇される、請求項2に記載の電流検出回路。
【請求項4】
前記判定回路は、第1のノードの電圧がゲートに接続された感知トランジスタを含み、当該感知トランジスタは、第1のノードの電圧に応じた電圧を第3のノードに生成する、請求項1ないし3いずれか1つに記載の電流検出回路。
【請求項5】
前記判定回路はさらに、電源と基準電位との間に、前記感知トランジスタに直列に接続された第5のMOSトランジスタを含み、前記感知トランジスタと第5のトランジスタとの間に前記第3のノードが形成され、プリチャージ期間中、第5のトランジスタは非導通であり、放電期間中、第5のトランジスタは導通である、請求項4に記載の電流検出回路。
【請求項6】
第1の供給回路は、検出すべき電流値を設定するためのデータをプログラム可能な記憶回路を含み、第1の供給回路は、記憶されたデータに基づき定電流を第1のノードに供給する、請求項1に記載の電流検出回路。
【請求項7】
複数のメモリセルが形成されたメモリアレイと、
前記メモリアレイの複数のビット線に接続されたセンス回路と有し、
前記センス回路は、請求項1ないし6いずれか1つに記載の電流検出回路を複数含み、複数の電流検出回路の各々が各ビット線に接続される、半導体記憶装置。
【請求項8】
前記メモリアレイは、メモリセルが直列に接続されたNANDストリングを有し、
前記複数の電流検出回路は、NANDストリングが接続されたビット線のそれぞれに接続される、請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記複数の電流検出回路は、選択されたページの読出し動作時において、プリチャージ期間中に、第1のノードにプリチャージ電圧を供給し、ビット線のディスチャージ期間中に、第1のノードに定電流を供給する、請求項8に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記電流検出回路の定電流は、消去セルを流れる電流の最小値よりも小さい値に設定される、請求項8または9に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記複数の電流検出回路は、選択されたページの読出し結果を保持するためのラッチ回路を備える、請求項8ないし10いずれか1つに記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記メモリセルは、可逆的かつ不揮発性のデータを記憶する可変抵抗素子であり、
前記複数の電流検出回路は、前記可変抵抗素子が接続されたビット線のそれぞれに接続される、請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記複数の電流検出回路の定電流は、セットされた可変抵抗素子が流す電流とリセットされた可変抵抗素子が流す電流との間に設定される、請求項12に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビット線に流れる電流を検出するカレントセンシングに関し、特に半導体記憶装置の電流検出型のセンス回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のフラッシュメモリのビット線選択回路およびページバッファ/センス回路の一例を示す図であり、ここには、一対のビット線として、偶数ビット線GBL_eと奇数ビット線GBL_oが例示されている。ビット線選択回路10は、偶数ビット線GBL_eに接続された偶数選択トランジスタSEL_eと、奇数ビット線GBL_oに接続された奇数選択トランジスタSEL_oと、偶数ビット線GBL_eと仮想電位VIRとの間に接続された偶数バイアス選択トランジスタYSEL_eと、奇数ビット線GBL_oと仮想電位VIRとの間に接続された奇数バイアス選択トランジスタYSEL_oと、偶数選択トランジスタSEL_eおよび奇数選択トランジスタSEL_oの共通ノードN1に接続されたビット線選択トランジスタBLSとを有する。偶数ビット線GBL_eおよび奇数ビット線GBL_oと共通のソース線SLとの間にNANDストリングNUが接続される。
【0003】
センス回路20は、ビット線にプリチャージ電位を供給するためのプリチャージトランジスタBLPREと、プリチャージトランジスタBLPREとビット線選択トランジスタBLSとの間に形成されるセンスノードSNに接続されたキャパシタCと、センスノードSNの電位をラッチ回路12へ転送する転送トランジスタBLCD等を有する。
【0004】
偶数ビット線GBL_eが選択されるとき、奇数ビット線GBL_oが非選択とされ、偶数選択トランジスタSEL_e、ビット線選択トランジスタBLSがオンし、奇数選択トランジスタSEL_oがオフする。また、奇数ビット線GBL_oが選択されるとき、偶数ビット線GBL_eが非選択とされ、奇数選択トランジスタSEL_o、ビット線選択トランジスタBLSがオンし、偶数選択トランジスタSEL_eがオフする。こうして、1つのセンス回路10は、2本のビット線GBL_eおよびGBL_oに共通に使用される。
