【実施例】
【0019】
図2に、本発明の実施例に係るフラッシュメモリの構成例を示す。但し、ここに示すフラッシュメモリは例示であり、本発明は、必ずしもこのような構成に限定されるものではない。本実施例のフラッシュメモリ100は、行列状に配列された複数のメモリセルが形成されたメモリアレイ110と、外部入出力端子I/Oに接続され入出力データを保持する入出力バッファ120と、入出力バッファ120からのアドレスデータを受け取るアドレスレジスタ130と、入出力されるデータを保持するデータレジスタ140、入出力バッファ120からのコマンドデータおよび外部制御信号(図示されないチップイネーブルやアドレスラッチイネーブル等)に基づき各部を制御する制御信号C1、C2、C3等を供給するコントローラ150と、アドレスレジスタ130からの行アドレス情報Axをデコードしデコード結果に基づきブロックの選択およびワード線の選択等を行うワード線選択回路160と、ワード線選択回路160によって選択されたページから読み出されたデータを保持したり、選択されたページへの書込みデータを保持するページバッファ/センス回路170と、アドレスレジスタ130からの列アドレス情報Ayをデコードし当該デコード結果に基づきページバッファ170内の列データを選択する列選択回路180と、データの読出し、プログラムおよび消去等のために必要な電圧(プログラム電圧Vpgm、パス電圧Vpass、読出しパス電圧Vread、消去電圧Versなど)を生成する内部電圧発生回路190とを含んで構成される。
【0020】
メモリアレイ110は、列方向に配置された複数のブロックBLK(0)、BLK(1)、・・・、BLK(m)を有する。ブロックの一方の端部には、ページバッファ/センス回路170が配置される。但し、ページバッファ/センス回路170は、ブロックの他方の端部、あるいはの両側の端部に配置されるものであってもよい。
【0021】
1つのメモリブロックには、
図3に示すように、複数のメモリセルを直列に接続したNANDストリングユニットNUが複数形成され、1つのメモリブロック内にn+1個のストリングユニットNUが行方向に配列されている。セルユニットNUは、直列に接続された複数のメモリセルMCi(i=0、1、・・・、31)と、一方の端部であるメモリセルMC31のドレイン側に接続された選択トランジスタTDと、他方の端部であるメモリセルMC0のソース側に接続された選択トランジスタTSとを含み、選択トランジスタTDのドレインは、対応する1つのビット線GBLに接続され、選択トランジスタTSのソースは、共通のソース線SLに接続される。
【0022】
メモリセルMCiのコントロールゲートは、ワード線WLiに接続され、選択トランジスタTD、TSのゲートは、ワード線WLと並行する選択ゲート線SGD、SGSに接続される。ワード線選択回路160は、行アドレスAxに基づきメモリブロックを選択するとき、当該メモリブロックの選択ゲート信号SGS、SGDを介して選択トランジスタTD、TSを選択的に駆動する。
【0023】
メモリセルは、典型的に、Pウエル内に形成されたN型の拡散領域であるソース/ドレインと、ソース/ドレイン間のチャンネル上に形成されたトンネル酸化膜と、トンネル酸化膜上に形成されたフローティングゲート(電荷蓄積層)と、フローティングゲート上に誘電体膜を介して形成されたコントロールゲートとを含むMOS構造を有する。フローティングゲートに電荷が蓄積されていないとき、つまりデータ「1」が書込まれているとき、しきい値は負状態にあり、メモリセルは、ノーマリオンである。フローティングゲートに電子が蓄積されたとき、つまりデータ「0」が書込まれているとき、しきい値は正にシフトし、メモリセルは、ノーマリオフである。
【0024】
図4は、フラッシュメモリの各動作時に印加されるバイアス電圧の一例を示したテーブルである。読出し動作では、ビット線に或る正の電圧を印加し、選択されたワード線に或る電圧(例えば0V)を印加し、非選択ワード線にパス電圧Vpass(例えば4.5V)を印加し、選択ゲート線SGD、SGSに正の電圧(例えば4.5V)を印加し、ビット線選択トランジスタTD、ソース線選択トランジスタTSをオンし、共通ソース線に0Vを印加する。プログラム(書込み)動作では、選択されたワード線に高電圧のプログラム電圧Vprog(15〜20V)を印加し、非選択のワード線に中間電位(例えば10V)を印加し、ビット線選択トランジスタTDをオンさせ、ソース線選択トランジスタTSをオフさせ、「0」または「1」のデータに応じた電位をビット線GBLに供給する。消去動作では、ブロック内の選択されたワード線に0Vを印加し、Pウエルに高電圧(例えば20V)を印加し、フローティングゲートの電子を基板に引き抜くことで、ブロック単位でデータを消去する。