【0005】
読出し動作において、偶数ビット線GBL_eが選択され、偶数バイアストランジスタYSEL_eがオフし、奇数バイアストランジスタYSEL_oがオンし、奇数ビット線GBL_oには仮想電位VIRによりGND電位が供給される。反対に、奇数ビット線GBL_oが選択されるとき、偶数バイアストランジスタYSEL_eがオンし、奇数バイアストランジスタYSEL_oがオフし、偶数ビット線GBL_eには仮想電位VIRによりGND電位が供給される。このように、偶数ビット線の読出しを行うとき、奇数ビット線にGND電位を供給し、奇数ビット線の読出しを行うとき、偶数ビット線にGND電位を供給することで、隣接するビット線間の容量結合によるノイズを低減するビット線シールドが特許文献1等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−176177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図1に示すセンス回路20は、いわゆる電圧検出型のセンス回路であり、偶数ビット線GBL_eまたは奇数ビット線GBL_oにプリチャージトランジスタBLPRE等を介してプリチャージ電位を供給し、その後、選択されたメモリセルの記憶状態に応じてビット線を放電させ、その放電状態をセンスノードSNで検出する。
【0008】
しかしながら、このような電圧検出型のセンス回路は、ビット線が微細な構成になると、センシングの時間の短縮を図ることが難しくなるという課題がある。すなわち、ビット線の線幅やビット線の間隔がより微細になると、ビット線の抵抗が大きくなり、かつビット線間の容量結合も大きくなるので、ビット線を一定電圧にプリチャージするのに時間がかかってしまう。特に、ビット線シールド読出しでは、隣接するビット線がGNDにシールドされるので、選択ビット線へのプリチャージ時間が長くなってしまう。
【0009】
他方、消去されたメモリセルのしきい値にはバラツキがあり、読出し動作時に、ビット線を流れる電流は必ずしも一定ではない。従って、電圧検出型のセンス回路に代えて電流検出型のセンス回路を用いた場合であっても、ビット線を流れる微小な電流を判定する能力が要求される。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決し、微細なビット線構造を流れる電流を高速に検出することができる電流検出回路を提供することを目的とする。
さらに本発明は、電流検出型のセンス回路を有する半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電流検出回路は、検出すべき電流値を設定可能であり、設定された電流値に対応する定電流を第1のノードに供給可能な第1の供給回路と、第1のノードとビット線との間に接続され、前記ビット線の電流が放電されたとき、第1のノードに供給された電流を前記ビット線に供給可能な第2の供給回路と、第1のノードに接続され、第1の供給回路から供給された定電流よりも大きな電流が前記ビット線から放電されたか否かを判定する判定回路とを有する。
【0012】
好ましくは、第1の供給回路はさらに、第1のノードをプリチャージ可能であり、第2の供給回路は、第1のノードにプリチャージされた電圧により前記ビット線をプリチャージする。好ましくは前記判定回路は、第1のノードの電圧がゲートに接続された感知トランジスタを含み、当該感知トランジスタは、第1のノードの電圧に応じた電圧を第2のノードに生成する。好ましくは第2の供給回路は、第1のノードと前記ビット線との間に接続されたMOSトランジスタと、前記ビット線の電圧を監視する監視回路とを含み、前記監視回路は、前記ビット線の電圧が降下されたとき、前記MOSトランジスタの抵抗が小さくする。好ましくは第1の供給回路は、検出すべき電流値を設定するためのデータをプログラム可能な記憶回路を含み、第1の供給回路は、記憶されたデータに基づき定電流を第1のノードに供給する。好ましくは第1の供給回路は、電源と第1のノードとの間に接続されたMOSトランジスタを含み、当該MOSトランジスタは、ゲートに印加される電圧によって第1のノードに定電流を供給する。
【0013】
本発明に係る半導体記憶装置は、複数のメモリセルが形成されたメモリアレイと、前記メモリアレイの複数のビット線に接続されたセンス回路と有し、前記センス回路は、上記構成の電流検出回路を複数含み、複数の電流検出回路の各々が各ビット線に接続される。
【0014】
好ましくは前記メモリアレイは、メモリセルが直列に接続されたNANDストリングを有し、前記複数の電流検出回路は、NANDストリングが接続されたビット線のそれぞれに接続される。好ましくは前記複数の電流検出回路は、選択されたページの読出し動作時において、プリチャージ期間中に、第1のノードにプリチャージ電圧を供給し、ビット線のディスチャージ期間中に、第1のノードに定電流を供給する。好ましくは前記電流検出回路の定電流は、消去セルを流れる電流の最小値よりも小さい値に設定される。好ましくは前記複数の電流検出回路は、選択されたページの読出し結果を保持するためのラッチ回路を備える。
【0015】
他の好ましい態様では、前記メモリセルは、可逆的かつ不揮発性のデータを記憶する可変抵抗素子であり、前記複数の電流検出回路は、前記可変抵抗素子が接続されたビット線のそれぞれに接続される。好ましくは前記複数の電流検出回路の定電流は、セットされた可変抵抗素子が流す電流とリセットされた可変抵抗素子が流す電流との間に設定される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、微細なビット線構造に流れる電流を高速に検出することができる。さらに、電流検出回路を備えた半導体記憶装置において、データの読出しに要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来のフラッシュメモリのビット線選択回路およびページバッファ/センス回路の一例を示す図である。
図2】本発明の実施例に係るフラッシュメモリの一構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の実施例に係るフラッシュメモリのNANDストリングの構成を示す回路図である。
図4】本発明の実施例に係るフラッシュメモリの各動作時に各部に印加される電圧の一例を示すテーブルである。
図5】本発明の実施例に係るページバッファ/センス回路の構成を示す回路図である。
図6】本発明の実施例に係るページバッファ/センス回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図7】選択メモリセルが消去セルであるときの電流ICELLとターゲットとの関係を説明する図である。
図8図8(A)消去セルとプログラムセルのビット線間の放電時の容量結合を説明する図、図8(B)は、消去セルとプログラムセルのビット線の電圧の降下を示すグラフである。
図9】本発明の第2の実施例に係るページバッファ/センス回路の構成を示す回路図である。
図10】本発明の第3の実施例に係る抵抗変化型メモリのアレイの一例を示す図である。
図11】抵抗変化型メモリの可変抵抗素子のセット/リセット時に流れる電流と分布との関係を示すグラフである。
図12】本発明の第3の実施例に係る抵抗変化型メモリのセンス回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施態様として、電流検出型のセンス回路を用いた半導体記憶装置として、フラッシュメモリおよび抵抗変化型メモリを例示し、これらを説明する。
【実施例】
【0019】
図2に、本発明の実施例に係るフラッシュメモリの構成例を示す。但し、ここに示すフラッシュメモリは例示であり、本発明は、必ずしもこのような構成に限定されるものではない。本実施例のフラッシュメモリ100は、行列状に配列された複数のメモリセルが形成されたメモリアレイ110と、外部入出力端子I/Oに接続され入出力データを保持する入出力バッファ120と、入出力バッファ120からのアドレスデータを受け取るアドレスレジスタ130と、入出力されるデータを保持するデータレジスタ140、入出力バッファ120からのコマンドデータおよび外部制御信号(図示されないチップイネーブルやアドレスラッチイネーブル等)に基づき各部を制御する制御信号C1、C2、C3等を供給するコントローラ150と、アドレスレジスタ130からの行アドレス情報Axをデコードしデコード結果に基づきブロックの選択およびワード線の選択等を行うワード線選択回路160と、ワード線選択回路160によって選択されたページから読み出されたデータを保持したり、選択されたページへの書込みデータを保持するページバッファ/センス回路170と、アドレスレジスタ130からの列アドレス情報Ayをデコードし当該デコード結果に基づきページバッファ170内の列データを選択する列選択回路180と、データの読出し、プログラムおよび消去等のために必要な電圧(プログラム電圧Vpgm、パス電圧Vpass、読出しパス電圧Vread、消去電圧Versなど)を生成する内部電圧発生回路190とを含んで構成される。
【0020】
メモリアレイ110は、列方向に配置された複数のブロックBLK(0)、BLK(1)、・・・、BLK(m)を有する。ブロックの一方の端部には、ページバッファ/センス回路170が配置される。但し、ページバッファ/センス回路170は、ブロックの他方の端部、あるいはの両側の端部に配置されるものであってもよい。
【0021】