【0025】
本実施例の好ましい態様では、フラッシュメモリ100は、
図1に示す従来のフラッシュメモリようなビット線選択回路10を備えていない。すなわち、本実施例のフラッシュメモリ100は、読出し動作において偶数ビット線と奇数ビット線の選択を行わず、すべてのビット線(オールビット線)を同時に選択する。それ故、本実施例のページバッファ/センス回路170は、すべてのビット線に対し一対一の関係で用意され、
図3に示すように、1つのブロックにn+1個のビット線があるとき、ページバッファ/センス回路170は、n+1個のビット線に接続されたn+1個のセンスアンプを備える。
【0026】
図5に、本実施例のページバッファ/センス回路170を示す。このページバッファ/センス回路170は、1つのビット線に接続されたものである。パージバッファ/センス回路170は、VDD電源(例えば、2V)と基準電位(GND)との間に直列に接続されたP型のMOSトランジスタTP1と、N型のMOSトランジスタTN1と、VDD電源(例えば、2V)と基準電位(GND)との間に直列に接続されたP型のMOSトランジスタTP2と、N型のMOSトランジスタTN2と、VDD電源(例えば、2V)とノードSNSとの間に接続されたP型のMOSトランジスタTP3と、センスノードSNSとノードTOBLとの間に接続されたN型のMOSトランジスタTN3と、ノードSENSEに接続された転送トランジスタTN4と、転送トランジスタTN4に接続されたラッチ回路172とを含んで構成される。
【0027】
トランジスタTP1、TN2、TP3、TN4の各ゲートには、コントローラ150から供給される駆動信号IREFA、IREFB、IREFC、BLCDが接続され、トランジスタTP1、TN2、TP3、TN4の動作が制御される。トランジスタTP1とトランジスタTN1とを接続するノードN1がトランジスタTN3のゲートに接続される。ビット線GBLに接続されたノードTOBLがトランジスタTN1のゲートにフィードバック接続される。
【0028】
トランジスタTP1は、駆動信号IREFBに応じてノードN1に一定の電流を供給する電流源として働く。好ましくは、トランジスタTP1は、プリチャージ期間中、トランジスタTN3のしきい値V
THTN3よりも僅かに大きな値(V
THTN3+α(α=0.1〜0.2V))がノードTOBLまたはビット線GBLにプリチャージされるようにゲート電圧CASを設定し、また、ディスチャージ期間中、電流源として機能するトランジスタTP3から供給される電流I
TP3を流すことができるようにゲート電圧CASを設定する。トランジスタTN3は、プリチャージ期間中、ゲート電圧CASに従いノードTOBLまたはビット線GBLのプリチャージ電圧を設定する。
【0029】
オールビット線方式の読出しでは、すべてのビット線がほぼ同時にほぼ同電位にプリチャージされるため、ビット線シールド方式のときに生じる、ビット線間の容量結合による負荷をほとんど無視することができる。つまり、ビット線シールド方式では、選択されたビット線にプリチャージされた電圧が、隣接する非選択のビット線のGND電位によって上昇され難くなってしまう。それ故、本実施例のセンス回路は、ビット線シールド方式または電圧検出型と比較して、プリチャージ電圧を小さくすることが可能であり、プリチャージ電圧を小さくすることで、ビット線へのプリチャージ時間を短縮させることができる。
【0030】
トランジスタTP3は、駆動信号IREFAにより制御され、プリチャージ期間中、ノードSNSにVDD電圧をプリチャージし、ディスチャージ期間中、ノードSNSに微小な電流I
TP3を供給する電流源として機能する。この電流I
TP3は、後に説明されるように、センス回路が検出するターゲットの電流を決定する。
【0031】