1つのメモリブロックには、図3に示すように、複数のメモリセルを直列に接続したNANDストリングユニットNUが複数形成され、1つのメモリブロック内にn+1個のストリングユニットNUが行方向に配列されている。セルユニットNUは、直列に接続された複数のメモリセルMCi(i=0、1、・・・、31)と、一方の端部であるメモリセルMC31のドレイン側に接続された選択トランジスタTDと、他方の端部であるメモリセルMC0のソース側に接続された選択トランジスタTSとを含み、選択トランジスタTDのドレインは、対応する1つのビット線GBLに接続され、選択トランジスタTSのソースは、共通のソース線SLに接続される。
【0022】
メモリセルMCiのコントロールゲートは、ワード線WLiに接続され、選択トランジスタTD、TSのゲートは、ワード線WLと並行する選択ゲート線SGD、SGSに接続される。ワード線選択回路160は、行アドレスAxに基づきメモリブロックを選択するとき、当該メモリブロックの選択ゲート信号SGS、SGDを介して選択トランジスタTD、TSを選択的に駆動する。
【0023】
メモリセルは、典型的に、Pウエル内に形成されたN型の拡散領域であるソース/ドレインと、ソース/ドレイン間のチャンネル上に形成されたトンネル酸化膜と、トンネル酸化膜上に形成されたフローティングゲート(電荷蓄積層)と、フローティングゲート上に誘電体膜を介して形成されたコントロールゲートとを含むMOS構造を有する。フローティングゲートに電荷が蓄積されていないとき、つまりデータ「1」が書込まれているとき、しきい値は負状態にあり、メモリセルは、ノーマリオンである。フローティングゲートに電子が蓄積されたとき、つまりデータ「0」が書込まれているとき、しきい値は正にシフトし、メモリセルは、ノーマリオフである。
【0024】
図4は、フラッシュメモリの各動作時に印加されるバイアス電圧の一例を示したテーブルである。読出し動作では、ビット線に或る正の電圧を印加し、選択されたワード線に或る電圧(例えば0V)を印加し、非選択ワード線にパス電圧Vpass(例えば4.5V)を印加し、選択ゲート線SGD、SGSに正の電圧(例えば4.5V)を印加し、ビット線選択トランジスタTD、ソース線選択トランジスタTSをオンし、共通ソース線に0Vを印加する。プログラム(書込み)動作では、選択されたワード線に高電圧のプログラム電圧Vprog(15〜20V)を印加し、非選択のワード線に中間電位(例えば10V)を印加し、ビット線選択トランジスタTDをオンさせ、ソース線選択トランジスタTSをオフさせ、「0」または「1」のデータに応じた電位をビット線GBLに供給する。消去動作では、ブロック内の選択されたワード線に0Vを印加し、Pウエルに高電圧(例えば20V)を印加し、フローティングゲートの電子を基板に引き抜くことで、ブロック単位でデータを消去する。
【0025】
本実施例の好ましい態様では、フラッシュメモリ100は、図1に示す従来のフラッシュメモリようなビット線選択回路10を備えていない。すなわち、本実施例のフラッシュメモリ100は、読出し動作において偶数ビット線と奇数ビット線の選択を行わず、すべてのビット線(オールビット線)を同時に選択する。それ故、本実施例のページバッファ/センス回路170は、すべてのビット線に対し一対一の関係で用意され、図3に示すように、1つのブロックにn+1個のビット線があるとき、ページバッファ/センス回路170は、n+1個のビット線に接続されたn+1個のセンスアンプを備える。
【0026】
図5に、本実施例のページバッファ/センス回路170を示す。このページバッファ/センス回路170は、1つのビット線に接続されたものである。パージバッファ/センス回路170は、VDD電源(例えば、2V)と基準電位(GND)との間に直列に接続されたP型のMOSトランジスタTP1と、N型のMOSトランジスタTN1と、VDD電源(例えば、2V)と基準電位(GND)との間に直列に接続されたP型のMOSトランジスタTP2と、N型のMOSトランジスタTN2と、VDD電源(例えば、2V)とノードSNSとの間に接続されたP型のMOSトランジスタTP3と、センスノードSNSとノードTOBLとの間に接続されたN型のMOSトランジスタTN3と、ノードSENSEに接続された転送トランジスタTN4と、転送トランジスタTN4に接続されたラッチ回路172とを含んで構成される。
【0027】
トランジスタTP1、TN2、TP3、TN4の各ゲートには、コントローラ150から供給される駆動信号IREFA、IREFB、IREFC、BLCDが接続され、トランジスタTP1、TN2、TP3、TN4の動作が制御される。トランジスタTP1とトランジスタTN1とを接続するノードN1がトランジスタTN3のゲートに接続される。ビット線GBLに接続されたノードTOBLがトランジスタTN1のゲートにフィードバック接続される。
【0028】
トランジスタTP1は、駆動信号IREFBに応じてノードN1に一定の電流を供給する電流源として働く。好ましくは、トランジスタTP1は、プリチャージ期間中、トランジスタTN3のしきい値VTHTN3よりも僅かに大きな値(VTHTN3+α(α=0.1〜0.2V))がノードTOBLまたはビット線GBLにプリチャージされるようにゲート電圧CASを設定し、また、ディスチャージ期間中、電流源として機能するトランジスタTP3から供給される電流ITP3を流すことができるようにゲート電圧CASを設定する。トランジスタTN3は、プリチャージ期間中、ゲート電圧CASに従いノードTOBLまたはビット線GBLのプリチャージ電圧を設定する。
【0029】
オールビット線方式の読出しでは、すべてのビット線がほぼ同時にほぼ同電位にプリチャージされるため、ビット線シールド方式のときに生じる、ビット線間の容量結合による負荷をほとんど無視することができる。つまり、ビット線シールド方式では、選択されたビット線にプリチャージされた電圧が、隣接する非選択のビット線のGND電位によって上昇され難くなってしまう。それ故、本実施例のセンス回路は、ビット線シールド方式または電圧検出型と比較して、プリチャージ電圧を小さくすることが可能であり、プリチャージ電圧を小さくすることで、ビット線へのプリチャージ時間を短縮させることができる。
【0030】
トランジスタTP3は、駆動信号IREFAにより制御され、プリチャージ期間中、ノードSNSにVDD電圧をプリチャージし、ディスチャージ期間中、ノードSNSに微小な電流ITP3を供給する電流源として機能する。この電流ITP3は、後に説明されるように、センス回路が検出するターゲットの電流を決定する。
【0031】
トランジスタTP2のゲートは、ノードSNSに接続される。プリチャージ期間中、ノードSNSがVDD電圧となり、トランジスタTP2がオフされる。また、ディスチャージ期間中、選択メモリセルの記憶状態に応じて変化するビット線GBLまたはノードTOBLの電位に対応した電位がノードSNSに表れ、この電位によってトランジスタTP2がオンまたはオフされる。これにより、ノードSENSEには、データ「0」または「1」に応じた電圧が生成される。また、トランジスタTP2とグランドとの間にはトランジスタTN2が接続され、そのゲートには駆動信号IREFCが供給される。ディスチャージ期間中、トランジスタTN2は駆動信号IREFCによってオン状態にされる。
【0032】
ノードSENSEはさらに、トランジスタTN4に接続される。トランジスタTN4のゲートには、駆動信号BLCDが接続され、センシング期間に、駆動信号BLCDがハイレベルに遷移され、ノードSENSEの電位がラッチ回路172へ転送される。ラッチ回路172は、ノードSENSEから受け取った電位に基づきデータ「0」、または「1」を保持し、これをデータ線DL、/DLに出力する。
【0033】
トランジスタTN1のゲートには、ノードTOBLがフィードバック接続される。トランジスタTN1は、ノードTOBLの電圧を監視し、ノードTOBLの電圧に応じてオンまたはオフされる。具体的には、ディスチャージ期間中に、プログラムされたメモリセルのビット線の電圧が、消去されたメモリセルのビット線の電圧降下に容量結合されて一時的に降下され、そのとき、トランジスタTN1がオフされる。トランジスタTN1がオフすることで、ノードN1のゲート電圧CASが上昇され、トランジスタTN3のコンダクタンスが低減される。プログラムされたメモリセルのビット線の電圧が元の電圧に回復するまで、実質的にビット線のセンシングを行うことができないが、このようなフィードバック接続は、プログラムされたメモリセルのビット線の降下した電圧が回復する時間を短縮させ、その結果、センシングするまでの時間が短縮される。
【0034】
次に、本実施例のページバッファ/センス回路の動作を図6に示すタイミングチャートを参照して説明する。コントローラ150は、入出力バッファを介して読出し動作のコマンドやアドレス情報を受け取ると、読出し動作のために各部を制御する。
【0035】
時刻T1〜T2は、プリチャージ期間である。ソース線SLには0Vが供給される。駆動信号IREFAがVDDから0Vに遷移され、トランジスタTP3がフルにオン状態となり、ノードSNSにはVDD電圧がプリチャージされる。駆動信号IREFBは、時刻T1において0Vから一定のバイアス電圧に遷移され、トランジスタTP1を電流源として機能させる。
【0036】
好ましい態様では、トランジスタTP1から供給される電流は、トランジスタTP3が電流源として機能するときにそこから供給される電流ITP3とほぼ等しい電流である。時刻T1で、ノードTOBLは0Vであり、トランジスタTN1はオフである。このとき、トランジスタTN3のゲートに供給されるCAS電圧は、ノードTOBLまたはビット線GBLにVTHTN3+α(α=0.1〜0.2V)のプリチャージ電圧を設定するような大きさである。すなわち、CAS電圧は、2VTHTN3+αに設定される。トランジスタTN3のゲート・ソース間電圧がトランジスタTN3のしきい値VTHTN3よりも高い間、トランジスタTN3が導通し、ノードSNSにプリチャージされた電荷がノードTOBLへ転送される。こうして、ノードTOBLおよびビット線GBLは、VTHTN3+αの電圧にプリチャージされる。