トランジスタTP2のゲートは、ノードSNSに接続される。プリチャージ期間中、ノードSNSがVDD電圧となり、トランジスタTP2がオフされる。また、ディスチャージ期間中、選択メモリセルの記憶状態に応じて変化するビット線GBLまたはノードTOBLの電位に対応した電位がノードSNSに表れ、この電位によってトランジスタTP2がオンまたはオフされる。これにより、ノードSENSEには、データ「0」または「1」に応じた電圧が生成される。また、トランジスタTP2とグランドとの間にはトランジスタTN2が接続され、そのゲートには駆動信号IREFCが供給される。ディスチャージ期間中、トランジスタTN2は駆動信号IREFCによってオン状態にされる。
【0032】
ノードSENSEはさらに、トランジスタTN4に接続される。トランジスタTN4のゲートには、駆動信号BLCDが接続され、センシング期間に、駆動信号BLCDがハイレベルに遷移され、ノードSENSEの電位がラッチ回路172へ転送される。ラッチ回路172は、ノードSENSEから受け取った電位に基づきデータ「0」、または「1」を保持し、これをデータ線DL、/DLに出力する。
【0033】
トランジスタTN1のゲートには、ノードTOBLがフィードバック接続される。トランジスタTN1は、ノードTOBLの電圧を監視し、ノードTOBLの電圧に応じてオンまたはオフされる。具体的には、ディスチャージ期間中に、プログラムされたメモリセルのビット線の電圧が、消去されたメモリセルのビット線の電圧降下に容量結合されて一時的に降下され、そのとき、トランジスタTN1がオフされる。トランジスタTN1がオフすることで、ノードN1のゲート電圧CASが上昇され、トランジスタTN3のコンダクタンスが低減される。プログラムされたメモリセルのビット線の電圧が元の電圧に回復するまで、実質的にビット線のセンシングを行うことができないが、このようなフィードバック接続は、プログラムされたメモリセルのビット線の降下した電圧が回復する時間を短縮させ、その結果、センシングするまでの時間が短縮される。
【0034】
次に、本実施例のページバッファ/センス回路の動作を
図6に示すタイミングチャートを参照して説明する。コントローラ150は、入出力バッファを介して読出し動作のコマンドやアドレス情報を受け取ると、読出し動作のために各部を制御する。
【0035】
時刻T1〜T2は、プリチャージ期間である。ソース線SLには0Vが供給される。駆動信号IREFAがVDDから0Vに遷移され、トランジスタTP3がフルにオン状態となり、ノードSNSにはVDD電圧がプリチャージされる。駆動信号IREFBは、時刻T1において0Vから一定のバイアス電圧に遷移され、トランジスタTP1を電流源として機能させる。
【0036】
好ましい態様では、トランジスタTP1から供給される電流は、トランジスタTP3が電流源として機能するときにそこから供給される電流I
TP3とほぼ等しい電流である。時刻T1で、ノードTOBLは0Vであり、トランジスタTN1はオフである。このとき、トランジスタTN3のゲートに供給されるCAS電圧は、ノードTOBLまたはビット線GBLにV
THTN3+α(α=0.1〜0.2V)のプリチャージ電圧を設定するような大きさである。すなわち、CAS電圧は、2V
THTN3+αに設定される。トランジスタTN3のゲート・ソース間電圧がトランジスタTN3のしきい値V
THTN3よりも高い間、トランジスタTN3が導通し、ノードSNSにプリチャージされた電荷がノードTOBLへ転送される。こうして、ノードTOBLおよびビット線GBLは、V
THTN3+αの電圧にプリチャージされる。
【0037】
ノードTOBLがプリチャージ電圧に達すると、トランジスタTN1がオンし、これによりゲート電圧CASが降下される。例えば、しきい値V
THTN1=しきい値V
THTN3であるとき、ゲート電圧CASは、V
THTN3+αとなる。また、トランジスタTN3が非道通状態となり、ビット線GBLがフローティング状態となる。プリチャージ期間中、駆動信号IREFC、BLCDは、0Vであり、トランジスタTN2、TN4はオフである。
【0038】
時刻T2から時刻T3がディスチャージ期間である。時刻T2で、駆動信号IREFAが0Vから所定のバイアス電圧に遷移される。ディスチャージ期間中、トランジスタTP3は電流源として機能し、電流I
TP3を供給する。電流I
TP3は、センス回路が検出するターゲット電流を決定する。言い換えれば、フラッシュメモリの読出し動作時にNANDストリング(選択メモリセルが消去セル)を流れる電流をI
CELLとしたとき、I
TP3は、I