【0037】
ノードTOBLがプリチャージ電圧に達すると、トランジスタTN1がオンし、これによりゲート電圧CASが降下される。例えば、しきい値VTHTN1=しきい値VTHTN3であるとき、ゲート電圧CASは、VTHTN3+αとなる。また、トランジスタTN3が非道通状態となり、ビット線GBLがフローティング状態となる。プリチャージ期間中、駆動信号IREFC、BLCDは、0Vであり、トランジスタTN2、TN4はオフである。
【0038】
時刻T2から時刻T3がディスチャージ期間である。時刻T2で、駆動信号IREFAが0Vから所定のバイアス電圧に遷移される。ディスチャージ期間中、トランジスタTP3は電流源として機能し、電流ITP3を供給する。電流ITP3は、センス回路が検出するターゲット電流を決定する。言い換えれば、フラッシュメモリの読出し動作時にNANDストリング(選択メモリセルが消去セル)を流れる電流をICELLとしたとき、ITP3は、ICELLの電流を検出することができる大きさに設定される。例えば、選択メモリセルが消去セルであるNANDストリングを流れる電流が約0.2μAであれば、ITP3=0.1μAに設定される。但し、消去セルのしきい値にはバラツキがあり、深く消去されたメモリセルでは大きな電流が流れ、浅く消去されたメモリセルでは小さな電流が流れるので、ITP3は、浅く消去されたメモリセルの電流を検出することができる大きさに設定される。
【0039】
一方、ワード線選択回路160は、選択されたブロックの選択されたワード線に0Vを印加し、非選択のワード線にパス電圧(例えば、4.5V)を印加する。選択メモリセルがプログラムセル(データ「0」)であれば、選択メモリセルは、選択ワード線に印加された0Vではオンしない。このため、NANDストリングは導通せず、ビット線GBL、ノードTOBLの電圧は変化しない。それ故、トランジスタTN3は導通せず、ノードSNSの電圧も変化せず、トランジスタTP2はオフのままである。また、時刻T2で、駆動信号IREFCが0Vから所定の電圧V1(V1>VTHTN2)に遷移し、トランジスタTN2が一定のバイアス電流を流すように、トランジスタTN2をオンさせる。例えば、トランジスタTN2は、トランジスタTP3の電流ITP3と等しいバイアス電流を流すように設定される。こうして、ノードSENSEがGNDに引かれる。従って、トランジスタTP2がオフであれば、ノードSENSEは、ローレベルのままである。
【0040】
選択メモリセルが消去セル(データ「1」)であれば、選択メモリセルは、選択ワード線に印加されたパス電圧によってオンし、NANDストリングが導通する。このため、ビット線GBL/ノードTOBLの電荷がソース線SLに放電される。ノードTOBLの電圧降下に応答して、トランジスタTN3のゲート・ソース間電圧がしきい値VTHTN3よりも大きくなると、トランジスタTN3が導通し、ノードSNSの電圧が降下するが、同時に、ノードSNSにはトランジスタTP3から電流ITP3が供給される。すなわち、トランジスタTP3の電流ITP3よりも大きな電流がソース線SLに放電された場合、ノードSNSの電圧が降下する。トランジスタTP3の電流ITP3と等しいかそれよりも小さな電流がソース線SLに放電された場合、ノードSNSの電圧が変化しない。ノードSNSがしきい値電圧VTHTP2以下になったとき、トランジスタTP2がオンし、ノードSENSEの電圧がハイレベルに上昇される。ノードSENSEの電圧は、トランジスタTP2とトランジスタTN2とのレシオによって決定される。
【0041】
図7に、消去セル(データ「1」)の電流ICELLの分布を示す。メモリセルには、製造時のバラツキ等があるため、消去セルのしきい値にも幅がある。深く消去されたメモリセルのしきい値が大きく、電流ICELLが大きくなり、反対に浅く消去されたメモリセルのしきい値は小さく、電流ICELLが小さくなる。一方、プログラムセルでは、電流ICELLは流れない。図7に示すように、消去セルに流れる最大をImax、最小をIminとしたとき、センス回路において検出すべき理想的なターゲットの電流は、Iminを検知することである。すなわち、ITP3=Iminである。これにより、プログラムセルとのマージンを最大限にすることが可能になる。
【0042】