CELLの電流を検出することができる大きさに設定される。例えば、選択メモリセルが消去セルであるNANDストリングを流れる電流が約0.2μAであれば、I
TP3=0.1μAに設定される。但し、消去セルのしきい値にはバラツキがあり、深く消去されたメモリセルでは大きな電流が流れ、浅く消去されたメモリセルでは小さな電流が流れるので、I
TP3は、浅く消去されたメモリセルの電流を検出することができる大きさに設定される。
【0039】
一方、ワード線選択回路160は、選択されたブロックの選択されたワード線に0Vを印加し、非選択のワード線にパス電圧(例えば、4.5V)を印加する。選択メモリセルがプログラムセル(データ「0」)であれば、選択メモリセルは、選択ワード線に印加された0Vではオンしない。このため、NANDストリングは導通せず、ビット線GBL、ノードTOBLの電圧は変化しない。それ故、トランジスタTN3は導通せず、ノードSNSの電圧も変化せず、トランジスタTP2はオフのままである。また、時刻T2で、駆動信号IREFCが0Vから所定の電圧V1(V1>V
THTN2)に遷移し、トランジスタTN2が一定のバイアス電流を流すように、トランジスタTN2をオンさせる。例えば、トランジスタTN2は、トランジスタTP3の電流I
TP3と等しいバイアス電流を流すように設定される。こうして、ノードSENSEがGNDに引かれる。従って、トランジスタTP2がオフであれば、ノードSENSEは、ローレベルのままである。
【0040】
選択メモリセルが消去セル(データ「1」)であれば、選択メモリセルは、選択ワード線に印加されたパス電圧によってオンし、NANDストリングが導通する。このため、ビット線GBL/ノードTOBLの電荷がソース線SLに放電される。ノードTOBLの電圧降下に応答して、トランジスタTN3のゲート・ソース間電圧がしきい値V
THTN3よりも大きくなると、トランジスタTN3が導通し、ノードSNSの電圧が降下するが、同時に、ノードSNSにはトランジスタTP3から電流I
TP3が供給される。すなわち、トランジスタTP3の電流I
TP3よりも大きな電流がソース線SLに放電された場合、ノードSNSの電圧が降下する。トランジスタTP3の電流I
TP3と等しいかそれよりも小さな電流がソース線SLに放電された場合、ノードSNSの電圧が変化しない。ノードSNSがしきい値電圧V
THTP2以下になったとき、トランジスタTP2がオンし、ノードSENSEの電圧がハイレベルに上昇される。ノードSENSEの電圧は、トランジスタTP2とトランジスタTN2とのレシオによって決定される。
【0041】
図7に、消去セル(データ「1」)の電流I
CELLの分布を示す。メモリセルには、製造時のバラツキ等があるため、消去セルのしきい値にも幅がある。深く消去されたメモリセルのしきい値が大きく、電流I
CELLが大きくなり、反対に浅く消去されたメモリセルのしきい値は小さく、電流I
CELLが小さくなる。一方、プログラムセルでは、電流I
CELLは流れない。
図7に示すように、消去セルに流れる最大をI
max、最小をI
minとしたとき、センス回路において検出すべき理想的なターゲットの電流は、I
minを検知することである。すなわち、I
TP3=I
minである。これにより、プログラムセルとのマージンを最大限にすることが可能になる。
【0042】
図6には、NANDストリングに流れる電流I
CELLが0.1μA未満、〜0.2μA未満、〜0.4μA未満の例が示されている。電流源トランジスタTP3の電流をI
TP3=0.1μA、I
min>0.1μA、I
max=0.4μAと仮定する。選択メモリセルがプログラムセル(データ「0」)であるとき、NANDストリングは導通せず、ノードTOBL、SNSは変化しない。すなわち、電流I
CELLが0.1μA未満の波形がこれに該当する。選択メモリセルが消去セルであり、0.1<I
CELL<0.2μAであるとき、トランジスタTP3から供給される電流I
TP3よりも大きい電流I
CELLが放電されるため、ノードTOBL、SNSの電圧が緩やかに傾斜しながら降下する。さらに、消去セルが0.2≦I
CELL<0.4μAであるとき、著しく大きな電流I
CELLが放電されるため、ノードTOBL、SNSの電圧は、急激に傾斜し0Vに降下する。このように、電流I
TP3=0.1μAに設定することで、ビット線に流れる電流が0.1μAより大きいか否かを判定することができる。
【0043】
次に、トランジスタTN1のフィードバック制御について説明する。
図8(A)は、放電時のプログラムセルと消去セルのビット線間に生じる容量結合を説明する図である。例えば、ビット線GBL5、GBL7の選択メモリセルが消去セルであり、ビット線GBL6の選択メモリセルがプログラムセルであるとき、ビット線GBL5、GBL7はGNDに放電され、ビット線GBL6はGNDに放電されない。しかしながら、ビット線間隔が30nm程度になると、ビット線間の容量結合βによってビット線GBL5、GBL7の電圧が降下するときにビット線GBL6の電位も降下されてしまう。この様子を
図8(B)に模式的に示す。時刻Taで、ビット線GBL5、GBL7の放電が開始され、時刻Tb、Tcでビット線GBL5、GBL7の電位がGNDになる。ビット線GBL6の電位もまた一時的に降下し、時刻Tdで元の電位に回復する。
【0044】
ここで留意すべきは、プログラムセルは非導通であり、ビット線GBL6の電圧が降下することは好ましくはない。何故ならば、ビット線GBL6の電圧が降下すると、ノードSNSの電圧が降下し、トランジスタTP2がオンしてしまう可能性があるからである。従って、ビット線GBL6の電圧が回復する時刻Tdまで、ノードSENSEのセンシング、すなわちトランジスタTN4による電荷転送するタイミングを遅延させなければならない。本実施例のセンス回路は、この遅延時間を減少させるために、ノードTOBLの電圧をトランジスタTN1にフィードバックし、ノードTOBLの電圧を監視している。ノードTOBLの電圧がしきい値V
THTN1より低下すると、トランジスタTN1がオフし、ゲート電圧CASが上昇する。これにより、トランジスタTN3の抵抗が小さくなり、ノードSNSからノードTOBLへ電流が迅速に供給される。その結果、
図8(B)の破線FBで示すように、ビット線GBL6の電位が時刻Tdより手前の時刻Teで回復される。従って、センシングするタイミングを時刻Teとすることができる。
【0045】
このように本実施例によれば、トランジスタTP3を微小電流源制御に切り替えることで、微細なビット線構造に流れる微小の電流の有無を検出することができる。また、本実施例では、オールビット線方式の読出しを行うことで、従来のように偶数ビット線または奇数ビット線を選択するためのビット線選択回路を省くことができる。さらに、オールビット線方式の読出しを行うことで、ビット線をプリチャージするときのビット線間の容量結合の影響を実質的に無視することができるため、プリチャージ電圧を小さくし、プリチャージ期間を短縮させることができる。
【0046】
次に、第2の実施例について説明する。トランジスタTP3、トランジスタTP1を電流源として動作させるために駆動信号IREFA、IREFBによりバイアス電圧を印加し、トランジスタTN2に一定のバイアス電流を流させるように駆動信号IREFCを印加する例を示したが、第2の実施例では、駆動信号IREFA、IREFB、IREFCが供給するバイアス電圧を設定可能なプログラムレジスタを備える。
【0047】
図9に、第2の実施例に係るページバッファ/センス回路を示す。
図5と同一構成については同一参照を付し、その説明を省略する。第2の実施例では、同図に示すように、バイアス電圧を設定するためのデータを記憶するプログラマブルレジスタ200を有する。プログラマブルレジスタは、例えば、フューズレジスタまたはフューズROMを含む。
【0048】
半導体ウエハ内の各チップにはバラツキがあり、それ故、消去セルを流れる電流I
CELLにもバラツキが生じる。このため、製造段階で、選択されたチップまたはテスト用素子のビット線を流れる電流I
CELLを測定し、その測定結果に基づきフューズをトリミングし、プログラマブルレジスタ200に、駆動信号IREFA、IREFB、IREFCのバイアス電圧を設定する。
【0049】
コントローラ150は、微小電流制御に切り替えるとき、すなわちトランジスタTP3、TP1を電流源として機能させるとき、プログラマブルレジスタ200に設定されたバイアス電圧の設定値を読み出し、当該設定値に基づき駆動信号IREFA、IREFBをトランジスタTP3、TP1に提供する。駆動信号IREFCについても同様である。これにより、チップ毎に最適なターゲットの電流I
TP3を設定することができ、同時に、トランジスタTP1、およびトランジスタTN2を流れる電流についても最適化を図ることができる。