図6には、NANDストリングに流れる電流ICELLが0.1μA未満、〜0.2μA未満、〜0.4μA未満の例が示されている。電流源トランジスタTP3の電流をITP3=0.1μA、Imin>0.1μA、Imax=0.4μAと仮定する。選択メモリセルがプログラムセル(データ「0」)であるとき、NANDストリングは導通せず、ノードTOBL、SNSは変化しない。すなわち、電流ICELLが0.1μA未満の波形がこれに該当する。選択メモリセルが消去セルであり、0.1<ICELL<0.2μAであるとき、トランジスタTP3から供給される電流ITP3よりも大きい電流ICELLが放電されるため、ノードTOBL、SNSの電圧が緩やかに傾斜しながら降下する。さらに、消去セルが0.2≦ICELL<0.4μAであるとき、著しく大きな電流ICELLが放電されるため、ノードTOBL、SNSの電圧は、急激に傾斜し0Vに降下する。このように、電流ITP3=0.1μAに設定することで、ビット線に流れる電流が0.1μAより大きいか否かを判定することができる。
【0043】
次に、トランジスタTN1のフィードバック制御について説明する。図8(A)は、放電時のプログラムセルと消去セルのビット線間に生じる容量結合を説明する図である。例えば、ビット線GBL5、GBL7の選択メモリセルが消去セルであり、ビット線GBL6の選択メモリセルがプログラムセルであるとき、ビット線GBL5、GBL7はGNDに放電され、ビット線GBL6はGNDに放電されない。しかしながら、ビット線間隔が30nm程度になると、ビット線間の容量結合βによってビット線GBL5、GBL7の電圧が降下するときにビット線GBL6の電位も降下されてしまう。この様子を図8(B)に模式的に示す。時刻Taで、ビット線GBL5、GBL7の放電が開始され、時刻Tb、Tcでビット線GBL5、GBL7の電位がGNDになる。ビット線GBL6の電位もまた一時的に降下し、時刻Tdで元の電位に回復する。
【0044】
ここで留意すべきは、プログラムセルは非導通であり、ビット線GBL6の電圧が降下することは好ましくはない。何故ならば、ビット線GBL6の電圧が降下すると、ノードSNSの電圧が降下し、トランジスタTP2がオンしてしまう可能性があるからである。従って、ビット線GBL6の電圧が回復する時刻Tdまで、ノードSENSEのセンシング、すなわちトランジスタTN4による電荷転送するタイミングを遅延させなければならない。本実施例のセンス回路は、この遅延時間を減少させるために、ノードTOBLの電圧をトランジスタTN1にフィードバックし、ノードTOBLの電圧を監視している。ノードTOBLの電圧がしきい値VTHTN1より低下すると、トランジスタTN1がオフし、ゲート電圧CASが上昇する。これにより、トランジスタTN3の抵抗が小さくなり、ノードSNSからノードTOBLへ電流が迅速に供給される。その結果、図8(B)の破線FBで示すように、ビット線GBL6の電位が時刻Tdより手前の時刻Teで回復される。従って、センシングするタイミングを時刻Teとすることができる。
【0045】
このように本実施例によれば、トランジスタTP3を微小電流源制御に切り替えることで、微細なビット線構造に流れる微小の電流の有無を検出することができる。また、本実施例では、オールビット線方式の読出しを行うことで、従来のように偶数ビット線または奇数ビット線を選択するためのビット線選択回路を省くことができる。さらに、オールビット線方式の読出しを行うことで、ビット線をプリチャージするときのビット線間の容量結合の影響を実質的に無視することができるため、プリチャージ電圧を小さくし、プリチャージ期間を短縮させることができる。
【0046】
次に、第2の実施例について説明する。トランジスタTP3、トランジスタTP1を電流源として動作させるために駆動信号IREFA、IREFBによりバイアス電圧を印加し、トランジスタTN2に一定のバイアス電流を流させるように駆動信号IREFCを印加する例を示したが、第2の実施例では、駆動信号IREFA、IREFB、IREFCが供給するバイアス電圧を設定可能なプログラムレジスタを備える。
【0047】
図9に、第2の実施例に係るページバッファ/センス回路を示す。図5と同一構成については同一参照を付し、その説明を省略する。第2の実施例では、同図に示すように、バイアス電圧を設定するためのデータを記憶するプログラマブルレジスタ200を有する。プログラマブルレジスタは、例えば、フューズレジスタまたはフューズROMを含む。
【0048】
半導体ウエハ内の各チップにはバラツキがあり、それ故、消去セルを流れる電流ICELLにもバラツキが生じる。このため、製造段階で、選択されたチップまたはテスト用素子のビット線を流れる電流ICELLを測定し、その測定結果に基づきフューズをトリミングし、プログラマブルレジスタ200に、駆動信号IREFA、IREFB、IREFCのバイアス電圧を設定する。
【0049】
コントローラ150は、微小電流制御に切り替えるとき、すなわちトランジスタTP3、TP1を電流源として機能させるとき、プログラマブルレジスタ200に設定されたバイアス電圧の設定値を読み出し、当該設定値に基づき駆動信号IREFA、IREFBをトランジスタTP3、TP1に提供する。駆動信号IREFCについても同様である。これにより、チップ毎に最適なターゲットの電流ITP3を設定することができ、同時に、トランジスタTP1、およびトランジスタTN2を流れる電流についても最適化を図ることができる。