【0050】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。第3の実施例は、抵抗変化型メモリのセンス回路に関する。
図10は、抵抗変化型メモリのメモリアレイの典型的な構成を示す回路図である。1つのメモリセルユニットは、可変抵抗素子とこれに直列に接続されたアクセス用のトランジスタとから構成される。m×n(m、nは、1以上の整数)個のセルユニットが二次元アレイ状に形成され、トランジスタのゲートがワード線に接続され、ドレイン領域が可変抵抗素子の一方の電極に接続され、ソース領域がソース線に接続される。可変抵抗素子の他方の電極がビット線に接続される。
【0051】
可変抵抗素子は、酸化ハフニウム(HfOx)等の金属酸化物の薄膜から構成され、印加されるパルス電圧の大きさおよび極性によって抵抗値を低抵抗状態または高抵抗状態に可逆的にかつ不揮発性に設定することができる。可変抵抗素子を高抵抗状態に設定(または書込み)することをセット(SET)、低抵抗状態に設定(書込み)することをリセット(RESET)という。
【0052】
セルユニットは、ワード線、ビット線およびソース線によってビット単位で選択することができる。例えば、セルユニットM11に書込みを行う場合には、ワード線WL1によってトランジスタがオンされ、ビット線BL1、ソース線SL1には、セットまたはリセットに応じた電圧が印加される。これにより、可変抵抗素子がセットまたはリセットされる。セルユニットM11の読み出しを行う場合には、ワード線WL1によってトランジスタがオンされ、ビット線BL1、ソース線SL1には読み出しのための電圧が印加される。ビット線BL1には、可変抵抗素子のセットまたはリセットに応じた電圧または電流が表れ、これがセンス回路によって検出される。
【0053】
図11は、セット、リセット時に可変抵抗素子に流れるセル電流と分布数との関係を表している。可変抵抗素子のバラツキによって、セット、リセット時に可変抵抗素子を流れる電流にも幅が生じる。同図に示すように、可変抵抗素子がセットされたとき、可変抵抗素子は高抵抗状態であり、そこを流れる電流は、約1μA以下である。一方、可変抵抗素子がリセットされたとき、可変抵抗素子は低抵抗状態であり、そこを流れる電流は、約10μAよりも大きい。
【0054】
図12は、第3の実施例に係る抵抗変化型メモリのセンス回路を示す図であり、
図5の構成と同一のものについては同一参照を付してある。第1の実施例のときと同様に、時刻T1〜T2の間に、ノードSNS、ノードTOBL、選択されたビット線GBL0がプリチャージされる。
【0055】
次に、時刻T2〜T3においてビット線のディスチャージが行われる。トランジスタTP3は、駆動信号IREFAによって電流源として機能され、電流I
TP3を供給する。
図11に示したように、可変抵抗素子のセットまたはリセットを判定するには、可変抵抗素子を流れる電流が1μA以上か否かを判定できればよい。従って、電流I
TP3は、例えば凡そ1μAに設定される。
【0056】
一方、選択されたワード線WLに一定電圧が印加され、アクセス用トランジスタがオンされる。可変抵抗素子がリセットであれば、可変抵抗素子を介してビット線GBL1からソース線SLに放電される電流は約10μAである。トランジスタTP3から1μAの電流がノードSNSへ供給されるが、これよりも大きな電流がソース線SLに放電されるので、ノードSNSの電圧が急激にローレベルになり、トランジスタTP2がオンされ、ノードSENSEの電位がハイレベルに上昇される。センシングにおいて、トランジスタTN4がオンされ、ノードSENSEの電位がラッチ回路172へ転送され、リセットに応じたデータが出力される。
【0057】
可変抵抗素子がセットであれば、ビット線GBL0からソース線SLに流れる電流は、約1μA以下である。このとき、トランジスタTP3から約1μAの電流I
TP3がノードSNSへ供給されるため、供給する電流と放電する電流が均衡し、ノードSNSの電圧は実質的に変化されない。このため、ノードSENSEの電位はローレベルである。センシングにおいて、トランジスタTN4がオンされ、ノードSENSEの電位がラッチ回路172へ転送され、セットに応じたデータが出力される。
【0058】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。