【0050】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。第3の実施例は、抵抗変化型メモリのセンス回路に関する。図10は、抵抗変化型メモリのメモリアレイの典型的な構成を示す回路図である。1つのメモリセルユニットは、可変抵抗素子とこれに直列に接続されたアクセス用のトランジスタとから構成される。m×n(m、nは、1以上の整数)個のセルユニットが二次元アレイ状に形成され、トランジスタのゲートがワード線に接続され、ドレイン領域が可変抵抗素子の一方の電極に接続され、ソース領域がソース線に接続される。可変抵抗素子の他方の電極がビット線に接続される。
【0051】
可変抵抗素子は、酸化ハフニウム(HfOx)等の金属酸化物の薄膜から構成され、印加されるパルス電圧の大きさおよび極性によって抵抗値を低抵抗状態または高抵抗状態に可逆的にかつ不揮発性に設定することができる。可変抵抗素子を高抵抗状態に設定(または書込み)することをセット(SET)、低抵抗状態に設定(書込み)することをリセット(RESET)という。
【0052】
セルユニットは、ワード線、ビット線およびソース線によってビット単位で選択することができる。例えば、セルユニットM11に書込みを行う場合には、ワード線WL1によってトランジスタがオンされ、ビット線BL1、ソース線SL1には、セットまたはリセットに応じた電圧が印加される。これにより、可変抵抗素子がセットまたはリセットされる。セルユニットM11の読み出しを行う場合には、ワード線WL1によってトランジスタがオンされ、ビット線BL1、ソース線SL1には読み出しのための電圧が印加される。ビット線BL1には、可変抵抗素子のセットまたはリセットに応じた電圧または電流が表れ、これがセンス回路によって検出される。
【0053】
図11は、セット、リセット時に可変抵抗素子に流れるセル電流と分布数との関係を表している。可変抵抗素子のバラツキによって、セット、リセット時に可変抵抗素子を流れる電流にも幅が生じる。同図に示すように、可変抵抗素子がセットされたとき、可変抵抗素子は高抵抗状態であり、そこを流れる電流は、約1μA以下である。一方、可変抵抗素子がリセットされたとき、可変抵抗素子は低抵抗状態であり、そこを流れる電流は、約10μAよりも大きい。
【0054】
図12は、第3の実施例に係る抵抗変化型メモリのセンス回路を示す図であり、図5の構成と同一のものについては同一参照を付してある。第1の実施例のときと同様に、時刻T1〜T2の間に、ノードSNS、ノードTOBL、選択されたビット線GBL0がプリチャージされる。
【0055】
次に、時刻T2〜T3においてビット線のディスチャージが行われる。トランジスタTP3は、駆動信号IREFAによって電流源として機能され、電流ITP3を供給する。図11に示したように、可変抵抗素子のセットまたはリセットを判定するには、可変抵抗素子を流れる電流が1μA以上か否かを判定できればよい。従って、電流ITP3は、例えば凡そ1μAに設定される。
【0056】
一方、選択されたワード線WLに一定電圧が印加され、アクセス用トランジスタがオンされる。可変抵抗素子がリセットであれば、可変抵抗素子を介してビット線GBL1からソース線SLに放電される電流は約10μAである。トランジスタTP3から1μAの電流がノードSNSへ供給されるが、これよりも大きな電流がソース線SLに放電されるので、ノードSNSの電圧が急激にローレベルになり、トランジスタTP2がオンされ、ノードSENSEの電位がハイレベルに上昇される。センシングにおいて、トランジスタTN4がオンされ、ノードSENSEの電位がラッチ回路172へ転送され、リセットに応じたデータが出力される。
【0057】
可変抵抗素子がセットであれば、ビット線GBL0からソース線SLに流れる電流は、約1μA以下である。このとき、トランジスタTP3から約1μAの電流ITP3がノードSNSへ供給されるため、供給する電流と放電する電流が均衡し、ノードSNSの電圧は実質的に変化されない。このため、ノードSENSEの電位はローレベルである。センシングにおいて、トランジスタTN4がオンされ、ノードSENSEの電位がラッチ回路172へ転送され、セットに応じたデータが出力される。
【0058】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
100:フラッシュメモリ
110:メモリアレイ
120:入出力バッファ
130:アドレスレジスタ
140:データレジスタ
150:コントローラ
160:ワード線選択回路
170:ページバッファ/センス回路
172:ラッチ回路
180:列選択回路
190:内部電圧発生回路
200:プログラマブルレジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12